東方、島国ジパング某所。

夜空には紅い月が妖しく輝いている。

乾きひび割れた大地には枯れ木がまばらに立つばかりで、草も花も見当たらない。
生き物も、空に舞うのはカラスや禿鷹に蝙蝠。地面を這うのは蜥蜴や蜘蛛といった不気味なものばかりで、美しさとは懸け離れた情景が広がっていた。

そんな闇夜を煌々と照らす、眩いばかりの灯り。豪勢な装飾の施された巨大な豪邸。
帝の御所を思わせるその建物は、赤月を背にしながらもその妖しい輝きに負けじと灯りを煌々と灯していた。


母屋から離れた建物の一角。
縁側にて煙管片手に一服する女がいた。
紫を基調とした艶やかな着物を羽織るその姿はさながら太夫の様な妖艶さを滲み出させていた。


しかし、彼女は人間とは少し違った姿をしていた。
頭には狐に似た耳が二つピコピコと揺れていて、山吹色の毛に覆われた九本の尻尾はそれぞれにゆらゆらと揺れ動く。


彼女は俗に言う妖であった。


種族は妖狐。人を化かし、謀り、誑かす妖怪。
一見、小物のような妖だがその実力は高く、ときには神に匹敵する力を持つ『九尾の狐』も誕生しており、ジパングの”古きもの”たちの中でも別格の潜在能力を持つ。

虚ろな瞳で煙管を咥える彼女も、以前は大陸で猛威を振るった九尾の1人だった。












「…遅いな。また何処かで油を売っているのだろうか。」
…あのうつけめ、こんな時までいつもの『アレ』をしているのか？

「…まったく、今日は宴だというのに。」

「宴じゃないわボケ。会議じゃ、会議！…お主、いつも飲み会目当てに来てるじゃろ？」

妖艶な妖狐ともう1人、彼女とは対照的に袖のない質素な着物を着た活発そうな女が太夫の煙管を取り上げ叱責する。
狐の耳と尻尾がある通り、彼女も妖狐の1人であった。
しかしながら太夫の妖狐とは違い、胸も無ければ尻もでかくない。というより全体的に小柄で髪も短く切ってある。どうにもボーイッシュな彼女は妖艶な妖狐のイメージとは懸け離れた存在に見える。

オレンジの髪を揺らし、彼女は更に説教を続けた。

「いいか？お主は曲がりなりにも一国の主なのだ。それがこうもちゃらんぽらんに生きておられては他の皆に示しがつかぬのじゃ。もっとしっかりしてもらわねば。先ずはその身なりから如何にかしてだな…
…おい、聞いとるのか？」

くどい説教を続ける少女を他所に、太夫の妖狐は空をポー、と眺めていた。
オレンジ髪の少女はそんな太夫の態度が気に入らなかったのか腕を組み直し、冷静な表情で続きを語った。

「…また、アイツの事を考えていたのか？

…もう忘れろ、奴は死んだのだ。」

「…死んでない。」

「いんや、死んだ。…お主も見たじゃろ、奴が刀や槍で八つ裂きにされる様をー」

「死んでないと言っているだろう！！！！」

「っ…！」

突然の太夫の咆哮で会話は中断される。

そして、タイミングを測っていたかのように丁度従者の妖狐が会議が開始されるとの連絡をしに部屋に入ってきた。

「ここに居られましたかお二方。まもなく会議開始予定時間となります。お急ぎくださいませ。」

「…うむ、もう少ししたら向かう。」

「…」

無言の太夫に代わり小柄な妖狐が返事をすると、従者は一度お辞儀をしてから小走りで部屋を出て行った。

おそらく準備が忙しいのだろう。
そんなことを思いつつ、小柄な妖狐は太夫に声をかけた。

「…なあ華曜。お主はいつまで過去に囚われておる気じゃ？そうやって逃げていれば奴は帰ってくるのか？…否、奴は帰ってこん。

…前を向いて歩け。

そう最期に言い残したのは奴じゃ。
…奴の最期の頼みくらい、聞いてやったらどうじゃ？」

「…」

「……

…もうすぐ会議が始まる。遅れるなよ。」

暫く華曜を眺めた後、小柄の妖狐はそれだけ伝えて部屋を後にした。


残された華曜は、おもむろに豊満な胸元に手を突っ込み一つの小さな髪飾りを取り出した。
花を模して造られたそれは金でも何でもなく、ただの安物のようであった。
しかし華曜はそれを大事そうにギュッと抱きしめる。

「…ねぇ、貴方は今何処にいるの？何をしているの？…私を置いて、何処をほっつき歩いているの？……会いたいよ。君に会いたい。
こんなに、君を思っているのになんで……なんで会いに来てくれないの？来て、私を優しく抱いてくれないの？もう大丈夫、って。ここにいるよ、って。…私を…私を、抱きしめてよ。」




















