読切小説
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皆大好きドワえもん
 
 ―炎と言うのは激しいものだ。
 
 どんな小さなものでも触れれば火傷してしまうし、近づくだけでも本能が逃げろと叫ぶ。その叫びを無視して長時間近くにいれば、それだけで水膨れが出来てしまうだろう。その炎に包まれて死ぬのは最も苦しい死に方の一つであると言われているし、『ヒト』であれば出来るだけ近づきたくはないというのが本音だと思う。
 
 ―だけど、人の歴史は炎と共にあった。
 
 小さな土器を作るのにも、人はその激しく、恐ろしい炎を用いた。土くれを加工し、身近な道具を作り出すのに、その炎の激しさを求めたのである。それが『人間』と言う奴の恐ろしさでもあり、最大の能力でもあるのだろう。恐れていたものでも有用であれば躊躇無く、利用する。だからこそ、どんな生物よりも『人間』は世界中に広がる事が出来たのだ。
 
 ―今の私達のように…ってね。
 
 そんな事を考えながら、私は手に持つ槌を思いっきり叩き降ろした。ガキンと金属同士がぶつかる音が響いて、手の中がビリビリと痺れる。もう何千何万とそれを繰り返してきた私にとって、手から一瞬、感覚が消えるそれは馴染みのあるものだ。寧ろ、心地良ささえ感じながら、真っ赤に熱された刀身に向かって、再び槌を振り下ろす。そして、それを繰り返す度に握りこんだ拳が震えるような感覚が強くなっていくのだ。
 
 「よーし…もうすぐだよ。良い子だね…」
 
 思わずそう呟きながら、私は硬くなっていく刀身を横に置いた水桶の中に突っ込んだ。じゅぅと一気に水が蒸発する音と共に湯気が噴き出す。一瞬で白く染まった視界から逃げるようにして、そっと周りを見渡すと、乱雑に物が置かれた工房が目に入った。勿論、乱雑と言ってもここの主である私にとっては全ての場所が手に取るように分かる。他人にとって散らかっている部屋が、本人にとって住みづらいかどうかは決して=ではないのだ。
 
 ―…まぁ、流石にちょっと片付けないと…とは思ってるんだけどね。
 
 机の上に乱雑に置かれた整形用の槌。本来は壁に掛かっていたそれはここ数日休み無しに様々なものを作っていたからか放置されたままである。他にもそこら中に設計図や型が放置されているままだ。それらは勿論、私の頭の中に入ってはいるが、いい加減、片づけをしないとまずいだろう。
 
 ―何はともあれ、まずはこの子かな。
 
 湯気の収まってきた水桶に視界を戻すと赤白く透き通った刀身が目に入った。火山に近いこの場所では地中からマグマと共に上質な鉱物が運ばれてくる。それらの中からさらに上質な鉄を選んで作り上げられた刀身は、まるで最高級の銀のように透き通っていた。ただでさえこの工房は火山の熱を直接、引いて来て並の鉄でもそこそこの物を作れるのだから当然と言えば当然だろう。
 
 ―ん〜……もう一回かね。
 
 鉄と言うのは打てば打つほど良いモノになる訳ではない。無論、そう言った側面は確かにあるものの、過度の打ち過ぎは鉄の破壊に繋がってしまう。其の辺りの見極めが出来るかどうかが素人と鍛冶屋の境目だ。そして…私は根っからの鍛冶屋であるドワーフである。特に根拠は無いが、私がもう一回と思えば、もう一回やるのが望ましいのだ。多分。
 
 「…それじゃあ…もっかいやりますか」
 
 そんな風に自分を鼓舞しながら、私は座っていた椅子からそっと立ち上がった。もはや段差としか思えないような小さなそれは私の夫が自分で作ってくれたお手製である。私とは違い、壊滅的に不器用な夫が四苦八苦しながら作ったそれは余りにもちぐはぐで何処か頼り無い。でも、夫の好意が何よりも嬉しくて、今も尚、補強しながら使っている私の宝物だ。
 
 「…えへへ」
 
 煤の張り付いた頬を思わずにやけさせながら、私はそっと炉の方へと足を進める。そして、既に熱が収まってきたのか薄紅色にまで落ち着いた刀身を再び炉の中へ突っ込んだ。離れていても熱が伝わってくるような激しい炎にダラダラと汗が流れるのを感じながら、すっと感覚を研ぎ澄ませる。火山の熱を利用しているこの炉はとんでもない高温で、あっという間に刀身を熱することが出来るが、反面、微調整が難しいのだ。ドワーフでも時に失敗してしまうほど扱いの難しい炉から一瞬たりとも目を離さず、私は鍛冶手袋越しに伝わってくる熱に思考を合わせる。
 
 ―3……2……1……今!!
 
 「ドワえも〜ん!!」
 「う、うわあああっ!!」
 
 ヒトに触れれば火傷ではすまない高温になっている鉄を炉から引き出した瞬間、私の背中にぐわりと大きなモノが被さってきた。余りにも炉の事に集中していたからだろうか。さっきまで私以外に誰もいなかったはずの工房なのに、私の背中には確かに感じなれた熱がある。炉の高熱にすら耐える私の身体も、マグマの熱にさえ屈さない心も溶かしてくれるその優しい熱には敵わない。何よりにも勝る心地良い感覚と安心感を感じていた。
 
 「ちょ…ば、馬鹿っ!今は成形の途中なんだってば!!」
 
 正直に言えば、後ろから抱き締めてくる優しい熱――夫に身も心も委ねてしまいたい。だけど、私の手には触れれば一生モノの傷を残すであろう高熱の物体があるのだ。私ならまだ良いが、何かの手違いで夫に触れるのだけは避けたい。だからこそ、強い口調でそれを咎めたものの夫の逞しい腕は私を手放さず、私の身体にスリスリと頬を摺り寄せてくる。
 
 「はぁ…クンカクンカ。汗だくのドワえもんからは良い匂いがするよぉ」
 「〜〜〜〜〜っ!!」
 
 ―女としてそんな事を言われて我慢出来るはず無いだろう。
 
 朝からずっと炉と付き合って、幾つもの刃を作っていたのだ。勿論、私の身体は汗だくで到底、良い匂いとは言えないに違いない。けれど、夫はこうして汗だくの私を厭わずに抱き締めて、良い匂いと言ってくれる。まるで私の全てを好きと言ってくれているような甘美な感覚にぼっと燃え上がった私の身体は今にもその全てを夫に委ねようとしていた。
 
 ―でも…っ!!
 
 「ち、調子に乗るなぁぁ!!」
 「うぉぉぉ!!」
 
 ガツンを思いっきり足を後ろにたたきつけて、脛を蹴っ飛ばしてやる。それにかなりのダメージを受けたのか、溜まらず夫は私を手放した。ピョンピョンとまるで何かの冗談のように足を抱えて、涙目で跳ね飛ぶ身なりの良い男を視界の端に捉える。けれど、私はそのまま何も言わず、さっきの椅子に座った。そして専用の台の上に真っ赤な刀身を置き、再びガツンと槌を叩きつけ始める。
 
 「…あ、あの……」
 「……」
 「も、もしも〜し…」
 
 そんな私の背中から伺うような声がするけれど、私は応えない。当然だろう。別にさっきのようなスキンシップは私も嫌いじゃない…って言うか大好きだけど、それでもTPOって奴は重要だ。こうして鍛冶仕事の途中で無ければ幾らでも受け入れてあげるのに、どうしてこんなタイミングでするのだろうか。
 
 ―私だって本当はもっとイチャイチャしたいのに…!!
 
 最近は色々あって夫も私も忙しいのだ。流石に工房に泊り込むほどではないにせよ、毎日、四時間は繋がっていたセックスの時間が半分にまで落ち込んでいる。それが私にとっては欲求不満の種であり、さっきだって本当はかなり悶々としていたのだ。正直、そのままセックスにもつれ込もうかと半ば本気で考えた位である。しかし、一人の職人として中途半端な出来で商品を卸す訳にもいかず、何より夫の妻として無闇にその身体に傷をつけさせる訳にはいかない。結局、短いようで長い葛藤の末に、私はそれを必死に拒絶した訳なのだ。
 
 ―せめて…成形が終わるまで待っててくれれば良いのに…!!
 
 それが終われば後は低音でじっくりと固めるだけの工程しか残っていない。そこまで進めば少しくらい放って置いても問題は無いのだ。もっと言えば、思う存分、夫に甘えてセックス出来る。けれど、後数分、我慢が出来なかったが故に、私は身を絶つ思いで拒絶しなければならず、身に宿した欲求不満を怒りへと変えたのだ。
 
 「いや…その……」
 「……」
 「……ごめんなさい」
 
 そうして素直に謝る顔は謝意に溢れていた。意志の強さを見せ付けるような焔色の髪から、赤銅色の瞳まで反省の色が見える。童顔気味にパーツが配置されている顔でそんな風にされたらどうしても強くは言えない。その上、男性の平均身長程度に実戦で鍛え上げられた筋肉を沢山つけている肉体も申し訳なさそうに縮こまっているのだ。見上げなければいけないような体格差とは言え、そんな風にされるとどうにも母性本能が擽られてしまう。キュンキュンと唸る胸の奥からもう許してあげても良いんじゃないか、と言う気持ちが湧き出るが、流石に今回は大事故に繋がりかねないかったのだ。早々に許してしまうとまた調子に乗るかもしれない。心苦しいがもう少し苦しんでもらおうと、私はもう一回、槌を振り下ろした。
 
 「その…な。珍しく早くに仕事が終わって…最近、その淡白だったじゃないか?お前も欲求不満だったようだし…だから…その……な?」
 
 流石に悪乗りしすぎだと思ったのだろう。必死で言い訳するその顔は罪悪感に満ちていた。ここまではっきりと怒りを見せ付けたのはここ最近、無かったからだろう。身振り手振りを交えて必死で弁解するその姿は、追い詰められているようにも見えた。どんな凶暴な相手にさえ簡単には負けない実力を持っている夫が、こうしてうろたえる姿を見るのは少しだけ愉快でもある。
 
 ―…まぁ…許してあげるかな。
 
 甘いとは自分でも思うものの、大惨事にはならなかったのだ。反省はしているようだし、次に繰り返さないのであればそろそろ許してあげるべきなのかもしれない。何より…別に私は夫を追い詰めたいわけではないのだ。叱られた大型犬のように肩を落とす夫の姿は愉快ではあるが、それ以上に心苦しさが先立ってしまう。
 
 「…もう良いよ。反省してもう二度としないって誓うならね」
 「あ、あぁ!ち、誓う!誓うよ!!」
 
 許しの言葉に顔一杯に喜色を浮かべて笑顔になる姿は到底、半世紀を生きてきた男とは思えない。けれど、そんな夫にベタ惚れな私にとって、それは例えようのない魅力に見えてしまうのだ。それが自分でも夫に甘いと思う原因であると自覚しても、この嬉しそうな笑顔には逆らえない。もっとそんな顔が見たいとどうしても思ってしまうのだ。
 
 ―ま、まぁ…女にとって何時までも子供っぽい男と言うのは、どうしても母性本能を擽られてしまうものなのだから。
 
 古今東西、駄目な男に弱い女と言うやつが絶えないのはこの母性本能の所為だ。俗にダメンズウォーカーと呼ばれる女性達の多くは、この感情ゆえに苦しんでいるのだろう。…まぁ、私の夫は二人っきりの時以外は立派に仕事をしているらしいし、人望も厚いらしいので駄目男とは呼べないだろうが。うん。そのはず。だから、私はダメンズウォーカーじゃない。
 
 ―そんな風に思った瞬間、私の後ろからぎゅっと大きなモノが被さってきた。
 
 「こ、こら…!!もう二度としないって…!!」
 「スキンシップだって。もうそろそろ完成するんだし、別に良いだろ」
 「ぐぐ…!!」
 
 確かに夫の言う通り、そろそろ成形も終わる時期だ。納得いかなかった部分の修正も粗方、終わったし、軸もしっかりと通っている。頑丈さも程よい感じで、固まれば何十本と木を切り倒せる斧になるだろう。正直、このまま放って置いてこれから先の作業は明日に回しても良いくらいだ。けれど、やっぱり気に入らない部分はまだ幾つか残っていて、それが私の職人としての喫線にどうしても触れてしまう。
 
 「それに…ここ最近、構ってやれなかったし」
 「あ…♪」
 
 耳元で優しく囁かれて、そっと頭を撫でられるだけで私の背筋がブルブルと震えてしまう。ほぅと刀身とは別の意味で熱い吐息を漏らして、下腹部がきゅんと唸ってしまった。たったこれだけで『スイッチ』が入ってしまう自分の身体が何処か恨めしいが、これはもう本能だから仕方ない。愛しいオスを求める魔物娘の本能に逆らえるはずが無いのだ。
 
 「ん…♪で、でも…もうちょっと待って…もうすぐ…後、もう少しだから…っ♪」
 
 欲求不満に火が点いたとはいえ、やっぱり中途半端な仕事はしたくない。出来るだけ早く終わらせようと私はそっと身を捩る。しかし、夫はそんな私を逃がさないと言わんばかりにぎゅっと抱き締めて離さない。私の腕の三倍はあるだろう逞しいものでがっちりと挟んで身じろぎ一つ許してはくれない。そして、そんな窮屈なまでの拘束が、セックスを想起させて、じゅんっと私の股の奥を暖かくしてしまうのだ。
 
 ―うぅ…なんて弱い女なんだろ…。
 
 抱き締められるだけで、発情してしまう淫らな自分。そこまで夫に心惹かれていると思えば私の胸を暖かくしてくれる利点ではあるが、あっさりと誤魔化されてしまう自分もいるのだ。セックスは嫌いではないし、夫の事は勿論、愛しているけれど、一人の女として簡単に誤魔化されてしまうと言うのは宜しくない気がする。
 
 ―…まぁ…抵抗しても無駄と言えば無駄なんだろうけど……。
 
 魔王の代変わりの影響を受けて、サキュバスに変わったドワーフは皆、一様に『ロリロリしい』外見をしている。魔物娘の中でも幼い姿をしているアリスの半分程度しかない身長ではどんな抵抗をしても夫からは逃げられない。どれだけ激しく交わっても痛みすら感じない頑丈さはあるものの、精神まではその範疇ではないのだ。夫の体温と微かに香る汗の匂いであっさりと心を崩して、私はまた甘い吐息を吐く。
 
 「じゃあ…其の間、話を聞いてくれるか?」
 「ふわぁ…♪は、話…?」
 
 甘えるような言葉に鸚鵡返しのように聞き返すと、そっと夫の腕が私の頭を撫でてくれた。無理矢理、甘やかすようなそれは夫なりの訴えである。元々、様々な荷物を抱えて生きてきた夫は甘える前にこうして私に過剰なスキンシップを求めてくるのだ。まるで期待だけを背負わされてきた少年時代を払拭しようとするようにそのスキンシップは見境無く、子供っぽい。しかし、外では立派な男として通っている夫がこうして私だけに甘えてくれると言う優越感に私の心はビリビリと痺れて、彼に対して甘くなってしまうのだ。
 
 「ん…良い…けどさ…♪でも…」
 「有り難う。で、話なんだが…」
 
 ―はぁ…♪また悪戯するつもりなんだね…。
 
 無理矢理、遮る夫の言葉に内心、小さく溜め息を吐いてしまう。こうして私に甘える時の夫は悪戯小僧そのもので、何を試しているのか様々なちょっかいを出してくるのだ。髪を弄られるのであればまだ優しい方で、胸やアソコを弄られて、蕩けさせられる事も少なくない。仮にも甘えようとしていると言うのに、そんな態度はどうなのかと何度も叱ってやろうと思ってはいるのだ。けれど、その度に快楽で頭が真っ白になって頭の隅の方へと追いやられてしまう。
 
 ―で、でも…今日こそは…っ!!
 
