連載小説
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第十六話 遺跡の番人達 前編


「で、…ここはどこなんだ?」
「僕が知るわけないじゃないですか…アレスさんについて行ったのに…。」

あの後、少し仮眠をとった俺たちはお昼頃に出発し砂漠を歩き続けた。
地図通りであれば町に着いていたはずなのだが、俺たちの前に現れたのは…。

「町にしては随分物々しいな、妙な像も立っているし。」
「いやあれ絶対『遺跡』ですって…。」

ハンスの言うとおり、どう見ても遺跡にしか見えない。
それもかなり大きい…ここらでは有名な遺跡なのだろうか?
俺は改めて地図を広げてみた。

「確か俺が向かっていた町はここのはずだろ、この辺に遺跡なんてないはずだが…どこで道を間違えたんだ?」
「アレスさん…ちょうど反対側にそれらしい遺跡の名前がありますよ、えーっと…名前は『サラーム』遺跡…って、ここがサラーム遺跡?!」
「しまった…知らないうちに反対側に行っていたのか、この遺跡はそんなに有名なのか?」
「有名も何も…あの『ファラオ』がいたと言われる遺跡ですよ…当の本人はもう亡くなっていますが…世界中から学者や財宝を狙ったトレジャーハンターが今でも後を絶ちません。」
「その割には…。」

辺りを見回してみるが人っ子一人いない。
観光名所ではないんだろうがそれなら少しぐらいは人がいてもおかしくないと思うんだが…。

「嫌に閉鎖的だな…もう全部持っていかれたんじゃないのか?」
「遺跡の中は罠で埋めつくされていて容易には入れません…それに、その遺跡を守っているのが―」
「彼女達ってわけだ?」

ハンスは無言のまま頷いて遺跡の方を見やった。

「で、これからどうするんですか?…離れるなら今のうちですが…。」
「俺達の目的を忘れたのか、彼女たちがいるなら向かうだけだ。」
「え、ちょっと…アレスさん!!」

俺はそのまま遺跡に向かおうと足を進めるとハンスが慌てた様子で止めに来た。
なんだ、忘れ物か?

「どうしたんだ?」
「どうしたじゃないですよ、いくらアレスさんが強いからって正面からは無茶ですよ…それにここにはより強い力を持った魔物がいると聞きます、ここは慎重に―」
「それもそうだな、じゃあお前は裏へ回ってくれ、俺は正面だ。」
「いやだからね…アレスさん、僕が言いたいのは―」
「それよりな、ハンス?…お前はこれからどうするんだ?」
「へ?」

また何か言おうとしていたハンスが俺の質問に目を丸くした。

「どうするって…?」
「俺は今から彼女達を妻にしに行くんだ、その間お前はどうするんだ?」
「あ、そうか…なら僕は―」
「お前も彼女達を妻にするか?」
「いやいやいや!!!僕は遠慮しておきますっ、もし見つけたら戦闘になるかもしれませんが…。」
「なんだ…嫌なのか?」
「僕はアレスさんみたいに器用じゃないし…第一僕はそういう経験は…。」
「…?」
「な、なんでもありません!!」

一瞬ハンスの顔が赤くなった気がしたが一体なんて言ったんだ?
小さくて聞こえなかったんだが…まぁいいか。

「じゃあ…出来るなら彼女達を見つけたら拘束しておいてくれないか、そのほうが手っ取り早い。」
「なんとかしてみます、でも本当に大丈夫なんですか?」
「こういうのには慣れているから心配ない、内部で合流しよう。」
「わかりました…お気を付けて。」

ハンスが行ったのを確認したあと、俺は正面の入口に向かって走っていった。


「アレスさん…本当に大丈夫かな?」










遺跡…正面入口にて。



「ふにゃ〜、今日もいい気持ち〜。」

いつもの様にあたしは古い台座の上でうんと背伸びをする。
ここがあたしの持ち場だから仕方ないけど…もうちょっとマシなとこなかったのかな?
ほんと…『アンヌ』様は何考えてるかほんとわかんないよ。
でもいっか…こんなに気持ちいいんだし。
ちょっと眠くなってきたな〜。

「お〜い、スフィアちゃ〜ん!」
「うにゃ?」

一眠りしようかと思っていた頃、マミーの『マーシャ』が遺跡の中から出てきた。

「おはよ〜スフィアちゃん、いい天気だね?」
「おはよう、と言っても…もうお昼だよマーシャ?」
「あれ、そうだっけ…いつも遺跡にいるから時間がわかんないや。」
「相変わらずね…で、あたしに何か用があったんじゃないの?」
「あ、うん、えっとね…アンヌ様が怒ってたよ?」
「…え?」

アンヌ様がお怒り?
あたし今日なんかしたっけ…?

