連載小説
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06 神と間違えられしモノ
ゾ「で、できたのじゃあぁぁぁっ!!自動駆動装置……これで、この宿屋を自動で動かせるぞっ!!速度はいつもの半分ぐらいになるが……そうそう、注意点がいくつかあってな……まず、天気が悪い日と、夜は宿屋を自動で動かすことができないのじゃ……あと、これから山道を移動することになる……物凄く宿屋が揺れるので、気持ち悪くなるかもしれん……覚悟しておくのじゃ……」


ゾーネは朝一番に、みんなを集めると……そんなことを言い出したんだ

ま、まさか……本当に完成させてしまうなんて……
しかし、もしかしたら昨日の約束は忘れているって可能性がワンチャン……
ここは、その可能性にすべてをかけて、昨日の話題には触れないでおこう…


メ「ひとつ、聞きたいのだけれど……どうして、天気が悪い日と夜は使えないのかしら?」


ゾ「それは、この自動駆動装置は太陽から得られるエネルギーを魔力エネルギーと同調させて、動かす造りになっているからじゃ…太陽エネルギーがなくては、動力源を確保できんのじゃ……じゃが、いろいろ考えた結果、これが一番環境に被害を与えずに、自動駆動装置を作り上げる方法じゃったのじゃ」



メ「なるほど………つまり、今日は物凄くこの宿屋は揺れながら移動する……そういうことね?まぁ、私は飛べるからいいんだけど……」


揺れながら……ねぇ……揺れるって、地震ぐらいか?長時間揺れ続けるってことを経験したことがないからなぁ……
イマイチ、どんな感じになるのか、想像もつかないよ



ス「さてと……あの服は何処にしまったかなぁ……」


デ「さ、さぁて……自室に戻って、宿屋記録でも見直すかな」


ス「待てよ………(ニコッ)」


ひ、ひぃぃっ!?な、なんて力だ……さすがゴブリン……
こ、これでは逃げることができないじゃないかっ!!


デ「な、なんでございましょうか…?」


ス「約束、覚えてるよなぁ?もし師匠が一日でこの宿屋を自動で動くようにできたら……この中身を着て一日過ごすって……」


デ「えっ…?や、や、やだなぁ……覚えてます…覚えてますよっっとぉっ!!」


よし、不意をついた!!これなら逃げれる……

そう思っていた時代が、僕にもありました


やっぱりね、現実ってやつはね……甘くないね…うん


俺はすぐにスカニに捕まってしまったんだよ……
こうなったら、覚悟を決めるか……
しかし、あの緑色の袋の中には一体何が入っているんだろうな?
格好良い服だったいいんだけども……



デ「そ、その袋の中には一体、どんな服が入っているんだい?」


ス「えっ?あぁ……見たい?まぁ、見たくなくても見せるんだけどな……ほら、これだよ」



スカニは黒い笑みを浮かべると、緑の袋の中から、ピンク色のふわふわした毛玉を取り出したんだ……

んっ!?あ、あれ……服なのか?ただのアクセサリーのように見えるが……

まだ……何かを取り出そうとしているな……


次に、スカニが取り出してきたのは……凄い網状の靴下だった………
えっ……?なんだろうか、物凄く嫌な予感がしてきた……


デ「ま、まさか……その服って……」


ス「次はこれだなぁ……ウサミミ………」


う…さ…ミミぃっ!?ま、間違いねぇ……
俺も、酒場で集会の時に一度だけ……聞いたことがある……
女性が着ると、とても情欲を誘われる服装があると……


しかしだ……その噂が本当だとすると……男が着ると、見るも絶えないモノが出来上がってしまうじゃないかっ!!


ス「ふっへっへ……じゃーんっ!!バニー衣装っ!!これで、デメトリオは一日ウサギとして過ごしてもらうぜっ!!」


デ「く、狂ってやがる……正気じゃねぇ……こ、こんなバカなことが……」



まさか……本気で俺に今日一日……あの衣装を着て過ごせっていうのか…!?


