読切小説
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ボツネタ供養祭地獄変
「さて皆さん、今日はマイダスの日です」
壇上に立つ男が、眼下のベンチに並ぶ男たちを見回しながら、そう口を開いた。
大陸の南北に連なるダッハラト山脈の西側、エルンデルストの村の教会に、今夜も多くの人が集まっていた。
「前回説明した通り、マイダスの日は嘘を吐いていい日です」
壇上の男が朗々と説明を始める。
「マイダスの日の由来は、今は昔、大陸の東部ジパングに程近い土地のインという国に、愚かな王様が居たことに始まります。王様は国民の生活など気にせず、税を取立て、贅を尽くし、毎日気楽に過ごしていました。
そんな中、イン国の宰相は頭を抱えていました。インの国民は王様の生活を支える為、苦しい日々を送っています。ですがいずれ我慢の限界が来て、農機具を手に宮殿に押しかけるでしょう。
そうなれば、王様に不満を抱えている兵士も寝返って、簡単に宰相も王様も首を取られるに違いありません。
では、どうすればいいのか?簡単なことです、国民の不満を発散させればよいのです。
こうして制定されたのが、マイダスの日です。この日だけは、仕事や生活に関わらない限り、どんな嘘を吐いても構いません。税金が高すぎるという嘘も、王様が気に食わないという嘘も、許されるのです。
こうして、インの国の国民は毎年マイダスの日に嘘を吐くようになりました」
彼は言葉を切ると、間を挟んでから眼下の男たちに語りかけた。
「と、言うわけで今日は皆さんの嘘を発表してもらいます」
「ズイチュー議長!」
席に着く男の一人が、声と共に手を上げる。
「なんでしょう」
「マイダスの日の由来は分かりましたが、その後のインの国はどうなったのですか?」
「勿論嘘を吐くのを許したぐらいでは国民の不満は解消できず、反乱で滅びたそうです」
微妙に縁起の悪い結末を、ズイチューは口にした。
「しかし、このエルンデルストの村でのマイダスの日は、不満解消ではなくあくまで嘘を吐くことが目的であります。ですから、僕たちの首が皆さんによってもぎ取られることは無いと信じております」
彼は村人達を一望すると、続けた。
「それでは、今回も議長は僕ズイチューが、書記はソクセンが勤めさせていただきます。では皆さん、嘘をどうぞ」
その一言の直後、ベンチに並ぶ男たちがいっせいに手を挙げた。





1.王都の料理屋で精液払い
あれは、私が王都で兵士をしていた頃でしょうか。当時独身だった私は、近所の食堂で朝昼夕の三食を賄っていました。
少々味には不満はありましたが、値段が安かったので毎日通っていました。
そんなある日、当時所属していた部隊の隊長が、いい食堂があると私を誘ってくれたのです。
向かった先は、裏町に存在する東部料理店でした。いかがわしい店が軒を連ねる通りに、一見だけ料理店があるのは、実に奇妙な景色でした。
しかし私の疑念も、隊長と共に店の中に入れば吹き飛びました。
店で私達を向かえたのが、肌を多く露出した衣装を身に着けた女性たちだったのです。
それも、人間の女性ではなく、角や尾を生やしたサキュバスを一とする魔物でした。
サキュバスの店員が私にしなだれかかり、腕に胸を押し付けながら席に案内します。席に着けば、ホルスタウロスの店員が胸の谷間にメニューを挟んで持って来てくれました。
そして、私達がメニューを選んでいる間に、スライムの店員がグラスを二つ運んできたのです。
彼女はテーブルにグラスを置くと、サービスだといって口を開け、舌を突き出しました。すると、彼女の舌先に雫が生じ、グラスの底に垂れ落ちていったのです。
後で聞いたところによると、あれは彼女が体内の水分を抽出しているだけだったのですが、初めて目にした私には唾液をグラスに注いでいるようにしか見えませんでした。最も不潔感は全くなく、むしろ彼女の表情や仕草と相まってある種の淫靡さを醸すほどでした。
おかげで、私は彼女が二つのグラスに水を注ぎ、どうぞと差し出すまでメニューに目を落とすことどころか、指一本動かすことさえ出来ませんでした。動けるようにんったの葉、スライムの店員が離れてからです。ああ、水は透き通った味がして美味しかったです。
さて、水を飲んで人心地ついたところで、私は隊長に『ここはどういう店なのか』と訪ねました。
隊長によると、ここは昔王都に住む魔物たちが人目を避けて精を得るための店だったそうです。ですが最近の対立関係の軟化に伴い、隠れる必要がなくなったため、このような店になったということです。
隊長は説明を終えると、私に何を頼むか聞きました。ですが、ろくに頭が回っていなかったため、自分では何も決められそうにありませんでした。
そこで、隊長と同じ物を注文することにしました。
隊長は私の言葉に、一瞬驚きを見せましたが。すぐにニヤリと笑みを浮かべました。
笑みの意味は、後で嫌というほど思い知りました。
最も、その後私は給金の殆どをその店につぎ込むほどはまり込んでしまうのですが、それはまた別の話ということで。



「うん、二点だな」
「思い知る過程を入れていたら六点でしたが、残念」
「え?これ点数制だったんですか!?」
「ああ、これは俺たちが勝手につけているだけだ。だからあまり気にするな」
「後続の方々も、臆せずどうぞ」
「点数はつけるけどな」



2.ドMのオーガに捕まった
あれは、俺が猟師をしていた頃だった。毛並みのいい猪や熊などの獣を求めて、山をさまよい歩いていた私の前に、オーガが現れたのだ。
あの、かつては人食い鬼などと恐れられたオーガだ。
魔王の交代以降、魔物は皆美女になったというが、それでも見上げるほど巨大な角の生えた女が、獰猛な笑みを浮かべているのは誰でも恐ろしく感じるはずだ。
俺は一瞬呆けてから、逃げなければと思ったが、恐怖のあまり足が動かなくなってしまった。ある種の小動物は外敵とであった時、死んだ振りをするというが、あれは実際のところ身動きを取らず相手が通り過ぎるのを待っているのだ。それと同じことを、既に目が合ってしまったというのに、俺の身体はやろうとしていたのだ。
もちろん、そんな児戯が通じるはずもなく、オーガは笑みを浮かべながら俺に歩み寄ると、ひょいと担ぎ上げて運び始めたのだ。
その頃になって俺はようやく体が動くようになったが、彼女は暴れる俺をものともせず、悠々と歩いていった。
そして彼女は俺をねぐらまで連れ込むと、俺を降ろして地面に座り込み、「逃げたいか」と聞いてきた。
聞くところによると、オーガは一度捕まえた男を手放すようなことはまずないらしい。勿論俺も命は惜しいし、色々やりたいことはある。
だから、「出来れば逃げたい」といったんだ。
そしたらオーガは、にやっと笑って「だったらオレを満足させな」と答えた。
まあ、聞いていた話通りだし、仕方ないと思いながら俺はズボンに手を掛けたんだ。だけどオーガは、「違う違う」となぜか制止して来たわけだ。
心の底からそういうことを想像していた俺が固まっていると、オーガは「俺の腹をぶん殴れ」と言ってきたわけだ。
なぜそんなことをするのか訳が分からないし、がっちりとした腹筋に覆われた腹を見てると下手な殴り方じゃ指を痛めそうだ、って俺は躊躇った。
するとオーガは、「殴らなきゃ、お前の頭をぶん殴る」って拳を固めた見せたんだ。石も握りつぶすような拳でぶん殴られるなんて、想像もしたくない。
だから、俺は仕方なく拳を固めて、仁王立ちのオーガの腹に叩き込んだんだ。
正直、岩の塊でも殴るつもりで覚悟を決めていたんだが、俺の予想に反してオーガの腹は柔らかく、頭上から降り注いできたのも「んぐふぅ」という鼻にかかった声だったんだ。
顔を上げてみれば、苦しげに歯を食いしばってはいるものの、顔を赤らめ瞳を潤ませた、どこか心地よさげなオーガの顔があった。
「どうした?やめていいとは言ってないぞ」
何が起こったのか理解していない俺に向かって、彼女は微かな興奮をにじませながらそう言ったんだ。
その後は彼女の求めるがままに、腹を殴ったり、壁にぶら下げてあった棍棒で尻を叩いたりして、朝まで付き合わされた。
解放されたのは日が高くなってからで、それも彼女の体力が尽きて失神したからだった。青痣と血の滲む傷が体中にあったのに、寝顔は幸せそうだったよ。
「俺はドM」とかいうやつが居るが、そいつらはせいぜい蔑まれたり暴言は枯れたりする程度で、ゲロ吐くまで腹を殴られたり、血が流れるまでケツを叩かれながらイったりはしない。マゾっていう言葉は、あのオーガのためにあるようなもんだ。





