連載小説
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『Vampire』
空の棺に、汚れ無き砂を
せめての存在の証として

朽ちた紙に色づけられた
赤黒い丸はそのままに

愛しい思いのままに
舌を這わせることで
意識を保ち続けるけれど

恋慕は尽きない
銀の傷の如く痛み
杭打ちの如く熱い

また呪われた朝が来る
それとも
呪われたのは私か

吸血鬼は水を嫌う
それは己の涙とて、例外ではない

嫌うのにどうして
外にでてしまうのだろう
10/05/22 11:24更新 / 初ヶ瀬マキナ
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■作者メッセージ
「魔王世代交代前のヴァンパイアのイメージね」
「夫婦のヴァンパイアが成立していた時代か。ところでラーヴェル」
「何かしら?」
「前回の奴もそうだが、普通の愛は書けねぇのか?」
「……。書かないだけよ。普通の愛なんてありきたりじゃない?」
「……何だその妙な間は」

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