連載小説
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デート in 遊園地
「茜華さん!お出かけですよ!」

「テンション高いなぁ。まぁ、雨の日にあれだけだだを捏ねてたから仕方ないか。」

まさに霹靂があり得ないような晴天。二人は前回計画していた日が雨で終わっていた遊園地に来ている。

「乗り物乗りましょう!」

「そうだな。なんかグルグル回るやつとか、落ちるやつとか色々あるし。」

茜華としてはどうも遊園地というのが得意ではなかった。
完全に感覚で楽しむものであり、実際その感覚が分からなかったからだ。

「ジェットコースターは三回です!」

「ん?ジェットコースター?」

それでも横の小さな男が嬉しそうなのを見ると同じ気持ちになり、同時に意地の悪い事を思いつきニヤリと笑ってしまう。

「泰華、非常に残念なお知らせだ…。こんな話を知ってるか?」

「話?」

先行してた恋人を呼び止めヘルハウンドはこんなことを話す。

「昔はな、ジェットコースターというのはタイヤとの摩擦でストップをかけてたり、安全バーも緩くて危険だったんだ。ぞっとするだろ?一番高いところから落ちたなんて事になったら。」

「一番、高い…」

遠くから見えていたくねっている線はもう近くまで来ている。
一番高いところに目をやり言われたことを想像すると途端に青くなる泰華。

「こ、怖いですね。」

成人しているため決して小動物とまでは行かないが、やはり弱そうな泰華が震えているのを見ると庇護よくが沸く茜華である。だが、今は嗜虐心が勝っていた。

「でも事故率は低かった。まぁ、高かったら禁止されているはずだしな。なぜだろうか?」

「な、何でですか?」

遠まわしに安全だといわれると共に、では冒頭の残念なお知らせとはなんだろうと真剣に考える。
もちろん、真面目な話ではないのだが。

「制限を掛けてたからな…。身長に。」

???

分かる話だ。身長に制限を掛けて事故率は高くなかった。結構なことではないか。
では残念な話とは…。

残念…。

「僕は大丈夫ですよ!!もう大人ですから!!」

茜華の見る、まさに自分の体を見た途端恋人の言わんとしてることが理解でき抗議の声を上げる。
決して低すぎるわけではないのだが平均には届いていない泰華の身長を単に弄るためにこんなにも回りくどい言い方をしたのだ。

「いやな、制限にかかるかどうかは測らないと駄目だからな…。ククッ。」

もう喉から笑いが漏れている。
相手の考えが分かるまでは真剣に悩み、それを理解したときの怒り方。
全くを以て一々仕草や表情に出ている恋人を見ると遊園地も楽しめそうだ。

「茜華さんなんてもう知りません!!」

プンプンと怒ってないかのように見える態度で入り口のゲートへと向かう。
それでも窓口では大人二人分と言っているのを見て愉快な気分になる茜華であった。


ーーーーー☆ーーーーー


「とりあえず、コーヒーカップです!」

「泰華ぁ。あたしを置いてかないでくれ。」

スタスタと足早で人の入れる大きさのマグカップが円状に並んでいる乗り物へと向かう。
一方少しだるそうに向かう茜華はなぜ好き好んでてティーカップに入りグルグル回されるのか理解できなかった。

一分弱の稼働を終え乗っていた人々が退場していくと、二人を含め順番を待っていた人々が係員に誘導され乗り込んでいく。
もちろん、泰華と茜華は対象的な反応をしており片方は既にカップの中央から伸びているハンドルを握りよーし回すぞと意気込んでいた。もう片方は言うまでもないが縁に手を掛けてどうしでもしてくれ状態だ。
ピーという開始の合図で動きだす。