「なんかね、部下の一人がついこの前…男と逃げたからだって?」
「あにゃにゃ…それ多分メルの事だわ。」

そういえば最近、メルに男の人紹介したんだっけ…?
まぁ、紹介っていってもここに来た侵入者に呪いかけて放置してただけなんだけどな〜?
まさか駆け落ちするとは…でもそんなんであたしに怒らなくたっていいじゃない。
腹の中で愚痴ってると、マーシャがこちらを見上げながら訪ねてきた。

「ねぇねぇ、スフィアちゃんはね、どうしていつも男の人見つけても旦那さんにしないの?」
「別に?ここに来る男があたしの好みじゃなかっただけ、いつかもっと強くてかっこいい男が来てくれるのを待ってんのよ。」
「そうなんだ、でも…最近男の人来ないね?」
「まぁ…ほとんどコテンパンにしちゃったからね、元々ここは辺境の地だし。」
「このまま…誰も来なかったりして?」
「にゃ?!そんなことないって!!それにマーシャも来なかったら困るじゃん。」
「あ、そっか…私も早く旦那さんが欲しいな〜♪」
「マーシャって…ほんとにマイペースね。」

でも…確かにここ最近はほんとに見ていない…。
そろそろ考えないとほんとにやばいかも?


「じゃあ私もそろそろ行くね?」
「え、マーシャは今日どこの担当なの?」
「今日は反対側の通路だよ?」
「ふーん…いつもはこの辺なのに珍しいね、頑張ってね?」
「はーい♪」

楽しそうによちよちとマーシャは遺跡の中へと戻っていった。

「さ〜て、今日もどうせ暇だし…お昼寝しちゃお〜っと♪」

身体を丸くしてあたしは台座の上で眠る態勢に入った。
アンヌ様に見つかると厄介だけど滅多にあの方は外には出てこないし。
ふぃ〜ねむねむ…。


サクッ…サクッ…サクッ…。

「にゃ?」

ウトウトと睡魔が襲ってきたところで向こうから砂の上を歩く独特の音が聞こえてきた。
起き上がって目を凝らしてみるとそれは人の形をしていた。

「…にゃにゃにゃにゃ〜♪」

歓喜のあまり叫び出しそうになるのを堪えながらあたしは不敵に笑った。



…。


「近くで見るとずいぶん大きいな…。」

しばらく歩いていき、遺跡の入口付近までたどり着くことができた。
遠くからでも見えていたが入口には二つの大きな像が立っており、まるで遺跡を守るように武器を手に佇んでいた。
俺はよく知らないがファラオという人物は余程恐れられていたのだろう、死んでもなおこれだけの威厳が残せるのだからな。
とはいえ俺はここに観光しにきたわけでもないし、早く用事を済ませてしまおう。

「さて…早速入ってみるか。」
「そうはいかないよっ!!」
「?!」

急に声がしたかと思うと台座の影から何かが飛び出してきた。

出てきたのは褐色の肌を際どく露出させた猫のような魔物だった。
尻尾が杖のようになっており、この地独特の個性を持っている…たまと同じくワーキャット類の亜種だろうか?
しげしげと観察していると俺の前に立ちふさがり、ビシッとこちらを指さした。

「残念だけど、お兄さんをここから先には行かせないよ?」
「誰もいないから無用心だとは思ってはいたが…やはり番人がいたか。」

気配が全くしなかったから少し驚いたが彼女達ならば問題ない。
こうやって自分から出てきてくれたほうが探す手間が省けて助かる、今回は幸先が良さそうだ。

「で、俺が無理にでも通ると言ったらどうする気だ?」
「その時はあたしの夫になってもらおっかな?」
「おぉ、珍しくここで意見が一致したな。」
「にゃ?」

身構えていた彼女が俺の言葉に首をかしげた。
今まで出会ったときは話の前に襲われるか捕まえてからとかだったがこうもすんなり行くとは思わなかった。
…逆に上手くいきすぎてて嫌な予感がするぐらいだ。
とりあえず俺は彼女に交渉してみようと思う。

「実を言うとな、俺は遺跡の財宝が目的じゃない…本当の目的はお前達だ。」
「…どういうこと?」
「つまり、俺はお前達を妻にするためにここに来たんだ。」
「にゃ、にゃんですと?!」

