読切小説
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運命の帳尻合わせ(黒字)
ダンジョンといえば罠、魔物そして財宝。
一般人の認識はそういうものだし、実際そのとおりだ。

ダンジョンの奥深くに隠された眩いほどの財宝。
それがあるからこそ、どれほどの危険があろうと冒険者は挑む。

そして自分もそんな冒険者の一人。
一獲千金を夢見て単身でダンジョン攻略に挑んだのだが……。



ランタンに照らされる石造りの通路。
ひんやりとした温度は変わらぬものの、明らかに湿度が違う空気。
後ろを振り向いても、目印を付けたばかりの曲がり角はどこにも見えない。
地獄の底まで続いてそうな闇があるだけだった。
自分は目を閉じ天を仰ぐ。

……どうしよう、罠にかかっちゃった。

ほんの数秒前まで自分はこんな所にいなかった。
苔むした壁に天井から水滴が垂れる、天然洞窟を探索していたのだ。
それが一瞬にしてこんな人工物100%の場所へ移動してしまった。

おそらく噂に聞いたテレポーターとかいう罠だろう。
かかった者を瞬時に転移させるという魔法の罠。
それ単体では傷一つ付けないが、転移した先は死の罠が幸運に思えるほどの地獄だという。
よりにもよってそんな最悪の罠にかかってしまうとは……。

『ざんねん!! あなたの ぼうけんは これで おわってしまった!!』
骸骨姿の死神が死を宣告する姿が脳裏に浮かぶ。
きっとそれほど経たないうちに、その宣告は現実になるだろう。

右も左も分からない全く未知のダンジョン。
そんな中にたった一人で放り込まれて生きて出られるとは考え難い。

あまりに絶望的な状況に膝から力が抜けてしまう。
ランタンが手から離れ、カンと床で跳ねて転がった。
自分は床に尻もちをつき、両手で頭を抱える。

なんてこった……。
ベッドの上では死ねないかもとは思っていたけど、こんなのが自分の最後とは…。
閉じた瞼の裏に、過去の思い出が浮かんでくる。

義理の父によく殴られたこと。
母が死んで人買いに売り飛ばされたこと。
恰幅の良い男性が買い取って優しくしてくれたこと。
その男性が“そういう趣味”で危機一髪逃げ出したこと。
身代わりを探していた冒険者に騙されて呪い装備を押し付られたこと。
冒険者を始めてみたものの、魔物を引き寄せる装備にどのパーティからも弾かれたこと。

……考えてみればロクな人生じゃないな、自分。

つい先ほどまで感じていた絶望。
それが人々の運命を定める神への怒りに変わっていく。

自分が何をしたっていうんだ。
殴られ、売り飛ばされ、利用され、爪はじきにされ、何一つ良い事なんてなかった。
こんな人生にされるような罪を自分は犯したというのか。
だったら目の前に現れて、その罪を一つ一つ語ってみせろ。
納得できたら大人しく死んでやる。納得できなかったら殴り倒してやる!

怒りは絶望よりマシだという。
自分は理不尽な運命を与えた神への怒りを原動力に立ち上がる。

―――こんな所で死んでたまるか。絶対生き延びて脱出してやる!

決意と共に、落ちていたランタンを拾う。
ガラスの中で輝く炎をかざし、改めて周囲を観察した。

床、両壁、天井ともに石造り。
天井は背丈の倍ほどの高さで、横幅はその1,5倍といったところ。
通路のつきあたりは前も後ろも見えない。光が届かないほど遠くにあるんだろう。

さて、前へ進むか、後ろへ進むか。
突然この通路へ転送された自分には一切の判断材料がない。
出口に近いのは前? 安全なのは後ろ? 全く分からない。

考えても分からないなら勘に頼るのが冒険者というもの。
自分は未知が待ち受けている“前”へ進むことを選んだ。



前も後ろも真っ暗で何の変哲もない通路を自分は歩く。
コツコツと一定間隔で鳴る足音は、通路が催眠術をかけようとしているようだ。
単調な音と同色の壁の連続に、本当に自分が進んでいるのか怪しくなってくる。
ときおり壁に目印を付けているので無限ループしていることはないはずだが……。