 「ひぅんっ♪」
 
 そう決意した瞬間、私の服の中に割り入る様に大きな手が入り込んでくる。元々、男を誘うように下腹部を露出した衣服を着ているのだ。麻色のシャツを結びつけるように皮製のベルトを巻いているが、そんな格好で成人男性の手を阻める筈もない。そして、殆ど抵抗らしい抵抗を見せないまま、侵略者を受け入れた私の衣服の中でもぞもぞと夫の手が動き、小さな胸を揉みしだくのだ。
 
 「んくぅっ♪」
 「それで…さ。俺としてもやっぱり…例の件もあるから、何とかしてやりたいんだが…」
 
 快楽を必死で堪えようとする声が私の口の端から漏れ出るが、そんな事もお構い無しに夫は言葉を続ける。その幾つかは頭の中に入れているが、半分以上は背筋をビリビリと痺れさせる快楽によって抜け落ちてしまっていた。何十年と添い遂げた夫は既に私がどうすれば感じるのなんて熟知しているのである。不器用な手をこういうときだけ器用に動かして、ふにふにと何の膨らみも無い胸を揉みあげていた。
 
 「でも…あんまり介入するとそれこそ怪しまれちゃうだろ。だから…悩んでいるんだが……」
 「ひ…んっ♪」
 
 言葉を羅列させつつも、夫の手は止まらない。胸を中央に寄せるようにして肉を集めてさわさわと揉み解すのだ。けれど、その頂点にある桃色の突起には決して触れてはくれない。多分、焦らしているのだろう。実際、胸全体から感じる快楽よりも乳首の先から感じる甘い疼きに腰を震わせて、夫の方へと体重を掛けてしまう。まるでもっとして欲しいと身体を預けるような仕草に私の脳裏は危険性を訴えるものの、既に堕ち始めている私の身体は抵抗の意思も見せようとはしない。
 
 「かといってこのまま放置するとマジで死んでしまいそうだしな。それを見ているあの子の方も辛そうで…」
 
 そして、夫に向かって身体を差し出すようにして反り返った私の胸を夫の手は無遠慮に這い回る。きゅっと谷間を無理矢理、作ったかと思えば、乳首の周りを摘むようにして引っ張るのだ。その上、乳輪を捻るようにして指の間で転がされれば、弾ける様な快楽が走って私の身体はきゅっと縮こまってしまう。
 
 「ん…?どうした?体調でも悪いのか?」
 「この…ふあぁっ♪♪」
 
 私が今、どんな状態なのか誰よりも良く分かっているだろうに、意地悪に聞いてくる夫をきっと睨んだ。ついでに調子に乗っている夫を叱責しようと口を開いたものの出てくるのは快楽の声だけ。きっと睨みつけてるつもりの視線も甘く蕩けたものに変わっているのだろう。胸と子宮の奥からドロドロと欲情が湧き出て止まらない感覚は身体だけでなく、心まで夫の愛撫に屈している事を示していた。
 
 「体調が悪いなら『相談』はまた次にするけど…」
 「うぅ……」
 
 きっと『また次』と言えば、夫はペッティングをここで中断するだろう。しかし、ここまでされておいて『また次』なんて正直、耐えられない。話をすると言いつつ、悪戯する夫を叱らなければいけないとは理解してはいるものの、身体だけでなく心までも着いていかなくなっているのだ。既に焼けぼっくりに火が点いてしまった私の身体の奥では止まらない疼きが駆けずり回り、奥の方から愛液が止まらなくなってしまっているのだから。
 
 「良い…から…!このまま…『相談』して…っ♪」
 
 結局、ガチャンと手に持つハンマーを落として、今回も夫の愛撫に屈してしまった。そんな私に嬉しそうに微笑みながら、夫の手がもぞもぞと再び動き始める。しかし、それはもうさっきまでの遠慮のあるものではない。私の小さな肢体の中でも特に感じる敏感な乳首をクリクリと指の間で転がして弄ぶようなはっきりとした愛撫になっているのだ。それに少しの間とは言え、焦らされていた乳首が悦び、震える。ピクピクとその先を夫の手に押し付けるようにして蠢く器官は既に私の意思を離れて、快楽だけを貪ろうと必死になっていた。
 
 ―…いや…違う…かもね…♪
 
 快楽を貪ろうと必死になっているのはクリクリと指の間で転がされている乳首だけじゃない。今にも零れそうになっている愛液を堪えるように摺り合わされている内股はその微かな刺激にも甘い痺れを感じている。後ろへと反り返った背筋もさっきから甘い痺れが走り続けて止まらない。情けなく開かれた口からは唾液と共に快楽の声が溢れて、それがまた私を被虐的に追い込んでいた。まるで全身で快楽を感じているような感覚は、そのまま全身で快楽を求めているようにも感じられる。
 
 「ひぁあんっ♪♪」
 「それで…俺としてはまたここで手を貸すか、それとも解決を二人に任せるか悩んでるんだけど…さぁ」
 
 そんな私の乳首に小さく爪を立てながら、夫の手は激しく弄り始めた。成人女性の半分以下しかない私の乳首は勃起しても豆粒程度しかない。しかし、そんな私の乳首を弄り慣れている夫にとって、それは然したる障害ではない。椅子一つ上手に作れないくらい不器用な癖に、私の身体を弄る事だけは熱心に繰り返してきたのだ。数え切れないほど私に仕込まれた果てに、私自身よりも弄るのが上手くなった指は私の弱点を的確に突いて、膣奥から愛液を溢れ出させている。
 
 ―くぅぅ…っ♪こ、こんなぁ…ぁ♪
 
 夫の指は甘く、そして激しく私の弱点を射抜き、既に陥落した思考が快楽でグズグズに崩れていくような感覚さえ味わってしまう。脳髄はビリビリと痺れて、快楽を感じる器官に成り下がるようなそれは私にとって馴染みのあるものだ。しかし、馴染み多いとは言っても、夫専用の『メス』に堕ちていく感覚は私の背筋に甘い痺れを走らせて止まらない。これから新しい自分に生まれ変わるような独特の悦びを伴った快楽。それに私は身体を震わせながら、快楽に身体を身悶えさせた。
 
 ―あぁ…♪もっと…もっとして欲しい…♪もっとしてあげたい…っ♪♪
 
 そして、貪欲な魔物娘としての本能を丸出しにした私に浮かび上がるのはそれら二つの言葉だけ。しかし、それら二つは方向性こそ真逆だが、根本は一緒である。その果てに求めているのはお互いに快楽であり、愛のあるセックスと言うのは一致しているのだ。それを省みれば…今の私は夫そのものを求めていると言い切って良いのかもしれない。
 
 ―もっと下も触ってぇ…♪オチンポ触らせてぇっ♪ペロペロさせてねっ♪♪
 
 けれど、今も尚、続く夫の『相談』を中断させるわけにはいかない。悪戯すると言う事は何かしらの返答を求めているわけではないだろうが、夫が口にする事はそれなりに悩んでいるのは事実だろう。普段は変な悪戯こそするものの、基本的に彼は独り立ちした立派な男性である。こうして悪戯する姿からは想像も出来ないが、多少の事ならば一人でさっさと解決出来る程度の能力を持っているのだ。それを私に甘える方便と言う側面もあるとは言え、相談してくる時点で、どれだけ夫にとって重大なものか察するに余りある。
 
 ―したいぃ…♪したいよぉ…♪ペロペロしたい…オチンポじゅぼじゅぼしたいぃ…っ♪♪
 
 しかし、完全に火が着いてしまった本能を抑えるのもそろそろ限界に近づいてきていた。もう私の脳裏には夫の言葉の八割が届かず、内から響く純粋な欲求にばかり目が行ってしまっている。頭の中はちょっとだけ塩っぽい肉棒の先端を虐めて先端から漏れ出るカウパーを舐める事や、膣肉を思いっきり押し広げられ、子宮まで一杯にされる独特の被征服感で一杯になり始めていた。快楽でグジュグジュになった脳髄からは甘い痺れが止まらず、汁が溢れて止まらない。
 
 「ふあぁぁぁっっ♪♪」
 
 さらに追撃をくれるようにして夫の手が私の乳首をギュっと胸へと押し込んだ。それは本来であれば乳肉がクッションとなって衝撃が分散されるのだろう。しかし、そんな肉なんて殆ど着いていない私の胸は衝撃を逃がす場所も無く、肋骨との間でぎゅるりと乳首が潰れるのだ。クリトリスを彷彿とさせるくらい小さな乳首が爪と肋骨との間で押しつぶされる感覚は紛れも無く今までで一番、鮮烈である。思わず逃げるようにして身を捩るほどの悦楽に私の口からは幾つもの嬌声が湧き出てしまった。
 
 「…ちゃんと聞いてくれてるか?」
 「き、聞いてりゅっ♪聞いてるからぁっ♪♪」
 
 意地悪な夫の言葉に必死で応えつつも、私の我慢はいい加減、限界に近づいてきていた。それも当然だろう。今までお互いに忙しく、普段よりも交わりの時間と言うやつが減っていたのだ。それに欲求不満を燻らせていた上に、この意地悪で甘い仕打ちである。元々、我慢強いとはお世辞にも言えないが、あっさりと快楽に陥落したのはそれらが原因だろう。しかし、陥落したといってもこの程度ではイく事は出来ない。夫のオチンポで開発された私の身体はもう夫のオチンポ無しじゃイく事も出来ないのだ。自然、溜まり続ける快楽が欲求不満を今も滾らせ、抑え込められた内側でその圧力を高めていっている。
 
 「じゃあ…さっき俺が何を言ってたか言えるか?」
 「そ、そんなぁぁっ♪」
 
 意地悪な夫の言葉に応えられるはずが無い。だって、私はもう快楽を堪えることに必死でその言葉の殆どは素通りしているような状態だったのだから。頭の中はセックスと夫の事だけで埋め尽くされたケダモノに堕ちてしまっているのである。それは私を見下ろす夫も分かっている筈だ。だから…これは元々、応えられるとは思っていない問いであろう。しかし…だからと言って焦らすように止められた手を我慢することなど出来ない。
 
 ―あぁ…もう…っ♪もう駄目ぇ…♪♪
 
 本当はずっと我慢してあげたかったのである。けれど、溜まり続けた欲求不満はもう内側には収まりきらなくなってしまった。重石ごと吹き飛ばすような勢いで弾けたその大きな衝動は私に制御など出来るはずも無く、一気に身体中に広がる。そしてそれらが私の身体を一つの目的へと動かし、だらりと落ちていた腕は身に着けていたグローブを乱暴に引き剥がした。そのまま、そっと背中に回り、夫の股座を弄り始める。
 
 ―ジィィィィ
 
 「う、うぉ…!!」
 
 夫が驚いた声をあげるけれども、もう遅い。もう私は完全に『スイッチ』が入ってしまったのだ。快楽を求める思考は止まらず、夫のズボンのジッパーを下げたとしても、その上、下着を通過してオスの弱点であるオチンポを握ったとしても収まる気配が無い。寧ろ、反撃されるとは思っても居なかった可愛い夫に少し『現実』というモノを教えてあげようと既に硬くなった幹にゆっくりと焦らすように指を這わせるのだ。
 
 「あは…♪アンタだって…もうこんなに大きくしてる癖に…♪」
 「う…」
 
 するすると細い指先で裏筋を撫でてやるとそれだけでピクピクと震えて反応してくれる。そんな愛しいオスの逸物に淫らな笑みを浮かべながら、私はそっと舌を突き出した。
 
 「ほりゃ…きしゅも忘れてる♪…ちゃんと『教えて』あげたでしょ…?」
 
 誘うような言葉と淫らな微笑みに既に興奮の色を灯している夫が我慢出来るはずが無い。カッと怒りと欲情を瞳の中で燃え上がらせて、私へと覆いかぶさってくる。勿論、接近した二つの唇は触れ合い、誘うように突き出した舌を夫がじゅるりと唾液塗れの口の中へと引きずり込む。そのまま唇を窄めて、ちゅるちゅると扱き上げるが、既に理性を吹き飛ばした私には及ばない。
 
 ―ふふ…♪必死になっちゃってさぁ…可愛い子…♪
 
 甘んじて夫の愛撫を受け入れ、目を閉じる私には余裕さえあった。勿論、夫の愛撫はとても気持ち良く、粘膜を扱かれる感覚はセックスそのものを思い出すような甘いものである。しかし、不器用な夫は片方に集中すると片方が疎かになる傾向にあるのだ。負けず嫌いの夫はこうして挑発してやればキスで陥落させようと必死になるだろう。無論、その間も時折、思い出したように胸を弄るが、今までのような連続した快楽の波には程遠い。そして、疎かになった胸の愛撫の分、私は余裕が出来るという訳である。
 
 ―何より…夫に性技のイロハを教えたのは私…♪
 
 舌の動かし方や女の悦ばせ方、射精の我慢の仕方や腰の動かし方まで。夫の技の全ては私との実践のみで磨かれた数々である。無論、さっきはそれで蕩けさせられた訳だけれど欲情を我慢しなくてもいいとなれば話は違う。身体をテラテラと炙るような淫らな熱がどれほど高まろうとも、夫の次の動きが私には予想できるのだ。そのアドバンテージは事、セックスと言う方面では大きい。気構え出来ている快楽と、そうでない快楽では天と地ほどの差があるのだから。
 
 ―まぁ…キスも大好きなんだけどね…♪
 
 キスには子宮をオチンポで一杯にされるのとはまた別の充足感があるのだ。愛されている実感と言うか、愛している実感と言うか。奉仕している感覚と奉仕されている感覚が混ざり合う言い知れない実感は私の貧弱な語彙では中々、表現することは出来ない。しかし、セックスと同じ位キスが心地良く、大好きなことだけは確かで、私の心はドロドロとした甘い熱に満たされ始めていた。
 
 「ん…ひゅぅ♪」
 
 くちゅくちゅと必死になって舌を扱き上げる夫に向かって、私もまた舌を突き入れる。さっきまで無防備だった筈の粘膜がいきなりきゅっと先を硬くして反抗し始めた事に夫がビクリと震えた。歯を食いしばるようにして私の進入を拒む彼の脳裏には今までのセックスの経緯が思い出されているのだろう。お世辞にも器用とは言えない夫と、ドワーフである私ではセックスの技術でも天と地ほどの差があるのだ。こうして粘膜同士を擦れ合わせるインファイトではどうしても私に軍配が上がる。
 
 ―さぁ…覚悟しなさい…♪今日もまた…一杯、教えてあげる…♪♪
 
 その言葉を胸に私の舌はちゅるちゅると夫の口腔を這いまわる。まずは唇の裏側だ。口内炎などが出来やすいその部位をまるで洗うようにして舌を立てて磨いていく。本当はここで匂いを着ける様にして私の唾液を刷り込んであげたいのだ。けれど、下から見上げるようにして舌を突き出しているので、こっちの唾液を送り込むことは出来ない。代わりに夫の歯の間から零れ落ちる唾液を舐め取って刷り込んでいるけれど、どうにも欲求不満なのは変わらなかった。
 
 ―じゃあ…その分はこっちに求めるしかないよねぇ…♪
 
 くちゅくちゅと唇の内側をしつように責める私の手もまたそっと夫の幹を扱き始める。勿論、それはゆっくりと優しいものだ。触れるか触れないかの位置から私の手三つ分の大きさはありそうな大きな逸物をたっぷり三十秒は掛けて撫で上げる。恐らく今の夫は焦らされているとも言えないような微かな刺激に内心、身悶えしていることだろう。キスに集中していた視界をそっと開ければ、快楽とも苦悶とも言えない独特の表情が目に入った。
 
 ―あはぁ♪腰震えてるよ…♪そんなに気持ち良いのかい…♪♪
 
 オチンポを撫でる愛撫とキスだけで夫の腰はもう震えてオネダリをするように前後に動き始めていた。それは恐らく無意識の動きであるのだろう。基本的にプライド高い夫が自ら敗北を認めるような動きを自主的にするはずが無い。けれど、そんな夫でももう抑えきれない程、メスを求める本能が大きくなっているのだ。そう思うと私の中のメスの部分が疼いて、今すぐこの剛直で子宮まで貫いて欲しくなってしまう。
 
 ―でも…ねぇ…♪
 
 欲求不満を燻らせている女にあんなちょっかいを出したのだ。基本的に温厚な私とは言え、悪戯分のお返しをしないと気が済まない。そう考えながら、私の舌は歯茎の方へと向かう。唇の内側と同じくらい敏感で、歯を支える重要な粘膜たちを慰撫するように一つ一つ丁寧に舐め上げるのだ。勿論、その間も唇を窄めたりして夫は反撃しようとしているが、この程度で既に堕ちている私が怯むはずがない。どれだけ夫が技術を持っていようとも私はドワーフ。魔物娘なのだ。セックスの技術では私に一日の長がある。
 
