読切小説
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クッキーの魔力

「お嬢ちゃん、クッキーをあげよう」

人のいい青年はそう言ってクッキーを少女に手渡す。チョコチップの練り込まれた、大きくも小さくもない一般的なクッキーだ。
強いて言うのなら、生地の色や質感から手作りらしい事が伺える。

少女──魔女セレナは無垢な子供を装いじっと青年と、周りの風景を観察する。
まだ日が高いお昼時、ひとけのない路地裏、クッキーをくれる青年、どこか含みのある笑顔、そして少女である自分。
これらの状況証拠から、彼女は目の前の青年がいたいけな少女を巧みに誘い出し性的なイタズラを加える変態ロリコンお兄さんである事を確信した。

セレナはふっと帽子のつばを下げ、表情を隠す。一見すると照れて顔を隠したように見えるそんなポーズで、セレナは自分でも信じられないくらい凶悪に笑う。
やがてつばを戻して青年を上目遣いに見上げると、無垢で何も知らない少女の顔をして青年のクッキーを受け取った。

「ありがとう、お兄ちゃん!」

その場でクッキーを口に含みぱりりと噛み砕く。チョコレートの甘苦い風味がクッキー自身に含まれたミルクの味と混ざり合い、口の中でふわりと溶ける。
材料はよく分からないが、薬のようなものは入っていないようだ。セレナは幼い体に秘めた淫らな本性とはまた別の所にある少女の心で純粋に美味しい、と感動し、口に残るクッキーの後味を堪能する。
指に少しついた粉末を、ちろりと小さな舌を出して舐め取る。青年はその様子を満足気に眺めると、少し腰を落としてセレナと視線を合わせて言った。

「お嬢ちゃんは、クッキーは好きかな?」
「うん、大好きだよ!」

嘘ではない。彼女自身がそうであるように、サバトに所属する幼い姿の魔物は実年齢に関わらず甘いものを好む。
偉大なる魔力と知識を持つサバトの長バフォメットも例外ではないし、実際黒ミサなどの集会の際には、気のきく魔女が手作りお菓子を持ち寄って宴の合間につまみ合う事がよくある。
そして青年から受け取った先程のクッキーは、そんなセレナの肥えた舌をもってしてもなかなかの逸品であった。

「ハハハ、そうかい。実はお兄ちゃんはお家でクッキーを作ってるんだけど、ちょっと作りすぎちゃってね。よかったらお嬢ちゃんに食べるのを手伝ってほしいんだけど、どうだろう、お兄ちゃんのお家まで来てくれないかな?」
「ホント!? クッキーいっぱいある!?」
「ああ、余るくらいにね」

セレナの心の少女と魔物が腕を組み、喜びのダンスを躍り始める。お母さんが娘へ伝える「ついて行っちゃいけない人」の代表格のようなこの青年は間違いなく自らの幼い身体に興奮し、欲情し、お菓子欲しさのあまり軽率な行動を取った少女の後悔に満ちた顔を見ながらロリまんこにデカマラ突っ込んで後ろからガッツンガッツン犯したくてたまらない性犯罪者に違いない。
つまりはセレナからすれば、カレーに乗せたハンバーグに更にパイナップルを乗せる程のごちそうである。
セレナは大いに興奮しながらも少女の顔は崩す事なく、頭は冷静に算盤を弾く。顔は目元が優しげな好青年、若くて背が高くお菓子作りが上手。非の打ちどころの無い結果にセレナはこれだけで絶頂に達してしまうほど自身の幸運に感謝しまたも凶悪に笑った。

「うん、行く! お兄ちゃん家行く!」

とはいえあまりに好条件が揃い過ぎており、教団のおとり捜査の可能性も否めない。セレナは念のため逃走用魔術をセットしつつ、獲物を見つけた狩猟犬の如く慎重に青年に付いていく事にした。

そうして青年に連れられ、五分ほど歩くと家に着く。
青年の家は何の変哲もない集合住宅の一つである。先程までクッキーを作っていたのか、部屋の中はかすかに砂糖とチョコレートの甘い匂いが漂う。
セレナは青年の部屋とおぼしき小部屋に通される。飾り気のないシンプルな部屋で、クローゼットとテーブルの他にはベッドがあるばかり。いよいよ青年の本性が見え隠れしはじめ、魔女は頬を染めて気付かれぬよう微笑した。

