連載小説
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第二話「俺はまだ童貞を捨てたくない」
さて、突然ですが、問題です!!
俺は今、どれくらいの危機に陥っているでしょうか!!
1:A
2:S
3:H
答えは〜
「おいっ!!いい加減諦めろやこのエロエロ魔物やろう!!」
「やっだね〜。アンタってば逞しくて〜かっこよくて〜おまけに強いじゃん!!あたしが性交するのにふさわしすぎる相手だよ!!そんな訳でセックスしようぜ〜」
「冗談じゃないよっ!!」
3番のHでしたー!!
・ ・・・・・・・誰か助けてくれ。

異世界ハンター奮闘記

第二話「俺はまだ童貞を捨てたくない」


俺がこの状況に陥ったのはかなり前に逆戻る。
村長さんから魔物目撃の情報を得た俺は、今回持って来ていた武器の一つの双剣、紅蓮双刃Gを携え山へ突入したのだ。
のだが、まず第一関門が発生しました!!
それすなわち!!


遭難である。


山で迷ったのだ。もはや笑うしかない。
森の中で道からそれてしまい、山道も見つからず。
こうとなれば自然に挑んでくれるわと。
さて、そんな訳でこの戦いの第一部『遭難編』が幕を開けた。(期間、八日間)


そしてなんとかかんとか生き残り、いったん村へ帰還。地図とさらに多い食料を持って向かおうとしたのだが、そこに第二関門が襲いかかる!!


重度の風邪である。


遭難中は雨も降ったし、山の中は寒かったので風邪も引くだろう。
しかし、その状態で無理に出撃しようとしたのでさらに風邪が酷くなってしまった。
体を休めてもう一丁挑むのだ!!そんな訳で覚悟しろ風邪!!
第二幕、『風邪編』はこの様にして始まりを迎えた。(期間、十日間)


風邪も治り、準備も万端!!一気軒昂大突撃!!とばかり山へ爆走していったのだが・・・・・・・・ここに第三関門!!


地図忘れた。


かくして、『続・遭難編』が始まった。(期間、六日間)


そんな訳で様々な困難を乗り越えまして、地図も持って、食料も持って今度こそ万全の体制で出発。山の探索を始めたのだ。
頂上へ行ってみたり洞窟へ入ってみたり崖から落っこちてみたりと(リアルで死にかけた)
しかし、魔物らしき影も無く日々は過ぎそして問題の日になった。


その日は、村からも見える巨大な一本松の付近を散策していたのだ。
だが成果は無し。諦めて帰るつもりだった。
最後に一本松を見て帰ろうと思っていたのだが、そこに奴はいた。
「ん?」
一本松の根元、そこに魔物娘が寄りかかって寝てた。
結構でかい角。ほったらかしにしてある鉞。
そして、毛むくじゃらの下半身。・・・・でかい胸(ゴホン!!)
それは間違いなく、
「ミノタウロス・・・・・・だな」
魔物の一種、ミノタウロスだった。
(・・・・・・こいつが目撃された奴か。メチャクチャのんびり屋だな。なんだ、もっと積極的で攻撃的(性的な意味で)な奴かと思った)
何だか拍子抜けした。もうちょい歯ごたえのある奴が来ると思っていたのだが。
緊張が解けると共に、何だか眠くなって来た。
どうやら今までの探索の疲れが出て来たらしい。全力で探索してたからなぁ・・・・・・
(こいつが起きる前に起きればいいか・・・・・・)
そんな訳で俺は一本松に背中を預け、目を閉じた・・・・・・ぐぅ


おーい・・・・・・・
「・・・・ん」
おきろよー・・・・・・
「・・・んだよ、るっせぇなぁ・・・・・・」
・・・・襲っちゃうぞー?
「それは冗談じゃないっす!!」
目が覚めました。おはよー御座い・・・・・あ!!
「さっきのミノタウロス!!」
「ああ、それあたし」
「なんだ。そうな・・は!?」
そう、俺の隣に居たのは、さっきのミノタウロス!!
起きちゃってる!!ヤベぇ、寝過ごした。
「しくじったねぇ・・・・・」
「そうなの?」
「おう・・・・ってのんびり話をしている場合じゃないよ!!」
とりあえずは交渉だ!!話し合って分かり合うなら・・・・ってちがう!!
後ろに飛び下がり、双剣を構え相手と向き合う。
「お前さん、ここら辺の村を狙って来たのか?」
「違うよ?」
・・・・・・・おい。あっさり否定されちったよ。用はこいつ、通りすがりか。
「なんだ・・・・・・ったく通りすがりなら別に良いんだ」
「ううん。別に通りすがりでもないよ?」
・・・・・・・・・なに?じゃあ、こいつ何が目的だ?
「じゃあお前、ここに何しに来た?
「あんたを捜しに」
・・・・・・・・は?俺?
先程からはてなマークが乱発している俺の頭。しかし、その頭にふと閃く事があった。


