読切小説
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迷宮洞窟の最奥で蛇のように……

交易の道から外れた場所にある、とある洞窟。
ここは数年前まで、冒険者の間で難攻不落の迷宮として語り継がれていた場所。
しかし今では、此処に訪れる冒険者は居ない。
それは不死身と恐れられた男率いる熟練冒険者のパーティーがここに挑んだ後で消息を絶ったという事実と、彼らが山の様な財宝を持ち出したという噂が合わさり、もうこの洞窟に危険を冒してまで攻略するほどの価値が無いと、大多数の者が判断したためだった。それでも当初は少数の者が真相を確かめようと向かったものの、その洞窟があったはずの場所を幾ら探しても、穴の一つすら見つけられないという有様。
そうしてなんだかんだで何時しかその洞窟のことは人々の記憶から消え去って行き、時折昔を懐かしむ冒険者の思い出話に上る程度の存在に成り果てた。

そんな洞窟の最奥の場所に、一組の共に全裸の男女が一つのベッドの中に仲良く横たわっている。
男の方は頬や腕に古い刃物傷と思わしき直線の傷を持ち、体躯は筋骨隆々で顔立ちに彼が経験した冒険の苦労から得た渋みを持つ偉丈夫だが、その腕は壊れ易い宝物を抱いているかのような柔らかな力使いで、腕の中にある人を抱いていた。
そんな男に抱かれている女性のほうはというと、男の厚い胸板に幸せそうに緩んだ頬を摺り寄せ、細っそりとしながらも女性らしい柔らかな肉付きの腕で男を力強く抱きしめている。
しかしその顔や腕の肌は死人かと思うほどに青白く、そして何より顔の両側から一匹ずつ頭皮から生えているとしか思えない蛇が伸び、その彼女の腰と二の足の境から伸びているのは人間の足ではなく蛇の胴体。
その見た目の通りに彼女は普通の人間ではない。彼女は俗に『魔物の母』や『迷宮の主』と呼称される存在であり、ラミアの上位種であるエキドナと呼ばれる魔物娘。
この麓では頭から人間をバリバリと食べてしまうと謂われがある存在の彼女だが、男性の腕の中で幸福を噛み締めるその姿は普通の女性となんら変わる事の無い、美しくも可愛らしい寝顔だった。
その彼女が匂いを男に擦り移す様にまた彼の胸板に擦り付けると、そのくすぐったさに男の意識が覚醒を促されたようで、薄らと男の目が開かれた。
余り寝起きの良い方ではないのか、男の目付きは子供が見たら泣き出しそうな相貌になってしまっているが、その視界の中に自らの腕の中で眠るエキドナを見つけると、その目がゆっくりと愛しいものを見るための優しい目へと変わっていく。
彼はエキドナを抱いている腕を持ち上げると、彼女の頭へとその大きな掌を置き、ゆっくりと彼女の眠りを妨げないように気をつけながらその髪の毛を手櫛で梳く。
その手の感触に反応したのか、エキドナはくすぐったそうにより一層男の胸板へ顔を埋める。
そんな彼女の様子を声を出さずに緩やかに笑った男は片手でエキドナを抱き寄せると、もう片方の手をベッドの横に備え付けられた台の上にあるバスケットの中に手を突っ込み、中をごそごそと漁り始めた。
しかし彼の手は空虚を掴むだけ。
訝しんだ彼はバスケットの縁を掴むと、自分へと引き寄せながらその中を見る。
だがその中には何も入っておらず、ただただ竹で編まれた空間だけが広がっているだけだった。
男はそのバスケットの中身と腕に抱いたエキドナを交互に見比べた後、バスケットを台に戻す。そしてエキドナの腕をゆっくりと外すと、ベッドを軋ませないように気をつけながらベッドから立ち上がろうとした。
男が腰をベッドから浮かせた、その瞬間に寝ていたはずのエキドナの蛇の体が翻ると、立ち上がろうとしていた男の胴体へと巻き付きベッドに引き戻してしまう。

「マーチェ、何処に行くの?」
「エルゥトー、起きたのか?」
「ええ。マーチェの体温が消えたのを感じたから」

ゆっくりとマーチェと呼んだ男の背中に、自分の顔ほどもある豊満な胸を押し付けるように体を乗せながら、エキドナ――エルゥトーは彼の耳元で寂しさを露にそう言葉を紡ぐ。
エルゥトーの言葉に非難する音を感じたのか、マーチェは安心させるように胴体に巻きついている彼女の蛇の鱗をゆっくり撫でる。
するとエルゥトーの巻き付きが安心からか幾分和らいだが、その代わりというわけではないだろうが彼女の両腕がマーチェの首に巻きつき、彼に甘えながら腕に力を入れて引き寄せた。

「それで、何処に良くつもりだったのかしら?愛しい妻をベッドに残して」
「ベッドの横に置いてあった食料が無くなったからな、補充をしに食料庫へ行くつもりだった」
「それなら起こしてくれても良かったのに。それに、食事を取らなくても私と交われば死なない体になったじゃないの」

夫の不実を責めるかのように、ムッとした表情を浮かべながらエルゥトーは両腕と蛇の胴体に力を入れて更に彼を引き寄せると、彼女は自分の耳をマーチェの口元に寄せて弁明があるのだったら聞くという意思表示をする。
そんなエキドナのエルゥトーに応えて、彼女の夫であり彼女専用のインキュバスでもあるマーチェは囁く様な音量で彼女に告げる。

「君を起こさなかったのは、俺に君の可愛らしい寝顔を自分の手で消し去る勇気が無かったからさ」
「でも、食料を取りに行く理由にはなってなくてよ?」

その言葉に幾分気を良くしたのか、多少弾むような口調でエルゥトーは呟く。そして彼女と短くは無い時間を過ごした間柄のマーチェは、エルゥトーのその言葉に潜む願望に気が付つくと、その期待に応えるべく決意し思わずその唇に笑みが浮んでしまう。

「俺が食料を取りに行きたい理由はだ――」

そこで言葉を切ったマーチェは首に巻きついていたエルゥトーの腕を掴むと力強く引き寄せる。するとエルゥトーの体は、くるりとマーチェの背中から腕の中へ場所を変えてしまう。
そうして二人の顔が向かい合わせになると、マーチェはエルゥトーの顔をその大きな両手で挟み込み、彼女の唇を奪い取るような口付けを。
無理矢理唇を奪われたエルゥトーは、しかし嫌な顔など一切せず、むしろ自分の好きな男に力任せに蹂躙されるのを喜ぶかのように、その顔に喜悦と愛欲の色を浮かべながらマーチェの行為を甘受する。
だがそこで二人の行為は終わらない。二人の唇が合わさったその中では舌が絡みつき、相手の舌を自分の口内に引き込もうとするような奪い合いを開始し、そしてその行為に終わりが見えないと知ると、今度はお互いの口内の歯や歯茎と言わず全ての感触を舌で確認し始め、そしてお互いの口の中の味を全て味わい尽くした頃、ようやく満足したのか二人の唇は名残押しそうに離れた。

