連載小説
[TOP][目次]
息抜き3 無茶は禁物!?
ユキアによる騒動は、サリナの活躍によって終止符が打たれ
負けを認めたユキアはサリナ達チームに手出ししない事を誓い
サリナが見届けるなか静かに去っていった…


サリナ「今日はどこ行くの?タカ。」
隆文「今日はちょっち走りてー場所があるから行こうと思ってる。」

その事件から一週間後、2人は隆文のワークスで遠出に出ていた

サリナ「走りたかった場所?」
隆文「そう。まぁ、サリナも行った事ある場所だな。」
サリナ「え〜とぉ…この道筋だと…。あっ、あそこね!」
隆文「わかったか?」
サリナ「わかったもなにも、忘れるわけないでしょ!あんな胸くそ悪いことあった場所なんだから!」
隆文「ははっ、まぁな。」
サリナ「もうっ。あんなの二度とゴメンだわ。」
隆文「とりあえず場所に罪はねーだろ。あん時は俺は走れなかったから、今日は思いっきり走りたくてな。」
サリナ「まぁ、そうね。それなりに楽しそうなレイアウトだもの。それに広い駐車場もある事だしね。そういうことなら私も楽しませてもらうわ…。」

サリナはそう言うと、ふふっ…と含みのある笑みを密かに零したのだった




-いろは坂-


明智平から少し行った所にあるガソリンスタンド、そこに隆文のワークスは止められていた

隆文「流石に平日じゃ、人がすくねーな。」
サリナ「そうね、紅葉シーズンとなるとまた話は別になるけど、今はまだ季節はずれだし。」
隆文「ま、走りやすくていいんじゃない?そんじゃ、行きますか!!」

ファンッファァン!!ギャギャギャ!!

ファァアアアアン!!

小気味よくスタートしたワークスは軽いシフトワークで加速していき
最初の左コーナーへと突入した
軽さを最大限に利用した突っ込みはさながらジェットコースターのようだ

サリナ「今日もワークスは絶好調ね!」
隆文「ああ!!いい感じだ!!」

その勢いのままS字を駆け抜け、一つ目のヘアピンへと突っ込んでいく

隆文「うわぁお!こりゃABSなしにゃヘビーだわ!!」

すかさずサイドを引き、姿勢をコントロールしながら折り返し立ち上がる

サリナ「今にもブレーキングでフロントがロックしそうでヒヤヒヤするわ!」
隆文「勾配がキツイからな!とりあえずブレーキングに慣れないとな!」

そしてワークスは次へ次へとヘアピンを駆け抜けていく
時折ブレーキングによってフロントタイヤがロックし
サリナを凍りつかせているが、なんとか隆文は姿勢を保っていられた

隆文「いやぁ、おっかねー!今にもすっ飛んで行きそうだ!」
サリナ「ホントよ!!ビックリするわ!!」
隆文「でも段々慣れてきた!おっしゃあノッてきたぜ!!」
サリナ「恐くてチビりそうよ!!あ!?もしかしてそういうプレイがしたいの!?」
隆文「ハァ!?んなわけねーだろ!?」

ギャギャギャ!!

サリナ「きゃっ!!」
隆文「あわっほぉい!!」

危うくアンダーステアでフロントをもっていかれるところだったワークス
辛うじて隆文は立て直すのだった

隆文「バカっ!トバしてるときにヘンなこと言うな!!」
サリナ「…〜っ!」
隆文「…?どうした?」

涙目になったまま俯いてしまうサリナ

隆文「…くっ!」

ウォンッ!キキッ!

サリナの様子を心配した隆文は、ワークスを路肩に止める

隆文「お〜い…大丈夫か…?」
サリナ「…。」

一向に顔を上げないサリナ
心なしか肩が震えているようだった

隆文「大丈夫かって!おい!」

少し強めに話しかける隆文
それに対してサリナは

サリナ「…チビっちゃったよぅ…。」
隆文「はぃ?」

ほんの小さな声で話すサリナ
隆文はよく聞き取れず、聞き返す

隆文「…もう一回言って?」
サリナ「…だからチビっちゃったんだってぇ…。」
隆文「…。」

それを聞いた隆文はバツの悪そうな顔をし
頬をポリポリと掻く

隆文「…なら山降りて休めるとこ行くか…?」

コクッと頷くサリナに、隆文は仕方ないといった表情でギアを繋ぎ
ゆっくりと走り始めた




1つヘアピンを抜けたところで、隆文は後ろに張り付いた車両に目を向ける

隆文「何だこいつ、煽ってんのか?」

その青いMR-2はベッタリと舐めるようにワークスのテールにくっついて離れない

隆文(サリナがこんなんじゃバトルもへったくれもねーからなぁ…ハザードでも出して行かせるか。)

サリナは未だに助手席で顔を伏せて小さくなっている
そして、隆文がハザードを灯そうとスイッチに手をのばそうとした途端

ゴンッ!

