連載小説
[TOP][目次]
首なし騎士の断頭台 下
首なし騎士の断頭台 下







注意: 生首のデュラハンがチキチキされます。心が海の様に広い紳士淑女の皆様のみお進みください。
























生首を掲げ、民衆に見せつける。女勇者は断頭台の露と消えたのだ。落ちた魔界銀の刃が歓喜に震える愚かな民衆を嘲笑うようにギラリと白昼の太陽を浴びて冷たく光っている。

『さぁ、目覚めよヒルダ……ヒルダ・ベルリオーズ……』

私が呼びかけるとヒルダの生首は蕩けた顔で笑い、魔力が溢れ出し、自らの髪を亜麻色から夜色に染め上げていく。勇者の証しであった金色の瞳は今やアメジストの様な紫色に禍々しく染まっている。

ザッ!!カッ!!

絨毯の横に並んでいた兵士達が一斉に首を外し、左脇下に抱え、銃剣が付いたライフルを顔の前に掲げ敬礼をした。……そう、この処刑を守護していたのは通称首なし軍団のディュラハンの兵士達。彼女達は全員、元勇者だ。つまり全員、首なし騎士の断頭台で首を切られている。

首なし騎士の断頭台……それは魔界銀で作られ、その刃にはびっしりと強力な魔法陣術式が施されている。処された者を強制的に不死者デュラハンにする術式だ。刃が生体に触れた瞬間、魔法が発動し対象をデュラハンに変える。デュラハン供は股同様に首が緩い。だからギロチンを落とした瞬間に首が落ちる。正にデュラハン製造機と言う素晴らしい代物だ。そうは思わんかね?


"おめでとう!おめでとう!"

"新しい仲間だ〜"

"首なし軍団にようこそー♪"

"歓迎するわぁ!"

"いいなぁ〜!首切り直ぐに旦那様と一緒かー"

"恵まれてますよねー♪"

"ベンジャミン様の粋な計らいね!"

"ロマンティックだわぁ……"

"私も黒衣の聖者様に首を切られたかった〜"

"早く戦場で旦那様が欲しいわー"

"""キャハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!"""


首のない兵士達は新たな同胞の誕生に敬意を表している。その厳しい様子とは対照的に彼女達の頭のあった場所からは人の顔を形取る桃色の靄のようなガスの様なものがユラユラと立ち上り、祝福を謳う。こいつ等は首を落とすと頭まで緩くなるようだ。

ヘクトールは訳が解らないと言う様子で、目の前の常軌を逸した光景に怯え、口をパクパクさせている。

私はダフネに命じて台を置き、目隠しを巻かせ、ヒルダの生首をその上に置く。

『おめでとう。今日はお前の誕生日だ。』

『あははは……あひゃ……いひっ……』

未だ幸せそうに蕩けた顔で笑っている。余程気持ち良かったのだろう。

『ダフネ……アレを持ってこい』

『はい。旦那様……』

ゴリッ……ガン"!!!

『あびゃあ!!??』

ビクン!ビクン!

『うおぇ!……お''ろ''ろ''ろろろろろろ』

ベシャッ……

少々苛立ちを覚えた私は愛しの従僕であるダフネから渡された魔界銀の金槌を握り、同じく魔界銀で出来た釘を生首の脳天に思い切り打ち込んだ。すると、未だ断頭台に固定されたヒルダの身体は痙攣し、ションベンを漏らし、生首の口から泡を吐き出した。それらを見ていた闘技場の民衆は笑い賛美を我々に送りつけた。

『おはようヒルダ。気分はどうだ?』

『さ、さい……こう……れすぅ……うぷっ……わたし?どうなって……?あはぁ♪』

『お前は私に首を落とされ、魔物娘デュラハンに生まれ変わった。ククク……喜べ、アン・デットだ。私は殺しても死なない身体を、老う事のない美しさを、そして永遠の命をお前に与えた。』

『そ、そんらの……しゅしん……らまがぁ……しゅしん……さまがぁ……おゆるしに……らならい……』

まだ主神と言うか……主神の祝福とは呪いのようだ。それを受けるのが勇者……か。少し哀れんでやらん事もない。

しかしまぁ、このまま主神様!主神様!……と言われるとなるとヘクトールも可愛そうだ。デュラハンになったのに魂が胴体から出ていないのはまだ主神への信仰と彼女自身の強靭な精神力と理性が壁になっているせいだろう。