「もう少し描写に力を入れて下さい、三点」
「あーやっぱりそうか・・・」
「眼の付け所はよかったぞ。あとはもっと詳しくだ五点」
「五点!?微妙に評価高いな!」
「いや、これは別に俺がS気質というだけではなく、斬新な目の付け所だったからという理由だ。あと、オーガがなんと求めたか、後で詳しく教えるように」
「はぁ・・・」
「はいはいソクセン、雑談はそのぐらいにして。じゃあ、次の方どうぞ」



3.魔物娘娼館に数人がかりで着た馬鹿に腹が立った
そんなことより議長、聞いて下さいよ。
この間ファレンゲーヘの娼館に行ったんですよ。魔物娼館。
そしたら店の待合室には、人がぎっしり。
店員に聞いてみると、今日は料金割引の上、新人が入ったそうで。
それで普段来ないような連中が、店に来ているわけですよ。
見覚えのある常連に混ざった、見知らぬ連中の会話に耳を傾けてみれば、どうもそいつら同じ職場の同僚っぽいんです。
まあ、覚えている限り連ねてみますと。
「先輩!本当にいいんですか!?」
「ああ、いい、いい!今日は俺のおごりだ!」
「僕たちのおごりじゃないんですか!後から料金請求したりしないんですか!やったー!」
「でも、女の子がたくさんいて、誰にしようか迷いますね」
「ふはは、そういう時は自分に正直になればいいんだ。よーし、俺『巨乳サキュバス双子の姉妹丼』コースで三人仲良くイっちゃうぞ〜」
「だったら僕は『ピクシー、フェアリー、インプの三連星』コース!」
「僕は『河童相撲三本勝負』!」
だとかね。もう、アホかと。
本来なら店員に説明を受け、財布と相談しながらコースを決めるべきだというのに。これだから素人は駄目だ。
『巨乳サキュバス双子の姉妹丼』コースは、確かに名前こそ惹きつけられる物があるけど、二人とも責めるの大好きだから、三人仲良くイくなんて無理。せいぜい一人に挿れて、一人に挿れられて、一人でいつもの三倍イくのが限界だ。
『ピクシー、フェアリー、インプの三連星』も、一見すると三人がかりでの奉仕ですごいことになりそうな気はするけど、実際は違う。妖精種の魔物を見たことがあるのなら分かると思うけど、彼女ら意外と小さいのよ。だから、三人がかりとは言っても前後左右から絡み合うような体験は出来ない。まあ、三連星コースの肝はピンポイントな責めだから、それはそれでいいのかもしれないけど。
そして『河童相撲三本勝負』。河童のヌルヌルの肌と絡み合いながらのレスリングを夢想しているのかも知れないけど、河童相撲はぜんぜん違うよ!尻に手を突っ込んで尻小玉を握るところまでが相撲だからね!三本終わる頃には痔かアナル大魔神だよ!
ちなみに、その日の自分のコースはお気に入りのドワーフと『おひざの上お話』コースでした。体が小さいから半分しか入らないけど、それでも一生懸命平静を保ちながらお話しようとする彼女は可愛かったです。




「コース説明がよかったですね、六点」
「最後のドワーフ回りが取ってつけたようで違和感があったがな、四点」
「お、なかなかの高評価」
「でもこれからもっといい嘘が出る可能性もありますからね」
「不安なら新しい嘘を吐いてもいいぜ。一周した後ならいくらでも可だ」
「じゃあ、次の方どうぞ」



4.子供の頃、魔物に誘拐されそうになったけど、思い返してみればあれはなんだったのだろう
子供の頃、私はエルンデルストから遠く離れた村に住んでいました。
その村では、数年に一度人が連れ去られる、いわゆる神隠しが起きていました。
連れ去られるのは殆ど子供だったのですが、時折大人も混じっていました。
そして、放したところで誰も信じてはくれないのですが、私も神隠しに遭いかけたのです。
その日、私はいつものように村の子供達と一緒に近隣の森で遊んでいました。
大人たちは神隠しに遭う、と禁じていたのですが、数年に一度の現象を恐れて子供が遊ばないはずがありません。
木々の間で追いかけあったり、かくれんぼをしたりして、その日も楽しんでいました。
そして日が少し傾き始めて小腹が空いてきた頃、森の奥から私達の前に一人の女性が現れたのです。
身体にぴったりと張り付くような、袖や裾の長い服を纏った女性でした。背中にかかるほど長い黒髪は、ウェーブのかかった髪ばかりの私の村の住人とは全く異質でした。
謎の女性の出現に、私達は反射的に動きを止め、静かに彼女に視線を向けました。
彼女はニコニコと笑ったまま近づくと、少しだけ屈んで、誰にともなく「こんにちは」と挨拶をしました。
私を含めた皆、美人から挨拶をされて悪い気はしないので、三々五々に返事をしました。
すると彼女は、「何をして遊んでたの?」とか「家はどこ?」といった他愛のない質問をしてきました。
しかし、彼女の側にいるだけで私の頭はぼんやりして言ったのです。思い返してみれば、友人達も一人残らず呆けたような表情をしていました。
そして、どれ程話をしていたでしょうか。彼女は突然立ち上がると、何の脈絡もなく「さ、ついてきなさい」と言って歩き出したのです。
不審に思うべき事態なのでしょうが、なぜか思考力の奪われた友人達は彼女の言葉に従って歩き始めました。一方私は、あんまりぼんやりしていたので、しばらく一人でその場に取り残されてから動き始めました。
しばらくの間、森の木々の間を進む女性と友人達を追ううちに、木々の向こうに妙なものが見えてきたのです。
それは、白い塔でした。窓も装飾もない、先端が尖った真っ白な塔が森の中に立っていたのです。
太さはこの教会よりも拾いぐらい。高さは、村の広場の端から端ぐらいだったでしょうか。
そうこうしているうちに、友人達と女性は塔の一角に開いた穴から中に入っていきました。
私も入れてもらおうと走ったのですが、努力の甲斐も空しく、私がたどり着くはるか手前で穴の奥から白い壁が出てきて、穴を塞いだのです。
そして、数歩も進まないうちに塔がすうっと浮かび上がり、そのまま空へ浮いていきました。
音も何もなく、一瞬幻覚でも見たような気がしましたが、塔が立っていた辺りにたどり着いても、そこには塔が踏み潰した草木しかありませんでした。
私だけ、取り残されてしまったのです。そう理解したと同時に、私の心を非常に巨大な喪失感が襲ったのです。
まるで、両親を一度に失ってしまったかのような気分でした。
私は円形の塔の跡の中心に来ると、青空を仰ぎながら泣きました。
日が沈み、また日が昇り、昨夜から交替で森の中を探し回っていた大人達に発見されても、私は泣いていました。
大人たちが私を見つけたとき、私は彼らに取り残されてしまったことを告げましたが、誰も理解してくれませんでした。
それどころか、私の体験を誰も信じませんでした。話す度に嘘だ、幻覚だ、などと言われ、最終的には「奴隷商人が幻覚魔法で子供達を眠らせ、商品を仕入れていたが、コイツは商品になりそうになかったので捨て置かれた」と言うことにされてしまったのです。
おかげで、もう私は人前でこの話をすることは無くなりましたが、今日はいい機会だったのであえて皆さんに披露することにしました。
皆さん。どうか教えて下さい。白い塔と彼女は、なんだったのでしょう。




