連載小説
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一日目、午後
さて・・・今度は実践授業か・・・盗賊学科の実践授業の教室はここだったな。

『ガラガラッ』

おぉ、すでにたくさんの生徒が・・・すでに席で小箱と格闘してる・・・俺、遅刻したのか?
ん?黒板になんか書いてある。なになに?


『急用により、実践授業は自習とする。教卓にピックツール、ナイフ、開け方の参考を書いた紙、教卓横の床にライトと虫眼鏡がある。それを使って小箱の鍵を解錠せよ。解錠した者は自分の名前を書いた紙を中にいれ、再度蓋を閉じて教卓横の床にある提出箱に提出せよ。開けられなかった者は自分の名前を書いた紙を小箱に貼って提出せよ』


・・・一番始めの授業から自習かよ・・・しょうがねぇな・・・

「えーと、ピックツールにナイフ、説明の紙に、ライトに虫眼鏡・・・小箱は机の上にあるか」

適当に空いてる席を捜し、腰を下ろす。ふと横を見ると・・・



「ガリガリガリガリ・・・」



・・・ラトラが文字通り、小箱に噛りついていた。

「・・・何してんだよ・・・」

「はえあかあいああめひえう」

「ちゃんとしゃべれ」

「ぷは。『歯で開かないか試してる』って言ったの」

「それで開いたら褒めてやるよ・・・」

「ガジガジガジガジ・・・」

くっだらねぇ・・・小箱は20cm四方の箱、鍵はひとつ。ふつうに漫画とかでありそうな鍵だな。
さて・・・解錠の仕方は・・・?

『ナイフとピックツールを鍵穴に差し込み、ピックツールの差し込み位置を変えて押し込みながらナイフを回し、鍵が回るところをさがす。ピックツールが正しい位置に近いほど大きく回せる。無理に強くナイフを回すとピックツールが折れるため注意せよ。鍵はひとつ、回すはみっつ、である』

・・・なんか分かるような分からんよ〜な・・・とりあえず、やってみるか・・・

えーと・・・ピックツールを差し込み・・・ナイフを差し込み・・・ピックツールを、押し込む?

『カキッ』

で、ナイフを回す?

『ぐぐぐぐ・・・』

あれ?全然回らん・・・位置が違うのか?じゃあ傾きを変えて・・・


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
・・・残り90分・・・
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


『カキッ、ぐぐぐぐ・・・』

う〜ん・・・回らん・・・やり方が違うのか?

『カキッ、ぐぐぐぐ・・・』

う〜ん・・・ここも回らんな・・・

『カチッ。キチキチ・・・』

あ、回った?

『ピタッ。ぐぐぐぐ・・・』

あ、止まっちまった・・・

「怖い人ー?開いたー?」

「見りゃ分かるだろ、まだだよ」

「そっかー・・・ガジガジガジガジ・・・」

「・・・お前はまだ噛んで挑戦してんのかよ。ピックツールとかはどうした?」

「・・・ん。」

ラトラはチラッとこっちを見ると、ポケットからナイフとピックツールを取り出した。

「・・・見事に割れてるな」

ピックツールがぽっきりと半分に割れていたが。

「ひとり一本分しかないから、こうして噛んでるの。ガジガジ・・・」

「・・・歯ぁ欠けないようにしろよ?」

「らいひょうぶ、らいひょう・・・」



『ガリガリ・・・ピキッ』



・・・ぴき?

「・・・怖い人」

「・・・なんだ?」

「・・・歯、痛いよぅ(;ω; )」

・・・見ると、ラトラの前歯にヒビが入っていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ラトラが痛い痛いと駄々を捏ねるので、ラトラの手を引いて保健室へ連れて行った。

「痛いよぅ、痛いよぅ・・・」

「わぁった、わぁったから。すいませーん」



「はぁ〜い♥どちら様ぁ?」



・・・なんかすんごいムッチムチなダークプリーストが来た。

「あら、怪我人は貴方?怪我はどこ?腕?足?それともアソコ?アソコなら舐めてあげ」

「違いますから。怪我人はこいつです・・・って、ラトラ。なんで隠れるんだよ?」

何故かラトラが俺の足に隠れるようにする。



「あら、ネズミのおチビちゃん?・・・・・・じゅるっ」



あ、なるほど。このシスター、色々ぶっとんでるのか。ラトラはこのことを知ってたのか?