不意をつかれたようにあからさまのリアクションで彼女は驚いた。
口をぱくぱくとさせながら少し頬を赤くさせ、まじまじとこちらを見ている。
なんというか…少し可愛い。

「ほ、ほんと?嘘じゃない??」
「あぁ、本当だ。」
「…じゃあもう一度聞くね?『今の言葉で嘘はなかったかにゃ?』」
「…?嘘は無い。」

急に彼女は妙に不自然な…不思議な聞き方をした。
確かめるよりはまるで“試されている“ような感じの聞き方だ。
今のは一体…?
俺が考えていると彼女は何か分かったのか頷きながら呟いた。

「うん、嘘はついてないみたいだね、良かった。」
「…お前はさっき何をしたんだ?」
「秘密♪…じゃあ早速あたしの家ですることしちゃお?」
「いや、俺はまだここでやることがある…少し待ってくれないか?」
「え、なにするの?」
「あぁ〜、ちゃんと説明するから怒らないでくれよ?」
「うにゃ?」
「実はな―」



…。

……。



俺はこれまでのことを彼女に軽く話した。
流石に魔王の計画とは言わなかったがたくさんの妻がいるということ、妻を探す旅をしているということ、そして全員を愛しているということを伝えた。
俺なりには上手く伝えられた…筈。

「うにゃ〜…。」

話終えた後、彼女『スフィア』はジト目になりながら少し不機嫌そうに唸った。
やはり軽率だったか、ユキノの時みたいにならなければいいが…。

「やはり…嫌か?」
「それはあたしもちょっときついよ、だって…。」
「すまない、だが俺は皆を―」
「だって大好きなこの砂漠に戻れなくなる上にアンヌ様と一緒だなんて流石にきついって?!」
「…え?」

思いがけないことにスフィアは俺が考えていたこととは全く違ったことを言い出した。
俺はてっきり彼女は他の妻達がいることを嫌がっているかと思っていたのだが…どうやらよほどそのアンヌという上司が嫌らしい。
どんな魔物なんだろうか?
いやそもそもどうしてアンヌという魔物が俺の妻になるという前提なんだ?

「いやちょっと待て…前者の方は分かるが後者はまだ決まってない。」
「あにゃ?アレスは魔物を嫁にするために来たんでしょ?」
「まぁ…そうだが。」
「だったらアンヌ様も絶対嫁にするはず…ここいらでは珍しい『アヌビス』だからね?」
「『アヌビス』?」

それがアンヌの種族のようだな。
名前だけなら聞いたことはあるが実際どういう魔物かは良く知らない。
スフィアも『スフィンクス』という種族らしいが初めて見る魔物だ。
この辺の魔物は詳しくないからやりにくいな…。

「でも俺はそんな理由で決めたくはない…あくまで自分の意思で決めるんだ。」
「だいたいアレスを見てたらわかる、絶対嫁にするとか言い出すよ。」

スフィアは益々ジト目になって俺を睨んだ。
お前とはさっき会ったばかりなのにどうしてこんなに断言されているんだ?
…俺までそんな気がしてきたじゃないか。

「…じゃあ仮にそうだとして、なんとか妥協してもらえないか?」
「ふ〜ん、そうだね…。」

スフィアは何かを考えるように目を瞑って頭を捻ったとき、急に何かを閃いたように立ち上がった。

「そうだっ、良いこと思いついた!!」
「…?」
「アレス、ここであたしと勝負するんだ!!」
「な、なんだと?!」

急に何を言い出すかと思ったら勝負だと…?
たまかと思って話しかけたらリザかレイだったみたいな感じだ。

「勝負…?」
「そ、あたしが勝ったら今までのことはすんなり忘れて…あたしだけを愛してね?」
「それはいくらなんでも…。」
「あたしもアレスのこと好きになっちゃったんだから仕方ないよ、それにここで静かに暮らす方がアレスも楽だと思うよ?」
「まったく…まぁ、勝てばいい話か。」

やれやれ…やっぱりこうなるのか。
俺は徐に荷物を置いて拳を構えた。

「じゃあ俺が勝ったら言うことを聞いてくれるんだな?」
「はにゃ?!そ、そうだけど待って!!それ何するつもりなの?!」
「なにって…勝負じゃないのか?」

俺が構えをとっていると何故かスフィアは慌てたように違うというジェスチャーをした。
これ以外に勝負ってあるのか?

