連載小説
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イチゴゼリー(上)
「うっ、ぁ、……も、もう駄目だ。またイくぞ、いのり、いのりぃッ!!」
「はぁ、あっ、あっあっ、うんっ…おねがい。イって、いってぇぇ♪」

 私、『三古寺(サンプルジ) いのり』はただいま、ちょっと年上の男の人にまたがって、夢中で腰を上下に振りまくっている。
現在は、たしか8回戦目。私の股間はもう、つながってる所が見えないくらい、彼の精液でぐちゃぐちゃだ。いや、股間どころか、全身白濁まみれだった。

「い、いの、うぁっ…!!」
「でっ、でた、あづっ、ひぁ、ぁあああああああぁぁぁッ…♪」

 恋人同士が、お互いを激しく愛し合っている。まあ、ごく当たり前の事だろう。…ちょっと一度の回数は多いかもしれないけど。
…けれど、私たちの下にあるのが、ベッドじゃなくて、『ピンク色のゼリー状の体を持つ生物』だとしたら、貴方はどう思うだろう?
そしてそれが、私と彼の体を、そのゼリーの体であれこれ責めているとしたら?
それどころか、彼が今日射精した内の3回は、この生物が相手だったとしたら?
もっと言うと、この生物が『私の一部』だって言ったら……貴方はどう思うだろうか?
もちろんこれは夢じゃなくて、すべて現実。だというのに、ふと思い返してみると、まるで夢みたいにおかしな状況だと思う。
まあ、幸せなんだけど。幸せすぎて、もう全身とろけそうなくらい幸せなんだけど。
できればもっと、ごくフツーの恋をしてみたかったという気持ちも、少しあったのだ。

…まったくもう。こんな目にあったのも、全部あの怪しい通販のせいだ…。





 〜ちょっと前〜

「…!」

 弛緩しきった体に、ふと力が入る。
どろりと酩酊した意識の中で、ゆっくりと体を伸ばした。

「んッ…」

 ぴんと緊張した体に、えもいわれぬ快感が走り抜ける。

「は…ああぁぁぁ〜〜〜〜〜…ッ♪」

 脱力。
全身に熱が回り、思わず、はしたない声を上げてしまう。
優しい余韻を楽しみながら、この瞬間が、この感覚がずっと続けばいいのにと思う。
…幸せ…♪



「…ふぅ〜、よく寝た…。
 あー、やっぱ人間、最低9時間は寝ないと。」

 大学の講義も、アルバイトも、その他諸々も、なんにも無い完全休日の朝。
私は、思い切り伸びをして、久しぶりの爽快な目覚めを噛みしめていた所である。
さっきので、もしも何か別の事を想像した人がいたのなら、きっと疲れているに違いない。
かわいそうに。出来るものなら、この爽快さを少しばかり分けてあげたい。

「さって、ゴハンゴハン…」

 爽快が冷めないうちに、朝ごはんの支度をする。今日は洋風ブレックファーストだ。
…と言っても、買い置きの食パンを焼いて、インスタントスープを付け合せただけだけど。
一人暮らしの女の朝食なんてこんなもの…と信じつつ、
実家から持ってきた小型テレビで朝のニュースを見ながら、パンにバターを塗る。

「…ん。それなり。」

 当然、美味しくなくはないけど、普通の味。ニュースも大した事件とかは無い。
特に感想も無く完食する頃には、情報コーナーが始まっていた。

「ごちそうさまー、と。」

 今日もまた、平凡な一日が始まる。
大学に通うため一人暮らしを始めた当初はどうなる事かと思ったけど、
特に危険にも見舞われず、大学で友達も結構出来たし、生活面でも特に困ってない。
とっても順調で、平穏なキャンパスライフが続き、もう一年以上が過ぎた。
唯一不満なことと言えば…

『今日のテーマは『結局、恋愛するなら何系男子?』です。早速VTRを…』
「…恋愛かぁ……。」

 そう、恋愛。
思えば、小、中、高、そして現在と、そんな感じになった覚えが無いのだ。
別に理想が高いつもりはないし、顔とか性格が悪いわけではない(ハズ)だし、
小中高と共学だったから、男子と触れ合う事自体もあった。
けど、同級生の女の子達が恋愛に盛り上がる中、私は彼氏いない暦=年齢が今まで続いている数少ない女子だった。

「したいなぁ、恋愛…」

 繰り返すけど、理想が高いつもりはない。
優しくて、どちらかと言うと同い年か、ちょっと下の人がいいなー。くらいの、低い条件。
合コンとか、交流できそうな場には普通に行くし、探してないわけでもない。
でも、それは最低条件。合ってても、『これ!』って男の人は、なかなか見つからない。
そんなもんなのかな。それとも、私の運がないだけ?
そうだとしたら…