「はい、召し上がれ」
「いただきます!」

てっきり部屋に連れ込んだ瞬間押し倒されるのかと思ったが、存外青年は冷静であった。
椅子にセレナを座らせると自身は一度退室し、次にクッキーが山盛りになった大きな皿を持ってセレナの前に現れる。
先程セレナが貰ったクッキーと同じものだ。夢のような光景にセレナはうっとりと両手を合わせ、食前のあいさつをすると早速クッキーをつまんで口に入れる。

青年はいつ自分にエッチな要求をぶつけてくるのだろう。まあ、狂乱の宴をおっぱじめる前にしっかりと栄養を取っておかねば。
そんな事を考えつつ、セレナは夢を夢で終わらせないためクッキーを口に運んではその甘さに悶え続ける。一方の青年はセレナの思っているような行動に出る事はなく、クッキーを食べるセレナを楽しそうに眺め自分もクッキーを味わっていた。

それから十五分ほど経ち、セレナに変化が訪れる。
クッキーの山は半分ほどなくなった。しかしまだ半分は残っている。
だが、セレナの手は止まっていた。青年に頂いた砂糖たっぷりのコーヒーを手に、ぼんやりと窓の外を見ている。
なんと、お腹がいっぱいになってしまったのだ。

食べ始めた頃はいくらでも食べられるように思えたクッキー。実際その味は文句のつけようがないのだが、それでも一度にお腹に入る量は限度がある。
セレナは窓を見ながらちらりと青年に目を向ける。相変わらず青年はにこにこと微笑んでおり、そこには邪な欲望の光は見られない。

もしかして、本当に作りすぎただけ?
一滴の冷や汗が流れる。セレナの中で既にこの青年に犯されるのは確定事項であり、セレナとしてもこんな優良物件を見過ごして手ぶらで帰る気はさらさらない。

何より、クッキーはまだ残っているのである。ここでセレナが「お腹がいっぱいだから帰る」と言えば青年は素直に帰してくれるだろう。しかし、この後青年は自分以外の魔女を家に誘うかもしれない。
つまり、他の魔女に青年が盗られてしまうのかもしれないのである。それだけはなんとしてでも回避したかった。

セレナはこの人のいい青年を勝手に性犯罪者扱いしてしまった事を心で詫びた。
そしてこれから自らの手で青年を性犯罪者級のロリコンにしてしまう事を、これも心で詫びた。

鳴かぬなら鳴かせてみようコカトリス。セレナは性犯罪者に犯してもらうつもりだった受け身な自分を戒め、好きな人は自ら誘い、たらし込むハンターとなる事をここに決めたのだった。

早速頭の中でイメージを組み立てると、セレナは素早く行動に移す。

「おいしいね、お兄ちゃん!」

無邪気な顔で青年を呼びつつ、クッキーをもう一枚手に取って口元に運ぶ。
噛み砕いたクッキーの破片を、わざとらしく服の中に転がした。

「……ん〜、なんかお洋服の中に入ったぁ」
「セ、セレナちゃん?」

言いつつその場で服を脱ごうと腕を引っこめもぞもぞと蠢く。するとセレナの肘がコーヒーにぶつかり、ちょうど脱ごうとしていた上着に容赦なく降り注いだ。

「きゃあああああっ!」
「うわあっ!?」

びしゃり、と音がして、少し遅れてコーヒーの香ばしい匂いがセレナを包む。
青年は慌ててハンカチを手に立ち上がる。しかしそこにあったのは、ハンカチ一枚ではどうする事もできない光景だった。

「……うあああん、お洋服に掛かったぁ〜」
「だ、大丈夫? 熱くはなかった?」
「うん、熱いのは平気……でも……」

頭からコーヒーをかぶったセレナは、上着どころかスカートの中までぐしょ濡れである。
水を含んだ衣服は体にぴったりと張り付き、セレナの平坦な体のラインを露骨に強調する。青年が少しだけ目を胸元に向けてすぐに逸らしたのを、セレナは見逃さなかった。

「お兄ちゃぁん……」
「ごめん、すぐ拭くもの持ってくるから」
「うん……」

そう言うと青年は申し訳なさそうに部屋を出ていく。

「……よし、準備準備……」

その姿が見えなくなった瞬間、セレナは異性を犯さんとする強姦魔のように上着を強引に引っ張って脱ぐ。
そのままシャツとスカートをぽんぽんと脱いでいく。パンツとソックスだけの姿になったセレナはこれから起こる事に興奮を覚えつつ、外気に晒された自分の乳首を撫でて青年の帰りを待った。