「あたしはそっちの方は弱いし嫌いなの、だから違う形で勝負しよ?」
「違う形…?」
「そ、とっても簡単だよ?…あたしが今から出す問題を三つ、アレスが全問正解すればいいだけ。」
「問題?…そんなので勝負か?」
「あたしはこれでずっとやってきたの、それに安心して?…この勝負は”貴方にしか分からない問題”しか出さないから。」
「俺にしかわからない?…どういう意味だ?」
「やればわかるよ、そのかわり…一回でも間違えるとアウトだよ?」
「ふむ…まぁ、良いだろう。」
「にゃ〜、じゃあ準備するね〜♪」


そう言うとスフィアは手から丸い球体を生み出し、その球体は上へと昇り二人の丁度真ん中へと浮かんだ。
球体は黒く渦巻いており、どうみても簡単な勝負に使うようなものには見えなかった。
俺は恐る恐る聞いてみる。

「…あれは一体何だ?」
「何って…勝負の公平を守るための審判みたいなもんだよ、あれが緑に光れば正解…赤に光れば不正解だからその時点でアレスの負けだよ?」
「…赤になったらどうなるんだ?」
「それは…なってみてからのお楽しみだよ〜?」

スフィアは楽しみで堪らないと言ったような黒い笑みを浮かべた。
その表情にすこし不安を覚えつつも俺は勝負に挑もうと思う。
…念のため薬を飲んだほうがいいかもしれないな。

(ふふふ、これだからあたしたちスフィンクスは男に困らないにゃ…私には何人もの男を骨抜きにしてきた必勝法があるんだから…これで待ちに待った上玉をゲットっ!!)

「さて…そろそろ始めるよ〜!!」
「よし…来い。」

そうして俺とスフィアは黒い球体の下で向き合った。
なぜか…実戦の様な緊張感が生まれた。



(ここからは少し特殊な視点でお楽しみください。)


…。



「では第一問。」

「…。」



『アレスは今、何の旅をしているにゃ?』」



「何の旅している…?」

「あ、そうそう…30秒の時間制限付きだから気を付けてね〜?」

「な?!、どうしてもっと早く―」

「ほらほら急いで〜、後20秒♪」

「くっ…。」

(俺は今…何の旅をしているだと?)


考えられることは―



―――――――――――――

 修行の旅
 仲間を探す旅
 彼女達を妻にする旅
 
―――――――――――――




(これしかないな…。)






―――――――――――――

 修行の旅
 仲間を探す旅
→彼女達を妻にする旅
 
―――――――――――――


『俺は彼女達を妻にするために旅をしている。』



「にゃ…彼女たちというのは魔物のことだよね?」

「あぁそうだ、俺は彼女達を妻にするべく旅をしている。」

「さて…結果はっ、と?」



…ブゥゥーン。



(上を見上げると黒い渦巻きがやがて緑へと変色していった。)



「にゃ、正解だね…ま、これぐらいは当然かな?」

「で、まだ言ってないルールとかはもうないんだろうな?」

「多分大丈夫、さぁ…続きを始めるよ?」

「よし…。」

(落ち着いて答えれば問題ない…冷静に。)


「では第二問。」

「…。」






『アレスはその旅を誰のためにしてるにゃ?』




「誰の為だって…?」

「さぁ、答えて?」

残り22秒…。


…。



一体、俺は誰のために旅をしている?


―――――――――――――

 自分の為に
 ヴェンの為に
 彼女たちの為に

―――――――――――――


残り8秒…。



(いや待て…こいつは引っ掛けだ、騙されるな…俺が旅をしているのは―)



―――――――――――――

→自分の為に
 ヴェンの為に
 彼女たちの為に

―――――――――――――




『俺は自分の為に旅をしている。』


「にゃ、それでいいの?」

「あぁ、これで間違いない。」

「なるほど…では結果は?」


…ブゥゥーン。


(上を見上げるとまたもや黒い渦巻きがやがて緑へと変色していった。)


「正解…なかなかやるね?」

「俺もここまで来たからには自分に自信は持ってるつもりだ、でなければここまで来れないしな。」

「それにしてもよくあたしの引っ掛けに掛からなかったね?…大概はあそこでアウトだよ?」

「そうだな…『旅をしている理由』なら彼女達の為にしていると答えただろう、だが『誰のため』となると話は違ってくる。」

「確かに俺は彼女達の為に旅をしているしヴェ―…友人の頼みから始まったものだ、だが元を辿ればこれは俺が望んで旅をしていることだ、欲はないが彼女達の為に戦うことは俺自身の為でもある…つまりこれは俺自身の為の旅だ。」

