連載小説
[TOP][目次]
手汗まみれの「ただいま」と「おかえり」 前編


「で、例の『お嬢さん』を迎える準備は出来たのかい?」

色の濃いコーヒーをすすりつつ、上司のハロルドさんが問いかける。
口調は軽いが、目の隈がなんとも痛々しい。
まあ、俺も人の事を言えたナリではないが。

「ええ、書類上の準備はほぼ終わりました。
 彼女の入国は明日です。」

国のごく一部を震撼させた、妖精女王移住問題であるが、やればなんとかなるもので書類上の整理は大方目途がついた。
猥雑な処理の多くなる役所仕事が、これだけ滞りなく進んだのは、やけに上層部の反応が良かった影響が大きい。
おそらく、魔界の大御所(要するに、例のリリム様だが)が裏で色々と手を回してくれたのだろう。

「そうかそうか、それはなによりだ。お疲れさま。
 ……しかし、これはローディ君が妖精国の王族になる日も近いんじゃないか?
 今のうちにサイン貰っておこうかな。」

「……冗談言える元気があるなんて羨ましいですね本当に。」

何が楽しいのか、ハロルドさんが愉快そうに言うが、あいにく今の俺に冗談を返す余裕はない。

「冗談なもんか。今も文通は続いているんだろう?
 いやはや、羨ましいねぇ。あんな美人さんとお近づきだなんて。」

「あれは文通ではなく、必要な情報の連絡ですよ。」

「保証してもいいが、向こうはそうは思っていないね。
 この前なんて、ピンクの便せんにハートのシールだったじゃない。
 アレは一般的にラブレターと言うんだよローディ君。知ってた?」

「……知ってますよ。だから困ってるんですってば。」

今も、机の引き出しに収まっているターニアからの手紙は、ハロルドさんの言う通りとても重要な国賓の手紙とは思えない者だった。
以前は、内容はともかく書類自体は形式ばったものだったのだが、今となっては何とも乙女な柄の便せんばかり。
文面の終わりには、形の良いキスマークまで添付されている有様だ。
十中八九というか間違いなくリリム様の入れ知恵である。
全く、敵なのか味方のなのか分かったもんじゃない。

「まあ、仲の良い事に越したことはないさ。
 それで、今後の予定は?」

「今夜、魔界から彼女の生活用品が家に届く予定です。
 移住後の諸々は明日処理します。
 同時に移住してくる魔界軍の方達の住居も、既に手配済みです。」

「うん、すばらしい。流石に仕事が丁寧だ。
 君に任せて正解だったよ。」
 
人当たりの良い笑みを浮かべつつ、ハロルドさんが自分の禿げ頭をピシャリと叩いた。

「……俺に任せた、じゃなくて勝手に俺の担当になったの間違いでしょう。」

「似たようなもんさ。
 流石は妖精女王、男を見る目があるんだねぇ。」

笑いながら、ハロルドさんがデスクへ戻っていく。
皮肉のつもりだったのだが、全く効果はなかったらしい。
今度、奥さんに羨ましがっていた事を教えてやろうと心に決めつつ、山盛りの書類に目を移した。


**********************************************


少しだけ早めに仕事を切り上げて、家に帰ってきたのが一時間前。
最低限の整理を済ませ、あとは荷物が届くのを待つばかりである。
一人には少々広い家であるが、何度見ても王族が済むには狭すぎる家だ。
すでに数回ターニアさんが訪れているが、どうしても現実感が湧かない。

「はーい!毎度ありがとうございます!
 タヌキ印の何でも屋、タヌキ商社通運出張配達サービスでっせ!
 ローディさーん!お届けものっすよー!!」

まるで、俺の用意が終わったのを見ていたかの様なタイミングで、玄関先から快活な声が聞こえる。
重い腰を上げて戸を開けると、タヌキの様な丸々とした尻尾を生やした魔物が立っていた。