「話が唐突過ぎる上に、脈絡もオチもありませんね、神父さん。一点」
「ええ!?これは本当の話ですよ!?私頭がおかしい扱いされるのは嫌ですけど、解決してもらいたくて、こうして披露したのに・・・」
「神父、今日は嘘を吐く日だ。本当の話を誰がしろといった。ゼロ点」
「そっちですか!」
「まあ、それが本当の話だとしても、僕らにはどうしようもないしね」
「UFOとか俺たちの管轄外だからな」
「ゆーほー?」
「ああ、別にどうでもいい話だ」
「それでは、気を取り直して次の方。気合の入った嘘をお願いしますよ」


5.サバトの魔女達におにいちゃん認定された

俺、彼女いない暦27年のロリセックス未経験、

隠れロリコンで家でセンズリこくだけの情けないフニャチン野郎だったんだけど、
この前、ファレンゲーヘの市場にサバトの魔女たちがフンドシで乗り込んで来て、見事、お兄ちゃん認定されちまった。

市場の入り口の方が何だか騒がしいな〜と思ったら、バフォ様が跨った黒くてブットい
チンポを乗せた神輿を担いだ魔女たちが、オッス連呼で屋台やテントをなぎ倒しながら、
俺の方に向かって進んでくる。素人どもがワーワー叫び、衛兵は応援を呼ぼうと走り出した。

俺の前まで来ると、バフォ様は俺の前に飛び降りて服を強引にひん剥き、素っ裸にして
「一番竿じゃーーっ!!」の掛け声とともに、大股開きで俺に飛び乗ってバキバキになってた

チンポをアソコにねじ込んだ。うおーっ!!すげえ狭くて痛てえ!!叫ぶ俺に構わずバフォ様は腰をガン振り!!

他のドシフン魔女達は、お兄ちゃん認定成功を祝う唄を歌い始めた。

女や素人どもは全員、市場の南口から退避。魔女達が発する魔力で辺りが雲って土砂降りになり、
まるで大海原の船上のように、あたりは水浸しになった。

「オラ!!オラ!!お前ロリコンなんだろ!!」強い締め付けによる激痛が徐々に快感に変わってきたころ、
市場の北口のあたりに浄罪士のコスプレをした連中が現れた。

「その人を離せ!!俺たちは『幼女との行為は和姦に限る。レイプ、逆レは絶対NO!幼女から突っ込んでくるとかマジありえないよね団』だ!残虐な逆レによるお兄ちゃん認定は実力行使でやめさせてやる!!」




「いやちょっと待て」
「なんです?」
「お前が襲われたのは、その、本当に幼い少女の外見をした魔女やバフォメットで構成されたサバトの一団だったのか?」
「ええ、勿論。褌、いえ、ドシフン一丁とはいえ、平らな胸とポッチリついた可愛い乳首は見間違えようがありません」
「そうか・・・そうなのか・・・」
「腹筋もバッチリ割れてましたし」
「オイィ!?」
「待ちたまえソクセン、腹筋割れた少女はありだと思いますよ」
「いや待て、この話少女がどうの以前の問題が」
「続きを聞きたいのは山々ですが、今日はソクセンがウルサイノデ後日にしましょう、十点」
「何採点してんだ、お前!」
「ありがとうございます。明日うかがいます」
「お前も普通に命令聞くな!」
「ああ、書記が興奮しているようなので、一時休憩にしましょう。休憩が明けたら・・・ゴンザレスからお願いします」



お話の途中ですが、五分ほど休憩に入ろうと思います。
休憩の間、どうかなぞなぞをお楽しみ下さい。
答えは五分後、スクロールしてからどうぞ。

なぞなぞ
次の文を読んで、続く問いに答えなさい。

『モヘンジョダロの朝は早い。なぜなら昼より先にやってくるからだ。
ああ、もうすぐ朝だなあ、などと思っているとあっという間に朝がやってくる。
朝は私達の側を駆け抜け、昼が来るまでにもう二回訪れる。
一日を書き表せば、「朝、朝、朝、昼、朝、朝、夕、朝、朝、夜、朝、朝」と言った調子である。
目まぐるしく朝と昼と朝と夜と朝が入れ替わり、窓の外では飛ぶような勢いで何もかもが流れ去っていった。
季節は巡り、春から朝へ、朝から夏へ、朝、秋、朝、冬と移り変わり、ついには幾度目か分からぬ朝がやってきた。
しかし、変化は訪れる。朝が遅くなり始めたのだ。朝と昼の間に二回は訪れていた朝が、いつしか一階にその数を減らし、ついには一日に一度だけになってしまった。
どうにか昼より先には来るものの、そこにはかつては一日に二十度は訪れていた朝の輝かしい姿はなかった。
まるで、杖を突き、足を引き摺りながらも、必死に走ろうとしている老婆のようだ。
やめてくれ。
私は胸中で叫んだ。しかし朝は歩みを止めず、徐々にその速度を落としていった。
朝が昼へと移り変わり、昼から夕へ、そして夜が訪れ、朝が来る。
顔を背けようとも、目を閉ざそうとも、私には朝の来る気配が肌で分かった。
同時に、徐々に力尽きつつある朝の様子も、手に取るようにわかった。
そしてついに、窓の外の景色は動きを止め、辺りは暗いままになった。
いくら待てども朝は来ず、辺りは暗いままだ。
「もしもし、終点ですよ」
頭上から降り注いだ声に顔を上げてみれば、そこには疲れた顔の車掌が立っていた。
そうか、ここは終点か。
ホームに降り立ち、時刻表と時計を見てみれば、既に終電の時間だった。
どうりで朝が来ないはずだ。
私は苦笑いを浮かべると、改札口をくぐり夜の帳の下りた街へ歩み出した。
さて、始発まで時間を潰さねば。
何をして過ごそうか?』

問題:何をして過ごせばいいのでしょう?







































こたえ
『モヘンジョダロに朝が来るのを待つ。』

答えが分かった人も、分からなかった人も、休憩できたかな?
真面目に五分間考えた人も、特に何も考えず五分間休憩した人も、問題文読んですぐにここまで飛んだ人も、適当に読み飛ばした人も、真に失礼ながら様々な意味を込めて馬鹿の二字を進呈したい。

