読切小説
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重し蛇
私は醜い
私は、私の為に貴方を苦しめる
覚えていて欲しい
この顔を。
それだけを願って。
私はあの日、とても強く
強く、強く、ツヨク
願ったのだ。
全てを拒絶してもいい。
ただアナタを。
私という存在で。
私という記憶で。
【固めたかったのだ】
願いは届き。
1人の人間は。
愛欲の化け物と成り。
ただひたすらに待ち望むのだ。
【愛しい人】を。
全てを捨てて、やっと届く。
伝えたい愛のカタチを。
全身を使って。
全てを使って。
そうして変わる。
髪は意志を持ち
深き愛を伝える。
脚は形を変える
捕まえて離さない為に。
だがそれでも。
コレだけは。
変わらない。
普遍の愛を貫くために。
表情を捨てた。
無感情を貫くこの顔は。
きっと
キット
貴方を縛る、蛇になる。
私という世界に固めてしまう。
その為だけに?
いいえ
未来を。
彼を私に縛り付けうる未来を。
愛が溢れぬように。
固めて愛してしまうために。
今はただ。
アナタとの時間には叶わない。
変わるための心地良さを。
受け入れましょう。
それでも。
アナタから与えられていない。
ああ…
早く会いたいな。
きっとアナタは苦しんでる。
私のことが忘れられなくて。
私に縛られて生きている。
それが
それが堪らなく。
【愛おしい】
きっと怒るんだろうな…
アナタは直ぐに表情に出るから。
私は、貴方の表情に憧れた。
だけど私は、それを壊してまで。
手に入れたかったのだ。
【 アナタを 】
もうすぐ春になる。
この身体は、寒さに弱い。
本当は直ぐにでも迎えに行きたかった
けど。
もし。
もしも。
拒絶されたならば。
私はきっと壊れてしまう。
そうなれば私は。
【強硬手段に出るだろう】
くだらない。
アナタが拒絶するはずはない。
そう思えども。
私の中のワタシが。
不安を訴え。
警告するのだ。
【もしも】と。
私は耐える。
【もしも】は有り得ない。
この身体はとても強い。
寒ささえ超えれば。
なんとでもなってしまうのだ。
だから待つのだ。
蛇たちは、はるが近づくにつれ
どんどん凶暴になってゆく。
はやく、はやくと。
貴方を求めて止まないのだ。
ああどうか。
願うことならば。
縛られ続けた彼が。
私を
ワタシを
忘れていませんように。
「…あ…つくし…」
春の足音がする。
私は浮き足立ち。
心だけは弾んでゆく。
ろくに動かない表情は。
アナタを思う時だけは。
ピクリ…と唇が吊り上がる。
あぁ…待ち遠しいな。
春の香りが近づいてくる
暖かい日差しが私を包む。
待ち望んだ瞬間を。
全身で感じる。
今行くよ。
私の
私だけの
【愛おしいアナタ】
【アナタ】







18/11/01 05:25更新 / 魔畜

■作者メッセージ
普遍の愛は
時に
人の人生をねじ曲げる








ハロウィン?知らない子ですね(ニッコリ

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