連載小説
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第二見聞 トカゲと騎士と商人と
前回から引き続き、、、日も徐々に傾き始めた頃。
魔物娘二人、異国の青年が一人というなんとも奇妙な組み合わせの三人にまだ明るい日の光が当たり影を伸ばしていく。

セレナ「ねー、ご主人様ーっ、そろそろ日も落ちてきましたしここら辺で寝床を作りましょー」

セレナはパタパタと耳を揺らし蓮に擦り寄る。

蓮「いや、まだ少し歩こう。今から休んだら次の町に着くのにどんどん日が伸びちゃうよ。後歩きづらいからくっつかないで。」
すず「ピー、、」
セレナ「ほら、すずちゃんだって疲れてますよ?」

疲れたような表情をしながら二人の歩幅に合わせて付いて行きそれをみたセレナがすかさず蓮に言い放つ。

蓮「、、だけどこれじゃ、、?待って、誰か来る。」

溜息混じりに二人を見つめ言い掛けたその時、何か気配を感じて思わず足を止める。
蓮の目線の先には確かに人らしき者が近づいていた。それも一人ではなく4〜5人程の集団。

セレナ「あれは、、、魔物ですよ!しかもリザードマン!」
蓮「え?てかよく見えるね?」
セレナ「えへへ♪森で暮らしてたからちょっと自信があるんです♪」

照れたようにニコニコしながらセレナは蓮をみつめる。
相手は急足だったのかどんどんとこちらに近付き、互いにハッキリと姿が認識出来る距離になった時急にリザードマンの集団が走り出しこちらに近付いてきて蓮の目の前に立つ。
翡翠色の美しい鱗を輝かせ、皆が腰には剣の鞘をぶら下げておりキリッとした凛々しい戦士の顔立ち、、その額には薄っすらと汗をかき表情を少し強張らせながら息を切らしてこう言った。

リザードマン「はぁ、はぁ、、すまないが君、来る途中で私たちと同じリザードマンを見なかったか⁉︎茶髪の髪を一本に結ったやつなんだが!」

隊長らしきリザードマンが蓮の肩を掴みグラグラと揺する。

蓮「ちょっ、お、落ち着いてください!」
リザードマン「っ⁉︎す、すまない。私としたことが、、、」
蓮「ふう、、、えっと、結論からいうと残念ながらあなたと同じリザードマンの子はこっちに来るまでの間は見てません。」
リザードマン「そ、そうか、、、すまない、時間を取らせてしまって、、」

ショボンとした表情をし肩を落とす。周りに居た隊員のリザードマンは慰める様に肩に手を置き「まだ大丈夫。」「もう少し探してみましょう。」と口々にする。

蓮「あの、何かあったのですか?」
リザードマン「、、実は、、」
ドスっ!
セレナ「ヒッ⁉︎」

まさに事情を話そうとしたその時、一本の矢がセレナの足元に突き刺さる。

「居たぞ!魔物の残党だ!」
蓮「えっ⁉︎何っ⁉︎」
リザードマン「っ‼︎あいつらっ‼︎みんな一旦退くぞ‼︎森に入るんだ!」

矢が飛んできた先には馬に乗った人間の騎士がザッと確認出来る限りで10人程。
バツの悪い表情をした隊長が全員に叫ぶと一斉に森に紛れる。
蓮はセレナとすずの手を引きリザードマン達に続く様に森に逃げ込む。

騎士「チッ、、、見失ったか、、」

すぐさま蓮達が居た場所に駆け付けたが完全に蓮達を見失い悪態を吐く。

蓮「はぁはぁ、、、セレナ、すず大丈夫?」
セレナ「ひゃ、ひゃい、、」すず「ピッ!」

息を殺しながらも騎士達の様子を伺う。

蓮「なんなんですかあいつら、、いきなり攻撃して来て、、」
リザードマン「教団に雇われた反魔物の傭兵騎士団だよ、、あいつらに私たちの仲間が一人捕まったんだ。」

声を殺しながら会話をする。
よくよく見ると騎士達の中に一人鎖で拘束されたリザードマンが居る。
少し幼さを感じるがキリッとした顔をしておりサラサラとした茶髪は一本に纏められていた。