定刻、会議は開かれた。
会場はこの建造物の最奥、天守閣にて開かれた。天守閣といってもそんな手狭な場所でもなく、建物の構造上でもかなり広い宴会場のような様相を呈していた。

「…華曜とユージンは？」

宴会のように机と料理が並べられた列のさらに最奥、上座も上座、主役の座す場所でふんぞり返っていた小柄妖狐が苛立ちを露わに傍らの従者に尋ねた。

「申し訳ありません、ユージン様は先ほど正門に到着したとの報告を受けましたが、華曜様に関しては、現在捜索中であります。」

「捜索中！？この中で！？いくら広いと言っても建物の中じゃぞ！それにここはワシの御殿じゃ、当然配下も充分に配してあるだろうに。」

「…そう思い、全階層の者に連絡を取りましたが、何れにもいらっしゃらないとのことで。…おそらくは華曜様得意の妖術を使われていると。」

従者の言葉に小柄な妖狐は顔を真っ赤にして怒った。

「あんのバカ娘！大事な会議じゃと釘を刺しておいたと言うのにぃ…！
…ええい！もう構わん！彼奴は放置して、急いでユージンの奴をここへ通せ！！」

「はっ！そのように…。」

ギャーギャー喚く上司に、しかし従者は冷静に返してその場を後にした。

むくれ顏の妖狐が会場を見渡すと、2人の遅刻者を除いて満席となっていた。
その中の1人、長い青髪を結えたおっとり顔の妖狐が小さな大将を宥めた。

「そんな怒らんでもよろしいとちゃいますえ？あの子もまだ遊びたい盛りやし、ユージンはんの方も今に始まったことではあらへんし。…あんまり怒っとるとその可愛いお顔が台無しになってまいますえ？」

「うるさい！黙れ、エセ京人！だいたいお主、大陸の出身じゃろ！なんでこんな島国に居着いてるんじゃ！」

「おいおい、それは八つ当たりってもんだぜ“玉っち”。ワシらもいい歳なんだし、そろそろ落ち着きというのをだな…」

尚も喚く小柄な妖狐に今度はおっとり妖狐と向かいの席に座る妖狐が口を挟んできた。先ほどの青髪とは違い、真っ赤な長髪を後ろで雑に結んだ彼女は、その鍛えられた肉体と身に纏うものからして、さながら武人といった出で立ちであった。