「茜華さんギブアップなら言ってくださいね!」

「ほどほどにな。」

別に酔いやすい体質でもない、単に今から人間の限界を超えない程度で回るということが分かっている以上ワクワクもなかった。

「うぉー!」

はしゃぎ方が以上な小さい成人男性は叫びながら自身のカップを懸命に回している。

だが力が足りてないのかさして勢いがつかない。

「茜華さん!交代です!」

「早くないか?」

と言いつつも回さねば面白くならないと分かっているためハンドルに手をかけ軽く回す。

注意しておこう。

茜華はヘルハウンドなのだ。
重要なのはその事実ではなく、かなりの身体能力を備えた種族であり急にカップの勢いが三割増しになったことであろう。

「わぁぁぁ!茜華さん凄いです!!」

「そ、そうか?」

風切り音で声も届きにくくなっているが言われたとおりさらに15パーセント増しで力を込めるとさらに加速する。

「あははははは!!」

端から見れば壊れたように笑っている泰華だが茜華には心から楽しんでいるのが分かった。
ならば、この笑顔を守るしかまいて。

「…よしっ、おらおらぁ!」

両手でグルグルと回しはじめ、当然茜華は乗り物耐久を考えているが、勢いはさらに上昇していく。

「やぁぁぁぁぁ!!」

比喩はいるのだろうか、まるで子供のように声を上げ泰華は楽しんでいる。
だが、永久に回り続けるわけではない。

ピーという音と共にスピードも機械的に落ち停止した。

「あははっ!!楽しかったです!」

「そうかい?なら、良かった♪」

いつも見る笑顔よりもさらに若さあるものに茜華もなんだか嬉しくなってくる。
係員の誘導で退出する二人。

「茜華さん!次何乗りますか!?」 

「泰華に任せるよ。」

パンフレットに目を落としつつまた早歩きで進む泰華だが、無邪気な笑顔に釣られあとを追うのであった。

ーーーーー☆ーーーーー

「ゴーカートで勝負です!いつぞやの神経衰弱の雪辱をはらして見せます!」

「なら、今回も罰ゲームかアリか?」

前回、遊園地の予定日に雨が降りその時に罰ゲームありで神経衰弱をしてとんでもない目に遭わされていた泰華。

「…僕が負けたら茜華の好きなアトラクションに付き合います。僕が勝ったら考えます!」

辱めを受けた復讐なら当然の事かと思って聞くとなんとも情けない答えが返ってくる。
茜華は正直負けないので何でも良いと考えていたが、カードは多く所持していたい派なのだ。

「遊園地にあるところならどこでも言いよな?」

「もちろんです!茜華さんもやっと乗り気になってきましたね。」

やはり、何とはなしに乗り気でなかったことを見抜かれており泰華にイヤな思いをさせまいと気を引き締める。

ゴーカートは人間用・人型で大きめの魔物娘用・多形態用とあり泰華は人間用、茜華は大きめの魔物娘用にそれぞれ乗り込む。
一回で走る車は四台で泰華ともう一人は人間、茜華と後一人はキャンサーで魔物娘だ。

