読切小説
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暗い洞穴、魔の悦楽
 何か一つのことに集中し没頭すると、時間の流れを忘れてしまうという人間は少なくない。
 俺たちの場合、それに近いことが、もっと長いスパンで起こっていたと考えていいだろう。

 いつのことだったかはもう思い出せないが、過去のある日俺を攫い、犯し、そのままずっと傍に置いているマンティスさんと俺は、もうかなり長い間、彼女の巣穴の中で暮らし続けている。

 俺という男を、性交の楽しみというものを知って以来、それに病みつきになってしまった件のマンティスは、それまでの機械的な「生きるために生きる」というスタンスを捨て、積極的に快楽を追い求めるようになっていた。

 特に近頃は、性器同士の交わりのみならず、全身の各所を使ってより二人で楽しめるような方法の追求に余念がない。
 深い、縦穴状の巣穴の底で、ムチムチ吊り目美人と夜も昼もなくエロい事をし続けるこの生活は、俺にとってもこの上なく楽しいものだった。



 さて、淫乱美人妻と一戦終えて、一息ついたとき。
 愛液と精液が混じりあってどちらがどれだけ達したのかも分からなくなるほど大量に膣内射精し、さすがに少し疲れた俺は座り込み、壁に体を預けた。
 魔物らしい絶倫さでもって、まだまだ交わり足りない様子のマンティスさんは、そんな俺をちょっと不満げに見ていた。


「……もっと」
「いや、ちょっとは休ませてくれよ……というか、食糧とか水とか、そろそろ少なくなってきてるだろ。取りに行かなくていいのか?」

 ごく真っ当な理由を挙げてやると、マンティスさんの顔が少し暗くなった。
 見た目には大して変わらないが、ずっと一緒にいたことで、彼女の感情がどう表れるかくらい、俺には十分察することができる。

「……」

 微かに口を尖らせ、マンティスさんは俺に身を寄せる。意識してか否か、体勢を変えたことで彼女の豊満なおっぱいが腕と腕の間でぐにゃりと形を変え、非常に扇情的だった。

「俺だって、別にあなたと離れていたいわけじゃないよ……何なら、一緒に外へ行こうか?」
「だめ。それは、だめ」

 細くしなやかな両腕を俺の首にまわし、マンティスさんがきつい抱擁をくれる。
 森には他の魔物も多くいるらしく、マンティスさんは俺がこの巣穴から出ようとするのを非常に嫌がる。
 壁に手を当てて空を見上げるだけでもどこか悲しげな表情を浮かべるくらいなので、俺を手放したくないという感情は相当強いものらしい。
 どことも知れない森の奥でこんな風に飼育され、今の生活に自由と呼べるものは全く無い。
 が、美しく、淫乱で、かつ献身的な女性に、こうまで激しく想われているということに、俺は喜びこそすれ不満など抱こうはずもない。
 俺をかき抱く腕の力の強さが、そのまま俺への愛の強さなのだと考えると、胸が愛おしさで一杯になる。

「……分ったよ。二人で、もっと楽しいことをしよう。食べ物だって、余裕が無いわけじゃないしな」

 言うや否や、マンティスさんの顔が喜色に染まる。瞳を情欲に潤ませ、再び俺を押し倒す。
 魔物である彼女は俺の出す精だけで十分活動できるし、魔物娘と交わり続け人を辞めつつある俺も、生きてセックスするだけならさほど栄養は必要ない。
 人道を外れ魔に近づくことに、恐怖や躊躇は一切無い。俺はただ、より長く彼女と一緒にいられるという喜びしか感じていなかった。

 上体を倒したマンティスさんは、俺の脚の間にその身を置いた。両手で自身の美爆乳を掴み、まるでオナニーでもしているかのように激しく揉みしだく。
 と、見る間にマンティスさんの胸部を覆っていた緑色の甲殻や皮膜が消え、桃色の小さな乳首を勃起させた巨大なおっぱいがあらわになった。
 魔王の力によって全ての魔物たちは人間の男と子をなす力を得たわけだが、やはりそこはサキュバスというべきか、マンティスさんの胸のように、妊娠とは直接関係ない機能も多く付与されているらしい。
 このような、おっぱいの防護を外す方法は俺もマンティスさんも長らく知らなかったものである。
 先日偶然に発見されて以来、二人で楽しむ時は必ずこの敏感な双球を露出させていたのだった。
 森を駆け獣を狩るアサシンのしなやかでかつ強靭な胸筋は、たわわに実った美乳をしっかりと支える。
 垂れることない、張りのある乳肌はいつも汗にしっとりと濡れて、掴み指の間から肉が漏れ出るほど瑞々しい。
 そんな危険な淫乳を、マンティスさんはそっと俺の屹立に寄せてきた。
 大きすぎるおっぱいの間に生まれた谷間は十分に深く、俺の陰茎を根元からすっぽり包んでしまう。
 ぷにぷにのお肌がカリ首に当たると、思わず背筋がぞくりとするほど気持ちよかった。