さあ、後半戦始まるよ。





6.ロリ検査
今日は嘘を吐いてもいい日なので、誰からも信じられないような話をしようと思う。
このエルンデルストを囲む山の住人の一人、ハーピィのツバサのことだ。
皆さんご存知だと思うが、彼女は幼いながらも山の住人専門の郵便配達の仕事をしているため、村で見かける場合が多いのだ。
先日、玄関の蝶番を修理していたところ、一仕事終えた様子のツバサが舞い降り、興味深げに私の手元を横から覗き込んできた。
まあ、騒ぐわけでも邪魔するわけでもないので、とくに相手もせず作業を続けていたが、どうしても気になってしまう。
ちらりと目を向けてみれば、私の手元から視線を上げて、にっこりと微笑んでみせる。
その微笑を見た瞬間、私は「可愛いな」と思った。
同時に、私はこの子の可愛いところをもっと見ようと決心した。
蝶番の位置を定め、螺子を締めながらながら私は彼女と言葉を交わし始めた。
内容は実に他愛のないものだ。
名前は何だとか、歳はいくつかだとか。
村や山の住人とは仲がいいかとか、お父さんは優しいかとか。
そんな話をして、徐々に彼女の僅かばかりの警戒心を解いていく。
やがて、螺子を全て締めて扉の開閉を確認したところで、私はふと思い出した風を装いながら私はこう切り出した。
「ところでツバサちゃん、モロゥ検診って受けた?」
私の問いに、彼女はわかんない、と首を振った。
当たり前だ。モロゥ検診なんてものは存在しないからだ。
だが、私はその事実を悟られぬよう注意しながら彼女に説明する。
「モロゥ検診っていうのは、健康診断の一種だよ。特にハーピィとかワーウルフとか、獣人系の魔物娘の体毛に虫がついていないかを確認するんだ」
すると彼女は、「虫なんかついてないよ!」と少々気分を害したように声を上げた。
だが問題はない。
「ははは、そうだそうだ。よほど変な場所に入り込みでもしない限り、虫なんかつかないからね」
と彼女に同意した上で、私はこう続けた。
「でも、モロゥ検診を受けておけば、虫がついていないことの証明にもなるんだ。ウチでも出来るけど、受けておく?」
彼女は私の言葉に、うーんと悩む。あと、もう一、二押しだ。
「大丈夫、お金は取らないし、本当にモロゥ検診を受けるときの練習にもなるでしょ?今練習しておけば、本当にモロゥ検診を受けるときにお利口にしていられるから、お父さんが喜ぶよ」
父親を出したところで、彼女は小さく頷いた。
私は内心の悦びが外に滲まぬよう、あくまで親切な人の顔を保ったまま、彼女を修理した玄関から家の中に招き入れた。
その後のことについて記すべきことと言えば、彼女の尾羽の付け根はとても甘い香りがしていたことと、ハーピィの中は狭かったことぐらいだろうか。



「ゴンザレス、興味深い話をありがとうございます。殺す」
「おおう!?待て待て待て!」
にこやかな様子で物騒な発言をし、壇上から降りてきたズイチューにソクセンが声を上げながら組み付いた。
「落ち着け、嘘だ!あれは嘘だ!」
「嘘でも自分の娘をダシにされて冷静でいられる男がどこにいますか、ソクセン?」
「今日は嘘吐いてもいい日、って決めたのはお前だろ!」
「嘘は吐いていいといいましたが、実話を見過ごせるほど僕は心は広くありませんよ」
「いや、絶対あれ嘘だって!ほら、ゴンザレス!嘘だと言ってやれ!」
「はい嘘です」
「な?嘘だったろ?」
「ところで、今日はまだ一回しか嘘を吐いていません」
「ハハハ、殺す」
「待て待て待て!嘘吐いたのがさっきの話で、嘘です宣言が嘘じゃないってことだ!そうだろう!?」
「さーて、どうでしたかねー」
「お前命が惜しくないのか!?」
「多分彼は命を投げ捨てるものだと思っているのでしょう。さてソクセン、そろそろ手を放してくれませんか?彼が嘘だと言ったところで、証拠がなければ殺すことには変わりありませんし」
「証拠!?証拠が要るのか!?おい、誰か山まで行って、ツバサ呼んで来い!」
「駄目です。もうツバサは寝てる時間です。起こしたら可愛そうでしょう」
「だったらどうすりゃいいんだよ!」
「待ちなさい!」
制止の声と共に、バタンという大きな音を立てて、教会の両開きの扉が荒々しく開かれた。
その場にいる人物、揉み合うソクセンとズイチューさえもが動きを止め、教会の入り口へ視線を向けた。
真っ黒な夜空を背に立っていたのは、ジパングの民族衣装を纏った、整った顔立ちの女だった。ただし、彼女の衣装の裾から除くのは人の脚ではなく、巨大な蜘蛛の腹と六本の脚だった。
アラクネ亜種の、ジョロウグモだ。
「一通り話は聞かせて貰いましたわ」
「アヤ!」
未だにズイチューに組み付いた姿勢のままのソクセンが、首を捻って彼女の名を叫んだ。
「先ほどのゴンザレスさんのお話の内容に、ズイチューさんが怒っている。ズイチューさんの怒りを静めるには、彼のお話が嘘であることを証明すればよいと」
教会の床板をコツコツ鳴らしながら、彼女が並べられたベンチの間を通り、壇の下まで歩み出た。
「このような状況だと思いますが、よろしいですか?」
「ああそうだ!もし、ゴンザレスの話が嘘だと証明できるのなら、してくれ!」
ソクセンがアヤの言葉に、すがりつくような声を上げた。
「ふふ、そんなのお安い御用です」
彼女はくるりと向きを変えると、ベンチに腰を下ろした男たちを見回しながら口を開いた。
「だって、ツバサちゃんの処女は私が昨日確認しましたもの」



7.処女確認
あれは、昨日のことでしたわ。
アルベルト君が出かけていって暇でしょうがないところに、ツバサちゃんがやって来ましたの。
特に郵便があるというわけでもなく、「マティお姉ちゃんがいなくて暇」だからと言うことで遊びに来た、と言うことでした。
私はツバサちゃんを招き入れ、お茶とお菓子でもてなしました。
まあ、ツバサちゃんもまだまだ子供ですから、お茶は時折口に含むぐらいで、お菓子のほうを熱心に食べてましたけどね。
ところで皆さん、小さい子供が一生懸命何かを食べていると言うのは、なかなかいいものだと思いませんか?
人や魔物に限りません。子犬が皿に盛られた餌を一生懸命顔を突っ込んで平らげる様子や、子兎が柔らかな葉をモグモグと齧る様など、見ていて心が温まるようです。
そしてお菓子を羽に生えた爪で支えながら、一生懸命もくもくと食べている翼ちゃんの姿も、心に暖かいものが広がるようでした。
同時に、あの子の姿は私に、彼女を抱きしめ思い切り撫で撫でしてやりたい、という衝動をもたらしました。
ですが、テーブル越しではあまり抱え込めません。
椅子から立って回り込めば、ぎゅっと抱きしめられますが、それでも足りません。
床に一緒に寝そべって、足を絡ませれば満足できるかもしれませんが、それでは背中や肩が痛くなってしまいます。
ですから、いきなり抱きついて唇をふさぎ、訳が分からなくて身動きア取れなくなっている隙に、寝床まで連れて行くのは必然でしょう?
彼女は素直に、大人しく私と一緒に寝床に入ってくれました。
唇をふさぎ、舌を差し入れ、歯茎や唇の裏をなでながら、衣服を少しずつ緩めていきます。
先程までお菓子ばかり食べていたからでしょう、彼女の唇はとても甘いものでした。
ですが、それ以上に肌に触れる度にピクンと震える彼女の四肢や、小さいながらもしなやかで柔らかく温かい彼女の身体は、それはそれは甘いものでした。
そして、私が一度唇を離す頃には、彼女は潤んだ瞳で私を見つめながら、はあはあと荒く息を重ねていました。
「ツバサちゃん、いつも頑張ってるわね」
意識が朦朧としているであろう彼女に、私は着物の胸元を広げながら言いました。
「ご褒美に、今日はたくさん甘えていいわよ」
彼女の目の前に胸を晒すと、ツバサちゃんは「ママ・・・」と短く呟くなり、私の胸にむしゃぶりついてきました。
子供にお乳をやった事はありませんが、彼女の乳輪までを口に含み、唇で締め上げながら舌で擦るという刺激は、本当にお乳が出そうなほど強いものでした。
ですが、ここで快感に溺れていては、彼女のご褒美にはなりません。
私は気を強く保ちながら、ツバサちゃんを抱きかかえたまま頭を撫で、そのままうなじから背中、腰から尻の方へ掌を移していきました。
「ふふ、いい子いい子・・・」
うなじや、背中の真ん中、内腿などをさするたびに彼女の体がピクンと震え、私の胸に温かな感情をもたらします。
そして、彼女の内腿から撫で上げて、掌が両足の付け根に触れると、そこが湿り気を帯びているのに気が付きました。
心地よさの余り股間が緩み、小水を漏らしたのかと思いましたが、ツバサちゃんのそこを濡らしていたのはさらさらとした湿り気ではなく、指に絡みつくようなぬるぬるとしたぬめりでした。そう、愛液の湿り気です。
ツバサちゃん自身は何をされているのか理解していないようですが、それでも彼女の肉体は与えられる刺激に反応し、未熟ながらも『男』を受け入れる準備をしているのです。
微かに緩み、粘液を滲ませる一本の筋に指を這わせると、彼女の体がピクンと跳ねました。
その瞬間、私の中に微かながらも確かな嫉妬が生まれました。いずれ彼女が迎えるであろうパートナー、夫、旦那、配偶者、彼女の子供達の父親。それらの役割を果たすであろう男に対する嫉妬です。
このしなやかで小さく、羽のように軽い華奢な身体を、いずれは誰かが彼自身のものにする。いずれ訪れるであろうその事実が、酷く私の心をかき乱すのです。
勿論、ここで私が彼女を快楽の泥濘に沈め、私にべったり依存させることも出来ます。
しかしそれで彼女を繋ぎとめたとして、何になるのでしょう?彼女の幸いは、彼女自身が決めるべきなのです。
ですが、そう頭で理解していても、私の心の中の燻りは消えません。
そこで私は、一つの印を刻むことにしました。一度とはいえ、過去のこととはいえ、ツバサちゃんが私の与えた快楽に酔いしれた印を。
彼女の両足の付け根の筋をなぞっていた指を止めると、私は先端を亀裂の間に差し入れました。
彼女のそこは、快感と興奮にほど良く緩んでおりながらも、指に吸い付く用意吸い付いてきました。男を知らぬ身体だと言うのに、まるで男を悦ばせるような動きです。
私は内心の燻りが大きくなるのを感じながら、指を少しずつ埋めていきます。
彼女の膣口まで垂れた愛液が指に絡み、咀嚼するような動きに歓迎されながら、奥へ奥へと進んでいきます。
すると程なくして、指先が柔らかな物に触れました。
弾力がありながらも、か弱く儚げな薄い何か。そう彼女の純潔の印です。
いずれ彼女の前に現れるであろう、素敵な男性が破るはずのそれを、私は一息にぐえ