「あっ!どうも!
 リリム様からの依頼で、荷物届けにきたモンです!
 今、お時間よろしいでっか?」
 
「ああ、お待ちしていました。どうぞ。」

「はーい!
 いやぁ、リリム様からのご依頼やから、どんな大御所が出てくるかと思ったら、普通のニイチャンやないですか。
 アンタ、やるねぇ。その年でリリム様とお近づきやなんて。」

妙な訛りはあるが、人当たりの良い娘である。
このくらいでないと、商売人としてはやっていけないということだろうか。

「……まあ、出会い頭の事故みたいなもんです。
 羨ましいなら譲ってやりたいぐらいですよ。」

「またまたぁ、謙遜は金にならんで?
 で、結構な大荷物なんやけど、家に入るやろか?」

「一応、整理はしておきました。
 何が届いていますか?」

尋ねると、タヌキ娘は長い伝票を取り出す。
娘は目を細めて、伝票を読み上げた。

「ええっと?
 アラクネ裁縫の服が一式やろ?
 衣装棚、ジャイアントアント謹製の鏡台。
 ワーシープダブルベッドに、妖精女王厳選お茶会セットやな。」

「ダブルベッド?」

「ん?せやで。
 目ン玉飛び出るような超高級品や。
 調達するのに苦労したわ。いやはや、さすがリリム様やね。」

いつかのリリム様からの手紙を思い出す。
まさか、本当にダブルベッドが送られてくるとは思わなかった。
どうしても、彼女は俺とターニアさんを同じベッドで眠らせたいらしい。

しかし、こんな事もあろうかと、一番広い部屋を丸々開けておいた。
この程度ならば、手狭であるが充分入りきるだろう。
いつまでも、あちらの思い通りになると思ってもらっては困るのだ。

「あ、そうそう、今あるベッドの下取りの件なんやけど……」

「え?下取り?なんの事です?」

「お?なんや、リリム様から聞いてへんの?」

なんだろうか、猛烈に嫌な予感がする。
ここ最近はこんな展開ばかりだが、それを遥かに凌駕する悪寒。

「このベッド、超高級品なんや。
 んで、リリム様が、ニイチャンの家にあるベッドを下取りすれば、資金を支払うって契約なんよ。」

「……つまり?」

「あー、まあ、要するにやな。
 ニイチャンのベッドを下取りせえへんと、このベッドは売れんゆう事やな。
 ただ、もう契約は成立しとるから、下取りが無理ならお金払って貰わんと困る。」

滅茶苦茶だ。
頭を抱えそうになるのをなんとか我慢した俺を誰か褒めてくれ。。

「……ちなみに、お幾らでしょうか。」

「出血大サービスで、魔界金貨500枚や。」

ちょっとした家の建つ値段である。

「そこの部屋にある俺のベッド、持ってって下さい……」

「はい、毎度ありー。
 ……まあ、なんや、事情はよく分からんけど、今回は相手が悪いわ。ドンマイやな。」

「はい……。」

見事にリリム様の術中に嵌まっていく行くのが分かる。
外堀をガリガリ埋められていく感覚。
やり口としては、完全に悪徳詐欺師である。
しかし、まだ俺の質素なベッドが超高級ダブルベッドに代わっただけだ。
今からでも、自分用のベッドを買いに行けば……

「あと、これはホンマに言いにくいんやけど……」

「え?」

「リリム様から伝言頼まれてな。読むで?ゴホン。

『ハローローディ君、ご機嫌いかが?
 ダブルベッド、お気に召してくれたかしら。
 これなら、どんな激しいプレイもばっちり対応よ。
 ただ、私のお小遣いも無限じゃないから、ちょっとだけそっちにも負担してもらうわ。
 許して頂戴。
 そうそう、新しいベッド買ったりしちゃ駄目よ?
 君がベッドを買ったって連絡があり次第、魔界軍の娘達がベッドを破壊しにいく手筈になってるから。
 仲良く二人で寝る様に。いいわね?』
 以上!」
 