「お待たせ……ってうわあ!」
「お兄ちゃぁん、早く、セレナの身体を拭いて……?」
「い、いやその、服を……」
「服? だってびしょびしょだよ?」

あざとすぎず蟲惑的にセレナは青年に言う。いわゆるアヒル座りに上目遣い、成長乏しい二つの胸は丸出しである。
後ずさる青年を逃さぬよう言い、「彼女を救えるのは自分だけなんだ」という意識を植え付けさせる。青年はセレナの計略に見事にハマり、視線をあちこちに泳がせながらタオルでセレナの頭を撫でるように拭いた。

「だーめー、かーらーだーもー」
「え、ええと……」

甘えるような声でおねだりをすると、青年は戸惑いながらもセレナの柔肌にタオルを押し当てていく。セレナはこの瞬間、心に魚が釣り針に食らい付いた時のような会心の笑みを浮かべた。
コーヒーをこぼした事はセレナが行った行為である。びしょぬれになりタオルを求めた事も、服を脱いだ事も、青年にとっては不可抗力というべき事態だ。
だがタオルによる愛撫は違う。これは初めて青年がセレナに行った能動的なアプローチであり、同時に青年がセレナに対して邪な心を抱いている事の証明にもなる。もしも青年の心に一点の曇りもなければ、タオルだけ渡して自分で体を拭かせようとする筈だからだ。

もう一つの可能性として「青年はセレナに何の性的感情も抱いておらず、言われたことに素直に従ったに過ぎない」という場合があるがセレナにはそれはあり得ないという確信があった。
魔物娘であるが故によく利くセレナの「鼻」である。
青年の体中を男特有のつんとくる精の匂いが巡り、それらが股間へグングン集まり始めているのをセレナはしかと嗅ぎつけていたのだ。

そうこうするうちに、青年の手はセレナの身体についたコーヒーを拭きとる。首、背中、腕、腹。そして手は胸へと伸びた。
最早ベッドインまで王手を掛けたセレナは、青年の反応を楽しむという目的も含めて少し大胆に攻めてゆく。

「……お兄ちゃん、セレナのおっぱいにごみが付いてるの。タオルで拭いて……?」

青年が直視していれば、セレナの小さな乳首周りにクッキーの食べかすが落ちているのを見つけただろう。
もはやセレナの顔すらまともに見られない青年は、早く終わらせてしまおうと思ったのか少し乱暴にセレナの胸を撫でる。
タオル地の荒い布目と、それ越しに伝わる青年の指がセレナの胸を刺激した。

「はぁんっ……はふっ、お兄ちゃん……そんな風にゴシゴシされたら、セレナ気持ちよくなっちゃう……」
「ううっ……」

切なげな声を上げるセレナに青年は苦しそうに呻く。いよいよセレナの顔からは無垢な少女の色が消えてゆき、魔女としての淫らな色が現れ始めていた。

「はぁ、はぁ、はぁ……お兄ちゃん、こっちも、こっちも触って……」
「セ、セレナちゃん……いや……そんな……」

この期に及んで力なく抵抗する青年の手をセレナは少しじれったそうに取り上げ、白の中に少しシミがついた自分のパンツのクロッチに持っていく。
既に青年の顔に驚くそぶりはなく、戸惑いの中で何かに耐えるような、たまらない表情を作っていた。

「んっ……くちゅくちゅって……セレナのおしっこする所、えっちな音してる……」
「あ……ああ……ダメだよセレナちゃん、こんな……」

言いながら青年は自身の指を操り自慰に耽るセレナの行為を止めようとはしない。パンツに広がった水色のシミは少しずつ広がり、それに比例して水音も大きくなっていく。
セレナは快楽のあまりガクガクと震える青年の足に視線を降ろし、そのまま獲物を値踏みするような目で上へあげていく。青年のズボンの股が不自然に盛り上がってるのを目に止め、歓声を上げそうになるのを堪えそっとその腰回りに顔を近づけた。

「……お兄ちゃんの、とっても苦しそう……」

はちきれんばかりに勃起した青年のペニスを布越しにナデナデとさすり、まるでペットに接するかのように頬ずりし、愛でていく。ふと思い立ってすんすんと鼻を動かし匂いを嗅いでみると、くらりと来そうな程に濃厚な雄の精の匂いが鼻いっぱいにセレナを満たした。
いよいよ辛抱堪らず、セレナは青年のズボンを下ろす。布の戒めを解かれ天を突く青年のペニスがあらわになり、その強いありさまにセレナは目を輝かせた。