「玉っち言うな！ワシとて好きでこんな姿をしているわけではないわい！…これもあの腹黒陰陽師の所為であって…」

ブツブツと愚痴り始めた玉っち（仮）は、今度は手近な席に座っていた妖狐を睨みつけた。

「…聞いとるのか？お主の愚息の話をしとるんじゃぞ？」

声をかけられたのはこれまた白い長髪を腰まで伸ばした美しい妖狐だった。髪だけでなく眉やまつ毛まで白い彼女は、言われて初めて気づいたように口元に手を添えた。

「あら、それはもしや私の可愛いやや子のことかしら？」

言ってからにっこりと微笑む白狐。それは純粋な笑みであってその微笑みだけで全てがどうでもよくなってしまうかのような、そんな暖かさをもった笑顔だった。

しかし、玉っちは依然仏頂面で睨み続けた。

「そうじゃ！お主の子、童子丸の所為でワシがどれだけ酷い目にあったか…。この借り、どう返してくれるんじゃ？」

「あらあら、あの子ったら、大将様まで打ち負かしてしまったのねぇ。さすが童子丸ちゃんね、ママ嬉しいわ。」

「あらあら…じゃないわボケェ！彼奴の所為でワシがどれだけ苦渋を舐めさせられたことか、その辺分かっとけバカモン！！」

「どうか鎮まれよ、御大将。其方は威厳ある我らが盟主。普段はもう少し落ち着いていたであろうに。」

はたまた今度は白狐の向かいの妖狐が、大将に説教を加えてきた。切れ長の目に黒い瞳を携えて長い黒髪をきっちりと後ろで結んだ彼女は帯刀する様からして侍然とした風貌だ。

それに加勢するように、彼女の隣の妖狐も加わってきた。

「そうだよ玉っち、もっとリラックスしなきゃ〜。」

「なんじゃなんじゃ！お主ら、あの憎っくき陰陽師の肩を持つのか！？」

「いや、そうではないが…まあ、葛の葉には罪はないゆえ。」

「そうだよ〜、葛の葉ちゃん可哀想。」

「皆さん…そこまでに私の可愛いあの子をー」

「ちゃうわい！皆、お主を心配しとるんじゃい！てか、なんでワシが説明しとるんじゃ！…うがー！もう良い！それよりユージンはまだかっ！」

周囲の妖狐が宥めるなか、小柄妖狐の怒りはピークに達しようとしていた。
そんな状況下で会場の襖を堂々と開いて入ってきたのはー

「おっまたせー！ユージン隊長、ただいま帰投したであります！…なんちって。」

噂の遅刻者本人だった。

「「…。」」

この時、その場にいた全ての妖狐が思った。

こいつはバカだ。と。



遅刻にも関わらず意気揚々と入ってきたユージンは周囲の、既に着席していた者たちに握手をねだって挨拶しつつ、ゆっくりと席に着いた。

「おい、ユージン。お主、ワシに言うことがあるんじゃないか？」

その一部始終を諦観していた小柄な妖狐は、妙に落ち着いた様子で語りかけた。しかし、その足元はプルプルと震えており、怒りが隠しきれていないのは周知の事実であった。…ユージンを除いて。

「あ！大将お久しぶりっス！」

「…ユージン。」

ジロリ、と大将と呼ばれた妖狐はユージンを睨みつける。しかしユージンは飄々としてトコトコとその側まで歩いてその肩を叩いた。

「いや〜見ないうちにまた背、伸びたんじゃないスか？0.2�pくらい。」

「…っ！」

ビキリ。そんな音が似合うくらいに小柄な妖狐の額に血管が浮き出た。周りの者たちが流石にオロオロし始める中、ユージンはそんなことは我関せずと遠慮なく肩を叩きまくっていた。

「あははっ！冗談ッスよ、冗談。前と全く変わりないっス。…あっ、なんか肩凝ってますねー。揉んであげましょうか？」

「…なおれ。」

「はい？」

「そこに直れと言っとるんじゃーーーー！！！！」

ついにキレた。そう誰もが思う中、小柄な妖狐は魔力流を周囲に巻き起こしながら怒声を上げた。その魔力量は妖狐の長と呼ぶに相応しい莫大な量で、その波動に従者級の妖狐たちは皆気を失うほどであった。

「あははは！さっすが母上！とんでもない魔力っスね〜。ひと昔前のあたしなら一発で気絶してました！…でもー」

「っ！」

並みの魔物なら立っていられないほどの魔力流を間近で受けながらユージンは立ったままだった。やや前屈姿勢にはなっているが総体的に見てまだまだ余裕を残していた。

「…お主、この20年の間に何があった？」

驚く母に、ユージンはしてやったりとニヤリと笑顔を浮かべた。

「聞きます？聞いちゃいますぅ？」

「さっさと言え、言わんとその小うるさい口を捻じ切るぞ。」

「！わ、分かりましたって！だからその禍々しい右手をお納めくだされ〜！？」

「…ふん。」

怒れる妖狐は、悪魔の鉤爪のように黒々と変形した右手を元に戻し、魔力を収縮させた。

緊張から解放されたユージンはふぅ、と一息ついて頬を緩めた。

「実はですね〜…私、この度結婚いたしました！」

「…ん？？」

突然打ち明けられた衝撃の事実に、その母を含めその場の全員が一瞬ぽかんと口を開けた。

しばらくの静寂のあと、母を除く全員がプルプルと肩を震わせ始め、やがてー

「おめでとうーーーー！！！！」

大歓声と共に祝福された。

「わっ！ぜ、漸慈様！いきなりひっつかないでくださいよー！」

「何を言うか！幼き頃より見てきた可愛い女の子が伴侶を見つけたんじゃ。これが祝わずにいられるかっ！」

漸慈と呼ばれた武人風の妖狐はぐりぐりとユージンの頭を弄りながら満面の笑みを浮かべていた。他の妖狐も口々に祝福の言葉を述べていた。
そんな中にあっても、当の本人の母親はしかめっ面を決め込んでいた。

「…お主、ワシに挨拶もなしに勝手に男を作るなどと。どういうつもりじゃ！！」

「ええ…今のご時世、できちゃった婚は珍しくないっスよ〜。」

「え？まさかお主…」

「できちゃったのー！？」

母が述べる前に、他の妖狐が核心を突いた。

その問いにユージンは顔を赤らめながら小さく、頷いた。

「ひゃっほーーー！！今日は赤飯だぜ、玉藻！！」

「は、はぁ！？なんでそうなるんじゃ！！まだ、ワシは認めたとは言っとらんぞ！」

「そう硬いこというなって、大事な愛娘のおめでたなんだぜ？盛大に祝ったれよ！」

バシバシと手加減無しで肩を叩いてくる漸慈に、小さな大将こと玉藻は鬱陶しそうに顔を歪めた。

「そうよ、玉藻ちゃん。娘の門出はちゃんと祝ってあげなきゃ。」

「うるさいうるさい！ワシは絶対に認めんぞ！どこの馬の骨とも知れない男の子どもを孕むなんぞ、言語道断じゃー！！」

玉藻は両手をぶんぶんさせながら吠えていた。彼女なりに威厳を出そうとしているらしいが、それは全くの逆効果で、その可愛らしい姿を見ていた妖狐たちは微笑ましい表情でそれを眺めるだけだった。





