読切小説
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彼女は僕の虹
昼頃に、急に雨が降ってきた。
積乱雲が上空に立ち込め、雷もなっていた。
どしゃ降りの中を、少年が一人、森の中を駆けていた。腕で雨が顔にかからないようにしていたが、全く無駄であった。
服がへばりつき、少年の体力を奪って行き、呼吸を荒くさせていた。もうすでに疲労が限界まで来ており、その足も段々と遅くなっていった。
ふと前を見ると、森が開けているのが見えた。大雨の中、少年が目を凝らすとそこに洞穴が見えた。
少年は力を振り絞り、その洞穴へと飛び込んだ。雨の当たらない位置まで這いつくばり、壁に持たれかかるった。少年の身体は小さく、突風でも吹けば吹き飛ばされそうな程だった。
肩で息をしながら、少年は外を見やる。雨はしばらく止みそうになかった。洞穴は大きく、高さがあり、ずっと奥まで続いているのが見てとれた。
少年は身体を震わせた。濡れた身体で冷えてしまったのだ。着ている服は皆、濡れてしまっているので殆ど役割を果たさない、かといって暖を取るものも持っていなかった。雨が止むまで、少年はこの中にいなければならないが、長引けば病にかかるだろう。
少年は身の不幸に絶望しながら、少しでも冷やさないように必死に身体を丸めた。

……カタン

洞穴の奥の方からなにか音が聞こえた。少年は驚いてそちらに振り向いた。明らかに誰かがいる気配がする、そう感じると少年の身体の震えはより一層激しくなった。

「……どうしたの?」

奥から愛らしい声が聞こえてきた。そして少年と同じぐらいの少女が現れた。しかし、その姿を見て少年は更に身を縮こませた。人がいた、という時点で恐怖を感じていたが、少女の姿を見た瞬間、その恐怖は更に高まった。
白い髪、露出度の高い衣装、そして悪魔の特徴である角と羽根、そして尻尾。魔物娘の中でも一際凶悪とされる存在、アークインプ。
強大なる魔力に少年は本能から恐怖を感じた。

「ちょっと、びしょ濡れじゃない!! 風邪ひいちゃうよ!!」

「ひっ……!!」

トコトコと寄ってくるアークインプの少女に対し、少年は思わず手を突き出し、顔を背けた。そんな少年の反応にすこし悲しげな表情を見せつつも、アークインプは駆け足で寄ってきた。

「何にもしないから!! 怖がらないで!!」

「嫌だっ!! 来ないで!!」

「大丈夫だから!! こっちを見て!!」

アークインプは抵抗する少年の顔を両手で掴み、無理やり顔を向けさせ、その目をじっと見つめた。
アークインプの目が紫色に光った瞬間、少年は途端に抵抗できなくなった。

「何するの……僕は美味しくないよ……」

「心配しないでよ、君を怪我させたりしないから」

そう言うと、アークインプは少年の肩を持って、立ち上がらせた。

「ここよりもっといいとこあるから……」

そう言うと、羽を動かし、洞穴の奥の方へと少年を運んで行った。
洞穴は一本道であったが、奥までやや長く続いていた。雨の音が響いてるのが聞こえたが、奥に行けば行くほど、その音が小さくなっていった。

「ほら、もうちょっとだよ」

アークインプの一言を聞き、少年が前を向くと、奥の方でじんわりと、何かが光っているのが見えた。それとともに先程まで冷えていた空気が和らいだ気がした。

「はい、着いたよ!!」

その瞬間、少年は目を見開いた。さっきまでの疲れが吹き飛んだ気がした。

「……うわあ」

「どう、綺麗でしょ? 私の秘密の場所なんだよ」

そこは洞穴の中で一際広い場所であった。しかしその光景は少年には見たことのないものだった。至る所に大小の水晶が生えており、水晶はそれぞれ異なった鮮やか色で柔らかく光っていた。そのおかげで空間は虹色に包まれているようだった。さらに地面にはフカフカとした芝生のような植物に包まれており、見てるだけでそこに飛び込みたい程だった。
そこはかつて多くの冒険者が挑戦したダンジョンだったのだろう。しかし少年少女がそれを知るはずがなかった。

