連載小説
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旅20 祇臣での決闘と別れそして新たな出会い!!
「アメリもうおこった!!エルビさんなんかだいっきらい!!」
「アメr……アメリちゃん!?待って!!」


アメリはそうさけびながら、広場のほうにとび出した。
サマリお姉ちゃんがまってって言ったけど、アメリはまてなかった。
だって…このままだとあの人たちみんなエルビさんにころされちゃうかもしれない…そんなのアメリぜったいにイヤだもん!!


「ん!?何だろあれ…?」
「どうやら魔物のようですね…ん?あれはまさか…!?」
「ころすのはぜったいにダメー!!『エレクトリックディスチャージ』!!」

だからアメリは広場にとつげきしながら教団の人たちに向かって魔法をつかった。
本当はどんな人もきずつけたくないけど…なにもしてない人にいたいことする人たちをゆるせないから…わるくない人たちを助けるためにもアメリは教団の人たちをしびれさせようとして電気をまわりにながす魔法をつかった。

「な、なんdあばばばばば!!」
「危ない!実力が無い者は下がるんだ!」
「ふん!そんなの効かないよ!」

アメリのねらいどおり、何人かはしびれさせることができた。
でも、エルビさんやチモンさん、それにつよそうな人たちはアメリの魔法をよけたり、ぶきでふせいじゃった。


そしてアメリは、広場にたどりついてから…

「ねえ、なんでこんなヒドいことをするの!?」

いくらなんでもヒドすぎるから、エルビさんやチモンさんにきいたのに…

「エルビ様、どうやらこの魔物の子供はリリムのようです」
「だろうね。魔力は大きいし見た目も聞いたとおりだしね。ま、でも子供だからたいしたことないよ」
「アメリのしつもんに答えてよー!!」

アメリむしされた…それがなんかくやしかったからさけんだけど…


「うるさいなぁ子供は寝てなよ。『ヒプネティズム』!」
「えっ!?あっ……それ………は…………」

うるさいって言って、エルビさんがアメリの目を見ながら目を光らせ…ねむらせる魔法をつかってきた。
アメリゆだんしてたから…魔法ふせげなくって……ねむく………



……………



…………



………「しっかりするんだアメリちゃん!!」はっ!!



ユウロお兄ちゃんの声がきこえてきて、アメリのねむけがどこかにとんでいった。



「大丈夫かアメリちゃん!?」
「う、うん…」
「そうか…まったく、一人で飛び出すなよな」
「うん…ごめんなさい……」

ユウロお兄ちゃんとツバキお兄ちゃんがここまできた。
どうやらアメリがとび出しちゃったからあわててきたようだ…めいわくかけちゃったな…


「キミ達は誰だい?そこのリリムのガキの知り合いみたいだけど」
「知り合いだよ!一緒に旅してるんだよ!!」
「ふーん…旅ね…じゃあボク達の事無視すればよかったのに。関わるなら容赦なく殺すよ?」
「僕に至ってはこの町が故郷だからね…無視できるわけないよ!」
「そうかい………」



エルビさんがアメリたちを一回ずつ見たあと…声にいかりのキモチをのせて…




「どうやらキミ達もクソらしいね…だったらボクが殺してあげる……掛かってきなよ!!」




こわい目をして、アメリたちに剣を向けてきた。


「いいぜ…上等だ!!いくぞツバキ!!」
「うん!アメリちゃんは隠れてて…って言っても聞かないよね。だから後方支援お願いね!!」
「うん!!アメリがんばる!!」

だからアメリたちは、町のみんなを助けるために、こんなヒドいことを平気でやってるエルビさんたちをやっつけるために、それぞれ動きはじめた。



あれ?そういえばサマリお姉ちゃんとリンゴお姉ちゃんはどうしたんだろう?



=======[リンゴ視点]=======



「無事アメリちゃんのところまで行けたようね…じゃあサマリ、わたし達も行こうか!」
「そうだね…うん、私頑張るよ!」

椿とユウロがエルビ達のところに飛び出していったアメリちゃんの下まで行ったので、わたしとサマリが小屋に居る人達を助けに行くことになった。
三人が広場のほうで騒ぎを起こしてくれているのでほとんどの人が広場のほうに行っているので、小屋を見張っている一人以外は問題無いだろう。
それに、一人だったらわたしの水の魔法でどうにかできるはずだ。

「じゃあサマリ、わたしについてきて!」
「うん……ってあれ?小屋あっちだよ?」
「いいの!こっちから行ったほうが見つかりにくいうえにそんなに遠回りにもならないんだ」
「へぇ〜…流石地元の人。頼りになるわ〜」

だからわたし達はなるべく他の人に見つからないように地元の人間ぐらいしか知らない道を使って小屋に向かった。



…………



………



……







「さて…あの兵士をどうにかしないとね…」
「うーん…正面突破しかないかなぁ…」

わたし達は誰にも見つかる事も無く、無事小屋のすぐ近くの茂みまで来ることができた。
やはりほとんど広場のほうに行っているのだろう。見張りが一人つまらなそうに居るだけだ。

