連載小説
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シーサイドエリア
「続きましてはこちらのシーサイドエリアをご案内いたします。このエリアは主に海に生活する方が過しやすいように建てられました」

樹里さんの説明では、このエリアには人間用の道路と人魚などの魔物娘が動きやすい水路が並列に作られている。そしてこのエリアの中心地には大きな噴水が建っておりすべての水路の集合湖になっているのだそうだ。

「そしてこれが、シーサイドエリアのお勧めフードの珊瑚アイスです」

俺の前に差し出してきたのはカキ氷の上にキラキラとした何かが載っているもので仕方なく頂くことにした。・・正直に言うと美味い。
どうやら、上に掛かっているのはスライムゼリーのようでカキ氷のシロップには丁度良かった。

「お勧めフードも食べた事ですし、そろそろアトラクションにでも行きましょうか」

その言葉に同意した俺は、彼女と一緒に何故か水着売り場の店へと向かいだした。何故と彼女に問いただすとこのままだとこのエリアを出るときは裸になってしまうほど濡れるらしい。


それからというものアトラクションには樹里さんと乗れる奴を選んでは乗っているのだがアトラクションよりも俺の視線は常に樹里さんに向いていた。着替える前は着込んでいたのか目立たなかったが、いざ着替えるとグラマラスな水着にたわわな胸が強調しておりもう目のやり場が困るぐらいです。他のカップルの男も何人かは樹里さんの方を見て彼女にヤキモチを焼かせている。

「どうしました?私の顔に何かついてます?」

両手で自分の顔を叩く動作に胸が一緒になって動く、その行動がやばいくらい俺の中の獣を呼び起こす。・・が、流石に案内人に対してそのような行動は失礼にあたると思い抑える事にした。


「最後にここに行きましょうよ。確か開演は間もなくのはずです」

彼女に腕を引かれて入ったそこは、魔物娘が舞台をやるミュージアム会場だった。中に入ると丁度始まる頃だったのか1人の男性がポツンと立っていた。

『親愛なるアルプリナ。未だ私のこの気持ちは貴方に対して消える事はない。だが、私はこの場から去らなくてはいけない。この声が聞こえたらどうか、どうか・・・』

男性が声を発し終えたと同時に暗転が始まり先ほどとは一変して賑やかな場面になった。
この劇の大まかな説明をすると、何不自由の無い青年が無実の罪に掛けられ遠い島まで流されてしまう。それを聞いた民衆が反発を起すも国家がそれを聞き入れず青年と一緒に島に流されてしまう。それを知った妻や青年の恋人は悲しみや残酷さののあまり海に身を投げてしまうも海神ポセイドンのおかげで難を逃れた。一方、男性の方は愛する者が亡くなった事を知り自分たちも海に飛び込んだ。そして青年はまた最初に言った言葉を発した後に、海に入っていった。 



「なんか歯切れが悪いですね」

会場から出てきた俺は、ちゃんとした結末になっていない事に少しだけモヤモヤしている。昔の小説はこんな中途半端だったのだろうか。

「まぁ、モデルは100年前ぐらいの話ですからね。だけど私だったら、海の中で二人が出会ってハッピーエンドにしますよ」

そんなことを良いながら微笑む彼女に俺は少しばかり心が洗われた気がし、次のエリアへと足を進めた。
16/04/20 22:02更新 / kirisaki
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■作者メッセージ
お疲れ様です。
投稿に長い期間を用いてすいませんでした。

それではまた

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