連載小説
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勇気:最後の部品

「んぅ・・・ちゅぅ♥ じゅる、ちゅぷ、れろぉ♪んぷ、ちゅるぅ♥」


抵抗の言葉もかけられないまま、自分は唇を奪われた。
情熱的で濃厚な、貪るようなキス。突然のことだったので、なすがままに口の中を蹂躙されていた。
自分の頭の中は、全力で今の状況を整理しようと、無駄に混乱していた。
・・・あれぇ?自分今、頂かれるって言われたよね?
え?何?そういう意味なの?でもドラゴンって自分からはしないんじゃなかったっけ?
あれ、確か大分前にリオンに『精々喰われんように』なんて言われた気がするけども。
それってこういう意味だったの?てかリオンこうなるって知ってたの!?
そもそも何でこんないきなり!?
脈絡何もなかったじゃん。今までそんな雰囲気全くなかったじゃない。
確かにエロ本探された時はあったけどもさ。それ単純な好奇心だったじゃない。
こんな展開になる要素、今までになかったよなぁ?
それともあれかい?最初にいい思いだけちょっとさせて油断させて頭からがぶりってことかい?
でも前に軽く目を通した禁書にはさ。魔物は人を食べないとかそんな記述あったっけ。あれなかったっけ?
記憶違い?あ、でもドラゴンは例外とか?ありそうな、なさそうな?
もう何がなんだか分かんないよ。キスが気持ちいいせいで余計に頭が回んないよ。
っていつまでキスしてるのですかねシエルサン。・・・シエルさん?自分ちょっと苦しいよ!?
そろそろ息継ぎ欲しいよ!?長いよ!?死んじゃうよ!?
限界なんだよ!?多分顔青くなり始めてるよ!?赤面混じってきっと紫になってるよぉ!?


「じゅる、あむ、んちゅぅ・・・♥ はぷ、んにゅ、くちゅ♪」

「んぐっ・・・んー、んー!・・・んんんーーー!!」

「んぅ?んん♥・・・ぷはぁっ・・・どうしたのだ?アイレン♥」

「ぜぇー、はぁー・・・ふぅ、いやね、息できなくってね・・・」

「そうか。では続きを」
「待って!こっちから何か言わせて!?まずあれだよ、どうしたってのはこっちの台詞だよ!?」


間髪入れずに押し寄せる接吻を防ぐ。・・・防いだ手を舐められたけれど。
むぅ、と少し嫌そうな顔をしているシエル。でもそれは一瞬で、お構いなしに手を舐めている。
これではまるで、甘えてくる犬のようだ。
一体シエルに何があったのか。自分はだんだん気持ちよくなる手の感触に耐えながらも、彼女の答えを待っていた。
満足そうに手を舐め終えた後、漸く彼女は口を開いた。


「ぺろぉ・・・んぅ、どうしたもこうしたもない。私は魔物だ。こうなることは、少なからず分かっていたのではないのか?」

「最初魔物について調べた時は、ちょっと思ったよ。でもそれ以上に信頼していたし・・・
何より半年も顔見せていて何もなかったんだから、その気はないって思うだろう!?」

「半年・・・そうか半年も経っていたのか。初めて会った時はさらに三ヶ月前・・・
私も随分と勿体無いことをしていたものだ」

「それに・・・君はドラゴンだろう?確か、ええと・・・そうだ思い出した。自分より強いオス・・・男性を認めるんじゃなかったか?」


魔物のことについて、ある程度の知識はあの図書館で得たはず。
まがい物、ということはあのリオンの本だということもあって有り得ない。
知識としては正しいはずだ。・・・記憶としては微妙なとこだけど。
ドラゴンは自分を倒した男性を本能的に夫と認める、とか。
自分はシエルに勝った覚えもないし、勝てる見込みもない。
それ以外には、気に入られた場合とかだったっけ?
でもそれなら、何故今なんだ?もっと早くに襲われててもいいはずだ。
・・・流石にそれは自惚れ過ぎだと思うけれど、他に説明がつかない。
そもそも、シエルは以前から負けている場面があったはず。
翼を切られた時とか、深い傷を負わされた時とか。本当ならその時に本能が働くはず。
だから、シエルは他のドラゴンとは違うものだと思っていた。
例外的な何かだと思っていたんだが・・・