司教の称号を持つ者として、迷える仔羊を導いてやらねばなぁ……

私は自身の右手親指にある国家拷問官の証しである魔界銀の指輪を高く掲げる。

『我、"黒衣の聖者" は国家拷問官、堕落神教会司教の権限の下に禁魔魔法魔術、禁道具仕様権並びに異端審問権を発動する!』

"発動を承認します♪"

国母カタリナ様直々に承認を得た。なんと私に幕屋から手を振って下さった。気楽な事だ。

『さぁ、自分自身に正直になりなさい。お前の欲望を、渇望を、堕落神はお喜びになるだろう。』

ゴリ……

『しゅしん……さまぁ……わた……わたしは……』

ガン!!ガン!!

『へぐぅ!??ぶひゃらぁっ!!?』

ビクン、ビクン!ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ

今度は2本の釘を打つとヒルダは素っ頓狂な声を上げ、断頭台の上の彼女の身体は壊れたカラクリ人形のように痙攣した。

私は魔法のペンを取り出し、快楽の呪印を空中に浮かべ、その呪印をヒルダの頭に刺さっている魔界銀の釘に触れさせた。すると吸い込まれる様に釘に取り込まれ、ヒルダの頭がピンク色にボウ……と光る。

ククク……何が起こったと思う?

魔界銀には武器や道具として生体に使用した場合、衝撃を与え、傷つけずに戦闘不能にする効果に加えて、魔力や精を伝導する性質がある。

例えば、人間の兵士でも魔法の心得がある者はマスケット銃の弾丸に魔力を帯びさせ射出したりする。そう言った場合、魔力で物質を包む必要がある。しかし、魔界銀を使えば魔力を帯びさせる必要はなくなる。自分の体の一部のように魔力や精力を込めれば魔界銀それ自体が魔力や精力を内部から外に向かい放出する。つまり物質を魔力で包むプロセスが必要なくなるのだ。結果、格段に魔法が強化される。

そして最大の特徴は魔界銀自体が魔力を伝導し魔力を直接放出する……

さて、諸君らは考えてほしい。魔界銀の釘に取り込まれた呪印は何処に行った?

それは……ヒルダの脳みその中だ……。

生体に使えば間違いなく快楽を求めるだけの廃人になるが、こいつはアン・デットだ。問題ない。

『さあ、教義を始めよう。お前の名は?』

『ひるだ……ひるだ……べるりおーず……』

『お前は何者だ?』

『わらし……?わらし……は……ゆうしゃ……』

ゴリ……ゴギンッ!!

『あ''お"ぉ''ぉ!!』

白目を剥いて叫び声にもならない獣の様な声が響く。

『もう一度聞く。お前の名前は?』

『ひるだ……ひるだ・べるりおーず……』

『よくでしました。……ヴェニ・イジュトゥール・マギ・マキュリアス(来たれ、魔水銀)』

そう唱えると銀色の液体が現れた。この銀色の液体には私が意のままに操る操作術式が掛けられている。銀色の液体を操り、ヒルダの耳の穴に入れ……

くちゅう……くちゃあ……ぷちっ…………くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ……

『ひぁあ❤……あへ……あっ……あっ……あ、あ、あ、あ、あっあああああ❤』

耳の中をかき混ぜる。すると、ヒルダは顔を蕩けさせ涎を垂らしながらだらし無く逝き狂う。

銀色の液体の正体は魔水銀と言う物質だ。魔界銀の液体金属である。これなら、傷つける事なく脳みそを直接弄り回せる。鼓膜を通り抜け、そこから脳に侵入させる。魔水銀が与える蕩ける様な快楽をじっくり教えてやろう……

『ヒルダ、お前は何者だ?』

『わらし……?わらし……は……ゆうしゃ……』

ゴリ……ゴギンッ!!

『あ''ぎお"ぉ''ぉ!!』

こちらの質問に対して、良い返事をすれば魔水銀で蕩ける様な快楽を。良くない返事をすれば魔界銀の釘で暴力的な快楽を。さぁ、楽しい楽しい洗脳(教義)のお時間だ♪

『……お前はデュラハンだ。魔王の兵士だ。』

くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ

『あひゃぁぁぁぁぁ……はひっ❤……い❤い❤い❤……』

『もう一度聞く。お前は何者だ?』

『でゅらはんれすぅ……』

くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ……

『はぇぇ〜〜❤❤❤❤❤❤』

『お前が剣を捧げるのは誰だ?』

『しゅ……しゅしん』

ガン!!!

