読切小説
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魔物ライダー2
…なぜ…なぜ届かないっ…!?ーーーー・・・



ヴァァァアアアアアアアアッヴアアアアア!!


夜。森林の静けさを切り裂くエキゾーストノートが響き渡る。

「くそっ…。なんで俺はアイツに勝てねーんだ…!」

人っ子一人いない夜闇の峠道を1台のバイクが道筋をヘッドライトで照らしだしながら勢いよく駆け下りていく。

「いつまで俺は…アイツの背中を追っかけなきゃいけねーんだよ…!!」

その響きは甲高くしばらく峠にこだまし続けていたーーー



・・・

・・





「おーい!玲次!」

学校へと登校する赤城玲次(あかぎれいじ)は呼び止める親友の声に反応し、歩みを止め振り向く。

「おう。キョーヤか。どうした?」
「どうしたもこうしたも、行き先は同じなんだから一緒に行こうぜ。」
「生憎、男の趣味はねーぞ。」
「俺にもねーよ!?」
「そうなの?」
「そうなの?…じゃねーよ!!」
「初耳だわ。」
「初耳もクソも何年俺ら付き合ってっと思ってんの!?」
「いつから付き合ってる事になってんだよ。」
「( º дº)<キエェェェエエェェェ!!!!!!」
「うるせーよ(笑)」

キョーヤこと志熊京也に玲次は軽く(笑)冗談をとばしながら2人は学校へと歩き出す。

「そういや"アイツ"とまたやりあったんだって?」
「……ああ。」
「どこで。」
「箱根。」
「で、勝ったのか?」
「……聞くんじゃねーよ。胸糞わりぃ。」
「…………そうか…。」

勝敗を聞くまでもなく、京也は会話の雰囲気で察する。

「お前のナナハンの調子はどうなんだ?」
「ん?俺のFZか?ん〜…最近フケが悪くなった気がすんだよなぁ…。」
「そろそろオーバーホールした方がいんじゃねーか?だいぶ乗り回してんだし。」
「そうは言っても金がないんだよね〜…。」
「仕方ねーな、身分が学生なんだ。バイトじゃ限りあるしな。」
「お前のR1はどうなんだよ。」
「ああ?絶好調に決まってんだろ。ありゃ親父の形見だ。綺麗にしとかにゃいけねーからな。」
「そらそうか。」

玲次の父親は昔、バイクの事故で亡くなっており、形見として現在の玲次の愛車ヤ●ハ YZF-R1を受け継いだのだった。

「ま、学生の身分でR1乗れるんなら充分だな。」
「ふっ、まーな。」
「おい貴様!」

他愛もない会話を繰り広げる2人。その前方に1人の魔物が
立ちふさがる。

「……何の用だテメー。」
「何の用だとはご挨拶だな。我に負けておきながら。」
「うるせーよ。トカゲが。」
「おい玲次!」
「トカゲとはなんだ貴様!!」
「テメーこそ何なんだ!!用がねーならとっとと失せろ!!」

彼女と玲次の間に火花が散り始める。
それを止めようと京也はアタフタするが、2人の勢いは止められない。

「フンっ!負けた貴様のその負け犬のような面を拝みに来てやったのだ!!」
「トカゲがギャーギャーうるせぇんだよ!!発情期かコノヤロー!!」
「魔物に発情期もクソもあるかこの無礼者が!!」

彼女の名はクレイシア・ソーフィアス。周りからは名前を省略したあだ名、クリスの名で呼ばれている。種族はドラゴンである。
玲次とは小学からの仲でいわゆる幼馴染ではあるのだが、2人は毎回このように口論を始めてしまう。まさに犬猿の仲なのである。