 ―そもそも…奥に引きこもっている時点で負け確定だよ♪♪
 
 幾ら敗戦濃厚とは言え、篭城するだけで勝とうとするのは無理だろう。篭城と言うのは援軍と言う奴があって初めて勝つ道が見つけられるものだ。しかし、夫の援軍たる手は今や殆ど動いておらず、その意味を成していない。それなのに篭城と言う選択肢を選ぶと言う事は私に貪られるだけの餌に成り下がるものでしかないのだ。
 
 ―それとも…それがお好みなのかい…♪♪
 
 教団の支配地域で暮らしてきた夫は勿論、童貞であり、セックスのイロハを教え込んだのは私である。その過程でどうしても女性上位になる事が多かった。別に私自身、どっちでも美味しく頂けるタイプなので特にこだわりは無かったが、その過程が夫の嗜好に何かしらの影響を与えているのかもしれない。少なくとも私とのセックスが夫の弱点を開発しているのは確かなのだろう。
 
 ―それだったら…『責任』とってあげないとねぇ…♪
 
 そんな事を考えながら、私の指が何度目かになる亀頭へと到着した。既に真っ赤に晴れ上がっているのだろう。手に伝わる熱はもう溶けてしまいそうなくらい激しい。射精寸前のあの独特の蕩けるような熱を思い出させる肉棒にキュンと子宮の奥を疼かせつつ、私は右手をそっと夫の亀頭へと被せた。
 
 「うあぁぁ…っ!!」
 
 そのまま触れるか触れないかの位置でくるくると手で円を描く。まるで亀頭の先を磨き上げようとするような動きだが、浮き上がった手は決定的な刺激にはなっていない。幹よりもさらに敏感な亀頭を焦らすような行為が続いているのだから溜まったものではないだろう。思わず苦悶のような声をあげる夫の先端からはゆっくりとカウパーが溢れていた。
 
 ―でも今は…っ♪
 
 そんな夫のオチンポをさらに責め立てたい気持ちはあったが、これはチャンスである。そう思った私は声を上げるために僅かに開いた歯の間に舌を滑り込ませた。それに夫が驚いたように身体を硬くしたがもう遅い。既に歯の内側に入り込んだ私の舌はより敏感な口腔の粘膜を這い回って、蹂躙を始めるのだ。普段、誰も触らない上の部分から舌の付け根の部分まで。けれど、舌そのものには触らず、くちゅくちゅと淫らな音をかき鳴らして、唾液を刷り込んでいく。
 
 ―ふふ…っ♪悦んでる悦んでる…♪♪
 
 敏感な粘膜を思う存分、舐めまわされる感覚に私を抱き止める夫の腕にぎゅっと力が入った。それは恐らく快楽を堪えるための仕草であったのだろう。けれど、今更、そんなもので何とかできるほど私の技は甘くない。既に本丸にまで入り込んでいるのだ。陥落までは時間の問題と言った所だろう。
 
 ―でも……そう簡単に堕ちてもらうと面白くないね…♪
 
 このまま責め立てて夫をギブアップさせるのは簡単だ。既に口腔内は堕ちたも同然であるし、オチンポもまた快楽を欲して揺れている。両者とももう少し強めに刺激してやれば、夫のギブアップ宣言が聞けるだろう。けれど…それでは面白くないのだ。簡単に追い詰めてギブアップなんて…許されるはずが無い。別に夫の事を嫌っているわけではないけれど、さっきの事はそれなりに私も怒っているのだから。
 
 ―だから…お仕置きしてあげるよ…♪
 
 そんな思いを胸に私はそっと舌の動きを鈍くした。今までのクリクリと舌先を立てて粘膜を洗い立てるような動きから、ただ舐めるような動きへ。べったりと唾液を貼り付けた舌をただ触れさせるだけの愛撫は恐らく今の夫にとっては物足りないに違いない。敏感な部分を敢えて弱く刺激されると言うのもそうだけど、ついさっきまで激しく刺激されていたのだ。その落差が夫の心をじわじわと削り、プライドの間で格闘しているのが薄目越しでも分かる。
 
 ―ふふ…っ♪でも…それだけで許すはずないよねぇ…♪
 
 一気に弱めた舌の攻勢に従うようにして亀頭を撫でていた右手を幹の方へとそっと戻す。勿論、そこで繰り返すのはさっきの優しすぎるくらいの愛撫だ。するすると幹と着かず離れずの距離を保つその愛撫にビクンっと不満げに剛直が揺れる。しかし、今の私はそう簡単に許してあげるつもりはなく、そのまま愛撫を続行した。
 
 ―どう…?弱い刺激でゆっくり堕とされていく気分は…♪♪
 
 快感とも言い難い弱い刺激を繰り返されるのはプライドや意地というモノを鑢で削るような感覚に繋がるのだろう。そしてプライドや意地の削りカスが焦燥として心の中に溜まっていき、マトモな思考能力も奪うのだ。その証拠に刺激が弱まっている今が反撃のチャンスだと言うのに夫の手はまるで動く様子が無い。抵抗らしい抵抗も見せず、まるで木偶のようにして私の愛撫を従順に受け入れていた。
 
 ―ホント…可愛い子…♪
 
 私の愛撫を受けて、ぎゅっと瞳を閉じて身体を縮こませる夫の姿にどうしてもそんな感情が絶えない。元々、齢60を超えているとはとても思えない姿をしている上にかなり童顔気味なのだ。何時までも全盛期のまま保たれている肉体は17か18くらいにも見える。出会った時期から殆ど変わっておらず、少年とも言えるであろう夫がそんな顔をするとどうしても母性本能を擽られてしまうのだ。
 
 ―でも…許してあげないんだけれどね…♪
 
 湧き上がる母性本能は確かにあるものの、さっきの償いはまだまだ終わってはいない。愛情を伴った暖かい感情の波は今すぐ許してあげたいと言っているが、それ以上に怒りの感情が収まってはいないのだ。相変わらず、簡単に堕とすつもりも、イかせてあげるつもりはなく、私は微弱な愛撫を繰り返していく。
 
 「う…うぅぅ…う…うぅ…!」
 
 そんな私の意図に気付いたのだろうか。火の点いた身体を覚まさない程度の微弱な愛撫だけを繰り返す私の上で夫が小さく呻き声を上げた。再び薄目を開けてそっと見上げればその顔には苦悶と共に悩むような色が現れている。恐らく、今の夫の中では強い葛藤が起こっているのだろう。しかし、まだまだどっちに着く事も出来ず、心が割れているのが見て取れた。
 
 ―ふふ…♪そうやってたっぷり悩めば良いよ…♪
 
 しかし、同情の気持ちはそれほど沸かない。私だってさっきはとても葛藤し、悩んだのだ。結局、あっさりと負けてしまった訳だけれど…それでも私ばかり悩んでいたのは不公平ではないか。私の葛藤の張本人でもある夫がのほほんとしているよりはこうして苦しんでくれたほうが私の気も晴れる。
 
 ―まぁ…痛い事は趣味じゃないんだけれど。
 
 こうやってするのも、逆にされるのも好きだけれど、だからと言ってあんまり激しくて痛いのは趣味じゃない。ドワーフは確かに頑丈だけれど、だからと言って痛みを悦ぶかと言えばそうではないのだ。夫との交わりは子宮ごと内臓を持ち上げられるような激しい感覚を味わうけれど、それだって痛みは無く快感と言う要素が強い。勿論、逆も然りで仕返しとは言え、痛い目をさせるのは私の趣味とは一致しないのだ。
 
 ―だから…快楽でたっぷり責めてあげるよ…♪
 
 気持ち良くて、気持ち良くて、もう他の事なんてどうでも良くなるくらい追い込んであげよう。その決意を胸に私の指がさわさわと蠢き、舌が触れる。共に夫の弱い部分に触れ合うそれにいい加減、夫も我慢出来なくなったのだろう。奥へと引っ込んでいた舌をゆっくりと突き出して、私の粘膜を誘うように突き始めた。
 
 ―あはぁっ♪♪
 
 それは夫の事実上の敗北宣言も同じだろう。本当はこれから先のセックスに対するイニシアチブも握りたかったであろう夫がまるでオネダリするように舌を突き出してきたのだから。必死に遊んで欲しいと纏わり着く子供のようなその舌に胸をキュンと疼かせながら、私の舌も受け入れるようにして絡み合う。
 
 ―ふわぁ…っ♪気持ち良い……っ♪
 
 夫の唾液塗れになった二つの粘膜。それらが絡み合う感覚は私にも大きな快楽として跳ね返ってくるのだ。大好きなオスとの交歓なので当然と言えば当然だろう。内心、ずっと望んでいた淫らで甘い感覚に私の視界はすぅっと遠くなっていく。ふわりと蕩けた脳髄から何かが浮き出たと思った瞬間、私の下腹部に今まで以上の疼きが走ってビクリと大きく震えてしまった。
 
 ―軽くイッちゃったぁ…♪
 
 子宮から甘い疼きと共に全身に快楽が波及する。それは夫のオチンポで子宮まで一杯にされた瞬間の絶頂とは比べものにならない位軽く、小さい。しかし、それでも今までとは比べ物にならないほど気持ち良く、必死に舌を突き出して夫に絡み付いている私の脳髄をまたドロリと溶かした。
 
 「ん…ひゅぅ♪ちゅぅ…っ♪」
 
 そしてさらに蕩けた脳髄がもっと夫を貪れと、気持ち良くしてあげろと命じる。その甘くも淫らな指令に私は抗う術を持たない。今まで必死で押さえ込んできた蓋をあっさりと跳ね飛ばして、激しく夫に舌を絡め合わせる。まるでお互いにお互いを貪ろうとしているように淫猥で、激しく、一瞬の別離も許さないキスの応酬。それがまた私の背筋を震えさせて、軽いお菓子のような絶頂へと誘っていく。
 
 ―ん…あぁ…♪でも…足りないよ…っ♪
 
 しかし、どれだけアクメしたとしてもキスで至れるのは軽いものだけ。勿論、それは気持ち良いけれど、私はその『先』を知って、いや、刻み込まれているのだ。夫の太い剛直で子宮まで一気に貫かれ、内蔵を圧迫される感覚を味わいながらの激しい抽送。乱暴な中に優しさを灯す夫の腰使いでメスの最も大事な部分を蹂躙される被虐感。そして、子宮に直接、ザーメンを叩きつけられて、無理矢理、跳ね上がられるようなあの激しい絶頂。それらを何十年もの月日の間、毎日、味わっている私にとって、こんな軽いものは食前酒でしかない。
 
 ―欲しい…っ♪もっと欲しいよぉ…♪
 
 媚びるような色をその声に混ぜながら、私の身体はさらに後ろへと反り返って夫を押した。その意図を察したのだろう。普段は私の身体なんて片手でも受け止められる夫がそっと後ろへと倒れていく。まるで倒れこむような夫の身体はドスンと音を立てて、工房の床の上へと寝転がった。無論、夫へと重心も何もかもを預けている私も夫へと覆いかぶさるように仰向けになる。そんな私の背中に独特の熱を持った硬い棒が押し付けられ、私の背筋がまた震えた。
 
 ―もう…っ♪こんなに熱くして…っ♪
 
 夫の興奮の証を身近に感じるが、密着した状態ではそのオチンポを悦ばせてはあげられない。勿論、その小さな腰をふるふると振るえば気持ち良いだろうけれど、それだけでイかせてあげるのはあまりにも可哀想だ。折角、『敗北』してくれたのだから、私の気持ち良い部分でイかせてあげたい。そう思った私は名残惜しいとは思いつつも、そっと夫の口から舌を引き抜いた。
 
 「あ…」
 「あふぅ…♪」
 
 何処と無く残念な表情を見せる夫はそれだけ私とのキスに熱中してくれていたと言う事なのだろうか。ううん。きっとそうなのだろう。基本的に意地っ張りな夫がいきなり玩具を取り上げられた子供のような表情を見せると言うのはそれだけ追い詰められている証拠なのだから。
 
 ―あはぁ…♪嬉しいねぇ…♪それだけ…私を欲しがってくれるなんてさぁ…♪
 
 普段は引き締まっている意志の強い顔を物欲しそうに歪めて私を見上げる夫。世界広しと言えども、夫のそんな表情を知っているのはきっと私だけだろう。そう思うと女としての充足が心の中に広がり、同時にメスとしての欲情にさらに火が点いた。もはや自分でも抑えきれないまでに成長しているその欲情の波は私を一気に飲み込んで、私の身体を上下反転させる。仰向けになる夫の身体に向かって、起伏の無い御腹を押し付けるような体勢になり、私は再び夫の唇に貪りついた。
 
 「ちゅぅぅ…っ♪ふうぅんっ♪」
 
 甘い吐息で息継ぎを繰り返しながら、さらに遠慮無く、夫の口腔を貪る。くちゅくちゅと淫らな交わりのような音をかき鳴らしながら、今度は私が夫に唾液を流し込むのだ。その粘膜の中の隅々まで私色に染め上げようとしているかのように舌が暴れ廻り、蹂躙する。そんな私を止めようと夫の舌が絡みつくけれど、その動きはどうにも鈍い。
 
 ―まぁ…仕方ないよねぇ…♪
 
 暴君とも言えそうなほど暴力性を剥き出しにしているキスとは裏腹に私の手は密着した夫のモノに触れているのだ。勿論、余りにも大きすぎる身長差の所為でその愛撫は亀頭にだけ集中する不完全なものである。しかし、長い間、焦らすような愛撫を受けてきた夫にとってはそれで十分すぎるのだろう。ビクビクと先端を震わせながら、美味しそうなカウパーを後から後から漏らしている。
 
 ―ふふ…っ♪それじゃあ…このカウパーでもっとくちゅくちゅしてあげるよ♪♪
 
 まるでオネダリするような夫の先走りをそっと指で掬って、亀頭の先にある鈴口へと刷り込んであげる。時折、ちょっとだけ爪を立てて、穿ってあげるのも良いらしい。その度に大きく身を震わせて先端からまたカウパーを吐き出しているのだから。そんなカウパーを掌で受け止めて、別の手で亀頭の下にあるカリ首をコリコリと撫で回す。
 
 「う…あぁぁぁ…っ!」
 
 まるで無理矢理、亀頭を洗うような激しい愛撫。それはさっきの焦らすとも言えないような愛撫との落差を伴って夫の思考能力を奪っているのだろう。さらに鈍くなった舌の動きだけでもそれは容易に察することが出来る。元々、そこは何時間も掛けて唾液とカウパーでドロドロに染め上げた事もある部分なのだ。私によって念入りに開発されたその部分はちょっとの刺激で先端からカウパーを溢れさせる。そんな所を刺激されて、夫がマトモで居られるはずがないだろう。けれど、そこでとまってやるほど、今の私は甘くない。もう我慢も何もかもを投げ捨ててオスを貪ろうとするケダモノに堕ちているのだ。その先にあるであろう淫らで甘美な交わりに向かって一直線に進んでいくだけである。
 
 ―ほぉらほらぁ…♪あんまり下ばっかり集中してると…こっちも危ないよぉ♪
 
 オチンポから感じる快楽の所為で杜撰になっていく夫の舌を叱責するように私の舌先がつんつんと突いた。それに少しばかり正気に戻ったのだろう。また私の舌へと唾液を塗りこもうと夫の舌が動いた。円を描くようにして私の舌を全方位から刺激しようとするそれは、やはり気持ち良い。また軽い絶頂へと押し上げられるのを感じながら、私はじゅるじゅると一気に夫の口腔を啜った。
 
 「っっっ!!」
 
 まるで何もかも奪い取られるような激しいそれに夫の身体が小さく跳ねた。まるで電流でも流れているかのような動きはそれだけ感じてくれている証なのだろう。そう思うと私のメスは余計に止まらなくなって、夫の口腔へ代わりの唾液を送り込んだ。身体の奥底から無理矢理、自分の物にして染め上げようとするその動きに夫の舌はまた一つ鈍くなる。まるで陸に打ち上げられた魚のようにしてピクピクと震えるだけで殆ど蕩けてしまっているのだ。
 