「いつかは私にも向いてくる…よね?」

 でも、その時がずっと後だったら?そもそも来なかったら…?
いい年になるまで独り身で、お見合い結婚できたらまだいいけど、
悪くしたら、お婆ちゃんになるまでずっと…

「うう、ダメダメ!考えるのやめた!」

 考えるほどズンズン気持ちが暗くなっちゃうから、やめた。
全く…せっかくの気持ちいい朝を、自分で台無しにしてどうすんのよ。

「…なんか気分転換でもしようかな。」

 そういえば、もうすぐ休日朝の恒例、子供向けアニメの時間だ。
子供の頃はよく見てたけど、最近って、どんな感じのやってんだろ…
昔見たアニメを思い出しながら、チャンネルを変えようとしたところで、
ニュースは終わり、通販番組が始まった。

『モンスターズ・ミラクル・マーケット!』
「それじゃ、ピッと……ん?……あれ!?チャンネル変わんない!?
 リモコンの電池切れたのかな…」

 でも、リモコンだけじゃなかった。
本体のボタンもあれこれ押してみたけど、何も反応が無い。
電源も切れない。うそ…もう壊れたの!?買って4、5年くらいしか経ってないのに!
あ、でも、それくらいならあり得るか…。どうしよ。コンセント抜く?
でも今度は電源が入らなくなるかもしれないし、あああ、もう、何でこんなことに!

「…しょうがない。もうちょい待って、また試してみよ。」

 とりあえず、目の前の番組でも見て落ち着くことに決めた。

『どうも皆さん、貴方のお悩みを激しく、かつ、いやらしく解決する商品を提供する、
 モンスターズ・ミラクル・マーケット。略してMMMのお時間です♪
 プレゼンターは私、ルクリー利里夢と…』
『首梨 リューナでお送りします。』

 うわっ、この司会の人達、ものすごい美人…
…いいなぁ。こんなに美人だったら、恋愛にも困らないだろうな…。

『今回は、恋愛運に効果のある、こちらの商品をご紹介します!』

 恋愛運…そんな事言って、変なミサンガとかパワーストーンなんてやめてよね。
効きもしないし、買えもしないもの見せられたって、面白くもなんともないんだから。

『今、密かな人気を誇る『恋するゼリー』
 その新商品が、この度ついに登場いたしました。
 それが、このイチゴゼリー!女性限定商品となっております。』

 と思っていたら、まさかの食品。
食べ物で恋愛運って、お土産屋さんならともかく、通販では聞いた事ない。
効果は…まあ無いんだろうけど、ちょっと新鮮。

『100%魔界産の素材を使用した、貴方の体と心を、甘酸っぱくとろけさせる逸品!
 さらに、体の中からキレイにしてくれる作用もあるので、美容にもいいんですよ!』

 セールストークと共に映るのは、
プラカップの中できらきらと輝く、ピンク色の透き通ったゼリー。
種はないみたいだ。まあ、あったらちょっと気持ち悪いかもしれないし。

「おー、美味しそうじゃないの。
 流石は通販番組で紹介されるほどの品、ってトコかしら。」

 見た目的には、特に変わったところはないけれど…
ゼリーに使う表現ではないけど、なんていうか、活きがいい感じがする。
見てるとついつい、イチゴの甘酸っぱい風味を楽しみながら、
ぷりゅんとしたゼリーの欠片を、舌の上で優しく潰し、味わう所を、想像してしまう…
…ところで、『まかい』って、どこらへんの地名だろうか?

「…どうしよう。ちょっと食べたくなってきちゃった…。」

 元々イチゴや、イチゴ味の物は大好きだし。
それにイチゴゼリー自体珍しい。コンビニとかじゃまずお目にかかれないのよね。
よその県とかでは普通に売ってるのかもしれないけど、
少なくとも、うちや実家の周辺にあるコンビニやスーパーでは見たことない。
ましてや通販番組で紹介されるほどの品…さぞかし美味しいに違いない。

「…でも、お高いんでしょう?」

 思わず、通販ではよくあるセリフを言ってしまう。
生活に不自由はしてないけど、おやつ程度に何千円も払えるような、ユルいお財布は持ってません。
1個ならまだしも、一人で何個も食べたら飽きるし…