「ほら、ちょっと触ってみて」

「え、わわっ」

アークインプに強引に水晶に触らせられると、少年はまた驚いた。水晶は、熱を放っていた。

「どう、あったかいでしょ?」

「……うん」

「これはね、魔力が固まったものなんだよ、だからこんな風に色んな色に光ってあったかいんだ」

アークインプの話をぼんやりと少年は聞いていた。

「あ、服もびしょ濡れじゃ気持ち悪いでしょ? ほら、脱いで脱いで」

「え、わっ、ひゃあっ」

アークインプに捕まると、あっという間に上半身を曝け出された。

「わ〜、細くて可愛らしい身体♪」

「……やめてよ」

アークインプに見られて少年は恥ずかしそうに身を隠した。

「なんで嫌がるの? 可愛いのはいい事だよ?」

「僕……男の子だから……」

「……ふーん、そういうものなのかな?」

あまり納得はしてないようだが、アークインプは一応理解はしたようだ。

「服はこれにかけておくよ」

「うん、ありがとう」

アークインプは水晶の一つに服をかけ、少年はさっきから触れていた水晶で暖を取ることにした。

「それと、これね」

「あ……」

「裸じゃやっぱり寒いでしょ?」

水晶のそばからアークインプはローブを取り出すと、少年の肩にかけた。ローブから甘い香りが漂い、少年はもじもじと縮こまった。

「どうしたの?」

「あ、なんでもない……」

「ふーん……」

少年の様子を見てアークインプはニヤニヤと微笑んだ。それを見て少年は顔を赤らめた。

「それでさ」

アークインプは少年のそばに近寄った。

「どうしてあそこでびしょ濡れになってたの?」



少年の名前はルレイ。反魔物領の町で暮らしており、父親は高名な騎士とであった。しかし、男子にしては線が細い彼に父親はかなり厳しく当たっていたらしい。更に周りも、そんな彼のコンプレックスをつついていたと言う。
そして今日、彼は自分の度胸を示すために、森の薬草…子供が取れる代物じゃない…を取りに出て今に至ったのだ。

「そういうのって勇敢じゃなくって無謀っていうんだよ」

アークインプが呆れたように言った。ルレイはそれに答えられなかった。

「それにしても、みんなひどいね、ルレイにはルレイの良いところだってあるのに」

「僕……男の子だから……」

「だからって何!? 男の子だったら生き方が決まっちゃうの!? そんなのおかしいよ!!」

アークインプは憤慨した。ルレイと彼女は先程知り合ったばかりだったのに、彼女は親身に彼の事を想った。淫靡であると同様に相手を想う心の強い魔物娘ならではと言えるが、反魔物領に住んでいたルレイには彼女の言動は不思議に思えた。

「もう、そんな場所出てっちゃえばいいのに」

「でも……お母さんとか、先生とか、心配してると思う……」

「そっか、守ってくれる人もいるんだ……それじゃ、雨が止んだらすぐ帰らないとね」

「……うん」

「あ、遅れたけど、私の名前はミルア、インプなんだけど、特別な存在ってママが言ってたよ!!」

そう言ってミルアは明るく自分の事を話した。
彼女の父親は、有力な魔術師であり、元々ある国で王の側近をやっていたと言う。思想の違いから対立し、使い魔と共に自ら去っていき、親魔物領に流れ着いた。その使い魔こそが、彼女の母親である。ミルアは親魔物領でのびのびと暮らし、「特別なインプ」として周りから尊敬されていたらしい。

「それで、辺りをちょっと散歩してたらここを見つけたの、すっごく綺麗だから、パパにもママにも秘密なんだ」

「そっか……ごめんね、勝手に入ってきちゃって」

「ううん、別にいいよ、人助けできたんだもん」

そう言ってミルアはにっこりと笑った。その笑顔を見て、ルレイの胸がドキリとした。反魔物領で育ったと言えど、魔物娘の魅力は抗えぬものだった。そんな彼の反応をミルアは楽しんでいた。