―――まさか何処へもたどり着けず、永遠にこの通路をさまようのか?
そんな考えが頭に浮かび始めた頃、ようやく行き止まりの壁にたどり着いた。

材質は床と同じ石。
だが、その表面には真っ赤な蛇が描かれていた。
自分の知っている蛇と違い、頭部がやけに横に広がっている。
その蛇は体を波打たせていて、尾の先にはちょうど指をかけるような窪みがあった。

……もしかして扉?
自分はそう思い、窪みに指を入れて引っ張ってみる。
が、石壁はピクリとも動かない。
まあ、当然だろう。石の扉が人間一人で開くわけがない。

ここはただの行き止まり。
もしかしたら開閉装置があるかもしれないが、探すのは後回しにしよう。
そう考え、来た道を戻ろうとしたとき。

「―――誰ぞおるのか?」
石の扉の向こうからかけられた女の声。
その声に自分は身を固くする。

こんなところに人間がいるわけがない。
声の主は99,9%魔物だ。
バカ正直に返答して戦闘突入なんて冗談じゃない。

自分は息を止め、指先一つ動かさず、気配を殺す。
声の主が気のせいだったと思うまで。

「いないふりをしても無駄よ。そなたの装備から魔力が漏れているからの」
本当に呪われた装備だなオイ! こんな場面で足引っ張ってくれるとは!
憤るこちらの内心などいざ知らず、声の主は話し続ける。

「姿を見せよ。別に取って食ったりはせぬ。妾はそなたにより目覚めたのだからな」
パチンと手を叩き合わせる音。
ゴトッ…と重い音がして、ズズズ…と石の扉が横へスライドする。
ゆっくりと開いていく扉。その隙間から光がこちら側へ射し込む。
どうやら部屋の中には強い光源があるようだ。

自分は戦う覚悟を決める。
ランタンを床に置き、呪いの剣(魔力にダメージ&エンカウントUP)を抜く。
体が通るほどに扉が開くのを待ち―――今だ!

先手を取ってやると飛び込んだ部屋の中。
そこで待っていたのは―――。

新月の色をした長い髪。南方の民にみられる褐色の肌。
己の肉体を誇示するかのように露出度の高い装い。
妖しさをさらに強調する紫の薄布と黄金の装身具。
魔物とは思えない神々しさを滲ませる美貌。
思わず剣を取り落してしまうほどの女が石の棺に腰掛けていた。

「おや、思ったより可愛い姿をしているのう。
 こんな最深部までくるとは屈強な偉丈夫を想像したのだがな」
クスクスと女は笑う。だがその笑いにこちらをバカにする響きはない。

「ようこそ、王の寝室へ。冒険者よ、妾を目覚めさせてくれたことに礼を言おう」
腕を広げ、堂々たる威風で語る魔物。
その顔には自信に満ちた笑みが浮かび、圧倒的な格の違いを感じさせる。
彼女の前で立っていることがひどい不敬に思え、自分は床に膝をついてしまう。

「そうかしこまることはない。そなたは妾の恩人なのだ。
 胸を張って“褒美をよこせ”と要求してよい立場なのじゃぞ?」
そう言って魔物は部屋中を示すように腕を巡らせる。
その動きを追って視線を走らせ、やっとこの部屋の偉容に気がついた。

魔法の光を発する黄金の燭台。
目玉代わりに巨大な宝石がはめ込まれた白銀の像。
センスのない自分でも一目で美術品と分かる、色鮮やかな織物。
その他にも眩いばかりの光を放つ貴金属や宝石がそこら中に転がっている。

石棺に腰掛ける彼女の印象が強すぎて気がつかなかったが、
ここは宝物庫と呼んでもさしつかえないほど豪華な部屋だったのだ。

「この部屋にあるものは、どれでも、好きなだけ、おぬしの物にしてよいぞ。
 遠慮することはない。妾にとってはパン一切れ買うのと変わらないからの」
たった一つで一財産になる宝石。
持ち帰れば死ぬまで豪遊できるであろう白銀の像。
魔物はこれらの財宝を一まとめにはした金だと言ってのける。

良いことなど何もなかった自分の人生。
だが、これほどの財産を得られるのなら帳尻は十分合うだろう。

さあ、神を呪ったことを謝罪しよう。
そして両手に溢れんばかりの富を与えてくれた事を感謝するんだ。
目覚めた魔物も恩人扱いで好意的だ。
出口を訊ねればきっと教えてくれるだろう。
このダンジョンを脱出した先にあるのは、輝かしいばかりの未来!
―――と、自分の“理性”は熱く語るのだが。