『げぶゔ!!』

くちゃくちゃくちゃ……

『お前が剣を捧げるのは主神じゃあない。魔王だ。魔王だ。』

『まお……う……?』

『そうだ。お前が剣を捧げるのは誰だ?』

くちゃくちゃ……

『ま……まお……う……さま。』

くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ……

『あへぇらふへ〜〜〜❤❤❤』

『そう。魔王様だ。良く出来ました。お前はヒルダ。デュラハンにして魔王の兵士。』

魔水銀を操りながら、聴覚強化の術式を付与する。拷問の効果も上がり、これから戦士として働くであろう。耳が良い事に越した事はない。

くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ……

『わらしは……ひるだ……でゅらはん……ま……おうの……へいし……』

くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ……

『そうだ。教団は悪だ。主神教は悪だ。』

『???』

グリッ……どちゅ!どちゅ!

『がぁぁぁああ!!!ぎう!ぎう!』

釘を指でつまんで乱暴に抜き差しする。

『教団は悪。主神教は悪。』

くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ……

『ひうぁ……きょ……うだん……は、あ、あく……しゅしん……きょう……は、あく……』

くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ……

『そうだ。人間は悪い主神や主神教に騙されているんだ。魔物娘は正義。魔物娘は正義。』

くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ……

『にん……げんは……だ、だま……され……て……まも……の……むす……めは……せい、せ、せいぎ……』

くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ……

『魔物娘は人類を主神から救う。魔物娘は人類を主神教から救う。主神は悪。主神教は悪。』

くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ……

『ま、ま、まもの……むす……めは……じんる……いを……しゅしん……から……すく、すく、すくう……まもの……む……すめは……じんるるるるい……を……しゅしん……きき、きょうかから……すくう……しゅしんはあく……しゅしんきょうはあく……』

『ククク……良いぞ。ご褒美だ。』

くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ…………

『あひゃぁ❤あ❤あ❤あ❤あ❤あ❤あ❤あ❤あ❤❤❤』

まったく……酷い顔だ。



『ヒルダ!!ヒルダ!!くそっ!くそっ!!!』

地べたに目を向けると拘束魔法で縛られたまま声を上げていた。

ヒルダがだらし無い顔を晒して逝き狂っている間にこいつを虐めてみるか……

ご丁寧に私が歩み寄ると睨みつけてくれたではないか。

『ベンジャミン!!ヒルダを……死体まで愚弄したな!!よくも!!!よくも!!!!』

『おぉ、恐い恐い。……だかな?ヒルダという勇者はもういない。いや、彼女はもとより勇者ですらないかもしれんなぁ。』

『勇者じゃ……な……い……だと?』

『……では聞くが、ヘクトール。お前達は一体何処の誰と戦ってきた?』

『何が言いたい……』

ヘクトールの顔が曇っていく。

『もちろんヒルダやヘクトール……お前達は魔物とも戦って来たがツェーリ傭兵団の傭兵として派兵されれば人間とでも戦ってきたのだろ?救うはずの人間を何人手に掛けた?』

『……戦争だったんだ。仕方がない…… 』

……これが勇者と教団そして人間の現実だ。勇者はその存在そのものが兵器と同義語だ。魔物の侵略から人類を守る英雄……それは建前だ。実際には、奴らが悪だ、いや奴らが悪だと敵対する人間の国同士での戦争に投入され、主神教団上層部を含む腐敗を極めた権力者の利権と富の為に戦場に行き兵器として戦争に利用される。

殆どの主神教国、反魔物国家、主神教会寄りの中立国は親魔物国家や魔界などとは戦争していない。それを他所に人間同士で醜く争い、西の大陸の富と利権を奪い合っているのが現状だ。だから勇者と勇者が戦場で殺し合う事が少なからずある。

ツェーリ自由中立国の傭兵団はその最たるもので、金さえ払えばどんな国にも、どんな戦争にも兵を派兵している。金次第で主神教に手を貸し、魔王軍に兵士を送り、国同士の争いを支援する。事実として先のオランジュ独立戦争然り主神教国同士の戦争にも魔王軍介入以前の比較的早期に勇者を含む傭兵をイスパール王国へ派兵している。