「ほ〜ら、おチビちゃん。こっちおいて〜・・・ハァ、ハァ・・・」

「やっ!やっ!怖い人、この人、もっと怖い人!助けて!」

「バカ、お前を治療してくれる人なんだよ・・・たぶん」

「たぶんってなに!?たぶんってなに!?」

「さぁ、あっちのベッドでイイことしましょ?大丈夫、優しくしてあげるから♥ハァハァ・・・」

「いやぁぁぁっ!助けて怖い人ぉぉぉ・・・」

・・・ラトラがシスターに連れて行かれた・・・ま、大丈夫・・・だよな?


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
・・・残り60分・・・
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


『カチャカチャ・・・』

教室にピックツールとナイフの解錠音が響く。俺はさっき回せたところを中心にピックツールを動かしていたが、さっきより大きく回せるところがねぇぞ?なんでだ?

「う〜ん・・・ん?」

ふと、説明の最後の文に疑問を感じた。

『鍵はひとつ、回すはみっつ』

・・・回すは、みっつ?


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[先生の文章、解読難度 10]
[察知点 10、解読成功!]
ーーーーーーーーーーーーー


・・・あ、もしかして、3回に分けて回すのか?

・・・とすると・・・

『カチッ、キチキチ・・・』

回して・・・

『ピタッ』

止まったら、別のとこ押しながら回すのか?ナイフの傾きは固定したままかな?

『カキッ、カキッ、カキッ、カチッ』

お、別のとこの音が変わってる。

『キチキチ・・・ピタッ』

なるほど。回せるところを押すと、音が変わるのか。よし、最後に回すところを探そう。

『カキッ、カキカキッ、カチッ』

お、結構早くに見つかった。

『キチキチキチ・・・カチャン』

「お?」

もしや・・・

『パカン』

「おぉ。開いた!」

やった!開けられた!お?なんか入ってる・・・


『リーフ先生の伝言メモ を手に入れた!』
『ピックツールを手に入れた!』
『解錠用ナイフを手に入れた!』


『おめでとう。授業一日目でこの小箱を開けられるとは、君には解錠スキルの才能があるようだ。だが、浮かれてはいかん。この鍵は一番難易度の低い物を重ねただけだ。慢心せぬように。
しかし、賞賛に値するのは事実だ。些細な賞賛として、中に入っているピックツールとナイフのものだ。冒険講習で役に立たせるといい』


・・・なんか、褒められたし、もらえたし・・・嬉しいな。

・・・そういや、ラトラはまだ帰って来ないな・・・うーん・・・


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
・・・残り30分・・・
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「うぅ・・・」

「お、おかえり」

ラトラが耳をへたらして恨めしい目をしながら俺の隣に帰ってきた。

「怖い人は意地悪な人だったんだね・・・」

「失礼なこというなよ・・・歯は治してもらったんだろ?」

「治してもらったんだけど・・・身体べたべた触られて怖かった・・・」

・・・セクハラはされたと言うわけか・・・

「怖い人の意地悪。意地悪な人って呼んでやる」

「はいはい、悪かったな」

俺は手元の小箱を渡してやる。

「ほれ。開けてやったぞ」

「・・・ほへ?」

「今日はもう時間ないし、これ提出しとけよ。あ、中身のピックツールとナイフはお前のもんだってよ」

小箱をもらったラトラは、目をぱちくりさせたあと、手元の小箱をぱかりと開け、パタンと閉め、また開けて、今度はキラキラした目で俺を見た。


「怖い人は意地悪な人でいい人だった!」


「どれなんだよ・・・」


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[盗賊学科、実践授業]
鍵開け、成功★

成功報酬:
ピックツール
解錠用ナイフ
スキル[解錠スキル Lv1]

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盗賊学科終了後、えらく俺を気に入ったラトラと別れ、次は賢者学科の実践授業だ。教室へ向かおう。


「えーと、教室は・・・え?グラウンド?」


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「皆さーん。集まりましたかー?」


で、グラウンド。ミミル先生を前に賢者学科のみんながバラバラに集まっていた。

「賢者学科の実践授業をする前に・・・皆さん、3人でグループを作ってくださーい」

へ?グループ作れ?めんどくせぇな・・・ただでさえ人が俺と話してくれねぇのに・・・



『むにゅん♥』



・・・なんか左腕を柔らかいものが包んでるんですが・・・

「ベルンく〜ん♪一緒に組も〜♪」

「え、あ、はい・・・」

ミルキィ先輩が抱きついてた・・・うぉぉ・・・でけぇくせしてやっわらけぇ・・・

「・・・えーと、僕、ジャマですかね・・・?」

「え、あ、ネフィア?いや、3人組みだから、お前も来い。な?」

「どうも〜♪よろしくネフィアくん♪」

「は、はい・・・」

すげぇ素早く組めたな。よかったよかった・・・ん?