デ「す、スカニさん…ほ、本気ですか?本気で俺にその衣装を……」


ス「あぁ……にひひ、1回デメトリオに着せて見たかったんだっ!!本当は特別なイベントの時にネタでって思ったんだけど……デメトリオ、着てくれない気がしてさ…だったら、今でも拝んでおきたいじゃないか!!ねぇ?」


アイネ「私は、別に興味はないのだが……」


メリィ「私も、別にどうでもいいわね……じゃあ、本の続きでも読んでるわ」


ラオ「くだらん……修行をしているから、食事の時になったら呼んでくれ」


マサヒメ「………デメトリオさんはいじられて羨ましいですね……嫉妬?してませんけど……」


クロッソ「あらぁ?私は興味あるわねぇ…うふふっ…ふふっ…」


サフラン「(ちょっ……お嬢様が暴走してしまうかもしれないようなことをしないで欲しいですぅっ!!)い、嫌がってるじゃないですか、スカニさん」


セム「…………ごくっ………」


スカニ「うむうむ、いい発明ができて、儂は満足じゃ!!では、すこし眠らせてもらうぞ?うぅ……ねむねむ……」






デ「ほらっ!!半分以上は興味なさそうじゃないかっ!!こんなことはやめて、のんびりと旅を続けようよっ!!なっ!?」



ス「いい加減……あきらめなぁっ!!」


デ「ひぃっ!?や、やめっ……」


くそぉっ!!なんて力だ……このままでは俺は………アーーッ!!




それから数分後……


ス「あっはっはっはっはっ!!ひぃっひっひっひっひっひっ……や、やべぇ…笑いのツボに入っちまった……ひぃっ…ふぅっ…」



セ「……………」


デ「くそっ……畜生……今日は部屋にこもってふて寝してやる……」


セ「…………(シュッ……)」


サフ「お嬢様っ!?行けませんっ!そんな目をしてもダメですよっ!!」


セ「…………がくっ……」


サフ「……デメトリオさん、写真よろしいでしょうか?」


デ「いい訳無いだろうっ!!いいわけ……いい……わけ……」



なんなんだ…!?あのサフランさんの気迫に満ちた目はっ!?
許可を上げないと、無理矢理にでも写真に収められそうな……そんな勢いを感じるぜ……


デ「わ、わかりました……でも、周りに拡散したりしないでくださいよ?まぁ、こんな写真……話のネタにぐらいしか使えないでしょうけど……」



サフ「ふぅ……お嬢様、これを……」


セ「………ありがとう……」


セムちゃん……あんな写真もらっても困るだけだろうに………
んっ!?意外と……嬉しそう……だと…?
うぅむ……お金持ちの感性って…庶民の俺にはよくわからないなぁ……




サフ「スカニさん……その……ごにょごにょ…」


ス「えっ……もちろん、うちの店でも取り扱ってるけど…」


サフ「それの、できる限り布団で固定できるタイプの物を……」


ス「あいよ……じゃあ、この袋の中に入ってるから……一セット」


サフ「助かります……さて、お嬢様…もう、我慢できないでしょう?お部屋でどうぞ……デメトリオさん?」


デ「はい?なんですか?」


サフ「この宿屋の中で一番防音性の高い部屋はどこですか?その部屋でセム様を眠らせて差し上げたいのですが…?」


……?あぁ、セムちゃんはお嬢様だからね…
昨日、周りの音がうるさくて眠れなかったのかな?


デ「それなら……僕の部屋をつかってください、一番防音性に優れてますから」


サフ「えっ……!?あっ…ありがとうございます!!さて、お嬢様……デメトリオさんのお部屋にどうぞ……ごゆるりと…」


セ「………うん…♥」



さぁて……ふて寝するって選択肢も消えたしなぁ……
ここはひとつ、床下倉庫の備蓄確認でもしようかなぁ…

いつでも災害に備えて、備蓄を確認しておくのは大事だからねっ!!




そうして、床下倉庫に入った時だった……
いきなり宿屋が上下に激しく揺れ始めたんだよっ!!