そして、なお悪いことにそのような状況にあるのにもかかわらず、現実を目の当たりにしている当の勇者や主神教上層部の多くが自身が正義そのものだと信じて疑わない。

『戦争であれば、正義の名の下に人間をも殲滅の対象にする。ねそんなお前達が魔物を悪だと言えるのかな?』

『!!!!!』

『勇者は人々を救う……それはヒルダの意思だったのか?お前自身の意思か?主神の意思ではないのか?いや、それ以前に権力者に使命を課せられるがままに踊らされていただけではないのか?』

『いやだ!!いやだ!!いやだ!!聞きたくない!!聞きたくない!!!』

『人間を救う勇者が戦争とは言え人間と戦う。……正義の名の下に?……お前達はその手を赤く染め、それは主神の意思だと自分自身に言い訳をし、悪に手を貸していたに過ぎない。それが勇者と言えるのかな?』

『俺たちは……いや……いや……正しかったはずだ……』

墜ちたな。脆いものだ。

『……ヴェニ・イジュトゥール・マギ・マキュリアス(来たれ、魔水銀)』

くちゃ……くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ

『ぐはぁぁぁああああああああ』

ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ……トプン……ズルズルズルルルルルルルルルル……

魔水銀を召喚し、操り、ヘクトールの耳に悍ましい音を立てて侵入させる。

『ぐ……はぁ……なにを……!!?』

『じきにわかる。お前の相手は後だ。今はそこで見ていろ。存分にな。……ダフネ、アレを用意しておけ。』

『……畏まりました。旦那様はやはり、お優しい御方でございます……』

ダフネを睨み付け、黒衣を翻し、再び首の前に行く。

ヒルダの意識が戻っていた。その時、微かに断頭台の胴体から薄紅色の靄が出た。

…………もう一息か。

『ヴィヴェーレ・アド・メ(私に応えよ』

私は禁術を唱えた。この魔法は対象の望みや心の闇に訴えかけ思想や人格に干渉する魔法だ。宣教……もとい洗脳には持って来いの術なのだが、対象の心の中の望みや闇に働き掛ける性質上、それらが無い場合は効果は薄い。種を蒔かずに地から実は取れないのと同じだ。

しかし逆を言えば、対象に欲望や闇さえあれば凄まじい効力を発揮する。倫理に悖ると言う眠たい理由で禁魔法魔術に指定されているわけだ。……まぁ、かなり高度な魔法なので使える者は限られているが。

しかし、国家拷問官と言うのは素晴らしい権限を与えられるものだ。魔王とカタリナ殿下に絶対服従の首輪付きは頂けないがな。

さてと……

『……ヒルダ・ベルリオーズ。お前の心から望むものは何だ?』

『の……ぞみ?』

『そうだ。お前の望みだ。』

『みんなを……あいし……すくう……』

『そうか……。では、お前は何者だ?』

『わたしは……ヒルダ……デュラハン……魔王の兵士……』

『そうだ……。デュラハンだ。アン・デットにして魔王の兵。そう……勇者"だった"お前は皆を愛し救ったが、お前は愛され救われたか?』

『…………』

『……主神は救ってくれたか?お前に戦えと命じた者達はお前を救ったか?お前が愛した人々はお前を愛したのか?』

『主神も……人々も……誰れも救っては……くれなかった……誰も愛してはくれなかった。……寒い……寒い……』

ゴプッ……

『ヒルダよ……愛し、愛されたいか?救われたいか?』

『……愛されたい。救われたい。』

ゴプッ……ゴプッ……

『ならば、お前の欲望のままに!お前の心の中には誰がいる?』

ゴプッ……

『……ヘクトール。ヘクトールが見える……ヘクトールが欲しい!欲しい!彼だけはわたしから離れなかった!彼だけは何時もわたしの側にいてくれた。わたしを守ってくれた。ずっとずっと好きで、でも叶わない。いやだ……いやだ……それは……いや……』

ゴプッ……

『これは何!?わたしの中に……ドロドロとしたしたモノが!?……痛い……痛い……でも、心地良い……これは……聖愛?……それとも性愛?……わたしの中の……愛情を求める心?……ヘクトールを求める心?……ヘクトールと繋がりたいわたしの心?……ヘクトール……ヘクトール!……ヘクトール!!……ヘクトール!!!』

