連載小説
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本当にあった・・・・@
 連載を再開するに当たりましてこちらに投稿しました。夏と云う事で7人姉妹に再登場してもらいましたので、修行を終えてパワーアップした彼女達の活躍をぜひ拝見してください。
 それではどうぞ♪♪♪


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 おう!ここだここだ!よく来てくれたな。ま、とりあえず座ってくれ。飲むものはビールでいいな。さ、グッ!と飲んでくれ!ん、何で可笑しな顔してるんだ?オレが優しいときは、何か裏があるに違いない!
 ・・・・ま、そうだな。高校から就職しても続いてる腐れ縁だから判るか。
 実はな・・・・出るんだよ。あ、決まってるだろ!幽霊だよ!幽霊!!お化け!ゴースト!言っとくけどな、夏だからとかじゃ無いからな。職場に出るんだよ!学校の怪談宜しくな!七不思議が出たんだよ!しかもさ!幼稚園だよ、オレの職場!!そこに出るなんてさ、有り得ないだろ普通?こういうのってさ!普通小学校か中学校とかだろ?!よくて校舎がある所だろ!!!
 あ、落ち着け!って・・・・そうだな。すまん、焦ってたみたいだ。
 そうだな。・・・・・なあ、オレの話聞いてくれるか?少し頭の中を整理したいんだよ。済まないな、付き合ってくれて。
 〜〜じゃ、話そうか。


 1:トイレの花子さん改めトイレの花男くん・・・長女椿
 普通さ、この場合女子トイレに出るはずだろ。全国的に見てもさ。けどな、出る場所が違うんだよ・・・・男子トイレなんだ。それでも個室に出るのは外せないというか譲れないみたいなんだ。園児達がさ、言うんだよ。
「ねえ先生。一番奥のおトイレにいつも入ってる子、どんな子なの?」
「え?そんな子いたかな?」
「え〜〜。いるよ、先生!ドアがいつも閉まっていてノックすると中からノックがするもん」
「あ、それ花男くんだよ。ぼくが声を掛けてもお返事が無いから『大丈夫?先生呼んでこようか?』って聞いたら『大丈夫ですわよ!ほっといてください!』って怒るんだ」
「でも、何で花男くんて判ったんだい?」
「お姉ちゃんにこの事話したら笑いながら言ったんだ。『あっははは!!!それじゃ〜〜お姉ちゃんがイイ事教えてあげようね。ウチの女子校にも同じトイレが有ってね、その娘は花子さんて呼ばれてるのよ。で、男子トイレに出るんだからその子は花男くんなんだよ』って教えてくれて。それで次の日に声を掛けたらお返事してもらえたから花男くんだよ」
「ふ〜〜ん、花男くんか。(あれ、そんな名前の園児は居ないよな)」
「でもね先生。花男くん、自分のお名前で呼ばれると怒るんだ。『そんな名前でで呼ばないでください!!!』って」
「そうか。それじゃあ先生が後でその子とお話ししておくから(一応不審者か確認しておこう)」
「うん。後ね、お腹イタイ時ねこのお薬飲むと良いんだ。これ苦くなくて僕でも飲めるから花男くんに渡してあげて」
 でさ、園児から渡された薬持って行ったらさ・・・・いたんだよ。トイレに腰掛けて泣いていた女性がさ。オレに気が付くとすみませんと謝ってきてさ、
「これからはあの子たちと沢山お話ししますからありがとうと伝えてください」
 そう言うと姿を消したんだ。


 2:不思議な鏡改め可笑しな鏡・・・次女桜
 幼稚園の教室にはさ、親御さんたちからもう使わなくなったから良ければ使ってくださいって沢山のオモチャが持ち込まれてくれるんだよな。ま、それは有難いんだけど・・・最近そのオモチャで園児達が奇妙な遊びを始めたんだ。
 教室の一角で4人の園児達がはしゃいでいたんだ。何をしているんだろうと思って近づいてみたらオモチャのお化粧台に一人ずつ向き合って遊んでいたんだ。普通ならただの微笑ましい光景なんだけどさ・・・聞こえてきた声が変だったんだよ。「あっぷっぷ〜〜!!」とか「アハハハ!!」とか「お姉ちゃん凄い!」とか「これでお姉ちゃん、5回も勝ってるよ」とか、そんな事話してるんだよ。そこにいるのは園児達だけなのにさ。
 だからさ「楽しそうな事してるね、先生にも見せてくれるかな?」って近づいてみたんだ。で、そこに置いてあったお化粧台を見たら・・・・居たんだよ、教室の何処にも居ない女性がさ。しかも、両方の頬を押し込んだ変顔でさ。おもわず凝視したら、相手の女性が「アハハハハ!!!!!」って大笑いし出したんだ、それで一頻り笑った後「負けちゃったから帰るね」って言うと姿を消したんだ。
 園児達は「お姉ちゃんバイバイ」とか「また遊んでね」とか「次は私が勝ってみせるんだからね」とか「先生強〜〜い」とか暢気に言うんだけどさ、こっちはそれどころじゃない訳なんだよ。本当に狐とか狸に化かされた感じだよ。