 ―ふふ…♪もうお仕舞かい…♪
 
 我慢している女に手を出して、欲求不満に火を点けてのこの始末。ある種、情けないとも言える夫の様子だが、私の心の奥底には暖かい物が満ちていく。愛しているオスがそれだけ自分で感じてくれていると言うのが嬉しいのだろうか。愛情と欲情が折り重なったそれはもう私にも判別のつかないものになっていた。しかし、次にやりたい事だけはしっかりと決まっていて、無防備な夫の舌に向かって、私はドロドロの唾液を刷り込んでいく。私が開発したその敏感な舌先を重点的に嬲るような動きに夫の背筋がまた震えた。
 
 ―うふふ…どう…♪美味しいだろう…♪
 
 以前、夫が言っていたが、私の唾液はとても甘い果汁のようなものらしい。その上、粘膜に触れるだけで熱くなって止まらない媚薬のような性質も持っているそうだ。毎日、それを感じている私にとって自覚がない事ではあるが、セックスに特化した魔物娘でもあるので、そんな事もあるのかもしれない。まぁ…それ以上に夫が私を愛してくれているから美味しく感じる…と言うのだと嬉しいんだけれどね。
 
 「ぷぁぁ…っ♪ちゅう…っ♪」
 
 そんな事を考えながら、キスをしている最中にも夫の肉棒を責めている私の手は止まってはいない。グリグリとグチョグチョと唇にも負けない淫らな音をかき鳴らしながら、細い指先が別々に動いて夫を責め立てているのだ。その度に夫の腰は震えてオネダリするように私に向かって突き出される。それを掌でそっと受け止めながら、亀頭の周辺を磨いてあげるだけで夫の口からは快楽とも苦悶とも取れる声が響いた。割りと強めに刺激しているので案外、その両方なのかもしれない。
 
 ―さぁ…こっちはどうしてあげようかねぇ…♪
 
 このままイかせるのは割りと容易い。このまま激しく強くしていけば、夫は何れイってしまうだろう。しかし…こうしてキスをしている分、その刺激はどうしても普段よりも弱いものになりがちだ。普段はこの器用な指先だけでなく口を使って、精液を搾り出しているのである。主に交わりに向かっての前菜にあたるその行為は夫も私も大好きで、焦らし続けてからのフィニッシュから、一気に責め立てるまで全て経験済みだ。
 
 ―それに比べると…このままじゃどうしても味気ないだろうし…♪
 
 別に常に新鮮さを求めているわけではないだろうが、流石にキスをしながらのおざなりな愛撫でイかせてあげるのは可哀想だ。私としても折角の一発目であるのだし、中途半端なものではなく最高の快楽を与えてあげたい。でも、夫を染め上げるような激しいキスを止める気にはどうしてもなれず、私の心は完全に左右に割れてしまった。
 
 ―こんなに私を悩ませるなんてね…憎い人だよ…♪
 
 しかし、どの道、キスを止めなければこの先には進めない。私と夫の身長差は幼児と大人レベルにまで開いていて、キスと共にセックスするなんて夢のまた夢なのだ。別に自分の子供にしか見えない体型や身長を恨めしく思ったことは無いけれど、こういうときはやはりどうしても残念に思えて仕方が無い。サキュバスのようにボンキュッバーンな美女であればキスしながらのセックスだって難しくは無いのだから。
 
 ―まぁ、何かを妬んでも仕方ないね…♪
 
 どれだけifを思っても、夫とこうして出会っているのは今の私だ。そして、夫が好きになってくれたのもドワーフの私なのである。ならば、別の種族の事を思うよりは、私でもっと気持ち良くなってもらえるように努力しよう。そう考えて、私はそっと唇を夫から離した。
 
 「…んふゅ…♪」
 
 それに再び残念そうな顔を見せる夫に舌足らずな声と共にそっと微笑んだ。やはり魔物娘といえども長時間、キスを繰り返せば舌が痺れるものなのだろう。夫とキスをしている時には脳内麻薬でも溢れていたのかそれほど気にならなかったが、今は脱力した粘膜が思う存分に動かせなかった。夫と離れた途端に不調を訴える舌がどうにも自分らしくて、喜悦に満ちた感情がそっと胸の奥から湧き出てくる。
 
 「こんおはぁ…こっちをしてあげりゅねぇ…♪」
 
 舌足らずな声で宣言しながら、密着した私の身体はそっと離れていく。まるで騎乗位のような姿勢になった私はそのままするすると腰を後ろへと移動させて剛直の上に跨った。しかし、そのまま挿入せず、腰を抜けて夫の足の部分まで降りていく。夫のオチンポから顔までしっかりと見る事の出来る絶好のポジションを確保した私は、再び夫のオスの証に指を這わせて始めた。
 
 ―ふわぁ…やっぱりここ素敵…ぃ♪
 
 黒光りした逸物は既に凶悪的なまでの大きさと硬さを宿していた。指からも微かに伝わっていたが、こうして真正面から指を這わせるとまた格別である。今にも弾けそうな肉の蠢きや、指が弾けそうな淫らな熱。それらと相まって、夫のオチンポがまるで別の生き物のようにも感じるのだ。けれど、私の手では到底覆いきれない肉茎や、私の握り拳よりもまだ大きい亀頭。そして、私の顔よりも遥かに長いオチンポは間違いなく夫の最も気持ちの良い部分である。それが分かっているからこそ、こうして触れる私の指からは強い喜悦が伝わってくるのだ。
 
 「うああぁぁ…っ」
 「ふゅふ…♪ここじゅっと放っておいたもんね…♪」
 
 クリクリと根元を左手で揉み解すように揺らしながら、右手の中でコリコリの金玉二つを弄ぶ。男の中でも最上位に敏感な部分は扱いを一つ間違えてしまうと痛みしか感じさせないだろう。増して弄られる事に慣れていなければ快楽よりも恐怖が先立ってしまうはずだ。しかし、夫のオチンポに関しては私は既にベテラン。絶妙な力加減はしっかりと心得ていて、その独特の弾力を楽しむ余裕さえあった。そして夫の金玉はそんな私に何十年と弄られ続けているのである。恐怖よりも快楽を感じているのは明白で、薄皮越しに精液を蠢かせているのを感じた。
 
 「もうコリコリらない…♪しょんなに楽しみにしてたんらね…♪♪」
 
 たっぷりと白い白濁液を溜め込んでいるであろうそこはきゅっと竿の方へと引きあがっていて、粒粒の皮を晒している。射精前の脈動を思わせる震えが手からも伝わってきているし、その先の幹は硬く反り返って指が跳ね返されそうだ。恐らくそれだけ気持ち良くなってくれているのだろう。そう思うと私のメスはどうしても悦んでしまい、もっともっとと貪欲に快楽を与えようとし始めるのだ。
 その手始めにと私はそっと前屈みに身体を倒した。しかし、手が届く程度の距離でそんな事をすれば反り返った肉棒とぶつかってしまう。そうならない為に少し後ろに体を動かしながら調整し、私は夫の股座にそっと顔を埋めた。
 
 「ふわぁ……♪♪」
 
 そこはもう据えたオスの匂いで一杯になっている。鼻にツンと来る独特な匂いの群れに、思わずむせ返ってしまいそうだ。しかし、私にとってこの独特のオス臭さは興奮を掻き立てる材料でしかなく、じゅんと下腹部にまた熱いものが漏れ出す。そっと瞳を閉じて、スンスンと鼻を鳴らしながら吸い込むとそれだけで咽喉の辺りがきゅんと疼いて切なくなってしまうのだ。
 
 「しゅごい良い匂い…♪」
 
 勿論、夫の逸物の匂いは夫婦生活の良好な私にとって毎日、嗅いでいるものだ。しかし、何十年間の間、ほぼ毎日、嗅ぎ続けてきた据えた匂いはどれだけ嗅いでも慣れる事の無い。未だにこうして肺一杯に吸い込んでいるだけで身体が熱くなってしまうのだ。それも当然だろう。だって、私が夫に向ける愛情は何一つとして目減りしてなどいないのだ。ちょっぴり怒ったりすることはあるけれど、夫の事を本気で嫌いになった事など無い。そして、そんな愛しいオスのフェロモンをたっぷり塗したその匂いが私の鼻腔を擽っているのである。それに貪欲で淫らな私のメスが強い疼きを覚えないはずが無かった。
 
 「じゃあ…頂きま〜しゅ…♪」
 
 そしてその疼きが導くままに私は右手の玉袋をそっと口に含んだ。ジョリジョリと陰毛の感覚がこそばゆいが、それも夫の物と思えば悪くは無い。寧ろ敏感な口腔を擽られる感覚にビリリと甘い痺れを感じて、私の背筋がそっと戦慄いた。思わず歯を食いしばりたくなるのを堪えながら、小さな口を埋めた大事な部分を慈しむように愛撫する。
 
 「くぅぅ……!!」
 
 その刺激に夫は身体を丸めて、小さな呻き声をあげた。ぎゅっと瞑った目は快楽の所為か、大事な部分を食べれていると言う本能的な恐怖の所為か。夫本人ではないので分からないが、どっちもありそうな気がする。
 
 ―じゃあ…恐怖なんて忘れるくらい気持ち良くしてあげないとね…♪
 
 きゅっと唇を窄めて口の中の粘膜を全方位から押し付けるようにしながら舌先でコロコロと玉の奥にある精嚢を転がす。既に引き締まっていて、皺を襞へと変えているそこは唾液を塗すような愛撫にビクビクと震えて反応していた。昔は鈍感にも程があるような部位であったが、今の夫はこうしてオチンポを弄ぶととても悦んでくれる。それは私の教えの賜物だろう。その想いが湧き上がるのと同時に舌の先から熱いドロドロとしたオスの滾りがはっきりと感じられて私の下腹部にまた熱を灯す。
 
 ―あぁ…♪欲しいよ…早く…早くアンタのオチンポがオマンコに欲しい…っ♪♪
 
 口腔と言うオマンコにも近い部位をオスの証で埋め尽くされているからだろうか。さっきよりもはるかに強くなった疼きが私の頭の中でオネダリを繰り返す。けれど、それを表に出す訳にはいかない。確かにオマンコの奥にたっぷりと射精して欲しくて溜まらないけれど、抑制の果ての解放と言うのが私は大好きなのだ。この程度の疼きであればまだまだ我慢することは出来るし、まずは夫のオチンポを気持ち良くしてから本番…と言うのが良いだろう。
 
 ―それに…お口でザーメン飲み込んでからでも遅くは無いしねぇ…♪
 
 強い脈動の果てに吐き出された濃厚な子種汁が咽喉の奥に張り付いて、頭一杯にその味と匂いが広がる感覚。それはオマンコでは決して味わえないものだ。勿論、快楽と言う面で見れば、フェラよりも遥かに優れている訳だけれど、セックスの真髄は別に快楽だけではない。様々な要素が絡み合って、充実感や満足感と言うのが決まるのだから。
 
 ―そんな訳だから…早く射精してね…♪
 
 もごもごと口の中全部を使って玉一つを愛撫しながら、もう片方の玉袋もまたコリコリと指の間で弄ぶ。時折、爪を立てるようにしながら四方八方から転がすと、玉袋はきゅんと這い上がってドロドロのザーメンを蠢かせた。それどころか爪の先から跳ね返ってくる感覚は強い弾力に満ちたものへと変わり始めている。まるで危機を感じて、必死で次の世代を残そうとしているようにその精嚢の中は作りたての子種汁で一杯になってきているのだ。
 
 ―ふふ…可愛い…っ♪
 
 まるで許しを乞うようにザーメンを作り出している精嚢を手の中で転がして、さらに甘く虐めながら私は幹の方にも意識を向けた。混ざり気の無い金剛のような硬さを誇るそこは同じ『人』についている部位とは到底、思えない。私の作り出すどんな剣よりもしなやかで、硬く感じるその肉棒に私のメスがまたきゅんと唸ってしまう。思わず何もかも投げ捨てて犯して欲しいと望んでしまう位、逞しい逸物だ。見事としか言い様の無い太く大きな逸物を独占できる悦びで胸を一杯にしながら、私は幹に沿わせた左手もゆっくりした動きから激しい動きへと切り替えていく。
 
 ―ここを…こうしてあげるとぉ…♪♪
 
 親指で血管の浮き出た裏筋をそっと抑えながら、他の四つの指を縦横無尽に動かすとそれだけで夫のオチンポはビクビクと震えてカウパーを吐き出した。それを頂点に一番近い人差し指でそっと掬いながら、幹を先走り塗れにする。そして、夫自前の潤滑油を得た指の動きはさらに強く、激しくなっていき、無遠慮にオスの急所を弄び始めていた。弱点である亀頭を重点的に刺激するその動きに夫は溜まらず、背筋を跳ねさせる。
 
 ―うふ…♪我慢出来ないよね…っ♪♪
 
 元々、そこは弱点であった上に念入りに開発された部分でもあるのだ。指で、唇で、舌で、オマンコで、そして子宮で。ありとあらゆる性的な刺激を味わってきた亀頭周辺は夫のオチンポの中でも特に弱点と呼ぶに相応しい。その証拠に夫はその先を弄る度にとても可愛らしく反応して、時に背筋を跳ねさせるほど悦んでくれるのだ。
 
 「はあ…ぁぁっ!!」
 
 再びぐちょぐちょと亀頭を弄ると、腰を突き出して夫が応えてくれた。まるでもっともっととオネダリするような動きに私のメスがさらに止まらなくなっていく。じゅちゅじゅちゅとカウパーを指の間で弄んで淫らな音をかき鳴らしながら、夫の逸物を上下に扱きあげるのだ。勿論、力の配分も忘れてはいない。比較的敏感な付け根の部分や幹の部分、そして敏感な亀頭の部分で力加減を微妙に変える。少しだけ弱く、強く、そして弱くと三つに分けられた刺激は快楽の均一化が目的ではない。三つの違う刺激を異なる部位に与える事で落差を生み出し、さらなる快楽へと繋げる事が目的だ。
 
 「う…あ…ぁぁ…っ!」
 
 ―ふふ…効いてる効いてる…♪♪
 
 それら三つの刺激が効いたのか、夫の腰はストンと床に落ちて震えるだけになってしまった。恐らく腰を砕けさせてしまったのだろう。生まれながらにして剣を扱う術に長けたドワーフの技巧に腰の剣を握られて敵う筈が無いのだ。特に私は夫のオチンポだけを握って来たのである。その弱点から、好みの力加減まで全てを知り尽くしている私相手に勝算など最初からあるはずもない。こうして腰を砕けさせるのも仕方の無い事だろう。
 
 ―じゃあ…後は…♪
 
 腰を砕けさせてしまえば後は如何様にも料理出来る。それこそ多少、強めの刺激であっても夫は逃げることさえ出来ないのだ。まるで料理されるのを待つ魚のような夫の姿に思わず強い喜悦が浮かぶ。そして、嗜虐性の強いその感覚に身を委ねるように私の左手はさらに激しくなっていき、夫を射精へと追いたて始めた。
 
 「くぉぉぉ!」
 
 抵抗する術も無く、無遠慮に射精へと追い立てられる夫。その脈動は既に強いものへと変わっていて、射精前の高鳴りを思わせる。先端からもカウパーが止まらず、左手でコロコロと転がしている精嚢はさらに縮こまって窮屈そうだ。口の中で唾液塗れになっている精嚢も同様に絶頂前の蠢きを見せている。
 
 「ちゅぱぁ…♪あはぁ…♪もうイっちゃいそうなんだね…♪ロリドワーフの指マンコ気持ち良くってロリコンのアンタはすぐに絶頂しちゃうんだねぇ…♪♪」
 
 からかうような私の言葉にキッと夫の目に怒りの色が灯った。当然だろう。夫はプライド高く、負けず嫌いな男なのだ。ロリコンと馬鹿にされて――まぁ、私がロリコンに仕立て上げたって言うのもあるんだけれど――ヘラヘラと笑っていられるわけが無い。しかし、腰を砕けさせ、射精寸前まで追い詰められた夫に出来る事なんて殆ど存在しないのだ。精々、イくのを堪えて、私を睨めつけるくらいだろう。
 
 「ふふ…♪なんだいその顔は♪一丁前にロリコンなんて言われて怒ってるのかい?あは…♪私みたいな幼児体型、嫁にしといて今更、遅いんだよ♪」
 「くっぅぅぅ…!!」
 
 さらに追い立てる私に悔しそうに夫は呻くが、相変わらず何の抵抗もしなかった。その逞しい腕も足もまるで縫い付けられているかのように床から動かない。それどころか罵られる度にオチンポをビクビクと震わせて、その熱と硬さをさらに一段階、引き上げていく。その気になれば私なんか簡単に跳ね除けられるであろうに、受け入れている夫の姿に女として、そしてメスとして強い充足感が湧き出てくるのだ。
 