「成る程、処女は自分で奪ったから、ゴンザレスの言葉は嘘だと。ハハハ」
目を閉ざし、熱弁を振るっていたアヤの前にいつの間にか回りこんでいたズイチューは、彼女の首を締め上げながらにこやかな調子で言った。
「し、締まる・・・!締まってます・・・!」
首を掴む手を握り、蜘蛛の脚をじたばたとばたつかせながら、彼女がかすれた声で囁いた。
「おや、まだ喋る余裕がありますか。だったらこうしましょう」
控えめに見ても、人の倍以上はあろうかと言う重さのアヤの身体が、その一言と共に僅かに宙に浮いた。
床板を掻き毟っていた蜘蛛脚が空を泳ぎ、ズイチューの手に食い込む指がその力を増し、彼女の顔から血の気が引いていく。
「か・・・く・・・ぇ・・・!」
「待て待て待て!本当に締まってる!」
急展開に思わず固まっていたソクセンが我を取り戻し、ズイチューに組み付いた。
「とりあえず落ち着け、落ち着け、な!?」
「僕は落ち着いてますよソクセン、油に漬け込んだ木材が燃えるように」
「それ落ち着いてねえよ!とりあえずアヤを降ろせ!」
ズイチューの肘にソクセンが腕を回し、体重と力を掛けて腕を下ろさせる。
空を掻いていた彼女の蜘蛛脚が床板を捉え、首にかかっていた体重を分散させる。
「がはっ・・・ごほげほ!ごほ・・・!」
そしてソクセンがズイチューの指を一本ずつ解いてやったところで、アヤはその場に崩れ落ち、激しく咳き込み始めた。
「何するんですかソクセン」
「何もヤニもねえ!今のかなりヤバかっただろーが!」
首を押さえ、涙を流しながら咳き込むアヤの背中を擦りながら、彼は吼える。
「いきなり首絞めるこたねえだろ!?せめてもう少し話聞いてやれって!」
「でも、最後まで聞いたところで、首を絞めるのが首を折るだけになるだけですけど」
「・・・とりあえず、弁解だ。なあアヤ?」
大分落ち着いてきた様子のジョロウグモに、彼は問いかけた。
「さっきの確認云々は全部嘘だよな?」
「は、はい・・・嘘、です・・・ごほ・・・」
彼女はどうにか声を絞り出すと、再び咳き込んだ。
「な?嘘だろ?ほんの冗談のつもりだったんだ。だから大目に見てやれって」
「ええ、冗談です!いくら私でも、処女膜指で突き破るような真似はしませんよ!破る時はチンポで破る!それが常識です!」
顔を上げたアヤを見つめるズイチューの視線が、少し鋭くなった。