「……どーしたの♪」

そう言って、ミルアは更に彼に近寄った。ルレイは困惑したがそのまま固まって動けなかった。

「ねぇ、近づいただけなのに、なんでそんな反応するのかな?」

「えっと、その……」

「私の事、嫌いなの?」

「そうじゃない!! そうじゃないよ……」

「それとも……やっぱり怖いの?」

そう言われて、ルレイはふさぎこんだようにうつむいた。それを見てミルアもすこし困ったような顔を見せる。
もちろん、照れの感情の方が大きいのだが、育った環境上、魔物への恐れは髄まで染み込んでいた。

「……ねぇ、ルレイ」

「え……うわっ!?」

いきなりミルアはルレイの頭を両手でつかみ、目を合わせた。

「怖いの、なくしてあげるね」

そう言うとミルアはルレイの唇を奪った。
あまりの事にルレイは一瞬わけがわからなくなった、唇から伝わる甘美な感触に力を奪われた。さらにはだけた肌がミルアに触れるので、心拍数が上がってしまった。
ミルアは舌でルレイの口の中を軽く探り、唇を離した。2人の間に粘性の唾液の橋がかかった。
ルレイはそのまま草の上に倒れ、ミルアはその横に寝転がった。

「ビックリしちゃった?」

そう言って、ミルアはイタズラっぽく笑った。

「う、うん」

顔を真っ赤にさせて、ルレイはうなづいた。

「もう、私の事は怖くない?」

「……うん」

驚いた事と照れた事もあったが、不思議とルレイの恐怖心は無くなっていた。

「ねえ、ルレイ、魔物ってね、ルレイが思ってるのと違うんだよ」

「……うん、ミルアを見て思ったよ」

「みんな、こんな感じだよ、人間の事が大好きで、いっぱいキスしたり、愛し合ったりするの」

「僕は……僕らはそれは堕落って教えられて、地獄に落ちるって言われたよ」

「堕落なんかじゃない、一緒に幸せになることだよ……魔物は一緒に幸せになっちゃいけないのっておかしいよ」

「うん……」

ルレイは視線を上に向けると、ずっと向こうまで水晶が続いており、無限に虹が伸びているようだった。
その視線にミルアは覗き込んだ。

「ここ、綺麗だね」

「でしょ? 誰にも教えたくないと思わない?」

「そうだね、僕も誰にも教えなかったと思うよ」

「……ここは私たちの秘密の場所だよ♪」

「……」

そう言って微笑むミルアの姿は、虹色の光もあり、幼さの中に異様なまでに艶やかな雰囲気を漂わせた。
2人だけの秘密……その感覚にルレイは胸がドキリとなった。

「ふふ、私たちはもう特別な関係だね……初めてのキスもしちゃったし」

「えっ……」

ミルアの一言に、ルレイは動揺し、上半身を起こした。

「あらら、聞こえちゃったかな?」

わざとらしく、ミルアは手で口を押さえた。目はクスクスと笑っていた。

「ごめんっ!!」

ルレイはミルアに頭を下げた。真面目なルレイは、ファーストキスは好きな人同士がするとてもとても大切な物と教えられていた。故に、彼の中で罪悪感が一気に込み上がってきたのだった。
しかし、ミルアは、一瞬驚いたものの、また微笑を浮かべた。

「いいの、私、ルレイの事気に入っちゃったし」

「へ? うわわっ!?」

またルレイが顔を上げた瞬間、ミルアは彼の両肩をつかんで押し倒した。
2人の顔が間近に迫っていた。

「だからね……」

「だから……?」

「もっと、しよ♥︎」

そう言ってもう一度、ミルアは彼の唇を奪った。そして先ほどよりも深く、舌で彼の口内を弄り、彼の舌を絡めた。
ルレイは最初は少し抵抗したが、すぐに力を抜き、彼女にされるがままになった。彼の眼前にはうっとりとした彼女の瞳が虹色に輝いていた。