「わあ……とってもおっきいおちんちん♥」

すんすんと鼻を動かしつつ、顔中に匂いを刷り込むようにペニスを擦りつけていく。既に「運命の人」を確信しているセレナにとってその匂いは芳しく、今すぐ口に含みぐちゃぐちゃに蹂躙してあげたい衝動が込み上げてくるがそこは抑え込んだ。
たっぷり焦らすよう、すべすべの肌にぎゅっとペニスを抱き込むセレナ。いよいよ青年は辛抱堪らなくなり、セレナの頭を抱えると口元に自分のペニスをあてがった。

「く、咥えてっ、セレナちゃんっ!」
「ん〜? ……えへへ、いいよ。お兄ちゃんのおちんちん、セレナがペロペロしてあげるねっ」

青年の口からその言葉を聞くと、セレナは目にハートを浮かべて青年のペニスを舐り始める。

「んっ、くちゅ……れろ、れろ、れろぉ……はぁん♥」

クッキーよりも甘い愛情の味がセレナの口いっぱいに広がり、至福となって身体を駆け巡る。
そのじれったいような気持ちいいような舌使いは絶妙で、一舐めするごとに青年の亀頭が大きくなっていくのをセレナは感じていた。

「あぁ〜……んっ。んぶっ、ぢゅぶっ、ぢゅぶっ、ぢゅぶっ……」
「はぁっ、はぁっ、セレナちゃんっ、セレナちゃんっ」

ペニスの味をしっかり味わうと、次に唾液の糸がキラリと光るピンク色の口内を見せつけるように開き、セレナは青年のペニスを喉へ突き入れる。
青年のものはサイズが大きく、セレナの口では半分くらいしか入らない。その立派な大きさに頬を染めながら、セレナは頭全体を使って青年のペニスを貪った。

二人っきりの部屋に、荒い息遣いと水音だけがしばらく響く。
それから、緊張していた青年の身体がようやく弛緩し始めたその時。青年はこみ上げるかつてない射精感を感じた。

「せっ、セレナちゃん! 出るっ、出るよ……っ!」
「ん〜っ♥ んっんっんっんっんっ……」

青年の言葉を待ちわびていたように、セレナは一層口を動かして青年の射精を援護する。
亀頭が更にぷっくりと膨らみ、口の中で巨大なペニスが暴れまわる。セレナはその動きがピークに達した瞬間に、えづくほど深く青年のペニスを咥え込んだ。

その瞬間、青年のペニスの先端から白い液体が迸る。

「あぁーっ! 出るっ、出るっ、出るっ!」
「んぶ! んっ、くっ、くっ、んーっ!!」

放たれた精液はセレナの口を越え、直接喉元へと放り込まれる。ペニスは何度も痙攣し、目の前の壺に一滴でも多く精液を注ぎ込もうと懸命に跳ね回っているように思われた。
セレナの幼い体の中を、白濁液が駆けてゆく。内側から染み渡る暖かいものに包まれ、気がつけばセレナもまた絶頂に達していた。

「ん……ぷはっ。んくっ、ごくっ、んくっ……もう、お兄ちゃん精子出し過ぎだよぉ……」
「ご、ごめん。でもセレナちゃんの口があんまり気持ち良かったから……」

一滴残らず精液を飲み込むと、セレナはぺろりと舌を出して青年をたしなめた。

「……んふふ、お兄ちゃん。じゃあ次はベッドで……ね?」

そして妖艶に青年を誘い込む。もはや青年に逃れる術はなく、セレナに手を引かれるまま操られるようにふらふらとベッドに倒れこんだ。



「あんっ、あんっ、あぁぁぁんっ♥」
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……!」

万物を照らす陽光をカーテンで遮り、夜となった部屋の中。
白百合を思わせる少女を組み敷き腰を振る獣のような男がいた。

股間から屹立するペニスは既に幼い秘部と接合しており、シーツに飛び散った赤い花弁のような血痕が白百合の処女の喪失を痛々しく示していた。

少女セレナは処女だったにも関わらず初めてのペニスの味に耽溺し、口から涎を垂らしただ青年から与えられる快楽という名の暴力をひたすらに貪り続ける。
女として発達の見られない薄い胸をわなないて揺らし、その姿はただ男の精液を受け取るためだけにヴァギナを収縮させる一匹の雌となり果てていた。