「負けません…。」

ゴー合図で一斉に走り出した。

のだが、何というか茜華の圧勝であった。
そもそもトラックの内側を走るという概念がなかった泰華には敗因すら不明確で単純に惜しい、悔しいの世界だ。

「泰華よ、三周するのに一番早い所を指でなぞってみな。」

「…?は、はい。」

ゴーカートの入り口に書いてあるコースにやや背伸びをしつつ腕を伸ばすが、はたと理解する。

「あっ…。内側の方が強いんですね。」

シュンとする泰華になんだか気まずさを覚えるが、約束は約束だ。

そして助け船を出すが泰華が絶対に乗らないことも知っている。

「仕方ない、罰ゲームは無しにするか?」

「い、いえ!僕も男です!」

「そうかぁ?泰華が言うなら…仕方ないかぁ。」

唐突に、またニヤニヤとした意地の悪い笑顔を泰華に向けると、先方は食べるのに夢中なハムスターの如き顔で小首を傾げる。

「んじゃ、行くか♪」

もちろん、泰華は園内の場所で自分が困るような所はないと自信があったための断りだがそこにも落ち度があったことは言うまでもない。

ーーーーー☆ーーーーー

「泰華、歩きづらいから離れような。」

「前が見れないので嫌です!」

おかしな日本語。
よく見る、恥ずかしがり屋の子供が人見知りをして母親に抱きついている光景だ。小さな男はヘルハウンドにほぼ正面から抱きついている。

プルプルと震えているのは歩き難さによる疲れか、それとも寒いが故のシバリングか。
どちらでもないことは茜華も分かっている。

「これじゃ、意味ないだろう。」

その遊園地の名物で一周30分と長めに設定されたお化け屋敷。
まさに罰ゲームであった。

「茜華さん酷いですよぉぉ」

スプラッタの海外系ホラーも得体の知れない邦画ホラーも、もちろんホラーゲームもダメな泰華。
茜華は時折デートでこの要素を含め楽しんでいるのだ。

「あっ、ロッカーがあるぞ」

ちなみに、廃校ルートと廃病院ルートと最後に墓地が少しという内容で、要は悪戯に霊を刺激して怖い目を見せられているという設定である。

ちなみに、今は廃校ルートだ。

「何も出ませんように、何も出ませんように…」

出るに決まっている所でブツブツと懸命にお祈りしている情けない男。
しかし、願いは届かずロッカーから血糊をつけた落武者がうなり声を上げながら登場した。

「ばぁおぁぁぁぁぁ!!」

「やだぁぁぁぁぁぁ!!!」

茜華はのんびりと歩いているためキャスト、つまり落武者の目の前を通るまでに1、2秒のブランクが出てくる。

「泰華、心配そうに見られるぞ。」

「うぅ〜…」

「ご、ごめんね、僕…」

「やだぁぁぁぁぁぁ!」

脅かしすぎたと心配してきた落武者だがもう驚くだけの機械になっている泰華には通用しない。
こいつ、成人だから。
なんて説明をするまえに通り過ぎるが茜華は愉快の一言だ。

「こんなに震えて可哀想に。」

ギュッとしてやると、もっともっとと言うように抱擁が返ってくる。

「泰華、甘えん坊で良いのか?」

少し煽ってみるが全く効いていない。

「茜華さん、大好きです。だからもっと抱っこして下さい!」

「ダメだこりゃ。」

弱いものにはとことん弱い。
茜華は見栄を張って失敗、取り繕うような輩を好かないためこれで良いのだ。

「あっ、首のない幽霊だ。」

「来ないで下さい!」

デュラハンが前から走って通り過ぎていった。


「おっと、足音が。」

「進みましょう!!」

自分たちのなんだがな。

「なんか、腰疲れてきたな。」

「帰りたいよぉぉ!」

「もう雰囲気だけで怖がってるじゃないか。」

廃校ルートを抜け廃病院ルートへの入り口。
既にここまでで何回も驚かされ泣きべそをかいている泰華が切なくなるくらい愛しくてもう一周いたいなんて思っていたヘルハウンド。

