連載小説
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Date5:イリヤ(サキュバス?)
あ、いらっしゃい!
やっぱり私をご指名ね?

…すると思ったわよ、ご近所さんで顔も合わせてるんだから♪


それと、たまーに私の家の前で立ち止まって二階の窓を見てた事も知ってるんだからね?

ふふ、バレてないと思ってた?
そりゃバレるって…………私もずっと見てたんだから。



…うん、好きだよ。
だから、指名してもらって嬉しいな♪


じゃ、早速始めちゃいましょうか♪

えっと、今は17:30で、三十分コースだから…………大丈夫かな?



膝枕してあげるから、ここに寝て♪
あ、どさくさに紛れて胸とか揉んじゃダメよ?


じっくりして欲しいって?
…え、ええ。分かったわ。


さ、始めましょ。


<カリカリ>


どう、痛くない?
…良かった♪ 実は本番でやるのは初めてだったから…


<カリカリ>

<ビクッ>



あ、今…ちょっと感じちゃった?
ふーん、耳が弱いんだー♪

だったらもっと感じさせちゃおっかな?


<カリカリッ、カリリッ>


あはは、可愛い声♪
貴方ってこんな声も出しちゃうんだね♪

よーし、どんどんイッちゃうから!


<カリカリカリカリカリ…ッ>


…うんうん、キレイになったよ♪


それじゃ、反対側も…

え? じっくり話がしたい?
それは、えっと、その…………う、うん…いいよ。


どうしてココに働いてるかって?

えっと…そう、私って実は耳かきとか得意でね。
こういうお店があるって聞いて…それで、ココで働かせてもらうことになったの。

初めてのお客が貴方ってのはラッキーだったわ♪


え、このあと一緒に…?

あ…その、えっと…う、うん。いい、よ…


あっ、このまんまじゃ予定時間過ぎちゃうよ!

ほら、もう片方もするから…ね?


延長しても構わないって…それじゃ悪いわよ。

さ、続き始めましょ!


<カリカリッ>


眠くなったら寝てもいいわよ?
終わったら…………起こしてあげる。


<カリカリッ>


眠っちゃった?

…………良かった、何とか間に合…あぁっ!



日が沈んで…そんな…っ!






…………あうぅ、どうしよう…

お客様をお座敷に放って置くなんて絶対ダメなのに…

物陰から見てるだけじゃ…ダメなのに…



…あっ…起きた…!

どうしよう…もう出ていけないよ…
お願い、こっちに気付かないで…!


<ガタッ>


!?

あ…あぁぁぁ…っ!















ごめんなさい…私…貴方のよく知ってるイリヤさんじゃないんです…


私は…ドッペルゲンガーのアーレンです。

こうやって…お客様の知ってる人に化けて…

でも、今日は新月だったから…それで…

…………。


本当にごめんなさい!
お客様を騙した上に、姿がバレそうになったからって放っておくなんて…!

ごめんなさい…ごめんなさい、ごめんなさい…っ!


<ギュッ>


え…?

お…お客様…?


まだ耳掃除が終わってないって…でも…
私、こんな姿で…貴方の知ってるイリヤさんじゃ…



…………ありがとうございます!


で、では…改めて、膝枕…しますね。


だ、大丈夫ですか…?

はい…は、始めます…


<カリカリッ>


どう…ですか?
気持ちいいですか…?

良かった…


<カリカリカリッ>


あ…もう時間過ぎてる…!


…延長してくださるんですか?
ごめんなさい…ありがとうございます!


<カリカリッ>


こちらもそろそろ終了しますね。

あともうしばらくだけ…お待ち下さい。


<カリカリカリ…ッ>


はい、お耳掃除は終了しました。

後は仕上げを…行いますね。


<チロチロチロッ>


お客様には大変ご迷惑をお掛けしてしまいましたので…

丹念に仕上げをさせて頂きます。


<チロチロ…チロチロチロッ>


んっ…♪


<チロチロ…ッ>


ぷはっ…えっと、じゃぁ反対側も…

いきます…


<チロチロッ、チロチロチロッ>


どう…ですか?

ありがとうございます…


<チロチロチロ…ッ>


はい…これで、全工程終了です。



えっと、その…色々ご迷惑をかけた後で…なんですが…

当店は、二回目以降は会員制となっておりまして…

年会費さえ払って頂ければ、優先的にご指名して頂けるんですけど…

一度会員登録してご指名したら、次からは独占的に指名できるようになるんです。


あ、会員登録をしていない初回の人とは別でも構いません!


それで、その…………



…登録して頂けるんですね!

ありがとうございま…………え?


わ、私を…?

え? …………え?

あんなにご迷惑もかけて…騙しさえしてしまったのに…?


…それでも…私を…ご指名して頂けるんですか…?



あ、あ…ありがとうございます! ありがとうございます!






…………あ…変身能力…無くなってる…!

え…じゃぁ…あの人…………!


やった…私が…私も…………っ♪
16/08/25 18:22更新 / 第四アルカ騎士団
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■作者メッセージ
今回はサキュバスさん…ではなく、ドッペルゲンガーさんです。

ドッペルさんのこういう話はなかなか難しい…
そして今回もいい話っぽくなってしまった!


個人的にドッペルちゃんが献身的に耳かきしてくれるのは最高だと思います!

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