「どうしようか…あまり考える時間は無いけどさ…」
「そうだね…早くしないとユウロやツバキ、アメリちゃんがやられちゃうかもしれないもんね…」

小屋に向かう途中で時々広場のほうを見たが、一応皆まだ無事のようだ。
だがやはりエルビが強く、椿とユウロが二人で同時に別の場所を狙っても聖剣や魔法で防がれてしまったり、逆に椿達に魔法で何かをして動きを制限されたりしている。
アメリちゃんもかなり強力な攻撃魔法や補助魔法と思われるものを使っているけど、避けられたり弾かれたりしている。

そんなエルビだけでも大変なのに、チモンっていう青年もなかなか強い。
指示が的確なのか兵士達の動きがやたらと綺麗だし、何度かユウロが不意打ちを貰ったりしている。
一応椿が流れるように兵士達の足を障害が残らないように斬りつつ動きまわったりアメリちゃんが広範囲の魔法で戦場を掻き乱してはいるが、すぐに無事な者で統率をとって襲いかかってくる。

だからわたし達も早く小屋のほうをなんとかして合流しないと三人が危ない。
あの三人のうち誰かが捕まったり殺されたりしたらかなり不利になる上に悲しい。

「あ、そうだ!サマリが誘惑してみるとかどう?」
「え〜それはやだよ〜。リンゴがやれば?ネレイスってサキュバスの亜種でしょ?」
「わたしには椿が居るのでいいです」
「あっそう…私は誘惑出来る自身が無いよ…他の方法を考えよう…」

だが、良い方法が思いつかない。やはりここは少し危険だけど正面突破しかなさそうである。
しかし、その場合倒し損ねると仲間を呼ばれる可能性が高い。
そうなると、今ここに居るのは戦えないサマリと陸上じゃあ全力を出せないわたしなのでこちらが相当不利になり、最悪何も出来ず殺される可能性もある。

でも、他に何も思いつかない…だからわたし達は…

「…やっぱり正面突破しかないか…」
「そうだね…じゃあなるべく一撃で仕留めるよ!」

正面突破をする…しかも兵士を一撃で仕留める事にした。


「じゃあわたし行くよ…サマリは隠れててね…」
「うん…頑張ってねリンゴ…」



ガザガザッ!!



「ん?…何者だ!?」
「この町の女の子よ!『流水大砲』!!」

わたしは茂みから一人飛び出し、わたしが使える術の中で最も強力なものを使った。
兵士の腹部に目掛け腕を突き出し、掌から大きな質量を持った水の塊を勢いよく発射した。



バジャアアンッ!!



わたしが発射した水の塊は、ほぼゼロ距離なので見事に命中した。


相当な圧力が掛かるので絶対に気絶するはず…そう思っていたのだが…


「ぐっ……てめぇ、広場でエルビ様と戦っているやつらの仲間だな……」
「うそ!?気絶してないの!?」


大きなダメージは与えられたようで、息も絶え絶えではあるけれど、その兵士は気絶まではしなかった。


「はっ!一応これでも…鍛えてあるからな…それに…魔力を抑える…鎧だって装備しているんだ…水の魔法なんざ効くかよ!!」
「なるほど…それは誤算だったよ……」

どおりで耐えられたわけだ…
当たった時点で耐えられるとは思わなかったので次に何をするのかを考えていなかったから、わたしは動く事が出来なかった。

「てめぇを討伐…したいが…今の俺じゃ…無理だろうから…仲間を呼ばせてもらう!」

そう言ってポケットに手を突っ込み、取り出したのは……笛?
…って吹かれたら誰か来ちゃう!止めないと!!間に合うか!?

「そんな事させn…」
「させるかーーー!!」
「「へ?」」

仲間を呼ばれたらどうしようもないので、それを阻止しようと飛び掛かろうとしたら…



「もこもこインパクトデラックスー!!」
「ぬおっ!?もう一体いやが……たの………か………ぐぅ…………」



サマリが茂みから飛び出してきて兵士の顔を掴み自分の胸に押し付け、刈り取ってあった自分の毛皮の塊を頭に押し付けた。
言うなれば眠りの魔法が込めてある毛皮でサンドイッチされた兵士が起きていられるわけがなく、サマリ(の胸)に体重を預ける形で熟睡してしまった。
その為、仲間を呼ばれる事が無くなった…サマリが咄嗟に動いて良かった…


しかし……サマリに眠らされたこの兵士…どこか幸せそうな顔に見えるのは男性だからかな?一応胸に顔を埋めたわけだし。埋めると言えるほどサマリの胸ないけど。


「…リンゴ、今失礼な事考えてない?」
「ふぇ!?ま、まさかあはははは……っていつまでやってるの?もう大丈夫でしょ?」

笑ってごまかしつつ、いつまでも兵士を胸に押し付けているサマリに疑問を抱いて聞いてみたら…

「念のためにね…それに、何か私も気持ち良くって…ふぁぁ〜……」
「ダメー!!そのままだとサマリ寝ちゃうよー!!」

大欠伸をし、目が半開きになりながらそう言ってきた。
自分の毛皮の効果で眠気が襲ってきているのであろう…最近寝ている事が多かったし、人を間に挟んでいるが自分の毛の塊を押しつけているようなものだしね…
でも今寝られると相当困った事になるので眠らないように身体を揺する事にした。