悪徳詐欺師が、職権乱用の暴力団体大幹部に代わった瞬間である。
完全に詰みだ。
思わず膝を折る俺を、褒めなくていいから誰か助けてくれ。

「強く生きるんや、ニイチャン。」

タヌキ娘の励ましが、むなしく響いた。

*************************************************


翌日、ついに国家を揺るがす一大プロジェクトの始動の日である。
まあ、それを望んでいた輩がウチの国の中に居るかどうかは怪しいものであるが。
今から役人人生で最大の山場を迎える訳だが、俺の体調は絶好調である。
皮肉にも、あの高級ダブルベッドの寝心地は素晴らしすぎたのだ。
まるで雲の上で寝ているようだった。
恐るべきは魔界の超高級ベッドである。
今後、ベッドが一つしかないあの部屋でどうやって寝るかを考えると頭が痛くなるので、考えるのはやめにしよう。

役所の表の広場では、魔界軍の精鋭を国に迎えるためのセレモニーが執り行われている。
妖精女王が移住する隠れ蓑にするには、この位の用意は必要なのである。
俺はと言えば、役所の裏口でターニアさんの到着を待っている。
役所の向こうからは、盛大な拍手の音。
教団派の反抗もあるかと予想されたが、それもないようだ。

「ローディくーんっ!!!!」

そして、人気のない役所の裏口に響く鈴の音のような声。
ふわりと、花の香りがしたような気がする。

「ようこそ、ターニアさん。」

変装のつもりなのだろうか、帽子に町民のような地味な服装で大きな鞄を持ったターニアさんが満面の笑みでこちらに駆けよる。
しかし、背中の虹色の羽は隠しようがなかったのかそのままだ。
あまりにも、街中に溶け込むには美しすぎる。

「へへ、えへへ、来ちゃいました!」

よほど興奮したのか、磁器のように白い肌に朱が差している。
毎回の事なのだが、妙に距離が近い。
花の香りが強くなって、少し体が強張った。

「こんな所でのお迎えになってすみません。」

「いえいえ!表は凄い人でしたね!
 私が来たのが騒ぎにならないようにしてくれたのでしょう?
 大変じゃありませんでしたか?」

「それが仕事ですしね。気にしないで下さい。」

我ながら自然な会話が出来たと思うのだが、ターニアさんの頬が軽く膨らむ。
表情すべてが不服を訴えているようだ。
相変わらず表情が豊かである。

「ローディ君、敬語。」

「……鋭意努力するよ。長い目で見て下さい。」

「むー、分かりました。」

渋々といった様子で、ターニアさんが頷く。
まだ表ではセレモニーの最中のようだが、ここで長居してはせっかくの隠れ蓑が無意味である。
早めに、家までターニアさんを送り届けなければならない。

「じゃあ、ターニアさん、今から家まで行きます。少し歩きますね。」

「はい!わかりました。」

快活な返事をすると、ターニアさんが白い手を俺に差し出す。
意図が読めず、少し硬直していると、ターニアさんが少し上目遣いに口を開いた。

「えっと、その、迷子になると困りますよね?
 人も多いですし……ね?」

どうやら、女王様は手を引いてのエスコートをご所望らしい。
今まで女性の手など握った事もない俺には、あまりにもハードルの高い勅令である。
二人の間に流れる奇妙な硬直時間。
絶世の美女と、冴えない男が無言で固まっている様は、周りから見れば相当に滑稽であっただろう。
自分が生唾を飲み込む音が、やけに大きく聞こえた。
笑いたければ笑え。この女性にこんな頼みをされたら誰だってこうなると信じたい。

「だめ……?」

どの位硬直していたのかも分からないが、やっとターニアさんが口を開いた。
彼女の顔が更に赤くなって、目が潤んでいるようにも見える。
こんな顔をされては、手を差し出すしかない。