蓮「、、、それってかなり不味くないですか?」
リザードマン「ああ、、あのままじゃ犯すだけ犯して最悪殺すか、どっかに売り飛ばされる。」

キュッと唇を噛み締め拳を握り締める。
周りに居たリザードマン達は「出るなら今です。」「油断している内に奴等に奇襲をら。」と攻め込む姿勢をみせる。

リザードマン「、、よし、今こそ我々の、」
蓮「ちょ、待ってください!この人数で挑むなんて無謀です!」
リザードマン「し、しかし、、、」
蓮「みんな揃って犬死にする気ですか⁉︎」
リザードマン「、、、」
蓮「、、ここは僕に任せてください。」
リザードマン「?何か策はあるのか?」
蓮「えぇ、、まず、、」

蓮は作戦をその場に居たみんなに伝え下準備をして実行に移す。

騎士「、、、辺りを隈なく探せ‼︎きっとまだ近くに、っ⁉︎」

号令を掛けて散開しようとした時森から蓮が出てきた。

蓮「はぁ、、はぁ、、た、助けて、助けてください、、」

その姿は正に悲惨。服はぼろぼろに斬られ顔や体には傷が付いており息も絶え絶えに騎士達の前に身体を引きずりながら現れた。

騎士「貴様大丈夫か?」
蓮「は、はいなんとか、、、あの時貴方様が来ていなかったら僕は今頃、、はぁはぁ、、」

息を切らし身体を震わせ騎士達をみつめる。
隊長らしき騎士は馬を降りると蓮の前に立ち具合を見る。

騎士「ふむ、、これは酷いな、、おい!誰か手当てしてやれ!」

そういうと衛生兵らしき人物が馬を降り手当てを施す。

蓮「あ、ありがとうございます、、なんとお礼を言えばいいのやら、、」
騎士「お礼か、、なら渡すものがあるんじゃないか?」

指で輪を作りニヤニヤした表情で見つめる

蓮「、、すみません、、僕逃げるのに必死で荷物と一緒に、、」
騎士「チッ、、わかったよ。助けて損した。」
蓮「すみません、、、?あ、あのそいつは、、、?」

申し訳なさそうに頭を下げ顔を上げると捕らえられたリザードマンを見る。
リザードマンは力なくうなだれ此方をキッと睨みつける。

騎士「ああ?こいつはさっき捕まえた魔物だ。」
蓮「魔物を捕まえてしまうだなんて、、流石騎士様、お強いのですね‼︎」
騎士「ふん、貴様みたいなみすぼらしい男に言われても何も嬉しくない。さあサッサとどっか行け!俺たちはこれから、」
蓮「あ、あの、もしよろしかったらその魔物で一儲けしませんか?」

へへへと笑みを浮かべ帰ろうとする騎士に話を持ちかける。

騎士「一儲け?」
蓮「はい!これでも僕奴隷商人でして、、最近じゃ魔物も偶に売りにだしてるんです。」

そういうとぼろぼろの作務衣の内側に着いた胸ポケットから筆、メモ、ソロバンを出すと計算を始めた。

騎士「、、、」
蓮「で、もしそこのリザードマンを譲っていただけるのであれば売値の6割、、いや8割を貴方様にお譲りします‼︎そしてその年頃のリザードマンなら売値はこれくらいに。」

弾き出した値段をメモ書きし騎士に見せる。
それを見た騎士は値段を見て驚いた表情を見せる。

騎士「おいおい、こんなにするのか?」
蓮「通常の魔物ですと少し値段が落ちるのですがその魔物は年頃。肌の傷も少なく艶がありこの美しい顔立ち、、この値段が妥当かと。」
騎士「、、わかった。貴様に譲ろう。ただしいいな‼︎報酬の8割きっちりと我々が貰い受けるからな!」
蓮「もちろんですとも。では此処にお名前と住んでいる場所をご記入くださいませ。」

そういうと騎士はサッサとメモに名前と住所を書き記しリザードマンを蓮に引き渡す。

騎士「よし、確かに渡したぞ。報酬楽しみに待っているぞ。」
蓮「はい。それではお気をつけて。」

鎖を握り締め騎士達に深々とお辞儀をする。それを見た騎士達は満足そうに馬に乗ると早々と遠い遠い彼方へと走って行った。

蓮「、、、、いったな。よし、もう大丈夫ですよ。」

そういうとリザードマンに巻かれていた鎖を身体に傷を付けないように優しく外していく。

蓮「いやはや危なかった、とりあえず後はみんなとg」
ガツンっ‼︎

鎖を解いた瞬間、固く握り締められた拳が鼻に直撃する。

?「この外道が!私は貴様なんかに屈さないぞ!」
リザードマン「シエラ落ち着け!」

興奮気味に叫びながら蓮に馬乗りになり殴り掛かろうとしたところを森から飛び出してきたリザードマンの隊長に止めらる。
その後みんなでシエラというリザードマンを宥め事情を説明する。
鼻を思い切り殴られた蓮はセレナに起こされすずに優しく鼻を撫でられていた。