「どうした? どれでも持って行ってよいのだぞ。
 なぜ妾ばかり見て――――ああ、そうか」
ずっと視線を向けられていた魔物は、得心したように頷いた。
そして石棺から腰をあげると、こちらへ歩み寄る。

「妾の装身具が欲しいのだな。よかろう、これも賜わそう。
 冠? 首飾り? それともこの腕輪かの?」
言葉と共に一つ一つ外していく魔物。
だが自分は答えない。答えられない。
黄金よりも、美術品よりも、ただ彼女を見ていたいと“感情”が叫ぶからだ。

「ほれ、これで全部じゃ。妾が身につけた物で値がつく物はもうないぞよ。
 さあ、気に入った物を手にするがよい」
光り物を全て外してしまった魔物。
彼女はもう胸と腰を覆うわずかばかりの布しか身につけていない。
だが装飾品を失ってもその美しさに変わりはない。
いや、それどころか彼女自身の美しさが際立って見えるほどだ。

「ふぅむ……そなたはこれらも気に入らぬというのか。
 ならば金にはならぬが価値ある物を授けよう」
魔物はそう言って背中に手を回し、なにかをいじる。
すると胸を隠していた黒い布がハラリと解けて、彼女の手の中に収まった。
戒めから解き放たれた褐色の両乳房がふるんと揺れる。

「国の男がどれほど黄金を積もうと手にできない物。女王の下着よ」
そう言って黒い布を差し出す魔物。
「遥か昔に滅んだとはいえ、妾は由緒正しき支配者の一人。
 その下着に手を出そうというなら、大臣でさえ首を刎ねられたであろう。
 さあ、受けとるがよい。この布には金銭で計れぬ価値があるのだ」
グッと布を突き出してくる魔物だが、自分は手を出さない。
褐色の球体に視線が釘付けで目を離せないのだ。

「……要らぬのか? わかった、そなたは上より下がいいのだな。ならばそちらを渡そう」
勝手に納得し、どんどんストリップを続けていく魔物。
ついに彼女は身を包む最後の布に手をかける。

腰をかがめ、膝までずり下げられる黒い布。
彼女はそっと片足を持ち上げて引き抜く。
それが終わるともう片方の足も同じようにし、魔物は生まれたままの姿になった。

……ああ、なんて美しいんだろう。
以前はあれだけ欲しかった宝石、黄金、財宝。
それらが部屋中に満ちているというのに、そのどれもが色あせて見える。
裸の彼女の前では何もかもが霞んで―――。

「そら、最後の一枚だ。妾にはこれ以上差し出せるものは……ん?」
いままで不敬だとの思いで跪いていた自分。
だが彼女に近寄りたい、触れたいという思いが強くなり立ち上がってしまう。

「は……ははっ! あはははっ! なんだ、そういうことか!
 そなたは最初から妾が欲しかったというのじゃな!」
立ち上がった自分の股間にある膨らみ。
魔物はそれを見てようやく分かったと笑い声をあげる。
「くくっ…すまぬ……! いや、本当にすまぬな!
 早く気付けばよかったものを! “餌”など必要なかったとは……!」
身をよじり、しばしの間彼女は笑い続ける。

「はぁー…、はぁー……いやはや、これほど笑ったのは幾年ぶりであろうな?
 己の間抜けさと勘違いぶりが、ここまで堪えるとは……」
ようやく治まったのか、魔物は息を整え落ち着きを取り戻す。
「コホン……。さて、そなたが望む褒美は妾自身とのことだが――それはできぬ」
こちらの望みをきっぱりと魔物は却下する。
「遠い過去の事とはいえ妾は女王。この身を“褒美”にすることなどできぬ。
 妾とまぐわうことが許されるのは夫のみよ。……もっとも、今も昔もそんな男はおらぬがな」
こちらの望みを却下しつつも、魔物は煽情的に自らの体を抱きしめる。
左腕に乗った大きな乳房。交差するように左腰に回された右腕。
裸婦像のように挑発的なポーズをとる彼女は無言で語っていた。
“この体が欲しいか? 妾を抱きたいか? ならば如何すれば良いかわかるであろう?”