「ああそうだ。私達ドラゴンは、己を負かした強者の妻となる本能を持つ。
・・・だが、私は今までに負けたことがなかったのだ」

「えっ!?いやでも、それは・・・」

「確かに、敗北と思われる場面に遭遇したことはある。しかし、私は逃げたのだ。
負けたという事実から。勝負という状況から。逃げ続けていた。
だから私の本能は、負けを知らなかったのだな。でも・・・今は違う」

「違う?違うって何が?」

「私は、生まれてから今この時までのことを思い返した。
アイレン、お前を救えた時から、ずっとだ。・・・帰路で適当な返事をしてすまなかったな。
そのおかげで、今までよく分からなかった己のことが、手に取るように分かる。
私は、やっと『私』になれたのだ。恐怖などではなく、自分の意思で動く私になったのだ」

「ええと、つまり・・・」

「アイレンに直してもらったのは、翼だけではなかったということだ。
アイレンは・・・私の『心』を直してくれた。『勇気』という部品を貰ってな」


勇気。
それは、別に自分があげたものなんかじゃない。
それはシエルが、自分で掴み取ったものなんだよ。
自分は、何もしていない。
そう、言いたかったんだけど・・・






「・・・どさくさに紛れて、何で自分の服を脱がしているのかなぁ?」

「ん?前菜は頂いたのでな。まだ足りないのだが、後からまた頂こうか・・・♥」

「前菜!?他があるの!?」

「当たり前だろう。勿論、メインもな♥」


シエルはドラゴンの手にもかかわらず、器用にも自分の服を半分ほど脱がしていた。
つまり自分は半裸である。上着を剥かれた状態だ。
いい話の流れになっていたはずなのに、気をそらした途端にこれでした。
こんなシエルは見たことないよ・・・


「ってか、まだ理由、聞いてない!」

「ん?ふふっ、話してもいいが私も抑えがきかないのでな・・・♥」

「ちょっと、話をあひゃぁっ!?」

「んふふ・・・作業部屋に篭りきりのくせして、中々良い体つきだな♥ ぺろ、れろぉ♥」


ひん剥かれた上裸を今度は舐められた。
割と修理では力仕事が必要なこともある。
だから一応、人並みには鍛えているつもりだけど・・・
シエル、舐めるの好きなんだね・・・ってそうじゃない。
まだ大事なこと聞いてない。根本的なこと聞いてない!


「ぺろ、ぺろ・・・かぷ」

「へくぅっ!?そ、そんなとこ噛まないでっ・・・よ・・・っ!」

「何だ、乳首を噛まれて感じているのか?♥ 可愛い奴だな・・・♥」

「うぅっ・・・」

「恥ずかしがることはない・・・ここが弱いのは私も同じだからな♥/// 試してみるか?♥」

「・・・はぁっ!?」


そう言うとシエルは、鱗を消して胸を覆う服を捲り上げる。
・・・気づけば向こうは全裸だ。
形の整ったたわわな果実は、自分の胴に押しつぶされて、柔らかい感触を直に伝えている。
それを自分の手で持ち上げさせ、露骨に強調させてくる。
思わず、ごくりと大きく生唾を飲み込む音が耳に染み通る程に、自分は興奮していた。
そして、シエルはそれに気が付いたように艶かしい笑みを浮かべて、自分の手を彼女の胸に押さえつけた。


「ほら・・・好きに触るといい・・・♥」

「うあ、やわっ、ぁ・・・」

「んっ♥ あはぁ・・・好いぞ、もっと激しくしても・・・♥」

「・・・・・・」

「・・・どうした?胸は嫌いか?これでも自信はある方なのだが」

「いや自分も大きいのは好きだけど・・・そうじゃなくて。やっぱり、頭がついて来なくて」

「・・・本当に肉欲に溺れぬ男だな、アイレンは。まあ、だからこそなのかもしれないが」

「だってさ・・・気持ちだって、聞いてないし。理由もまだ・・・」

「据え膳食わぬは男の恥だぞ?それに・・・ここまでしているのに、まだ分からないなどと腑抜けるつもりか?」

「うぐっ・・・・・・自分に確信が持てなくてね・・・」


はぁ、と一息。いや溜息をシエルはつくと、自分の顔を両手で掴み、真っ直ぐ自分へと向けさせた。
まるで宝石のような金色に輝く、どこか威圧感のある竜の瞳だ。
それを惜しげもなく、自分へと。自分の眼へと向ける。