8.犬とやらせてやった
実を言うと、指を突っ込んで突き破ったと言うのは嘘です。
でも、ツバサちゃんを寝床に連れ込んだのは本当です。
更に言うと、彼女の秘唇に指を入れて、その奥の膜をつついたのは本当です。
でも、破りまではしませんでした!山の私の家と機織機にかけて!
私は彼女の膜を確認すると、そのまま指を引き抜き、また入り口をこね回す作業に戻りました。
男の人には馴染みがないかもしれませんが、子供のうちは奥のほうではなく入り口の方が敏感なのです。
ですから、こういうときに相手を蕩けさせたい場合は、入り口の辺りを責めればいいのです。
数度かき回すうちに、私にむしゃぶりつく彼女の四肢から力が抜け、徐々に身体を預けてきます。
そしてしばしの間をおいて彼女の亀裂から指を抜く頃には、もはや彼女は心身ともに蕩けきっていました。
とろんとした瞳で見上げてくる彼女の表情は、それはそれは淫蕩でありながらも可憐なものでした。そう、文字通り食べてしまいたいほどに。
ですが私はその欲求を抑えると、彼女の腰と背中に手を回し、羽のように軽い身体を抱えながら寝床から起き上がりました。
細心の注意を払っての移動でしたが、急な姿勢の変化にもツバサちゃんは変わらず表情を蕩けさせたまま私に身を任せていました。
私はそっと床の上を進むと、扉に手をかけ押し開きました。
清涼な山の風が家の中に吹き込み、知らないうちに熱を帯びていた私の肌を撫で、心地よい涼しさをもたらします。ですがすぐに、木々の向こうから感じる居もしない無数の視線に露になった乳房や背中を射抜かれ、体温が上がりました。
私は久々に肌を見せながら屋外に出る快感を楽しみながら、外の地面に進んで、唇を窄めました。
息を吐き出すのにあわせ、窄めた唇から高い音が鳴ります。
すると、しばしの間をおいてから私の家を囲む木々の間から一匹の、いえ、一頭の犬が姿を現しました。一頭の、と表現したのは、その犬が下手をすれば子牛ほどの大きさだったからです。
ですが、彼の目には微かな獰猛さや凶暴性は宿っておらず、むしろある種の知性を窺わさせる静かな光が湛えられていました。
私は彼に向けて微笑むと、おいで、と招きました。
すると彼は私達のほうに静々と歩み寄り、数歩の距離を挟んで地面に座ります。
「いい子ね」
いつものように聞き分けのよい彼に私は微笑みました。
そして、私は腕の中のツバサちゃんを抱えなおしました。向かい合って抱き合う格好から、彼女の背中を私の胸で支えるような格好へです。最後の仕上げに、私が地面に腰を下ろし、折り曲げた蜘蛛脚のうちの前二本の上に彼女の尻を乗せてあげたところで、彼女が小さく声を漏らしました。
「・・・ぁれ・・・?」
「あら、気が付いた?」
覗き込んでみれば、蕩けていたツバサちゃんの瞳に微かな理性の光が宿っていました。
動かしまわって屋外の風に当たのだから、当たり前です。
「なん・・・で・・・?」
「大丈夫よ。来なさい」
彼女が周りの状況を把握して興奮が冷めてしまう前に、私はそう彼に言いました。
すると、座り込んでいた犬が腰を上げ、広げられたツバサちゃんの両脚の間に尖った鼻先を近づけます。直後、濡れた音間断なく、そこから響き始めました。
「っ!?・・・!!」
全身を雷に打たれたかのように、彼女の全身が硬直し、その細い喉から微かな声が漏れました。
私は彼女が転げ落ちぬよう、両腕で彼女の上半身を抱きすくめると、指先で脇腹や首筋をそっと撫で上げました。
ふるふると震える彼女の四肢が、指先の動きにあわせてピクンと跳ねます。
今思い出しても、本当にいい反応でした。うふふ。
そのうち、彼女の痙攣も次第に治まり、その瞳に微かに戻っていた理性の光も会館の泥濘の底に沈んでいきました。
私は彼を止めて、翼ちゃんの両脚の付け根から鼻先を退かせると、再び秘唇へ指先を伸ばしました。先ほどは指先を締め上げた秘裂はすっかり緩んでおり、奥から溢れだす愛液のせいもあって肉そのものが溶け出しているかのようでした。
ここまで身も心も蕩けていれば大丈夫。
私は指を抜くと、彼女の太腿を押さえながら顔を上げました。
「さあ、おいで」
私の言葉に、じっと待っていた犬が歩み寄り、彼女の上に覆いかぶさってきます。彼の後ろ足の間にぶら下がっていたそれは、毛に覆われた包皮から解放され、赤黒い歪なその姿を露にしていました。
彼はそのままツバサちゃんの腰に自身の腰を近づけると、自身の肉棒で何かを探るようにカクカクと腰を揺すり始めました。
尖った彼の先端が、濡れそぼった彼女の亀裂をなでますが、挿入には至りません。
しかしそれでも懸命に腰を揺する彼の姿に、私は苦笑しながら手を伸ばしました。脈打つ赤黒い肉棒が手の中に納まり、私の導きに従って彼女の亀裂に先端が埋まります。
ここからは、彼一人で大丈夫。
私が指を緩めた直後、彼は一息に腰を突き出しました。
ツバサちゃんの快感に蕩けた肉体は、彼の肉棒をすんなりと受け入れました。
「うぁぅ・・・」
小さく声を漏らしますが、その両の瞳は快感の泥濘に沈み込んだままです。夢心地のまま、痛みもなく処女を散らす。愛し合う者同士でもなかなか出来ない体験を、彼女はしたのです。
そして、彼は根元まで肉棒をツバサちゃんの中に押し込むなり、カクカクと勢い良く腰を揺すり始めあぐぇええええええええ!?




「ははははは!ははははは!」
がま蛙を踏み潰したかのような悲鳴と共に、ズイチューの笑い声が教会の中に響いた。
「なかなか面白い嘘ですねえ、アヤさん!まさか人の娘が犬相手に処女奪われていたとか!ははははははは!」
「お、折れる・・・!折れる・・・!」
短い毛に覆われ、大きく膨れた蜘蛛腹の上に跨ったソクセンが、彼女の細い腰を両脚でがっちり抱え込み、両顎に手をかけながら仰け反っている。上半身を思い切り仰け反らせる、逆エビ反り、とも言うべき関節技ががっちり決まっていた。
顎を掴む彼の手を振り解こうとしているのだろうか、ばたばたと暴れまわり空を掻き毟る両腕が、彼女の苦痛を表現していた。
「アヤ!お前なんであんな話した!」
「も、もう少し過激な話なら・・・失神させられる・・・かなって・・・お、折れ・・・!」
「ははははははははははは」
「お・・・お・・・お・・・!」
「ズイチュー!もう止めろ!」
笑い続けるズイチューと、もはや切れ切れの音しか漏らさなくなったアヤに、ソクセンが駆け寄った。
「もうお前の勝ちだ!エルンデルストの山にそんなにでかい野犬はいない!それはアヤの嘘だ!勝負はついたんだ!」
「へえ?さっきの話嘘なんですか、アヤさん?」
「・・・・・・・・・・・・!!」
「返事がありませんねえ」
「まずは緩めろ!な!?」
逆えび反りを掛けたままの状態での問答に、ソクセンはそう突っ込んだ。
だが、ソクセンが両腕でズイチューの肩を掴み、押し戻そうとしても、彼の上体はびくともしなかった。むしろ、ソクセンの両腕を押し返しながら、少しずつ仰け反ってきているようにさえ見える。
それもそのはずだ。人間の背筋は、腕の筋肉の何倍も強い。その上、ズイチューは通常ではない精神状態にあった。
「おい!誰か手伝え!このままじゃ折れて死ぬぞ!」
白目を剥き始めたアヤに焦りを感じ、ソクセンが振り向きながら声を上げた。
だが、席に並ぶ男たちの殆どは座ったままで、勢いで立ち上がった者も気恥ずかしげな様子でゆっくりと腰を屈めていく。
「オイィ!?お前らぁ!・・・あー、もういい!ゴンザレス手伝え!」
彼は無理矢理気を取り直すと、席の一角に着く男に声を掛けた。だが。
「手伝えません、さっきの話のせいで、多分次の標的私です。出来れば逃げたいんですけどいいですか?」
「貴様ぁあああ!あー、じゃあジョンストン!お前腕っ節に自信あったよな!?」
「頭でっかちな貧弱若年寄三人組と陰で言ってごめんなさい。僕は敵いそうにありません」
「あぁ!?じゃあフートキンズ!ヨハンセン!」
「すみません、実は昨日腰を痛めまして」
「ああ、俺も雨が近づくと膝が痛くなって・・・イテテ・・・」
「きーさーまーらぁぁぁあああ!だったら神父!神父助けろ!」
「さっき私の話にゼロ点つけてくれましたよね、ソクセンさん」
「ごめんなさいぃぃぃ!だから助けろぉぉぉぉ!」
「あー、謝罪の言葉は素直に受け取りますが、ほら、私一応中央教会の所属ですから、魔物の手助けをするのはちょっと・・・」
「てめえぇぇぇ!」
ソクセンがそう叫ぶと同時に、彼の足が床板の上をずるりと滑った。
顔をとっさに前に向ければ、そこには先ほどよりずっと大きく仰け反ったズイチューと、かなりヤバい角度まで折れ曲がったアヤの姿があった。
両手の指が痙攣している辺りが、どのぐらいヤバいかを物語っている。
「誰か助けろ!アヤの話が嘘だと証言できるやつでもいい!!」
少しでも仰け反るのを押さえようと、ズイチューが踏み止まって全身に力を込めながら叫ぶ。
だが、魔物と化け物の戦いに飛び込んでいこう、いう勇者はここにはいないようだった。
「誰か、誰かいないのかぁぁぁ!?」
『いるわよ!ここに一人ね!』
微かにくぐもっていはいるものの、凛とした透明感のある高い声が、ソクセンの叫びに応えた。
教会にる男たち、ソクセンどころかズイチューさえも含めた皆の視線が、声の源に集中する。
そこにあったのは、教会の高い天井の近くに設けられた、明り取りの窓だった。
直後、丸い明り取りの窓が砕け散り、影が一つ飛び込んできた。
「はぁっ!!」
ずだん、という衝撃音と木材の軋む音と共に、誰もいない壇の上に影が降り立った。
乱入者は、衝撃を殺すために屈めていた脚をゆっくり伸ばしながら立ち上がった。
「ティ、ティリア・・・」
背中に届くほどの長さの金髪と、その間からのぞく長い耳が特徴的な乱入者の姿に、ソクセンがその名を呼ぶ。
「お前明り取りの窓ぶち破りやがって・・・後で修理費」
「今晩は皆さん。高いところから失礼します」
ソクセンの言葉を聞き流しながら、ティリアはズイチューに呼びかけた。
「ティリアさんですか・・・何の御用ですか?」
笑い声を掻き消し、逆エビ反りを僅かに緩めたズイチューが、いささか怒気を孕んだ声音で、そうティリアに問いかける。
「山の住人の取りまとめ役として、アヤ・イガシラを引き取りに来ました」
「ああ、なるほど。ご苦労さまです。いまこのアマを二つ折りにしますから、ちょっと待ってて下さい」
「ぅぐぇぇぇぇ」
再び仰け反り始めると同時に、緩んだ肺に溜まっていた空気が引き絞られて、アヤの喉から地獄の怪鳥めいた音が響く。
「待って下さい。出来れば無傷で連れ帰りたいので」
「では二つ折りにした後で、真っ直ぐにしてから返しましょう」
「そうではなくて、彼女を二つ折りにせずに返していただきたいのです」
彼女は壇上に立ったまま、言葉を続けた。
「先ほどのアヤの話は、私も聞いておりました。おかげで、彼女の話が嘘である重大な証拠に気が付くことが出来ました」
「気が付いたんならそこで玄関から入れ。後で修理代払えよな」
「彼女の話が嘘である証拠とは!」
ズイチューの言葉を無視しながら、ティリアは拳を握り固め声を張り上げた。
「犬は狼も含めて、生殖器の挿入後は腰を振りません!」
「・・・よっと・・・」
「ひぐぇぇぇ」
「ああ、話を聞いて下さい!」
再び背筋を逸らし始めたズイチューに、彼女はそう言葉を掛けた。
「そうは言いますが、ティリアさん」
仰け反るのをやめたズイチューが、アヤの顎を掴んでいた指を緩め、その細い首筋に腕を巻きつけながら問いかける。
「確かに犬同士での交尾なら、挿入後は動かないかもしれません。ですが、アヤさんの話では相手はツバサの上に、姿勢もいわゆる後背位ではなく正常位のような姿勢だったそうです。そんな条件でも、犬は腰を振らないと?」
「はい、振りません」
「・・・よほどの自信があるようですね」
「体験しましたから」
彼女の一言に、教会内部の空気が一変した。