したい……です。
「ん? なにがじゃ? “したい”だけでは何のことか分からんの」
ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべる魔物。自分は躊躇いを捨てて口に出す。

あなたを…抱きたいです……。
「それはできぬと言ったであろう。妾と交われるのは夫のみだと」
……あなたの夫になりたいです。お願いです、結婚してください…。
「ほう、どこの馬の骨とも知れぬ身で女王の伴侶になりたいとな?
 身の程知らずにも妾の肉体を貪り、汚し、孕ませたいというのじゃな?」
彼女はひたっ…と足音をたて、肌が触れそうなほどに近寄る。
その足元には股から滴る液体で小さな水たまりができていた。
「妾は眠りながらも夢で外界を観ていた。だから知っておるぞ。
 冒険者という名の強盗が反魔物だということはな」
魔物は呪われた皮鎧(鋼並みの硬度&エンカウントUP)に爪を立ててカリッと引っかく。

「はっきりと聞かせてもらおうか、主神の教えに毒された哀れな少年よ。
 そなたは魔物であるところの妾と愛し合い、交わりたいのじゃな?」
『はい』か『うん』か『そうです』か。なんと口にしたのか自分でも分からない。
ただ彼女と交わりたいという欲望のままに、肯定する言葉を吐き出した。

「よかろう、そなたを妾の夫として迎えようぞ。
 ……初めまして、愛しの伴侶よ」
そう言い放つと魔物は両腕で抱きしめてきた。
薄手の皮鎧に大きな胸が押し付けられ平らに潰れる。
そして彼女は少し背を伸ばし、唇を重ねてきた。
「ん…ちゅ……っ」
初めて触れあった女性の唇。
それはとても熱くて甘い味がした。

「ふふっ…これで誓いの口づけは終わりじゃ。次はそなたを受け入れよう。
 その邪魔な物を脱いでおくれ」
脱衣の邪魔にならぬよう、彼女は数歩離れた。
そして煽情的を通り越して、ただ淫らでしかない姿を見せる。

「そら、早く脱がぬか。妾のまんこはおぬしと繋がりたいとこれほどに泣いておるのだぞ?」
彼女は黒い茂みをかき分け、肉の穴を内側まで見せびらかす。
その奥からは際限なく粘液が溢れ出し、床へと垂れ落ちていた。

それを目にしたら、自分でもはっきり分かるほどに呼吸が荒くなった。
股間を膨らませてハアハア言っている今の自分は、はたから見ればただの変質者だろう。
だが魔物はこの姿を実に好ましそうに眺める。

自分は鎧の留め具を外し床に放り投げる。
破れても構うものかとばかりに肌着ごと乱暴に上着を脱ぎ捨てた。
ブーツを脱ぎ、腰のベルトも解き、跳びはねるようにズボンから足を抜く。
そして最後の一枚に手をかけ、一気にそれを下ろした。
これで自分も彼女と同じ全裸姿だ。

「ふむ、随分と可愛らしい冒険者だと思っておったが、そちらはそうでもないようだの」
彼女の眼鏡に適ったのか、魔物は勃起した男性器に視線を向けてそう言う。
「おぬしのモノは見た目からして相当な経験を積んできたのであろうな。
 期待させてもらうぞ我が夫よ」
離れていた魔物は再び近寄り、抱きしめてきた。
素肌と素肌が密着し、その熱となめらかさが直に伝わってくる。
男性器が彼女の腹にぺたりと当たり、先端から漏れていた液が褐色の肌を濡らす。
魔物はこれからの展開を楽しみに目を細める。だが、彼女は大きな勘違いをしていた。

あの……すみませんが。
「ん、どうかしたのか?」
自分、女の経験ありません……。

自分は童貞。魔物はその告白に細めていた目を見開く。
「な……! おぬしそれほど立派なモノを持っていて生息子だと申すのか…!?」
余程衝撃的だったのか、背中に回されていた彼女の腕が解ける。

いや、だってしょうがないじゃん?
同業者にさえ爪はじきにされる自分に恋人なんているわけないじゃない。
売春婦? 娼館? 
ハズレダンジョンばかり探索して、その日暮らしだった自分にそんな余裕があるとでも?
そんな内容を恭しく伝えると彼女はフゥッ…と軽く息をはいた。