すると学校側からゴーストが飛んできて泰華の後ろへ。

といっても茜華と抱き合うようにして後ろ歩きで進んでいるためヘルハウンドには丸見えだ。アイコンタクトで今から仕掛けますとゴースト。
当然茜華も承諾する。

ふぅ、と首筋に息をかけると泰華は悶えた。

「せ、茜華さん、こんなところでダメですよ。」

薄暗いために恋人が誘ってきたのかと思いたわわな胸から顔を上げると茜華はわざと目を丸くして泰華の後ろを見つめる。

そんな恋人を見たことはなく、泰華は恐る恐る後ろを向くと。
一瞬何もない。が、死角斜め上からゴーストが視界に飛び込んできた。

「ばぁ!」

「…」

びくりと体が跳ねると力が抜けたように崩れる。
茜華は慌てて支えるが。

「マジか。」

気絶してしまっていた泰華であった。


ーーーーー☆ーーーーー


「夢に見たらどうしてくれるんですかーー!」

賢明に怒っているが本気ではない。
単に羞恥、恥ずかしいが為に吹き飛ばすように大きな声で抗議していた。

「ゴーカートで泰華が仕掛けてきたんだが。」

「それを言われたら何もいえません!!」

逆ギレ?
いや、キレてはいないのだが。

あの後いつぞやのようにおぶって最後まで歩ききった茜華。
泰華が一々驚いてて下腹のあたりが疼くのを我慢するので精一杯だったので救われたと言っても良いかも知れない。

「ごめんな泰華。でもあたしには凄く楽しかったんだ。」

泰華が怖がってるの。

「そうなんですか…?」

「泰華もあたしがホラー好きなのは知ってるだろう?」

泰華が怖がるから。

「確かに…」

「ごめんな、突きあわせて。」

あたしは怖くないんだが。

「…だ、大丈夫です!」

チョロすぎるところがまた何ともいえず、これを繰り返してしまう茜華。
泰華がかわいそうに思えるところも当然あるためいい加減に止めたいのだが本能的にやめられない。

「ごめんな泰華。」

「茜華のためなら僕頑張りますから!」

ダブルミーニングの謝罪にも気付かず受け入れてしまう恋人をついつい抱きしめる。
ある意味で冷え切っていた泰華にはありがたい。

気持ちを切り替えたのか、泰華が提案してきた。

「僕、ミラーハウス入りたいんです!」

「ミラーハウスってのは、あれか?」

愉快な『みらーはうす』のフォントを背負った看板が大きく掲げられている。

「んじゃ、入ってみるか♪」

「はいっ!」

ーーーーー☆ーーーーー


「これ、面白いのか?」

茜華はただただ不思議だった。

「えっ?凄いと思いませんか?」

「ま、まぁ。」

鏡合わせで出来ている通路は一見すると本当の道がどこに続いているのか分からなくなっている。

逆に言えばそれだけなのだ。

「茜華さん…楽しくないですか?」

少し残念そうに問いかけてくる小さな男にはっきりと本音は言えなかった。

「そ、そんなこと無いさ。泰華がいっぱいいるんだからな!」

自分でも何を言っているのかよくわかってないがとりあえず目の前の恋人は嬉しそうなので良しとした。

「それにしても、僕小さいですね…」

これだけの姿見で自身を眺めればイヤでも考えてしまうこと。
コンプレックスについて。

「そんなこと無いけどなぁ。」

今に始まったことではないがとりあえずフォローを入れた。
物事には収まりの良いポイントがあると茜華は考えており、大きい泰華なんて泰華じゃない、とまで考えていた。
本心を素直に述べたため少し恥ずかしい。
しかし、本人には届いておらず。

「良いんです、良いんです。別に170欲しいとかもう思ってないんです。」

茜華は大きめの男性程度を有し、それ故に出会ったときからずっと身長のことを言ってる泰華にはちょっとやそっとの言葉は通じなかった。

愛している茜華の言葉でも、だ。

「ち、ちなみに言うと今何センチなんだ?」

最上位のシークレットな話題として残しておいたためこんな時でもないと聞けないのだ。
下手を打てば泰華は泣き目ですまなくなるのだから。

「だ、誰にも言いませんか?」

「お、おう。」

既に少し泣きそうだが耳打ちをするポーズを取るので茜華は屈んだ。

「〜.5センチです」

…そっか。
茜色の空を見ながら自分のちっぽけさを自覚してしまうことは無いだろうか。

今、茜華の聞いた値はそのくらいであった。

「お、思ったよりあったぞ。」

「本当ですか?」

上目遣いでこの上なく甘えてきている泰華にどうしようもなくウソをついてしまった。しかし、それは茜華ですら隠しきれない。

「茜華さん、ウソはいけません。」

「今のは方便だろう!」

先程まで動揺の権化だった泰華に冷静に突っ込まれ、それに突っ込み返し少し笑いが起きる。

泰華自身も茜華に会ってからはそれほど気にならなくなっていた自身の身長。
以前の悩み用を考えると茜華という存在は泰華の中で本当に大きいのだ。

「進むか♪」

「そうですね。」

和やかなままミラーハウスを後にした。
大きな音もビカビカな光もないアトラクションを抜け外にでれば天候に変化があった。

「雨です!」

「あそこにいこう!」

ポツポツと降ってきた雨に慌てて屋根のあるところへと移動する。
平日であり、そもそもそこまで規模の大きくない遊園地
中央の広場にあるフードコートにはそこそこの人しかおらず雨宿りとして窮屈感はない。