『求めよ、さらば与えられん。……きっと堕落神様もお喜びになるだろう。魔王も祝福して下さるだろう。さあ……解き放て、お前の欲望を!!!』

ハラリとヒルダに巻かれていた目隠しを外す。ヒルダの目がヘクトールを見つけた。

『あっ…………』

ゴプッ……ゴプッ…………ゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾル……

ヒルダの胴体……かつて首が乗っていた部分から薄紅色の靄のようなものが不気味な音を立てて吹き出して来た。それは彼女の魔力と魂……デュラハンの本質だ。人の顔……ヒルダの顔を形取って膨らんで、ヘクトールを取り囲んだ。

『なっ!!?……こ、これは?……この靄は……ヒルダの……顔!?そんな事は……ヒルダは……首を落とされて……死んだはずじゃ!!?』

私はヒルダの髪を掴んで生首を持ち、ヘクトールの目の前に晒す。

ヒルダの目が見開かれ、ヘクトールの目を捉える。

『『すき……ヘクトール。わたし、あなたがすき……ずっとずっとまえからすき。ずっとずっとがまんしてきた。もういいよね?もうわたしはまものだから。ヘクトール……あなたがすき……すきですきでたまらない。すきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきす……』』

魂と一緒に生首が言葉を発する。それは異様な光景だった。

『うぁぁあああああああああ!!!ぁぁあああああああああ!!!!!』

恐怖に顔を引きつらせたヘクトールの絶叫が響きわたる。右手を上げてダフネに合図を送る。

『さぁ、結婚式を執り行おう……』

ガコン……

私が宣言するとヒルダを固定していた断頭台の枷が外された。

"首なし軍団!!捧げーー筒!!"

ザッ!!カッ!!ガチャッ!!

"ドラム!!打て!!トランペット!!地に響け!!"

パパパーーーン!パパパーーン!!パパパパパパパパパパパーン、パーン、パーン、パーン、パパパパパーーーーン!!!

ダン……ダカダカダン……ザーーーッ、ダン……ダカダカダン……ザーーーッ、ダン……

ヒタ……

ヒタ……

ドスッ……

ヒタ……

ヒタ……

ヒタ……

首なし軍団長が叫ぶと、ドラムが勇ましく鳴り、トランペットの音色が闘技場を満たした。

首のない裸の女の身体が舞台から飛び降り、赤い絨毯の上をデュラハンの兵士達が敬礼する中、薄紅色の靄を薫せながらゆっくりとしかし確実に歩を進める。歩みに合わせて銃剣先を揃えたマスケット銃が襖を開けるように開かれていく。

ヒタ……

"おめでとう!"

ヒタ……

"おめでとう♪"

ヒタ……

"この良き日に魔の祝福を"

ヒタ……

"さぁ、彼のもとへ……"

ヒタ……

ヒルダ自らが発する薄紅色の靄にボコボコと無数の顔が形作られていく。それはヘクトールを取り囲み、無数の顔は魔物らしい陰惨な表情を浮かべ、歪められた口からは愛の囁き声と歓喜に満ちた薄笑いが聞こえてくる。

魔物化の影響か……洗脳の影響か……勇者だった頃から押さえてきた感情のせいか……ヘクトールに対して持っている歪な愛情が原因か……はたまたその全てか。デュラハン達が持っている本体とも呼べる魂の形は、彼女達が一人一人持つ個人の性質や個性に基づく。……基づくのだが、ここまで禍々しく、おどろおどろしいのは見たことが無い。

『新婦から新郎へ誓いの口付けを……あぁ、新郎に拒否権はないのでそのつもりで。』

そうして、首の無いヒルダの裸体はヘクトールの前に来た。私はヘクトールの拘束魔法を解く。

『ひぃ!!いやだ……いやだ!!死体がぁ!死体がぁ!!主神よ!お助け下さい!!主神よ!!主神よ!!!』

『『可愛そうに……ヘクトール……あなたも悪い主神に騙されているのね……大丈夫……わたしが助けてあげる❤』』

ヒルダの身体は私から首を受け取ると、ヘクトールを抱き寄せ口付けをした。

『んちゅ❤……ちゃぷ❤れろぉ❤ちゅ❤……』

『ん……は……んん……』

パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ……

ドサッ……

祝福の拍手が送られる中、ヒルダはヘクトールを押し倒した。……詰んだな。

『……わたしは、ヘクトール……あなたが好き。愛してる。だから……繋がりましょう……』

口付けによりいきり立ったヘクトールの分身をヒルダは愛おしそうに手にし、自らの濡れそぼった秘所にあてがう。

『ヒルダ……俺は……俺は……』

ぱちゅん!