「うるせぇ万年発情期!!さっさとどっか行って一人寂しく慰めてろ!!」
「貴様こそさっさと家に帰って一人寂しくシコシコシコシコやっていればいいだろう!!どうせ毎日やってるんだろ!?毎日毎日シコシコシコシコ!!」
「やってねーよボケ!!大体テメーには恥がねーのか!!そんな言葉デケェ声で往来のど真ん中で!!だからいつまでたっても万年発情期なんだよ!!」
「き、貴様ぁぁぁああああああ!!」
「はんっ、ああそうか〜魔物だからしょうがないか〜(笑)」
「ギギギっ💢💢…ふ、ふんっ!我に負けたヤツが何を喚こうが負け犬の遠吠えだな!!」
「なにィ!!」
「あーあ!これではR1も泣いておるわ!!ホンダに負けちゃったよ〜(><)ってな!!」
「バイクは関係ねーだろうがコラァ!!俺とテメーのサシの勝負だろうが!!」
「大ありだ!!私のCBR1000RRの方がよっぽどいいバイクなのだ!!R1に劣る事などない!!」
「R1を舐めんじゃねーぞコラ…いい加減にしねーと容赦しねーぞ…。」
「フンッ!!やる気か?ならば受けてたつぞ。だが!!文句があるなら我と我のCBRに勝ってから言うのだな!!」
「上等だコラァ!!首洗って待ってやがれ!!」
「れ、玲次…!」
「行くぞ!キョーヤ。こんなクソ淫乱トカゲ気にすんな。」
「ふっ…弱い犬ほどよく吠える。」
「チッ!!」ギリッ
「玲次っ…ここは抑えろよ!」
「わかってらぁ!!」

尚も彼の癇に障るような事を放つクリスに拳を握りながら、玲次は京也と共に学校への道を再び歩き始める。



・・・

・・





「あー今日もかったりかったなーちくしょう。」

学校も終わり、帰路につく玲次は一日の出来事を振り返り、疲れから愚痴を漏らす。

(んなんだよあのクソトカゲ…。何かと突っかかって来やがって。しかもR1まで侮辱しやがって…ふざけんじゃねぇ…ぜってぇブッちぎって泣かせてやる。)

朝の一連の騒動のあとも、学校で何かとクリスは玲次に突っかかっていた。
休み時間、昼休み。はたまた授業中にまで。
だが、彼は彼女の言動や行動よりも、自分のバイクが侮辱された事が一番許せないのだ。
自分の愛情をすべて込めた愛車。そして親の形見。それを侮辱された彼はそれらすべてを否定されたような気分なのである。
思考を巡らせていた彼はいつの間にか家の前まで着いていた。
そして玄関先には向かわず、カバーのかかったR1の目の前に立つ。

「待ってろR1…!すぐにあのイラつくCBRのテールブチ抜いて、恨み晴らしてやるからな…!!」

そしてその日の夜、箱根へと向かった彼はガソリンタンクが目に見えて軽くなるレベルで一晩中走り込んだのだった。






・・・

・・





一週間後、あれから彼は毎日のように箱根を走り込んだ。タイヤの溝は一気に減り、ガソリン代とタイヤ交換のダブルパンチを食らいながらも彼はやめなかった。

「なあ玲次。なんでお前とクリスはそんなに仲が悪いんだ?」
「知るかよ。アイツが勝手に突っかかって来やがるからしょーがねーだろ。」
「お前もあんまし言えないと思うけどな。」
「はぁ〜?」
翌日、学校の昼休み。2人は昼食を食べ終え暇を持て余し、適当にぶらぶらしながら話していた。
「どこがよ?」
「結構簡単に挑発に乗るとことか、会った時の反応が明らかに邪険とか。」
「そんなの、あんな態度毎日されてりゃ当たり前だろ。くだらねー事言ってっとお前の名前書いたラブレターにやらないか?(イケボって書いて女子のロッカーに入れまくるぞ。」
「やめてください死んでしまいます。」

確かに京也の言うことも一理あるが、毎回吹っかけているのはクリスなので玲次の言う事も仕方がないのだ。
2人が談笑しながら歩いていると、またも問題の人物が…

「貴様、探したぞ。」
「今度はなんだ。またくだらねー事抜かしやがったらバイクごと東京湾に沈めるぞ。」
「やれるものならやってみろ。フンっ、そんな事はどうでもいい。いつもはお前から挑まれていたが、今回は宣戦布告だ。来週の土曜日、箱根で待っている。貴様がどれ程のモノになったか、我が試してやろう。」
「偉そうに。わかったよ。その勝負、受けてやる。」
「せいぜい我を楽しませるんだな。」
「R1のテールを拝ませてやるよ。楽しみにしてな。」
「フンっ!勝手に言っておれ!!」
「けっ!」
「…………京也から聞いたのだが…。」
「あん?…な、なんだよ…。」