「……おっぱい、すきだよね?」
「ああ、大好きだ」
「……♪」

 すっかり乗り気になった俺をもっと喜ばせようと、マンティスさんは両の乳で男根を挟み込み、左右から強く圧迫する。
 見た目以上の、柔らかすぎる肉の愛撫に、早くも鈴口から我慢汁が漏れてしまう。
 目の前の甘露に、マンティスさんは一瞬物欲しそうな顔をしたが、口をつけることはせずそのままパイズリ奉仕に没頭しだした。
 狩りの帰りや寝起きなど、俺のことが欲しくて欲しくて仕方ないときは、乳肉の間からはみ出た亀頭を口に含み舐めしゃぶり、カリ首の周りを唇と舌先でレロレロして瞬く間に白い液体を啜ってしまう彼女だが、今回はじっくり行く方針らしい。
 挟み込む強さはそのままに、マンティスさんはさらに上下運動を加えてきた。左右の乳房が互い違いに動き、竿に胸が激しく、不規則に擦れる。
 ふわふわのエロ乳に挟まれ揉まれ射精させられるのは、普通のセックスに勝るとも劣らないほどぞくぞくさせられる。
 ごく最近まで胸の防護を外したことが無く、それゆえに胸部への刺激に慣れないマンティスさんも、勃起した肉槍が乳首や乳房に当たる感覚がイイらしい。
 上半身を使って一心にパイズリ奉仕しながらも、じわじわと気持ちよくなってしまい息を荒げ出す彼女の媚態は、何よりも俺を興奮させるのだ。
 粘度の高いカウパー氏腺液が、醜悪な肉棒と淫猥な乳脂肪との間でにちゃ、にちゃと卑猥な音を立てる。
 エロ乳アサシンのおっぱい一擦りごとに、透明な粘液は量を増し、奉仕者と餌食の興奮を加速度的に高めていく。
 邪魔する者の居ない、二人だけの空間で、男女の昂りを示す粘ついた音だけが響く。
 数え切れないほどの交わりを経てなお衰えないマンティスさんへの情欲は、むしろ彼女に精を捧げるごとに強まっていくようだ。
 彼女が新しく「遊び方」を見つけるごとに、それはますます強まっていくのだ。
 ふと、マンティスさんは手を動かしたまま、頭を動かし俺の男性器を見た。
 うねり暴れるおっぱいの波に翻弄されるそれを、興味深げにじっと見る。
 また何か思いついたのか、と尋ねるより先に、今まで以上の快感が俺を襲った。
 見ると、マンティスさんが唾を垂らし、胸と肉棒の間を潤わせていた。
 汗や我慢汁でそれなりに湿っていたところへ、更に潤滑油を足したことで乳の滑りは飛躍的に増し、陰茎の表面に隙間無くぴったりと吸い付くような感覚すら生まれていた。
 膣のような細かいひだこそ無いものの、その気持ちよさは性交と比べても全く見劣りしない。
 湿り気を得た淫乳の滑らかさとそれに包まれる心地良さ、何より彼女自身の、射精を望む意志によって操られるおっぱいのいやらしさは、すでにセックスとは異なる次元に在った。

「う、わ、これ、いい……」
「……よかった」

 クールな表情を崩さないながらも、喜びを隠しきれない様子のマンティスさん。
 自然、奉仕にも力が入り、粘り気のあるマンティスさんの唾液を粘膜に摺りこむように、不規則かつ徹底的な動きで白濁を搾り取らんとする。
 水分をまとった乳脂肪の愛撫だけでも腰が砕けそうになるほど気持ちよかったが、俺を責め立てるのはそれだけでもない。
 ぬめぬめした巨大おっぱいが生き物のようにうごめき、スライムか何かのような貪欲さで肉棒と戯れる様の、その淫猥過ぎる視覚的刺激。
 更には、愛するマンティスさんの唾液を男の急所に浴びせられたことによる、何か名状しがたい、変態的かつ背徳的な悦楽も、着実に俺の忍耐を犯しつつあった。
 男の急所に唾するその行為に何を感じたかは定かでないが、しかし口の端から涎を垂らすマンティスさんは、そろそろ透明な先走りだけでは満足できなくなってきたらしい。
 再び唾を継ぎ足すと、ぐぐっと上半身を傾け、胸全体でペニスを押しつぶすようにしてきた。同時に両手でのおっぱいホールドも強まり、甘美過ぎる圧迫感で俺の意識が塗りつぶされる。
 精液を欲した魔物娘に男が抗える道理も無く、俺の限界は一気に近づいてきた。
 積み重ねた経験から、それは飢えたマンティスさんにも悟られる。
 待ち望んだ精を浴びようと、両乳の動きが激しさをさらに増し、先端の粘膜が乳肉に包まれるにいたって、俺は呻いた。