隆文「うぉっ!?」
サリナ「なっなに!?」

後ろを煽るMR-2が、隆文のワークスに一発当ててきたのだ

隆文「…上等じゃねぇかよクソ野郎が。泣く事になっても知らねぇからな!!」
サリナ「ちょっ!?ちょっとぉ!?」

一気にアクセルを開ける隆文
小柄なボディに収まったF6Bエンジンが、甲高く叫ぶ

Dかぶれ「やっとやる気になったか、さっきまでのあんだけの走り見せられちゃ、相手してもらわなきゃ困るぜ!」

後ろを走るMR-2も、合わせて加速する
ワークスは次に迫ったヘアピンをフロントロックスレスレでブレーキングし
四輪ドリフトで姿勢を変えていく

Dかぶれ「やるじゃねーか、地元の俺でも惚れ惚れするぜ!」

某マンガのキャラの真似をしながらヘアピンを曲がっていく
だが、よく観察すると
この男、左足ブレーキング等の高等技術は使わず
サイドブレーキで淡々と折り返して行く
案の定、ワークスに大きく差が開いている

隆文「俺のケツに当てやがったわりにゃおせぇな!!」
Dかぶれ「やるなぁ!アレをどこで仕掛けるか、そのタイミングが重要なんだ!」

言うだけ言って、実力が伴っていないMR-2の男
ストレートでは頑張って少しは追いつくがヘアピンでの差があまりにも激しい
大きく差が開いている状態のまま
二台はあの"茶屋のあるストレート"を抜けたのだった

隆文「おっそ、付き合ってらんねぇよ。」
Dかぶれ「ここだ!インベタのさらにインとは空中に描くラインだ!!」

ワークスがヘアピンを立ち上がるが立ち上がらないかというところで
MR-2が一気に旋回すると
勢いよくイン側のガードレールギリギリの段差に突っ込んだのだった

隆文「バカか!?アレをマジでやったら!!」

そのままインコースで大ジャンプを繰り広げるMR-2
綺麗な弧を描きながら
アスファルト目掛けて急降下していく
そして

ゴシャンッ!!

思いっきり顔面からアスファルトに突っ込み
バンパーを吹っ飛ばし着地するMR-2
そして着地よってサスペンションのダンパーがフルバンプし
アッパーマウントを突き破ってしまってしまったのだった

隆文「あ〜あ、言わんこっちゃねーよ。ありゃもう廃車だな。」
Dかぶれ「えっ!?えぇぇ!?」

そのまま走行できずに停止するMR-2
ラジエターを一緒に吹っ飛ばしたが為に
白煙までもが上がってしまっている

隆文(俺は助けねーからな。馬鹿やったお前が悪いんだ、自分で何とかするんだな。)

隆文はそのまま悠々と、何事もなかったかのように山を下って行くのだった
何かを忘れている事に一切気づかずに________






-コンビニ-

隆文「ほら、コンビニついたぜー。」
サリナ「ふふ…ふふふ…。」
隆文「ど…どうした…?」
サリナ「さっきはよくもやってくれたわね…?」
隆文「え?なんの……ハッ!?」
隆文(やべぇぇ!!さっきのバトルの時怒りで完全にサリナの存在忘れてた!!)
サリナ「ふふ…そっかぁ〜…そぉんなにスカトロプレイがお好みなんだぁ〜。」

顔をあげるサリナ
その眼光はまさにヤクザも裸足で逃げ出すであろう鋭い光を灯している
よく見ると、助手席のサリナの股の辺りには小さく世界地図が出来上がっていた

隆文「ヒッ…いえっ…あのぉっ…!」
サリナ「…なら…てっっってい的に!!…してあげないとねぇ〜?」

ゆ〜っくりと近づいてくるサリナ
隆文は戦慄を憶え、咄嗟にワークスのドアを開け
全力疾走で逃げ出すのだった

…後々サリナに捕獲され、危うく新たな快感を開発されそうになったのは
言うまでもあるまい___________
16/11/19 07:46更新 / 稲荷の伴侶
戻る 次へ

■作者メッセージ
どうも、稲荷の伴侶です。

今回は隆文のワークス初の走行シーンでした(・ω・ )
特徴のある車は書きやすくていいですね(苦笑)

今回は勘違いしたDかぶれが出てきましたが、ああいった人がいた為に某マンガが一時休載してしまったんでしょうね…
皆さんはそのような限界を超えた無茶走りは行わず、楽しく車と付き合いましょ!


次回、ナイトロ

TOP | 感想 | RSS | メール登録

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33