(あの新入生、ミルキィ様と組んでやがる・・・)
(つか腕絡めてないか!?あんのガキィ・・・)
(我々のミルキィ様に近づきやがって・・・)



・・・なんか向こうの三人組が非常に怖い目でこっち睨んでくるんだが・・・

「・・・皆さーん。三人組になりましたねー?それじゃ、紙を配りまーす」

紙?あ、ミミル先生があっちこっち飛んで紙を渡して行く・・・あ、俺らんとこにも来た。

「はい、どーぞ」

「あ、ども・・・なんか書いてあるな・・・」

紙には『ヤバスギダケ×3つ』と書かれていた。

「皆さ〜ん、その紙に書かれたものを捜して来てくださーい。90分後に、自動転送されてここに帰って来ますから。それじゃ、『いってらっしゃい』!」

へ?いってらっしゃ・・・?




「『エリアワープ』!」




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・・・先生が叫んだ瞬間、周りがパッと光り、俺たちはグラウンドに『いなかった』。

「ネフィア・・・ここ、どこだ?」

「わ、わかりません・・・」

周りは鬱蒼とした森になっており、涼しい風とともに鳥の鳴き声が聞こえる。

「あ〜。ここ、『希望の森』だね〜」

お、ミルキィ先輩がなんか知ってそうだ。

「希望の森?」

「うん。ベルンくんたちは、今度の冒険講習で来ることになるかもしれないね〜。学校が用意してる初級のダンジョンだよ〜。ここで、さっきのキノコを探せばいいのかな〜?」

あぁ、ヤバスギダケか・・・


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[植物知識、難度10]
[知識点15+4、成功!]
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「確か、木の根元に生えるキノコだったか・・・あ、授業では言ってなかったけど、たしか結構おいしいとか」

「そうなの〜?」

「実家が本屋で、よく色んな本読んでたんで・・・キノコの傘の色が青色だから、分かりやすいっちゃあ分かりやすいはずです」

「それじゃ、みんなで探しましょう」

「お〜!お姉さん、頑張るからね〜!」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
・・・30分計画・・・
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



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[探索、開始。探索難度10]
[ベルン、察知点15→キノコA]
[ネフィア、察知点10→キノコB]
[ミルキィ、察知点10→キノコC]
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「・・・なんか、みんな違うキノコ見つけたな」

みんな傘の色が青色だが、微妙に形が違ってる。なんなんだろうか?

「どれが、ヤバスギダケなんでしょうか?」

「食べてみればわかるんじゃな〜い?」

「ダメですよ!毒があったらどうするんですか!?」

ん?・・・このキノコは・・・


ーーーーーーーーーーーーーーー
[植物判定、難度10、10、15]
[知識点 15+4、識別成功!]

[キノコA→ヤバスギダケ3コ]
[キノコB→ドクアオダケ2コ]
[キノコC→謎のキノコ]

[ミルキィ、運勢判定]
[運勢点 40]

[謎のキノコ→
サファイアマッシュルーム]
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「ぶっ!!!!?」

ちょ!?ま!?ミルキィ先輩が取って来たの、サファイアマッシュルームじゃねぇか!?

「ミルキィ先輩!?そのキノコ、食べちゃダメっすよ!?もったいない!!」

「あ、も〜、だから私のことはミルキィお姉さんって・・・もったいない〜?」

「そうっすよ!それ、『茸の青宝石』って言われるバカ高いキノコですよ!?1kgでだいたい数百万Gとかする!!」

「えぇっ!?ホントですか!?」

「わ〜い♪私、運が良かったのね〜♪」

運がいいとかの問題じゃない気がするんだが・・・いや、良かったのか・・・?