『『ーーーーーーー!!!!!!』』

ドクン!!ドク、ドクン……ドクン…………

腰を一気に落とす。ヒルダがヘクトールを迎え入れた瞬間2人の身体は跳ね上がる。ガクガクと目を見開き、弓なりに身体を反らせたヒルダの頭がドサリ……と外れてしまった。

『『あ❤……あ❤❤』』

ゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾル……

『『ヘクトール❤❤いきなり中出しなんてひどいんだからぁ❤❤もう一度死ぬかと思ったぁ♪』』

ククク……洗脳をやり過ぎたかも知れん。容赦が無い。

薄紅色の靄が再び吹き出し、無数のヒルダの顔を生み出す。その顔は締まりなく幸せそうに蕩けている。ヘクトールの表情は恐怖と快楽の狭間をたゆたうように引き攣っている。

今度はお前を堕としてやろう。

魔水銀を動かす。

くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ……

『ぐぎぁぎがぁぎぐぁ!!!?』

ドクドクドクドクドクドク!!

『……ヘクトール・ウトゥ・レソナート(ヘクトールへ響け』

さあ、私も相手の頭の中に直接声を届けるテレパスの魔法を唱え洗脳を開始しよう。

"主神は悪……魔物娘は正義……主神は悪……堕落神は正義……主神は悪……魔物娘は正義……主神は……"

『ち、ちがう!主神は……正義だ……正義だ……主神よお助け……下さい……』

『『ヘクトール❤ヘクトール❤主神に騙されている可哀想なヘクトール❤わたしが助けて……わたしが❤わたしわたしわたしわたしわたしわたし❤』』

たんたんたんたんたんたんたんたんたん……

首なしヒルダがヘクトールの上で跳ねるように踊る。

"主神が正義ならば……何故お前を助けない?……何故あの時ヒルダを助けなかった?……"

耳から入れた魔水銀を動かし脳みそを弄り回す。愛情を司る神経がいいだろう。

くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ……

『それ……は……ぁああ!ぐぎゃがぎがぎ!?主神の……ご意志……』

たんたんたんたんたんたんたんたんたんたんたん

『『ヘクトール❤ヘクトール❤ヘクトール❤ヘクトール❤ヘクトール❤』』

"主神の意思ならば、お前達は主神に踊らされ、主神を語る権力者に利用されたあげく、主神に見捨てられたのだ……残酷なる主神……お前が守ろうとしたヒルダも主神は救わなかったではないか?"

『ちがう……ちがう……』

たんたんたんたんたんたんたん……

"主神が正しく、正義というのであれば、お前はその手で魔物となったヒルダを滅ぼさ無ければならない。"

『『ヘクトール❤❤すき❤すき❤ヘクトール❤❤❤』』

たんたんたんたんたんたんたんたんたんたんたんたんたんたん……

"お前に出来るのか?……ヒルダを手にかける事が?"

『…………出来ない!……いやだ……!!……ヒルダを……滅ぼす……なんて……俺には……っ!!』

"何故だ?主神が正しいのでは無いのか?何故できん?"

くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ

『ぎがい"ぎがぐがぎゃ!!……それ……は……いえ……っは!はっ!……な!……ぃ''い"!!』

"言え……言うのだ……"

くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ……

『あ"……ぁ"……あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ!!』

"言え……言え……言え……言え……言え……言え……言え……言え……言え……言え……言え…………"

くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ……

『ヒルダ!……ヒルダを……あっ!……あっ!……ヒルダが……大切だ……か……らっ!』

"主神の意思に背くぞ?……主神か……ヒルダか……どちらが大事だ?"

たんたん くちゃくちゃ たんたん くちゃ たんたん……

『『ヘクトール❤ヘクトール❤❤ヘクトール❤❤❤』』

くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ……

『……はっ、……い"っ……ぎぅ!…………』

くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ……

『……ヒ……ヒルダ!!っヒルダが!!し……ゅしん……よりも……っ!!……あっ……がっ!!……だい、大事だ!!!』

ぽっ…………ボカン!!!