これが……ゾーネが言っていた揺れる……ってことなのかっ!?
つまり、ミスト山脈を移動し始めたってことか……
今日一日、何も起こらずに過ぎ去ってくれればいいんだが…



??「ふにゃああぁぁんっ♥」


デ「な、なんだなんだっ…!?」


いきなり、俺の真上でなんだかとても変な声が聞こえてきたんだよっ!!
……この真上って……お、俺の部屋じゃないのかっ!?
ま、まさか……部屋の防音機能の弱点が……こんなところにあるなんて……
これは盲点だったぜ……


??「んーーーーーーっ♥ふぁっ……はうぅっ…♥」


………この声は…セムちゃんか?
なんだろうか……邪な考えを持つと喘ぎ声にも聞こえてしまうんだが……
これはきっと、俺の心が汚れているからだな



デ「えっと……食料は………」


セ「ひぅん♥あっ……ひゃっ……うぅ……♥」


デ「うん、大丈夫そうだな……」


セ「ーーーーっ!!ーーっ♥」



俺が無心で備蓄チェックをしていると、一際高い声をセムちゃんがあげたのが聞こえてきたんだ
……寝るんじゃ…なかったのか?


……んっ!?み、水漏れ……?セムちゃんがりんごジュースでもこぼしたのか、黄金色の液体が床上から染み出してきたんだ
ここも、ゾーネのやつに今度改築をお願いしておくか……

……あれ?水もこぼしたのか?今度は透明な液体がポタポタと……
あとで床を拭いておかないと、カビが生えてしまったら困るしなぁ……


サフ「お嬢様……そろそ……お嬢様っ!?」


セ「ぬいひぇっ!!ひぅんっ♥もう、ひきひゃくにゃっ♥」


サフ「これはいけないっ!!お嬢様……失礼しますっ!!」



………静かに……なったな……



それからしばらく備蓄を確認……そして俺はリビングに戻ったんだ



デ「ふわぁぁぁっ……眠い……昨日はけっこう寝たんだけどなぁ……」


サフ「デメトリオさん…お嬢様も満足できたみたいなので……本当に助かりました……」


デ「そうかい?ぐっすり眠れたなら、良かったよ……じゃあ、俺ももう少しだけ眠ろうかな……だって、こういう機会じゃないと、宿屋業務時間に爆睡なんてできないし………」



まぁ、こんなに揺れてたら安眠なんてできないだろうけど……
それでも、起きててラオやアイネの特訓に巻き込まれる可能性を考慮したら…
寝たふりでもしていたほうがはるかに楽できるからなっ!!






そして、部屋の中に入って、自分のベッドの中に潜り込む……っ!?
ぬ、濡れてるっ!?ま、まさか……セムちゃん……
ベッドの上でりんごジュース飲んだのかよ……

あぁっ!!し、染みになってるじゃないかっ!!
しかも、なんだか少し粘ついてるし……
お嬢様だから、寝ている場所でも手を叩けば、メイドが飲み物を持ってきてくれたりするんだろうけど……こぼされると困るなぁ……







それから、しばらくした時だった……



ゾ「ふんふんふふーん♪やっぱり儂の発明はすごいのぅ……凄い速度でこの山を登って行くぞ?これじゃあ、この山も明日で下山じゃな……むむっ!?」



ス「師匠っ!!どうしたんですかっ!?」


ゾ「いや……あの山の端のほうに……建物が見えるじゃろ?儂の種族としての感が、あの建物は凄い人物が作った建物じゃと言っておるのを感じただけじゃ」



ス「気になるのなら、行ってみますかっ!?あたい的にも、売り物になりそうなモノが発掘できるなら、大歓迎ですし……」


ゾ「しかしのぅ……デメトリオやメリィは許可を出さぬと思うのじゃ……」


ス「こっそり行ってから、実は寄りたくてとか言ったらいいんじゃないですか?要は試しですよっ!!こっそり目的地をあそこにしてついてからネタばらししてしまえばいいんですってっ!!」






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ゾ「というわけで……この神殿に来たのは…それが……そのぉ…理由なのじゃ……」


メ「……………………」


ゾ「そ、そのぉ……相談しなかったのは悪かったのじゃ……じゃが、儂の種族柄……血が疼いて……その……」


メ「…………………」


ゾ「ゆ、許してほしいのじゃぁぁぁぁぁぁぁ〜〜っ!!」


メ「はぁっ……仕方ないわね……今回だけよ?あと、見学は30分間だけ……守れるなら、少し見てきてもいいわよ?」



ゾーネはメリィにそう言われると、顔をぱぁっと輝かせ、颯爽と建物の中に走って行ったんだ……
偉大なる天才発明家って言っていたのに、建物に興味があるってのは……
意外だなぁ……