さっきまでの食って掛かる態度から一転し、シュンとした態度となるクリス。
その普段見せない態度に、玲次は若干たじろぐ。

「その……あれだ…この間は言い過ぎた…。すまない…。お前のR1が、親父さんの形見だとは知らなかったのだ……。」
「あ、ああ…。」
「それに確かに自分のバイクを侮辱されれば…誰でもいい気はせんしな……。」
「な、なんだよ急に!お前らしくねぇ!」
「…ふ、フンっ、京也に頼まれただけだ!貴様なんぞの為ではないのだからなっ!!/////」

クリスは捨て台詞を玲次に投げかけ、頬を少し染めながら逃げるように走り去る。

(何なんだよ…。なんか…拍子抜けるじゃねーか…。少し可愛いって思っちまった自分が悔しいぜ…ちくしょう…。)
「玲次…?」
「……キョーヤ、お前あのバカになんか吹き込んだろ。」
「な!ナンノコトカナァ〜!汗」
「……けっ、まあいいや。そろそろ昼休み終わるし、教室戻るぞ。」
「あ、ああ。」
(クソ…なんだよこのモヤモヤ…。)

この日を境に、玲次のクリスに対する感情が少し変わったのだった。

「あと、次に余計な事しやがったら裸にひん剥いてデビルバグんとこ叩き込むからな。」
「……い…114514!(迫真)」
「…………(´^o^`💢)」
「すみませんでした。」orz



・・・

・・





その日の夜。

「ふぅ…私はなんて事を玲次に…。反省せねば。」

クリスは自宅の前で自身のCBRに跨り、物思いに耽っていた。

(いつもこうだ…恥ずかしさから我は思っている事とは違う事がポンと出てしまう…。それで玲次を怒らせて…我もついカッとなって…。素直になれたらどんなに楽か…。)

静かに夜風を浴びる彼女の顔は暗く、寂しいものであった。

(玲次と一緒に走っている時はとても一体感があって…唯一玲次と心が通じてる気がして…満たされている気がするが…。次は…アイツは我を負かすだろう…。その時は…いくらか素直になれるかな…。)

彼女は静かに風で乱れた髪をかきあげ、星を見上げる。
夏が近づく季節だが、星は綺麗に見えていた。

「だが、簡単には負けんぞ。我の愛しき勇者よ。」

彼女は現代の魔物。だが本質は昔の教団の勇者が蔓延る時代と変わらない。
挑まれれば全力で受けて立つ。そして強い者に惹かれる。
彼女はどんなに負けても挑み続け、そして成長する玲次に惹かれいつか来る敗北を、いつしか待ちわびるようになっていた。
それはドラゴンとしての本能か、彼女自身の願望か。
彼女にはまだわからない。



・・・

・・





一週間後、土曜日。その時はやって来た。

「あれ?カギどこにやったっけ〜?ちくしょう見あたんねーな。」

しばらくカギを探しまわり、やっとの思いでカギを発見し、玲次は箱根へと向かった。

・・



「予定通りだな。では早速始めようか。」
「ああ。」

玲次が目的地に着くと、そこにはクリスが仁王立ちで待機していた。

「ルールはいつも通り。缶を投げ、落ちた瞬間にスタートし。」
「先に下りきった方が勝ち。構わないぜ。」
「フム。では、行くぞ!」
「ああ!!」

2人はヘルメットのシールドを下げ、ギアをニュートラルから一速へと入れてブリッピングを始める

ヴァンッ!!ヴァンッ!!

そして缶は投げられ宙を舞い、徐々に落下を始める。
ブリッピングにも気合いが入り、サウンドで空気が振動する。

ヴァアアンッ!!ヴアアン!!

缶は回転しながら地面に近づいていき、そしてカラーン!という音をたてて地面と接触した。

ヴァァアアアンッヴァァアアアアアッヴアアアアアア!!

2台はフロントを浮かせながら派手に加速して行くのだった。
第一コーナー。緩い右。
並んだまま2台突っ込んでいく。
ブレーキングからのシフトダウン、そして尻をクイッとずらしハングオンの姿勢を作る。
バイクを徐々に傾け2台はフルバンクで駆け抜ける。
まず頭を出したのは玲次のR1であった。
イン側からのラインからCBRを抑える。
だが、イン側のキツいラインから入ってしまった為、ラインが外へと膨らんでいく。
それをクリスは逃さない。
CBRをインへと持っていくクリス、そのままクロスラインでインからR1の頭を抑え、一気に前へと躍り出る。

(ちっ、やっぱ簡単には前に出してくんねーか。)
(脇が甘いぞ!)