「はっ!!よ、よし、起こさないようにゆっくりと寝かせよう!」

その甲斐もあってサマリは目を覚まし、眠っている兵士を地面に寝かせ、小屋に入る事にした。



…………



………



……








「お父さん!お母さん!」
「大丈夫ですか!!」

わたし達は小屋の中に入り、捕まっている人達の所まで行ったら…



「この檜の棒やけどな、ただの檜の棒やないんやわ!なんと岩をこれで叩いても棒が折れないどころか岩が砕けるほどの強度なんや!!どや、これからまたこの町が教団の兵士どもなんかに襲われたりした時にも役立つで〜!!」
「うーん…たしかに本当なら便利かもしれないけど…それで人叩いたらそいつ死んじまうんじゃ…」
「ああ、それは大丈夫や。先端にどこの家庭にもあると思う厚めの布を巻いておけば殴られたもんの頭かち割れまではせーへんよ。なんなら今このふわふわの布も付けたるよ。その分値段も上げさせてもらうけどな」
「そうか…なら買った!上手くいけば今からでも役に立つかもしれないしな!」
「へへっまいどおおきに〜!!」



町の皆が茶色のショート、それに茶色い瞳の女性の話に注目して…というか商売でもしているようだ。
というか、今檜の棒を買ってるのわたしのお父さんだ…

「…何してるの?」
「…どうやら皆無事みたいだね…」
「ん?なんや……妖怪?ネレイスとワーシープか?」
「あ!林檎!!帰ってきていたのか!!椿君とは会えたのか?」
「会えたよ…帰ってきたら町が襲われていたから助けに来たんだけど…何してるの?」

なんか…元気なところを見ると心配して損した気分になる…
パッと見目立った外傷も無さそうだし、サマリの言うとおり無事みたいだ。

「ほなあんたらはウチらを助けにきたんか?にしてはまだ外が騒がしいけど…」
「あ、そうだ!!今椿含め三人だけで広場であいつらと戦ってるの!この中で戦える人は協力して!」
「なんだって!?そりゃマズい!皆、助けに行くぞ!!」
『オーッ!!』

だからわたし達は小屋に居たわたしや椿のお父さん、その他町の力自慢の人達と協力して助けに行く事にした…



…ん?

「なんで皆もう武器を持ってるの?」

捕まっていたはずなのに、何故か立ち上がった人達の手には何かしら武器みたいな物を手に持っていた。

「ああ、これは…」
「ウチが売ったんや!商品や商売道具が入っとる籠の上部にゴミ積んどいたらどうでもええもんやと思われたんか没収されんで済んだからな!皆の縄が切れとるのもウチのハサミのおかげや!」
「あ、そうですか…でも助かりました!ええと…」
「ウチは花梨(カリン)!商売修行の旅をしてる人間や!」
「はい、花梨さんありがとうございます!では花梨さんはここで待っていて下さいね!」
「ん、頑張りいや!」

花梨さんのおかげで武器を取得する手間が省けたので、わたし達は改めて椿達を助けるため小屋を飛び出した。





「あれ?ワーシープのあんたは行かんでええの?」
「私は不意を突いて眠らせる事しか出来ないので…強い人がいる戦闘ではただの足手まといなので自主待機します…」
「そうか…ま、一緒にここに居ようか…皆無事やとええな…」
「うん……」



=======[ツバキ視点]=======



「はぁ……はぁ……皆大丈夫?」
「俺はなんとか…はぁ…アメリちゃんのおかげで無事だな…」
「アメリも大丈夫だよ…おなかすいたけど……」

僕達の状態は…まだ大丈夫そうだね……
でも…結構な人数を倒したけど…このままじゃマズイかな。
だってね…

「エルビ様、大丈夫ですか?」
「まあね……ちっ…まだ抵抗するんだ…クソにしてはやるね…」

一番強いエルビと、エルビほどでは無いがかなり強いチモンが、何度か峰打ちしたりしてるのにまだ平気な顔で立っているからね…

「俺達はお前らが何もせずに帰ってくれさえすれば良いだけなんだけど…まだやるのか?」
「はっ!そういうのはボロボロになっている側が言う事じゃないんだよ!!」

実際、僕達のほうが不利な状況だ。
僕やユウロは何回か殴られたり剣が掠ったりしてるから全身に痛みが走っているし、アメリちゃんも僕達が庇っているから攻撃そのものはほとんど、強いものは全く受けては無いけど、攻撃魔法や僕達への補助魔法で魔力が相当減っている。
このまま戦闘を続けていれば僕達が殺されてしまうだろう…