『さて、今回のこの新商品。
 皆様にぜひ味わっていただくため、通常価格1個1000円のところを、
 なんと半額、1個500円でのご提供となっております!』

 と思っていたら、財布を締めていた問題が一気になくなるような条件が出た。
お取り寄せグルメって、こんなにお手軽なものだったっけ?
へんな通販…

「…でも、それくらいなら買えそうかな。
 ……試してみよっと。」





 そして数日後。
指定したタイミング通り、大学から帰宅したすぐ後に、それは届いた。
すぐさま冷蔵庫に入れて冷やし、夕食後にデザートとして取り出し…
食べる前に、まずはテーブルに置いて眺めてみた。

「ほほう。じっくり見ると、また美味しそうね…。」

 冷やしておいた甲斐がある。
美味しそうだけど……でも何だろう、この感じ。
まるで、ゼリーの方もこちらを見つめているような感じがする…

「…まあ、気のせいだよね。
 それとも、アナタも私に食べられたくて、うずうずしてるのかな?なんてね。
 それじゃ、いただきまーす♪」

 深く考えずに、カップの蓋を一気にはがす。
次の瞬間、私の顔面いっぱいに飛び込んできたのは、上澄みのシロップではなく、
イチゴゼリーの甘酸っぱい香りでもなく、『イチゴゼリーそのもの』…だった。

むぶッ!!?!

 いきなり、ゼリーがびよーんと伸びて、私の顔に貼りついてきた。
それを認識する暇も与えられないまま、
そのゼリーは私の口をこじ開け、自分の一部を頬張らせてきた。

「ん゛っ、あぉむ…!?」

 思わず口を閉じようとすると、私の口に入ってきたゼリーは、
そのまま、やけにあっさり噛み切られた。
それと同時に、顔に貼りついたゼリーも剥がれ、テーブルに落ちる。

「…?…!?」

 混乱しながらも、口の中のゼリーを咀嚼し、飲み込む。
イチゴらしい…かどうかはわからないけど、さわやかな甘酸っぱさが口内に広がる。
けっこう美味しい…でも、それどころじゃない!

「…んぐっ。はぁ…はぁ………なに!?何が起こったの!?」

 この部屋には私以外誰もいないというのに、思わず、いない誰かに訪ねてしまった。
…いや、答えてくれる存在はいた。私の目の前に。
目の前の、さっきまでイチゴゼリーだと思っていた『なにか』が、
何が起こったかを答えるかのように、カップからひとりでに這い出てきたのだ…。

「…い…いったい、何なの?
 ちょ…何これ、やめ、やめてよ、やめてよ、やめてよ…!!」

 何なのこれ、私、イチゴゼリーを食べようとしてただけなのに、なんでこんなホラーな目に遭わなくちゃいけないの?
わけもわからず恐怖に震えている内に、イチゴゼリーみたいな何かはカップから出きった。
その時には、それの量は、明らかにカップに入りきらない程に増えていた。
具体的には、ビーチボール大くらいの大きさに。

「こ、これ、何なの…?
 ……そうだ、警察、警察呼ばないと…」

 唯一思いつけた頼みの綱、110番にかけるべく、電話へ走ろうと…した瞬間、
そのピンクの何かは、触手みたいなものを伸ばし、すばやく私の足元に絡みついた。

「ひッ!?」

 触手の力は意外と強く、私の両足は、完全に封じられてしまった。
全身を使ってもがいてみても、びくともしない。
その際、慌てて手で足元のゼリー触手を掻き分けようとしてしまい、そのまま両手も拘束されてしまった。
傍目から見たら私は、四つん這いの、随分と恥ずかしい格好をしていただろう。

「そ、そんな、…だ、だれ……んぷんんッ!!?

 ならば、大声で叫んで助けを呼ぼうとするも、ゼリーはそれを察したのか、
私の口にその触手を差し入れ、再び私の口は塞がれてしまった。
さっきは簡単に噛み切れたのに、今はアゴに全力をかけても噛み切れない…

「んっ、むふぉぉ…!!」

 これで完全に助けを呼べなくなったと見るや、
足元に絡みついたゼリーみたいなものは、今度は全体を移動させて両足に纏わりつき、
ひんやりした感触を伴いながら、
ゆっくりと私の足首を伝い、ふくらはぎ、太腿へと登ってくる…

(い…いやっ…いや…ぁ………あっ…)

 いよいよ恐怖の極致に達した私の股間から、じわぁっ…と、暖かい雫がこぼれる。
恥ずかしいとか、止めようとか、そんな思いが浮かんでくる余裕も、もはや無い。
流れ出す液体は、恐怖心の膨らむままに増してゆき、やがて雫から黄色い筋へと変わって、
ぬれて肌に貼りついたショーツと、普段着のズボンをたやすく通過し、
真下のゼリーみたいなものに、びちゃびちゃと大きな水音を立てて降り注いだ。

(……も、もらし…ちゃった…。ゼリーの上に…)

 しかも…

(…うわ、飲んでる…!?というか、吸収してる!)

