連載小説
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協力者、そして信用の味
「貴方、私達の仲間にならない?」


やはりそう来たか・・・・。私は苦笑いをする。

「仲間・・・というのがどの範疇か、わかりかねます。」
「じゃあ、親魔派につき、教団を潰すための内部破壊工作に加わりなさい。」
「お断りします。」

爽やかなまでの私の即答に、天使は首をかしげる。
・・・私とこの天使には、根本的な隔たりがある。

「・・・・どうやらここが枢機卿領だということをお忘れのようですね、天使様。我が領民にとって、教団は生活の一部であり、欠くことができないもの。その教義を否定することは、教義に生きてきた彼らの人生を否定することと同じです。」

我が領民は、日々の暮らしと祈ること以外に関心が無い。
親魔派・・・言い換えれば、新しい時代の風を知った者たちにとって、その姿勢は到底理解できないだろう。
だが、我が領民は現実に魔物に対して激しいアレルギー的な感情を持ち、教団の教えを信じ込んでいる。
それを打ち砕いたらどうなるか。

魚が陸を歩けと命じられるように、蟻が空で暮らせと命じられるように。

「我が民は、教団なしでは生きていけません。」

そう、天使に告げた。



「そう、残念だわ。貴方は教団が腐敗しきっていることも、魔物との共存ができる世界になったことも全て理解しているのに、それを理解した上で教団につくのね。」
「私は『領主』ですから。民のことを第一に考えなくては。」

困った顔をしながら、天使が疑念をぶつけてくる。

「でも、いずれ教団は潰れる。そうなったらどうするつもり?」
「それは貴女の仕事でしょう。教団のお粗末さを少しずつ露呈させ、その権威を少しずつ落としていく。そして、その段階で目が覚めた我が民を私が導くことになりますね。」
「・・・・どうしても、こっちに付くつもりは無いのね?」
「我が民が変化を望まない限りは。・・・最も、内密の協力や情報提供くらいはしましょう。私とて、あの胸クソ悪い教団に捧げる義理なんざ持ち合わせていませんので。」

味方ではないが、協力者であること。それを私は望んだ。

「わかったわ。こうして貴方と出会えて良かった、シアン卿。」
「こちらこそ。私が魔領と通じていることを貴女に隠し通す必要が無くなりました、天使ラキエル様。」

これで今日の執政は終わり。昼も、夜も。




「ところで、この部屋の騒ぎが漏れる心配は無いのよね?」
「はい。通常の簡易結界に加え、防音結界も張ってあります。例えここで剣を交えても外にはわかりますまい。」
「そう・・・。では、わたしが貴方を信用する『担保』をいただけるかしら?」

唐突な話だ。この期に及んで信用しろなどと。

「・・・私と貴女が交わした話が全て真実だった場合、私も貴女も互いを裏切るメリットはありますまい。」
「そうね。でも・・・女の子は利害関係だけじゃ信用しないのよ♪」

天使の口調が変わった。聖女のような凛とした慈愛を含む口調から、年頃を迎えたばかりの少女のような口調に。
私にはどちらが素かはわからない。・・・が、嫌な予感はする。

「わかりました。厳重に保管してくださるなら、誓約書を交わしましょう。」
「誓約書?うふふ、そうね・・・・」

天使が私の隣に立ったかと思うと・・・・



次の瞬間、私はベッドに押し倒されていた。



「ラキエル様、何をなさるおつもりですか。」
「様はいいよー。ラキって呼んで?」

天使が求める事は薄っすらと想像がつく。彼女と交われということらしい。
禁欲的で欲望を嫌う彼女たちがこうなるとすれば・・・・。

「サキュバスの魔力に侵されましたか、ラキエル様。」
「もしかしてエンジェルって、一様に禁欲的と思ってない?」

思っているとまっすぐに答えると、彼女は苦笑いをした。

「エンジェルの性質は、その主である神に大きく依存するの。」
「・・・・主神から遣わされた天使は主神の性質を、堕天した神から遣わされた天使は、堕落した性質を。」
「そう、そしてあたしの神は、神族でも寛容的なの。『快楽は人生のスパイスだ、多すぎても少なすぎてもいけない』ということまで言ってるくらい、ね。」

