連載小説
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序章‐3【仮初の平和】※世界観説明、エロ若干有り
ハインリッヒの後に付いて部屋を出る
石造りの通路には窓が無く、ライルはようやくここが地下である事に気がついた。
最奥の部屋だったのだろう。右手方向に伸びる通路は規則正しく配置された松明に照らされている。
自分がいた部屋がいくつもあるのだろう。松明の向かいには同じ扉がある。

「さて、外に出るまで少しかかるから歩きながら話そうか。聞きたい事も色々あるんじゃない?」

先を進むハインリッヒが顔も向けずに言う。
聞きたい事と言われてもありすぎて何から聞けばいいやら…。

「それじゃあ…責任って何の事だ?」

ライルは部屋に出る前に友人が発した言葉を思い出す。
戦争を終らせた立役者が責任を負う?魔王を倒した英雄が?

「魔王を代替わりさせた事さ。知らなかったとはいえ、魔族全てに多大なる影響を及ぼしてしまったからね。それについては問題ないだろうけど次の魔王であるエミリアの願い、これが問題なんだ。」

現魔王の願い?たしか「人間と共存し、性春を謳歌すべし」だったか。

「どういう理屈で作用しているのか分からないけどさ、この願いは魔王個人の願いに加えて種族としての性質が優先されるみたいなんだ。」
「????」
「エミリアは[サキュバス]だから、[男性]を惑わす存在である。」
「…サキュバスならそうなんだろうな。」
「だから全ての魔族は[女性]として[男性]を惑わす存在であるべきだ。」
「!」
「さっき『皆魔物娘に転生した』って言ったと思うけど、あれは文字通りの意味なんだ。今や全ての魔族は[女性]だ。そしてこの状況が何を意味するか…分かるかい?」
「…魔族が種としての存続の危機に瀕している。」
「ご名答。今までは人間同様、種族毎に雌雄があったけどいまや人間の男に頼るしかない。探せばインキュバスぐらい見つかるかも知れないけど、今の所見つかってない。こんな状況じゃ戦争なんてやってられないよね。」
「子孫を残せなければお先真っ暗って訳か。」
「魔族の寿命は人間と比べれば遥かに長いし現人口からして当面は問題ないけどね。」

成程、友人の言う事が本当であれば確かに突然の休戦も説明がつく。この先、戦力の補充が望めないとあれば休戦を申し込むのも当然だ。しかし

「休戦の理由は分かった。後はインキュバスとやらがいれば万事解決するんじゃ…」
「さっきも言ったよね。仮初の平和というのはそこなんだ。魔族が子孫を残せないと知られれば反魔族体制の国…特に教国がどういう行動を取るか…。」
「…あっ」
「更に前魔王を討ったのが勇者と知れたら、皆こう思うだろう『この勇者がいれば魔族を討ち滅ぼせる』と。そうなればどちらかが倒れるまで戦争は続く。」
「…」
「君だってそうだろう?さっき拘束されていたとはいえクリスタにどういう感情を抱いたんだい?」

言葉が出ない。確かに好みだが「魔族」だからと思ってしまった。こんな状況では共存なんてほど遠い。

「だったら不可侵条約でも結んで、ゆっくりインキュバスを探せばよかったんじゃないのか?」
「魔界…現在魔族が管理している地域を捜索するのに恐らく4〜5年はかかるだろう。その間魔族娘達に禁欲してろとでも?」
「…それは…」
「性欲はある意味本能に近い。少なくない人数が人間界にオトコ漁りにいくだろう。絶対にね。バレれば今度こそ最後まで戦争だ。」


「だからこそ、今行動する必要がある。まずは共存に向けて人間にとって魔族をなくてはならない存在にする。その為の第一段階として作ったのがこの【エデンの檻】だ。」

そう言う終えると同時に、右手に階段が見えてきた。ふと後ろを振り返ってみると付いてきている筈のクリスタが遠くに見える。

「おい、遅れているぞ。待ってやったらどうだ?」
「気にしないでやってくれ。足を悪くしているからどうしても遅れてしまうんだよ。それにああ見えてプライドが高くてね。気を使ったり、ペースを乱すとすぐ怒るんだ。」
「あぁ、そういう事か。」
成程納得。

階段を上った先は同じく石造りの通路。だが今までと違うのは大きく開けた窓があり、通路を明るく照らしている。
通路の奥には鎧が2つ浮いている。リビングアーマーだ。今まで只戦っていたけど中身は魔物娘なのだろうか?