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グラウンドから希望の森に飛ばされてから、きっかり90分後に、俺たちはグラウンドに帰って来た。

ドクアオタケは捨てて、ヤバスギダケをミミル先生に提出したあと、ミルキィ先輩がミミル先生にサファイアマッシュルームを見せると、ミミル先生は目をぱちくりさせたのち、気が狂ったかのようにサファイアマッシュルームの周りを飛んでいた。

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?こここ、こんなもの見つけたんですかぁ!?あ〜う〜・・・見つけたもの、全回収するってルールにすればよかったぁ〜・・・」

おいコラ教師。さりげに欲望に塗れた発言するんじゃないよ。

「えへへ〜。ぶいっ」

いや、ミルキィ先輩もVサインしなくていいから・・・


学校内の換金所(なぜあるんだ?)に持っていくと、50000Gになった・・・すげぇ・・・


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[賢者学科、実践授業]
植物採集、成功★

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[学園内]

ミルキィ先輩が1/3くれるとか言い出したが、いらないと突っぱねた。

しかし・・・


『じゃあ、また今度、三人でお食事しましょ?その時に、私に払わせてね?約束よ?』


・・・結局、ミルキィ先輩に一度奢ってもらうという約束になった。今日はミルキィ先輩が予定ありなため無理らしいのだが・・・まぁ、奢ってもらうくらいされてもバチは当たらないだろう。

「・・・さて、どうしようかな」

授業は終わったわけだが、ロックと夕飯食う約束をしてんだが、時間が結構空いてるな・・・

「学校を探検してみっか」

どこになにがあるかわからねぇからな・・・これからなんか色々あるだろうし、場所把握くらいしてたほうがいいかな。


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「お、図書館か?」


ふらふらと学校を巡っていると、『学園図書館→』と書かれた看板を見つけた。矢印の方を見ると、結構離れた場所に巨大な建物を見つけた。

「おぉ・・・すげぇ・・・」

図書館の前にまで行くと、なんか大聖堂みたいな綺麗な入り口があり、両脇を魔王様を模ったであろう像があった。

「・・・よし。入ろう」

曲がりなりにも本好きの域に片足突っ込んでる俺は、図書館の扉を押した。


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・・・すげぇ、やっぱすげぇ。

中に入り受付を通り過ぎると、もう右も左も上も本ばかり。すんごいたくさんの本が見事に山となれくらいの本棚に入っている。もう言葉がおかしくなるくらいの本がある。やべぇ、すげぇ。

右や左に首を動かしていると、壁に地図があった。お、階の説明も書いてある。


『4階、古書エリア』
『3階、魔術書、錬金書など』
『2階、歴史書、物語、伝承書など』
『1階、新書、学科ごとの推薦書物、教師出版書物』

『地下1階、ダンジョン受付』


・・・ん?だんじょん???


『地下2階〜地下最下層、
ダンジョン[地下図書館]、
ダンジョンLevel 10〜50』


・・・え?なに?俺、よくわかんないんだが、ダンジョンLevel 50って、ずいぶん高いんじゃないか?
・・・見なかったことにしよう・・・

さて・・・じゃ、盗賊学科推薦の本でも読もう・・・かな?


「わっせ、ほらせ」

『グラグラ・・・』


・・・目の前から本の山が歩いて来た。
いや、うん、誰かが大量の積み上げた本を持って歩いて来てるんだ。

「あ、あの、大丈夫ですか?」

「う、う〜ん?誰だ?」

本の山の向こうから、本の持ち主がちょこんと小さな顔を見せた。
正体はドワーフの少女だった。くりくりとした子供のような目を俺に向けて、頭に?マークを浮かべていた。

「・・・どこで会ったっけ?」

「あぁ、いや、初対面ですけど・・・持ちましょうか?」

「あぁ、大丈夫。アタイは力持ちだからね」

ドワーフはニカッと笑う。確かにふらふらしたりしてはいんだが、ハタから見ると不安で不安でしょうがねぇ。

「いや。持ちますよ、見てて危なっかしいから」

「え、そうか?すまないな」

ドワーフから半ば無理やりに本の山を奪・・・



重ッ!!?



なにこれ!?ムチャクチャ重ッ!?