いつの間にか一人称があたしになっている。
私は溜息とともに、自分の心境を露呈した。

「教団は主神を信仰し、その思想に共感している。そこにいる天使様が、あろうことかこのような行為に及ぶとは。」
「驚きでしょー?でも、ここまでやらないと、あたしも貴方を味方として認識できないの。」

信仰などとうの昔に捨てた。私の行動基準は我が領民のみ。
しかし、こうして改めて認識すると、ショックである。
・・・・堕天していない天使だが、サキュバスの魔力に侵されている可能性はまだ否定できない。書物によると淫魔の魔力の有無は高位の術者ですら、実際に交わってみないとわからないらしい。
そして彼女がそういう行為に及ぼうとしているのは、自分は淫魔の魔力で錯乱したのではないという確信を示す意味もあるのだろう。(最も、私が淫魔の魔力を探知できるはずもないと鷹をくくっているだけかも知れないが。)

「ラキエル様・・・・いいえ、ラキ。」
「はぁい♪」
「快楽を求めすぎると堕天使になります。そこは忘れてませんね?」

こくこくとラキが頷くが・・・・心配である。

「それと、私は純潔の身です。女性を知らない男を堕とすということを、天使である貴女がするという意味・・・・わかりますね?」

説教口調なのは枢機卿の性か。
純潔を天使が奪うことは、非常に背徳的なことだ。それも恋慕しているならまだしも、遭って一日の我が身である。
その背徳を味わって彼女が堕天しないか心配だった。打算的な理由と、人道的な理由の両面からして、だ。

「あれぇ、童貞だったの?てっきり娼家で百戦錬磨・・・」
「責任ある立場でそんな放縦ができますか。・・・まあ、他の枢機卿は百戦錬磨のようですが。」

教団の上のほうなんか、そんなものだ。そう考えると改めて頭痛がする。

「いいよ、気をつける。百戦錬磨のを相手にして『戻って来れなくなる』よりは危険が少ないと思うし。」
「・・・違いありませんね。くれぐれも気をつけてください。」

そう釘を刺し、私たちは着ているもののボタンを外し始めた。



「まずはどうするの?」
「では、キスから入りましょうか。・・・ファーストキスなので、上手くできなかったらごめんなさい。」
「キスまではじめて?なんか嬉しいな。大丈夫、あたしがリードしてあげる♪」

ベッドに2人、寄り添うように寝ると、私はラキの唇を奪った。

「ん・・・・・ちゅむ・・・・はむぅ♪」

ディープキスの知識くらいはある。こう舌を絡ませるらしい・・・実践したことは無いが。
やはりラキは私より数段上手だ。舌のダンスは私の方が自ずと劣勢となる。

「ん・・・んむっ!?」
「んふふ・・・・♪」

キスに集中していて、私の身体の方はお留守だった。
ラキの手が私のズボンを下ろしたのだ。
咄嗟のことに戸惑う私に、ラキは容赦なく舌をこすりつけてくる。

「ん、ん・・・・!」

些か声が意地っ張りになっているのは、ラキには筒抜けだろう。
ラキはそんな私の様子を見てから、私の腰に手を回しながら、私の息子をしごき始めた。

「んっふっふ〜・・・ん・・・ちゅぱっ・・・♪」
(まずい、このままでは一方的に感じさせられてしまう!)