 「これからも教えてあげるからね…♪ロリドワーフの…ううん…♪私の気持ち良さを教え込んでもっともっとロリコンにしてやるんだからね…っ♪♪私から…もう離れられないように刻み込んであげるよ…♪」
 
 甘い宣言と共に私はパクリとカウパー塗れの亀頭を口に含み、そのまま一気に逞しい肉棒を飲み込んだ。勿論、金玉でさえ頬張るという表現が相応しい小さな口に夫の逸物は大きすぎる。限界一杯まで開いた口はそれでもオチンポで一杯になって呼吸する隙間もない。まるでアクメしまくったオマンコのようにぎゅっとオチンポと密着しているのだ。勿論、咽喉奥まで貫いた亀頭の所為で満足に呼吸出来ずに苦しい。けれど、私の中にはそれ以上の強い喜悦と感動がうねりを上げていた。
 
 ―あはぁ…♪お口にオチンポ…オチンポだけだよぉっ♪♪
 
 夫の逞しい逸物で口の中を埋め尽くされ、一部の隙も無いという感覚。それは同時に咽喉奥を貫いて食堂まで入り込んだ亀頭の震えや今にも射精しそうな幹の脈動。その血管を通って激しく身体中を駆け回る血液の感覚などもまた伝わってくるのだ。指とは比べ物にならないほどの情報量はあっという間に私の思考を埋め尽くしていく。まるで私の全てが夫のオチンポを感じる事に捧げられていくような感覚に私のメスは悦びの叫びをあげて止まらないのだ。
 
 ―オチンポぉ…っ♪♪オチンポ、お口マンコでしゃせーしてねっ♪♪どぴゅどぴゅって美味しいザーメン頂戴っ♪♪
 
 そして、その悦びのまま、小さな唇を窄め、舌先でカリ首を穿るように抉った瞬間、夫のオチンポはビクンと震えて熱いマグマを噴出させた。一気に口の中に広がった独特の青臭さとオス臭さの合わさったような匂い。それに思考が埋め尽くされた瞬間、触れられてもいない下腹部に熱い熱が弾けて私の身体も震えた。
 
 「きゅふぅぅっ♪♪」
 「くあああああああっ!!」
 
 まるで夫の絶頂に引きずられるようにして、アクメへ押し上げられた私の肢体はビクビクと震えながらも咽喉奥に叩きつけられる射精を必死に味わっていた。ゴクゴクと咽喉を鳴らしながら、張り付くザーメンを奥へ奥へと嚥下しようとしているが中々、上手くはいかない。濃厚過ぎてべったりと咽喉の壁に張り付いた白濁液は何時までも胃の中へと流れ落ちず、溜まっていくのだ。子供のような小さな咽喉では我慢出来ずに奥から引きずり出した亀頭からはまだまだ射精が続いていて、私の口の中にも精液を巻き散らかす。
 
 ―ふわぁぁ…やっぱり…効くぅぅ…っ♪♪♪
 
 カウパーの塩っぽさと独特の甘さの混じった夫の精液は妻である私にとって極上のご馳走だ。上品で下品で、塩っぽくて甘くて…臭くて良い匂いで。そんな矛盾するような味はどんな名シェフの料理だって届かないだろう領域に私の心を誘ってくれる。心地良いような、安心するような…でも、同時に私の嗜虐的な部分を満たしてくれるその極上の味は私の背筋をドロドロに溶かして甘い痺れを幾つも走らせるのだ。
 
 ―もっとぉ…♪もっとこの美味しいの頂戴…っ♪♪
 
 私の貧弱な語彙では極上としか表現できないその味は勿論、極上だけあって飽きなど来る筈もない。寧ろ飲めば飲むほど、味わえば味わうほど欲しくなって止まらないのだ。無論、既にメスの本能に支配されている私の身体が我慢など効くはずも無く、もっともっとと貪欲に舌を這わせながら、じゅるじゅると精液を吸い上げる。そしてその度に夫もまた応えてくれて美味しい子種汁を私の咽喉奥目掛けてびゅるびゅると射精してくれるのだ。
 
 「んふ…っ♪じゅるるる…っ♪♪」
 
 無論、小さな私の口では人外染みた夫の精液全てを受け止めるのは難しい。他の魔物娘ならばいざ知らず、私は幼児に近い体型をしているのだ。しかし、それでも夫が折角、射精してくれたザーメンを無駄にする気にはなれない。そんな私の口は一滴も無駄にしないように硬く閉じて、じゅるじゅると精液を吸いだしていた。
 
 「ふ…ふゅんっ♪」
 
 しかし、そんな幸せで美味しい時間も永遠に続くわけではない。交わりの中で成長してきた夫の精力は化け物に相応しい代物であるが、それでも打ち止めと言うのは存在するのだ。右手で転がす精嚢の弾力もゆっくりと減っていき、中に詰められていた精液が少なくなっているのを感じる。それでも満足できない貪欲なメスの本能が必死に咽喉や左手を動かすが、トロトロと先端から漏れ出るだけで射精のような激しい勢いにはならない。
 
 ―ん…もう終わり…かな…♪
 
 その漏れ出るようなザーメンも殆ど途切れるようになってからようやく私の本能は諦めた。当分、精液が出ないのを理解した私の本能は吸い上げるのを中断し、亀頭の周辺を慰めるように舐め上げさせる。射精直後の敏感な亀頭がその刺激にビクビクと震えて逃げようとするが、奥から奥から絞り上げるような左手がそれを逃がさない。
 
 「ちゅ…っ♪ぢゅるるぅっ♪」
 
 そのまま数分ほどお掃除フェラを続けた後、ようやく私は夫のオチンポを解放した。ちゅぽんと淫らな音を鳴らしながら窄めた口から解き放たれた夫の剛直は唾液塗れとなっている。鼻を押し付けるようにしてスンスンと嗅いでも夫のオチンポにはもう一片の精臭すら残っていない。微かに残っているのは、今も私から放たれている発情したメスのフェロモンだけだ。
 
 「ふふ…♪どうだい…?気持ち良かっただろう…?」
 
 これだけ射精したのだ。気持ち良くないはずが無い。勿論、そんな事は私にだって理解している。けれど、やっぱりメスとしては愛しいオスの口から気持ち良かったと聞きたいものだ。私にとってそれが何にも勝る最高の報酬であるのだから。まぁ…少しばかり意地悪だとは私も思うけれど、こればかりは我慢出来そうに無い。
 
 「ぜ…ぇ…はぁ……」
 
 けれど、夫は胸を上下させているだけでまるで答えてくれる様子が無い。身体を鍛えている夫がこの程度でヘバるはずがないから、きっと拗ねているのだろう。最中は射精への衝動のお陰で素直にはなってくれていたようだが、オスと言うのは一発出したらどうしても冷静になってしまう生き物だ。少し冷えた頭の中でさっきの屈辱を思い返して、へそを曲げているに違いない。
 
 ―ふふ…♪それじゃあどうしてやろうかねぇ…♪♪
 
 そんな夫の可愛らしい姿にまたむくむくと悪戯心が湧き上がって来てしまう。出会った最初の交わりのように、このまま私が好きだと愛していると叫ぶくらい犯しつくしてやるのも良いかも知れない。元々、私の我慢ももう限界なのだ。下着だけでなく皮製のズボンまで愛液塗れになっているし、きゅんきゅんと子宮が疼いているのも止まらない。未だ絶頂の余韻を微かに残す足がもじもじと擦り合わさってしまうのも、抑えきれない欲情が形となって現れているからだ。
 
 ―でも…ねぇ…♪
 
 このまま嗜虐心に任せて夫を虐めたてるのは簡単だ。でも…それだと後のフォローがどうしても面倒である。負けず嫌いな性格の所為か、夫は一度、へそを曲げると中々、機嫌を直してくれないのだ。勿論、それが喧嘩にまで発展することはまず無いけれど…円滑な夫婦生活を望む私としては遠慮したい。気まずい雰囲気のまま食べるご飯ほど不味いものは無いのだから。
 
 ―じゃあ…夫の自尊心を回復させる方向にいこうか…♪
 
 そう心の中で結論を出して私はそっと夫の足の間から立ち上がる。そのままするすると前進し、六つに割れた綺麗な腹筋の上に腰を降ろした。丁度、下腹部の腹部の境目の位置は夫の顔が良く見える。その顔に浮かぶ悔しそうな表情までしっかりと見て取った私は、そっと微笑を浮かべながら夫の方へと身体を預けた。
 
 「ごめんね…♪あんまりにもアンタが逞しいから…ちょっと興奮しちゃって…♪」
 「……」
 
 大きな胸板に頭を乗せながら、甘えるように囁く。それに夫がピクリと反応するけれど、まだ拗ねているのか何も言わない。そっと明後日の方へと視線を逸らして、口を噤んでいるままだ。けれど、私だってこの程度で夫が機嫌を直してくれるとは思っていない。まだまだ弾は幾らでもあるのだ。その一つでもヒットしてくれれば御の字である。
 
 「それに…あんな風に胸を弄られちゃったら…私だって疼いちゃうさ♪あんなにねちっこく乳首を虐められて…コリコリって指の間で転がされて…子宮じゅんじゅんになっちゃったんだからね♪」
 「う……」
 
 小さく夫が呻いたのは自分から仕掛けたのを思い出したのか、或いは淫らな言葉の羅列にさっきの興奮を思い出したのか。恐らくその両方であろうと私は推測した。私のお尻のすぐ後ろから感じる圧倒的な威圧感と熱はむくりと起き上がったし、見上げる夫の顔には後味の悪そうなものが浮かんでいる。ある種、相反するそれら二つが夫の心の中で蘇ったのだろう。
 
 ―ならば…ここから責めるべきだね…♪
 
 「意地悪しちゃったのも…そんなアンタに興奮したからなんだよ…♪悪いと思ってるし…反省もしてるから機嫌直しておくれ…♪」
 「むぅ…」
 
 確かな手応えと共に放った第三射は夫の自尊心に触れたのか小さな反応を返してくれる。元々、オスと言うのは半分はプライドや自尊心で出来ている生き物だ。プライドが傷つくというのは死活問題ではあるが、その分、それを回復させるのもそう難しいことではない。こうしてさっきまで夫を責め立てていた妻が許しを乞うだけで、許しても良いかもしれないと考え始めているのがその証拠だろう。
 
 ―ホント…私の夫は可愛い人だよ♪♪
 
 他の男であれば、そんな仕草を見せるだけで「馬鹿な奴」と軽蔑するだろう。けれど、妻と言う奴もまた単純で馬鹿な生き物なのだ。自分を孕ませることを許可した唯一のオス相手であれば、そんな仕草も可愛いと変換されてしまう。きゅんと胸を疼かせて、奥から愛情を湧き出させてしまう安っぽい生き物なのだ。
 
 ―まぁ…お互い様って奴かな…♪
 
 夫を慰める事が夫のプライドの回復に繋がり、それがまた私の愛情を掻き立てるのであれば最高の循環ではないか。これが逆であれば洒落にならないかもしれないが…私達はこれで上手く回っているのだ。それに何か言われる筋合いなど無いし、言われたくもない。他の何処がどんな風に家庭を回しているとしても、私たちにとってこれが『最高』なのだから。
 
 ―じゃあ…その『最高』をもう少し回すかね…♪♪
 
 「そんなに怒ってるんだね…ごめんよ…♪じゃあ…一杯『ご奉仕』するからそれで許しておくれ…っ♪」
 
 『ご奉仕』に強いアクセントを置いて、甘く囁いた後、私の頭はそっと夫の胸板から離れた。勿論、夫はそれに返事などしない。これからするのは私が勝手にしていることだと無視を決め込んでいるのだろう。その心の中では快楽を期待しているのに、それから必死で目を逸らして。そんな夫の様子がチラチラと横目でこちらを伺う姿から容易に想像できて、笑みが浮かんでしまいそうになってしまう。けれど、私はこれから夫への『償い』をするのだ。そこに笑顔などあれば夫はさらに馬鹿にされていると思ってしまうだろう。浮かび上がる微笑を必死に押し隠しながら、私はするすると腰を後ろへ引きずった。
 
 ―んふふ…♪どう…?もうオマンコぐじゅぐじゅなのがすぐに分かるだろ…♪♪
 
 『THUGUNAI』が目的であるのを考えれば、本当は腰を上げてからの移動の方が良いのだろう。しかし、私はそれ以上に興奮の証を夫に直接、感じ取ってもらうほうが有益であると考えたのだ。『アナタを虐めていた女はアナタのお陰でこれだけ感じていますよ』と知ってもらうことの方が、男にとっては自尊心を擽られるだろう。実際、割れた腹筋の上についっと糸を引きながら落ちた愛液を夫は興奮の色を含んだ目で見ていた。
 
 ―そんな風に見られちゃ…私も興奮しちゃうじゃないか…っ♪
 
 夫に興奮の証を見られていると言うだけでも羞恥心が擽られるというのに、その上、ハァハァと荒い息を吐きながら見つめられているのだ。思わず背筋に強い興奮と背徳感が走って快楽を沸き起こす。そしてその快楽を燃料にしてさらに燃え上がった私の腕はズボンを止めるベルトを器用に解き、夫の下腹部でズボンを脱ぎ捨てた。
 次いで現れるのは白地にデフォルメされたクマの下着だ。バックプリントだけでなく、フロントにまでプリントされた茶色のクマは愛液でびちゃびちゃになって悲惨な事になっている。ちょっと勿体無いとは思うものの…安物であるし、これからの交わりの犠牲になってもらっても良いかも知れない。元々、私はこんな子供っぽい下着と言うのは趣味ではないのだ。でも、夫がこういう子供っぽい下着の方が興奮するからで…まぁ、それはともかく。
 
 ―さて…それじゃあ少し準備しないとねぇ…♪
 
 勿論、私のオマンコはもうグチョグチョで何時でも夫を受け入れる準備が出来ている。けれど、下着を身に着けている今の状態で、何も見ずにオチンポを咥え込むのは至難の業だ。失敗を重ねる度に夫の興奮が目減りしていくだろうし、それは避けたい。出来れば一発で上手く挿入したいと、右手で下着をずらして、左手で剛直を掴んでその先を調整する。
 
 「ふわあぁっ♪♪」
 
 クチュリと亀頭とオマンコの入り口が擦れ合った瞬間、視界が明滅して軽くイってしまう。ビクビクと震えそうな腰に照準を合わせるのは大変だが、二度三度と繰り返すとぴったりと陰唇が亀頭を咥え込んでくれた。それに微かな不安と、そして大きな期待が私の胸に宿る。既に何千回と交わっている訳だけれど…最初のこの瞬間が最も胸が高鳴ってしまう。
 
 ―あぁ…♪私…これからこの剛直で貫かれてしまうんだね…♪♪
 
 幼児としか言い様の出来ない小さな身体に夫の逸物は余りにも不釣合いだ。夫のオチンポを根元まで飲み込めば御腹の半分は埋まってしまうのだから。ドワーフは感情な種族であるとは言え、それにどうしても微かな不安を感じてしまう。しかし、同時に夫のモノを飲み込むのがどれだけ甘美で幸せで…そして何より気持ち良いかを私は既に知ってしまっているのだ。これから味わうそれらを思うとどうしても私の胸が悦び、早くこのオチンポで子宮まで貫いて欲しいとそんな事を考えてしまう。
 
 「じゃあ…アンタが開発したこのキツキツロリマンコでたっぷりご奉仕するからね…♪気持ち良かったら…許してくれるのであれば…子宮に一杯、精液頂戴…っ♪♪」
 
 その考えを胸に私は有無を言わさないまま一気に腰を引き落とす。愛液塗れの膣穴と亀頭がぶつかりあって、ぐちゅり♪と淫らな水音をかき鳴らした瞬間、メチメチと私の狭いオマンコを押し広げて夫の逸物が入り込んでくるのだ。まるで身体を引き裂かれるような被虐感を伴ったそれは勿論、痛みなど一切無い。微かな圧迫感とともに溢れんばかりの快楽として私の子宮と脳髄に突き刺さっていた。
 