なんて思いながらも、俺はこのふざけた格好のまま神殿の中に足を踏み入れたんだ
外観からしても、この建物が建ったのは遥か昔……それこそ、俺の世代の5世代ぐらい前なんじゃないだろうか…?
こんなに時が流れているし……建物の手入れも随分とされていないのを見ると…もう、ここに人は住んでいないみたいだね


人がいないってことは、俺がこんなふざけたバニー姿で中に入ったとしても、大丈夫……だよな?
いやぁ…なにかしら、宿屋の内装の参考にできそうな物があったらいいなぁ…



デ「いやぁ…しかし、古風だなぁ……ただの神殿みたいだ…建物の作りも至ってシンプル………入口となんだかお祈りに使われたんじゃないかって思われる場所しかないな……これは、参考になるところはなさそうかな……」


俺はそう言いながら、祭壇の裏側に回り込んでみる
特に裏側の方にも、気になるものはなかった


デ「てっきり、この祭壇の裏側には秘密の通路が……なんて思ったりしたけど、そんなわけないよな…ゲームの世界じゃないんだし……」


俺は何気なく、祭壇の裏側に手をついてみる……っ!?


ビリッ!!


デ「へっ………?う、嘘だろぉぉぉぉぉぉぉーーーーっ!?」





落ちている……今、俺の身に起こっている状況を言葉で説明するなら……
これ以上の言葉はおそらく…ないんだろうな…
そう言えるほど、俺は真っ逆さまに落ちていたんだ


下は真っ暗で床も見えない……こりゃあ、だいぶ深そうだ……


デ「あいたっ!!あれ…?そんなに深くなかったんだな……」


俺は落下してすぐに、床に叩きつけられたんだ
俺が落ちてきたところからこの場所まで…2メートルぐらいか……?


オォォォォォォォォォ………


デ「ひっ!?な、なんだ…?風の音か?ん……?ここから奥に行けるのか…?」



なんだろうか…?俺の探究心がくすぐられる……これは…行くしかないだろ!
俺はそう思うやいなや、その奥に向かって歩いて行ったんだ


デ「しかし、こんな凝った隠し部屋だ……もしかしたら、スカニが言っていたようなお宝が…本当にあるかもしれない!!いやぁ、見つけたら俺の宿屋の名物にしよっと………」


そうこうしているうちに、俺は一番奥の部屋についたんだ
一際豪華な装飾が施されている一室……これは間違いなく、宝物庫……!!

俺の顔に、たらりとひと雫の汗が流れる……
お宝……ただの宿屋店主として生きていたら一度も拝むことができなかったであろうお宝がこの向こうにあるんだっ!!


そう思うと、ワクワクしてこないかい?




扉を開けると、そこには目を見開くほどの財宝がっ!!


………無かったわけだな……


デ「えっ……?まさかの……ハズレ?くそぉ…何かあると思ったんだけどなぁ……って、えっ!?」


俺はがっかりして、俯くととんでもないものを見つけてしまったんだよっ!!
こ、この床の絨毯……これって、高級品じゃ……

この絨毯を少し切り取って、風呂場の足拭きマットにしても……いいよな?
別に、廃墟から物を少し盗っていったって……そ、そうだっ…
資源は有効に活用しねえと……ねっ?



俺はそう自分に言い聞かせて、ちょっと絨毯を引っ張る……

ぐっ……動かないな……

よく見ると、絨毯の真ん中に大きな箱がおいてあり、あれをのけないと絨毯は回収できそうになかったんだ



デ「なんだ…?この箱……四方をなんか床に打ち付けられているような……鍵穴があるけど、何か鍵を差し込んでこれをのけないことにはな……っと、ここに落ちてるじゃないかっ!!」


俺は、すぐそばに落ちてあった錆びた鍵を拾って、その鍵穴に差し込んだんだ


デ「おっ?ピッタリじゃないかっ!!こりゃあ、絨毯回収もすぐ……」




ドゴォッ!!ガンッ!!ガンッ!!