「いいよもう、キミ達をじわじわと追い詰める為に掠めるようにだんだんと斬ってあげようと思ったけどそんな余裕は無さそうだし、さっさと片付けさせてもらうよ!」

更に、僕達を手っ取り早く片付けるつもりらしい。
さて…何をしてくるのか…


「行くよ…『グラビティ』!」
「なっ!?」「くっ!!」「きゃ!?」

エルビが何かの呪文を唱えた瞬間、急に身体が重くなった。
全く動かないわけではないけど…身体を動かすのがかなりキツい。

「じゃあ死ね!」
「うっ、くっそ…」

そのままユウロ目掛けて聖剣で突くようにかなりの速さでこちらに突撃してきた。
ユウロも身体が重くなっているらしく、防ごうにも腕が上がりきらない。
このままではユウロの腹をエルビの聖剣が貫通してしまうだろう。
なんとかしたいが…僕じゃあなんとも出来そうにない…

「まずはキミからだ!元勇者の裏切り君!!」
「ちっくしょぉ…もう駄目だ…!!」

ユウロも諦めてしまったのか、はたまた魔法が強く掛かっているのか腕が全く動かなくなった。


「ユウロお兄ちゃん諦めちゃダメ!!『パワーオブグラウンド』!!」

が、アメリちゃんが地面に両手をつき、呪文を唱え…


「おわあっ!!」
「くっ!!あのガキリリム…邪魔だなあ…」

近付いてきていたエルビとユウロのちょうど真ん中あたりの地面を爆発させ、壁を作るようにして地面が吹き飛んだ。
その結果エルビは驚いたのか、一歩後ろに下がると同時に身体に掛かっていた重力が無くなった。

「サンキューアメリちゃん、助かったよ」
「うん…でも、たぶんアメリもう魔法使えても一つだけだから…」
「なら…どうしようね……このままじゃ僕達がやられちゃうよ……」

この隙にエルビから距離をとる事にした。
やはり警戒しているようでうかつに攻撃はしてこないが、それでもこっちが隙をみせたら畳み込んでくるだろう。

…ってあれ?チモンの姿がどこにも……まさか!?

「…エルビ様だけ見ていて良いのですか?」
「……えっ!?」
「しまっ…!?」

姿が見えなくなっていたチモンは……僕達の後ろにいた。
咄嗟の事で僕達は対処できず…そのまま後ろからサーベルをアメリちゃんの喉元に目掛けて突いて……!!




「させない!!『アクアムーヴウェーブ』!!」
「くっ!?ぐあっ!!」



刃先がアメリちゃんに届く前に、どこからか飛んできた微妙に振動している水の輪がチモンの顔に当たり、チモンを吹き飛ばした。
当てられたチモンはふらふらとしていて、まともに歩く事が出来無さそうだ。

しかし、今の魔法だと思うものは見覚えがあるぞ…という事は……


「アメリちゃん大丈夫!?皆は!?」
「あ…リンゴお姉ちゃん!!アメリは大丈夫だよ!ありがとー!!」

小屋のほうは上手くいったのか、僕の父さん始め何人もの町の力自慢を引っ提げて林檎がやってきた。

「緋央(ヒオウ)様、大丈夫ですか!?」
「しっかりして下さい水神様!!」
「お前ら!俺達の町で無茶苦茶やりやがって!!許さねえぞ!!」
「この町から出ていけー!!」
「さっさと大陸に帰れ侵略者ー!!」

そして、それぞれが残っている兵士に攻撃したり、捕まっている妖怪やその旦那さんの解放を始めた。


「ちっ…他に仲間がいたのか…こいつら相手にこの状況はさすがにキツいな…」
「どうしますエルビ様…」
「仕方ない…本当は嫌だけど退却せざるをえないね…」


そして、エルビ達は人数が逆転し、さらに妖怪たちも目を覚ましてきた事で…


「おい!教団の兵士全員良く聞け!無事な奴は退却するから船に急げ!!気絶してるような奴は放っておけ!!」


気絶している人達は放りっぱなしで船まで退却するように命じた。


「そこのクソ共、覚えていろよ…次は必ず仕留めるからな…」
「ふん……忘れたくても忘れられねーよ。テメエみたいな変わり者はな!」
「ふん…どういう事だい?ボクが変わり者だって?」

と、ユウロが捨て台詞を吐いたエルビに何かを言い始めた。

「十分変わり者じゃねえか。なんで魔物よりその魔物と一緒に居る男のほうを目の敵にしてんだ?」
「…ふーん…気付いてたんだ…ま、気付く奴は気付くか。別に隠してないしね…」

ユウロに言われてから気付いた事がある。
そういえばエルビは一回もアメリちゃんに直接手をつけてはいない。ずっと僕かユウロを相手にしていた。
アメリちゃんがリリムだからってのは無さそうだし…勇者にしては変だ…

「なに、自分や聖剣に魔物の体液を付けたくないだけだよ。それに魔物にとって夫となる人物を殺した方がより大きな絶望を与えられるじゃん」
「え……ヒドい…ヒドすぎるよ!!」