「…。」


皆がギャイギャイ騒いでいる中、会議場の入り口からこっそりと覗いていた華曜は深く溜め息を吐いていた。

「こんなおめでたい席に、私が入れるわけないじゃない。」














その後、会議（？）は無事に終わり、後に続いた飲み会からの二次会も終わって、皆酔い潰れて寝静まった頃。いつもの縁側に華曜は1人佇んでいた。その手には常備された煙管を持っている。
華曜は虚ろな瞳で夜空を妖しく照らす赤月を眺めていた。

「お姉ちゃん。」

不意に背後から声がかけられた。
振り返ってみると、そこには後ろ手を組んだユージンが立っていた。

「…ユージン。」

「お姉ちゃん、会議、結局出なかったね。」

「まあ…私が居ても辛気臭くなるだけだしね。それに1人でいる方が気楽だし。」

これは嘘。本当は寂しくてたまらない。母や妹はもとより、他のみんなとももっと仲良くしていたい。…でも、そんな思いも彼がいない喪失感からすれば瑣末事でしかない。
だから私はこう続けた。

「…私は孤独が好きなのよ。誰とも関わりたくないし、話したくもない。ただ、のんびりと余生を過ごしたいの。」

「それは嘘だよ。」

だが、ユージンははっきりと否定してくる。
…こういうところは私はあまり好きではない。もちろん、妹である彼女は大切だし大好きだ。でも、こうして心の傷を平気で抉るような発言をズケズケと申してくるところは不快で仕方がない。

「どうして？」

「…だってお姉ちゃん、泣いてるもん。」

「は？…いや、泣いてないけど。」

「んーん。泣いてる。ずっとずっと、お姉ちゃんは泣いてるよ。心で泣いてる。私は妹だから、たった1人の妹だから分かるの、お姉ちゃんが今すごく苦しんでいるのが。」

「…またテキトーなことを。」

「テキトーじゃないよ。だってお姉ちゃん、笑ってないもの。あの時からずっと。…あの人がいなくなった日から、ずっと…。」

「…！ユージン！」

「……ごめん。こんなこと言っても過去は変えられないって分かってる。でもね？私、お姉ちゃんには前を向いて生きて欲しいの。…子どもまでできた私が言っても嫌味にしか聞こえないかもしれないけど、でも言わせて。」

そう言って、ユージンは黙り込んでしまった。俯いたその顔は窺い知れないが、なんとなくその表情は分かっていた。
おそらく彼女は泣いているのだろう。悔し涙を流しながら必死に堪えているのだろう。
啜り泣く声が微かに聞こえて、私は思わず目を背けてしまった。

…バカな姉でごめんね。


そうしているうちに、目を擦りながら顔を上げたユージンは一言。

「…ごめん、もう行くね。」

とだけ言ってその場を去っていった。

「…。」

ユージンの居なくなった場所を私はしばらくの間見つめ続けていた。













夜も更け、時折吹く風が肌寒く感じるようになって私は自室へと戻っていた。

会議の期間だけ私に貸し与えられた部屋。幼い頃に、ここで暮らしていた時に自分の部屋として使っていたこの場所は、当時そのままに残されていた。


徐にタンスの縁を指でなぞる。

「埃がない。」

何十年も放ったらかしにしたというのに部屋には塵一つなかった。

「従者のミヨンさんが掃除してくれてるのかな？」

そう考えて私はそれ以上の思考をやめた。身体限界なのだ。
長旅の疲れと、今日一日ですり減らした神経のおかげで私は今、猛烈な睡魔に襲われていた。

「もう寝よう…どうせ明日も同じなんだし。」

独り言を呟いて私はベッドに横たわった。


ぼんやりと天井を見つめる。それから辺りを見回してみた。

凡庸な木製のタンスに乗っかるのは、小さい頃に気に入っていたクマのぬいぐるみとこれまた幼少期に作った不細工な工作品の数々だ。向かいの棚に飾られているのは、子ども心にコレクションしていた変わった石ころやその他諸々の収集品たち。
それ以外にも様々なものが当時そのままに置かれていた。

「…当てつけかしら。…いや、それも捻くれた考えね。多分、もっと純粋な親切心からくるものだとはおもうけど。」

…もういいや、考えるのはやめよう。

そう思った私は目を閉じて枕に顔を埋めた。




数時間前まで活気付いていた豪邸は静けさに包まれ、灯りを全て消したこの建物に窓から赤い月光が差し込んだ。

外は既に真夜中で、虫の囀りの止んでいた。



そんな夜特有の静寂の中で私はまたぼんやりと考えていた。
睡魔に呑まれ薄れゆく意識の中で私は思う。





…ああ、また枕を濡らす夜が来るのね。