「俺の愛しいエルゥトーを、こんな風に力強く愛するのに必要だからだ」
「もう、マーチェったら♪」

欲しいものを貰えたからか、エルゥトーはもう上機嫌でマーチェの首に両腕を巻きつけ、そして彼の頬に自分の頬を擦り付けて甘え始めた。
マーチェはそんなエルゥトーの後頭部を片手で撫でながら立ち上がると、彼女を抱きしめたまま食料庫へと向かう。
食料庫へと向かう道すがらも、食料庫の中に入ってもエルゥトーはマーチェに抱きついたまま、そして時折マーチェに口付けをねだり甘える。
マーチェはその要求に素直に従いながらも、食料庫の中で腹に溜まりそうな干し肉や乾燥した果物を手に取っていく。

「ねぇマーチェ、そんなもので良いでしょう〜。早くぅ、早く愛し合いましょう〜よ〜♪♪」
「……そうだな、足りなくなったらまたくれば良いしな」

だが甘えるだけでは体に点いた淫欲の火が収まらなくなったのか、エルゥトーはマーチェの背後に回ると剥きだしになっている彼のイチモツに手を這わせ始めた。
マーチェはエルゥトーの行為によって、自分の分身に力が篭っていくのを感じながらも、食料を両手で抱えながらエルゥトーを伴って自室へと歩いていく。

「マーチェのおちんぽも、私を犯したいってギンギンね♪♪」

しかしエルゥトーは我慢の限界が突破してしまったのか、食料庫を出て直ぐにマーチェの陰茎に手指を巻きつかせると、マーチェが歩みを進めるたびに上下する腰の位置を、蛇の体を巧みに使って高さを合わせながら、ゆっくりと手を上下させて扱き始めた。
最初は我慢しながらも普通の歩みだったマーチェも、エルゥトーの巧みな手捌きで与えられる快楽に段々と腰砕けになり、二人の部屋の前につく頃にはもう生まれ立ての小鹿並みの速さでしか歩く事が出来なくなってしまっていた。

「はあ〜……はぁ〜……」
「我慢しないで、ちんぽみるくをびゅーびゅー出しちゃいなさい♪」

快楽を堪えて息も絶え絶えになりつつあるマーチェは部屋の扉を開け、ベッドの傍へと何とか震える足腰で辿り着くと、傍にある台上のバスケットに手に抱えた全ての食料を押し込むと、開いた両手で陰茎に巻きついて離さないエルゥトーの手を掴んで力任せに引き剥がし、そしてエルゥトーの体を掴んでベッドの上へと放り投げる。
ベッドが扱いの悪さに抗議の音を上げる中、マーチェはエルゥトーの投げ出された体を両手でベッドに縫いつけた。

「悪戯する悪い蛇にはお仕置きが必要だ」
「お仕置きって、どんな事をする気なのかしら♪」

お互いの言葉の字面は剣呑だが、その言葉に含まれる声色は明らかに楽しんでいるもの。
そしてマーチェのお仕置きを催促するように、エルゥトーは口を開き両手の指で口の縁を広げて彼に口内がよく見える様にしながら、その中にある真っ赤な先割れの長い舌が何かを強請る様にうねうねと動かす。

「そうだなまずはその口で、俺のモノをしゃぶってもらおうかな」

エルゥトーの求めに従いながらも口ではお仕置きの体を崩さず、マーチェは腰の位置を動かして寝そべったままの彼女の口内に自分の陰茎を滑り込ませた。

「あむっ……じゅりゅぅるぅ〜〜〜♪――お仕置きじゃぁ、仕方ないものね♪♪じゅぅ、じゅっじゅぷッ――」

待ってましたとばかりにマーチェの陰茎を口に含んだエルゥトーは、押さえつけられて自由の利かない体の代わりに、一心不乱に首から上を動かしてマーチェを高めていく。
エルゥトーが首から上しか動かしていないのにもかかわらず、マーチェは日頃彼女から受けている愛撫となんら変わる事の無い快楽を一物から感じ、思わず腰が震えてその場から動けなくなってしまう。
そんなマーチェの気持ち良さそうな様子を、上目遣いで見ていたエルゥトーは喜悦に顔を歪ませると、より一層素早く頭を動かし舌も亀頭に巻きつき動かして刺激を与えていく。
ただでさえ食料庫から部屋までの道のりで射精寸前だったマーチェは、一気に与えられる快楽の量が増えたためにとうとう堪えきれなくなり、睾丸から駆け上った精子が前立腺で分泌液と交わり合わさり、それが尿道を押し広げていく感覚を下腹に感じた。
そしてマーチェはその感覚に逆らう事はせずに、そのままエルゥトーの口内に向けて、鈴口から精液を吐き出し浴びせかける。

「くぅぅぁああぅーーー!!」
「じゅちゅ〜〜〜♪♪」

下腹に力を込めて精液を搾り出していくマーチェに、エルゥトーは口内の空気を吸い込み、尿道を駆け抜ける精液の手助けをする。
そんなエルゥトーの献身的な愛行為に、更にマーチェは睾丸からは精子が駆け上り、硬直した陰茎にある尿道を無理矢理広げながら精液となってエルゥトーの口内へと吐き出されていく。
びくびくと一分ほどをかけて躍動しながら精液を吐いていたマーチェの陰茎だったが、やがて躍動と共に射精も収まり、精液を吐き出し終えたマーチェは体に残る射精間に身を浸していた。

「じゅるるぅ〜〜〜♪……ちゅーーぱッ――」
「はうあ!!」

自分を無視して悦に浸るマーチェに対しての抗議か、エルゥトーは力強く彼の陰茎に根元から吸い付くと、そこから引き抜きつつ彼の尿道に残っていた全ての精液を吸い尽くしながら亀頭まで唇を持ってきて、最後に彼の陰茎の鈴口に跡が残るほどに吸い付いてから彼の陰茎から口を離す。
射精して気を抜いていたところにそんな快楽を受けたマーチェは、びくりと体を震わせて硬直すると、体の動かし方を忘れたかのようにそのままの形で数秒間固まってしまった。
そしてマーチェが硬直から復帰する前に、エルゥトーは蛇の体を彼の胴体に巻きつけるとそのまま引き倒し、そして今度はエルゥトーがマーチェの体の上に乗る形になった。