9.犬とやりました
私の出身地は、ここエルンデルストから遠く離れたエルフの里です。
里は森の奥深くの、他から孤立した場所にあり、外界から孤立していました。
しかし、そこでの日々に閉塞感などはありませんでした。
なぜなら、里の近辺には数多くの動物達がいたからです。
彼らは言葉こそ持ちませんでしたが、感情があり、思考があり、里の住民達も彼らを里の近辺に住む者として認めていました。
いえ、むしろエルフの里さえもが動物達を含めた森の一部分であった、と言うべきでしょうか。
森と動物とエルフが、一体となって暮らしていました。
そして、私は幼い頃から里のエルフたちの中でも、飛びぬけて動物達の心を理解することに秀でていました。
おかげで、外見上は健康な動物の体の不調を見抜いたり、動物達に少しだけ複雑な頼みをお願いすることが出来たのです。
里の大人たちは、ゆくゆくは私を動物達との橋渡し役にしようと考えていたようです。私も、動物達との交流が一生の仕事になればいいと考えていました。
あの日が来るまでは。
あれは、何年前のことだったでしょうか。私は春秋の過ごしやすい季節ごとに、動物達がそわそわしだすことに気が付きました。
幼い頃は理由が分からなかった為、春が来て気分がいいのだ、などと考えていました。しかし実際のところ、彼らは発情期の訪れにより体が疼いていただけなのです。
私が真実を知ったのは、森の中でいつものように動物達の様子を見ていたときのことでした。
一匹の若い狼が、私の下によろよろと寄ってきたのです。恐らく、縄張り争いに負け、どの雌とも番になれなかったのでしょう。
『助けて下さい。苦しいのです』
発情期で疼く身体を持て余した狼が、そう私に訴えました。
何も知らぬ私は、いつもの通り病気か何かだろうと踏んで、どう苦しいのか尋ねました。
『胸が、苦しいのです。大きな穴が開いたみたいなんです』
彼は本当に苦しげに、そう応えました。
ですが当時の私は、そのような症状に該当する病気を知りませんでした。
すると狼は、困惑する私にこう言いました。
『お願いです。どうか自分の言う通りにして下さい。それだけで、自分は癒されるのです』
彼の頼みはたった一つ、握っているだけでいい、という物でした。
どこを握るのか、と困惑する私の前で、彼は体ごと横を向きました。すると彼の両脚の間に見慣れぬものがついているのに気が付いたのです。
それは、赤黒い歪な肉の棒でした。一応、オスにはそういう部分があるのは理解していましたが、普段毛の生えた皮に包まれたそこがそのように膨張しているのを見たのは初めてでした。
『握って下さい』
顔だけを私のほうに向けて、彼はそう頼みました。
嫌悪感が胸の底に一瞬沸き起こりました。ですが、彼の慈悲を請うような情けない表情を見ると、嫌悪感が薄れていきました。
本来、狼と言うのは自尊心の強い動物です。そんな彼がこうして物を頼んでいるからには、彼を苛む苦しみがどれ程かは想像に難くありません。
『お願いします』
尻尾も垂れ下げての彼の言葉に、私は決心を固めると手を伸ばしました。
赤黒くビクビクと揺れる肉棒に指が触れると、彼の全身がびくんと震えました。
一瞬手を引きそうになりましたが、どうにか堪えて指を添え、そっと握ります。掌を通して、脈打つ肉棒の熱が感じられました。
すると、次第に肉棒の脈動と熱が大きくなり、彼がハァハァと呼吸を荒くし始めたのです。同時に、私は掌の脈動が彼の心拍で、熱が彼の体温そのものであることに気が付きました。
彼の肉体の一部、それも心臓のように熱く脈打つ部分が、手の中にある。彼の興奮が文字通り手に取るように分かる。
たったそれだけだと言うのに、私は彼の全てを握り締めているような気分になります。
本気を出せば容易に私の喉笛を噛み千切れる狼と言う存在が、弱点をさらけ出していることも、私の気分の原因の一つだったのかもしれません。
「ハァハァハァハァ」
彼の呼吸が走っているときのそれと同じくらいまで加速し、肉棒の脈動も早く、大きくなっていいきます。不意に、肉棒の先端から透明な雫が、地面へ剥けて滴っていきました。
一瞬、お漏らしをしたのかと思いましたが、雫は糸を引くように滴り、おしっことは微妙に違う臭いを放っていました。
当時は私はその雫の正体を知らなかったので、滴るところを見ようと少しだけかがみました。すると、肉棒を握っていた掌がほんの少しだけ赤黒いその表面を擦りました。
その瞬間、彼の全身が強張り、尻尾がびくんと跳ね上がりました。同時に、肉棒の先端から白い液体が勢い良く迸ったのです。
肉棒が掌で大きく脈打ち、白濁が迸る。まるで、体内から肉棒が粘液を汲み上げて迸らせているようでした。
そしてその勢いは、時折見かける動物のおしっこと同じぐらい、もしくはそれ以上のようです。
私は、ただぼんやりと肉棒の脈打ちを感じながら、迸る液体に見入っていました。
迸りが止まったのは、どれ程経過してからでしょうか、見入っていたせいもあってかなりの長時間続いていたようにも私には思えました。
「ハァハァハァ・・・」
『ありがとうございました・・・』
彼は一通り息を整えると、いくらかの疲労を滲ませつつもすっきりした様子で、そう礼を言いました。
恐らく、彼は満足したのでしょう。ですが私は満足していませんでした。
この手の中に納まる、彼の全てを思うがままにしたいという欲求が、まだ満たされていませんでした。
「何を言ってるの。もう一回どうぞ?」
彼の肉棒を握り締めたまま、私はそう言いました。