なるほど…言いたい事はわかる。
だけど、アメリちゃんが言うとおりそれは酷過ぎる。勇者の中でもかなり性格が曲がっている方だろう。

「ほぉ…それが全てか?」
「……何が言いたいんだ?」

だが、ユウロはまだ何か引っかかっているらしい。
エルビに対して、更に驚く質問をした。

「お前だろ?ディナマの連中に重傷を負わせたの」
「ディナマ……ああ、あのラノナスの……へぇ…って事はあの盗賊団を壊滅させたのってキミ達か…どおりで強いわけだ」
「で、どうなんだ?」
「正解だよ。役に立たなかったうえに魔物なんかと身体を交えていたからね。ボクが殺してあげた…つもりだったけど、重症って事はやっぱり死ななかったんだね。残念だよ…」

しかも、正解だったらしい。
ディナマの男達に酷い事をやったのはエルビか…たしかに『魔物を眠らせる』『男ばかり傷付いている』という特徴は共通していたな…ユウロ、よく気付いたな…

「それでだ。そこまで徹底するには何かしら理由があるんだろ?さっき言った理由だけとは思えないぜ?」
「……例えそうだとしても言うと思う?」
「うんにゃ。別に気になっているだけだし言わなくても良いぞ」
「あっそ。無駄な時間を過ごしたよ。じゃあボク達は帰るとするよ…置き土産をあげるけどね……


最後のほうは聞こえなかったが、再び捨て台詞を吐いてエルビは船のほうに消えていった…


「よし!町を取り戻したぞ!!」
「気絶している奴の武器を奪って縛り上げるんだ!!」
「おーい医者はいないかー!!水神様とその旦那様が重症だー!!」
「椿君や一緒に居る少年、それに女の子も怪我をしている!この子達は恩人だから早めに見てやってくれー!!」

そして、周りに転がっている兵士を縛り付けたり、怪我をしている人の手当てを始めた。

これでもう安心だろう…たぶん小屋に残っているサマリを呼びに行かなきゃ…



と思ったその時…







ボオオオオオオオンッ!!






「おわっ!?」
「きゃあ!!」
「な、なに!?」

突然海のほうから大きな音…というか爆発音が聞こえてきて……

「おい!見ろよあれ!!」
「ま、町が…燃えてる!!」
「くそっ!さっきの奴らがやりやがったんだ!!」

海のほうを見ようとする間に、大きな音を立てながら、町全体が火の海へと変わっていった。


「ヤバい!このままじゃあ…」
「わたしの水の魔法を使おうとしても…炎が強すぎて役に立たないよ!!」
「アメリももうこんなに大きな火をけす魔法を使えるほど魔力のこってない…」
「駄目だ!海に行くまでの道も火が…!!」

このままじゃ…皆焼かれて死んでしまう……でもどうすれば…!!




「皆の者!落ち着くのだ!!」
「…ん?この声は……」

皆が慌てる中、どこか凛として威厳のある声が後方から聞こえてきた。
振り向いてみると…

「あ、『龍』のお姉ちゃん…」

先程まで気絶して倒れていた水神様が、まだよろめいてはいるけれど、水色の髪を靡かせながら起き上がっていた。

「水神様!!大丈夫ですか!?」
「ああ、わしは心配いらん…それよりあの者達はどうしたのだ?」
「一応僕達が追い払いましたが…最後にこんな事態にされました…」
「ん?おお、お主は椿か。よく戻ってきた…っと、そんな事を言っている場合ではないか…」

そして水神様は師匠のほうをみて…

「ほれ緋央、起きぬか!町が燃えておるから雨乞いの儀式を早急に行うぞ!!」

そう言って近付き、師匠を揺さぶり起こした。
たしかに雨を降らせれば炎は消え皆助かるかもしれないが…

「うっ…待ってくれよ菖蒲(アヤメ)…さすがにキツい…」
「そんな事言っておる場合か!わしらがなんとかしなければ皆死んでしまうぞ!!」
「わかるけど…俺身体まともに動かないし今勃つとは思えないよ…あのガキ容赦無かったからな…」

問題の師匠はかなりの重症だ。
そんな状態では雨乞いの儀式…つまり性交などする体力も精力も残って無いだろう…



「おーい皆ー!!まだ生きてるー!?」

誰もが水神様に頼るしかない…けど、出来そうにもない希望にしがみつくしかない状況に絶望しかけていた時、これまた良く聞く声が遠くから聞こえてきた。

「ん?サマリ!!無事だったか!!」
「うん!いきなり大きな音がしたから外に出てみると町中燃えていてビックリしたよ!一応小屋の中に居た人達全員連れてきたよ!!」
「もう…何なんこれ…災難続きで嫌になるわ〜…」

声がしたほうを見ると…サマリやよく知らない人間の女性、それに母さん達町の人間が走ってきていた。

「緋央、今やるしかないんだぞ!?そうしないと死んでしまうんだぞ!?」
「そう言っても…情けない事に俺全く動けないんだよ…」
「せ、せめて勃たせる事は出来んのか!?ほれ、お主が大好きなわしのおっぱいだぞ!!いつものようにしゃぶりつけ!」
「ちょ……菖蒲……それ言うなよ……」
「なんならいつものように赤子扱いしてやってもよいぞ!!ほーれ緋央ちゃーん、わしのおっぱいをたっぷりとお飲み〜」
「やめてくれ菖蒲……炎に焼かれる前に羞恥で焼け死ぬ……」

その間も、師匠と水神様のやり取りは続いていた。
というか師匠…あんたそんな趣味だったのか……

「ん?あそこで公然羞恥プレイを行ってるのって…」
「ああ…あの二人は水神様とその旦那様で椿の師匠だよ」
「ホンマか!?ならあの二人が交われば雨降ってウチら助かるんとちゃう?」
「でも…旦那さんのほうがする元気もないって…」
「そうか……ほんなら……」

こっちはこっちで何か話しているけど…良いアイデアでもあるのだろうか…?