 「きゅふふぅぅぅっ♪♪」
 
 甘い嬌声を上げながら私の腰はゆっくりと、しかし、確実に落ちていく。愛液塗れとは言え、規格外の逸物を必死で咥え込む膣肉からは悲鳴と嬌声の両方が聞こえてくる。たっぷり粒粒を塗した膣肉はクリトリスと同じくらい敏感なそれらを夫の剛直で押しつぶされるだけで絶頂し、ミミズのような襞を身に着けた膣肉は絡みついた亀頭の熱に溶かされてアクメする。右から左から上から下から…夫のオチンポが触れ合っている部分全てから走る絶頂の群れに私は翻弄され、ドロリと口の端から唾液が零れた。
 
 「ふわあぁっ♪良いよぉ…♪アンタのオチンポ…やっぱりさいこぉぉぉっ♪♪」
 
 唾液塗れの舌を必死で動かしながら、私のオマンコはさらに貪欲に夫の逸物を飲み込んでいく。繰り返すアクメで少し膣肉が緩んだ所為だろうか。その動きは少しずつスムーズなものになり、オチンポは順調に私を貫いていく。勿論、それは私の快楽を高める結果にも繋がって、私の腰がビクビクと震えた。その震えがまたオチンポをオマンコを擦れ合わせる結果につながって、敏感な膣肉がさらに甘い悲鳴を上げる。
 
 ―けれど…それもそう長くは続かない。
 
 コツンと私の膣肉の最深部に夫の亀頭が触れ合った。抽送とも言えないその小さな衝撃に私の背筋が震えて、ぎゅっと後ろへと反り返る。けれど…それで終わりなんかではないのだ。寧ろ…ここからが本当の抽送、本番であると言っても良い。だって…夫のオチンポはまだ半分近く残っているのだから。
 
 ―仲間外れなんて…可哀想だものねぇ…♪♪
 
 どうせ気持ち良くなるなら全部気持ち良くしてあげたい。そして…私も気持ち良くして欲しい。その一念で私の腰はさらに下へと降りていく。それに従うようにして開発された子宮口が亀頭に押し広げられて蹂躙されていくのだ。それは二度目の挿入と言っても良いのかもしれない。普通はどうしても届かないような場所にオチンポが入り込んでくる感覚は私の背筋に二倍どころでは済まない快楽を走らせて止まらないのだ。勿論、既に我慢を吹き飛ばして青天井と貸した私の子宮はそれを直接、受け取って強いアクメへと変換する。余りにも強い絶頂に私の身体からまた一つ力が抜けた瞬間、肉厚の子宮口を抜けて子宮の奥へとオチンポが到達した。
 
 「っっっっっ〜〜〜〜〜〜っ♪♪♪」
 
 その衝撃はもう何か言葉に表せるものではない。メスとしての本丸。一番、大事な子供を育む場所まで夫に征服された感覚は私から言葉を奪っていた。ぱくぱくと魚のように必死に動く口からは嬌声さえ漏れ出ず、唾液が零れ落ちるだけ。反り返った背筋の向こう側を見ている目も視界を明滅されて殆ど役に立ってはいない。キィンンと耳鳴りした聴覚はぶつりと途切れたと思うとドクドクと子宮で直接、味わう夫の脈動に集中し始めた。腕も足も腰さえもその感覚が消えうせ、子宮から湧き出す快楽に塗りつぶされていく。その暴力的とも言える快楽の波に私の意識はふっと遠くなって浮き上がって言った。
 
 「あっ…っ♪あああああぁぁぁっ♪♪」
 
 けれど、その意識さえも逃がさないようにと快楽が追いすがって捕まえる。四方八方から叩きつけられるようなその快楽の力は私の思考をボロ切れのように散り散りにさせていくのだ。まるで竜巻の中に取り込まれたかのように私の意識は千切れ、飛んで、消えていく、後に残るのは快楽を感じるケダモノだけで――――。
 
 「ああぁ…っ♪ふ…あぁぁ……っ♪♪」
 
 散り散りになった意識がようやく帰っていた頃には私の口はもう使い物にならなくなっていた。半開きになった口から滝のように零れ落ちる唾液は私の身体を汚すばかりか夫の腹の上にも落ちている。愛液と混ざり合って艶やかな光を放つ夫の腹筋が妙に扇情的だ。桃色の濁った視界でそれをぼんやりと捉える私の子宮で何かがドクンと脈打つのを感じる。恐らく夫が射精したのだろう。子宮の壁に直接、精液を吐き出されるそれを私が間違える筈が無い。快楽を上書きするようにして一気に胸の中から溢れたメスとしての充足もそれを示している。
 
 ―あれぇ…♪でも…私、どれだけ意識飛ばしてたんだろ…♪
 
 既に子宮の中は別の精液に溢れている。小さな私の子宮を膨らませるそれは夫が今までに一度か二度は射精していることを私に教えてくれる。けれど、私にはその間の記憶が全く無いのだ。意識が散り散りになって本能だけで動いていたのか、それさえも分からないまま、私がドロドロのザーメンを子宮で感じている。
 
 ―あは…♪でも、そんな事どうでもいいか…ぁ♪
 
 だって、夫はこうして私の子宮に射精してくれているのだ。それ以上、何を望むことがあるだろう。どんな好色な魔物娘だって、中々、出来ないであろう部位で夫のザーメンを受け止めているのだ。それが私にメスとして、そして女のしての充足を与えてくれる。その上、口で感じていた通り、夫の子種汁はとっても濃厚で熱いのだ。まるで私の子宮という炉を冷まさないようにする燃料のような精液に私の興奮はさらに高まり、身体中に蕩楽の波が走る。
 
 「もっとぉ…♪もっと欲しいのぉ…っ♪♪」
 
 しかし、完全にケダモノに堕ちてしまった今の私にはその程度では止まらない。腰砕けになってもおかしくない快楽の中で必死に腰を浮かして、夫へ向かって腰をたたきつけていた。その度に、精液と愛液のカクテルが絡み合い、カリ首に引き出されて二人の間を白く染め上げている。しかし、私にとって、それは然したる問題ではなく、激しく腰を上下させながら、夫から与えられる快楽を全身で享受していた。
 
 「オチンポぉ…♪ざぁめんっ♪じぇんぶぅっ♪♪じぇんぶ頂戴ねぇっ♪♪」
 
 貪欲なメスの本能を剥き出しにしながら、ガクガクと私の身体は上下に揺れる。身体全体を使ったその抽送は激しく、根元から亀頭まで一気に子宮に飲み込むようなものだ。そして、その度に子宮口を押し広げられる独特の悦楽が私を襲い、さらにアクメを高める。頭の中がドロリと蕩けて快楽一色に染まるのを感じるが、私の腰は、足はそれでも止まらない。まるでそこだけ別の生き物と化しているかのように私自身の意思とは別に動き続けているのだ。
 
 「きゃふぅっ♪また来てりゅぅぅっ♪♪ざぁめん子宮にびゅっびゅしてりゅのっ♪」
 
 射精を続ける夫のオチンポをまた子宮に受け止める私の口からは嬉しそうな淫語が漏れ出る。本当は私としてもこのまま子宮で精液を受け止めたいのだ。しかし、私の腰は貪欲に快楽だけを求めているのかずるずるとオチンポを引き抜いていく。逃がすまいとしてきゅんと窄まった子宮とそのお口を凶悪的なカリ首でゾリゾリと抉りながら、逃げていくのだ。まるで子宮と子宮口が引きずりだされるような被虐的な感覚に私の口からさらに唾液が溢れて、私達の身体を穢す。
 
 「おほぉぉっ♪しゅてきらよぉっ♪オチンポしゅてきぃっ♪アンタのオチンポしゅれきなのぉっ♪♪」
 
 必死に夫の剛直を褒める私の思考にはもはやさっきまでの『ご奉仕』と言う名目は存在しない。ただ、一匹のメスとして愛しいオスの物に貫かれている幸せを、充実感を、少しでも現そうと心のままに言葉を紡いでいくだけだ。そして、その淫らな言葉の群れは夫を強く興奮させているのだろう。射精中でも遠慮無く犯されているという状況の中でビクビクと逸物と震わせてくれていた。それが私にとってはまた嬉しくて、甘く淫らな嬌声が漏れ出てしまう。
 
 「あああぁぁっ♪しゅきよぉっ♪らいすきっ♪♪オチンポもアンタもじぇんぶしゅきぃっ♪♪」
 
 普段は中々、言う機会のない愛の告白。別に恥ずかしがり屋な訳ではないけれど、そんなに頻繁に言ってあげられるほど羞恥心がない訳じゃないのだ。けれど、蕩楽で頭のヒューズが吹っ飛んだ今の私にとって、それは何ら厭うものではない。寧ろ口から漏らせば漏らすほど、夫のオチンポが反応し、気持ち良くしてくれる魔法の言葉と化していた。
 
 「しきぅまで一杯っ♪一杯にゃの好きぃっ♪♪オチンポ一杯で苦しくて気持ち良いっ♪♪」
 
 その言葉に甘い媚をたっぷりと塗しながら、私の腰がぐりぐりと螺旋を描く。まるで自分からもっと苦しくなろうとオマンコの肉壁に、そして子宮の壁に剛直を押し付けるのだ。ただでさえ夫の肉棒で広がりきっている膣肉がそれに耐えられるはずが無い。各所からミチミチと悲鳴のような音が聞こえるのだ。しかし、数え切れないほどの絶頂を繰り返し、その身体を蕩けさせた私はそれ以上の悦楽を受け取って甘い悲鳴を漏らす。
 
 「ふにゃあっ♪当たってるぅっ♪しゃせー当たってりゅよぉっ♪しきぅーに当たってるぅっ♪♪」
 
 無論、無理矢理、角度を変えようとする間も夫の射精は決して止まってはいない。さっきのフェラよりもずっとずっと長い間、私の膣肉の中で子種汁を叩きつけてくれるのだ。そして、それが私の動きと相まって、普通は届かない部分にまで精液を張り付かせている。女が母になるための卵を吐き出す排卵管の近くまで白濁液に包まれる感覚に私の脳髄はゾクゾクとした感覚を走らせて止まらない。まるで夫に無理矢理、孕ませられるような感覚に私のメスが悦んで甘い嬌声をかき鳴らすのだ。
 
 「孕むよぉっ♪アンタのオチンポではりゃむっ♪♪夫のザーメンれっ♪おにゃか一杯になっちゃうのぉっ♪」
 
 勿論、何十年と連れ添う過程で私も何度か出産を経験している。比較的緩い子宮口も経産婦であるが故だろう。けれど、何度味わっても愛する夫に孕ませられるという感覚は慣れるものではない。身体の隅々まで夫のモノへと変わって行くその独特の快楽は私の目尻から零れる涙をさらに大きくする。一気に跳ね上がった愛されているという実感が快楽の所為で処理しきれなくなり、涙という形で溢れているのだろう。ポロポロと零れ落ちるそれは私にとって決して冷たいものではなく、寧ろ暖かいものであった。
 
 「孕ませてぇっ♪もっとぉ…もっと一杯ざぁめん欲しいのぉっ♪♪しきぅを子種ぢるで溺れしゃせてっ♪♪」
 
 しかし、どれだけ乞うても夫の射精が永遠に続く筈はない。既に夫は小さな精嚢に入っていたとは到底、思えない量を射精しているのだ。美味しくてオス臭いあの子種汁は流石にもう尽きているのか、トロトロと先端から湧き出るような弱弱しいものへと変わっている。そんな夫に向かって子宮が不満そうに膣肉を蠢かせ、子宮口を窄めるものの尻すぼみになるのは止まらない。きゅっきゅと入り口から子宮口まで締め上げるものの、夫が呻き声を上げるだけで子種汁は出てくれなくなってしまう。
 
 「ふ…あぁぁ…っ♪やらよぉ…っ♪せーえき無いの嫌ぁ…っ♪♪」
 
 既に夫も打ち止めなのだ。どれだけ我侭を言っても精液が増えるまで射精はお預けだろう。そんな事は私にだって分かっている。だが、だからと言って何もかも飲み込もうとする貪欲なメスの本能は止ってはくれない。未だ硬さと熱を宿す夫の剛直に向かって肉襞を絡みつかせながら、オネダリするように腰を前後に揺らす。射精直後で精液が空っぽになったオチンポをそんな風に刺激される夫の顔が苦しそうに歪んだが、それでも私は止まらない。じゅるじゅると精液と愛液のカクテルの織り成す水音をかき鳴らしながら、夫を絶頂へと追い立てるのだ。
 
 「く…あぁぁぁっ!」
 
 私と交わる過程の中で、人外染みた精力を手に入れた夫と言えど、射精直後に絶頂出来る筈が無い。オスとしてそんな状態で気持ち良くされるのは苦悶に近いのか、苦しそうな声をあげた。普段であればその声に幾分、冷静になれただろう。しかし、既に数ヶ月単位で欲求不満を長引かせていた私にとってもう自分自身でも今の興奮を制御できないのだ。身を焦がすほどの欲求不満が後から後から湧き出て、どれだけ夫を貪っても満足できそうに無い。
 
 「こんにゃのやらぁっ♪よっきぅ不満らよぉ…っ♪ざぁめんどぴゅどぴゅくれなきゃやぁぁ…っ♪」
 
 普段は意識して言わないようにしている子供のような我侭。しかし、余りに欲求不満が高まって幼児退行でも起こしたのか。私の口からは子供染みた言葉が漏れ出る。そして、身体もそれに引っ張られるようにいやいやをするように左右に身体を捩るのだ。子宮の奥近くにまで亀頭が入り込んでいる状態でそんな事をすれば、膣肉から子宮口まで全部を抉られるように感じる。その上、天井にまで届いている剛直は身を捩る度にその先端で奥を擦ってくるのだ。まるで穿られているような刺激に私の視界がまたチカチカと瞬いて止まらない。
 
 「きゅぅぅぅぅぅんっっ♪♪」
 
 甘い嬌声と共に力の抜けた私の下腹部から何か液体が噴出した。まるで無理矢理、排泄させられるような感覚とオシッコかもしれないという不安が私の身体に力を込める。しかし、悦楽の所為で蕩けきった私の肢体は言う事を聞いてくれず、オシッコの穴もまた閉じてくれない。狭くなるのはオマンコの方だけで、よりオチンポを感じてしまうのだ。そして、よりはっきりと感じるオスの迫力に私の快楽はさらに高まり、びゅっびゅと股間から液体を撒き散らしてしまう。それは恐らく潮吹きであると思うけれど、オシッコである可能性も否定できないのだ。湧き上がるアクメの感覚で視界を桃色に染めた私はその判断すら出来ず、どちらとも分からない感覚の中、何度も何度も絶頂を繰り返している。
 
 「う…あああああっ」
 
 そんな私の下で夫の声が聞こえたと思うとガンガンとその腰が上下に動いてくる。上に載っている私ごと跳ね上げるようなそれは激しいなんてレベルではない。振り落とされないように捕まるのがやっとの動きに私の膣肉がきゅんと疼いてオチンポを締め上げた。しかし、一瞬の別離さえも厭うような力強い締め付けも、夫の力の前では無力である。ガクンガクンと揺らされる度に子宮口から子宮までをオチンポで貫かれて、私の股間からまた潮らしきものが噴出した。
 
 「ふにゃああっ♪ふ…あぁぁぁぁっ♪♪」
 
 今まで犯されてきた仕返しと言わんばかりの夫の抽送にケダモノのような嬌声だけが溢れた。それも当然だろう。自分で腰を動かすのと、夫に無遠慮に犯されるのとでは天と地ほどの差があるのだ。勿論、どっちが上と一概に言える訳ではないが、何処を突かれるか分からないと言う意味では後者の方が有利である。次は右かもしれない、それとも左?いや、直接真っ直ぐ奥を叩いてくるかも…♪先の知れぬその感覚が抽送に纏わり着いて背筋をぎゅっと反り返らせるのだ。
 
 ―ひぅぅぅ♪激しっ♪♪激ししゅぎぃっ♪♪
 
 その上、その身体に人並み以上の筋肉を身に着けている夫の無遠慮な抽送は私のモノとは比べ物にならない。私では子宮の奥の壁に突くのが精一杯だったのが、夫の一撃はその壁を押し上げてくるのだ。内臓まで貫かれるような激しい刺激は勿論、今の私にとっては強い快楽に他ならない。瞬く視界を桃色一色に染め上げて、視界まで快楽に埋め尽くされてしまう。
 