「褒美といい経験といい、ことごとく読み違えるとはのう。
 夢を見ている間に妾の目はすっかり曇ってしまったか……」
人を見る目のない女王など支配者失格。
そう思ったのか魔物は自嘲の笑みを浮かべた。
……が、それもすぐに消え、情欲の笑みに戻る。

「まあ、この目は後で磨き直すとしよう。今は交わるのが先よ」
魔物は柔らかい指でそっ…と男性器の先端をなぞる。
快感が脳まで走り、膝から力が抜け、自分は尻餅をついた。
視線を合わせるように魔物も床に伏せ、のしかかってくる。
彼女は腰の上に馬乗りになり、自らの穴を男性器に触れそうなほど接近させる。

「ではおぬしを受け入れよう。光栄に思うのだぞ?
 神代の時より続く王家の血脈におぬしの血を混ぜることができるのだからな。
 歓喜の涙を流し、快感に咽びながら妾に種を付けるがよい」
高貴な者しか口にできないセリフ。それを言い終わるとともに魔物は腰を下ろした。
彼女が立派だと評した自分のモノが、穴の中へ侵入する。

「く…っ。このちんぽ、見かけ以上に…! んんっ…!」
予想以上の快感なのか、彼女の口から押し殺した声が漏れる。
だが予想以上というなら、それは彼女の穴も同じだった。
先ほど撫でた指とは比べ物にならないほど柔らかい肉。
それが快感を増幅させるぬめりと熱をもって男性器を飲み込んでいくのだ
先端が粘膜に触れた時に暴発しなかったのは奇跡としか思えない。

「お…おっ……! おぬしのちんぽで、妾のまんこが…広がっておるっ……!」
夫がいなかった彼女は処女。当然ながらその膣内は狭い。
自分の男性器は狭い肉の穴を強引に押し広げながら進んでいるのだ。
人間ならば痛みを訴えてもおかしくないが、彼女は快感に歯を食いしばっている。

「ふひ…っ。夫と…交わるというのが、これ程とはな……!
 もっと、奥までくるがよい…。妾のまんこを…おぬしの物にするのだ……っ!」
彼女の膣は自慰とは比べ物にならない強さでこちらのモノを締めつける。
だがそれは力任せではなく、快感を引き出そうとする締め方だ。
男性器が彼女の体内へ沈んでいくほど、締めつけの快感が強くなり思考が霞んでいく。
そんな夢現のような中でモノの先端が壁に当たり、背を丸めていた魔物が身を反らす。
大きな乳房が揺れ、その下面から汗がぽたりと落ちた。

「ふぅっ…全て、入ったのう……。ふふっ、おぬしのは大きすぎて子袋まで入りそうじゃ。
 どうじゃ? 妾のまんこを征服した気分は……?」
魔物は熱い息と共に話しかけてくる。だが、自分はそれに返答を発さない。
その代わりに汗でぬかるんだ球体へ手を伸ばす。

「あっ…! 妾の、乳房を…っ!」
とてもいい手触りのボール。自分はそれを握り、ひねり、伸ばす。
自分と繋がった魔物は動かすたびに、軽い嬌声を漏らした。
「んっ…この胸が、そんなに気に入ったかえ? だが、妾の乳房は遊具ではないぞよ?」
魔物はそう言うとゆっくりと腰を持ち上げる。
粘液にまみれた肉壁が男性器を刺激し、侵入したときとは違う角度で快感を与えてきた。

「これより妾のまんこでそなたの精液を搾り取ってくれよう。
 よいな。一滴残らず妾の胎内に注ぎ込み、身籠らせるのじゃぞ」
そう言って魔物は腰を上下に動かし始めた。ゆっくりでなく、素早く。
じわじわとした挿入でも頭が霞むほどの快感なのだ。
そんな速さで動かされては、もう腕を上げていることなどできない。
自分の手は彼女の胸から離れ、ベタンと床に投げ出される。
閉じていた口がだらしなく開き、よだれ混じりの呼気を吐き出す。
ただ、本能なのか腰だけは意識せずとも動いていた。

