連載小説
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外伝その3 手本
ドアを開けると、そこにはあの人間モドキは一人も立っていなかった。いや、正確には一人だけ「立たされて」いた。

「ん、よう。怪我大丈夫か?」
「は、はい・・・。」
「どうした?面白ぇ顔して。」
「いえ、あ、あの・・・。」

先程俺を助けてくれた男性は右手で鎌を担ぎながら件の人間モドキを左手からの魔力で浮かせていた。しかもそれがさも当然な顔で、だ。

「な、何をして・・・。」
「名乗り遅れたな、俺の名前は瑞桐卓(みつきり すぐろ)。いい機会だ、一つ講義をしてやろう。」
「は?」

こんな時にこの人は何を言っているのだろう。

「こいつらはな、元々死人だ。」
「・・・・・・。」
「気付いてた、って顔だな。ただ、それだけじゃねぇ。こいつらは・・・。」

そう言いながら卓さんは浮いている人間モドキをゆらゆらと揺らす。

「造られた命なんだよ・・・。」
「え・・・。」
「人造人間・・・って言やぁ分かるか?」

・・・この人が何を言っているか分からない。人造人間?造られた命?そんなの馬鹿げている。しかし、卓さんの顔は至極真面目で、それが嘘だとは到底思えない。

「「夕暮れ」・・・。それがこいつらの組織の名だ。」
「夕暮れ・・・。」
「ま、詳しい事は聡世さんに聞いてくれ。・・・それよりも、こいつを楽にしてやらないとな・・・。」

卓さんは体を回転させる。一体何を・・・。

バン!!

卓さんが廻し蹴りを当てると、大きな破裂音がして人間モドキの体が破裂した。

「な・・・!?」
「・・・人間の体ってぇのはな、正しく伝達させれば自分の体重の三倍まで力が出せるんだ。」
「い、今、爆発して」
「・・・さ、この部隊の隊長さんの登場みたいだ。」

そう言いながら卓さんは通路の入り口の方を向いて鎌を肩から下ろし、地面に付くか付かないかの所で止めた。卓さんの見ている方向を見ると、戦国時代の武将のような甲冑を滴る血で染めた男が立っていた。

「俺は・・・。」
「芳養荷栖はやられたか・・・?まあいい・・・小僧、よく見とけ。これが本当の『戦闘』だ。」
「え・・・。」
「居合『帝釈天』。」

次の瞬間、甲冑の男の姿が消えた。そして突然の乾いた音と共にいつの間にか男と卓さんが刃を交わしていた。

「・・・速ぇな、コイツ・・・!」
「・・・・・・。」
「流石に『素』じゃキツイな・・・。お前さんにゃ悪いが、ちっと『本気』になるぜ・・・!」
「・・・・・・!」

甲冑の男が卓さんの蹴りで弾き飛ばされる。先程の人間モドキの様に爆ぜるかと思いきや、甲冑の男は受身を取って何事も無かったかのように着地した。

「小僧、戦闘に置いて一番重要なことを教えてやる。良く覚えとけ。」
「え・・・・・・。」

甲冑の男がまた居合の構えを取っているのに気が付いていないのだろうか。横目で俺のほうを見ながら、卓さんはにやりと笑った。

「あぶな・・・!」
「『心』を捨てろ。」
「居合『梵天』」

ガギイイイイ・・・ン!

先程とは違う乾いた音がし、俺の目の前に何かが突き刺さった。目を向けてみると、それは折れた刀。その先には根元から折れた刀を振り切った甲冑の男。そしてそれを光の無い目で冷ややかに、そして無表情に見つめて鎌を持っていない右手を拳にして突き出した卓さんがいた。

「・・・・・・!」
「・・・・・・。」

卓さんは無言のまま、素早く甲冑の男の兜に包まれた頭部と鷲掴み、そのまま通路の壁に思い切り叩き付けた。凄まじい音と共に壁に罅が入る。しかし甲冑の男は苦痛で顔を歪める事もなく腰から脇差を抜いて卓さんに斬りつけた。しかし、それは卓さんに当たることなく空を斬る。

「う・・・が・・・!」
「・・・・・・。」

甲冑を着た男が苦しそうな声を上げる。どうやら卓さんが兜ごと握りつぶそうとしているらしい。しかし潰れない事が分かると、卓さんは今度は男を持ち上げ左手の鎌を甲冑の男の首筋に静かに当てた。

「・・・カッ・・・!」
「・・・・・・。」

甲冑の男が一瞬苦しんだかと思うと、その体は卓さんの漆黒の鎌によって大きく4つに裂かれた。

「・・・ふう。」

卓さんは軽く溜息をつくと、黒衣の裾を正した。

「これにてレクチャー終了だ。・・・今の言葉、しっかり覚えとけよ?」

そう言いながら、卓さんは此方を向いて今までの冷酷な無表情が嘘のようにニヤリと笑った。
11/10/25 21:08更新 / 一文字@目指せ月3
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■作者メッセージ
今回は戦闘オンリーなので短いです。

・・・う〜ん・・・。
やっぱり下手なのかなぁ・・・?
やばい、自分の作品に自信持てなくなってきたよ・・・。

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