 私のおしっこは、ゼリーに降りかかった端から、
乾いたスポンジに水を吸わせるみたいに吸い取られてしまった。

(ほんとに、なに、これ…)

 これが他人事だったら、まだ「人間のおしっこ飲むなんて、どんなエロ生物よ!」
とか言えたんだろうけど…
当事者となってみると、もう、混乱することしかできない。


 モット…


(!?)

 どこからともなく、そんな声が聞こえたような気がした。
そしてそれの直後、いよいよゼリーの動きが活発化し、
おしっこで濡れた部分に重点的にくっついて、それを吸い取りながら、
とうとう私の股間まで到達した。

(なに、す…!)

 まさか。…まさか………

ん゛んんんんーーー!うぅぅーーー!!

 どうにか動く首を、何度も何度も、精一杯振って抗議する。
…もちろん、相手には効かない。
それは、私の恐怖感を煽るかのようにゆっくりと、でも器用にズボンのチャックを下ろし、
おしっこ塗れのショーツを横にずらして、入り口を何度か撫で上げて…
自分の指しか触れた事のない入り口の隙間から、私の中へ、ぬるりと入り込んだ。

………!!!!

 声にならない悲鳴って、こういうのを言うんだろう。まさか自分が出すとは思わなかった。
…なんてことも考えていられないほどの激痛が、すぐに私の全身を突きぬけ………ない?
あれ…?痛くない。こういうのって、痛いんじゃなかった?
ぐねぐねと入ってくる感触はあるのに、痛みがない。むしろ…

「…んっ、ふぅ……ふ、ぅ…?」

 …なんか、アレな気持ちになってきた。
……嘘でしょ?こんな、わけも分からず、変な生き物?にあそこを弄くられて…。
本当なら、気持ち悪くて仕方ないと思うのに、…どうして?
戸惑う私をよそに、変なゼリーは、どんどん、どんどん私の奥深くに入ってきて…

(……!?)

 普段は意識すらしていない部分。私の膣の、一番奥の壁まで、ゼリーが到達した。
そのまま、もっと奥があるかのように、私のお腹ををぐいぐいと押し上げてくる。
けど、ここまで進入を許しても、まだ痛みも不快感もなく。
それとは逆に、アレな気持ちは更に強くなってきた。

「んうっ、うっ、うっ……」

 自分の出す声が、だんだん熱っぽくなっていくのが分かる。恥ずかしい…。
私の気持ちをよそに、もうこれ以上奥に入り込めないと判断したらしいゼリーは、
今度は私の膣内全体を、うねうね蹂躙し始めた。

「んんっ…!?」

 自分の指でした経験なんて、全くあてにならないような性感が、私の膣内を襲う。
あの…膜に守られて、今まで触れられた事のなかった奥深く。
生まれたばかりの赤ちゃんの肌が敏感であるように、私のそこは、驚くほどに過敏だった。
その全てにゼリーが張り付き、自由に、器用に、複雑に刺激を与えてくる。

「あっ、あふ、うっ…!!」

 壁の細かいひだひだのひとつひとつをなぞられ、くすぐったさと快感が混ざった感覚。
それを与えながら、ゼリーは何かを探しているようだった。

「んっ、ん……ふぐぅぅぅ!!!?

 やがて私の中から、ビリッ!と、強く鋭い電撃のような刺激が走り、意識が飛びかけながらも、ゼリーが探していた場所が見つかった事を悟った。
膣の奥のほう、壁のある一点に存在するという、性感帯の集まり。人づてやネットの知識でしか知らなかった…いわゆるGスポット(だと思う)を、見つけるや否や、思いきり、ぐりっ、とやられたのだ。

「はっ、おっ、んん、むぅー!!」

 ゼリーは私の反応を見てか、その部分を重点的に攻めてくる。
なぞって、こすって、揉んで、つねって、吸い上げて、なめ回して…
人間ではとても自在には触れないその部分を、ありとあらゆる方法でいじめぬかれる。
けれど弄られるのは、もちろん奥だけじゃない。
入り口の膨らんだ部分をマッサージするみたいに容赦なく揉まれながら、
包皮を剥きあげられた敏感な突起と、その裏側にある尿道口を上下から一緒にはさまれて、指でころころと転がすような動きで弄ばれる。

(もう、いやぁ…!!)