「ほ〜ら〜、みへる?ぷりっぷりの、まーてのへいひだお♪♪」

そしてベッドに大の字にされたマーチェの目の前でエルゥトーは口を開くと、彼女の口の中に溢れるほどにたっぷりと詰まったマーチェの精液を彼に見せ付けた。
エルゥトーの口からマーチェの顔に零れ落ちそうになる度に、エルゥトーは長い舌でマーチェの顔に落ちる前に回収し、やがてまた落ちそうになったらまた回収するを繰り返す。
自分の吐き出したものが何時顔に落ちてくるのかと冷や冷やするマーチェの表情を見て、嗜虐心をくすぐられたエルゥトーは何かを思いついたようだった。

「んくッ。こきゅ、こきゅぅ――ごひひょうさまれひた〜♪♪」

そしてその思いつきを実行に移すために、まずエルゥトーは口に入っていた全ての精液を飲み込み、飲み込んだ証を見せるようにマーチェに自分の口内を見せた後に、彼が身動きが取れないように彼の体を蛇の体を使って二重三重にと縛っていく。
常人ならばこんな事をされれば恐怖心が生まれてもおかしくは無いのだが、もう幾度と数えるのも馬鹿らしいほどにエルゥトーと体を重ねたマーチェにとって、彼女がどんな風に自分を喜ばせてくれるのかという興味しか湧いてこない様子。

「今度は、私がこの意気地なしのおちんぽにお仕置きする番ね♪」

エルゥトーは蛇の体で巻きついたまま、彼女の頭をマーチェの足先へ向けお尻を彼の目の前に持ってくると、彼女は毬球より大きな自分の乳房で彼の陰茎を包み込み、そして乳肉に埋もれて間から可愛らしく顔をちょこっとだけ覗かせた亀頭へ、エルゥトーは先割れ舌でチラチラとくすぐる様に舐めていく。

「エルゥトー、それ凄く良いぞ」
「気持ちよくなってくれるのは嬉しいけど、お仕置きだから勝手に出しちゃだめよ♪」

蛇の体で巻きつかれ身動きの取れないまま、自分の愛する妻から奉仕を受けているマーチェは、この余で一番の幸福をその身に感じていた。
しかしそれがエルゥトーの周到な計画の一部分でしかない事を、いまこの時点の彼は知らない。
最初は亀頭を舐めていただけのエルゥトーの舌は、次には亀頭に絡みついて磨くように動かされてマーチェに快楽を与える。やがて亀頭がぷっくりと膨れて先走り液が先端から滲み出ると、エルゥトーの舌は亀頭から絡みつくのを止め、そして再度亀頭を舐める事だけに専念し始める。
やがて亀頭の膨らみが弱まり先走り液も滲まなくなると、また亀頭に絡みつききつい愛撫を再開する。
そんな調子で何度も何度も責められるうちに、マーチェは何かおかしいことに気がついた。
本気でエルゥトーがマーチェを責めているのならば、もう既に彼が果てていてもおかしくは無い時間が経っている。
それに何時ものエルゥトーならその自慢の胸を誇示する様に、マーチェの肉棒を何度とは無くその胸の中で果てさせるのを至上の喜びを感じている節があるのに、今日は肉棒を包んだきり一向に動かそうとはしていない。
そう明らかにエルゥトーのこの行為はマーチェを果てさせるのが目的ではなく、むしろ果てさせない方に意識を集中させているように見える。
まさかと思ったマーチェはエルゥトーの顔を見ようと身を捩り、そしてエルゥトーは彼が何を尋ねようとしているのか知っているかのようにチラリとだけ彼のほうに目を向ける。そのエルゥトーの目には、この行為の意味を理解した得物がどんな顔を見せてくれるのかという、嗜虐的な微笑みが浮んでいた。
そこでこれが一種の寸止め行為だと実感したマーチェは、いま身に受けているどんな快楽すらも素直に喜べなくなってきてしまう。
陰茎に感じる蕩けるような乳肉の温かさと、亀頭に巻き付き刺激を与えてくれる舌の濡れた感触、体を締め付けて離そうとはしない蛇の尻尾の鱗のざらつきに、彼女が陰茎を舐める度に目の前で揺れる安産型の尻と濡れた膣穴。
それら全てがマーチェにお預けを食らわすために用意された餌であり、彼を生殺すために使用されている道具。

「エルゥトー、頼むから――」
「まだよ、まだ我慢……」

そのエルゥトーの言葉は果たしてマーチェに掛けた言葉なのか、それとも暴走しそうになる自身の自意識に向けての言葉なのか。
どちらにせよ、直ぐにでも愛しい雄の精を貪りたい魔物娘にしては驚異的な我慢強さを発揮したエルゥトーは、同じ手法で三十分も掛けてマーチェを生殺しにし続けた。
その結果マーチェの陰茎は何もせずともはちきれんばかりに勃起した状態で固定され、その鈴口からは止め処無く我慢汁が垂れ流され続け、そして彼の体は断続的に繰り返される快楽刺激によって、全身の至る所の筋肉が弛緩してしまっていた。

「あは♪もう直ぐにでも爆発しちゃいそうね♪♪ふぅ〜〜〜」
「や、止めてくれぇ!!」

散々舌で磨かれて敏感になりすぎた亀頭にエルゥトーが息を吹きかけると、弛緩によってあふれ出てきてしまう涙を撒き散らしながらマーチェは止める様に懇願する。
しかしその表情を見たエルゥトーは、愛しい人が責め苦を受けているのを見る妻の心の痛みと、冒険者として鳴らした勇ましい雄が情けない姿をさらすのを見つめる魔物の雌の喜びがない交ぜになった、一種芸術的とも取れる禍々しい笑みを浮かべていた。
そしてエルゥトーはマーチェが弛緩して動けないのを念入りに確認した後で、彼の胴体に巻き付けていた蛇の胴体を外すと、彼の胸板に自分の豊満な胸を押し付けるようにして覆いかぶさった。

「安心してマーチェ。もう意地悪は止めるから」
「ああ、エルゥトー……」

顔に口を寄せて耳元で囁くようにそう告げたエルゥトーの言葉に、マーチェはようやく生殺しの生き地獄から脱する事が出来ると安堵して彼女の名前を口に出す。
しかしエルゥトーのその表情は些かも変わりは無く、むしろこれからが本番だといわんばかりに例の笑みが深みを増していく。

「そうよマーチェ、安心して私に身を任せて。今からタップリと射精させて、あ・げ・る・わ♪」
「――!?」

息を吹きかけられるだけでも悶絶してしまう程に高められたマーチェの陰茎に、エルゥトーは自分の体こすり付けるようにして、段々と彼の足元の方へと体をずらしていく。
陰茎に走る蛇の鱗のざらざらとした感覚が、やがて人間の女性特有の柔らかな感触へと変わり包まれる。
それだけでも射精しそうな程に気持ちが良いのに、エルゥトーに過剰なまでに高められた肉体は、待ちに待ったのにこの程度の刺激では射精することは出来ないとばかりに、彼の鈴口から出てくるのは透明な我慢汁だけ。
しかし陰茎がエルゥトーのたっぷりとある乳肉に包まれ、そのしっとりと張り付きながらも膣とは違う圧倒的な質量による緩やかな締め付けを実感すると、彼の鈴口からはその感触を待っていたとばかりに、薄らと白いものが混ざった透明な液体が浮かび上がる。