「それから、私は彼がキャンキャン子犬のように泣き喚いても手を放さず、結局六発ぐらい出させました。ですが、その間中彼は一度たりとも腰を振らなかったのです。
と言うわけで、先ほどのアヤの『突っ込むなりカクカク腰を揺すった』は思い切り嘘だと証言できます」
ティリアはそう力強く宣言すると、ぐっと拳を握り固めた。
だが、観客の誰もが一言も声を発さず、互いに困ったような目で視線を交わしていた。
「ええと、うん、その・・・」
ソクセンが、雰囲気に耐えかねたかのように言葉を紡ぎだす。
「まあ、良く分かった。だが、ええとその・・・その体験談は嘘なんだよな?」
「まあ、一部嘘はありましたけど・・・」
元々はアヤを救済する為の体験談だと言うのに、嘘が含まれていては元も子もない。
だが、ソクセンは彼女の言葉にいくらかの安堵を覚えた。
「そうか、嘘だったんだな」
「はい、実は手で六回射精させたのは嘘で、二回目の後で口に含み、最後の一回で突っ込ませました」
がた ばたん
ズイチューがティリアの言葉を耳にするなり、全身を弛緩させてバランスを崩す。
だが、彼の体がアヤの蜘蛛腹から落ちる直前、彼はとっさにアヤの肩をつかみ転落を防いだ。
「その後抜かず三発に持ち込まれましたが、正確に言うと抜けませんでした。こう、根元の瘤が入り込んで、抜けなかったんですよ。
下は裂けそうなほど痛いし、どんどん注ぎ込まれておなかは苦しいしで、本当に大変でした」
「・・・・・・」
ズイチューは片手で目元を覆うと、無言のまま頭を振った。まるで、頭の中から何かを追い出そうとでもするかのように。
「でも、後々それが醍醐味になっていくんですよね。結局、近所の狼さんたちは皆味見しましたが、一番よかったのは最初の彼でした。まあ、狼の枠から外れると、一番は誰だかわからなくなります。
ですから、里から追い出されるときはそれぞれの一番を連れて行きました」
席に並ぶ男たちが、何を言っているのか分からない、といった様子で顔を見合わせる。
いや、実は分かってはいるのだ。ただ、理解したくないだけなのだ。
「まあ、とにかく狼に話を戻しますと、結局のところ交尾中の狼は腰を振りません。ですので、アヤの言ったことは嘘でたらめの為、ツバサちゃんの処女は無事です」
「は、はぁ・・・」
いくらか困惑した様子のソクセンが、アヤとズイチューの側で棒立ちしたまま応えた。
「ああ、ちなみに」
最後に、ふと思い出したように彼女が付け加える。
「動物のあれって、種類は勿論、一匹一匹味が違うんですよ。ご存知でした?それと、ツバサちゃんの唇は意外と甘かったです」
最後の一言に、頭を振り続けていたズイチューの動きが止まり、そのまま前傾しながら床に倒れこんでいった。
目元を覆う手越しに、顔面から床に激突し、重い音が教会に響いた。
「やっと、気絶しましたね」
「既に戦意は喪失していたから、やりすぎだと俺は思う」
ぴくりとも動かないズイチューを見下ろしながら、ソクセンとティリアが言葉を交わした。
「このぐらいしておかないと、大暴れしだすかもしれないでしょう?」
「多分、暴れたとしても俺はコイツに同情すると思う」
愛娘がアニマル生殖器と間接キス、などという事実を聞き、泣きながら全力で暴れるズイチューの姿を脳裏に描きながら、ソクセンは呟いた。
「まあ、安全かつ確実を狙ったと言うことで、ご容赦下さい」
彼女は壇から降りながら、言葉を続ける。
「と言うわけで、アヤを返していただきたいのですが、よろしいですか?」
「あ、あぁ、うん・・・」
ソクセンは暴れまわる仲間の姿を脳裏から追い払うと、彼女の言葉に頷いた。
「ありがとうございます」
ティリアはそう微笑むと、横たわるアヤの側に歩み寄り、未だ失神したままの彼女を背中に担ぐようにして抱えた。
「それでは、皆さん。今夜は失礼しました。どうかお元気で」
一礼の後、彼女はずるずるとアヤの身体を引き摺りながら、教会の出口から出て行った。
後には席につく男たちと、呆然と立ち尽くすソクセンと、倒れ伏したままのズイチューだけが取り残された。
「えーと・・・」
沈黙だけが支配する教会の中で、ソクセンが口を開く。
「何か、色々あったが・・・・・・今回はこれで解散だ・・・」
急遽就任した議長代理の言葉に、男たちはしばしの間をおいてからざわざわと私語を交わしながら立ち上がり、三々五々に散っていく。
やがて、男たちが一人残らず各々の家に帰っていき、後にはソクセンとズイチュー、そして神父だけが取り残された。
「ソクセンさん」
「ああ、神父。今夜はすまなかったな、滅茶苦茶にしてしまって」
「いえいえ、大丈夫ですよ」
神父はにっこりと微笑みながら、言葉を続けた。
「窓の修理さえしてもらえれば、構いません」
「ええと、窓はその、ティリアが・・・」
「別に今ここで修理しろ、だとか大聖堂も真っ青な飾り窓にしろ、と言っているわけではありませんよ?元に戻してくれるだけで結構です」
「いや、元に戻すとは言っても、こいつが・・・」
「そうですかソクセンさん、ありがとうございます。ではくれぐれもお気をつけて、また明日」
神父は有無を言わさぬ調子で、一方的に言葉を打ち切ると、笑みを湛えたままくるりと背を向けて歩き出した。
そして、教会の奥に設置された小さな扉から、裏の彼の私室へ消えていった。
後には、倒れ伏したままのズイチューと、その側で立ち尽くすソクセンが取り残された。
「・・・・・・」
ソクセンが、呆然とした様子で教会の奥の、明り取りの窓を見上げた。
窓の位置は高く、修理には非常に手間がかかるだろう。それに、ガラス代も必要だ。
ソクセンはざっと修理費を頭の中で計算し、答えをはじき出した。
そして、彼は顔を俯かせ、静かに涙した。
(なぜ、こんなことになったのか)
彼は胸中で叫ぶが、答える者はいない。
だが、いつまでも泣いていては仕方がないので、彼はとりあえず帰ることにした。
ズイチューは抱えるのも面倒なので、引き摺って帰ろう。
ソクセンの手が、ズイチューの足首を掴んだ。
10/11/22 12:01更新 / 十二屋月蝕

■作者メッセージ
と言うわけで、あらすじで十個も嘘を吐いた十二屋でした。
オチが弱い?いつものことじゃないか。ごめんなさい。
まあ、読んでいただいた方なら分かると思いますが、ボツネタをとりあえず掻き集めただけです。
プロットだけ考えたやつや、冒頭まで書いたやつ、出オチなど様々な為、話の雰囲気や長さがぜんぜん違いますね。
いつかそれぞれの完成版を出したいところです。
それでは今回はこの辺で。
十二屋でした。


ちなみに入院は嘘です。

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