 快感でおかしくなりそう。だけど、それを受け取る事しか、今の私には許されなかった。
自分が、この生物より下の存在になってしまったかのような感覚。
…いや、実際に下なんだ。逃げる事も抵抗する事も、私には出来ないのだから。
認めたくないその事実を私に教え込もうとするかのように、ゼリーはより一層、容赦なく私に快感を与え続ける。

「うっ……うっうっ………ふう゛ううぅっ…」

 わけの分からない生き物に、自分の体を好き放題に陵辱されて、何も抵抗できなくて。
何で私がこんな目に?という悔しさに、いつしか涙が溢れて止まらなかった。
けれどそんな心をよそに、快感は体にどんどん溜まり続け、エッチな液は溢れて止まらない。
頭の中も、悔しさすら分からなくなっていって、『気持ちいい』が、頭の中を占領する。
…そしてもうすぐ、気持ちよさが限界まで溜まって、爆発しようとしていた。

「んぐっ、ふ、ふっ、ふぅ、ふうぅーーっ!!」

 そして絶頂の瞬間、ゼリーは私の子宮口を突き上げながら、Gスポットとクリトリスを同時に、引きちぎらんばかりに思いっきり捻り上げてきた。
今までに無い強烈な絶頂の感覚に、三点の強い強い刺激が加わって…

………っ〜〜〜〜〜〜!!!!

 全身と頭の中が、バラバラになって吹き飛んでしまいそうな、凄まじい絶頂。
体ががくがく震えて、また漏らしちゃって、多分、白目もむいてたんじゃないだろうか。
何十秒も、頭の中は空っぽで、自分の体になにが起きたのかすら分からなかった。

「…………ふーっ………ひゅぅー……」

 数分後、ようやく意識を取り戻した私は、余韻と倦怠感の中、か細く息継ぎをする。
こわばっていた全身にも、もう一切の力が入らなくなってしまっていた。
それを見計らってか、私の体はゼリーに拘束されたまま仰向けにされ、両手両足を広げた状態で、また固められた。
そのまま上半身の服もはだけられ、ブラのホックを外されて、さらけ出された私の両胸に、ゼリーはそのピンクの体を伸ばす。

「ふあっ…」

 やや控えめな私の胸の膨らみを、こちらを労わるようにゆっくりと捏ね回してくる。
膣内の激しい刺激と違って、こちらは随分と弱く、甘い愛撫だ。
これまで激しくしかされなかった分、なんだかさっきのよりも頭がぼーっとする。
熱が胸からおなかに落ち込み、おなかの中から全身に回って、体も暖かく感じる。

「んん、ふぅ………♪」

 乳首も、あくまでそっと柔らかく、ふにふにと弄ばれ、
そのうち充血して固まってくると、こりっ、とつぶされる度に、甘い痺れが襲う。

「んー……んっ………」

布団に入って眠る直前のような、ゆったりとした落ち着く気分。
ふわふわした快感に、このまま眠ってしまいそう……だったけど、
数秒後、なにやら異質な感覚に、それは打ち破られた。

「ん…ん゛んぅ!?」

 例えるなら、乳首に開いている数十の母乳を出す穴が、こじ開けられようとしている感じ。
穴が開かれ、何かの液体が染み込んでいるような…
それと同時に、先程まで自分の膣の一番奥だと認識していた場所のさらに奥で、何かがもそりと動く感覚がする。続いて、そこにまで、何かがしみこんでくる感覚を、感じた。
……まさか。これは、もしかして……

(子宮、の、なか……)

 女性が絶頂すると、子宮口がわずかに開く…と言う話を聞いたことがある。
あの長い長い絶頂の中、ゼリーは私の子宮が開いた隙を狙って、子宮の中にまで入り込んできたのだ…

(………)

 それを理解すると、顔がさあっと青ざめた。ショックと恐怖のあまり、もう、何の言葉も頭に浮かんでこない。
なのに、過去の記憶と、自分の行く末の絶望的な姿だけが、次々浮かんでくる。
…もう、だめだ。私はここで…

…しかし、そんな中、ひとつの声が頭の中に聞こえた。

『こわがらないで』

(………だ、誰!?)

 聞いた事もない声。それが、怖がらないでと言ってくる。
いや、怖がるでしょ普通!?

『あなたを とかしてあげる』

 溶かす…!?