 ―あぁぁっ♪♪しゅごいぃっ♪壊れそ…っ♪しきぅ壊れそうだよぉ…っ♪♪
 
 頑丈なドワーフと言えども、それほどの抽送を受けて壊れないとは限らない。元々、私達の身体はオスとの交わりには不釣合いな位に小さいのだ。その上、夫の逸物は妻の贔屓目を抜きにしても十二分に大きい。普通にしていても亀頭の先が子宮の天井に届いてしまう位なのだ。そんな剛直の名に相応しい肉棒が私の膣肉を抉っているのだから、幾らサキュバスの魔力で保護されているドワーフと言えども壊れないとも限らない。
 
 ―壊してぇ…♪しきぅまで全部ぅ♪壊してアンタだけのものにしてっ♪♪アンタ以外、考えられないメスにしてぇっ♪♪
 
 けれど、その今度こそ壊れるかもしれないという感覚が私の反り返った背筋に激しい電撃を走らせる。被虐的な快楽も嫌いじゃない私にとって、愛しいオスに壊されるかもしれないというのは一種、陶酔の極みだ。他の誰にも許したことの無い夫専用の子宮までも愛しいオスに陵辱され、その所有印を刻まれるという感覚。もしかしたら、子宮は二度と子供を孕む事も無く、快楽を感じるだけの部位に堕ちてしまうのかもしれない。そう思うと私の目尻からは抑えきれない陶酔と愛しさが涙となってボロボロと零れていくのだ。
 
 ―して欲しい…っ♪♪子宮までぐちょぐちょにしてメスに堕として…っ♪♪セックス以外何も考えられないめしゅ犬になっれぇ…♪一生、こうしてアンタと交わっていたいよぉっ♪
 
 その陶酔が文字となって胸の中を埋め尽くす。しかし、どれだけ胸を支配したとしてもそれが言葉になる事は無い。途切れる事の無い夫の乱暴な抽送はその度にケダモノ染みた嬌声を上げさせるのだ。叫ぶような嬌声以外に私の口の端に上るものは無く、まるで壊れてしまったように快楽だけを示し続ける。それがまた夫に支配されているという被虐的な快楽を助長させ、剛直で貫かれている子宮に蕩けそうな甘い熱を灯した。
 
 ―く…りゅぅ♪また来ちゃうぅぅっ♪♪アクメ途切れにゃいっ♪めしゅアクメ続きっぱなしやよぉっ♪♪
 
 そして、じゅんと愛液を漏らすような淫らな熱がまた私をさらなる高みへと引きずっていく。もう腕も足も力が入らなくて夫にしがみつくのが精一杯だというのに、身体中に一気に広がった蕩悦は許してはくれない。バランスを取る為の僅かな力さえも奪っていこうとしているように感じるのだ。まるでアクメだけを感じる身体にしようと触覚も何もかもを塗り替えて、身体中に悦楽だけが満ちる。夫の下腹部にそっと置いた手が僅かに擦れるのでさえ確かな快楽として受け取ってしまう今の私は全身が性感帯になっていると言っても良いのかもしれない。
 
 ―ふにゃあっ♪幸しぇ…っ♪♪一杯、幸せぇ……♪
 
 本来であれば全身が性感帯になる感覚など辛いだけだろう。服と小さく擦れるだけでも身体を震わせ、愛液を滴らせる原因になってしまうのだから。しかし、今の私にとってはそれは幸福以外の何者でもない。だって、全身が性感帯になっていると言う事は全身で夫を感じられると言う事なのだ。全身を夫に支配されていると言う事なのだ。それにどうしても例えようもない悦びを満たしてしまう。全身を夫で満たされるような快楽の波に私はメスとして本能に刻み込まれた原初の悦びを思い出してまた甘い嬌声を叫んだ。
 
 「ひあああぁっ♪ん…きゅぅぅふっ♪」
 
 悲鳴のような嬌声をどれだけ叫んでも、夫の抽送は止まることはない。まるで壊れてしまったかのように私に向かって腰を突き上げてくるのだ。射精を禁じられたオスが必死に射精に到ろうとするような切羽詰ったそれは寧ろ嬌声で興奮しているのか加速して行っている様にも感じる。少なくともその動きの終着点である子宮で味わう感覚はさらに激しく、甘いものになっていき、私のまた脳髄をドロリと溶かした。
 
 ―ふ…わぁぁ…♪来るよぉっ♪またアレがくりゅぅっ♪♪一杯激しいのが来るぅっ♪
 
 そして、その蕩けた脳髄が、引いては子宮が『それ』の予兆を感じ取る。元々、太く大きかった肉棒がさらに一回り逞しくなり、膣肉の甘い悲鳴をさらに大きくさせていた。特にカリ首はそれが顕著できゅんと窄まった子宮口に引っかかって一瞬、止まってしまうほどの大きさにまで成長している。その下に滾っているマグマの熱を伝わらせているように、剛直と触れ合うオマンコからは熱がさらに激しくなっているのを感じた。その先端にある亀頭からは透明でドロドロのカウパーが溢れて、精液塗れの子宮の壁に塗りつけられている。
 
 ―しゃせーくりゅんね…っ♪どぴゅどぴゅしたいんだね…っ♪良いよぉ…っ♪一杯、ざーめん頂戴っ♪♪
 
 夫の絶頂、引いては私が待ち望んでいる射精を感じ取り、私の身体もまた動き始めた。まるで夫の動きを受け止めるようにすっと腰を浮かせて抽送に合わせて腰を落とす。ただでさえ強力であった夫の一撃は私の腰の動きと相乗効果となって私の背筋を振るわせた。勿論、快楽に震えるのは子宮も同じで、抽送でイった子宮がその肉壁を亀頭へと押し付け始める。そして、より身近で感じられるようになったオスの証に子宮が悦んできゅんと子宮口と膣肉を締め上げるのだ。
 
 ―もっともっとぉっ♪一杯、えろえりょするからぁっ♪気持ち良くしゅるから…ざーめんざーめんざぁめんっ♪♪
 
 ようやく感じる絶頂の予兆。それに喜色で一杯になった私の身体は密着した膣肉を蠢かせ始めた。裏筋辺りの粒粒を男根に押し付けながら、繰り返されるアクメと私の意志によって膣肉が左右に揺れる。まるでオチンポを磨き上げるようにぐちゅぐちゅと愛液と精液のカクテルを泡立てていくのだ。勿論、肉襞の多い上側も負けてはいない。抽送の度に細長い突起を絡ませながら、淫らな音をかき鳴らしている。密着した状態であっちへこっちへと引っ張られるそれらの襞はその刺激に嬉しそうに震えて夫を気持ち良くしている事だろう。
 
 ―勿論っ♪しきぅもねっ♪子宮のお口もドロドロなんらよぉっ♪♪
 
 そして本丸への道筋にある子宮口はきゅんと窄まるだけではすまない。夫のアクメをより激しいモノにしようと、その中に秘める襞の群れをオチンポに密着させるのだ。私以上に自分に正直なそこは強い快楽を受け取るたびにそっと緩み、締まるのを繰り返している。意図せずとも緩急つけられたそれらの刺激は夫をさらに追い立てているのだろう。興奮に染まりきったその顔が、きゅんと子宮口が締まる度に快楽に善がっている。
 
 ―あはぁっ♪しゅてきぃっ♪アンタも感じてくれてりゅんだね…っ♪ドロドロのロリマンコれ…っ♪グチョグチョの壊れかけオマンコでイキそうなんだね…っ♪♪
 
 既に私も夫もケダモノに完全に堕ち切ってしまっているのだろう。お互いに必死に腰を叩きつけあいながら、アクメへの階段を駆け上がっていく。そして一段ずつ昇るたび、激しくなるお互いの反応がより快楽を生み出しているのだ。まるでお互いに絡み合いながら何処までも上っていくような…いや、堕ちているような感覚。それに強い喜悦を感じた瞬間、夫の肉棒が弾け、待ち望んだ熱い感覚が私の子宮を満たした。
 
 「きゅぅぅっ〜〜〜〜〜〜っっっ♪♪♪」
 
 ついさっきも味わった射精の感覚。けれど、アレはもう始まった後からであった。一番、激しい…そして気持ち良い部分は過ぎてしまったのである。そして…今回はその最も勢いのある時点かたのスタートだ。ぐいっと子宮の壁に押し付けられた亀頭の先から叩き付ける様に、いや、子宮の壁を貫こうとしているように放たれたザーメンは私の子宮を歓喜と蕩悦で満たす。まるで精液の分がそのまま私の幸せに繋がっているように射精されればされるほど私の子宮は暖かくなっていくのだ。
 
 「ふああああああああっっっ♪♪」
 
 それがアクメへと結びつくのにはもう少しの時間が必要だった。あまりの快楽の量に脳が処理を遅れさせていたのだろう。そうして数秒のタイムラグの後、始まった快楽の受容は今までとは比べ物にならない。指の先が、足の爪先が、快楽に塗りつぶされて消えていってしまうのだ。触覚どころか神経さえも強すぎる悦楽に侵食されて、ぱったりと途切れる。まるでじわじわと黒いものに塗りつぶされているような感覚の後、私に残ったのは夫の逸物を受け止めるオマンコと子宮だけ。そして、その中で受け止める子種汁の濃さ、味、匂いが全てであった。
 
 「ひああああああっ♪♪んきゅううぅぅぅっ♪」
 
 まるで自分の身体がオマンコと子宮だけになったような感覚。それは私が内心、待ち望んでいたものであった。夫のオチンポの事だけを考えて生きていたいと、そう思っていたのである。けれど…そんな私でさえ、それは激しすぎる感覚だった。快楽を逃がす四肢もなく、それを処理する頭も失せて、子宮の感覚だけに没頭させられる悦楽。直接、叩きつけられるような快楽の波は私に震えるという自衛さえも許さず、私の意識をバラバラに引き裂いていく。
 
 ―くるぅぅぅっ♪来ちゃうぅっ♪アクメで染まっちゃうよぉぉっ♪♪
 
 そしてバラバラになった意識の一つ一つに精液が子宮の壁と触れ合う度に湧き上がる快楽が叩きつけられるのだ。普段であっても耐え切れるかどうか怪しいそれに今の私が我慢出来るはずも無い。あっさりと快楽の塗り潰され、黒い闇の中へと飲み込まれていく。元々、快楽漬けであった思考を取り込んだその黒い闇は私の全てに激しい悦楽を分け与えてくれた。
 
 「あぁぁ…っああああぁぁっ♪♪」
 
 終わらないアクメの源泉たる射精はまだまだ終わらない。まるで今までの分の仕返しをしようとばかりに快楽でグチョグチョになった私の子宮を蹂躙しているのだ。排卵官からその奥まで全部を精液で染めるような激しい快楽の波に私の子宮が白旗さえあげる。しかし、夫のオチンポはそんなのはお構いなしだ、と言わんばかり子宮の中で暴れまわって精液を撒き散らかすのだ。まるで子供がダダを捏ねる様に四方八方に熱くて、甘くて、美味しくて、とっても良い匂いのする子種汁を叩きつけてくれるのである。
 
 「ん…ふ…あぁぁ……♪♪♪」
 
 夫に支配されているメスの感覚。妻として夫に種付けしてもらっているという女の感覚。そして、愛しい子供に甘えてもらっているという母の感覚。それら三つが急速に満たされ、快楽を結びつく。身体中を飲み込んだ悦楽と混ざり合ったそれは激しさの中に暖かさを灯して、私の身体を慰撫してくれる。処理し切れなかった快楽までもようやく受け止めるのに成功した私の身体はぷつりと糸が切れたように夫の方へと倒れこんだ。
 
 「ふぁああぁぁっ♪んんっ…ひぅ…♪♪」
 
 そのお陰でゴリッと子宮で音が鳴って、オチンポと擦れ合う場所が急激に変わる。ついさっきまではスタンダードな騎乗位だったお陰で天井がメインであったのがその奥へと標的が変わったのだ。既に精液で満たされている部位をザーメンで射抜かれる感覚はさっきとはまた違った意味で新鮮である。甲乙つけがたい悦楽に私の子宮がまたアクメを迎えた瞬間、浮き上がっていた夫の腰も糸が切れたように地に堕ちた。
 
 ―きゅぅぅっ♪またズンって来たぁぁ…っ♪♪
 
 メスの子宮で射精しようとするオスの本能の所為だろうか。ついさっきまで激しく腰を動かしていた夫は射精の間は奥に突き入れるだけで殆ど動こうとはしなかった。その為、夫の射精が続いている数分間はずっと位置が固定されていたのである。力尽きたように倒れこんだ夫の背中から伝わる衝撃は、また一つ私の意識を塗り替え、強い悦楽に染め上げた。
 
 「…ひ……あ……あぁ…♪♪」
 
 とは言え、既に夫の射精の勢いは少しずつ弱まりつつあった。もう数分近くは射精しているので当然と言えば当然だろう。小さな精嚢二つの中に到底、収まっていたとは思えない精液が今の私の子宮には収まっているのだ。私が意識を取り戻す間に射精していた分と合わせれば一体、どれほどの量になるのか。それを感じる私自身、推測さえ出来ない。いや、したくはないと言った方が正確だろうか。
 
 ―あぁ…もう力はいんにゃい…♪♪
 
 夫が落ち着きを取り戻し始めたとは言え、私はまだまだ絶頂の最中にいるのだ。オスのものと比べて後を引くメスのアクメは普通のモノでも中々、終わらない。その上、今の私は愛するオスの逸物を子宮へと飲み込み、その子種汁を余す所なく受け止めた絶頂の中にいるのだ。散り散りになった意識も、手足の感覚も未だ戻らず、ひくつく子宮だけが私の世界であると言って良い。けれど、私にとってそれは途方も無い幸せな感覚で…ずっとこうしていたいと心の何処かで望んでしまうのだ。
 
 「きゅぅぅっ♪」
 
 しかし、私とは違い、夫はそうは思っていないらしい。まだ先端から射精を続けているというのに、私の身体をぐいっと持ち上げて床へと押し倒す。騎乗位から正常位の形へと移行された体位に私の子宮がきゅんと疼いた。だって…体位を変えると言う事はまだまだ夫は満足していないと言う事なのだ。まだまだ、私を貪ってくれると言う事なのである。メスとして、それに勝る悦びは中々、見当たらないだろう。そんな激しい喜悦に満たされた私はケダモノのような夫を受容するようにそっと微笑み、口を開く。
 
 「してね…♪アンタの思い通りに…じぇんぶして良いからぁ♪♪」
 
 その中のどれだけが届いたのか私には分からない。必死にそう言ったつもりではあるけれど、口に意識が殆ど言っていないのだ。まだまだ意識は散り散りのままであるし、本当に言えているかさえ分からない。けれど、桃色に染まった視界の向こうで夫がそれに頷いてくれた気がして…私の胸が小さく高鳴る。そのトキメキも渦巻くような悦楽に飲み込まれ、意識と共にバラバラにされていき…そして――
 
 ―私は完全に意識を快楽に乗っ取られてしまったのだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 「ひああ…ぁ…♪」
 
 意識を取り戻す事が出来たのは自分の嬌声のお陰であった。甲高いそれはもう何時間交わっているのか、若干、掠れさえしていて、何処か痛々しい。炉が燃える部屋で長時間、交わっていた所為だろうか。微かな痛みを訴える咽喉とは裏腹に私の全身はびっちゃりと濡れている。汗と愛液と…他、様々なものが交じり合ったそれは私が意識を乗っ取られていた間に激しい交わりがあったことを感じさせた。
 
 ―そして…今の余韻もぉ…♪
 
 まったく力の入らないオマンコは子宮口まで完全に外気に晒されていた。既に夫のオチンポが引き抜かれた膣肉は閉じる事を忘れるくらいに夫に蹂躙され続けていたのだろう。そう思うと胸が甘くときめいて止まらない。快楽で四肢が蕩けてさえいなければ、視界の端で心配そうに見つめる夫に抱きついていたことだろう。
 
 「…大丈夫か?」
 「ひん…っ♪」
 
 「うん」と答えようとしたものの、まだまだ口は上手く動いてはくれない。幾分、意識が回復してとは言え、まだまだ身体の芯に快楽の余韻を感じさせるくらいには残っているのだ。四肢もまだまだ動きそうもないし、あまり大丈夫とは言えないのかもしれない。
 