「ははっ! よい顔じゃのう、おぬし! 妾とのまぐわいはそれほどまでに格別か!
 だが、そのような様でも腰だけは動くとは、さすが我が夫よ!
 なんとも早く、ここから母乳を溢れさせたいのう!」
こちらが手を離したので、魔物は己の手で乳房を揉んでいる。
汗で光る褐色の膨らみ。そこからこぼれる母乳はどんな味なのだろう?
そんなとりとめのない思考が駆け抜けていった。

「おおっ!? おぬしのちんぽがビクビクしておるぞ! もう射精するのじゃな!?
 よいぞ、来るがいい! 子宮の奥まで妾を汚し、孕ませるのだ!
 王の血脈におぬしの血を迎え入れようぞっ!」
バシンと強く腰を打ちつけた感覚。その直後に男性器の先端から精液が飛び散る。
あまりの快感に涙が零れて止まらない。このまま死ぬのではないかとさえ思えた。

「くぉっ…! おぬしの精液がっ…子宮で、弾けておるっ!
 あ…あ…種付け、良すぎ……るっ! ああ、おぬしは最上の夫だ…!
 孕まされることが、これほど心地良いとは……っ!」
ドクドクと魔物の胎内に注ぎ込まれていく精液。
絶頂は魔物でさえ耐えられないのか、積極的に動いていた彼女も身を震わせ白濁液を受け止めた。



二人揃って快感の余韻に浸ってしばし。
自分と繋がったままの魔物は床に手をつき、よろっ…と上半身を起こした。
髪は乱れ、肌は絶頂後の熱気と汗で蒸れていたが、それが余計に淫らな美しさを高める。
彼女は寝転がったままの自分を見下ろすと、ペチペチと軽く頬を叩いた。

「そら、しっかりせぬか。まだ一度しか精を放っておらぬぞ。妾はまだ物足りぬのじゃ。
 妻が満足するまで相手をするのが夫というものであろう?」
彼女はそう言うと腹に力を込めて、膣肉をグチュリと動かす。
ぼぅっ…としていた自分は、新しく生まれた快感にうめき声をもらしてしまった。
その様子を見て彼女は意地の悪い笑みを浮かべる。

「種付けをすればひとまず終わりとでも思っておったのか?
 それは愚かしい考えぞ。欲が満たされるまで果てしなく交わるのが魔物というものよ」
赤い舌を出してわざとらしく舌舐めずりをする魔物。
その姿に恐怖と期待の二つの感情がこみ上げる。
恐怖は自分が壊れるのではないかというもの。
期待は再びあの快感を味わえるというもの。

「案ずるな。おぬしが命を落とすことは決してあり得ぬ。
 妾が充足する頃には、おぬしも楽しめているであろうよ」
あれを“楽しめる”のはもう人間ではないのでは…と思ったが、
楽しめるなら人間でなくなっても良いかな…と考えてしまう自分。
もう逆らってもどうしようもない。このまま流れに身をまかせよう……。

自分は床に投げ出したままの腕を持ち上げた。
理性が戻った今となっては不遜な感じもするが、彼女のしっとりとした髪に触れて口を開く。

あの、優しくお願いします……。
女王のオーラでもあるのか、やはり彼女相手には敬語になってしまう。
「任せるがよい。何度でも優しく狂わせてやろうぞ」
意地の悪い笑みが柔らかくなる。その顔にこちらの頬も緩んでしまった。

―――そして罠のセオリー通り、自分は快楽という名の地獄を見た。





初めて外の景色を見た時、自分はあまりの違いに驚いた。
カラカラに乾燥した空気、生物憎しとばかりに照りつける太陽、地平線まで続く砂の海。
これはもしや、南方の国に存在する砂漠というものではないか?

後々スケールの大きい地図でこの場所を調べてみたら、やはりその通りだった。
自分は元いた場所から、一年近くかかって旅をするほどの異国へ転移してしまったらしい。
いちおう元の洞窟へ戻れないか通路で試したが何も起こらなかった。
魔術に通じた魔物に訊いてみたら、きっとテレポーターのエラーだったのだろうと言われた。
エラーで無関係なダンジョンの最深部へ転移するとか、一体どれだけの低確率なんだか。
まあ、今となってはその偶然に感謝するべきなんだろう。

石棺から目覚めた魔物は砂漠の王で、ファラオ様ファラオ様と皆から崇められている。
夫である自分も彼女の配下から敬意を払われ、前とは比べられないほどの生活になった。
もっとも、自分自身がスゴイわけじゃないから、偉ぶったりなんてしないけど。