…っと、林檎と話していた女性が師匠達のほうに近づいていった…

「なああんたら、勃たなくて困ってるんやろ?」
「そうだが…お主何者じゃ?この町の住民ではなさそうだが…」
「なーにただの商人や!それよりあんた、これ使ったらどうや?」

そして、その女性が背負っていた籠から…桃色の果実みたいなものを取り出した。
あれってたしか……魔界にあると言われている……

「お、お主!それはもしや『虜の果実』か!?」
「せや!これに媚薬もつけて旦那さんに食べさせたらあら不思議、あっという間に股間がギンギンやで!半分こして食べたら奥さんのほうもあっという間に股間がグッチョグチョや!!」
「そ、それを売ってくれぬか!?今とても必要なのだ!!」
「わかっとる!それにウチも命かかっとるからタダでやる!ついでに即効性の傷薬もな!やで思う存分性交しいや!!」
「そ、そうか、かたじけない…ほれ緋央、半分食べんか!!」
「ん……美味いな……」

なんでそんな物を持っているのかは知らないが、その虜の果実なるものと傷薬を商人の女性から受け取った水神様は、傷薬を塗ったあと虜の果実を半分に分けてお互い同時に食べた…というか師匠は水神様に食べさせてもらった…


そうして虜の果実を食べた途端……

「うおっ!?な、なんだ…?下半身が…熱く…!?」

師匠の股間辺りが盛り上がってきた。

「ぬあっ!?はぁ…はぁ…緋央…わしのおまんこに…はぁ…お主の熱く滾る肉棒を嵌めてくれぃ…」

さらに、水神様は顔を朱に染め、興奮気味にやらしい言葉を連発し始めた。


「師匠達、目的だけは忘れないで下さいね?」
「はぁ…まかせておけ…雨は降らせるぞ………さあ緋央、お主のモノでわしを善がらせてくれぃ…」
「うぅ……ぅあ……」


そんな師匠達の事情を見る気は全く無いので、耳を塞ぎながら燃え盛る炎をじっと見つめる事にした。



…………



………



……







ザアアアアア……


水神様が師匠の精を注がれた事によって魔力が溜まり、天候を雨にした事によって町を覆っていた炎は無事消火された。
そこまで時間が掛かっていなかった事もあり、少し焦げたり穴があいていたりしている家もあるがすぐに修復できる程度なので問題は無い。
で、今まさに僕には別の問題が起きているわけで…

「ああっ♪つばきぃ…他事考えてないで…つばきももっと腰振ってよぉ…」
「あのさ…皆に見られながらって恥ずかしいんだけど…うっ…」

炎が鎮火しているのを耳を塞ぎながら見ていたら、師匠と水神様の行為での精気やら淫気やらにあてられた林檎に着てるものをあっという間に剥がされ、二人と同じ行為を雨に打たれながらやっている。
リズム良く振られる林檎の腰の動きや、僕の陰茎を柔らかく、それでいて貪欲に包み込んでくる膣の感触に慣れる事もなく、それどころか状況のせいかいつも以上に早く射精感が込み上げてきている。

「別にいいじゃん!……あんっ……皆もヤってるんだから♪」
「そういう問題じゃ……ううっ!」

しかも他の妖怪を嫁に持つ人達も周りで同じ事をしている。
何も知らない人が見たら…というか誰がどう見ても大惨事だ。

「あれぇ…もう射精しそうなの?いいよ!わたしのナカにいっぱい射精して♪」
「うっ…だ、で、射精る…!!」

ちなみに父さん達みたいに妖怪と夫婦関係でない者や独身の妖怪などはこの気配をいち早く察知してどこか遠くのほうに移動している。
もちろんユウロやサマリ、アメリちゃんもだ。むしろユウロが率先して二人を引っ張っていった。

あ…もう限界だ……出るっ!!