「マーチェはやっぱり私のこの胸が大好きなのね♪じゃあ私のこの胸の感触を忘れなくなるように躾けないとね♪♪」

胸の谷間にマーチェの陰茎を挟んだエルゥトーは口を開くと、その谷間の部分に彼女は自分の唾液を垂らして行く。
一本の糸の様に細いながらも途絶えることの無いその唾液が、エルゥトーの乳肉の上から段々と浸透して行き、そして乳の内側全てに満遍なく行き渡ると、次にマーチェの陰茎――その亀頭部分から全体へと浴びせかけるように、彼女の生ぬるい唾液が彼の陰茎を包み込んでいき、最終的にエルゥトーの胸の谷間の全ての空間が彼女の唾液で埋まる程に、乳肉の内側はヌメヌメになってしまった。

「さぁて、どんな感じかしらぁ♪」

自分の胸の具合を確かめるかのように、エルゥトーは両手で自分の二つの胸肉を捏ね繰り回していく。
にちゃにちゃとその谷間が卑猥な音を立て、その谷間に存在するマーチェの陰茎を包み込んで圧迫したまま形を変えていく。

「うッ!!」
「きゃ!……もう、勿体無いじゃない」

しかしエルゥトーの乳肉の圧力と温かさに彼女の唾液の粘つきが加わった感触を、敏感になりすぎた陰茎にまともに喰らったマーチェは、短い呻き声を上げた後その鈴口から白い迸りを放ち、それは埋められた乳肉を掻き分けて飛び出してマーチェの顔に掛かる。
その白い液体を頬に受けたエルゥトーは、それを長い舌で舐め取りそれを口内で味わうと、もう待てないと言わんばかりの発情しきった魔物娘特有の潤んだ瞳に淫欲の炎を灯らせ、上気した緩んだ頬すらも隠すここと無く、自分の乳肉に埋もれてしまったマーチェの鈴口に口を付けて吸い込みながら、両手で乳房を捏ね繰り回してマーチェの陰茎を刺激していく。

「やめろ、それは、逝ったばかりで、きつ、うぅおぅ!!!」
「じゅゅぅう゛ぅう゛〜〜〜♪♪」

逝ったばかりでしかも限界まで高められた陰茎の鈴口部分を吸われながら、鈴口以外の場所を乳肉で蹂躙されたマーチェは、先ほど射精したばかりだというのに、エルゥトーの吸い付いているその口へと白い液体を吐き出してしまう。
口に入ってくる精液を吸い込み飲み込みながらも、マーチェの次の精液を強請る様にエルゥトーの乳肉擦りは止らない。
にちゃにちゃ・ぐちゅぐちゅと胸の谷間から音が流れ、乳房がエルゥトーの両手でまるでスライムかと思うほどにぐにゃぐにゃと形を変えながらマーチェの陰茎を愛撫し続ける。

「何回、射精させれば、気が済むんだぁ!!」
「もっとぉ、もっとなの♪もっとちょうらい♪♪」

二度三度とマーチェの陰茎が躍動して白い迸りを吐き出してもエルゥトーは口を離さず、四度五度と乳房に搾り取られるように白い液体が飛び出しても彼女は満足せず、六度七度目にようやく口を鈴口から離して白く鈴口から漏れ出る液体を舌で受け始め、八度目の射精でようやく満足したのかエルゥトーはやっと胸の谷間からマーチェの陰茎を解き放ち、胸にこびり付いている彼の精液の名残を手で掬い取って舐め取り始めた。

「はふぅ……胸もお口も、それにお腹の中からもマーチェの精の匂いがして、しあわせ〜♪」

うっとりと自分の体に染み付いたマーチェの匂いに陶酔するエルゥトーを横目に、マーチェは射精疲れで動かし辛い腕をノロノロと動かし、ベッドの横に備え付けられた台の上にあるバスケットの中から、一つの乾燥した果物を手に取ると口に放り込む。
そしてそれを皮切りに次々とそのバスケットの中の干し果物や干し肉を口に放り込んだマーチェは、二度三度と掌を握ったり開いたりを繰り返して体の状態を確認し、体が過不足なく動く事を把握するとゆっくりとエルゥトーに悟られないように上体を起こした。
そして酔いしれているエルゥトーがマーチェに顔を向ける前に、彼は彼女の胸を鷲掴みにすると、そのまま乱暴に揉み始めた。

「おい、エルゥトー。よくも俺を良い様に扱ってくれたな」
「あひん♪お腹に、食料を入れれば全快って、相変わらず冗談みたいな体質ね――はふッぁ♪」
「こんな冗談みたいな体質じゃなきゃ、オマエの様な底知らずの淫乱エキドナの相手は務まらないだろうが!」

そう吠えるように言ったマーチェはエルゥトーと体勢を入れ替え、今度はエルゥトーがベッドの上に横たわり、その上に組み敷く様にマーチェが乗っかる形へとなった。
エルゥトーにとっては、さぞや気位の高いエキドナらしく自分上位が覆されて不満かと思いきや、彼女は目の前の愛すべき雄が自分にどんなひどい事をしてくれるのかという、被虐的な期待で胸がいっぱいの様子。

「さて、俺を道具の様に扱ったお礼はどうしようか。俺がやられたように長時間胸だけ揉むか?」
「ふぅぁ、そんな力強くぅあ、おっぱい弄っちゃいやぁん♪」

マーチェの大きな両手が大きく開かれエルゥトーの二つの乳房に乗せられると、まるでパン生地をこねるような力強さで弄び始める。
普通の人間の女性なら痛みを感じてしまうようなそんな行為だが、揉まれているエルゥトーは実に嬉しそうにマーチェの手つきを身に受け、時々悩ましげな表情を浮かべて彼にエルゥトーの胸の気持ちのいい場所を教える。
エルゥトーのそんな様子にマーチェは心の中で満足はしながらも、これでは散々楽しませてくれたエルゥトーへのお返しにはならないと考えているような気難しい様な表情を浮かべると、乳房から手を離し彼女の体の上からもどいてしまう。

「マーチェ、止めちゃいやぁ……」

マーチェの愛撫が唐突に終わった事にエルゥトーは、性的欲求を得られない不満とマーチェに嫌われたかもしれないという不安そうな表情を浮かべる。
しかしマーチェの手が胸の上にそっと乗せられ、羽根が肌に触れているような絶妙な力加減で手がエルゥトーの体の上を滑ると、彼女は自分の考えが間違っていたことを理解し、全身で彼の手つきに集中し始めた。