『『ーーーーーーーーーーーーーー❤❤❤❤❤❤』』

ぷしゃぁぁぁあああああ…………

ヘクトールのその叫びを聞いたヒルダの魂は全ての顔を歓喜と絶頂に染め、真っ赤になり爆発した。ヒルダの身体は全身から汁という汁を吹き出し、時折、波打ち際に打ち上げられた魚のように震えるだけだ。

ビュクリッ!!ドクン!!……ドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドク…………

ーーーーーーーーー…………

ヘクトールは声も出せないと言った様子だ。無理もない。魔物娘がパートナーに対して本気で与える快楽に耐えられるはず無く、愛の告白とも取れる墓穴を掘ったヘクトールは汚いアヘ顔で絶頂するヒルダに道連れにされるように快楽に堕ちていった。



くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ……

『あぎぃぃ!??』

さあ、呆けている暇は無いぞ?

"主神は悪……魔物娘は正義……主神は悪……堕落神は正義……主神は悪……魔物娘は正義……主神は……"

『ちが……う!?ぎがい"ぎがぐがぎゃ!!……しゅシン……は……あク……マもノ……むすメ……ハ、セイぎ……』

くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ……

"魔物娘は人類を主神から救う。魔物娘は人類を主神教から救う。魔王は真の正義。主神は悪。主神教は悪。真の神なるは堕落神。真の光は堕落神教。"

『マモノムスメハジンルイヲシュシンカラスクウ……マモノムスメハジンルイヲシュシンキョウカラスクウ……マオウハマコトノセイギ……シュシンハアク……シュシンキョウハアク……マコトノカミナルハダラクシン……マコトノヒカリハダラクシンキョウ…………アハ!アハハ!!ハハハハハハハハ!!!!』

おっと、少し刺激が強かったか?……元よりヘクトールは主神教とヒルダに精神的に依存していた。だから、洗脳もヘクトールが依存する先を操作するだけで楽だった分、効果が大きかったのだろう。

『『ヘクトール❤もう逃がさない❤❤愛してる❤愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる❤❤❤❤』』

『ヒルダ!ヒルダっ!!』

卑猥な音が響く中、このショーを見に来た全ての者が生暖かく目を細めて祝福している。

さて、堕落神教司教としても愛し合う2人を応援しないわけにはいかない。

『ダフネ。アレを持って来い。』

『はい、旦那様。こちらに用意しております。』

ダフネは小さな木の箱から紫色の宝石を取り出した。

『プロフィヴェーレ(動くな』

再び拘束呪文を唱えると、2人の動きが止まった。そしてヒルダの首を胴体に乗せ、問いかける。

『汝、ヒルダ・ベルリオーズは、この男を敬い、慰め、助け、この世が終わり、混沌に沈もうとも永遠に愛する事を誓いますか?』

『誓う!誓います!!だから、早く動かせて……早く早く早く早く早く!!!』

やれやれ……あのお堅い女勇者が魔物になった途端にこれだ……

呆れつつ、押し倒されているヘクトールに問いかける。

『汝、ヘクトール・リッターマイヤーは、この女を敬い、慰め、助け、この世が終わり、混沌に沈もうとも永遠に愛する事を誓いますか?』

『誓う!!』

誓った!誓った♪♪

私は先ほどの宝石をヒルダとヘクトールの額に埋め込んだ。すると宝石は紫色に光り、術式を展開していく。

ゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾルゾル……

『『んん"ん"ん"んんんんん!!!??』』

光り輝く宝石の周りに銀の装飾が現れ、サークレットの様になった。あの宝石は2人から搾取した魔力の塊……人造魔石とも言える。それそのものが術式を構築している。

組み込んだ術式は2つでお互いの思考や意識を通わす事が出来るものと、相手の魔水銀を限定的に操作する術式だ。

さて、諸君……2人の額に埋め込んだ魔石の周りに出来た銀の装飾は何んだと思う?……2人の脳みそを先程まで弄くり回していた魔水銀が表に出て来たのだ。ヒルダとヘクトール……カップルのどちらか片方が性的刺激などで絶頂すると魔水銀を操作する術式が発動。もう片方を魔水銀が容赦なく脳みそを捏ねくり回し、強制的に絶頂させる。因みにループ可能だ。

さらに、サービスとして魔法のペンを使い、

快楽の呪印……説明不要のお馴染み強制絶頂呪印。

貞操帯呪印……特定の相手以外での絶頂が不可能になる呪印。ヒルダはヘクトールの逸物でしか絶頂出来ず、ヘクトールはヒルダの膣でのみ絶頂できる。

堕落魔呪印……堕落神の祝福を受け、相互対象を愛せば愛す程、自身の精神が堕落すればするほど魔力を強化される術式。各方陣系術式の強化に最適だ。特に、洗脳後などはなぁ……