「あっ、うああぁあ!!」
「ん♪きてる♪椿の精がわたしにたくさん入ってくる〜♪」

いつものように林檎のナカに射精しながらも、今日は疲労もあって僕の意識は遠ざかっていった…



=======[サマリ視点]=======



「…今頃広場ではツバキが大変な事になってるんだろうな……」
「そうだね…ツバキって結構疲れてたよね…」
「…おなかすいた……」

現在20時。
長かったようでそう長くもながった事件は無事収束した。
私達は今広場から離れて、さっきの小屋付近に居る。
あのまま広場に居たら間違いなく雰囲気にあてられてユウロ辺りを押し倒して交わり始めるだろうからね。

「なあなあ…アンタ達椿と林檎の知り合いか?」
「一緒に戦ってるの見たよ!!二人の友達?」
「ここら辺では見掛けない種族ですね…大陸から来たのですか?」
「ん?」

と、これからどうするかを雨宿りしながら考えていたら同じ歳位の見た事が無い…ようなそうでもないような魔物が三人集まってきた。
一人は赤い肌で立派な角が生えており、一人は猫の様な姿で尻尾が二本生えており、一人はラミアみたいだけど蛇体というか鱗が白い。

「あなた達は?」
「アタシらは椿と林檎の友達だ!アタシはアカオニの苺(イチゴ)!」
「私ネコマタの紫蘭(シラン)!!よろしくー!!」
「わたくしは白蛇の雪乃(ユキノ)です。二人とは幼い頃からの友達です」

どうやらツバキやリンゴの友達らしい。そういえばお風呂場でリンゴからアカオニとネコマタと白蛇っていう魔物が友達に居るって聞いたな…イチゴとシランとユキノの事か。

「私達は二人と一緒に旅をしていたんだ!私はワーシープのサマリ、リンゴと一緒で元人間だよ!よろしく!!」
「俺はユウロ。人間だ。約一名に向けて先言っておくが酒は弱いから。よろしくな!」
「リリムのアメリだよ!!お姉ちゃんたちよろしくね!!」

その後私達はリンゴの家に一晩泊めてもらう事になった。
そこで私達はリンゴのお母さんにジパング料理の刺身や天ぷらを御馳走して貰った。

刺身は最初生の魚だって思うと手を付け辛かったけど…ユウロが普通に美味しそうに食べていたので恐る恐る口にしたら…かなり美味しかった。アメリちゃんもそんな私を見て食べてみたら「おいしー!!」と叫んでいた。
そう…美味しかったし、私やユウロは平気だったけど…一緒につけて食べた山葵はツーンとしてたからかアメリちゃんは食べられなかった。その時ちょっと涙を浮かべていたのが可愛らしかった。

天ぷらもサクサクで美味しかった。その天ぷらだが、ちょうど貰った山菜を使っていたから作り方を教えてもらった。
他にもリンゴのお母さんにはいろいろとジパング料理を教えてもらったので、今度作ってみようと思う。

そしてご飯の後はイチゴ達にいままでの旅の話をしたり、逆に故郷に居た時の二人の話などを聞いた。
十分ツバキを堪能して満足したリンゴがぐったりしたツバキを抱えて戻ってきた後は更に話が盛り上がり、アメリちゃんですら11時までずっと楽しく会話をしていた…その後私の背中にもたれ掛りながら眠ったが。
そしてアメリちゃんが寝た後も、私達は日付を越える辺りまで話を続け、その後女子は皆アメリちゃんみたいに私にくっつきながら寝た…



そして次の日の朝、私達は昨日夜遅かったがリンゴのお母さんに叩き起こされ、7時には起きた。
朝ご飯は白米に焼き魚とお味噌汁…それと沢庵。どれもこれも美味しかった。
朝ご飯の後はツバキの家に泊まっていたユウロと、昨日ぐったりしていたのにもう元気になっていたツバキと合流し、皆の案内で町の至る所を見て周った。

その時にイチゴの家に行ったが、イチゴの家は酒屋で、そこでユウロは昨日の酒弱い発言のせいでイチゴと何故かシランに「男なら飲め!!」と無理矢理飲まされ、2杯目の途中で寝てしまった。

とりあえず寝てしまったユウロは私が担ぎつつ、水神様のアヤメさんに会いに行った。
アヤメさんは私達に「この町を救ってくれた恩人だ」と言ってお昼ご飯を御馳走してくれた。
どれもこれも美味しかったのだが…公然の場で自分の性癖を暴露されたからかずっと顔を俯いていたツバキの師匠、ヒオウさんが気になって仕方なかった。
ツバキやユウロがずっと励ましていた…イチゴやシラン、ユキノ、それにリンゴはずっとニヤニヤしてたが。
その光景を見て思ったんだ。偉いってなんだろうね…と。

そのまま夕方までアヤメさんのお家にお邪魔した私達。
そこで聞いた話だと、気絶していたせいで置いてかれた教団の兵士は皆町にたまたまあった牢屋に入れてあるとの事。
『その中から旦那にしたい人がいたら自由に持っていってよいぞ』とアヤメさんが言った瞬間、サクラとシオンの二人が牢屋のほうまでかなりの速さで走っていった。
私はそういうのには興味無いし、リンゴにはツバキが居るので走っていく事も無かったが、何故か走っていかなかったユキノを問い詰めたら…なんと好きな人がいるとの事。
その恋の話について私とリンゴとアヤメさん、そして当人の4人で(残りのアメリちゃん、ユウロ、ツバキ、ヒオウさんの4人は別で何か話をしていた)盛り上がった後、夕方になってまたリンゴの家にお世話になった。

