連載小説
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ACTION PHASE 2
「デス・フロム・アバーブ(頭上からの死、つまり頭上攻撃)さ。」
「は?」
「ひえぇ、マジか」
「グラズ、あんた北の通りにいるんだよな。」
「ああ。」
「通路とベランダの間に穴を作る。」
「成る程。そう来たか。エントランスに直接エントリー・・・」
ブリーチングチャージ設置。爆音。耳鳴り。だが構わずに進む。
「見えるか?」
「バッチリだ。」
「・・・よし、カバー。」
「了解。」
「ヒートチャージ、設置完了」
「サーマイト、何時でもいいぞ」
「了解こちらが先に突入する。」
「わかった」
「やれサーマイト。」
「突破する。」
閃光がしばらく続き、爆破。衝撃によるものか断線か、シャンデリアが消灯。そのまま下に556を構え・・・射つ!
不意を突かれた真下の敵はよろけており対処が出来ぬまま絶命。障壁を盾にしていたもう一人も
「今だ、ブリーチング!」
部屋の横から突破した仲間が排除。
「ナイス」
「よくやった」
「・・・」
これより脱出開始。

時は7時間前に。レイヴンチームと連絡が取れぬままハーピーのファーに連れられて『町』に到着。『向こう側』では滅多に手に入らない貴金属や植物が大量に市場(?)に並べられていた。値札は全く読めなかった。値段も安いのか高いのか全くわからない。聞いてみると、
「こんなの日雇い1日分で買えるようなものだよ。」
恐るべし。日雇いの内容は敢えて聞かなかった。
町をしばらく歩いていると悲鳴が聞こえてきた。しかも結構な騒ぎで離れているこちらの耳にもどんな内容か分かった。
・・・立て籠りだ。
「何だ何だ。」
「駄目だここから先は・・・ファー!久しぶりだな!」
「あ、リラ!」
トゥイッチ「リラ?知り合い?」
「うん!デュラハンの―」
「デュラハン!?あの首なし「失礼だな、事実だが。」・・・」
「ところで、貴様ら何者だ?只者では無さそうだが・・・」
『レインボー(だ)』
「?」

「ほお、貴公らも異次元から・・・」
アッシュ「ファーの言ってたこと本当みたいね。」
スレッジ「らしいな。是非ともそいつに会ってみたいが。」
モンターニュ「そいつが人質じゃあな。」
サッチャー「となれば話が早い。早速―」
サーマイト「待て。助けるにしても装備が足りない。」
助ける前提なのね、と全員が心の中で思ったのはここだけの話。(ここだけのって何だ?まあいいさ・・・)リラは話に付いていけずキョトンとしていた。

とまあそんなわけで現在は市場にいる。(資金はあの首なし・・・ゲフンゲフンデュラハンのリラに支給してもらった。)
サーマイト、ブリッツはマグネシウム(ヒートチャージ、シールドフラッシュ、フラッシュバンの素材として)、トゥイッチ、IQは貴金属辺り(ドローンの回路修復用等々)、サッチャーは・・・何やら難しいらしく自分で買うとのこと。
モンターニュ、スレッジ、アッシュは鋼材、グラズは布(スコープ手入れ用だとか)ヒューズは圧縮空気(流石に無いだろうと思ったが意外と需要があるらしい。ちなみにサブグレネード射出用)
共通のニーズは「鉛、鉄、火薬」である。(銃弾にする。)
これらは加工がしやすいため量産に向いているだろうと思ったからだ。錫は変形しやすすぎるため使えない。(弾詰まりの原因になったりする。)火薬は知っての通り銃弾を射出するための必需品だ。一応いろんな種類があるが、必要なのは「ある程度の熱に耐えられ一定以上の衝撃で爆発する」火薬だ。そうでなければ暴発の原因になったりする。

そんなこんなで素材をかき集めたローグチーム。銃弾やガジェットはサイクロプス工房に協力してもらい制作。魔物娘恐るべし。と冗談はさておき、これで町に滞在して4時間。早い、早すぎる。

夜である。辺りに人の気配は無い。(リラが魔物軍に頼んで人払いをしてくれた。)
アタックチームはサーマイト、グラズ、ブリッツ、サッチャー、アッシュである。

作戦会議
建物は2階建て、地下はない。正面入り口に窓二つとドア。そこを越えるとエントランス。その先に螺旋階段、シャワールーム、キッチン(兼リビング)がある。
螺旋階段を上って直ぐ左に作業室、右に寝室がある。まっすぐいくとその先は小さな倉庫になっている。建物の形自体特徴的で、珍しい凸型である。縦ではなく横に、である。