「慌てるな。しっかり愛してやるから」

そっとエルゥトーの耳元で呟いたマーチェは、近くにあった髪の毛が変じたと思われる彼女の二匹いる蛇の片方に口を付け、それを男根を愛撫する娼婦のように根元から蛇の口先まで舐め上げる。
初めてそんな事をされたのかエルゥトーと髪の蛇は一瞬身を固まらせたが、次の瞬間にはマーチェに体の支配権を任せるように力を抜いて、彼の挑戦的な愛撫を味わい始めた。
しかしマーチェがその口で弄り回しているのはエルゥトーの体のたった一部分。たしかにマーチェは気持よさに身をくねらせているのだが、あまりに身に受ける性的刺激が薄すぎるのか、堪えられないように蛇の体をモジモジさせ、マーチェに悟られないように気を付けて蛇の体の尻尾が彼女の膣口へとそろそろと近づき、そしてくちゅりと音を立てながら触れられる。
しかしそこで膣と蛇尻尾の間にマーチェの手が邪魔するようにするりと差し込まれると、エルゥトーは直ぐ横にある髪蛇を愛撫し続けているマーチェに懇願の目を向ける。
しかしマーチェはチラリとその目を見ただけで目をそむけると、髪蛇の愛撫をより念入りにし始める。
まさか先ほどの行為の仕返しに、このまま長時間髪蛇しか愛してくれないのかとエルゥトーが危惧していると、マーチェの彼女の股間に差し込まれていた手が、何の前触れも無く彼女の陰唇を下から上へと撫で上げ、そして薄皮に包まれている彼女の陰核へ触れた。

「ひゃぁぅ!!」

焦らされ火照ったエルゥトーの体を突き抜けるように、マーチェが彼女の陰核に触れた感触が駆け巡ると、その衝撃をエルゥトーは生娘のように体を縮こまらせて耐えようとしてしまう。
そんな余り見たことの無いエルゥトーの様子にマーチェは口の端を上げて笑うと、口から髪蛇を解き放った後でエルゥトーへ呟く。

「自分自身で慰めるなんて事をしなくても、ちゃんと俺が愛してやるから心配するな」
「もう私堪らないの。ねぇ、おちんぽ突っ込んでよぅ……」
「しょうがないな……」

エルゥトーの要望にマーチェは応える素振りを見せた後で、エルゥトーの陰核を弄っていた指を愛液でぐじゅぐじゅにふやけている膣口へと無理矢理ねじ込んだ。

「はほぅおぉ〜〜〜!!」
「でもその前に確りと前戯はしておかないとな」

無理矢理指で押し広げられた膣の感触に硬直して喘ぐエルゥトーの耳元で、マーチェは悪戯を思いついた悪ガキの様な表情を浮かべながら言うと、膣内に入った彼の指がエルゥトーのとても感じる場所だけを攻め立てていく。
最初は膣口側のこりこりぷりぷりとした粒々の膣壁を撫で上げ、そしてそこから程近い場所の上壁にある硬貨大の膨らみを力強く擦ったかと思えば、更に指を奥へと侵入させて子宮口を指の腹で捏ね繰り回す。
しかもマーチェは指を動かしながら、吸い付いた彼女の乳首を口の中で舌で舐め上げ門歯で甘噛みしてゆく。
そこでようやくエルゥトーは、今からマーチェが先ほどエルゥトーがした事に対する仕打ちだの仕返しだと気が付いた。そうマーチェはエルゥトーがした事は逆に、これから数十分も指と口だけで彼女を絶頂させ続ける気だと。

「違うのぉ!指じゃないの!マーチェのおちんぽが欲しいの!もう二度と意地悪しないから、意地悪しないで挿入れてぇ!!」
「いやだね」

エルゥトーの泣き出しそうな程の懇願を立った一言で切り捨てたマーチェは、身を捩って逃げようとする彼女を巧みな体術で組み敷いてベッドの上に縫い止め続けつつ、彼が満足するまで指と口とで彼女を果てさせ続けた。
一度目はキスをしながら膣内を激しくかき回されて。二度目は乳首と乳輪に執拗なまでに舌での愛撫を受けながら陰核を抓り上げられて。三度目は膣の入り口を舌で穿られつつ尻穴を指で解されて。四度目と五度目は奥深く侵入した人差し指と中指で子宮口を捏ね繰り回されて連続して起こった。六度目は尻穴から差し込まれた指が壁越しに子宮の裏側を撫でられつつ、下腹の子宮のある場所をもう一方の手で押すようにこね回されて。七度目八度目は散々弄り回されて気絶寸前の状態で、口を吸われながら親指で陰核を弄り回され、人差し指中指薬指の三本で膣内の気持ちのいい三つの場所を同時に責められつつ、傍目では逝ったとは思えないほどに静かに体を震わせて果てた。

「ぁぅ――ぇぁ――」

その行為の結果、エルゥトーは意識の薄まった瞳で天井を見つめ、あらゆる筋肉が弛緩した体をベッドに預けつつ、激しい前戯の余韻と部屋に流れる空気だけで軽く達し続けてしまうような状態になっていた。
そんなエルゥトーの様子にマーチェはやり過ぎたという思いを持ちながらも、彼女の今まで見た事の無い痴態を目に出来た興奮が体を支配し、彼の股間にあるイチモツは何時に無く天を突くかの様に勃起している。

「これだけイケば、もうこれは要らないか?」

マーチェはエルゥトーの上に跨ると、その猛々しいほどの陰茎を茫然自失なエルゥトーの目の前に持ってくる。そうすれば彼女が何らかの反応を返すと確信した様子で。
そのマーチェの確信は的を射ていたようで、愛しい雄の猛り狂った陰茎を見せ付けられた魔物娘らしくエルゥトーの瞳は獣性を取り戻し、そして快楽に甘えきり弛緩していた肉体にも意志力が戻っていく。
勃起した陰茎を誇るように見せ付けていたマーチェの後ろで、エルゥトーの蛇尻尾が翻ったかと思うと彼の胴体をその両手諸共に縛り上げ、彼の体――率いてはその陰茎を自分の膣口付近まで運んだ。

「フフフッ……絶対に許さない。私をこんな体にした責任取ってもらうわ……」

ベッドの上に寝そべり意思の戻った瞳でマーチェを見つめながら、快楽漬けにされた肉体が愛しい人と擦れる度に小さく達しつつ、言葉とは裏腹にこの後に訪れるであろう快楽を期待した表情を浮かべて、エルゥトーはマーチェに対して宣誓する様に言葉を紡ぐ。