「良いか。一度なんて言わず、何度でも言ってやる。



私はアイレンを。

今目の前にいるお前のことを愛している」



言葉にされて、かあっと耳から顔面へと自分の顔が熱くなってくるのが分かる。
それは、彼女も同じなようで。顔を赤くしながらも真剣な瞳で。
嬉しそうに優しい笑みを浮かべながら、真っ直ぐに言い切った。




「大好きなどでは足りない。愛してる。愛しているんだ。
お前を。アイレンだけを、愛している。
ずっと。一生。来世でも。私は、お前を愛しきる」


「う、あ、あ」




まるで自分はゾンビの呻きのような声しか出せなかった。
だって、ここまで一直線な愛の告白されて。
嬉しさと恥ずかしさで固まるのは当然のことじゃないか?
うん。自分は嬉しいんだ。シエルが自分のことを好きだって・・・
愛しているって、言ってくれて。
嬉しくて嬉しくてたまらないんだ。
そのはずなのに。
そのはずなのに、言葉が返せないんだ。


「これでもまだ足りないか?愛しきお前様よ。私を負かした旦那様よ・・・♥」

「うあ、ま、負かした?」

「そうだぞ?私がアイレンの全てを知ったあの時。私は、生まれて初めて『勝てない』と感じたのだ」

「で、でも、自分、何もして」

「したさ。今だからこそ分かる。私の『心が直った』からこそ分かる。
私はアイレンに、『心』で負けたのさ」


心が直る。心で負ける。
翼が切られてしまったことで、彼女の心はどこかで歪みが生じて。
ある意味壊れてしまっていたのだろう。
それを、自分が直したなんて、彼女は言っているけれど。
自分では実感がわかないよ。
彼女が言うことだから、本当なのだと信じたい。
でも、何で自分は疑問を持っているんだ?
何で彼女を、信じきれないんだ?


「心に、勝ち負けなんてないじゃないか」

「そうだな。勝ち負けなんて考え方はおかしいのかもしれないな。
では言い方を変えよう。
私はアイレンには『敵わない』と。
たとえ力で屈服させたとしても、アイレンというオスには『敵わない』と。
私の心が、本能が、お前にひれ伏せてしまっている。
お前というオスになら、何をされても構わない。そう、思う程に・・・♥

アイレンのメスになることを、欲しているのだ♥」

「あ、あ、あ・・・」



何か、自分の中で。
カチリと動く音がした。
それは、今までずっと止まっていたような。
動き出すことを待っていたかのような。
何かが、動き出そうとしている音がした。
狼狽えている自分の姿を見て、彼女は。
自分の体を、優しく抱き寄せた。
彼女の拍動と、自分の拍動が重なり合う。



「お前は、どうなのだ・・・?
私のことが欲しいと。このメスを、自分のものにしたいと。
そう感じたことは、なかったのか?」

「自分は・・・自分が、そんなことは・・・」

「お前は、私の気持ちが分かると言った。言い切った。
だから、私にも分かる。今なら分かる。

アイレンは、私と同じなのだ。

心に深い傷を負い、大切なものを失ってしまった。
だからこそ、心がどこか欠けてしまったのだ。
自分でも気付かない、奥底が欠けてしまっている。
何かに縛り付けられてしまっている。
それが何かを、今度は私が教えてあげよう。
アイレン。お前は・・・

『自分は誰かを愛してはいけない』などと思っているのではないか?」



カチリ、カチリと。
動き出す歯車のように、徐々に部品が動き出す。
彼女の言葉に、自分の心が今まさに。
あたたかく、縛る何かを解いている。



「家族を失い、自分の一部の失い・・・
心を縛られ、隠している。本心を隠している。
それと同時に、これ以上失うことを恐れている。
自分が手にしても意味がない。また失うかもしれない。
そんな気持ちがあるのではないか?
愛することに怯えている。認めることに怯えている。
自分の愛を、気持ちを、本心を。どこか信じきることができない。
・・・さっきまでの私の同じだ。