「さて、取り敢えず人質はどこか、だな」
「あり得るのは2階の寝室。ここほど守りやすい所はない。」
「正面玄関からのラッシュは―」
「駄目だ、攻めやすいと言えばそうだが相手も守りやすい。ブリッツ、モンターニュがいるが玄関から階段までけっこう広いぞ?罠も仕掛けてある筈だ。」
「それならラペリング(ワイヤーによる壁の昇降)で二階寝室に接近、ブリーチングで突破するっていうのは?」
「名案だな」
「それでいこう。侵入経路は裏(凸の狭い方、つまり階段側)で。一気に決めるぞ。グラズはストリートから支援を。」
『了解。』

ウォルトはイライラしている、という表現が一番しっくりくる程焦っていた。彼は根っからの大悪党で、人も何人も殺してきた。今日は『奴』に雇われて、あの女を誘拐した。全て金目当てだ金のためなら何でもする彼だが今回は割に合わないと、思った。何せ親魔物領での犯行だ。逃れられる訳がない。
「・・・くそっ。」
悪態を吐くと、ふと、耳を済ました。
壁から足音がする。
不審に思い壁に近づき耳を澄ます。瞬間彼は全身に衝撃を感じ、吹き飛ばされた。そのまま立ち上がることは無かった。

〜サーマイト視点〜
一名排除。
幸先が良いな。そのまま順調に事が進めばいいが。しかし何故こんな壁際にいたのか・・・
サーマイトは訓練を積んでいるが故に壁際を無意識レベルで警戒している。が、ウォルトは銃や爆発物を扱う相手と対峙したことがない。故のこの結果だ。
バリケードを窓に張り付けて目張りするのは悪くない。だが、それは地上に視点を固定してあったものであったが故に『空』に目がいかなかった。
ブリッツ「さて、人質は何処だ?」
サッチャー「踏んでるぞ」
ブリッツ「おっと」
?「・・・んむぅ・・・」

アッシュ「気絶したわね。」
サッチャー「誰かさんの扱いが酷いらしいからな」ジト
アッシュ「そうね。」ジト
ブリッツ「勘弁してくれ。」
(あれ、情報だと男だったような・・・)
サーマイト「グラズ、どうだ?」
グラズ「・・・駄目だな、1階に集まってる。」
サッチャー「だろうな。もう一回ラペリングで窓から出るか?」
アッシュ「それこそ格好の的よ。私がこの子を見てるわ。制圧できる?」
サーマイト「やってみよう。皆、行くぞ。」
「「了解。」」

ブリッツ「階段前に一人!」
サーマイト「ブリッツ、盾を構えろ、サッチャー、蜂の巣にしてやれ!」
サッチャー「了解!」
タタタ、カンカン!
サッチャー、サーマイト「な、弾が弾かれて!?」
『魔力障壁だな。』
サーマイト「リラか。」
『それは一定以上の衝撃か魔術自体を無力化するしか解除は出来ないぞ。』
サーマイト「無力化か。サッチャー」
サッチャー「了解。EMP投げる!」

〜サッチャー視点〜
バン!爆発音。ブリッツの盾から相手を覗き、ファイア。
血飛沫、よろめく体、目標ダウン。
グラズ「・・・ナイス」
サーマイト「良くやった。アッシュ、二階の制圧を確認。」
アッシュ「了解。移動する。」
グラズ「待て、作業室に一人確認。」
サーマイト「排除出来るか?」
グラズ「ああ。」

〜グラズ視点〜
他愛ない。敵は廊下側を向いて障壁を展開。窓ががら空きだ。こんなもの腰だめでも仕留められる。だが落ち着け。これでは獲物を仕留められない。
意識を一点に。息を止める。照準は頭。ピタリ、と感覚が『入った』瞬間引き金を引く。サイレンサーがマズルフラッシュ、ショットサウンドを軽減。反動を制御したスコープがとらえた先は、血痕、ピンク色の肉塊。
これでいい。

ブリッツ「うわぁヘッドショットっすか。」
サッチャー「相も変わらず百発百中だな。」
サーマイト「クリア。アッシュ。」
アッシュ「了解。動ける?」
?「むむ!」コクコク
アッシュ「行くわよ。移動開始。」
グラズ「カバーする。」

ブリッツ「さて、敵が集まってる1階だが、どう攻略する?」
サーマイト「俺にいい考えがある。」
サッチャー「何だ?」

そして冒頭に至る。ちなみにブリッツ達は寝室の床からシャワールームへ。そこから挟撃した感じである。

・・・気まずい。幼女が睨んでくる。
「・・・さて、どういうことか説明してもらおうかの?れいんぼーとやら。」
・・・悪いことした覚えは無いんですがそれは。
16/01/30 10:59更新 / OVSV
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■作者メッセージ
おおおおおくくくくくれた・・・ごめんなさい。
・・・ああ、タグ、変えるべきかなー・・・

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