(…殺すの?食べるの?それとも、何か産みつけたり……お、お願い。やめて…)
『だいじょぶ ころさない たべない うみつけない』
(……本当?)
『うん』
(…いや、溶かすって何よ。それに、あなた一体…?)
『ぼくは あなたのからだのなか』
(やっぱりこのゼリーなの!?何の目的で、私にこんな…!)
『ぼくは あなたに ぼくのマスターに なってほしいの だから とかす』
(マスターって…主人って事よね?
…どっちかって言うと、今、あなたに支配されてる側じゃない。私…
…というか、普通に意思疎通できてるけど…どういう事?)
『いま ぼくと あなた はんぶんだけ つながってる だから きもち つうじる』
(半分だけ?)
『マスターに なるには とかして ぜんぶ つなげないと だめ』
(…だから、溶かすって何!?)
『あなたの こころとからだを とかして ぼくを しみこませて つなげるの』
(そ、そんな…嫌よ!嫌に決まってるでしょ!?)
『ごめんなさい… マスターに なってもらわないと ぼく ごはん たべれないの…
だから ごめんなさい …かわりに…』

 そこまで言うと、その声は聞こえなくなった。
…そして、ゼリーの動きが、また活発になり始める。
両胸と子宮の染み込む感覚は更に強くなり、服の隙間からもゼリーが入り込んで、
手足、腋、お腹、肩、首、顔……私の全身をまんべんなく這い回り、撫で回し、私の皮膚にゼリーを塗りこんで、染み込ませようとしている。
……でも、気持ち悪い感覚はまったく無くて…気持ちいい。

(染み込んで、くる…)

 撫でられたところがじんわりと熱を帯び、同じ箇所を撫でられる毎にそれが強くなる。
そして熱を帯びたところの肌は、どんどん敏感になっていって、撫でられると、なんだか気持ちよくなってしまう。
…しまいには、腕やお腹を撫でられただけで、膣内をゼリーにこすられた時のような快感を覚えるまでになってしまった。

(やめ、てぇ…!きもちいい…!)

 わき腹や膝の裏なんかをくすぐられても、今やくすぐったさより、快感が勝る。
まるで、体中が性感帯になったみたい。私の体はどうなっちゃったんだろうか?
…それにしても、熱い。頭がぼーっとする。
風邪と言うより、温泉にずっと浸かってるような感覚だ。
熱すぎて、体が溶けてしまいそう。…でも、ふわふわする。気持ちいい。きもちいい。

「……んぷッ!?」

 呆けていたら、いつの間にか、全身を薄いゼリーの膜に覆われていた。
服は全て脱がされて傍らに置かれ、生まれたままの姿で。
頭も全て覆われているのに、不思議と苦しくない。苦しくないし、何だか落ち着く。
それと同時に、全身が妙にむずむずしてくる。
体中の細胞が、何か別の物に変わっていくような、そんな気がした。

(…さなぎの中の虫って、こんな感覚なのかな?)

そんな事を呑気に考えていると、ふと、体が動くことに気付いた。
…今なら、逃げられるかもしれない。
でも、なぜかそうする気は起きなかった。むしろ逆に身を委ねるように、胎児のように手足を折りたたんで丸まり、目を閉じる。
するとゼリーは、仕上げという事なのか、体を震わせながら、私の全身を優しく揉みほぐしていった。

(はあっ、あっ、ぁああああぁ…!)

 全身が気持ちよくなるせいで、マッサージのような行為も、身もだえするほどの気持ちよさを伴ってしまうようになっている。
全身の皮膚を浸透して、神経を直接揉まれているような、あまりに鋭い快感。それが全身に降りかかってくる。
その中でもいちばん敏感な膣と子宮の責めももちろん続き、快感の攻勢に、私はあっという間にまた絶頂させられてしまう。
でも、ゼリーの全身への愛撫は、まったく休むことが無い。
イったと思いきや、その直後にまたイかされ、何度も何度も連続して絶頂させられた私は、いつしか絶頂が終わらなくなり、ずっとイきっぱなしになってしまった。
頭にひらめく強烈な白い光の中、私の理性や嫌悪感、悔しさや恐怖は、ゼリーがもたらす熱と気持ちよさに削られるように、急激に溶けていった。

(イく、またいく、あ!あつい、とける、気持ちいい、キモチイイ、きもちいい……!!)

 溶けていく、とけていく、とけていく、とけて、いく、こわい……
………あれ?なんでこわがってるんだろう。
とけたら、どうなるんだろう。きもちいいのかな?いまも、とってもきもちよくて、しあわせなんだから。
…ちょっと、きょうみあるかも。ゼリーもころさないっていってたし…
どうせにげられないなら、ゼリーをしんじてみよう。
…とかしてもらおう。

(…いいよ。マスターに、なってあげる。)

 まってましたといわんばかりに、ゼリーのうごきがますますはげしくなる。
おなかのなかから、ゼリーのうれしさがつたわってくる。
とけていくのが、きもちいい。
このきもちよさを、じぶんだけしかしらないのは、なんかもったいない。
たとえば、すきなおとこのひとと、いっしょにとろとろできたら、きっと、さいこうにシアワセだとおもう。
…おとこのひと、ほしいなぁ…。
わたしがとけたら、さがしにいこうか。
そのためにも…はやく、とかして。いっしょになろう?