でも良いのだ。
お前はまた、誰かを愛して良いのだ。
自分に素直になって、失うことを恐れず。
自分の思いのままに、愛情を欲しがっても良いのだ。
それを全て、私が受け止めてやる。
いや・・・私に、受け止めさせて欲しい」



じわり、じわりと。
水を吸う布のように、徐々に心に染み込んでくる。
今まで決して、表に出さなかった思いが。
閉じ込めていた想いが。
あふれ出して、こぼれ出そうとしている。



「お前の気持ちを聞かせてくれ。
晒していない全てを見せてくれ。
私は全部を受け止める。私に受け止めさせてくれ。
だから、私の愛も受け止めてくれ。
私に・・・本当の敗北を。
お前の愛を、刻み込ませてくれ・・・♥」







ガチリ。

胸の奥で、完全にはまり込んだ最後の部品は。
自分の体を奮い立たせて。
そして。




『僕』は彼女を、本能のままに欲したんだ。





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「ふぅ、あむ、ちぅ、ちゅる、ちゅぷ」

「ふぅ、んぅ♥ ぢゅぷ、れる、んちゅ、ぴちゃ、くちゅぁ♥」


顔を引き寄せ、僕は唇を奪う。
シエルからではなく、自分からの行動だった。
それは、お互いを深く認め合うような長いキス。
息継ぎを挟み、しかし絶え間なく。
深く長い確認をしていた。


「ぷはっ・・・ふぅ、はぁ」

「んちゅ・・・ふふふ、お前の方から熱いキスとは・・・嬉しいぞ♥」

「はぁ、はぁ・・・!」

「勿論これで終わりではないよな?
お前は、この体を全て、自分の思い通りにできるのだから。
この胸も、口も、足も、手も、翼も、そしてこの性器も、中身も。
全部、全部。お前の好きにして良いのだぞ・・・///♥」


シエルは顔を赤らめながら、秘所を広げる。
その扇情的な行為は、僕の心をさらに高ぶらせた。
今すぐに自分の愚息を、シエルの割れ目に差し込みたい。
そんな欲求が頭を襲う。
でもそれだけでは足りない。足りないんだ。


「っ・・・!はむ」

「ぃひぃいっ!!♥いきなり、むねをぉっ!!♥」

「じゅる、ちゅぷ、れる、じゅるる・・・」

「ひあ、あはぁっ♥ そんな、すって、いじりまわす、にゃんてぇっ!♥ ふあぁ♥」


僕はシエルの右胸にかぶりつき、口の中で先端を転がす。
左胸は自分の手でくり、くりと弄り回し、揉みしだく。
シエルはびくびくと快感に身悶えているようだ。
きゅっ、とつまみ、甘噛みをする。


「ひぎぅぅぅっ♥ かはぁっ!♥ ふぅ、ふぅぅう!!♥」

「ぢゅるる、ずず、んぢゅぅる」

「くぁあぁぁ・・・♥ ふぁ、かぷ、んむぅ、んむうう♥♥」


思わずシエルは、僕の頭にかぶりついた。
僕の頭も手もどうにもできないもどかしさから、包み込むように頭に腕を回して、逆に離すまいと押さえつける。
生温かい吐息が頭に直接吹きかけられ、熱を脳へ送り込まれているようだった。


ぴちょ・・・ちゅぷ。

「ひ!ま、待、そこ、は♥」

くちゅ、くちゅ、ずりゅ。

「きゃぅううううう♥ そ、んな・・・とこ、までぇっ!!♥」


僕は余った右手を、シエルの割れ目に差し込み掻き回す。
触れた時既にどろどろで、湿った音が響き渡る。
僕は全て余すところなく、シエルを感じたかった。
僕の全部を感じて欲しかった。
だから、まだ残っている腹部の傷跡も。背中の翼跡さえも。
全部撫で回し、舐め回し、弄り回した。
長く、深く。
その傷さえ愛おしいと、彼女の体に教え込むように。


「そんな、全身、されたらっ、私はっ♥♥」

「・・・嫌かな?はむっ、ちゅる」

「ぃい、いいぞぉ♥ きもひいぃ♥ これほど、まで、とぁああっ♥・・・ぁあっ♥あっ♥」


ぎゅっ、くりっ。
「ちゅぅううううううっ!!」


「っっっっっっっ♥♥♥・・・・・・っはぁ、ふあ、ふう・・・♥」


シエルの体がビクビクと震え、僕の頭を締め付ける。
今度は気絶することはなかったけれど、少しだけ痛かった。
痙攣した後、呼吸を整えて落ち着いたシエル。
もしかして、イったのかな。