「じゃあ此方もきっちりと落とし前を着けなきゃな」

そして体をぐるぐる巻きにされたマーチェも、エルゥトーに対し挑戦的な笑みを浮かべながらも、どこか彼女がするであろうどんな行為をも受け入れる覚悟を秘めた顔付きで、怒張させた陰茎の鈴口から透明な液体を滴り落ちさせていた。

「そんな減らず口、言えない様にして上げるわ……」

はぁはぁと期待と興奮が合わさった熱いと息を漏らしながら、エルゥトーは蛇の体でマーチェを引き寄せ、彼の亀頭を膣口へとくっ付ける。

「はふぁあぁああああああ〜〜〜!!!」
「ふうぅうぅ――……」

エルゥトーの愛液でしとどに濡れた膣はマーチェの陰茎をくわえ込むと、まるで蛇が得物を丸呑みするようにゆっくりと、だが確実に膣道の奥へ奥へと進ませていく。
陰茎が膣道を滑り入りその中にある愛液を外へと押し出しながら、二人のお互いの性器が愛液越しに擦りあわされる度に、エルゥトーからは嬌声とも咆哮とも取れる不思議な声が喉を震わせ、マーチェの口からは何かを堪えるような味わうような吐息が漏れ出る。
奥へ奥へと飲み込む膣と進む陰茎だったが、その終点である子宮口へと陰茎が到着し、膣道全てにみっちりと陰茎が収まる。

「はぁ……はぁ……」
「はー……はー……」

膣道をたったの一往復――いや、一突きだけしかしていないのに、お互いにお互いを無遠慮に高めあった二人の体は、もう既にそれだけで絶頂の極みへと到達しそうになってしまい、エルゥトーは蛇の体でぐるぐる巻きにしているマーチェを締め付けることとでそれを紛らわし、マーチェはエルゥトーに与えられる締め付けによる苦しさで堪えている。

「どうしたエルゥトー?腰が、震えているぞ?」
「マーチェだって、ものすごく、きつそうよ?」

お互いがお互いに限界ギリギリで踏みとどまって減らず口をたたき合いながら、しかしそれ以上は一歩も進めないような体の状態の中、先に動いたのは意外な事にぐるぐる巻きにされたマーチェの方だった。
マーチェは軽く――巻き付かれて身動きが取れないのでほんの少しだけ腰を引くと、亀頭に感じているエルゥトーの子宮口のぷっくりとした感触を少し押しつぶすように腰をちょっとだけ突き出した。

「はひゃぅあぁーー!!」

普段なら何とも無いはずの小さな往復。たったそれだけでエルゥトーの体には甘い痺れが走り、背中には悪寒にも似た絶頂直前のゾクゾクとした感覚が後頭部まで駆け巡った。もうこのまま陰茎を押し付けられただけで果ててしまいそうな程に、エルゥトーの体は陥落寸前。
このままではマーチェより先に達してしまうと感じたエルゥトーは、一人で果てるよりはと諸刃の剣を抜く。

「やってくれるじゃない!」
「うぉおぉう!!」

絶頂寸前の膣内に力を入れてマーチェの陰茎を締め付け、さらには絶妙な力加減で膣道をグネグネと動かす。
これには優位に立ったと油断していたマーチェに不意打ち気味に効き、もうマーチェの腰には精子が駆け上ってくる切迫した気持ちよさと、陰茎は射精寸前の兆候である膨らみをみせる。
しかしこれは絶頂寸前のエルゥトーにとっても効いた。膣道を動かしたために、マーチェの亀頭がその反動で子宮口を押し付けながら揺れ、それに伴ってエルゥトーの体にも快楽の波が走る。

「ふひゃぁああぁぁあああーーー!!」
「くぅおおぉおうぅおぉぉーーー!!」

そしてエルゥトーはマーチェを膣と蛇の体できつく締め付けながら、マーチェはエルゥトーの奥へ吐き出そうと締め付けられながらも腰を突き出し、二人同時に体を震わせながら果てる。
エルゥトーの膣内でマーチェの陰茎は躍動しながら精を彼女の子宮内へと押し込み、マーチェの陰茎を更に搾り取ろうとエルゥトーの膣道は小刻みに締め付けつつ子宮口は鈴口に吸い付く。
お互いがお互いに先ほどまでの前戯で散々達してきたのにも関わらず、マーチェの陰茎からはこれが今日始めてと勘違いするほどの大量の精液が飛び出し、エルゥトーの体は散々達した疲れを見せない程に絶頂の喜びを全身で表すかのように背筋を硬直させた。

「はふぅ〜〜〜〜……」
「ぜぇ……ぜぇ……」

そして二人が同時に達して数分後、エルゥトーは子宮に感じるマーチェの精液の温かさに満足げに溜息を吐き、マーチェは睾丸の中の精を全て搾り出すために使用した体力を取り戻そうと、荒々しい息を尻尾にぐるぐる巻きにされながら吐いていた。
だがそんな中でふとお互いの目がお互いの瞳へと向けられると、二人はどちらとも無しに苦笑しあう。

「なんで私たちこんなに意固地になってたのかしら?」
「本当にそうだな。普通に愛し合えばよかったのにな」

そうしてお互いの唇へと口付けを交わす。舌が絡み合い、お互いの愛情を確かめる口付けを。
口が合わさっている間、マーチェへの巻き付きを解いたエルゥトーのお礼に、マーチェはより口内の奥へ舌をねじ込むように、エルゥトーをベッドへと深く沈めるかのように深く口付けをする。

「ぷぁ――じゃぁ、今からは♪」
「そうだな普通に愛し合おう」

一度口を離して言葉を紡いだ後、また二人は口付けを交わす。
今度は覆いかぶさっているマーチェの首筋を、ベッドに寝転がるエルゥトーが両腕で抱えて引き込み、彼女の左右一組の髪蛇もマーチェを離さないようにと彼の脇の下から背中へ周ったあとで引き寄せる。
二人の体に挟まれる形で軽く押しつぶされたエルゥトーの大きな乳房を、マーチェは横合いから手で揉んでいく。

「ちゅ――どうだ、気持ちいいか?」
「もっと、強くしてくれても大丈夫よ♪」
「じゃあもうちょっとだけ強くする」

マーチェの軽く乳房に添えられる程度の強さだった手つきが、エルゥトーの言葉を受けて彼女の乳房の形を少し変える程度の強さに変わる。

「そう、そんな調子でお願い♪」

エルゥトーの唇からマーチェが口付けの場所を首筋へと変えた時に合わせ、エルゥトーは彼の耳元に甘い響きを混ぜた声色で呟く。
彼女の言葉を耳で受けながら、マーチェはエルゥトーの首筋に浮かぶ静脈に吸い付いてその場所をうっ血させて、彼女が自分の物であるという証を残すかのように口付けの跡をつける。
やがて跡をつける口付け行為は首筋から鎖骨へと移り、そしていま彼が手で扱っている乳房へ。