「こっちだ。屋上に行こう。」

階段を何度か折り返し、時折魔族とすれ違う。丁寧に会釈してくる奴もいれば、好色な目で見てくる奴もいた。
いずれにしても美女・美少女揃いで俺の知っている魔族ではない。

「いい天気だね〜今日も働き日和でよかった。」

屋上に出るとそこはいつもと変わらない青空と雲。そしてどこまでも続きそうな広大な森が広がっていた。魔界は初めてだが人間界と全然違わない。しかしここまで立派な土地は王国には存在しなかった。
自分から見て正面。眼下には開拓した農地が広がっており、農民が仕事をしている。良く見えないが、しかしあれは…

「あれは人間じゃないのか?」
「そうだね。魔族娘も手伝っているけどまだ王国民が殆どだね。彼らは王国との秘密協定で送り出された謂わば開拓民。王国に出荷する農作物を作っているんだ。」
「王国はそんな協定を結んだのか!?」
「領土返還されたとは言っても王国は今も土地が足りない。昔から教国からの輸入に頼っているけど金がかかる、そこに目をつけたのさ。魔界の豊かな土地を使って自分達の食料を作っていい。働き手として男を送り出してくれればそこで作った物は王国の物だ。」
「成程…王国には食料を送り出し、魔界には男を受け入れるのか。」
「王国には僕という保険があるからね。エミリアの寝首をかける僕がいればいつでも戦争を有利に再開できるって訳。」

今凄いこと言ったぞ、こいつ。

「それ、魔王が知ったらまずいんじゃ…」
「というかエミリアが言い出したんだよ。『ダーリンの祖国なら私の首を担保に交渉できる筈』ってね。我が伴侶ながら立派に外交しているよ。」
「…すげぇな、お前の嫁」

そう言い切る内にふと影が差す。こんな何もない屋上でだ。
ふと空を見上げるとそこにあったのは尻だった。視界の端には赤茶色の翼がかろうじて見える。
それがハーピィだと思い至るのには時間はかからなかった。

ハーピィは戦争中もよく見ており空を飛ぶ為に重い鎧は身に付けておらず常に軽装で認識だったからだ。戦法も今みたいに上空から奇襲を仕掛けてきていた。
だが眼前に広がる尻は何もつけておらず、女性器から尻穴まではっきりと見えてしまっていた。
開脚したまま落ちてくるそれは余りにも滑稽で対応が遅れてしまった。眼前まで来たそれは足を脇に滑り込ませてから背中に絡ませてロックする。顔にはお尻が押し付けられて呼吸器を完全に塞いでしまった。

『つっかまえた〜♪私とエッチしよ〜♥』
「ムガッ…!?」


「お、今日のハンターはハーピィか。丁度良い。ここまでは王国にとってのメリット、ここからは魔界にとってのメリットの話になるんだけど、実際に体験してみるといいよ。」
「ンンッ!?(い、息が)」

ハインリッヒが何か言ってるがそれ所じゃない。顔に密着した柔肉で口も鼻も完全に覆われており身体が酸素を求めはじめている。このままじゃ窒息してしまう。
手を伸ばして引きはがそうとするが次の瞬間、足元の感覚が無くなった。ハーピィが飛び立ったのだろう。突然の浮遊感で思わず引きはがそうとした両手でハーピィの腰にしがみつく。結果としてより一層顔面に密着させる形となってしまった。

「あはっ、そんなにしがみちゃって、そんなに私のオマンコが好きなの〜?じゃぁいっぱい舐めさせてあげるからね〜♪部屋にいこっか♥」
「…ッ。」
17/11/04 06:13更新 / 深紅烏
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■作者メッセージ
やっとエロパートに入れる…てかめっちゃ遅筆でごめんなさい…orz

そういえば言い忘れた事があります。
わたしは三度の飯よりも顔面騎乗が大好きです。

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