リンゴの家に着いた後、私は夕飯の準備を手伝った。このとき手伝わなかったリンゴの肩身が狭くなったのは言うまでもない。
夕飯の後、私達は旅の思い出を語りながら、また夜遅くまで盛り上がってから眠りについた…




…………



………



……







「それじゃあ皆、また会いたくなったら会いに行くよ!!」
「今までありがとうね。皆との旅の思い出は一生忘れないよ!!」

そしてさらに次の日の朝…と言っていいかな?とりあえず現在10時。
私達はリンゴやツバキと別れの挨拶をしていた。

「ツバキが居なくなるのか…男が俺だけになってちょっと寂しいな…」
「まあね…なんだかんだ言っても僕は結構皆と旅してたからね…」

二人とはここでお別れ。
一生の別れでは無いにしても、やっぱり寂しい。

「アメリまた来たくなったらしおみに行くね!!」
「うん!アメリちゃんや皆なら大歓迎だよ!!その時はまた苺や紫蘭、雪乃とも一緒にまたお話しよ!!」


私達3人はまた旅を…ジパングでの旅を再開する。



「ん〜と、そろそろええかな?」



あ、違った。


「ん?なんでカリンお姉ちゃんちょっととおくにいたの?」
「いやあ…さすがに今までの旅にウチはいなかったから遠慮しとったんや…」

私達の旅に、旅する商人のカリンが一緒にくる事になったのだ。
なんでも「女の一人旅は今回みたいな事があるかもしれんで不安やし、困らないなら一緒にいかせてや!」と言う事で、人間女性一人で旅をするのが若干不安だから一緒に行きたいと言ってきたのだ。
別に私達は困らないし、カリンの話も聞きたかったので一緒に行く事を即決した。
その時に精補給剤みたいなもの、しかも子供も飲めるように改良されたものをカリンから「旅仲間やし」という事でタダでもらいアメリちゃんに飲ませたのでアメリちゃんの魔力不足も解決した。
そんなものを持っているカリンって凄いな…アメリちゃんもカリンの事ずっと不思議そうに見ているしね…


「じゃあそろそろ出発するか!」
「うん!」
「そうだね…」


ユウロの合図の後、私達はツバキとリンゴのほうを向いて…


「離れていても私達は供に旅した仲間…ずっと友達だよ!!」
「もうお前ら離れ離れになるんじゃねーぞ!!」
「元気でねツバキお兄ちゃん、リンゴお姉ちゃん!!」


「ああ…皆とはずっと友達だ!!そっちこそ元気でね!!」
「わたし達はずっと一緒にいるよ…そして、一緒にまた会おうね!!」


固い握手を交わして、私達は別れのあいさつを済ませた。


「よし!新たな旅の始まりだ!!」
「ユウロはおおげさだな〜…でも、たしかにそうだね」
「どんなことがおきるかな〜…アメリわくわくする!!」
「ま、とりあえずは弥雲(やくも)を目指すって事でええな。それならウチが案内できるし」

そして私達は、まずはカリンが運ばなければいけない荷物があると言うので、祇臣よりも小さな町『弥雲』を目指す事にしたのだ。
そこに行くためには『怪物』が出ると言われている山を越えなければならないが…まあ大丈夫だろうと思いそのまま進む事にした。



その判断が大きく間違っていた事に、このときは気付きもしなかった…
そしてその間違いは、決して悪い事ではない事も、このときは気付けるわけがなかった…




「んー…ねえカリンお姉ちゃん」
「ん?なんやアメリちゃん、ウチに用か?」
「うん…カリンお姉ちゃんってアメリたちしんようしてないの?」
「……え?なんでいきなりそんな事言うん?」
「だって…ずっとそのすがたしてるじゃん…」
「……ああ、やっぱリリムには通用せんか〜…安心せえ、これはウチの特訓や!」
「とっくん?」
「ああ、ウチは将来的に幅広い商売人になりたいんや!だから誰にも気付かれんようにこうして特訓しとるんや!!」
「へぇ〜…じゃあアメリサマリお姉ちゃんにもユウロお兄ちゃんにも言わないでいるよ!!」
「おおきにアメリちゃん。これは誰に対しても秘密でたのむわ〜」
「まかせて!!」



アメリちゃんとカリンの二人がこっそりと何か会話していた事にも、私は気付かなかった……
12/05/14 21:40更新 / マイクロミー
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■作者メッセージ
やりたいこと全部詰めたら最長記録更新。まさかの約1万5千字。もう読切のレベル。
それでも分けたくなかったのでこのまま投稿。長くてごめんなさい。

という事で、今回は前回アメリちゃんが飛び出してからのお話。
サブタイどおりエルビとの決闘とリンゴツバキとの別れ、そして人間?のカリンとの出会いでした。
最後のアメリとカリンの会話から何かわかるかもしれませんが、カリンは人間?です。

今回決闘っぽくない?僕にガチバトルは無理ですごめんなさい。
もちろんエルビはこれで終わりではありません。また出てきます。

という事で次回は『怪物』のお話。ユウロが…の予定。

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