「む……♥︎ふ……♥︎ぷあ、ルレイ、好きだよ♥︎好き……♥︎んちゅ……♥︎」

ミルアはルレイを貪りつつ彼に告白した。ルレイも少しづつ腕を彼女の胴にまわし、抱きしめた。

「んん……んあ……ミルア……」

「ルレイ、ん……♥︎」

深い深いキスから離れると、さっきよりも粘っこい糸が2人を繋いでた。

「ミルア……本当に僕の事……」

「うん……♥︎一緒にいたらたまらなくなって……いっぱいキスしたくなったの……♥︎ ん♥︎」

ミルアはなおもついばむ様にルレイに口づける。本当に愛している証拠を残すように。

「ミルア……僕ももっとキスしたいよ……」

「んふ……♥︎」

ミルアが顔を近寄せると、今度はルレイが強く抱きしめた。ミルアの舌にも拙いながら応えた。
ミルアは嬉しかった、ルレイが受け入れてくれたことに。彼女の喜びは興奮へと変わって行き、彼の上で彼女はモジモジと体をくねらせ始めた。彼女の動きに反応するようにルレイも自然と動きはじめた。ちょうど、お互いの腰をすり合わせるようになった。

「ふあっ、ミルア……」

「ルレイ……♥︎ 私、もう我慢出来ないよ……♥︎ もっと深く愛し合お♥︎」

そう言うと、ミルアはおもむろに体を起こし、下着を脱ぎはじめた。

「ミ、ミルア!?」

いきなりの行動に、ルレイは両手で顔を覆った。

「ねえ、ルレイ、女の子と男の子はね、すごくすごく愛している証拠に、男の子のおちんちんと女の子のこことで繋がるんだよ♥︎」

「え……え……」

戸惑う、ルレイの目の前に、ミルアのまだ幼い女性器が見えた。

「でも、そんなの見せちゃダメだよ……」

「いいの、ルレイの事、だ〜〜い好きだから♪」

「大好き……ならいいの?」

「大好きだからよ、大好きだから、見て欲しいの」

そう言われて、ルレイは少しづつ、両手を下げた。ルレイの視界には、虹色の空間の中、上気した肌で深く呼吸しながらこちらを見つめるミルアと、愛液をルレイの股の上に零す彼女の性器が見えた。
その光景にルレイは生唾を呑んだ。

「ルレイ、君のも見せて……♥︎」

「……うん」

顔を真っ赤にしつつも蕩けた表情でルレイはうなづいた。深く息を吐きながら、彼はズボンを下着ごと脱いだ。
するとぴょこん、と彼の男性器が飛び出した。

「こっちも、凄い我慢してたんだね♥︎」

彼のを見て、ミルアはうっとりと目を細めた。
ルレイの男性器は、まだ幼い物のだったが、既に限界まで張り、立派に勃っていた。
そこにミルアは自分の性器をゆっくりとあてがった。その感触に、2人とも小さく喘いだ。

「ルレイのおちんちん……今からここに入れるんだよ……♥︎」

「う、うん」

「きっと、凄くあったかいよ…♥︎」

「……うん」

「それじゃ、いくよ♪」

そして、ゆっくりと、ルレイとミルアは繋がって行った。

「あ♥︎ああああああん♥︎」

「ひぐっ、ん〜〜〜っ!!!」

ミルアとルレイの性器はピッタリと合わさった。
ルレイは初めて味わう膣の感触に快楽と共に戸惑いを隠せなかった。先ほどから湧き上がってくるふわふわした感情が、ルレイの頭の中でグルグルと駆け巡った。
ミルアはルレイの持つ熱が体の芯に来ている事に悦びを感じた。これが交わる事、愛し合う事と深く感じた。
そして、ルレイの性器がなにかに引っかかった。