「シエル・・・」

「ああ、凄まじかった・・・だが次は、メインの時間だぞ・・・♥」


シエルは僕からそっと離れると、足を開いて僕を誘う。
前菜、メインのくだりはまだ続いていたのかと、ふと思った。
でも、そんな些細なことがすぐに考えなくなるくらい。
ぬらぬらと、光沢が溢れ出ている彼女の割れ目はとてもいやらしくて、目が離せない。
彼女の方も、そろそろ限界のようだった。


「そ、そんなに、じっくり、見ないでくれ・・・///♥」

「シエル、シエルっ・・・!」

「あぁ、私はここにいるぞ・・・さあ、早く、アイレンの肉棒で・・・その欲望で・・・
私の体を染め上げてくれ・・・敗北の味を、勝者の愛を!注いでくれっ♥」

「ああ、いくよ・・・」


今にも暴発しそうに膨らんだ、僕の欲望。
まさしく欲棒の化身となってそり立つペニスは限界で。
勢いよく彼女の膣を突き刺した。


「〜〜〜〜〜っっっああああああああああああぁぁ♥」

「ぐっ・・・あがあぁぁああぁぁああ!!!」


何だこれ。
今までに受けたことのない感覚。燃え上がる感情。
彼女の秘所はずぷずぷと、僕のペニスを飲み込む。
赤く染まる純潔などお構いなしに。
僕は欲望を叩きつけた。


「ひあぁああぁ♥ いいぞ、もっとだ♥ もっとぶつけてくれぇっ♥」

「あぁあ、あぁあああああっ!!!」

「好きなだけ叫べっ♥ うちつけろっ♥ 私に敗者の傷をきざめっ♥」

「シエルっ!シエルぅっ・・・!!」

「アイレンっ♥ アイ、レぇンっ・・・♥」


リズムよく、絶え間なく。
全力で、全身で。
愛を貪り合う、二人の男女がそこにいた。
それが、僕とシエルだと思うと。
どうしようもなくて。想いがあふれてこぼれ出しまくって。
だからこそ。
この言葉が、自然に出てきた。


「はぁ、シエルっ・・・ねぇ、シエルっ・・・!!」

「ああっ、あはぁっ♥ 何だ?♥ どうしたっ、のだ?♥ アイレンっ♥」








「僕も、君をっ、愛してるよっ。シエル・クリーガーっ・・・!!」

「っっっ〜〜〜っっっっっっ!!!!!!!!!!!♥♥♥♥♥」








どくっ、どくっ、どぷんっ、どぷん。

その言葉を伝えた瞬間。
彼女の膣内は僕のペニスを思い切り締め上げて。
抵抗もなく、彼女の子宮へと、僕の精子が打ち付けられた。


「あぐぅあああぁぁぁぁぁぁっっ・・・・・・!!!」

「っ!♥ っっ!!♥ 〜〜〜〜〜〜っっっ!!♥♥♥」


まだ射精は終わらない。
彼女の体は激しく震え、言葉も発せないほど悶えている。
噛み締めるように、刻み込ませるように。
僕の言葉と、その精を。
決して忘れることのないよう、自分の体に味あわせているようだった。


「はひ、はふ、あふぅ♥ アイ、レン・・・♥」

「はぁ、はぁ、はぁ・・・シエル・・・」

「私は、今しあわせだっ♥ いっぱい、いっぱい、満たされているっ・・・♥」

「僕もだよ・・・一番今が、幸せだ・・・」

「私も、愛しているからなっ♥ もう、離さないからなっ♥ お前だけのメスだからなっ・・・♥」

「僕も、離したくないよ・・・これからも、一緒に・・・いたいんだ」

「っアイレン!♥」


余韻が引かぬままに、そのままシエルに再び押し倒されて。
僕が、本当に取り戻した『心』に従って。
彼女と過ごす、最後だと思っていた夜は。
新しい始まりを告げながら、深みを増していった。





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窓から差し込む光。
それが、朝を迎えたことを教えてくれた。
眠たいながらも目を開けて、現状確認。
どうやら一晩中自分とシエルはヤっていたらしい。