「だ、大丈夫か?」

「・・・だい、じょう、ぶ、じゃな・・・い、かも、しれな・・・」

「は、半分こっちに渡せ。お前さん、今、産まれたばっかの仔鹿みたいになってるぞ」

「す、すんませ・・・」

ぷるぷる震えながらドワーフに半分ほど返した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ホント、面目ない・・・」

「あっはっはっ!いいよ、いいよ。手伝ってくれるって言ってくれただけでアタイは嬉しいさ」

受付で貸出手続きを行い、半分の本を持ってドワーフの『フェラン・ハンマーズ』(新入生)とともに女学生寮に向かうため、転移門まで向かっていた。ちょこちょこ歩くフェランに合わせてゆっくり歩く。

「ベルンは、戦士学科じゃないよな?」

「あぁ、盗賊学科だ」

「やっぱり。アンタみたいな目付きの特徴的な奴、忘れるわけないもん」

「ははは・・・そうですか」

ニカッと笑いながら言われてもなぁ・・・目付きのことは気にしてんだがなぁ・・・

「アタイは戦士学科でさ、あと、鍛治学科も取ってんだ。んで、図書館で参考書物がたくさんあるって聞いたから、ありったけ借りたんだよ」

「なるほど・・・」

・・・あれ?ロックと全く同じ学科だな。

「ひとつ聞くけど・・・ロックって奴、いた?俺の友人なんだけど・・・」

「ロック?・・・あぁ、アイツか・・・」

・・・フェランの顔がしかめっ面になった・・・アイツ、またなんかしたのか?

「あの男、戦士学科の実践授業でふと目について、組手を一緒にやろうと持ちかけたら『ペドに用はない!帰れ!』とか言いやがって・・・いずれ襲って逆レイプしてやろうかあの野郎・・・」

「・・・とりあえず今晩代わりに殴っとくよ」

・・・あのバカ、欲望に忠実すぎるだろ・・・


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


[女子寮『アルラウネ寮』]


・・・ほ、本を置きに入るだけだ。決して、やましいことをするために入るわけじゃねぇし・・・大丈夫、恥ずかしくない。大丈夫、大丈夫。

「『ハナ』寮監長〜。この人、アタイの部屋に荷物持ってってくれるから、いれていいよね」

「えぇ、わかったわ」

アルラウネの寮監長が俺を見てニコリと笑った。

「どうぞお楽しみに♪」

「違う!そういう目的はない!」

「あらそうなの?残念」

寮監長がつまらなそうにため息を吐いた。オイこら、寮監長としていいのか、それで。

(・・・チッ)

「ん?フェラン、なんか言ったか?」

「いや?なにも?」



・・・恥ずかしいので、本をさっさと置き、俺は女子寮を出て行き、残った時間を図書館で過ごした・・・




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

[巨大食堂『もふもふ亭』]


「よぅ、待ったか?」

「いや、今来たとこ・・・って、こんなやり取り、野郎とやらせんじゃねぇよ!」

知らんがな。
食堂の転移門をくぐったところで、ロックが待っていた。食堂はだいぶ人が来ており、少々出遅れた感があった。

「とりあえず、さっさとメシ取って、席座ろうぜ。じゃねぇと座ることさえままならねぇ」

「だな」

俺もロックもさっさと自分のメシをそれぞれ注文し、奥に行って空いてる席を探した。が、上手く二人分空いてるところが中々ない。

その時に、ちょうど俺はクラリアを見つけた。

「あ、クラリア」

「え、クラリアさん!?」

「あ、ベルンくん♪」

クラリアは4人席でひとりで座って食事を取っていた。

「クラリア、ひとりか?」

「えぇ。よかったら、一緒に食べましょ?」

「そりゃいいな。ちょうど席を探してたんだ」

「喜んで!一緒させてもらいます!」

「あら?ロックくん、居たの?」

「そりゃないぜクラリアさん・・・」

俺らふたりはクラリアと同じ席に座り、食事を始めた。

「クラリアはパスタか。スキュラがやってた店のやつ?」

「うん。イカスミパスタ。おいしいのよ。食べる?」

「いや。また今度、自分で買って食うよ」

「あらそう?」

「クラリアさん、俺、ひとくちいいすか?」
(クラリアさんのフォークで食えれば、間接キィッス!さぁ、来いや!来いやぁぁぁっ!ハァハァ、ハァハァ!)

「じゃあ、ロックくん、フォーク取って来てね」

「・・・・・・はい」
(チッキショォォォ!!)