デ「………へっ?」


バギィッ!!


えっ……えぇぇぇぇぇっーーーー!?


な、なんか……中央にあった箱から蜘蛛の足のような物がっ!?
こ、これは何か、開放してはいけない物を封印していたってことかっ!?


俺は慌てて、また鍵穴に鍵を差込み、封印していた方向に鍵を……


ボキッ……


うそぉぉぉぉぉぉっ!?なんで、こんなタイミングでこんなことになっちまうんだ畜生っ!!
えっ!?主人公補正?もっと別のところで働いてくれたらいいじゃないかっ!



や、やべぇ………かくなる上は……
やっぱ、逃げるしかないよねっ!!だって俺、宿屋の店主ですし?
戦闘なんてできないからねっ!!


なんて、心の中で叫んでいると……俺の恐れていた事が起こってしまったんだ
なんと、封印の箱が木っ端微塵にくだけ、中に封印されていたモノが外に出てきたんだよっ!!

あ……あの姿は……アラクネ種の魔物か?
な…なんだ……魔物娘か……
それだったら、慌てることはない…きちんと話して事情を説明すれば……


??「アァァ……ん?いっ……がぁあっ!!ここは……ドコだ?イツだ…?」


??「ん……?ほぅ……男か……」


デ「あ…あははっ…初めまして、あの…俺、デメトリオっていいます……け、決して怪しいものでは……」


??「……ウサギみたいな形をしているが……まぁいい……とりあえず、一発ヤっとくか……おい、てめぇ……抱きしめてやるからこっち来いよ……」


デ「えっ…?そ、それはですね……個人的には遠慮したいななんて思ったり…」


??「安心しろって、たぶん壊さねぇからよ。何年寝てたか知らねぇが……あー……口ん中が変な感じだな……ザラザラしてやがる……ぺっ…!!」


ドゴォッ!!


えっ……?い、今のって唾を飛ばしただけだよな……?
なんで岩が粉々になってるんでしょうか…?


??「怖がんなって……この柱みたいに、ぎゅって抱きしめてやるだけだからよ………」



バキバキッ!!ズシャリ……



??「おっと、やりすぎちまった……」


ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!
破壊神だっ!!お、俺は破壊神を復活させてしまったんだぁぁぁぁっ!!
に、逃げないと……全力で逃げないとっ!!命がヤバイっ!!



デ「た、助けてぇぇぇぇぇぇぇっ!!」


??「逃がさねぇよ……ふしゅぅっ!!」


デ「ぬおぉぉぉぁっ!?い、糸……?な、なんて強度だ……まるで鋼じゃないかっ!!」



気が付くと、俺は糸でぐるぐるに巻かれ……
遠くから破壊神がニヤニヤと笑みを浮かべながら近づいてきていたんだ



ガチャ……


メ「ちょっとデメトリオ……あなた、時間も守れないのかしら…?」


デ「あっ!!メリィさんっ!!全力で俺を助けてくださいっ!!ヘルプっ!!ミーっ!!俺をっ!!」



た、助かった……これで安心だ…
モンスターラグーンのメンバーがいれば百人力……


??「あぁっ?なんだ…お前ら…?」


メ「ぐっ……(一喝しただけなのに、空間の魔力が振動している…?あのウシオニ、普通の魔物じゃない……魔力も…おそらく実力もトップクラス…私じゃ勝てないでしょうね……)アイネ、ラオ…注意をひけるかしら?」


ア「私は大丈夫ですが……おそらく、無傷では無理でしょう……」


ラ「もちろん、強者と戦えるとは…この高揚感は実に久しぶりだ…しかも、相手は自分より格上ときた、これが高ぶらずにいられようか?」




??「……ほぅ?敵意……か…この感じ……すごく久しぶりだぜ…昔は暴れすぎて、こんなちっぽけなところに閉じ込められちまったからなぁ…体がなまってなまって、仕方なかったんだっ!!」