CBRが頭のままコーナーを立ち上がる。
そしてすぐに次のコーナーが迫る。

(今まで何度も負けてきたが、今回はそうはいかねぇ!)

2台はブレーキングに入りフルバンクでコーナーを駆け抜ける。
そしてR1はぴったりとCBRのテールを捉える。

(ほう、姿勢が変わったな。着実に乗り方が様になってきている。恰好いいぞ…玲次♥)

コーナーを立ち上がり、短いストレートに入る2台。
そこでR1は動いた。

(とりあえず前には出させてもらう!)

一気にCBRの横につけるR1。
そのままブレーキングに入り、堅実にインを固める。
そのまま頭をとり、加速し抜き去っていく。

(まさかここで仕掛けてくるとは思わなかったっ!)
(よしっ!まずは頭とったぁ!!)

今度はR1のテールをCBRが捉える。
次のS字が迫り、ブレーキングに入る。
玲次はクリスを前に出さない為にもクリスが通るであろうベストラインを綺麗にトレースする。
S字の切り返しで機敏にマシンを切り返しフルバンクさせていく。

(見れば見るほど惚れ惚れする…。ほんとに上手くなったではないか。)

車体を戻し、加速を始めるR1。
それに続いてフロントを浮き上がらせる程の加速で一気にR1に張り付くCBR。
2台共一進一退で付かず離れない。

(でも簡単には負けてやらんぞ!!)

S字を越え、ストレートを全開で駆け抜ける。
そして次のコーナーに入る瞬間、R1の一瞬の隙を突いてCBRがサイドに滑り込む。

(クソっ!やっぱり見逃してくんねーか!!)

並んだままコーナーを駆け抜け、若干頭を出したCBRが次のコーナーでR1のラインを抑え込む。
鮮やかに玲次をパスしていくクリス。
玲次は焦りを見せる

(コースは既に半分近い!あのまま前を走らせ続けるのはまずいぜ!!)

ストレートに入りCBRのリアにぴったりとつけたままのR1。

(もう一回!ブチ抜く!!)

若干のバンクコーナーを身体を擦らせる勢いでフルバンクさせ、抜けていく2台。
立ち上がり、玲次が少し身体を上げるとフロントが一気に浮き上がる。

(うおっ!!ぐぅ!!)

身体をR1に貼り付けるように姿勢を戻し、スロットルを少し戻し、車体を戻す。

(未体験ゾーンだぜ…!だけど絶対負けねぇ!!)

少しだけ開いたCBRとの差を突っ込みとコーナリングで取り返すR1。
あまりのスピードにタイヤがほんの少しスライドするが玲次は恐怖を撃ち殺し、加速する。

(今までで確実に一番調子がいいはずである我に張り付いてくるか!我はこれ以上攻め込めないぞ!!)
(次で仕掛ける!!)

次のコーナーは右から左へと繋がるS字である。
ブレーキングに入ると、R1はCBRのアウト側に滑り込む。

(な!?)

そのまま切り返しを抜けインとアウトが入れ替わり、R1がイン側で左コーナーを抜けていく。
だが、無理やり突っ込んでいった玲次はラインが維持出来ず、スロットルがCBRよりも捻れない。

(いかせるかぁ!!)
(ダメかァ!!)

玲次はギリギリ頭を出せず、CBRはR1を抑え加速していってしまう。

(危ない所であったっ…!)
(何度だってやってやる!!)

バトルは終盤。
1人の男と一匹の魔物のライダーが響かせるエキゾーストノートが麓付近に響き渡る。
コーナーの数はもう残り少ない。
猛スピードで加速する2台。
ギャップで飛び跳ね暴れるマシンを乗りこなし。
スロットルをひねり続ける。
次は左コーナー。
そこで、勝負は動いた。

(そこで勝負を決める!!)
(っ!!)

R1がコーナーの入口でCBRのアウト側に決死のダイブ。
いきなりの事にラインを潰され、無理なラインを抜ける事になるCBR。
進入スピードから、CBRが前に出るが、ラインが苦しいのは変わらない。

(いける!!このままイケぇ!!!!)
(うがぁぁぁぁ!!)