私も男としての意地はある。・・・多少は。
自らの闘争本能に点火しつつ、私は片手をラキの胸へと持っていった。

「んー・・・♪」
(どう触ればいいんだこれは?確か、こう撫でるようにすれば・・・)

ダメだ、全然ラキの方が余裕である。私だけ一方的に高められている気がした。

「・・・ぷはっ!」
「ぷはぁ♪」

互いの舌を引き離し、一旦、戦いをふりだしに戻す。
私の舌と、ラキの舌の間に透明な細い橋ができていた。

「上手すぎです、ラキ。」
「シアンも初めてにしては上手だったよ〜」

そう言いながらも、腰はラキの左手に捕らえられ、私の息子は上下するラキの右手の中で膨らんでいく。
さて、彼女の性感帯を見つけ出さなければ。

「・・・・・・・・はむっ。」
「ひゃうっ♪」

少し苦しい体勢だが、ラキの耳に舌を差し入れてみた。
片手で私の上半身を支えつつ、ラキの胸に未熟な愛撫を続行する。
これでどうだ・・・?

「んもう、シアンったら、そんなことされちゃ頭が熱くなっちゃう〜♪」
「そう。感じてもらえてるようで何よりです。」

正解、だったか?私はラキではないのでわからないが。
彼女が少しずつ高まってきているのは私にはわかるが・・・

「ん、ん、んっ♪」

それが手コキの速度にも表れるのだからたまらない。
射精を促され、少しずつ私は追いつめられていく。分の悪い持久戦だ。

「じゃあ、そろそろ次、行こ?」
「え?」

私の腰が解放されたと思ったら、私の両肩をラキが鷲づかみにしていた。
そのまま背中の方向に力をかけられ、押し倒される。

「じゃあ、準備いい?」
「ちょ・・・・ラキ、2つの意味で待ってください。」

ラキは待ってくれているが、肩と膝に体重をかけられ、動くのは難しい。
そして、こんな時でも説教が出る私。

「まず1つ目、避妊具の件ですが。」
「生でしちゃって大丈夫だよ、エンジェルは人間と身体が違うもん。」
「・・・・そうですか。では2つ目、もしや私に騎乗した形で結合しようと思ってませんか?」

保守的な教団は、女性優位である騎乗位を特に忌む。
しかし、立場的には天使であるラキの方が優位であるから・・・あれ?

「・・・・ねえ、難しいこと考えてない?」
「・・・・色々、作法があるのではないのですか?序列によって上の立場の者が上になるとか・・・あれ、でもこれは人間同士の場合であって異種族の場合は・・・」

素で口に出しただけなのに、ラキは心底呆れた顔をした。
と言うか今の顔、天使としてどうかと思う。

「そんな堅苦しいのないわよー!そんなの信じてたわけ?」
「はい、信じてました★」

ごまかしがてら、思いっきり無垢な笑顔を浮かべる。どうやらそういうものは無いらしい。

「もうっ!まあいいわ。シアン、覚悟はいい?」
「それ、女性の方が言う台詞じゃないですよね。まあいいです。ラキ、私の初めてを貴女に捧げましょう。」
「うん、優しくするね。」
「・・・・それも女性の方に言われる台詞じゃないです。軽く傷つきました。」

ラキが上体を起こして中腰になり、下半身を私の息子に擦り付け始める。
私は息子の根元に手を沿え息子を直立され、挿入しやすい体勢を整える。

「・・・ここだよ。濡れちゃってるの、わかる?」
「ええ。ラキが痛くないようなペースで構いません。」
「じゃあ、いくね。」

ラキが腰を落とすと同時に、ラキの膣口が裂け、私の息子を呑み込みはじめる。
熱い粘膜が私の亀頭にまつわりつき、気を抜いたら暴発しそうだ。

「・・・・・ッ!」
「あ、ごめん!痛かった?」

・・・これも女性に言われる台詞ではない。
ラキの膣内にある襞のうち、大きなものが私の裏筋に擦れたのだ。
一般的には快感と認識されるかも知れないが、私にはその刺激は強すぎた。

「大丈夫、続けて。私が敏感なだけだから。」
「ええと、もう少しスピードゆっくりでいい?」
「ホントに大丈夫ですって!」

窮屈で擦れて痛い箇所を抜けたその先は、ねっとりと熱く絡みついてくる襞の溜まり場だった。
ラキの体温を一番感じる場所だ。

「んっ♪・・・はい、奥まで来ました♪」
「・・・・反則。気持ちよすぎです。」
「そう♪ところでシアン、今、子宮口当たってるんだけどわかる?」
「経験無いもので。どこがどれやら。」