「そんなに必死にマーキングしなくても、私はマーチェのモノだからぁん♪」

左乳房の上半分に口付けの跡を施されたエルゥトーは、しかしそのマーチェの独占欲の印を嬉しそうに受け入れると、彼の首に巻きついていた両腕と髪蛇を解くと、彼女の下乳に舌を這わせてその場所を味わっているマーチェの頭を、その艶やかで滑らかな手で幸せを分け与えようとするように優しげに撫でる。
それを受けたマーチェは乳房の付け根から頂上にある乳輪部分に掛けてゆっくりと舐め上げると、そしてその乳輪を食べるかの様に大口を開けて乳房にしゃぶりついた。

「あむぅ――ちゅぅ〜〜ぱッ、ちゅう〜ちゅぅ〜〜……」
「ああん♪そんな赤ちゃんみたいにぃ♪♪」

エルゥトーの中にあるエキドナの母性本能をくすぐられる様な、赤ん坊のように一心不乱に乳首に吸い付くマーチェを、エルゥトーはより一層愛しく感じ、彼の頭を撫でる手つきは恋人へのものと子供へに与えられるべきものを含んだものになってしまう。
エルゥトーの手つきが変わった事を知ったからか、マーチェは乳首に吸い付きながら、止まっていた両手を動かして彼女の乳房への愛撫を再会する。

「ちゅっぱ、ぢゅっぅ、じゅちゅぅううう〜〜」
「そんなに一所懸命に吸っても揉んでも、お乳は出なふぁん♪♪」

それ以外にも乳首を親指と人差し指でコリコリと軽く弄んだり、乳腺のある場所を丹念に指で揉み解したりとエルゥトーの胸を散々弄繰り回したマーチェだったが、エルゥトーの表情に淫欲の色が強くなり、それに伴い彼女の股間からは次の段階を希うように、男を引き寄せるような匂いが放ち始めたことに気がついた。

「挿入れて欲しいのか?」
「うん。早く挿入れてぇ〜」

乳房から口を離したマーチェがそう耳元に口を近づけて尋ねると、エルゥトーは何時に無く可愛らしく甘えた声で質問に答えた。
愛しい妻がそう言うのならとマーチェは乳弄りを止め、エルゥトーの秘所に手を伸ばして彼女の股間の蜜壷から愛液を指で掬い取り、それを自分の陰茎に塗りつけ始めた。

「ねぇ、愛撫はもう十分だから、早くココに挿入れてよぅ……」

エルゥトーはマーチェがこの段になってまた意地悪を再開させたのだと勘違いしたのか、マーチェに準備が出来ている事を判らせる様に、ベッドの上で両手の人差し指で自分の秘所を両側から広げて、泉のように奥から滾々と愛液を湧き出す肉穴を晒す。そして蛇の体ももう待てないと、マーチェの背中を尻尾で突付いて急かす。
そんなエルゥトーの恥も外聞もかなぐり捨てた様子に、マーチェは彼女におねだりする子供を見る親のような視線を向けた後に、そのおねだりを叶えるために彼女の膣口に自分の陰茎を近づける。
そうして二人の性器がただ少しだけ触れ合ったとき、その二つの間からはくちゅと粘ついた淫猥さの極致の様な音が漏れた。

「挿入れるぞ、準備は良いか?」
「はやく、はやくぅ〜♪」

エルゥトーはマーチェの確認の言葉すら耳に入らないのか、自分の秘所に付けられた彼の陰茎の熱さと雄雄しさに視線も触感も釘付けになっていて、しかもその口からは彼を急かす為の言葉しか出てこない。
そんな魔物娘然とした愛しいエルゥトーの様子に、マーチェは苦笑しつつも彼女の要望通りに陰茎を膣肉の間へと滑り込ませていく。

「ほはぁぁっぁああぁぁうぅ〜〜〜♪♪♪」

エルゥトーの大好きなゆっくりとした挿入に、彼女は口から歓喜の嬌声を迸らせながら、マーチェの肉棒を膣肉の抱擁という出迎えで大歓迎する。
一方のマーチェはうっかりしてしまえば射精しかねないほどに、相変わらず凶暴なほどの快楽の渦を持つエルゥトーの膣内を、暴発に気を付けながら奥へ奥へと進んでいく。
そうしてマーチェが彼の陰茎を根元まで押し込むと、更にもっと深くまで繋がろうとするかのように、エルゥトーの両腕と一組の髪蛇に彼女の蛇の胴体がマーチェの動きを阻害しない程度に巻き付いて引き寄せ始める。
そんなエルゥトーの様子に応えて、マーチェも彼女の人間の胴体に大きく腕を回して力強く引き寄せた。

「大好き、だいすきなのぉ♪マーチェのこと、この世で一番、大好きなのぉ♪」
「俺もエルゥトーを愛している。絶対に手放せないほどに」

そしてどちらとも無く始まる愛の告白。
もう何年も交わり続け、幾百の夜を共に過ごしても、二人の愛には些かの陰り――いや寧ろより一層その深みを増した輝きを放って、二人の身を愛の炎で焦がしつづけている事を証明するための、何時も二人が交わっている最中に行われる儀式。
二人はお互いの心の内を確かめると、ゆっくりとお互いの顔へと顔を近づけ、そして優しい――新郎新婦が神の前でする口付けの様な接吻を交わしながら、二人の腰から下は獣欲に支配された魔物の様に荒々しく結合したまま踊り始める。

「あん♪もっとぉ♪もっと激しくしてぇ♪もっと奥の奥まで穿ってぇ♪」
「ココが気持ちいいんだろ!この子宮口の直ぐ裏の部分を、チンコで小突かれるのが大好きなんだろ!!」
「そこも好きぃ♪手前も奥も、マーチェのおちんぽで♪最高に気持ちいいのぉ♪」
「この淫乱蛇女!こんなに膣を蹂躙されて嬉しいのか!!」

激しくマーチェの肉棒に攻め立てられているエルゥトーは、その身に受ける快楽を甘受しながらも、体を翻弄される悦楽から耐えようとベッドのシーツを握り締めている。
マーチェは体に緩やかに巻きついたエルゥトーの蛇の体を物ともせずに腰を振りつつ、両手では彼女の腰を引き寄せてより彼女の奥へと押し入ろうと躍起になる。

「あんぁひゃん♪子宮口をそんなにぃコンコンしたら♪赤ちゃんのお部屋開いちゃうのぉ♪」
「子宮に入れて欲しいんだろ!?赤ん坊の部屋を目茶目茶にして欲しいんだろ!」
「そうよ、めちゃめちゃにしてぇ♪私の体の一番奥まで犯してぇ♪♪♪」