砂漠での水は貴重品だ。
水が豊富な場所で生きてきた自分には信じ難いが、
オアシスを巡って人々が殺し合うことまであるらしい。
そんな大事な大事な水を“湯水のように”浪費できるのは王その人しか存在しないだろう。

天井が透明なガラスで組まれた大浴場。
満月の柔らかい光が水滴で曇ったガラスを透り、降り注ぐ。
青白い光に包まれ、透き通った湯に身をひたす彼女の姿は完成された絵画のようだ。
浴場に入った時から興奮していた自分でさえ、その美しさに見とれてしまう。

「む? どうした? そのような目で妾を見つめて」
欲望のこもっていない視線に違和感を感じたのか、魔物が訊ねてくる。
自分は素直に“綺麗過ぎて見とれてしまった”と言う。
すると魔物は声をあげてとても嬉しそうに笑った。

「はははっ! そうかそうか! 妾が美しすぎて見惚れてしまったとな!?
 ああ、おぬしは実に良き夫よ。なんとも妾を昂ぶらせてくれるっ……!」
パチャリと音をたてて立ちあがる魔物。
二人だけの浴場なので、彼女は全く肌を隠そうとしない。
出会いより幾分か大きくなった胸や、いつ産まれるかというほどに膨らんだ腹が目に入る。
自分が彼女の体をそうしたのだと見せつけられ、どこかへ行っていた欲望はすぐさま帰還。
彼女と同じように自分も立ち上がり、痛いほどに勃起した男性器を見せつけた。

「ふふ……おぬしも辛抱できなくなったか。こちらへ来るがよい」
魔物は湯船を上がると、ペタンと床に尻をついて座り込んだ。
そして軽く股を開き、胎児の重みで垂れた下腹を手で支え、女性器を見せつける。

「ほれ、おぬしの種で身籠り、十月十日かけて熟し切った孕みまんこじゃ。
 もうすぐ産まれるから、堪能するのは今しかないぞよ」
彼女はそう言い膨らんだ腹を撫で、片方の乳房を握る。
ピンと立った乳首の先から白い液体が零れ、褐色の肌を上をつたった。

……ああ、もう我慢できない。
自分は彼女を押し倒し、膨らんだ腹がゆがむのも気にせず体重をかけた。
彼女の立てた膝を割って入り、穴に男性器をあてがって侵入する。

「おぉっ…、おぬしの…ちんぽはっ、相変わらずよのう…!
 まんこ穴が、食いついて…二度と離したくなくなるわ…!」
彼女の言うとおり、人外の膣は肉ひだの一つ一つが噛みつくように絡んでくる。
自分専用に変わった今なら、挿入したまま放置しても射精するほどの快楽を与えるだろう。
だが自分はより気持ちの良い射精を求めて深く腰を進める。

「もっと…もっと妾の中に入るがよい…!
 妾と娘を同時に犯せるのは、これで最後なのだからなっ…!」
今までの自分はさして気にしていなかったが、
彼女の膨らんだ腹を犯すということは、その中にいる自分の娘も犯しているということだ。
孕んだ魔物と交わり、実の娘まで性のはけ口にする男。
自分は一年前からは信じられないほどに堕ちてしまった。人として。

「ははっ! 娘が子宮の中で暴れておるぞ! 父親のちんぽがよほど良いらしいな!
 そうだ、産まれたら真っ先におぬしの精を馳走するというのはどうじゃ!?
 きっと誰よりもおぬしに懐くであろうよ!」
子供のいる胎内を男性器で引っかき回され、嬌声をあげる魔物。
その淫猥さと快感に、自分の脳裏に蘇った倫理観は一瞬にして消し飛ぶ。

ああそうだ。古臭い倫理なんてどうでもいい。
自分の下にある女の肉体さえあれば―――。

バシンバシンと腰を打ちつける音が広い浴場に響く。
自分も彼女も息を荒げ、獣のような喘ぎを発した。
そして快感が頂点近くまで高まり、体が震えはじめる。

「お、限界か…!? もう出すというのじゃな!? よいぞ、妾の子宮に放て!
 誕生の前祝いに、おぬしの精液を浴びせるがよいっ!」
ギュゥッと収縮する魔物の膣。
それは妊娠できない身であっても、精液を搾り出そうと男性器に快楽を与える。
自分は根元まで押し込んで、欲望の濁りを胎内に注ぎ込んだ。

