連載小説
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彼らのバレンタイン 夜編 3 三つの運命
とりあえず分身薬の効果が出て三人に分かれる

和也「なら、始めるか」

楓『はい』

雫『はい』

瑠璃『うん』





そして、彼女たちがまた周囲の景色を魔力で変化させていく…





明日はいよいよ魔王討伐に出発する、気を引き締めないと…

和也「…寝れないな」

しかし寝付けるわけもない

瑠璃『起きてたの?』

瑠璃はドレスを着たお姫様の役だ

和也「おや、お姫様がこんな時間まで起きているのですか?」

時系列は魔物が今の姿になる前の時代で魔物に故郷を滅ぼされた男が俺の役だ

瑠璃『明日は、いよいよ出陣らしいわね』

和也「ええ、まあ役に立つかはわかりませんがいってきます」

瑠璃『…寝れないなら少し話の相手をしてくれるかしら?』

和也「あまり噂を立てられたくは無いですが、寝れないならその方がいいかもしれませんね」

瑠璃『貴方、どこから来たの?』

和也「この辺りですかね…」

瑠璃『確かこの辺りは、狩りで生計を立てているって聞いているわ』

和也「ええ、俺の場合は密漁者を狩ってましたが」

瑠璃『治安維持の仕事をしていたのね…』

和也「ええ、その相手を殺す技量が買われてここに召集されたというわけです」

瑠璃『家族は反対しなかったの?』

和也「…みんな化け物に殺されたので」

瑠璃『!ごめんなさい…』

和也「いえ、なのでどちらにせよこの戦いには意味がありますし」

瑠璃『!!』

彼女は何か覚悟したかのように俺を見た。その意味がわかるのはもう少しだけ後のこと…





















ここでの俺の役はリゾートに保養に来た男の役だ

和也「ふう…」

今日は踊り子が踊るイベントがあるらしい

雫『〜♪〜♪〜♪♪』

彼女は?

和也「ここでなにを?」

雫『お兄さん、ここの人じゃないですね』

和也「ああ、保養のためにここに来た」

雫『ここはどうですか?』

和也「なんというか、すんだ海初めて見た」

雫『綺麗ですよね…♪』

和也「君は、踊り子なのか?」

雫『今回は選ばれなかったんだけどね』

和也「???」

雫『踊れる人数に制限があるから』

和也「なるほど…良かったら」

雫『良いよ、なら、場所を変えましょうか♪』

そのまま人が来ない海岸の外れにある林に来た

和也「こんなところが…」

雫『ここは、私の思い出の場所』

和也「???」

雫『見習いのときここで練習してたから』

和也「なるほど…」

そのまま彼女は先程の踊りを最初から始める

和也「…!」

なんというか、見たことのない踊りだがそれが新鮮で見入っていた…

雫『お兄さん、変わってるね』

和也「???」

彼女が踊り終えると開口一番にそれを言った

雫『この地で踊り子に声をかける男の人って基本的にその踊り子をお持ち帰りしたい人だから』

和也「だから魔物の踊り子が大半なのか…」

雫『そういうこと♪』

彼女の眼が、見たこともないものを宿す、眼が離せない…



















今回の俺の役は、異界の魔王軍の幹部で魔王が倒され再起を図ろうとしている男らしい

和也「…よし、あとは材料集めだな」

順調に下準備が終わり、後はいくつか足りない材料を集めるだけだ

???『見つけたわ!魔王軍の残党!!』

和也「こんなところまで来るとは…しつこいな…」

勇者の格好をした楓が俺の研究室のドアを開けた

楓『貴方に魔王を復活させはしない、せっかくつかんだ平和を壊させはしない…!!』

和也「下らないな」

楓『下らない?貴方も同じ人間でしょう?なぜそんなことが言えるの?』

和也「確かに、遺伝子は人間だな。心は魔物だが」

楓『!?』

和也「俺は、話によるとある金持ちが無理矢理さらってきた女が産んだ子供らしい。そのあとにその女は首を吊った」

楓『…』

和也「そして、俺は奴隷として育てられた。本妻との間に子供が産まれたからな」

楓『…』

和也「俺が人間を憎むようになるのはそうかからなかった、何度も死にかけたくらいだしな。だがあの魔王が偶然俺のいた地に侵攻してきたことで俺の運命は変わった」

楓『…』

和也「魔王の軍勢は俺を半殺しにしたやつらを片っ端から惨殺していった。そして俺はその強さに魅入られていた」

楓『…』

和也「俺は頼み込んだ。雑用でも何でもするから連れていってほしいと、人間が憎い、力が欲しいとな」

楓『そんなことが…』

和也「そして、俺は自分の執念と憎悪で生物的には人間だが幹部まで登り詰めた、今までの侵攻は俺が半分くらい立案したからな」

楓『だから人間の醜い面を利用した作戦が…』

和也「お前たちは正しいことをしているのかもしれない、だがそれは俺や少数を抹殺した上で平和を得ようとしている。お前たちにその少数を根絶やしにするか恨まれる覚悟はあるか?」

楓『…』

和也「俺にとっての父は魔王様だ、絶対にこんなところで死なせはしない。」

楓『ごめんなさい…』

和也「そうか、恨まれる覚悟をしてでも俺を止めるか」

楓『勇者なら、貴方のような人こそ最初に助けなければいけないのに…』

そのまま彼女は俺を抱き抱えた、なんだこいつは…

彼らのバレンタイン 夜編 3 三つの運命 おわり
20/02/04 23:33更新 / サボテン
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■作者メッセージ
どうも、サボテンです

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