余裕の表情を浮かべるが、顔は引き攣っているだろう。
ポーカーフェイスには自信があるが、やはりラキにはわかってしまうようだ。

だが、間違いなく私は、ラキの最奥まで届くことができた。
私の息子も、もう少しで根元まで埋没する。つまり、彼女の途中で長さが足りなくなるということはないようだ。
・・・・そこだけは、両親に感謝しておこう。

「ええと、動き方は・・・・えい。」
「ひゃあっ♪」

私が腰を下から突くようにすると、ラキは嬌声を上げた。間違いない、感じてくれている。
だが、根元は絞められるわ、亀口は熱い粘膜と襞で愛撫され放題だわ、自分で処理するのとは全然違う。これは私の方が不利か・・・?

「もうっ、シアンはあたしのものなんだから、暴れちゃだめぇ♪」

ダメと言いながら、その表情はうっとりしている。本気で嫌な訳では無いようだ。
これなら・・・・と思ったとき、腰に強い圧迫感を感じた。
ラキが中腰をやめ、私にしゃがみ込む格好で私の腰に体重をかけてきたのだ。

「ね、シアン・・・・あたしに任せて?」

そう言うや否や、ラキは腰を小円を描くように振り始めた。
ラキの膣内で激しい愛撫が始まり、私はあっと言う間に高められてしまう。
そんな様子をラキに見下ろされ、私は恥ずかしさと余裕の無さを隠すので精一杯だった。

「あら、余裕がなくても顔は変えないんだ。ふふふ、ますますかわいくなっちゃった。」
(・・・・ッ!&”’%’”!!こういう時はアレだ全く関係ないことを考えろ私、マインツ大司教のイヤミな顔とか!!)

立体的な腰の振り方に変わり、私は追いつめられているのにラキは余裕な様子だ。
この体位はまずい、ここは上半身を起こして・・・・

「・・・あら♪」

いわゆる『座位』という奴である。ラキは相変わらず私の腰の上に跨ったままだが、私も上半身を起こした格好だ。
顔にラキの胸が当たる。胸に性感帯があるかはわからないが、私は胸に舌での愛撫を強行した。

「ひゃあっ♪やん、感じちゃう♪」
「・・・・負けず嫌いなものでね!」

間違っていなかったようだ。この体位でなら、ラキもそう好き勝手には腰を振れない。
だが、ラキは私の腰をがっちりと捕らえるように両足ではさみ込んだ。
そのままラキの脚に絞められ、性器が密着してしまう。

「そういう風に抵抗されると、あたしも火が点いちゃう♪」

こうなると、空中にあるラキの腰が一方的に動く事になる。
まずい、そろそろだ。鎮まれこの愚息。

「あら、中で膨らんで・・・ぴくぴくして・・・・もう、イきそうなの?」
「・・・・それを私に、聞きま、すか。」
「じゃあ、とどめ、あげるね。」

ラキの片手が私の背中に、もう片手で顔を仰向けにされる。
そしてラキの翼が私の全身を包み込み、締め付け始めた。

「シアン、食べてあげる。」

そのままラキは口を開け、私の唇を飲み込む。
膣内も強く締め付けられ、膨らんだ私の息子はまさに精液を絞り取るその吸い付きに悶えた。

「ん、じゅるる、じゅるるるるッ!!」

私が思わず吐き出した唾液が、残らずラキの喉へと吸い込まれて行く。そんな強いバキューム。
翼と腕での、痛いくらいの抱擁。熱すぎる温もりの中、吸い絞められる私の息子。
天にも昇るとは、このことだろう。私に勝てるはずもなかった。