「今日は一日晴れって言ってたのに…」

泰華はもちろん悲しそうだ。
せっかくのデート中の雨なのだから。

「泰華♪」

「はい?」

後ろから寄り添いながら茜華は優しく囁く。

「観覧車乗らないか?」

「で、でも雨ですよ?」

「良いじゃんか、雨の日に観覧車乗ろうなんて考える奴あんまりいないと思うぞ?カップルで、わざわざ、雨の日にな。」

泰華は純粋だ。
自分たち、恋人の茜華との思い出は多く欲しいものだ。
例え辛くとも、悲しくとも。
二人ならば後できっと笑いあえる思い出になるのだから。

もちろん、泰華の出した答えは否定でなく二人で観覧車乗り場へと向かった。


ーーーーー☆ーーーーー

「流石に雨雲で暗くて視界が悪いなぁ。」

「残念です…」

案の定、見晴らしは最悪だった。
知名度の低い遊園地とはいえ、そこまで悪い高さの観覧車ではない分、悔やまれる。

しかし、茜華は楽しそうだった。

そう、ここだ。
ここで、はっきりさせておくしかないだろう。
窓の外を悲しげに見つめていた小さな男の顎をとりこちらへと向けさせ不意にキスをした。

「むっ、ちゅっ、せ、茜華さん。どうしたんですか?」

恋人からの愛情表現は24時間365日、寝ても覚めてもウエルカムだ。沈んでいた気持ちもインスタントに溶けていく。

「泰華さ、気づいてたかも知れないがあたしは遊園地が苦手だ。」

「や、やっぱりでした…」

自分が駄々を捏ねて来たようなものだ。無論、最初から最後まで茜華は嫌だとは言っていない。
しかし、性格・感性を考慮すればさして難しい推理ではない。

「違う、違うぞ。泰華の思っているのとは。」

「…」

頭の上にエクスクラメーション的何かがいくつか浮かんでいる。
当然、求められずとも解説を加えていく。

「なんで、コーヒーカップで回るのか分からないし車の免許があるのにゴーカートで競争するか分からない。お化け屋敷なんてハナから作り物だと決定してるものだし、ミラーハウスなんて感覚としては家でもできちまうだろうさ。」

今日の大半を否定されたかのように感じられ、相手に悪意がないと分かっていても泰華は打ちひしがれる。
が、待っていたのは抱擁。若干の雨に当たり少しばかり冷えていた体同士が密着し暖かい。

「でも、片方がぐるぐるしてるのを見るコーヒーカップは面白い。」

罰ゲームを賭けて競うゴーカートはハラハラする。
隣の奴が死ぬほど楽しんでるお化け屋敷は本当に可愛い。
ミラーハウスは好きな奴がいっぱいいる天国だ。

「分かるか?」

さすがにそこまで言われれば泰華も言わんとしてる事は何となしに察する。

「結局泰華が一緒なら何もかも最高だ。」

抱き寄せ頭をなでる。優しく、しかし強く。

「僕もですよ。」

囁くようだがはっきりと自分の意思を大きな恋人に伝える。

「茜華さんと一緒だからこの観覧車も楽しいです。」

「そら良かった♪」

こういう時に甘えたな泰華は茜華へと抱きつき目を閉じる。

通常、飛べるわけもない者が空に自分達の空間を手に入れられる。
そんなロマン溢れるアトラクションが観覧車ではないだろうか。

「二人の、この時間が何よりも最高です!」

声に覇気が戻ってきた。

「だろう?あたしがいれば他にはにも要らないよな?」

泰華に温もりを押しつけるように抱擁を強めれば答えも同じように返ってきた。

泰華は茜華の完全に胸へと顔を埋めていた。
茜華も子供を大切に抱えるように泰華を抱いていたがふと外に目をやれば。

「ほら、泰華。」

「はい?」

虹が架かっていた。
大きな、大きいな虹が。窓から上に覗かないと見えないくらいだ。

「近いです!」

一気に回復した恋人を見れば幸せは二人分に増えた。

「ほらな♪泰華。あたしと一緒なら全部良い思い出になるだろ?」

“いや、してやるさ♪”

二人は笑い、またキスをした。


ーーーーー☆ーーーーー


「いやー、長旅だった。」

今は一人、そう、茜華一人で喋っていた。
遊園地を後にして自宅に戻ってきた。

「ほら、泰華着いたぞ。」

帰りのバスの中で寝てしまった小さな男はいつぞやの様におぶられていた。

「ふぁゃ…」

起きない。
当然茜華は知っていたが形式的に声をかけたのだ。

「全く…」

寝室へ行きベッドへと寝かせばその成人男性には有り得ない寝顔が目に映る。

「また行こうな♪」

頬をつついて反応を楽しみ、キスをすれば幸せな寝顔はより一層幸せそうになるのである。


18/04/15 11:09更新 / J DER
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■作者メッセージ
これでもかって位ベタっすね
ベタって漢字で下手なので進歩したいものです

なにより生活環境が劇的に変化しまったが故に慣れるまではあげるペースが落ちるでしょうがこれからもよろしくお願い申し上げます

それでは

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