ん〜・・・カレーライスうめぇ。

「・・・ねぇ、ベルンくん。そのカレー、おいしい?」

「ん?結構美味いぞ」

「へぇ・・・一口だけ、くれない?」

「ん?いいぜ。そんなケチケチしないからな。ほれ」

俺はカレーをスプーンに乗せてクラリアに差し出した。

「え、あーんしてくれるの?」

「・・・あ、わり。俺のスプーンじゃ汚ねぇか」

もう何回も口付けてるしな・・・新しいスプーンを・・・

「いや、気にしないよ?うん、気にしない」
(うふふ・・・♥)

「そうか?」

「うん。あ〜ん♥」

「・・・お、おぅ・・・」

俺からやり始めたことだが、相手からやられると恥ずかしいな・・・

俺はクラリアの開いた口にゆっくりとカレーを・・・



「なにしてんのよアンタァァァァァァッ!?」


『シパァァァァァァンッ!!』


「ぬぉぉっ!?」

「っ!?」

いきなり飛んできた尻尾にカレーを乗せたスプーンが弾き飛ばされた。

「クラリアさ〜ん!フォーク取ってきたからイカスミパスタ分けてくださ(ブスッ!)目がぁぁぁ!目がぁぁぁ!」

「サティア!お前、なにしやがる!?ロックの目がカレーでバルスしちまったじゃねぇか!」

「こっちのセリフよ!アンタ、あ〜んなんて羨ま・・・げふん、恥ずかしいことしてんじゃないわよ!」

だからって尻尾でスプーン弾き飛ばすのは如何なものか・・・


「・・・なんですか、ベルンくん、この蛇は」


・・・あ、サティアが怒った。髪の蛇たちと共に、サティアがギロリとクラリアを睨む。

「なによ。アンタこそ誰よ?」

「私はベルンくんのクラスメイトのクラリアです」

「くっ、クラスメイト!?」

「えぇ、しかも隣の席ですけど、なにか?」

・・・何故だろう、クラリアはにっこり笑ってんのに、なんか違和感を感じる・・・

「・・・ふんっ!私はね、ベルンの幼馴染よ!」

「お、幼馴染ですって!?」

「そう!しかもパパやママ公認の仲なんだから!」

・・・こいつは何を言ってるんだ?

「・・・この蛇め・・・!」
「・・・何よ淫魔・・・!」

・・・あれ?いつの間にかすごい険悪ムードになってないか・・・?や、やばくないか?


ーーーーーーーーーーーーー
[喧嘩の仲裁、難度 20]
[話術値 10、失敗・・・]
ーーーーーーーーーーーーー


「お、おい、お前ら、落ち着k」


「ベルンくんは口を挟まないでください」
「ベルンは黙ってなさいよ!」


・・・ダメだ。聞く耳持たねぇ・・・

「目がぁぁぁ・・・」

ロックは未だ床をのたうってるし・・・

『ガタガタ・・・』

オイコラ周りの席の奴ら。そそくさと立ち去るんじゃねぇよ。

ど、どうするか・・・?

「うふふふ#」
「あははは#」

だ、誰か救いの手を差し伸べてくれ!



「・・・なにをしているのだ、君たちは」



うおっ!?リーフ先生!?


ーーーーーーーーーーーーーー
[喧嘩の仲裁、難度 20]
[リーフ話術値 25、成功!]
ーーーーーーーーーーーーーー


「君たち、ここは食堂だ。他の人に迷惑にならないようにしなさい」

「・・・す、すいません」
「・・・ご、ごめんなさい」

「分かればよろしい。さっさと食事を済ませてしまいなさい。あまり時間をかけると、寮の門限に間に合わないぞ」

・・・喧嘩を止めたらそそくさと去って行った・・・かっけぇ・・・

「・・・ベルンくん、悪いですけど、今日は失礼しますわ」

「え?あ、おぅ・・・」


「ごっめーん、サティア、遅れ・・・あ、ベルンくんじゃん!」

「ベーゼ、あっちで食べよ」

「え?ちょ、サティア?おーい?」


・・・な、なんとかなったか・・・よかった・・・



「や、やっと見えるようになっ・・・あれ?クラリアさんは?」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

[ガーゴイル寮、312]


