連載小説
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おはようのキスを
 俺の夢の中。
 そして最近は彼女の、ナイトメアの為の世界になる。
 で、有無を言わさず襲いかかられる。
 それがナイトメア、俺の夢の中でやり放題な彼女。

 脚が二本しか無い彼女。
 可愛い桃のようなお尻のある彼女。
 大好きだ。

 隠れず、堂々と、
 俺を常に組み伏し、
 俺の腰に股がり、吸い上げるようする。
 彼女の腰使いに身を委ね続ける。
 やられっぱなしで、好い様にされる俺。
 夢の中で、少しばかりMを自覚させられる俺。
 まるで違う彼女。
 全く違う愛し方をする俺たち。

 たまに、この彼女は作り物、なんじゃないかと思ってしまう時がある。
 目が覚めれば、この彼女とは違う、別の彼女が傍らに寝ている筈なのだ。
 臆病で、泣き虫で、馬女で、引っ込み思案で、すぐ電柱の陰に隠れたがり、かっこ良くなくて、でも、とても可愛くて。
「今、他の女の事、考えてたね?」
 確かに、目が覚めれば、そこにも別に愛するナイトメアがいる。
「許さない」
「君の事だよ」
「でも許さない、だから許せない」
「君は君だろう?」
 でも、彼女的には違うらしい。
 それは彼女が否定したい自分。そして今、彼の目の前にいるのが、彼女が望む自分の姿。
 だから俺の言葉で、より彼女が猛る。
 なんとなく、泣き虫な彼女が恋しい。
 そんな俺の気持ちを感じるのか、更に嫉妬に狂う。
 怒りに震えて責め立てる彼女。激しく、選択を迫り試す様に嬲られる。

 まるで違ってしまった彼女が、彼女なのか確かめたくて、唇を寄せる。
 しかし彼女は、顔を背けて拒絶する。
 俺の夢の中の彼女は、俺の言う事を聞いてくれない。
「キスはだめ。目が覚めちゃうから……」
 しかし、そんなか細い声はよく聞いた声。
 そんな恐がりな気持ちは、どちらの彼女も同じ。

 夢から目覚める事を怖がる少女のようなに震えるのも。
 拒否する時、顔を振って、ぷるぷると耳たぶが音が立てるのも。
 あと、胸の大きさも、か。
 一緒になって、一つになって、俺の迸りを呑み込む時、それでもその時の姿はまるで別人でも、達した時、二人で絡み啼き合わせるその声は、その実は可愛らしい啼き声は一緒。
 余韻にプルプルと震える振動数も、たぶん同じ。
 感じたものを確かめる様に見詰め合う眼差しは、変わる筈が無い。
 こみ上げる幸せに綻ばす笑顔も同じ。

 幸せになると彼女は、金ダライをしきりに探したがる。
 そして何故かそれを見つけると、ドリフのテーマ曲をバックに、それを天へと放り投げる。
「夢かーこれっ? 現実だーっ、これは現実ぅー! 金ダライが直撃しても痛いだけ! 目覚めないーっ!」
 ガコン!

「ふぇ……?」
 むくっと、現実世界の彼女は起き上がり、
 ぽてんと、現実世界の彼女はまた眠り込んだ。
「ふにゅぅ」

「お帰り」
 優しく彼女を迎える。
 大っきなたんこぶに、涙目。
 そんな頭を俺の胸の中で、グリグリ。
 やっぱり、彼女だと安心するのは秘密。
 だって彼女は、ここでの彼女になりたいんだから。

 ここでの彼女は、彼女の理想の彼女。
 だから、なんでもかんでもこなしてしまう、彼女。
 でも、折角俺の夢の中なのに、だから俺だって何でもできるのに、場所を貸すだけで彼女にしてあげる事が何も無い。
 寂しくなる。
 でもそんな俺に、彼女が目を瞑って身を委ねてくれる。
「もうすぐ、朝よ…」
 キスを待っていてくれる。

 目覚めの紅茶の様な、少し強めのキスを。
 そして二人は目を覚ます。
11/02/09 22:27更新 / 雑食ハイエナ
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