 3:踊る人体模型改め踊るぬいぐるみ・・・三女菊枝
 その日はさ、お遊戯会で踊るダンスを練習するために園児達を広場に集めていたんだ。それで全員集まったか確認するために教室内を見回りしたら、一人だけ残っていた女の子がいたんだよな。慌ててその子を外に連れ出そうとしたら音楽が鳴り始めてしまったからさ、それで如何しようと立ち止まったらその子がオレにこう言ったんだ。
「ねえ、お兄さん。私の踊り見てくれない?」
 それから棚に置いてあった大きいクマのぬいぐるみを相手にして踊り出したんだ。外から流れ込んでくる音楽に合わせて軽やかにステップを踏みながらさ、きれいな踊りを踊って魅せてくれたんだ。思わず見とれてしまってね、踊り終わった時拍手しちゃったんだよな。そしたらその子が笑いながら言ったんだ。
「ありがとう、お兄さん。今度新しい踊りを覚えたら視せてあげるから是非また見てね」
 それで姿を消してしまったんだよ。踊りの相手にしていたクマのぬいぐるみをその場においてね。


 4:化学室の主改め砂場の主・・・四女沙月
 広場の端の方に砂場があってさ、園児達がよく泥んこになって遊び続けてるんだよな。当然沢山の道具を使うんだけど、全然片付けないからこれがまた一苦労なんだよな。それがここ最近自分たちで片付けるようになったんだ。それに汚れていると泥汚れを落とすようになったんだよ。不思議に思って聞いてみたんだ。
「みんな、使った道具を片付けることが出来るようになるなんてえらいな」
「うん、オレ達ちゃんとお片付けする事にしたんだ」
「だってさお姉ちゃんと約束したもんな」
「お姉ちゃんが動きやすいようにしないといけないもんな」
「そうか、お姉さんのためか(家で何か言われたんだな)」
「だってさ、両手で動くのにオモチャがあると危ないもんな」
「ぶつかって転んだら痛いもんな、オレも凄く痛くてさ」
「そしたらお姉ちゃんに頭撫でてもらったんだよね」
「いいな〜〜〜」「へへ〜〜ん、いいだろ」
 子供達が笑いながら話すのを聞いてオレも会ってみたくなってね、だから砂場に向かったんだよ。まだいるはずだよって子供達に言われたからね。
 それで行ってみたら本当にいたんだ、砂場の傍に女の子が一人で座っていたんだよな。それでそのまま近づいて行って声を掛けたんだよ。
「こんにちは、お嬢ちゃん」
「こんにちは!お兄さん、だれ?」
「僕はここの保育士だよ。子供達から聞いたんだ、一緒に遊んでくれる優しいお姉ちゃんがいるって。君だね、ありがとう。子供達も喜んでいるし、後片付けもすすんでしてくれるようになったよ」
「そんなことないですよ、きれいにするのは大事な事ですから」
 照れながら話す女の子に笑い掛けながらもオレはおかしなことに気づいてしまったんだ。その子の下半身、ありていに言えばさ腰から下が無いんだよ。砂に埋めてるんだろ?そんな訳無いんだよ。砂場の外の地面にいたんだから。けどさ、何かそれを言うのはいけない様に思えてさ、それで気付かないふりして話を続けたんだ。
「いや、お嬢ちゃんのお蔭で子供達も後片付けをすすんでするようになったんだよ。ありがとうな」
「そんなことないですよ、みんないい子達ですから」
 顔を赤くして照れるあたりはまあ可愛いんだけどさ、オレの方は気が気じゃなかったんだよ。だからさ、取り合えずそこで話を終えることにしたんだ。
「ところでそろそろお昼になるんだけど、時間は大丈夫なのかな?」
「あ、本当だ!教えてくれてありがとうお兄さん。・・・あの、これからも遊びに来てもいいですか?」
「・・・・あ、ああ。勿論だよ。子供達も喜んでるから何時でもいいよ」
 そう言ったらその子さ、大喜びして「やった〜〜!!」てピョンピョン飛び跳ねながら外に出ていったんだ。器用に上半身だけでね。