たっぷり時間を取って、ターニアさんの白い手に自分の手を添える。
俺の手の傍にあると、彼女の手の白さ細さがより鮮明に分かる。
なんとか、彼女の指先を掌で包むようにして、握る。
手を繋ぐというよりは、指先に触れるくらいの接触。
……この辺が、俺には限界だ。

「……ローディ君、手おっきいですね。」

握った彼女の指先に、クッと力が入る。
俺の手よりも、少しひんやりとした温度。
自分と同じ肌とはとても思えないほど滑らかな感触。
以前、思い切り抱きしめられた事もあるのだが、どういう訳かその時よりも彼女の感触が鮮明に感じられる。
どうにもターニアさんの顔が見られず、顔を逸らす。

「い、行きましょうか……」

「はい!」

緊張のあまり、手と足が一緒に出そうになりながらもなんとか歩き出す。
異様に喉が渇くが、そんな事を気にしている余裕も無かった。
ターニアさんの歩調はゆっくりで、俺もそれに合わせてゆっくりと歩く。
いつもは、暗澹とした気分で歩く職場から我が家までの道が、妙に煌びやかに見えた。

ターニアさんは、街のあちらこちらを興味深そうにキョロキョロと観察している。
何か新しい物を発見する度に、握っている手に力が入るのが分かる。
一体、彼女の目にはにはこのなんと言う事ない街の風景がどのように映っているのだろうか。
ターニアさんとしては、今すぐにもこの辺りを見て回りたいのだろうが、そういう訳にも行かない。
まだ、処理しなければいけない仕事は多いのだ。
流石に、まだ一人で出歩いてもらう訳にもいかない。

「明日……」

「は、はい?」

通りに店を構える食品店に目を奪われていたターニアさんが、慌ててこちらを見る。

「明日、休みを頂いたので、その時に街を案内します。
 ……だから、それまでは散策も我慢してもらえますか?」

「わぁっ……!」

気障な言い方だが、笑顔が咲くという表現がここまで正確な表情もない。
目を見開いて、感嘆の声を上げる。

「やった!
 初デートですね!」
 
「い、いやっ!そういう事では無くて……!」

「えへへ……」

慌てて否定しようとするも、聞いている様子はない。
恥じ入るようにして、ターニアさんは顔を伏せた。
頬に朱が差しながらも、嬉しそうにはにかんでいるのが分かる。

その表情を見て、どう声をかけたものか悩んでいると、握っていたターニアさんの手がするりと解けた。
かと思えば、俺の手に掌を合わせるように手を動かし、細い指が俺の指に絡んでいく。
筋張った俺の手に、彼女の手が絡んで、包み込むように密着する。

「その、本で読みました。
 デートの時は、こうやって手を繋ぐんでしょう?」

「いや、あの……!」

「予行練習は、大事ですよね……?
 だから、ね?」

「は、はい……」

手の感触に気を取られて、何も言い返せない。
指先だけでも十分分かった肌の柔らかさが、より鮮明になる。
ひんやりとしたターニアさんの手に、俺の手の温度が移っていくのが分かる。
凄まじい勢いで手汗が吹き出るのが気になって仕方ない。
手をふき取りたいが、とても離してくれそうな雰囲気はなかった。

「……男の人の手を触ったの、初めてです。
 やっぱり、全然違うんですね。」

「そそそ、そうですか?」

情けない事に、全く思考も舌も回っちゃくれない。
身体の筋肉がことごとく緊張している。
手汗が吹き出るのが分かる。

「はい、固くておっきくて、ゴツゴツしてます。
 あ、あはは、なんだかドキドキしちゃいますね!?」

顔が熱い。
火を吹きそうだ。
ターニアさんが少し手に力を込めるだけで、俺の頭の中が真っ白になる。

この後も手を繋いだまま、結局家まで歩いた。
歩いたのだが、白状すれば、俺はあまり道中の様子を憶えていない。
憶えているのは、ターニアさんの手の感触と、耳障りなほど高鳴る自分の鼓動の音だけだ。