「面白くなってきたね…あたしの問題でここまでたどり着けたのはアレスを含めて三人ぐらいだよ。」

「…予想はつくが後の二人はどうなったんだ?」

「さぁ?…今頃私の同僚とハネムーンでも行ってるんじゃないかな?」

「聞くんじゃなかった…じゃあ俺は初の全問正解の一人目となるのか。」

「ふふふ、そんな余裕も今のうちにゃ♪」

(残念だけど…アレスは次の問題は絶対に答えられない、何故ならこんなの分かるのは神様ぐらいしか居ないからだにゃ…卑怯と言われようが、相手を間違えたのが運のつきにゃ!!)




「では最後の問題!!」

「…。」




『ならアレスは何の為に生きてるにゃ?』


「な…?!」

「さぁ、答えるにゃ!!!」

(ふふふ、さぁ…悩め悩め!!悩んだところで負けは決まっているにゃ…!!)


「何の為…つまり、俺が生きている理由か…?」

「そう捉えても構わないよ、最終問題だからこれぐらいは当然のハンデにゃ。」

(無駄無駄…そうやって皆適当なこと言って呪いの餌食になったにゃ、無駄な抵抗はやめるにゃ〜♪)

「俺の…生きている意味?」

「後10秒〜♪」

(考えられるとしたら…。)

…。


俺が生きている本当の意味は…?






―――――――――――――

 彼女達を救う為
 人類と彼女達を共存させる為
 あの勇者を倒す為
 妻達と出会う為
 世界を救う為
 

―――――――――――――





…本当にそうなのか?
これからずっと生きていく上で、それが俺の生きた意味と言えるのか?
だとしたら…。
“俺“なら…こう答える。






―――――――――――――


 彼女達を救う為
 人類と彼女達を共存させる為
 あの勇者を倒す為
 妻達と出会う為
 世界を救う為
→(…分からない。)

―――――――――――――


『まだ…俺には分からない。』


「にゃ?にゃんですと…?」

「その答えは…まだ分からない。」

「それは…ギブアップと捉えて良いの?」

「俺がまだ生きる以上その答えは変わっていく、今の俺が断定することはできない…だから“分からない“。」

「わ、分からないなんて答えじゃないにゃ!!…じゃあ結果を―」

「だが…。」

「にゃ?」



(そんなことわかる奴なんて居ないだろう…でも―)



「もしも、今決めろと言うなら―」





『俺は彼女達の為に生き、死にたい。』





「?!」

そして上にあった黒い球体は…。



ブゥゥーン!!


…緑に変色した。


「う、嘘?!」




…。




最後の問題に答えると黒い球体は緑にへと変色した。
少し危なかったが…どうやらこの勝負は俺の勝ちらしい。



「にゃにゃにゃにゃっ!!!!やばい、やばすぎるっ!!!」
「な、なんだ?」

俺が安堵しているとスフィアは慌てたように叫んだ。
そんなに俺に負けたのが悔しかったのだろうか?
いや、それよりも焦っているような…特に残った上の球体を気にしているようだ。

(まま、まずいにゃっ…正解されたから呪いがこっちにかえってくるにゃ!!…おまけに誰も答えられない様に問題も三つにしたから威力も三倍に―!!)

しばらくすると球体に変化が現れた。
渦巻く力が活発になり、ゆっくりと下へ落ちていく。

「い、いやにゃっ!!?」

俺に背中を向け、獣のような格好で逃げるスフィア。
だが逃げ出した彼女をまるで生物のように球体はスフィアを追いかけていく。
その速さは目で追うのがやっとの位で、球体には尾がつくほどだった。
やがてスフィアは球体に追いつかれ、彼女の身体に触れた途端に弾けた。

「にゃぁぁぁぁっ!!!」

スフィアは電気が流れたかのように身体を硬直させたあと、パサリと倒れた。
それを俺は急展開すぎて、ただ黙って見ているしかなかった。

「な、何が起こっているんだ?」

あまりに一瞬でいろんなことが起きすぎて頭がついて行けてない。
とりあえず分かることは…あの球体は相手が正解すると自分の所へ帰ってくるような魔法なんだろう。
ということは間違えていれば俺のところに来たというわけか…本当に助かった。
後は…どういう効果があるかだな。

「お〜い、大丈夫か?」

動かなくなったスフィアの近くに行くと彼女は動かないものの息はしているようだ。
だが心無しか呼吸が荒い、なぜか落ち着きも無いように見える。
まさか…身体を蝕む毒とかじゃ…?!

