連載小説
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おまけ:在る男の結末
 
 裏通りは何時の間にか女の幽霊みたいなのがウジャウジャ居やがるし、ゴミの山に紛れて人間を襲ってる死体みたいな奴まで居やがった。
 普段は適当に過ごしてるだけの兵舎に居て良かったと思ったのは生まれて初めてだったぜ。
 お陰で装備も身に付けられたし、仲間と突破口を作るところまで漕ぎつけられた。
 俺は皆が死力を尽くして開いてくれた突破口から外に増援を呼びに来たってところさ。

 え?守るべき城はどうしたって?
 既に攻め落とされていましたが何か?
 言い訳言うな、死力を尽くして最後の一兵まで戦えって?
 
 はは、ご冗談を。
 本来若い奴らを置いていくのは俺も我慢ならんのだが、俺、あの中で一番戦闘力低いんだよ。
 戦闘力が低い奴が多勢に無勢の中、囮にすらなると思うか?

 俺に出来る事なんざ、精々全力で逃げて助けを乞う事くらいなんですよ。

 


 …………あ?所詮田舎兵士の練度じゃその程度?魔物共に負けて当然だって?
 ……おい、もう一辺言ってみろ……?命張って戦った奴等に対して、テメェ今なんて言った?

 俺だってな、好きで生き残ってんじゃねぇんだぞっ!!

 あいつ等がどんな思いで俺を逃がしたか分かってのか!?
 
 隊長は一団率いて城守りに行ったまま音沙汰無し!
 小隊長のアルバートはたった一人でワイトの相手!
 斬り込み隊長のクライブは負傷を推してデュラハンの相手だっ!
 隊員達は生き残り集めて篭城戦してるし、その中にゃ何人も戦えない奴等が居る!
 けどそいつ等は全員俺に望みを託したんだ……

 全員、戦ってんだよっ!!生 き る 為 にっ!!!


 ハァ、ハァ、ハァ……悪ぃ、カッとなっちまって…………。
 でも、分かってくれよ。頼めるのはアンタ等しか居ないんだ、俺じゃ無理なんだよ……。

 俺達みたいな辺境の人間じゃ太刀打ち出来ない、中央の騎士様や勇者様じゃなきゃあの魔物達は倒せないんだ。
 頼むっ!俺達の仲間を救ってくれ…………っ!!



 ――――――え、本当か?助けて、くれるのか……?
 
 そうか、すまねぇ。
 本当にすまねぇ。
 怒鳴ったりして悪かった、これであいつ等も助かるよ……!
 それはそうと、どの位の兵力を貸してくれるんだ?

 おいおいマジかよ。ここに居る全員来てくれるって?
 俺が言うのも何だが、アンタ等精鋭だろ?国開けちゃっていいのか?

 そうか……俺等地方が抑えてくれてたから平和そのものだったか。
 同盟国の危機に立ち上がらないのは教団の名折れ、ね。
 いやぁ、流石だ。

 ありがとうよ。アンタ等のおかげで希望が持てたよ。
 ありがとう、本当にありがとう……!
 俺からもささやかだが、礼をさせてくれっ!

















 
 お前等で言う、負け犬の仲間になれる権利をやるよ。













◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 

 



 おぉ、久しぶりだな。小隊長。嫁さん元気か?
 毎日が大変だって?贅沢言ってんじゃねぇよ。
 ブライエンの坊やはそろそろ来るらしいぜ。
 この間は嫁さんの説得に骨が折れたとか言ってやがったが、顔が完全に惚気てたぞチクショウ。
 クライブは来れるか分からんとよ。
 奥さんもクライブも大剣使いだからなぁ。勝った方が上とか言ってたが、どうせ今日も引き分けだろ。
 
 俺?良い奴は居ないのかって?
 おいおい、忘れたか?俺は絶賛募集中だよ。
 あの時居た勇者が最後に抵抗して俺の頭を叩き割りやがったろ。
 だがまぁ、スケルトンとして生き返らせては貰ったが、どうにもしっくり来る奴が居ねぇ。
 今だってこんな味気ねぇ補給剤で過ごしてるんだぜ?
 
 あ?なら勇者に責任負わせろって?
 嫌だよ。あんなガキンチョ。
 第一さっさとヴァンパイアに見初められて執事生活してんじゃねぇか。
 うん?体型に関しては勇者の事言えんだろうって?
 
 ……おーけー、小隊長。
 嫁さんにゃ俺からこの上なく惚気られたって言っとくぜ。
 いやぁ、今夜が愉しみだなぁアルバート小隊長殿?

 ケケケケケ、もう遅ぇ。後ろ見てみろ。
 おーい、アリエルさん。ちょっとこっち来てくれよー。
 旦那さんが大事なお話があるってさー。

14/05/19 01:07更新 / 十目一八
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■作者メッセージ
ドランク?知らない男(こ)ですね……。
一気に書き上げた弊害なのか、一人あぶれていた事に気付きました。
とても短いですがご勘弁を。

しかしながら完全に一人称のみの文は初めて書きましたね。
量産型勇者であっても一般兵とは比べ物にならない戦力です。
ドタマかち割られて彼女になった彼ですが、今では酒を片手に精補給剤をポリポリ食べて凌いでます。
スケルトンにしては饒舌ですが、彼の性格という事にして下さい(笑)

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