***************************************


「おじゃまします。
 あ、おじゃましますじゃなくて、ただいまの方が良かったですかね?ふふふ。」

にこやかに笑いながら、ターニアさんが家に入っていく。
未だに手には彼女の熱が残っている気がした。
彼女が居るだけで、簡素な部屋が色彩豊かに感じられる。

「えっと、こっちがターニアさんのお部屋になります。」

昨日、なんとか運び入れた家具が並ぶ部屋に案内する。
圧倒的な存在感を放つふかふかのダブルベッドはあまり見ないようにした。

「わあ、ありがとうローディ君!
 こんな広いお部屋を貸していただいていいんでしょうか……」

広い?
確かに、この家では一番広い部屋だが、それでも家具を置いたらかなり手狭である。
勝手なイメージだが、王族にとってはこんな広さの部屋はクローゼット扱いではないだろうか。

「とんでもない、こんな狭い部屋しか用意できなくて申し訳ないくらいで……
 妖精の国の王宮に比べれば狭いと思いますが……」

「え?妖精の国の私のお部屋は、この半分くらいの大きさですよ?」

さらりと、驚くべき事を口走る。
仮にも、女王様だ。
王宮でも一番豪華で広い部屋が妥当だろう。

「ええ!?王宮があるのでしょう?女王様の部屋がそんな手狭なんてことは……」

「あ、はい、王宮はあるんですが、そこまで立派じゃありません。
 それに、王宮のほとんどを妖精ちゃん達の遊び場にしてますから。
 私のお部屋を広くするくらいなら、遊び場を増やした方が皆喜ぶでしょう?」

さも当然の事のようにターニアさんが言う。

「ふふ、だから、王宮はいつも妖精ちゃん達が遊びに来てくれるんですよ?
 そこらじゅうに妖精ちゃんの遊び道具が置いてあるんです。
 お菓子もいっぱい置いてあります。
 ふふ、今度ローディ君も遊びに来てくださいね?」

国の妖精達の事を思い出しているのだろうか。
ターニアさんの笑顔は、今までの少女のようなものとは違う。
まるで、子供を愛おしむ母の様な、慈愛に満ちた笑顔。
妖精の国の住民たちは、普段からこんな女王様に守られて生活してきたのだろう。
羨ましいな、と素直に思った。

「……すごいですね、ターニアさんは。」

なにが凄いのかも言葉に出来ないが、思わず口に出してしまう。
分かってはいたが、やはり人間の価値観は通用しない。
カルチャーギャップの塊のような女王様である。

「ええ!?いやだ、私なんて何もすごくないですよ!?
 凄いのは、リっちゃんみたいな子の事で……」

ターニアさんが手をブンブンと振って否定する。
さきほどまでの表情はどこへやら、その姿に女王然とした印象は一切ない。

「いいえ、リリム様がターニアさんの事をあれ程気に入っている訳が少し分かりました。
 僕も、ターニアさんの国に生まれたかった位です。」

「も、もう……
 お姉さんをからかっちゃいけませんよ!」

ターニアさんは、ぷいとそっぽを向いてしまうが、その顔は赤い。
少しだけ、普段の仕返しが出来た気がして気分が良い。

「ははは……、じゃあ、俺はまだ仕事があるので一旦役所に戻ります。
 荷物の整理でもしてて下さい。家の設備は自由に使ってもらって構いません。」

「あ……そうですか。」

少し残念そうである。
やはり、慣れない地に一人というのは心細いだろうか。

「お仕事、頑張って下さいね。私、お帰りをお待ちしてますから。」

それでも、すぐに笑顔でそう言ってくれた。
妙に恥ずかしくなってしまい、挨拶もそこそこに家を出る事にする。

「いってらっしゃい、ローディ君。」

誰かに、家を出るのを見送られるのはいつ以来だろう。
不意に胸が暖かくなった。


16/04/30 14:41更新 / 小屋
戻る 次へ

■作者メッセージ
後編はGW中の更新を予定しています

TOP | 感想 | RSS | メール登録

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33