奇跡的なクロスライン。
R1がインからすり抜けCBRの頭を抑える。
姿勢を戻し、加速に入る。

(勝ったっ…!)
(…我の負けだな…。)

静かに負けを認め、スロットルを戻し減速に入るクリス。
すると、クリスの目に対向車の光が目に映り、同時に不穏な異音を耳が捉える。

「…ッ!!危ない玲次!!」

次の瞬間玲次の目に入ったモノはオーバースピードでラインオーバーした走り屋の車であった。

(ラインオーバー!!避けれる!!)

ギリギリの所でそれを避ける玲次、だが。

「玲次ィィィィ!!!!」

そこに2台目の車が玲次の寸前に飛び出したのだったーーー



・・・

・・





ここは……どこだ…?

俺は死んだ…のか……?

てことは…ここはあの世かな…

「玲次」

…その声は…親父…?

「よく聞け」

ああ…やっぱり親父だ……

「お前はまだこっちに来るには早い」

え……?

「今まで、俺のバイクを綺麗にしてくれててありがとな、これからはお前自身が選んだ、お前だけのバイクに乗るといい」

…うん…わかったよ…親父……

「母さんによろしくな、彼女…大事にしろよ」

彼女なんていないけど…わかったよ親父…

「じゃあな」

……うん…さよなら…親父……___



・・・

・・





「………ぃ…れ……いじ…れいじ…」

玲次の耳に誰かが呼ぶ声が響く。
重たい意識が徐々に醒めていき、声がはっきりと聞こえてくる。

「玲次!!玲次!!玲次ぃ!!」

声に応えるように、ゆっくりと瞼を開ける玲次。

「はぁっ…!玲次ぃぃ!!」
「くり…す…。」
「よかったぁ!!生きててよかった!!」
「……。」

(俺は…?)

「死んじゃうかと思ったぞぉ!!!!」
「お…れ……いきて…る…。」

(そっか…親父が助けてくれたのか…。)

「やっと素直になれると思った時に何やってんだよ貴様ぁ!!」
「くりす…ないて…る…のか…」
「泣いてなんかない!!」
「ないてる…ぜ…」
「ないて…なんか…グスッ…うわぁぁぁ!!」
「んぐぁっ!」

感極まり、玲次に抱きつくクリス。

「好きだこのばかぁぁぁ!!」
「わかった…!わかっ…たから!はなせ…!」
「離すかぁぁぁ!!もう一生離さないからなぁぁ!!」

クリスは泣きやみ、落ち着くまで玲次に抱き着いていたのだった・・・ーーー



・・・・・・


・・・・


・・






-十年後-

「こういう事があったわけだ。」
「ちちうえ…いきててよかったです…。グスッ」
「あーあー、お前が泣いてどうする。」

男が膝の上に小さなドラゴンの娘を乗せて話をしている。
娘は、話を聞き涙を零し、男が拭いてやる。

「グスンッ…そのあとはどうなったのですか?」
「その後かい?その後は身体を回復させて、お前の母さんと結婚して新しく今乗ってるR1M買って、お前が産まれたわけさ。」
「晩御飯ができたぞ、旦那様よ。」

食事を持ったドラゴンが、男に呼びかける

「おお、そうか。ほら!話はおしまい!晩御飯食べるぞ!」
「はーい。」
「何の話をしてたのだ?」
「昔の事だ、俺とお前の馴れ初め。」
「これまた懐かしい話を。あの時は本当に心配したぞ。私が魔力を与えてインキュバス化してなかったら死んでいたんだぞ…!」

母親のドラゴンまで涙ぐみ始める。

「あーあーお前まで。」
「だって…グスッ」
「まったく、涙脆いのは親子揃って一緒だな。」

父親が母ドラゴンの涙を拭いてやる。

「大丈夫だ。もう無茶はしない。今は大切な家族がいる。俺が死ぬわけにはいかないから。それにもしお前やクリスが大変な時は俺が絶対助けてやるからな。あの時、親父とクリスが助けてくれたみたいにな。」

父親は2人を慰めながら頭を撫でる。

「「絶対だからな(ですよ)!!」」

父親は優しい笑顔を浮かべながら、愛しい家族を見つめ、幸せを噛み締めるのであった……____





17/04/30 00:33更新 / 稲荷の伴侶

■作者メッセージ
どうも、稲荷の伴侶です。m(_ _)m

前作が意外と評判よかったのと、リクエストがあったので書いてみました。
予想外に長くなってしまった為、途中から意識がありませんでした……(苦)
至らない所も多いですが、大目に見ていただければと思います。m(_ _)m

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