「お…おっ、出ておるっ…! なんという…量よっ! 妾の腹が、破れそうじゃっ…!」
子宮の中に吐き出された精液。それは零れる羊水以上の体積でもって彼女の腹を圧迫する。
その圧力さえも快感なのか、魔物は海老のように背を反り身をよじる。
豊満な胸が跳びはね、母乳の雫が宙を舞う。
頬に飛び散ったそれを舐めてみると温かさと甘さを感じた。

「あ、あ、妾の子袋が…張り詰め、て……っ!」
快感で緊張していた魔物がブルリと震えた。
痛いほどに噛みついていた子宮口が突然口を離す。
そして色味がかった液体が繋がった場所からドロドロと漏れ出した。
「産気づいて…しまったなっ……! もう、産まれるよう、じゃのっ…!」
魔物は男性器を抜けと手を振る。
その通りに身を離すと、さらに多くの羊水が奥から溢れ出してきた。
完全に寝た状態だと産み辛いのか、彼女は手をついて上体を起こす。
「子宮の底が、疼いておるわ…! 早く産み落としたいとなっ……!」
その言葉と共に彼女は息んだ。腹の膨らみが少しばかり下がる。
「ぐ……ぁ、っ! 大き……いっ!」
息を詰める魔物だが、顔に苦痛の色は一切ない。それどころか快感に緩んでいる。
「ひ…ははっ! 妾のまんこ穴が広がっておるわっ! しっかり見ておるかっ!?
 おぬしの娘が胎内から出てきておるのだぞっ!」
彼女に言われるまでもなく、浴場に入った時から自分の目は彼女に釘付けだ。
ついさっきまで自分が入っていた穴は大きく広がり、
ピンク色をした肉のトンネルの奥から黒髪の頭がせり出してきている。
「ああ、なんという心地良さよ! 子をひりだすのがこれ程とはな!
 早く次の子を孕みたいものよのうっ!」
ムリムリッ……と女性器の入り口を広げながら顔を出す胎児。
その容貌は自分の血が混じっているとは思えないほど整っていた。
「おぉっ!? いま頭が抜けおったぞっ…! あっ…胴もっ……!?
 あ…あ…出る……っ! 全部、出てしまぅっ!」
力みすぎたのか、頭部が外へ出ると、胴から足先までズルリと抜けてしまった。
母親と同じ褐色の肌をした子供は浴場の床へ転げ出ると、軽くせき込んで羊水を吐いた。



「はぁ…はぁ……っ。ああ…疲れたのう……」
出産を終えた魔物は床に寝転んで休む。その股間からへその緒を伸ばしたまま。
自分はどうしたら良いのか分からず、彼女の傍に座ったのだが……。

「ん……? なんじゃ、おぬしもう次がしたいのか?」
勃起した男性器をチラリと見て、彼女はクスリと笑う。
それに対して自分は少しためらいつつも頷いた。

裸で浴場の床に横たわる彼女はそれだけで十分に欲望をそそる。
さらにあれほど艶やかな出産を見せられた後なのだ。
一回しか射精していない自分は欲求不満。
もう一度二度三度、彼女と交わりたいと考えてしまう。

もちろん彼女が拒否するなら無理にしようとは思わない。
出産直後で疲労しているのだから、その程度の自制はする。

「構わぬぞ。妾も早く次の子を産みたいからの。再び種付けしておくれ」
そう言って彼女は身を起こすと、股間の管に手を伸ばして引っ張った。
「産んでしまえばこれは邪魔じゃな……んっ!」
引き剥がす音と共に管がズルズルと引き出され、最後にどす黒い肉の袋が出てきた。
彼女はそれを放ると、子供の方を持ち上げてすぐ横へ寝かせる。

「父と母が愛し合う姿を見せてやろうではないか。さあ、来るがよい……」
両手を差しのべて誘う魔物。
自分は彼女を抱きしめ、優しく押し倒した。
13/03/17 19:54更新 / 古い目覚まし

■作者メッセージ
孕ませ! やらずにはいられないッ!


ここまで読んでくださってありがとうございました。

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