青年に最早理性はなく、刺激を求めて徘徊し続ける猿のようにひたすら腰を振り続けた。
今の彼にとって世界とは自分とセレナであり、真理とは互いのペニスとヴァギナを擦り合わせ快楽を得る事である。
少女を犯す事に対する罪悪感は既になく、ただ白百合を手折る背徳のみが頭の中を満たす。そうして青年は更なる快楽を求めセレナの美しく細い肢体を味わい、食らい、蹂躙し続けた。

「いいよぉ……お兄ちゃんとっても素敵……♥
 もっと、もっとセレナを犯して、セレナの事、いっぱい好きになって……♥」

甘えた声でセレナは青年に呼びかけ、浅黒い肌に絡み付き青年と濃厚な口づけを交わす。
膣内で更に一回り大きくなった青年のペニスに打ち震えながらも、小さな舌を青年の口にねじ入れ、舐りつけた。
青年はそんなセレナの頭を押さえつけ、更なる快楽を求めて舌を絡め取る。クッキーをくれた頃の優しい青年の面影はもはや消え失せており、ただ一匹の雄としてそこにあった。

「く……っ! 駄目だ、出るっ!」
「いいよお兄ちゃん! セレナのおまんこでおちんちんたくさん気持ち良くなってっ!」

青年が苦しそうに口を離す。セレナは青年にひしとしがみつき、クッキーよりも余程甘ったるい声で青年に射精を促す。
そして、一際強く青年が腰を叩き付けた瞬間。

「あああぁぁぁっ♥ 出てる、セレナのお腹に熱いどろどろがいっぱい出てるよぉぉぉ♥」

膣内で亀頭がぷっくり膨らみ、決してペニスが抜けださないよう膣内で亀頭がぷっくりと膨らみ、同時に先端から精液が飛び出す。
射精と共にセレナは絶頂を迎えた。抱きしめた身体がひくひくと痙攣し、襲い来る莫大な快楽にセレナの呼吸は止まりかけている。

たっぷり十数秒も続いた射精を終えると、真っ白だったセレナの頭にようやく思考が追い付き始める。
満たされた心を胸の奥で熱く燃やしながら、セレナは全力を使い果たした様子でベッドに寝転ぶ青年をもう一度ぎゅっと抱きしめその頭を撫でる。

「…………セレナちゃん」
「とっても素敵だったよ、お兄ちゃん♥」

そう言って軽く口づけをし、二人にとっての一度目の夜が終わった。



太陽が沈み、再び上るまで彼らは何度夜を繰り返しただろう。
二人は体中に飛び散った愛の証を拭うこともなく交わり続け、気がつけば一糸まとわぬ姿のままベッドの上で朝を迎えていた。

「ん……んん〜っ、ん……」

セレナは重い体を揺り起こして半身を上げると、隙間から差し込む朝日に目を細めつつ大きく伸びをした。
もちろん衣服は何一つ身に付けていない。眠りを経てなお腹部に残るたっぷりとした充実感に幸福を感じつつ、セレナは隣にいるべき青年の姿を探した。

じゃわじゃわ、ぐつぐつとドアの向こうから音がする。
青年の愛すべき精の匂いもそこから辿れる。どうやら先に起きた青年が朝ごはんを作っているようだ。
実際、昨日の昼青年と出会ってからセレナはろくに食べずに交わり続けていた。並の人間ならさぞ腹が減っている頃合いだろう。

ベッドを下りて青年のもとへ行こうとするセレナの目に、ふと、昨日のクッキーが視界に入る。
まだ鉢の半分も残っているそれをセレナはひとつまみし、おもむろに口の中で噛み砕いた。

「……美味しい♥」

クッキーで「少女」を満たし、精液で「女」を満たし。
重複する幸福感に包まれつつ、セレナは愛しのお兄ちゃんのもとへ歩むのだった。





                     〜おまけ〜

二人が初めての夜を迎え、七日経った。
クッキーから始まったその関係は至って良好に保たれており、セレナと青年は毎日豊かな食事と少量のクッキー、そして熱い交わりを共にしながら日々を過ごしている。
青年はすっかりセレナの幼い肢体の虜になっており、セレナがそろそろ黒ミサに連れて行ってあげようかなあと思っていた、そんな日の事。