あなたと、わたしと、おとこのひと…だんなさまと、

ずっと、いっしょに……


…あ、とけ…る……♪


……





 <ピピピッ!ピピピッ!ピピピッ!>

「………?」

 聞き慣れた目覚まし時計の電子音と共に、目を開ける。
…夢?…うん。なんか、夢を見てた気がする。
いつものように、枕元に置いてあるはずの目覚ましを止めるべく、手を伸ばして……あれ?目覚ましは…どこ?
…それに、なんかベッドが、いつもより柔らかい気がする…
……いや、これ、ベッドじゃない!?

『おはよう、マスター』

 …夢じゃなかった。
私の股下には、昨日開封した、あのイチゴゼリー状の怪奇生物がいた。
しかもなんか、昨日はせいぜいビーチボールくらいだったのに、バランスボールよりふた周りほど大きい、くらいのサイズに膨れ上がっていた。
体を起こした私は、その上にまたがる格好になっていた。…全裸で。

「……おはよう。えーっと…貴方の名前は?」
『…ない。』
「無いのかぁ…。…それじゃ、呼びにくいから、付けてあげるわ。」
『うん。ありがと。』
「………うーん……」

もう完全にイチゴゼリーじゃないけど、一応イチゴゼリーとして買ったので、イチゴをモチーフにした名前を考えてみる。
…イチゴ……イチゴ…ストロベリー……

「…よし、決めた。貴方の名前は、ストロベリーから二文字とって『トロ』!どう?」
『…いいなまえ!ありがと!』

 うん、我ながらナイスネーミング。トロも喜んでくれたようでよかった。

「それで…トロ。
あなたって、何者なの?一体何の目的で、私を『マスター』にしたわけ?」
『…えーっと…うーんと……しろいまものさんにさそわれて…
 ほかのまものはおんなのひとなのに、トロだけ、おんなのひとじゃなくて…』
「…どういう事?」
『ごめんなさい、マスター。トロ、うまくせつめいできない…』
「そんな…」

 その時、唐突に玄関のチャイムが鳴った。
…誰だろう?こんな朝っぱらから…

『MMMより、三古寺 いのり様にお届け物でーす!』
「エムエムエム?」

 どうやら女性らしい配達員の、元気な声がドア越しに聞こえた。
…たしかそれって、トロを売ってた、あの通販番組の…

『いるのは分かってまーす。大事なお届け物なので、お受け取りくださーい。』
「は…はーい!ちょっと待ってて下さーい!」

 注文のイチゴゼリーはこうして届いたのに、何だろう?
…とにかく、とりあえず服着て出ないと…!
と思っていたら、トロが私のクローゼットに触手を伸ばして、部屋着を出してきた。

『マスター、ふく、これでいい?』
「…え?い、いいけど…どうして分かったの?服の場所とか…」
『マスターのあたまのなかみて、ここにふくがあることしってた。』

 色々言いたい事はあるけど…それは飲み込んで、急いで服を着る。
…けど、ブラはあってもショーツは無かった。しかも下はスカートだった。

「…なんで下は無いの?それになんでスカート?」
『…トロ、マスターのおまんこから、はなれられないの。…ごめんなさい…』

 何ですと!?
…おそるおそる、今も股間につながり続けるゼリーを、ぐいっと引っ張ってみる。
……ゼリーは抜けず、内臓が引っ張られるような、妙な感覚がした。
まさか、ホントに…!?どうすんのよ、これから…!
こんなんじゃ、人前にも出れない…

『『その子』に乗ったままで構いませんよー。』
「…知ってるんですか?」
『ええ。すべてご安心ください♪』

 …安心できないよ。…でも、嘆いてたところで状況は変わらないし…
とにかく出よう。話はそれからだ。
渡された服に着替えて、玄関に向かおうとする。すると…

『トロが、つれてく!』

 と、私を乗せたまま、玄関前まで移動した。意外に早い。
念のためチェーンを掛け、スカートで前を必死に隠しながら、ドアを開いた。

「はーい、ご苦労さまで…!?」

 ドアの向こうの女性配達員の、その姿にビックリした。
見たことも無い制服なのはまあいいとして、問題は彼女の姿。
何度見直しても、両腕が鳥の翼なのだ。ズボンのすそから除く足まで、鳥のそれ。
こちらの姿を見ながら、そのボーイッシュな美貌に微笑を浮かべている。