どぷっ・・・びゅるっ・・・・

「んぐッ・・・・・!」
「んーーー♪」

射精の間、私は快楽で染まり切った。このまま溶けてラキに食べられてしまうと錯覚したくらいに。
こんな絶頂の迎え方は経験が無かった。

びるっ・・・ぶぴゅっ・・・・

そして、私の意識は白く染まった。

ぴゅっ・・・ぷりゅっ・・・・

「ぷはぁっ!!」
「ぶっ・・・!はあッ!はあッ!!」

ラキの口から解放され、私は肩で呼吸をする。
その間も、絶頂した私の息子を尚も愛撫するラキの膣の感触に悶えた。射精後は敏感になるものである。

「・・・・・・。」
「シアン、どうだった?・・・・って、おーい?」

恐らく目の焦点が合っていないんだろう。ぼーっとして今自分がどういう姿勢なのかもわからない。

「シアン!」
「・・・・ぁぅ?」
「あちゃ、やりすぎちゃった。ごめんね。」
「・・・・・・私、どうなってしまったんだ?」
(え、なにこれ可愛い。やばい急に感じてきちゃう・・・!)

ゆっくりと顔を戻すと、ぼやけたラキの顔が映る。

「そ、そんなに気持ちよかった?」
「そうか、私はあのままラキに食べられた訳では無かったのか。」
「ホントに食べられるって錯覚してたの?」
「いいや、本当に食べられてしまったよ。少なくとも私の精神は、今ここがラキの中だって訴えてる。」

そう言うと、ラキは髪を振り乱して急に恥ずかしがり始めた。今更何だ。
私は肘を使い、ゆっくり起き上がる。そして、ラキのお腹をやさしく撫でた。

(ああっ!そんな顔で、そんなとこ撫でられたら愛しすぎ!反則!)
「しかし、このかわいいお腹に閉じ込められるなら、それでも私はいいよ。」
「や・・・・やばいやばいやばい恥ずかしいバカーーー!!あっ・・・・!!」

錯乱しているラキとは対照的に、私にどんどん正気が戻ってくる。
・・・・そして、自らの発言の気恥ずかしさも。






「とりあえず、私が絶頂した時の戯言は無かったことにしてください。」
「・・・・あたしも、シアンの恥ずかしい言葉だけで軽く達するとは思わなかった。」

互いの衣服を直し、ベッドに腰掛ける私とラキ。
なんかこう、気まずいものがある。

「身体の方は大丈夫ですか?ラキ。」
「あたしよりシアンの方が心配。あれ、思いっきり吸っちゃうから酸欠にならないか心配で・・・・」
「私が完璧に飛んだ以外は正常です。精神的なものは色々アレですが。」
(うう・・・飛んだ時のシアン、顔も言葉も凶器すぎたわ・・・・。)

ラキが何か俯いているが、大丈夫だろうか。

「堕天化と、妊娠・・・は異種族なのでいいのでしたよね。」
「連続ならともかく、1回イっただけなら深さに関係なく堕天しないよ。今回のは軽かったしね。あと、貴方の子ができてもちゃんと産んであげるから。」
「そう、それはよかったってええええええ!?」

ちょっと待て、エンジェルは人間と身体が違うとか何とか言ってなかったか。

「本当にできてしまったら大変ですよ!!どう教団に隠せばいいことやら・・・・」
「ん、あたしとじゃ嫌?」
「産まれた子供が育つ環境がどこにありますか!?あ、パンデモニウムは却下ですよ。」
「神族界でいいじゃない。それと、堕天しないって!」

しかし、天使とは言え1日で知り合った女性である。大丈夫か私。

「・・・・しかし、あそこまで飛んだのは初めてです。あの技で何人を達させてきました?」
「えっ、それを今ここで聞く普通?・・・・まあ、あたしも初めてじゃなかったけど、あの技を使うのはシアンが初めて。本当に好きになった人じゃないと気持ち悪くて。」
「ちょっと待って、今さり気に赤面ものの台詞混ざってなかった?」
「さっきのお返し。」

