連載小説
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早すぎる人間卒業
今、この私「青田 澄駆」は何やら豪勢な病室(?)で治療されています。
さっきまで、私はあのイノシシもどきと戦っていたような気がします。
私はイノ(略)に一撃喰らった後の記憶がありません。というか、何故私は生きているのでしょうか。
私がベッドの中で色々と考えている途中、向こうから看護師(シスターさん?)の人が、

ーーーー触手まみれの看護師さんがやってきた。

「えっ…⁉ナニコレナンカコワイ」

「目を覚まされたのですね⁉良かった〜!」

(一体この人(?)は何者なのだろう……触手……?)
兎に角、何か会話をしてみなければ何もわからないので、まずは、一番知りたかった事を聞くことにした。
「あの…」
「何でしょうか?」
「いきなり変な事を伺うのですが、」
「はい?何ですか?」
「ここはどこですか?」


「ここは魔界です。異世界人様。」

「えっ………えええええええ⁉⁉ここが!!⁉」
何故か私の正体[ー異世界人ー]を知っている彼女は、とびっきりの笑顔で話し続けた。
「この城は、魔王の娘であるリリムの[ファジア]様がおすみになっている、魔王城です。」
先程から説明されている事に、ふと思い出す事があった。






どうやら私は、かの【魔物娘図鑑】の世界に来てしまった様だ。
予想もしていなかった。まさか、毎日ネットで見ている物語の世界に来るとは…




「あの…すいません」
「何でしょうか?」
「貴女は…ローパーさんですか?」
「えっ…そうですけど…。何故貴方がそれを知っているのですか?」
「私は元いた世界で、この世界の事を知り、そこから3年ほどかけてどんどんと調べました。なので、一応この世界については基本は知っていると思いますけど…」
「なら話が早いですね。もうすぐ、この城の主の[ファジア]様と貴方を助けてくれた、剣の指導をしているデュラハンの[メラン]さんが来ます。緊張せずに、落ちついて質問に答えてくださいね。では、お大事に。」

私は、この城で目覚めた時から、自分の身体の変化に気づいておけば良かった。


「失礼するわよ」「失礼しまーす」
ドアが開いた。入ってきたのは角と尻尾の生えた美人と、軽めの鎧を着けた美人だった。

「自己紹介がまだだったわね。私がこの城の主、ファジアよ。見ての通り、リリムよ。」
「んでー、この美人剣士がメランよー!種族はデュラハンでーす!」
「あ、どうも。よろしくお願いします。」
(私は一体これからどうなってしまうのだろう…)

「…本題に入るが、君は異世界人だな?」
「はい。元いた世界で、異世界に行けるおまじないを試したら、気づいたら私はこの世界にいました。」
「そうか…ところで、その近くでキメラを見なかったかい?」
「キメラ?あのイノシシもどきですか?」
「やはり君か……君はそれと戦ったかい?」
「ええ。前の世界で少しばかり特訓していたので、死ぬぐらいなら全力で抵抗してやろうと思いまして。まあ、一撃で私がやられちゃったのですがね(苦笑)」
「いや…その…」
ファジアが何か言いにくそうにしていると、隣にいたメランが口を開いた。
「あたしがそのキメラの処分のために探索してたら、目の前にいたのは、何と!串刺しになって死んでいるキメラと、その隣で胸に大穴をあけて倒れているキミがいたのよねー。あのときゃあたしもびっくりしたわー!」

胸に大穴をあけて、私は、何故生きているのか。私はもっと早くそれに気づけば良かった。
急いで包帯を外すと、胸には直径10センチほどの金色の機械が埋め込まれていた。
「これは…一体なんなんだっ!(パニック)」
「それはだな……無限に魔力を生み出す、古代の魔導具だ。君を助けるには、ソレを埋め込み、魔力で生きられる身体に改造する方法しかなかったんだ。」
唐突の人間卒業。でも、これで驚くのはまだ早かった。
「キミは、普通の人間だった筈なのに、身体に最初から魔力が馴染みやすいんだよ」
「つまりだな、君は無限の魔力を持っているが、それの使い道次第でどのように生きるかは君次第なんだよ。」




ーーーこうして、私の第二の人生が幕を開けた。






「ね〜ね〜、どうやってあのキメラ倒したの〜?」
「すみませんわかりません(涙)」
「怪我人にそんなに詰め寄るな!怖がってるだろ!」
「(無事に生きていけるのかな…?)」
15/02/09 22:45更新 / Mr.すくすく
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■作者メッセージ
主人公が早速チート改造された2話でした!
また近いうちにキャラ設定を出したいです。





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