連載小説
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舞踏曲第3節 ヴィーナスの調べ
このコロニー「アストレア」は、少し前に攻撃的な種族「ホ―ネット」との戦争に発展した事があった。内容は至極簡単。ホ―ネット側が「我々の居住区拡大の為!そして、奴隷の増強の為!君たちには犠牲となってもらう!」と大々的に公言したのだ。最初はそれを単なるクーデター予告と思っていたアストレアの上層議員達は、この事に関してあまり重要性を見出さなかった。しかし、ここ最近は広さを誇るこのアストレアを攻める様に、ホ―ネット達の侵攻線は拡大していっていた。

「ハルカズ!そっち行ったわよ?!」
ヴィーナスは、アストレアの軍人をしていた。ハルカズ(本名:赤杭(せきくい)晴和)と共に戦場を掛けている。因みに階級は、ヴィーナスが少尉でハルカズが中尉だ。

「逃がすか!ステーク!行けぇ!」
ヴィーナスがハルカズに敵情報を教える。もちろんハルカズにはそれが見えている。右腕に装着しているバズーカクラスの追加装甲「パイル・ステーク」をホ―ネットの女性の腕に突き刺した。そしてそのまま引き金を引いてバズーカを発射する。だが、ハルカズは甘いのだ。その球はゴム弾で出来ており、女性の腕が弾け飛ぶ事は無い。しかし戦意を喪失した敵兵ほど弱弱しい者は無い。あっさりと女性の腕に縄を巻き、喘いだりして誘惑してきたから口にガムテープも貼ってやった。

「敵兵に次ぐ!今すぐ戦闘を止めろ!さもなくばこの兵士が・・」
「どうなるかぁ♪」
銃撃戦が行われている前に立ったハルカズは、捕獲した少女を目の前に座らせて、首元にステークを宛がった。すると相手側の銃撃が止んだ。そして向こうの方から兵士の女性らしき声が聞こえて来た。どうやら相当に動揺しているらしい。

『わ、わかった!我々は撤退するっ!だから、人質は返してくれ!その御人は我々の次代王女で・・(ゴニョゴニョ・・』
スピーカー越しに聞こえて来た声だったが、途中で要らぬ事まで喋ってしまったらしく、向こうの方で相談している。それよりもこの捕らえた女性が次期王女なのにも驚いた。因みにステークの傷跡はヴィーナスの医療知識によって全快まで回復している。

「あなた、どうなるのかしらねぇ♪」
「・・・・」
「あらら、自軍の兵士さんに失望しちゃったかしらん♪」
「・・・・」
少しこの女性が可哀そうに見えて来た。年はまだハルカズよりも下だ。それどころかユウキと同じ程度に見える。

『・・あ〜・・あ〜・・・我々は撤退の代わりに人質の解放を要求する!』
「だってさ♪どうするの?これから。あれじゃまたこの先もドジるわよん?」
「・・・・」
女性は頭の中で悩んだ結果、人質解放を拒んだ。普通の戦争だったらそんな事は予想も出来ない。そんな行動に彼女は出たのだ。そしてヴィーナスは「わぁお♪」と目を輝かせながら女性のガムテープを剥がしてあげた。その時にハルカズが嫌そうな顔をしていたがそれは突っ込まない。

「私・・・間違っていたんですね・・・」
「ほう・・・間違っていた?」
「私、兵たちのためにと思って率先して前線へ立ったんです。でも結果は真っ先にアナタに腕を・・」
「そうか・・・悪い事をしたな・・」
「!!・・・そうですね・・貴方は悪い人です!」
心を何処かへ置き去りにしてしまったかのように俯いてしまった女性だが、不意にハルカズに謝られてしまって心に巨大な鼓動が走った。それは恋に落ちた鼓動だった。

『さぁ!ブルーム姫様!お早く此方へ!』
「私は・・・私は・・この殿方と一生を誓います!」
「何っ?!」
「わぁお♪いい度胸じゃない!私から奪い取れたらね♪」
「覚悟なさい?アントよりもホ―ネットの方が可愛らしくて、綺麗で、清楚で、強いって事を証明して差し上げますわ!」
兵士の一人が、スピーカーでブルームを呼び戻そうと何度も叫んでいた。しかし、腕の縄を解かれたブルームは立ちあがると、兵士たちの下では無くハルカズの腕に抱きついた。そして高々とハルカズとの愛を叫んだブルーム。その行動にハルカズは目を見開いて驚き、ヴィーナスはその分かりやす過ぎる宣戦布告に敵意を示していた。そしてブルームは良く考えると次期女王と呼ばれるのならば生殖機能も大きく発達している事だろう。

「これからは、宜しくお願い致しますわね?旦那様?それじゃ早速子作り♪」
「ちょっとぉ!私に飽きたから他の女に移ろうっての?私は愛してるのに?」
「・・もう勝手にしてくれ・・」
左腕ではヴィーナスに抱きつかれ、右腕ではステークが邪魔をしつつもブルームにしっかりと抱きつかれていた。そして、双方から求愛されたハルカズはもう泣きたくなって来ていた。そして、ブルームを見捨てて逃走した敵兵団と決別したブルームは、改めてハルカズの妻第二号になると公言した。もちろんヴィーナスも抗議している。その間に挟まれる形になっているハルカズは、これからの自分に危機感を抱いていた。そして、家族が一人増えてしまった三人はヴィーナスの家へと戻って行った。
10/10/30 18:43更新 / 兎と兎
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■作者メッセージ
今回の「ヴィーナスの調べ」ですが、急遽2を作成する事になりました。

理由?そんなの戦闘シーンを盛りだくさんの話にしたいからに決ってんじゃん?

次回:舞踏曲第4節 ヴィーナスの調べ&ハルカズの調弦
お楽しみに!

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