ア「アイネ・ハルムーン…この剣にかけて、退きはしないっ!!」


ラ「このラオ=ファン…貴殿に試合を申し込むっ!!」


??「アヤネ……俺の名前だ…さぁ、ひとつ運動と行くかぁっ!!俺が勝ったらこの男は俺の物だからなっ!!」






……くそっ、この状況でも、逃げることができない俺が妬ましいぜ……


ア「どんな戦いをしてくるのか、まったく予想ができない……加えてこの闘気……まずは様子見で仕掛けるっ!!」


アヤ「……おせえよ」


ギィンッ……


ア「ぐっ…!?お…重いっ…!!私の攻撃が一瞬で相殺される…はっ!?」


アヤネはアイネの反応よりも早く、アイネの体に一撃を叩き込んだ
アイネはその一撃をくらって、真後ろの柱に叩きつけられる


ア「ぐはっ!?…ぐっ…」


アヤ「終わりだと思ってねぇよな?攻撃ってのは、連続でやるもんだぜ?」


ドゴォッ!!


アヤネは吹き飛んだアイネのところに瞬時に移動、蜘蛛の足でアイネを思いっきり踏みつけると、そのまま、また蹴り飛ばしたんだ
地面をえぐりながら、アイネはさらに吹き飛ばされる……


ん…?あの時の衝撃で、拘束が緩んだ…?
これなら、少し時間をかければ脱出できそうだ


ア「ぐっ……う…ぅ……」


メ「アイネっ!!…マサヒメ、クロッソっ!!アイネを連れて宿に戻りなさい。ゾーネ、スカニ…何か拘束できるような発明とか、道具はないのかしら?」



ゾ「ないことはないのじゃが、あれはまだ試作段階で……」


メ「それでもいいわ、早く用意して!!」


ス「えっ…?でも、まだラオさんがいるし……」


メ「ラオには悪いけど、彼女には勝てないわ…急いで用意してっ!!」






ラ「大気の流れを拳に集め……その拳に心込め……秘めし業火を身に宿し……ただひたすらに……倒すのみっ!!大心火倒の構えをここにっ!!」


アヤ「ほぅ?おもしれぇ…一発、受けてやるよ…来な」


ラ「牙竜炎華掌(がりゅうえんかしょう)!!」


ラオの拳から、まるで炎の龍が空を舞うかのような連撃が繰り出され、俺は改めてこの戦いのスゴさに感嘆したんだ


だが…ラオの拳を真正面から受けたアヤネはダメージを受けていないかのようにラオを見下ろし、にたりと笑ったんだ
あの攻撃をまともに受けて……ノーダメージ…だと…?


アヤ「いい技だが……俺の相手をするには足りねぇよ、まずはレベル100を限突してから出直してきなぁっ!!」



ラオ「早いっ!?ぐぅっ……そして、なんと重い一撃…だが、まだ……窮鼠瞬影刃っ!!(きゅうそしゅんこうじん)」


……えっ?た、ただの手刀…?
ら、ラオ……そんな大層な名前をつけておきながら…ただの手刀じゃあ、アヤネは倒せないよっ!?


シュ……ドッ!!


アヤ「っ……やるじゃねぇか、左手が麻痺しちまったぜ…だが、てめぇのその技……捨て身の技だろう?もう、動けねぇはずだ」


ラオ「…………」


アヤ「立ったまま気絶してやがる……さぁて……じゅるり……」



……ま、まずいぞ…まだ、拘束は7割ぐらいしか解けてない……


アヤ「さぁ、お楽しみの時間だ……ウサギちゃん?」


デ「ひぃぃぃっーー!!だ、だれか助けてくれぇぇぇぇぇぇぇっ!!」



16/05/27 18:51更新 / デメトリオン mk-D
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■作者メッセージ
はてさて……デメトリオはどのような目にあってしまうのかと思いつつ……
今回も見てくださって、ありがとうございます!!


前作でも強いという設定のアイネを続投……
さらにキャラクターを少し強めに出してみたのですが……
読者の皆様の違和感がなければいいのですが…


アイネやラオが弱くないかと思った方……
あ、あれですよ……アイネはプリ○ガーバール轟X並にレベルがあって、強いと思ってくれれば……

レベル上限が100以上のゲームって…なんかそそりますよね……


っと、世間話はここまでにして……
次回ものんびりと見てやってください!!

ありがとうございましたーー!!

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