「ミ、ミル、ア……」

「ん……♥︎ 私たち、これからすこし大人になるんだよ……♥︎」

そう言って、ミルアは一気に深く腰落とした。

「あうっ!!」

ミルアは一瞬、苦痛な声を発した。それをルレイは息を荒くしつつも心配そうに見ていた。

「……えへへ、これで、ルレイも私も大人だよ♪」

そう言ってミルアは笑ったが、目元に涙が浮かんでいた。

「……大丈夫?」

「……ちょっと痛いかも」

「あ、血が……」

結合部からじんわりと赤いものが見えた。

「ルレイ、心配してくれてありがとね、でも……」

「で、も?」

「……自分の心配もしてね♥︎」

「!?ひあっ、うわああ〜あああっ!!?」

いきなりミルアの膣が蠢き、ルレイは強烈な快感に襲われた。それと同時に、ミルアはルレイに覆いかぶさり、腰を上下させる。

「ひあっ、あっ、うう〜」

「あっ♥︎ んっ♥︎ ルレイ♥︎ 凄く気持ちいいよっ♥︎ あん♥︎」

息を弾ませて、ミルアは快楽に耐えるルレイを間近で見つめる。

「ミ、ミルアっ!! うあうっ!!」

「ひゃあん♥︎ ルレイィ♥︎」

あまりの感覚に、ルレイはミルアをギュッと抱きしめた。そのせいで、2人はより深く、繋がった。

「んぐ、あう、ふああっ!!」

「ルレイ♥︎ ルレイ♥︎ 私の中、気持ちいい? ねえ、気持ちいい♥︎」

ミルアの問いかけにルレイは必死にうなづいた。ルレイはもう限界に近い顔だが、対照的にミルアは快楽と喜びに満ちた表情だった。
2人の性器はぐちゅぐちゅと音を立てて、周囲に2人の体液を散らした。その音は段々と勢い良くなっていった。

「ミルアっ、なんか、なんか出るよ!! おちんちんからなにか出ちゃうよ!!」

「ああっ♥︎ 出してっ♥︎ ルレイの、愛情の証拠、中に♥︎ そのまま出してっ♥︎」

ミルアは搾り取るように、膣を蠢かせ、腰の動きをはやめた。ミルアもまた、限界まで来ていた。
そして、その時が来た。

「あ、うわあああああああああ!!!」

「ひゃう♥︎ ひああああああああああ♥︎♥︎」

ミルアの中で、ルレイの精が放たれた瞬間、2人の絶叫が洞穴の中に響いた。
最初の交わりにもかかわらず、何度も精が彼女の子宮に注がれた。その感触にミルアは背筋をゾクゾクさせ、ルレイの胸はバクバクと鳴った。
一通り、吐き出し終えると、脱力した2人は繋がったまま、重なるように倒れた。そして、どちらともなく、何度目かわからない、軽いキスをした。
その2人を包むように、周りの虹色の結晶は、柔らかな光を放っていた。



外はすっかり雨が上がり、真っ青な空が見えていた。
その下の森の中を、ルレイとミルアが歩いていた。ルレイの片手には、目的の薬草が、一束握られていた。あの結晶の広場の片隅に群生していたのだ。

「ここから、この道をあの山を目印にまっすぐ行けば、君のいる村だよ」

「ありがとう、本当に助かったよ」

「んふふふ〜、あんな激しかったのに、謙虚になっちゃって〜」

「や、やめてよ……」

さっきの出来事を思い出し、ルレイは顔を赤らめた。

「ああん、可愛いなあ〜、もう〜♪」

「むう……」

「んふ、ごめんね〜」

言葉では謝っているが、彼女の笑顔は全く無邪気なものだった。
ひとしきり笑うと、ミルアは穏やかな目でルレイを見た。

「……ルレイ」

「何?」

「こっちもありがとうね、私にとって掛け替えの無い人になってくれて」

その一言にルレイの心拍は一気に激しくなった。

「今日はこれでお別れだけど、また会お、そしてあそこに行こ」

「……うん」

「そしたら……ふふふ♥︎」

「今度は……もうちょっと頑張るから」

「うん♪ 楽しみにしてるよ」

幼いながらの、ルレイの約束に、ミルアは心から喜んだ。
「本当にまた、会えるかな?」

「この森に来たら、絶対に見つけてあげるからね、ルレイの匂い、覚えたから」

「……うん、またここに来るから」

「それじゃ、サヨナラ!! またね!!!」

そう言って、ミルアは羽ばたき、ルレイに手を振りながら青空に飛んで行った。
ルレイも、彼女の姿が見えなくなるまで手を振り続けた。
彼女が小さな点となった時、ふと視線をそらすと、大きな虹が掛かっていた。
それでまるで、ミルアが虹に変わったようだった。

14/07/17 22:23更新 / 長月ヤモリ

■作者メッセージ
ちょっと展開が急過ぎたかな……
とりあえず、ロリショタっていいですよね。

タイトルはもちろん、某転がる石バンドの有名曲から取りました。
その曲を聴きながら読むのも一興かもです。

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