どうやら根に持たれたようだ。これから色々大変そうである。

「あたしが教団中央の人間に極秘に汚されてたってこと、シアンは軽蔑する?」
「しませんよ。私も、領民を盾に取られて同じことをしろと言われたら、やる人間です。」
「シアンは絶対ダメ、いいね?」

ラキの目が怖い。しかしあの連中、天使にまで手を出していたのか。
天使を自らと交わらせる政略など、私にはさっぱり思いつかない。腐った連中だが、案外優秀なのかも知れない。
そうだとしても、その優秀さを別の方面で発揮してもらいたいが。

「私のこと、味方だと信用できましたか?」
「してない。もう1回しないと信用できない。」
「・・・・では、ツケで後日払いで。」
「・・・・・うんっ♪あ、あとね。」

ラキは思い出したように付け加えた。

「シアン、あたしに敬語はやめて。」
「・・・・善処しましょう。いえ、善処しよう。」
「うん、それでいいの♪」

いきなり口調を変えるのは難しいが、ラキがそう望むなら努力しよう。

「んー、今日はここに泊まっちゃお♪」

そう言って、ラキはベッドに倒れこむ。その顔は幸せそうだ。
私も簡単に後片付けをした後、自分の部屋へと戻った。

ちなみに、性交中にラキからは淫魔の魔力の類のものは感じられなかった。
ラキ自身がその意志であの行為を行ったことになる。
それはそれで安心だが、エンジェルとして、それでいいのか・・・・と私は思う。



・・・かわいいから仕方ないが。
11/05/17 13:12更新 / 見習い教団魔導士
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■作者メッセージ
【登場人物紹介】

御使いラキエル

年齢不詳のエンジェル。図鑑のエンジェルよりは成長しているが、あどけなさはまだ残る金長髪の天使。2重人格。
主神からではなく親魔派の神から派遣されてきたエンジェルのため、彼女自身も親魔派。教団を内部から壊そうと、どす黒い計画を企んでいる。
彼女によれば、教団のエンジェルの大多数が元からそうであったか、あるいは寝返ったことで親魔派であるという。
普段は聖母のような口調で語りかけるが、シアン卿と2人だけの時には本性の方を見せる。

彼女自身、ほとんど戦闘に出ないが、エンジェルだけあってかなり高位の光魔法を扱うことが可能。
彼女が来た目的はウェルステラ聖槌軍を敗北に導き親魔派の損害を抑えるためだったが、聖槌軍は元々全戦全敗の『仕組み』だったため、彼女が領内に残る理由はまったくない。
それにも関わらず彼女が枢機卿領に残っている理由に、シアン卿は気付いてないのか、気付いてないふりをしているのかはわからない。
枢機卿にしては珍しく純潔だったシアンに対し、天使なのに性交経験が多少ある。その経験は淫売じみた政略のためだったらしく、彼女は密かに気にしている。


<<閑休話題>>

シアン卿の性癖

21歳にして童貞、しかもファーストキスまで未経験という、枢機卿にしては非常に珍しい身体。
性知識も不足しており、自慰経験以外は全く開発されていない。
オカズはオドアケルがたまに持ってきていたりする。シアン卿は恥ずかしがってその度に魔弾が飛んだりするが、最後は何だかんだで使用。
アレは巨根ではないが人並み以上の大きさはあり、無論皮も剥くこともできる。が、自慰中は皮の上から愛撫するため、本番では非常に敏感。

シアン卿にも男の意地は人並みにあるらしく、相手を感じさせてあげたいという思いはある。が、堕天させる可能性やラキの性癖も相まってその思いは達せられずにある。
相手が未経験であることにこだわらない性格で、既に経験済みのラキの心配は取り越し苦労と言える。無論結ばれた後は、自分と相手に節操を課す。
行為中は性的快感に喘ぐようなことはせずポーカーフェイスを保つが、ラキには丸判りのようだ。
そんな未熟な彼でも、絶頂時や飛んだ時のかわいさは異常との話。

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