「お兄ちゃん」
「うん? どうしたセレナ」

セレナはクッキーを食み、部屋の一角にある扉を指差す。

「あそこは何のお部屋なの?」
「ああ、あの部屋か……」

七日間生活を共にしたが、セレナは新参者の遠慮もあってか無闇に部屋のものに手を付けることはなかった。
青年の家の構成は玄関、台所付きのリビング、寝室、後は風呂とトイレと、その扉の先にある部屋のみ。
七日間の間この扉を青年が開けたことも無く、物置か何かかと思っていたのだが。

「あれはクッキールームだね」
「クッキールーム!?」
「うん、ウチのクッキーはあの部屋で作ってるんだ。
 だけど……そうだね、クッキーの作り方は企業秘密だから、開けないでくれると嬉しいな」

クッキールーム。聞き慣れないが心躍る単語にセレナの目が輝く。
この七日間、目を開けば必ずどこかにクッキーがあった。かといって青年には調理している様子も買ってくる様子も無く、一体どこからクッキーを持ってくるのだろうと不思議に思ってはいたのである。

「……」

セレナの目がぎらりと燃える。青年の事は大好きで、その青年が望むのなら出来るだけ叶えてあげたいと思う。しかしこの時ばかりは、セレナは魔女が持つ悪戯心と好奇心に勝てずにいたのだった。

そしてあくる日。青年がちょっとした用事で、夜まで帰れなくなってしまった日の事。

「それじゃあ、出掛けて来るから」
「はーい。……はい、いってらっしゃいのちゅー」
「んっ……はは。それじゃ、行ってきます」

少女の顔でセレナはキスをすると、笑顔で手を振って青年を見送る。

「……さて、と」

青年の姿が見えなくなるまで手を振ると、扉を閉めて鍵を掛ける。
わきわきわきわきといやらしく手を揉みしだき、「隠蔽」の魔法を念入りに掛け、躊躇なくクッキールームの扉に手をかけた。

「ごめんねお兄ちゃん……えいっ!」

勢いよく扉を開き、セレナは部屋の中へと転がり込む。
そこにあったのは、魔界を超えた混沌。

クッキーを作る老婆。クッキーの菜園。クッキーを掘る鉱山。クッキーを作る老婆。クッキーを運ぶロケット。黄金のクッキーを追う人々。クッキーを作る老婆。降り注ぐクッキー。クッキータイムマシン。クッキーを作る老婆。クッキーを作る老婆。クッキーを作る老婆。クッキーを作る老婆。老婆。老婆。老婆。老婆。

老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆老老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆老老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆老婆

「……え?」

それが、セレナが意識を手放す前の最後の一言だった。





セレナは懐かしい夢を見ていた。
偉大なるバフォメット様に誘われ魔物化する前、まだセレナが人間の少女であった頃の夢を。

──ねえグランマ、クッキー焼いて!

──えへへ……だって、セレナはグランマのクッキーが大好きだもの!

──グランマのクッキー、とーってもおいしい!

──聞いてグランマ、セレナね……

──グランマ……

──グランマ……

──グランマ……

「セレナ、セレナッ」
「う……ん、あれ……?」

懐かしい記憶はやがて意識の覚醒とともに掻き消え、セレナの瞳に光が戻る。
はじめに感じたのは、柔らかな背中の感触。そして愛しい青年が自分を覗き込んでいる風景。

のたりと体を起こし、セレナはようやく自分がベッドに寝かされていた事を知った。

「え……ええと……私……」

おぼろげな記憶をたどり、自分の事を思い返す。
私はセレナ。魔女でサバトの一員。この町の生まれで、最近素敵なお兄ちゃんを手に入れた。
そんな事はいくらでも思い出せる。ただ、それらよりずっと近しいはずの今朝のこと。
ベッドで眠るまでの事だけが、霞が掛かったように思い出せずにいた。

「お昼寝してたんだね。気持ちよさそうに眠ってたよ」

青年がいつもの笑顔で言う。

「お昼寝……うん、そうだよね。きっとそう」

セレナは考えることをやめ、そう思う事にした。
きっとそのほうが幸福だ。そんな確信を、覚えのない頭に抱きながら。

それ以来、セレナは二度とクッキールームに入ろうとはしなかったという。
13/09/26 20:10更新 / はなかる

■作者メッセージ
書かずにはいられなかったんです。

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