「たはは・・・片付け大変だな」


キッチンまわりは汁まみれ。
その後ベットに移ったが、そこへ至る道がはっきりと分かるくらい跡が残っている。
自分も、よくここまでやったものだなぁ。


「自分、か・・・」


自分は、本当の『自分』というものを取り戻した。
ドラゴンである、シエルのおかげで。
それは、『僕』であり、『自分』。
人を愛することのできる自分だ。
自分を信じろ、なんて昨日シエルにも行ったけれど、本当は自分に言い聞かせたかった言葉だったのかもしれないね。
自分にも『勇気』が必要だったんだ。
自分自身を、認める勇気が。

そういえば、何となく『自分』呼びに戻しているんだけど。
まあ些細な一人称の違いだし、しばらくは『自分』の方でいいだろう。
何だか、心が欠けていた時の呼び名、って印象があるけれど。
どちらも自分であり、僕なのだから。
こっちの方が今では『僕』らしさが残っている。


「まあ、たまに使っちゃうだろうけれどね」


きっと主に、今後シエルと二人でいるときに、だけどね。
どちらにせよ、自分はもう誰かを愛することができるのだから。
いや、誰かなんかじゃないな。
隣ですやすやと寝息を立てる、最愛の人に目を向ける。
幸せそうに笑いながら、穏やかな顔で眠っている。


「・・・シエル。ありがとう・・・」

「むにゃむにゃ・・・ふふっ、アイレぇ〜ン♥」


どうやら夢の中まで自分がいるらしい。
参ったなぁ。ここまで愛されているなんて。
自分は本当に幸せ者だろう。

さて、名残惜しいけれどシャワーを浴びて。
昨日の晩御飯になるはずだったシチューを温め直しますか。





・・・・・





よし、いい塩梅。
何だかシチューも一晩おいて、旨みが増している気がするよ。
朝御飯を食べた後は、今後のことをシエルと話し合わないとなぁ。
・・・自分、これからどうしようか。
彼女がいる以上、この反魔物領にいるわけにはいかないし・・・
彼女も多分、自分と離れる気はないだろう。・・・ないよね?
あー、まだちょっと引っ掛かりが残ってる気がするなー。
でもきっと、彼女と過ごすうちに、ゆっくりとなくなっていくんだろうな。
それだけは確かに、信じられる。


「うん、シエルをそろそろ起こそうか。全くあの寝坊助さんめ」


自分は今、気持ち悪いくらい顔がにやけているだろう。
うん、自分でも分かる。
でも止められないんだから、仕方ないよね。





ドン、ドン、ドンッ





ん?店の方のドアを叩く音が聞こえた。
開店の時間には、まだ早いはずだけれど。
一体こんな早くに誰だろう?


「はいはい、今開けますよっと」


カランカラン、と扉に付けた鐘が鳴りながら、外の景色が開かれる。
そこに立っていたのは。


ガシャンッ。



「朝早くにすまないな。君は・・・修理屋アイレン・ウィンズだな?」

「え、えぇ・・・え?」

「初めまして。私は対魔騎士団ディアレス騎士団長『キリアス・ナイトバード』だ。よろしくな」


そこに立っていたのは、この街で有名な反魔物領の騎士。
この街の誇る対魔騎士の団長。『黒天』の異名を持つ街の守護騎士。
お高い騎士との関わりが全くない自分ですら名前を知っている人。

そして。

現状で、一番会ってはならない人だった。


「早速で申し訳ないのだが、要件を言おう。時間がないのでな。






君が匿っている『ドラゴン』に会わせてくれ」








嫌な汗が、自分の頬を流れていた。

14/01/03 20:19更新 / 群青さん
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■作者メッセージ
ここまでお読みいただきありがとうございます。

有言実行。間に合わせました。
こんな私だって、やる時はやるのです。
でももう二度と更新予告はしたくないです。

漸く想いが通じ合ったのも束の間。
意外な来訪者は、反魔物領の騎士団長。
彼ら二人は、一体どうなってしまうのでしょうか。

次回、最終話。
楽しみに待って頂ければ幸いです。
あ、えと。流石に明日は無理ですので。のんびりお待ちくださいませ。

※誤字を修正致しました。

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