「うーん・・・」

食事が終わって部屋に戻り、学科要項を見ていた。

どうやら、『学科連携』というものがあり、これに合わせた学科をとらないと冒険者としての職業ライセンスが取れないらしい。

えーと、盗賊学科の連携は・・・


『職業:シーフ(盗賊)
盗賊の代名詞ともなる職業。
戦闘能力は低めであり、トラップの発見・解除、宝箱や扉の解錠、隠密行動による奇襲などを体得する。
また、固有スキルとして『トラップ生成・再設置』『スリ』などが使えるようになる。

評価レベル:
近戦闘戦闘 ★★★
遠距離戦闘 ★
サポート面 ★★★★★

必修科目:
盗賊学科(月曜1.3コマ)
盗賊専攻学科(火曜2.4コマ)
窃盗学科(水曜1.3コマ)
隠密学科(木曜2.4コマ)』


『職業:シノビ(忍者)
盗賊系統の中で隠密・近接戦闘に向いた職業。
盗賊のようなサポート面の利点が少なくなるデメリットがあるが、固有スキル『忍術』や『暗殺』などにより、素早く敵を無力化できる。
ちなみに、暗殺は殺すことではなく、性的に責めることで異性を無力化する術である。

評価レベル:
近戦闘戦闘 ★★★★★
遠距離戦闘 ★
サポート面 ★★★

必修科目:
盗賊学科(月曜1.3コマ)
忍術学科(火曜2.4コマ)
暗殺学科(水曜1.3コマ)
隠密学科(木曜2.4コマ)』


『職業:レンジャー(野外兵)
盗賊系統の中で、戦闘に特化した職業。
察知や解錠能力、特殊な格闘術に加え、銃器による遠距離攻撃により敵を圧倒する。また、固有スキル『爆弾生成』により集団の敵にダメージを与える術を得る。
ただし、装備の重さや銃器のリロード、装備による騒音など、盗賊の利点である速さや隠密性能を殺してしまうなど欠点も大きい。

評価レベル:
近戦闘戦闘 ★★★
遠距離戦闘 ★★★★★
サポート面 ★

必修科目:
盗賊学科(月曜1.3コマ)
銃器学科(火曜1.3コマ)
火薬学科(水曜2.4コマ)
軍式格闘学科(木曜1.3コマ)』


『職業:リーベル(賊徒)
盗賊にユニークなステータスを付け加えた職業。
戦闘スキルとして『片手銃』、サポートスキルとして『マッピング』、特殊スキルとして『登山術』『航海術』など、他の職業にはないスキルを身につける。
が、欠点として盗賊としての必要なステータスが伸び悩みがち。戦士と盗賊の中間よりな職業。

評価レベル:
近戦闘戦闘 ★★
遠距離戦闘 ★★
サポート面 ★★★★

必修科目:
盗賊学科(月曜1.3コマ)
軽銃器学科(火曜1.3コマ)
地理学科(水曜2.4コマ)
野営生活学科(木曜2.4コマ)』


・・・この4つか。無理して月から金までフルコマ取る必要はないってことか・・・

さて・・・どの職業にするかな・・・



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ベルンが選ぶ職業は・・・

1、シーフ
2、シノビ
3、レンジャー
4、リーベル
12/03/17 14:45更新 / ganota_Mk2
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■作者メッセージ
実践授業ではステータスの上昇はありません。
ただし、失敗するとステータスが下がることがあったりなかったり。
成功したら、報酬があったりなかったり。

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[ラトラ]

[ステータス]
体力 25
魔力 15
筋力 10
知識 10
俊敏 30
精神 20(+4)
運勢 20
容貌 15
話術 8
器用 12
察知 30
隠密 10

[現在専攻学科]
盗賊学科:初等
錬金学科:初等

[スキル]
所属[ラージマウス]:敵の攻撃が避けやすい
お調子者:精神点に4ポイントボーナス


[フェラン・ハンマーズ]

[ステータス]
体力 25
魔力 5
筋力 25
知識 10
俊敏 10
精神 20(+5)
運勢 10
容貌 15(ー5)
話術 20
器用 30
察知 10
鍛治 30

[現在専攻学科]
戦士学科:初等
鍛治学科:初等

[スキル]
所属[ドワーフ]:鍛治点が初めから高い
ペドい:容貌点に5ポイントダウンボーナス
姉貴肌:精神点に5ポイントボーナス


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次回、午前にどうしても空きコマができるわけですが、イベントは勝手に起きます。

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