「も、もう……!」
「だして……」

 彼女の乞うままに、俺の忍耐はあっけなく潰えてしまう。
 マンティスさんがおっぱいの圧迫を一際強め、男性器全体を同時にパイズった瞬間、精液が深い谷間を満たした。
 射精の脈動で陰茎はひくつき、精液でさらに滑りを増したおっぱいと擦れ、その摩擦がまた強烈な快感となって俺を襲う。
 マンティスさんもまた、乳内射精と、谷間で暴れる肉槍の感覚に酔い痴れているようだった。
 どくん、どくんと子種を吐き出すごとに飛び跳ねるペニスを逃さぬよう、乳の肉布団でしっかりと固定する。
 囚われた男性器は魔性の谷間にその精を余さず搾り取られ、深い峡谷に白い汚液が満ち溢れる。
 一分近く続いた長い長い射精が終わり、開放されたときには胸の谷間や乳首を越えて、マンティスさんの胸部全体が白く染まっていた。

「……ふう、ふう……」
「……」

 大きなエロ乳一杯にザーメンをぶっかけられ、イカ臭いザーメンの臭いをいっぱいに吸い込んだマンティスさんは、その目を生の喜びにギラギラと輝かせていた。
 おっぱいに中出しした、その余りの快楽で虚脱した俺を見て、すっと体を起こす。
何をするんだ、と思う間も無く、マンティスさんはその長い脚の裏側、膝裏と腿、ふくらはぎの三点で、射精直後にもかかわらず未だ萎えない俺のペニスをがっちりと捕らえてしまった。
 
「え……?」
「……ふふっ」

 微かに口角を吊り上げて、笑う彼女はやけに楽しげだった。
 俺の両腿の上にお尻を乗せ動きを封じ、その長くきれいな、すらりとしていながらも肉付きがよく、何度も俺の精液を搾り取ったエロ脚で、唾と白濁に塗れた屹立を絡めとる。
 マンティスさんが足を締めると、むちむちの太ももとふくらはぎが、射精後で敏感になっている陰茎をきゅっと挟む形になった。
 同時に、俺の背筋に寒気が走った。太ももと太ももの間に挟んで出すときよりも、足指で踏み擦って出すときよりも、もっと暴力的な、苦痛と紙一重な快楽が強制的に与えられる。
 思わず息を呑み、マンティスさんのほうを見やると、相変わらず楽しげな彼女。
 舌なめずりして、右のひかがみで裏筋などをごりごりと刺激してくる。
 さっきまでの、やさしく気持ちいいパイズリ遊びとはうって変わって非道な振る舞いをする彼女に少なからず戸惑う。……が、こんな足蹴にされるような攻撃でも腰の奥から妖しい喜びを感じてしまうのは、マンティスさんの美脚ゆえか、あるいは。
 俺の上で器用にバランスをとりながら、美しき狩人はその脚を自在に操り、すべすべのふくらはぎ、むちむちの太もも、すっとしてきれいで無駄な肉の無い膝裏などで肉竿を挟み、撫で、扱く。
 初めこそ当惑の念が強かったが、いざ軌道に乗ってみると、この陵辱的な脚愛撫もかなり気持ちいい。
 皮下脂肪が薄く、肉よりも骨の当たる感触の強い関節部が男根にゴリゴリ当たるのは確かに痛いが、ぷリっぷり太ももとふくらはぎで激しく締め付けられるとそんな痛みすら快楽に変わってしまう。
 単純な気持ちよさでいえば素股の方が上かもしれないが、「自分で擦り付ける」感じの強い素股と違って、この膝裏コキは、肉食獣に捕食される時に草食動物が感じるという恍惚にも似た、「責められている」「犯されている」ような奇妙な陶酔感をもたらす。
 心なしか、静かな中にもどこかサディスティックな表情を浮かべるマンティスさんに乗っかられて、脚一本で性器を好き放題に蹂躙される。そんな屈辱的極まるシチュエーションにあって、俺は確かに喜んでいた。
 俺の反応に気を良くしたか、マンティスさんは更に攻め手を激しくする。膝関節を動かし、竿を脚で軽く挟み、かと思うと緩め。
 それに加えて、もっと楽しみたい、脚責めだけでは飽き足らぬとばかりにひかがみから覗く赤黒い亀頭を指でそっとつままれ、先走りを粘膜に塗り広げるように撫でられると、思わず声にならない声が漏れた。