 5:白い手改め赤い手・・・五女梓
 最近子供達の間でお手玉が流行っているんだ。ま、小さい子供達だから精々一つか二つをなんとか高く上げるくらいなんだけどね。
 で、なんで流行り出したかって理由は何と無く判るだろ。そう、これもね、一連の流れ通りおかしなというか不思議なというかともかくそんな人?かな。そんな人?が流行らせたんだよ。いやさ、子供達の前で10個くらいのお手玉を回して見せてるんだよね、手だけでさ。本当に手だけなんだよ。手首から先でさ、両手だけが宙に浮いてお手玉を回してるんだよ。
 性別?多分女の子だと思うよ。一緒に遊んでる子供達が「お姉ちゃんが凄い!上手上手!!」て言われて両手を赤くしていたからな。子供達?手品だと思っているはずだよ。と言うかあんな風に楽しんでいるのに邪魔は出来ないよ。


 6:足りない色改め足りすぎる色・・・六女香澄
 んでさ、その隣で子供達が楽しく笑いながら絵を描いてるんだ。何人かで輪になってさ、真ん中にクマとゾウのぬいぐるみを置いてね。
 その周りを同じくらいの年の女の子が沢山のクレヨンを持って走り回ってるんだよな。あ、いや。訂正するよ、飛び回ってるんだよ。文字通りにね。子供達の頭上を飛び回って、「ここはこの色が良いよ」とか「この色じゃなくて、この色のほうが合うよ」とかさ、お姉さんぶってね。子供達も慣れているらしくて、その女の子に色々質問したり確認したりしてるんだよ。それでその女の子が両手を勢いよく挙げて叫ぶんだよな、「さあ、みんな!いっぱいお絵描きしてね」て。
 見てて微笑ましい光景だよ、本当に。あの女の子が宙に浮いてなければね。


 7:渡り廊下の足音改め広場の足音・・・七女汐里
 親御さんたちが迎えにくるまでの間はさ、子供達が外の広場で駆け回ったり部屋で大人しく本を読んでたり思い思いにすごしてるんだよな。それで一部の元気な子供達が駆けっ子をして楽しんでるのを見るのはこの仕事での楽しみの一つだよな。・・・一応言っとくけどロリコンとか無いからな。オマエが考えてそうだからな、先に言っといただけだよ。
 で、その中で一番早い子が一人いるんだよ。男の子に混ざって走ってるんだけど、いつも一番になるんだよ。女の子なんだけどな。確かに早いんだよな、「私が一番〜〜!!」て駆け終えると左腕を天に指して人差し指をビシッ!と立てて宣言するんだよ。これがさまに成っていて一緒に駆けた子供達も悔しがるより嬉しがってまた駆けっ子しようって誘うんだよな。
 で、見てて気づいちまうんだよ。その女の子が一緒に走ってる男の子達の身体をすり抜けていくのを。見間違いかと思うんだけどな、何度も見ているとそう思えなくなるんだよ。走ってくる男の子の身体を後ろからすり抜けるんだから。


 と、こんなところかな。ま、この話はこれでお終いなんだけどさ、問題はここから先なんだよ。・・・・ついて来れば判るよ。


 ・・・・・着いたぞ。それじゃあ玄関を開けるけど、驚かないでくれよ。
 
 ガチャ!「「「「「「「おかえりなさい!!!!!!!」」」」」」」

椿「おかりなさい。あら、お友達の方もいるのですね。でも大丈夫ですよ。おつまみもビールもちゃんとご準備できてますよ」
桜「ね、ね、お兄さん。私もお手伝いしたんだよ」
菊枝「わ、私も手伝ったんだよ。ちゃんと美味しく出来てるんだからね、本当だからね」
沙月「見てください。綺麗な石ころでしょ!今日、貰ったんですよ」
梓「どうどう!今日は新記録だよ!11個も回せたんだよ」
香澄「見て見て♪♪あの子達が私の似顔絵を描いてくれたの♪♪♪うれしいでしょう」
汐里「今日も私が一番〜〜〜!!!」ダダダッ!!ダキッ!!!

 これで困ってるんだよ。毎日こんな調子でさ・・・あ、おい如何したんだよ?帰るって?馬に蹴られたくない?!なんだよ、それ!!

16/08/26 05:35更新 / 名無しの旅人
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■作者メッセージ
補習を担当した方「・・・・ま、いっか」

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