『さあ、誓いの中出しを笑笑笑笑笑笑』

これらを彼女達の身体に転写し、拘束魔法を解く。瞬間、全ての術式が発動する。



『『ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー』』

ガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガク

びゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅく

ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ


『『ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー』』

ガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガク

びゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅく

ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ…………

以下、エンドレス。

術式は正常に機能しているようだ。ドス黒い紫色に光る魔法陣の数々が実に素晴らしいではないか。

ヒルダが快楽の呪印での強制絶頂



魔石発動。魔水銀がヘクトールの脳みそコネコネ



ヘクトール強制絶頂。強制膣内射精。



魔石発動。ヒルダの脳みそコネコネ及び、快楽の呪印発動



ループ。

さらに、堕落魔呪印の強化補正とヒルダには首なし騎士の断頭台に処す前に施した方陣系術式も発動する。凄まじい快楽だろう。上位魔物娘でも暫くは快楽の波に呑まれ、戻ってはこれまい。

パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ

ワァァァァァァアアアアアアアアアアアア!!!!!

結婚おめでとう!

おめでとう!おめでとう!

聖者様万歳!!ベンジャミン様ー!!

黒衣の聖者様ーーー!!!!


愚かな民衆は歓声と拍手が巻き起こり、闘技場には金貨と色とりどりの花が雨のように降り注いだ。

カタリナ殿下はさぞ満足だろう。金に享楽に愛……全てが此処にある。それだけではない。死んでいる故に殺しても死なない、人間に対して強力無比な上位アンデットの兵をまた1人、いや1組手に入れた。

デュラハンとなったヒルダは元より、ヘクトールは直ぐにでもインキュバスになるであろう。インキュバスは番の魔物娘の影響を受ける。つまり、ヘクトールもアンデットのように首を切られたり、銃で撃たれたり、槍で刺されたりしても死にはしない。

正に不死の兵士……それも一時とは言え魔王軍の進行を食い止めた強力な勇者と、その右腕の男が素体で、今回の快楽拷問ショーにて感覚機関強化や魔力増大など強力な戦闘用……いや、戦争用サイドフェクトを施している。

もはや兵士ではなく、兵器そのものだ。

ゆっくりと優雅にしどけなく拍手と満面の笑みを送って下さった。



これからまたカタリナ殿下は国崩しをなさるのであろう。

既に闘技場では彼方此方でカップル共がイチャイチャしており、独り身の魔物娘は寂しく激しく事情にふけっている。

未だに快楽に翻弄されるがままのヒルダとヘクトールを尻目に、黒衣を翻し、伴侶であるダフネと共に地面に散らばる金貨や花や魔物娘の愛液を踏みつけながら国立闘技場を後にした。


後日、新聞によるとヒルダとヘクトール夫妻は2人だけで小国ではあるが主神教国を落としたそうだ。

くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ……

『らんなしゃまぁ〜❤あっ❤あっ❤あっ❤ろうなさいらしたぁ?❤❤❤』

『いや、なんでもない。それよりおかわりを頼む。』

『はい……あっ❤あっ❤あっ❤いぐっ❤いぐっ❤いぐいぐっいぐっ❤❤❤❤』

私のモノをしやぶる妻ダフネの脳みそを魔水銀で弄くり回しながら、コーヒーを啜る。すると妻はすっとんきょな声を上げて痙攣しながら無様に果てた。

がしゃん……

『コーヒーをこぼしたな?……』

『あへっ❤すみ❤まれん❤❤』

『お仕置きしよう……こっちに来なさい……』

『はい❤❤』


今日も平和だなぁ…………



首なし騎士の断頭台……end
18/04/24 23:46更新 / francois
戻る 次へ

■作者メッセージ
これにて、首なし騎士の断頭台 編終了です。お読みいただきありがとうございます。

いやはや、暴走に暴走を重ねてハイウェイをパラリラ、パラリラですね。はい。
白バイに捕まっても文句は言えねーでごぜーますです。ですが後悔はしてません。
またこの外伝シリーズでお会い出来たら嬉しく思います!
ではまた! U。・x・Uつ~

TOP | 感想 | RSS | メール登録

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33