 「悪いな…ちょっと…ヤりすぎた」
 
 謝りながら夫の手が私の下腹部でそっと動いていた。恐らく開ききったオマンコから零れ落ちた精液や愛液を拭ってくれているのだろう。時折、秘所の周辺や内股に触れる布の感触がそれを教えてくれる。セックスの後始末をさせているという事に内心、申し訳なさが湧き出てくるが、今の私の身体はまるで動く気配がない。言葉さえ満足に漏らす事も出来ず、夫にされるがままになるしかなかった。
 
 「あんまり…無茶しちゃいけないってのは分かってるつもりなんだが…ホント、すまない」
 
 繰り返し謝る夫の顔には謝意の感情が見え隠れしていた。恐らく私の身体の小ささの事を言っているのだろう。どれだけドワーフが頑丈と言っても、見た目は幼児なのだ。そんな相手をこれだけ犯し尽くせば、流石の夫も良心が痛むのだろう。私自身、それを強く望んでいるとは言え、夫の良心をどうにかする事は出来ないのだ。やはり人間と言うのは見た目に強く左右される生き物であるし、夫も基本的には心優しい人なのだから。
 
 ―…ホント、ドワーフでさえなければ…ねぇ…。
 
 別に今の自分を恨むことはない。ifなんて考えても無駄なことだ。けれど…こうして夫の申し訳無さそうな表情を見る度に、どうしてもそう思ってしまう。私が…サキュバスやあのいけ好かないエルフであれば、夫は決してこんな表情はしないだろう。ボンキュッバーンな男好きする肢体であればもっと激しく貪ってもらえるかもしれない。それは…勿論、考えても無駄なことであるが…そう分かっていても…好いた男が見せる表情にどうしても考えてしまうのだ。
 
 ―…そもそも…ドワーフじゃなければこの人と会えなかった訳だし…ね。
 
 私と夫の馴れ初めと言う奴はとても単純で、ドワーフの集落から出た先で行き倒れていた夫を拾ったのが始まりだ。一体、何をしていたのかその身体は大小様々な傷だらけで身に着けていた装備の殆ども使い物にならなかったのを良く覚えている。普通は助からないであろう程の傷であったが、私の看病が良かったのか、それとも本人の回復力が優れていたのか。一週間もしないうちに夫は目を覚ました。
 
 ―けれど…そこからが大変だった。
 
 夫は反魔物領の人間で、魔物娘である私達に向かって敵意を剥き出しにしていたのだ。アレだけの重体でなければ剣を持って切りかかってきただろう。それほどの怒りと殺意が最初の夫にはあったのだ。今の悪戯小僧な姿からはまったく想像も出来ないが…その時の夫はまるで手負いの獣のように敏感で繊細で…そして臆病な子供だったのである。
 
 ―…そう。子供だったんだよね…。
 
 年の頃は15か16。まだまだ独り立ちするには早すぎるであろう年齢。それで…教団独特の立派な意匠を施された剣と鎧。それでいて…手負いの状態から私達に切りかかろうとするメンタリティ。ここまで揃えば…鈍感な私にだって大体の筋書きは理解出来る。その上…数日後には山に住んでいたサラマンダーの夫婦が『勇者』に殺されたという噂が流れてきたのだから尚更だ。
 
 ―勿論…そんな夫を放逐すべきだという意見は多数、あった。
 
 勿論、私達は決して人間を嫌っているわけじゃない。けれど、付き合いのあったサラマンダーの夫婦を殺した相手と知って容赦出来る程、広い心を持っている訳じゃないのだ。流石に殺される前に殺すべきだ!とまではいかなくとも、どうしてそんな奴を匿わなければいけないのかと言われたのは一度や二度ではない。けれど…私はどうしても夫の瞳に宿る脅えるような色が気になって、夫を放っておけなかった。本当は私達なんて歯牙にもかけないほどの実力を持っているはずなのに、私達を怖がる夫の様子に母性本能を擽られたのだろう。
 
 ―まぁ…それから少しずつ構うようになって…。
 
 動けない夫の世話――それこそ食事や排泄までを私は一手に引き受けていた。最初は夫もそんな私に敵愾心を剥き出しにしていたものの、少しずつ敵意がないと分かってきたらしい。ゆっくりと私に心を許してくれるようになり…私もまたそんな夫に向かって胸をときめかせるようになった。それで…まぁ、ある日、我慢出来なくなった私は夫を襲って…こうして結ばれた訳である。
 
 ―けど、それでハッピーエンドとはいかない訳で……。
 
 元気になって出歩けるようになった夫に向かって、一人のドワーフが「人殺し」と叫んだのだ。…そのドワーフは殺された夫婦とも仲の良かった子で…我慢出来なかったのだろう。そのまま何かする訳でもなく、涙ながらに立ち去ったのだが、夫はそれに何か思うところがあったらしい。次の日には集落を出て、街へ降りると言い出した。夫にとってこの集落が居心地が良くないと理解していた私もそれに頷き、山の下へと引っ越してきた訳である。
 
 ―でも、その街は決して治安が良いとは言えなかった。
 
 人間であった頃からドワーフと交流があった一部の商人が富を抑えて、一点集中化が起こっていたのだ。他の人間は二束三文で土地を買い上げられ、馬車馬のように働かされていたのである。そんな状態で人が生きていられる訳もなく、奴隷商が奴隷を連れて大来を歩くような治安だったのだ。それに心を痛めた夫は『勇者』であるという肩書きを利用して商人らを捕まえ、さらに、長年、権力の座として独占されてきた町長を奪ったのである。そうして一大権力者となった夫は街に改革を齎し、富の再分配を行ったのである。お陰で一部で独占されていた経済が急激に回りだし、街は大きくなっていったのだ。
 
 ―…まぁ、それはもうマグマの下に埋まっちゃったんだけれどね。
 
 けれど、それらの手腕が評価されて、こうして避難所でも夫はリーダーシップを取っている。その手腕は他の者が舌を巻くほどのもので見事なものらしい。私は井戸端会議や噂話しか知らないけれど、近くの村や町とも合併しているここで頂点に君臨し続けているのだからそう間違いではないのだろう。そんな夫が誇らしい反面…どうしても心が痛んでしまうのだ。
 
 ―だって…この人は多分…贖罪の為に今の地位にいるのだ。
 
 教団が目溢ししていた悪徳商人を捕まえたのも、街を大きくしたのもそう。二人の人間の命を奪った償いとして、夫は数多くの人を救おうとしている。…それがより顕著なのはあのベルと言うサラマンダーの件だろう。普段は公正であろうと心がけている夫はあのサラマンダーの娘に関してだけはやけに肩入れするのだ。病院で雇ってもらえるように手回ししたり、その相手の男が職につけるように手回ししたのもそうだろう。それはきっと……自分が殺した夫婦の娘…だからだろう。
 
 「…どうした…?」
 「…ん…なんれもない…よ…」
 
 考え事に没頭している間に少しは口も回るようになったらしい。また心配そうに顔を覗き込んでくる夫にそう返すことが出来た。それに夫は顔を少しだけ綻ばせて、笑ってくれる。出会った時よりも少しだけ成長した青年の笑顔に私もまた釣られるように微笑んで、震える腕をそっと夫へと伸ばした。
 
 「わ…っ」
 
 驚いた声をあげつつもすっと頭を抱き寄せた私の腕に夫は抵抗はしない。寧ろ首の力を抜いて身体をそっと預けてくれる。外では頼りになる有能なトップとして街を運営する夫がそうして頼ってくれるのは私くらいなものだろう。そう。私しか…私しか夫の傷を理解して、甘えさせてあげられないのだ。
 
 「私は大丈夫だから…もっと甘えてもいいんらからね…」
 「…ん」
 
 ―夫はもう十二分に贖罪を終えているだろう。
 
 その手で救った命は一人や二人では効かない。生まれた命も含めれば三桁を優に超えるだろう。しかし、それでも夫は止まろうとしない。自分で自分を追い詰めるようにして『立派な町長』を演じ続けるのだ。それが…私にとっては酷く痛々しい。まるで自分で自分を傷つけるようにして、人の期待を背負って立つこの人がとても悲しく思えるのだ。
 
 ―…けれど、夫を許す権利を持つ人はもうこの世にはいない。
 
 私がどれだけ言っても、夫が自分を許しても、夫は決して許されない。その権利を持つのは既にこの世にいないあの夫婦だけだからだ。他の誰以外が何と言おうとも…夫の贖罪は終わらない。きっと死ぬまで永遠に続いていくのだろう。
 
 ―なら…私だけでも許してあげるしかないじゃないか。
 
 私が一緒に夫の罪を背負うことは出来ない。出来ればそうしたいけれど、夫はそれを許さないだろうし、そもそもそう言う物ではないのだ。ならば…私だけでも、その罪の重さを少しでも忘れられる女になってあげたい。多くの人のように『有能な町長』ではなく、『等身大の夫』として、何もかもを受け入れ、許してあげたい。夫が…少しでも心から笑えるように、その悪戯小僧のような顔を忘れないようにしてあげたい。
 
 「…でも、あんまり子供扱いするなよな。俺はもう60超えた爺さんなんだぜ?」
 「私にとってはアンタは何時までも可愛い子供だよ」
 「…さっきはあんなにあんあんって喘いでた癖に」
 「お黙り」
 「痛っ!!」
 
 口答えする夫の後頭部をコツンと叩いてやる。けれど…こうして子供っぽく口答えするのは私の前だけなのだ。そう思うと怒りなどの感情よりも先に愛しさが湧き出てしまう。そして、その感情が導くままにそっと抱きかかえた私の手は夫の頭を撫でた。まるで世界中のどんな宝物よりも大事なモノを抱きかかえるように、そっと優しく、慈しむように。
 
 「…あの…さ」
 「…ん?」
 「イカ臭いぞお前」
 「…アンタの出したものなんだから少しは我慢しなさいよね」
 
 折角満ちた良い雰囲気が夫の言葉でぶち壊しになってしまう。思わず顔を歪めてそう返事をするものの、夫の頬が少しだけ赤くなっているのが見て取れた。恐らく…と言うか間違いなく、気恥ずかしいから冗談で逃げたのだろう。もう何十年もこうして一緒に居る癖に夫はこう言う所だけは妙に初心なままなのだ。
 
 ―まぁ…許してあげるかね。
 
 それに夫の言っていることも分からないでもない。一体、最後の方はどんなプレイをしていたのか私の小さな身体は白濁液に塗れていた。セックスの最中に投げ捨てた上着もなく、生まれたままの姿である私がオスの残滓をこべりつかせているだけで妙に背徳的であろう。その上、スンスンと鼻を鳴らせばスズやリンの匂いを上書きするようにオスとメスの交わりの香りが部屋中に満ちているのだ。まずは何をするにしても身体を綺麗にして、部屋を掃除しないといけないだろう。
 
 「さて…それじゃあ一緒に風呂に入るよ」
 「…え?俺もかよ?」
 「当たり前。仮にも町長がそんな精液と愛液の匂いをぷんぷんさせてる訳にはいかないでしょ。とっとと入って、部屋の掃除もしないと」
 「…つっても、一緒に風呂に入ると…なぁ」
 
 納得のいかなさそうな夫の気持ちは…まぁ、分からないでもない。ある程度、理性を取り戻したとは言え、興奮はまだまだ下火として残っている。そもそも本気でセックスを始めれば一日どころか三日は繋がっていてもおかしくないくらいなのだ。それを途中で無理矢理、切り上げているのだから欲情が収まるはずも無い。その上、一緒に風呂に入ったらどうなるか。火を見るより明らかだろう。
 
 ―とは言え…そのまま放置するのも…ね…。
 
 普段は肉体を魔術で変化させて老いた姿になっているから今の夫を見て町長と結びつける人間は少ないだろう。けれど、念には念と言う奴を入れておかなければならない。ここの最高権力者が女に溺れているなどと噂になれば、彼の経歴にも傷が着いてしまう。特にこの避難所はまだまだ不安定で娯楽にも飢えているのだ。下世話な噂話など立ってしまえば一瞬で町中に広まってしまうだろう。
 
 「それもアンタが我慢すればいいだけの話だよ」
 
 そっけなく言い放ちながら、夫の頭をそっと解放して立ち上がる。うーんっと身体に残る気だるさを追い出すために背伸びをすると、内股に生暖かい感触が流れて落ちて行った。恐らく私の子宮に収まりきらなかった夫の精液だろう。たぷたぷと揺れる下腹部はもうオチンポも入っていないと言うのに膨れているくらいなのだから。
 
 ―…あ、やばい。またちょっとジュンって来ちゃった…♪
 
 精液で一杯になっている子宮の中を意識した所為だろうか。じゅんっと奥から漏れる暖かい感覚に、思わず内股を摺り合わせてしまう。けれど、そっけなく言った身としては、ここで夫に襲い掛かるわけにはいかない。私にだって年上の意地って奴があるのだ。そう簡単に欲望に負けた姿を夫に晒したくはない。
 
 ―でも…誘惑するくらいなら良いよね…♪
 
 「…まぁ、アンタがしたいなら…しても良いんだけれどね」
 
 きゅっと夫へ向かってお尻を突き出すように腰を曲げる。そのまま艶かしくゆっくりと振ってやると後ろでゴクリと咽喉を鳴らした音が聞こえた。夫のオチンポの所為で半開きになったままの膣肉から精液をあふれ出させる姿が夫の目に触れているのだから当然だろう。私と交わってから急激にその性欲を伸ばしてきた夫にとって、それはきっと刺激的過ぎる光景だ。
 
 「さぁ…どうする…♪まだ…ロリマンコでグチョグチョしたいのかい?」
 
 甘えるような口調とは裏腹の挑発するような言葉。それと同時に両手で尻たぶをそっと開いてやると夫の手が私の身体を抱きかかえた。無理矢理、抱かかえられ、足が地に着いていない感覚に小さく悲鳴を上げてしまうが、その声には媚が強く浮かんでいる。ケダモノの欲望を丸出しにした夫に抱かかえられているのだ。その行き着く先など一つしかない。そう思う私の声に男を誘うような色が混ざっていても不思議ではないだろう。
 
 「んふ…♪これからどうするの…?お風呂場…それとも…ベッドかい?」
 「…両方だっ!!」
 
 私を抱かかえたまま力強く足を進める夫は、これまた力強く言い切った。つまりそれは…一度や二度では満足するつもりは無いと言う事なのだろう。いや…それどころか今日は寝かしてもらえるかすら怪しい。興奮した夫の様子はそう思わせられる程の迫力があったのだ。
 
 ―やれやれ…これじゃあ掃除は明日になるかな…♪
 
 内心浮かぶ困っているような言葉。しかし、その声は喜悦塗れだった。さっき味わったメスとしての最高の悦びをまだまだ与えてくれるのだと、愛しいオスに身体中を征服されて子宮を犯されるのだと、その気持ちで一杯で他の何も残ってはいない。
 
 「しょうがないねぇ…♪付き合ってあげるよ…♪」
 
 そんな風に強がりながら、子宮から精液混じりの愛液を垂れ流した私は、そのまま夫の手によって風呂場まで運ばれて…そして
 
 ―結局、風呂場で十回、ベッドで十三回と眠れない夜を過ごしたのだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
12/08/13 12:56更新 / デュラハンの婿

■作者メッセージ
 色々、リアルであった所為でお待たせしましたー。
 姐御系魔物娘一人で推進企画(仮)第二段のぺドワーフさんです!!

 ちっちゃい身体を一杯埋め尽くしながら、
 夫のモノを飲み込んでくれるぺドワーフさんマジエクストリームロリ^q^
 何か姉御系って言うよりはダメンズウォーカーな面が強くなってしまいましたが、
 さしたる問題はありません!!多分!!!←
 実際、一部の魔物娘さんは独り立ちした男よりも駄目な男の方が好きそうですs

 それはさておき。
 第三弾はアカオニさんの予定でしたが、ずっと書きかけのまま放置してる魔物娘さんがいい加減、私のことを襲ってくれそうな素敵な…もとい恐ろしい目で見てくるので、そちらに取り掛かろうと思います。

 そんな訳で需要があるのか分からないオナニー企画は少しお休みになってしまいます^q^
 もし、楽しみにしておられる方がいたら申し訳ありません。
 必ず書くのでもうしばしお待ちくださいますようお願いいたします(。。

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まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33