「MMM社からのアフターサービスをお届けに参りました♪」
「あ…あの、貴方って…?人間、なんですか?」
「うーん…半分は。でも、お客様も『そう』ですよ?」
「…?」
「とにかく、詳しいことは同梱のお手紙に書いてあるんで、目を通しておいて下さいね。
 じゃ、こちらにサインお願いしまーす♪」
「は、はい…」

 チェーンを外して受け取り票にサインし、小さめの小包を受け取る。

「……はい、確かにお渡ししました!
それでは、ご利用ありがとうございました!よい魔物ライフを♪」

 そう言って、配達員さんは帰っていった。…しかも、空を飛んで。

「……なんだったんだろ、あの人…。」

 配達員さんも気になるが、それよりもこの小包の中身が気になる。
小包を開くと、ピンク色の丸っこいものと、手紙が出てきた。
ピンク色のものを調べる前に、手紙に目を通す。

 …そこには、ほとんど全ての疑問の答えが書かれていた。
異世界の『魔物娘』たちと、その目的。
イチゴゼリーの正体が、女性の姿をとれず、人間女性を捕まえて寄生する『スライム』であること。
…そして、トロに寄生された今、私も『魔物娘』の一人になってしまっているという事…
そして最後に、同封のピンクの物体についての説明があった。
なんでも、これを身につけると、寄生スライムをこの中に収納できるらしい。
不思議なことに、重さもなくなるらしい。
…これがあれば、これまでどおりの生活が送れそうだ。
ちょっと安心して、朝食でも食べようと思いながら、ふと時計を見る……

「…あーっ!?もうこんな時間…行かなきゃ…!」
『どこに?』
「大学!あの教授じゃ代返も通用しないし、急いで支度しないと…!」
『それ、トロができる?』
「無理!とりあえず、洗面所に連れてって!シャワー浴びてメイクするから!」
『う、うん…でも、マスターのからだ、トロがきれいにしたからだいじょうぶだよ?』
「…そうなの?」
『うん。あせもよごれも、ゆうべトロがぜんぶたべた!においもだいじょうぶ!』
「そっか、助かったわ…でも、メイクはしないと。さ、連れてって!」

 トロに乗って洗面所に行き、鏡を見て……また驚いた。

(…あれ、いつメイクしたんだろ?)

最初に、そんなマヌケな事を考えてしまった。
もちろんメイクなどしていない。まったく素の私だった。
…それが、メイク時より、はるかに美しくなっていたのだ。
個々のパーツの雰囲気はそのままに、全体のグレードがアップしたような…
漫画でいうと、連載が続く内に画力が向上して、キャラがより美形になったような…
うまく言い表せないが、私の顔の持ち味はそのままに、微妙なところは改善され、良いところはより良くなり…普通の顔から、ものすごい美人になっていた。
あの通販番組の司会の二人や、さっきの配達員さんにも引けをとらないだろう。
胸も一気に2サイズくらい大きくなったみたいだ。

「…すごい。これなら、メイクもいらないかも…」
『マスター、きれいでしょ?』
「…うん。」

 …今日は試しに、メイク無しで行ってみよう。
髪の絡まりだけささっと直し、ちゃんとした身支度を整える。
そして…この器具。

「これを、膣内に挿入。そのまま行動できます……って…」

 その外見は、ピンク色で、卵のような楕円形で、それを二分するようにカプセル状の継ぎ目が入っている。片側に、おそらくスライムが入る用であろう穴が開いている…けど…

「どう見ても、ピンクローターだこれー!?」

 もっとデザインは無かったんだろうか。見られたら、スライムとどっちが危険だろうか。
…これからの生活に、ちょっと不安の陰りがかかった……

 
15/08/01 20:08更新 / K助
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■作者メッセージ
…というわけで、新商品『イチゴゼリー』(別名:寄生スライム)です。
長くなってしまったので、前後編に分けました。
後編は…と、年明けすぐには、出せると…いいな。
いつものように、期待せずお待ちください。
…もういっその事、小説の存在を忘れても構いません。

…あと、せめてもの生存報告として、twitter始めました。
URLはプロフィールページに書いておきます。
いないと思いますが…私に連絡したい方は、こちらに頂いた方が、覗きやすいので確実かもしれません。

…あ、あと、今回からアンケートはお休みします。
イチゴゼリーが終わったら、スライムの原種にして原点、ソーダゼリー(スライム)ですね。
それをアップした時、ちょっと発表することがあります。
…いつになるやら。その発表にも、喜ぶ人がいるのかどうか…。

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