シエラ「ほ、本当に申し訳ない‼︎つい興奮しすぎて思わず手が出てしまったんだ!」
蓮「だ、大丈夫ですよ。だから頭を上げて。」

顔を真っ赤にしながら頭を下げるシエラをなだめ鼻を擦りながらみつめる。

リザードマン「なにがともあれ無事で良かった。ここまで上手く事が運ぶとは思わなかったぞ。」
蓮「いえいえ。それに隊長さんが僕を信じてくれたからここまで上手く出来たみたいなものですよ。」
リザードマン「正直胡散臭い作戦だったから裏切られたらどうしようかと思ったが結果的にはみんな助かったのだ、、本当にありがとう。」

深々とリザードマン一同で一礼をする。

リザードマン「そうだ。なにかお礼をしなければいけないな、、」
蓮「あ、いえそこまで大層な事は、」
リザードマン「そういう訳にはいかないさ!恩は返さねばいけない性分でな。」

迷ったように唸り思考を巡らせる。
そして閃いたように顔を上げ蓮を見る。

リザードマン「よし、では貴殿にはシエラを従者として授けよう‼︎」
蓮「えっ⁉︎で、ですがそれだとそちらが大変nシエラ「よろしいのですか隊長⁉︎私の様な半人前がこの方の従者になって⁉︎」
リザードマン「シエラ、お前はもう立派な戦士だ。確かにまだ修行不足かもしれない。だがこの方と共に旅をし苦楽を共にして更に自分に磨きをかけ、更に立派な戦士として修行を積むのだ。」

蓮の意見も聞かず二人で会話を進めていかれて置いてけぼりにされる。

シエラ「隊長、、ありがとうございます!」
リザードマン「よいのだシエラ、、それにあわよくばこの方を伴侶として迎えいれば、、」
シエラ「た、隊長、、」

一瞬乙女の表情になり顔を赤くして隊長と蓮を交互に見る。
蓮はそれを見てツーっと汗を流し眼を反らす。

蓮「あ、あの僕の意見もkシエラ「では隊長‼︎長い間お世話になりました‼︎このシエラ必ずや幸せに、、いや立派な戦士になって戻ってきます!」
リザードマン「ああ‼︎私たちは楽しみに待っているぞ‼︎」

瞳には涙を浮かべ隊長はシエラを送り出す。シエラもそれに答え力強く敬礼をし蓮の前に近付き腰に差していた剣を抜き地面に突き刺さし跪く。

シエラ「改めて挨拶申し上げます我が主よ。私の名はシエラ・ロイアルティー、今日この日をもって私は敵を薙ぎはらう剣となり降り注ぐ矢の盾となりそして良き妻として我が主に忠誠を誓います‼︎何卒よろしくお願い致します!」
蓮「よ、よろしく、、え、最後妻ってiシエラ「ところで主よ、名前をまだお聞きしていないので是非教えてください!」
蓮「、、海谷蓮だけど妻ってiシエラ「蓮殿でありますね‼︎とてもいい名前であります‼︎では共に参りましょうぞ‼︎」

手を握り締め嬉々とした表情で見つめる。そしてその手を握り締めたまま歩き出し蓮は半分引き摺られるように歩き出す。

セレナ「ちょ、ちょっと人のご主人様を取らないでよ!」
すず「ピーっ!」

セレナは連れて行かれた蓮を追うようにシエラに叫び追いかける。
すずもそれに続き四人について行く。
青年の悲しそうな呻き声が辺りを響き渡る。青年はこれからももっと苦労していくであろう。旅を続ける限りずっと、ずっと。
15/05/20 07:23更新 / sak.m.2
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■作者メッセージ
少し日が空いてしまいましたが第2話ようやく書けましたー!
話の内容がグダグダしてしまってないか心配ですがこれからも頑張って書いていきます!

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