「おい、しっかりしろっ!?」

俺が彼女を抱き起こそう背中に手を掛けた時、それは起きた。

「え―?」

シュバッ!!!

目にも止まらぬ速さでスフィアは俺を押し倒し馬乗りになった。
驚いて彼女と目があったとき…その魔法の効果を知ることとなる。

「お前…?!」
「ハァ…ハァ…!!!!」

スフィアの目は血走っていて俺の顔を見て舌なめずりを繰り返している。
時折首元まで顔を近づけくんくんと臭いを嗅いだと思えば舌でなぞらせたりしてきた。
意識させるように柔らかい胸を押しつけ、濡れた秘部をズボンの上から擦りつける。

「もう我慢できないにゃ…身体が疼くにゃ…アソコが熱いにゃ…アレスが欲しくてたまらないにゃ…お口もおっぱいもアソコも全部犯して欲しいにゃ…アレスのお○ンポであたしのオ○ンコ、ズポズポして欲しいにゃ〜!!!」

そう言うとスフィアは胸に着ている薄い衣服を捲り上げ、綺麗な褐色の乳房を曝け出した。
彼女は俺の顔に胸を押し付けながら器用にズボンを下ろし、肉棒をシゴいて秘部へと擦りつける。
彼女のふさふさの毛と柔らかい肉球がとても心地よく、俺の肉棒は情けなくもすぐに大きくなった。

「ふにゃ〜、硬くて大きいにゃ…早く挿れて〜!!」
「ぶわっ…お前いきなり、むぐっ?!」

俺の口をスフィアの柔らかい唇が塞ぎ、そこから舌を絡めさせていく。
肉棒は徐々に彼女のいやらしい愛液でヌメリが増し、それを待っていたと言わんばかりに
下の布をずらして秘部に当てかけた。
柔らかい感触が肉棒から伝わり、これから起こることに興奮を覚えた。

「はにゃ…挿るよ…挿っちゃうよ…アレスのがあたしの中に挿っちゃうよっ!!!」

そのままスフィアは腰を下ろしていき、肉棒は彼女の柔らかい膣壁で包まれた。
挿入した瞬間に彼女は絶頂を迎える。

「ふにゃっ?!!…ひもちい…ひもちいの〜…。」
(このままじゃ俺が気絶するまで犯されかねない…だったら―)

俺は勢い良く腰を浮き上がらせ、彼女の中を肉棒で突いた。

「ふぎゃっ?!…待って、待って待ってっ!!!んっ…イッたばっかりで…気持ちよすぎて、おかしくなっちゃうにゃ〜?!!」

彼女の制止も聞かずに俺は彼女の中を掻き回すように腰を振り続けた。
突くたびに俺の上でスフィアは魚のように飛び跳ねる。
それに追い打ちをかけるようにして胸を強く揉みくだし、乳房に吸い付いた。
彼女の顔は快楽に歪み、後ろの尻尾はブンブンと振られていた。

「ダメにゃっ…またイクっ…イッちゃうよっ…イク…イクッ!!!!」
「…うっ!!」

最後の一突きで俺は勢い良く彼女の中に射精した。
彼女の子宮の中へどくどくと注ぎ込まれていくのがわかる。

「はにゃっ〜?!!!!!」

スフィアは快楽の叫びを上げたと同時に、俺の方へと突っ伏した。
目は上を向いており、ビクビクと身体を痙攣させる。

「はぁ…はぁ…なんとかなったな…。」


俺は息を整えながらヴェンに連絡した…。




12/06/25 23:51更新 / ひげ親父
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■作者メッセージ

はい、長らくお待たせいたしました…ひげ親父です。

色々とハプニングが起きる中、やっと投稿できました。
例えば家に黒いワーキャットが居候で来たり、ワーウルフのお守りをしたり、玄関先でラミアが待ち伏せていたり…仕事だったり。

いろいろあってなんとか書けました!!

次は本編は少し置いといて…お待ちかねのあの作品です!!

マオウ「フハハ、待ち焦がれましたぞ破壊神様!!この機に世界を一気にセイフク―」

※完成率…10%

マオウ「orz」

出来るまでもう少しお待ちください。


追伸…ここの人たちは本当にいい人ばかりだと思います、魔物娘が好きな人に悪い人はいないと信じております。

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