「!!」
「……きもちいい?」

 俺を見下ろすマンティスさんのやけに鋭い視線に射すくめられ、とっさに返事ができなくなる。俺の無言を躊躇ととったか、重ねて彼女は問う。

「ね。きもちいい?」
「うん……気持ち良い」
「そう」

 ふっ、と表情を緩めたマンティスさん。脚の締め付けも緩まった、と思った次の瞬間、今まで以上の力が込められ、肉棒に強い痛みとそれに倍する快楽が同時に流れ込んだ。

「ううっ!? ちょっ、待って……」
「……ヘンタイ。ヘンタイさんだ……」
「だって、おま……」
「さっきも、唾かけられて喜んでたよね。やっぱり、ヘンタイのマゾだったんだね。
 ね、ヘンタイさんの精液、頂戴。私の脚に、頂戴」

 許しを得て、急速に俺の射精衝動が膨れ上がる。
 身体を制され、太ももとふくらはぎの間で男性器を挟みつぶされ、冷たく罵られながら先端を美女の繊手で荒々しく弄られ、おもちゃにされる。
 男として持つべきプライドをずたずたにされるそのあまりの快楽に、俺は達した。
 やけに濃い、大量の精液が膝関節から溢れ、それでも収まらずマンティスさんの右足を白く汚す。
 断続的に噴き出る白濁を受け止めながらも、マンティスさんは攻撃をやめない。
 拘束からの開放を求めて暴れる陰茎をしっかりと捕らえ、しなやかな肉と筋肉で覆い包む。
 断続的に白濁を漏らしながら脚肉の圧迫に悶え続ける亀頭を白い指で弄繰り回し、敏感な性器を強すぎる刺激で狂わそうとしているのだろうか。
 イっている最中の肉棒を更に激しく手足で責められ、物も言えない俺を、心底愛しそうに、女蟷螂は見下ろしていた。

 

 数時間後。狂宴の後、ようやく満たされた様子のマンティスさんと共に、俺は寛いでいた。
 この巣穴には人間だったころに俺が必要としていた物など一つも無いが、マンティスさんがいる。
 それだけで、この地を終の棲家とするには十分だと考えるでもなく考えていたとき。
 不意に、頭上、巣穴の入り口あたりで物音がした。
 森の住人か、はたまた魔物かと見上げてみると、そこにいたのはどこかで見覚えのある男だった。
 やはり不審に気づいたマンティスさんとともに、謎の訪問者を見上げていると、どうやら男は俺に用があるらしかった。
 遥か上、遠い入り口から、叫ぶ声が聞こえてきた。

「おい!……おい! お前……生きてたのか!てっきり死んだと……」

 かつて街にいたときの知り合いだろうか。
 時間感覚を無くす程、マンティスさんと濃密な時を過ごしすぎたせいか、愛しい女以外に対する認識力が自分でも分かるほど低下してしまっている。
 外敵か、はたまた侵入者かと両手の鎌を構えるマンティスさんを軽く制止し、呼びかけに答えてみる。

「まあ、この通り、生きてるが。俺に何か用か?」
「用かって、何言ってるんだよ!いま、そっちに……」
「救助の積もりなら、別に要らんぞ。俺は好きで、ここにいるんだ」
「はあ!? お前、昔はあんなに……」
「昔のことなぞ知らん。今の俺にとっては、ここが世界の全てなんだ。邪魔を、しないでくれ」

 制止のために上げた手を下ろしながら、淡淡と告げる。

「無駄な人死には、俺だって嫌いだ」

 頭上の男が、マンティスさんに目を向ける。
 森の暗殺者は、今や男のことをはっきり、敵と認識していた。
 自身の生きる理由、愛する対象を奪いに来た相手にアサシンが掛ける慈悲など決して存在し得ない。
 口を真一文字に引き結び、眼光鋭く、双鎌を標的に向ける。
 脚力、腕力、戦闘力で人間を遥かに超えるマンティスは今にも食いつきそうなほど、全身に敵意を漲らせていた。

「糞っ!!」

 勝ち目が無いと悟ったか、男は急に背を向け、見る間に俺たちの視界から消えた。
 後に残され、少し不安げな様子のマンティスさんに、ゆっくりと声を掛けてみた。

「心配しなくても、大丈夫だよ。俺はずっと、ここにいるから」

 その言葉を聞くや、マンティスさんはこちらに飛び掛ってきた。草の布団に俺を押し倒し、顔中キスの雨を降らせながら呟く言葉は。

「……ありがとう……ありがとう……
 いい子……いい子……」

 心身ともにマンティスさんの物になれたこと、それを理解してもらえたこと。溢れる喜びで、俺もまさに感極まっていた。

12/02/06 20:17更新 / ナシ・アジフ

■作者メッセージ
マンティスさん支援計画。

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