その言葉通りにマーチェの陰茎を受け入れようとするかのように、エルゥトーの子宮が段々と降りてきてより一層激しくマーチェの肉棒とぶつかり出す。
マーチェの方もエルゥトーの子宮が犯して欲しそうにしている事を陰茎を通して知ったのか、肉棒をぐいぐいと奥へと押し付けつつも腰を回して子宮口捏ね繰り回して拡げようと画策し始める。
やがてマーチェの意図をエルゥトーの子宮が理解した訳ではないだろうが、段々と子宮口が広がり始め、ゆっくりとマーチェの亀頭が子宮の中へと入り始めた。

「ああ、入って、入ってくるうぅう♪――ほひぃぃいぃい♪♪」

そして子宮口の抵抗が途絶えた瞬間、マーチェの亀頭がエルゥトーの子宮の中へと入り、その衝撃にエルゥトーは口から意味不明な叫びを上げる。
しかし子宮内に押し入ったマーチェは腰を休める事は無く、むしろより激しくそこを犯すために腰使いが厭らしく変化する。
まずは子宮壁を押し入った亀頭の括れ部分で削り始め、子宮全体がその刺激に収縮と弛緩を始めると、収縮した時には突き入れて最奥の壁を叩き、弛緩したときは雁首で子宮口ごと引っ張るかの様に腰を引く。

「はひぃ♪♪ふあひぃぃ♪♪ふぁあんゃ♪♪」

これほど丹念に子宮を苛められたのは初めてなのか、翻弄されて体をくねらせるエルゥトーから出てくるのは判別不能の喘ぎ声と、彼女の膣から流れ出る愛液がマーチェの陰茎にまとわりつく淫靡で卑猥な耳に残る粘つき音だけ。そしてマーチェが子宮を穿るたびに、エルゥトーの体は軽い絶頂による体の硬直と弛緩を繰り返す。
そんな性行為の喜びの全てを、一身に受けているようなエルゥトーの様子に、マーチェは嬉しさがこみ上げてくる。
しかしその嬉しさも、睾丸から登り始めた精子の様子に長続きはしなかった。

「エルゥトー、もうそろそろ、射精そうだ!」

歯を食いしばりどうにか射精を遅らせようとしながらも、エルゥトーに快楽の提供を止めるわけにはいかないマーチェは腰を振り続ける。

「私も♪もう直ぐそこにぃぁあぁ♪大きな波があるのぉおおぉ♪♪」

だがマーチェの責めで小刻みに達していたはずのエルゥトーは、唐突に絶頂による体の震えが収まり、その代わりに彼女の瞳は何も無い空間に彼女の絶頂の波を投影しているかの中空を見つめている。
そこからマーチェは射精を堪えるためにエルゥトーは絶頂の波に乗るために暫しの間押し黙りながら、マーチェは腰を素早く振り、エルゥトーは与えられる快楽に身を任せた。

「……もう、駄目だ――射精るぅうぅう゛う゛!!」
「あぁぁぁあうぅうぅう♪もう、だめぇええぇええ♪♪♪」

そして二人は唐突に同時に口を開くと、マーチェはエルゥトーに両腕で抱きつきながらその子宮の奥深くへと精液を放ち、エルゥトーは両手と髪蛇でマーチェの首元に縋りつきながら、彼に巻きつけた蛇の胴体で彼を締め付けながら絶頂した。
二人はまるで一つの合わせ貝のようにピッタリとくっ付いたまま、お互いに全身を支配する絶頂による硬直と痙攣を味わっていたが、数分が経過し絶頂の硬直が解けた二人は、お互いに抱き合っていた場所を解いて、ベッドの上に寄り添いながらお互い仰向けに寝転がった。

「はー、はー、射精し切った……」
「あん♪お腹、いっぱぁい♪♪」

マーチェは全て出し切って力の抜けた陰茎を隠そうとせずに大の字でベッドに体を預け、エルゥトーは子袋に詰め込まれた愛しい男の精を味わうかのように下腹を撫でていた。
しばしそのまま二人はお互いに言葉を掛ける事も無く、性交の余韻に浸って過ごしていたが、エルゥトーは何かを思い出したかのような表情を浮かべると、ベッドの横に備え付けられたバスケットを蛇尻尾で掴むと、自分の腕の中にそのバスケットを納めた。

「はい、あーん」
「あーん、むぐむぐ……って、どうしたんだ?」

バスケットの中にあった大き目の干し果物をエルゥトーに差し出されたマーチェは、短くは無い結婚生活で培われた習慣で、反射的にそれを口の中に入れたのだが、エルゥトーには何かの目的のためにマーチェに物を食べさせる節がある様子。

「私のお口もお腹もマーチェの精に満足したけど、まだ一箇所満足してない場所があるの」

さらにバスケットの中の干し果物をマーチェの口へと差し出しながら、そうお願いをするような口調でエルゥトーはマーチェに言う。
マーチェはエルゥトーが何をして欲しいのか大体察しが着いたようで、差し出された物を口に入れながら視線だけで続きを言うようにとエルゥトーに指示した。
するとエルゥトーは満面の笑みを浮かべてマーチェに背を向けると、その安産型のお尻を見せ付けるかのようにやや前かがみになり、そして尻肉を両手で左右から広げてその奥に隠された菊門をマーチェに見せた。

「ねぇ♪こんどはぁ♪お尻の穴を犯してぇ♪♪」

腰を振りながら、蛇の尻尾は何かを期待するように揺らしながら言ったエルゥトーに、愛しい妻の愛らしいお尻と菊門を見たマーチェはごくりと生唾を飲み込むと、バスケットの中に残っていた大きな干し肉の塊を齧ると、獣じみた笑みをエルゥトーに向けて浮かべた。

「ああ、任せて置け」
「ああん♪やっぱり私を満足させてくれるのは、マーチェだけね♪♪」

腹に食べ物を入れたマーチェの陰茎が力を取り戻すや否や、二人の体は再び重なり合わさった。

そうして二人の一日は過ぎていく。
そして明日も二人はこうして一日を過ごす事だろう。
蛇のようにねちっこく、執拗なまでにお互いの体を求め合いながら、お互いの尻尾を食い合う神話の蛇のように、永遠と長々とこの洞窟で。



11/12/30 18:28更新 / 中文字

■作者メッセージ

はいどうも中文字です。
今回は永遠とエロエロとしたSSでしたが、どうで御座いましたでしょうか?
しかし年末の姫収めという事で力を入れて書いてみたものの、エロだけで約二万文字ってどういうことでしょう?
我ながらどうかと思ってしまいますw

さて年末の姫収めは書きあがったのでこれで年を越せるとはいえ、今度は年始の姫始めSSの執筆に取り掛からなくてはいけませんねぇ。
今度はもうちょっと文字数減らして楽に書きたいものです。

それでは次のSSでお会いしましょう、中文字でした!!

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