『あなたのその強さ。いろいろな魔物が目を付けるでしょう。気をつけなさい♡』


その一言が頭に蘇った瞬間、俺は回れ右をして駆け出していた。
だが。
ズドン!!
「ギョ!?」
上から振って来た大木が、俺の目の前を遮っていた。
しかも、これ一本松か!?・・・・こんな気格外な真似が出来るとは。
「ミノタウロス。音に聞こえた怪力は本物って訳かい?」
振り返り、相手を見つめつつ言った。
「逃げ出そうとしたあたり、あたしの用が分かったみたいだね?」
「・・・・・魔物様に好かれる程、俺は魅力無いと思うんですが」
「へっ!!あのダークエンジェルのリゼスを退けられるような奴が言う台詞かい!!あいつはここら辺を闊歩する魔物の中じゃあたしと並んでトップクラスの強さなんだよ!?」
「注目点そこ!?」
「ああ!!おまけにタイプだし!!狙わない理由が無いよ!!」
「ったく!!のんびり屋かと思っていたら!!」
ジャキン!!
再び、双剣を構える。今度は、戦うためにしっかりと。
ああーもう!!
「不幸だよ本当!!抵抗しなきゃ行けない様な!!」
「へー!!魔物に向かって恐れずに武器を向ける!!度胸もあるね!!最高だ!!」
「「こんな奴に出会うなんて!!」」
かくして、ミノタウロスと俺の決戦が始まったのだった。




って言うのが四日前の事。
その間、俺はこいつとの死闘を繰り広げていた。
俺は童貞の死守と自由を。ミノタウロス(名前はタリムと言うらしい)は番と快楽を。
勝ち取るために、死闘は続く。
「ったく!!いい加減諦めろよ!!」
俺は双剣を用いた軽快な連続切りで猛攻を仕掛ける。
「冗談じゃないよ!!こんなにいい男!!そう簡単に逃がせるかい!!」
タリムは斧を用いた一撃必殺を狙う。
はっきり言って両者の実力は互角。決着はつかず、四日も経ってしまった。
畜生、いい加減諦めてほしいなあ・・・・・・・・と思ってたら斧が来たぁ!?
地面をなぐ様に放たれた一撃を空中にはねる様にして躱し、お返しとばかり空中で回転して双剣を叩き付ける。
「おわ!?」

あわてて躱すタリム。しかし、すぐに斧を構え直し担ぎながら突っ込んで来る。
その動きに合わせる様にして後ろにバックステップ。その瞬間、俺のいた地点に斧が叩き付けられる。
その瞬間が狙い目。今度は此方から踏み込みつつ二つの刃で切り払う。
しかし、それは読まれていた。
此方が踏み込んだ瞬間、タリムは斧の柄を上へ、刃を下にし刃の腹をこちらへ向け盾にする。
二つの刃はその身を捉えず、その盾に当たり弾き返される。
まずい!!と思った瞬間、このでかい隙を逃すまいとタリムが突っ込んで来た。
斧を構えず、頭を前にして。
「やべっ!!」
俺は無理矢理地面に転がりつつこれを躱す。タリムが恐ろしい速度で突っ込んで行った。
「アブねぇ・・・・・」
この攻撃、なぜ俺が無理矢理にも躱したか・・・・・
この攻撃こそが、彼女の真骨頂とも言える攻撃だからだ。
ミノタウロスの自慢の一つはその立派な角。
それを使った、その剛力から放たれる剛力無比の突進は、まともに受ければ体の骨が全部イカレてしまう。
現に、彼女が突進した後の場所は木がへし折れ大地は抉れと言った有様だ。
しかし、その威力故に隙もでかい突進だ。そこが狙い目になる。だがそれでも油断は出来ない。
「おらおらおらぁ!!よそ見してんじゃないよ!!」
「やっぱりかっ!?」
何故なら、彼女の脚力は他のミノタウロスよりも凄まじい。
だから、突進を無理矢理止めてこうやって・・・・
「はあっ!!」
「どっこい!!」
ジャンプ攻撃に転じる事も出来るのだ。全く以て恐ろしい。
つまり、彼女の突進は弱点など無い防ぎようの無い反則技なのである。
しかし、こっちにも切り札はある。
「っち、今度はこっちから行くぞ!!」
「げ!!またアレかよ!?」
そう言うと、頭の上で二つの剣を交差させる。
とたん、体が熱くなって、力が湧いて来た。
これが俺の切り札、鬼人化だ。
発動中は攻撃力が桁違いに上がる双剣装備中のみの大技
「しゃぁ!!」
鋭いステップで踏み込み、袈裟切りを見舞う。
「うわっ!」
あわてて斧で凌ぐタリム。しかしこんな物では終わらない。
ついで回転切り、胴切り、面切り、突き、切り上げとテンポよく叩き込んで行く。
「シャアァァァアっ!!」
さらに、逆からの袈裟切り、×の字切り、蹴りなども打ち込んで行く。
「ううっ。これは反則だよぉ・・・・・・」
「お前が言えた台詞か!!」
しかし、ここで仕留めないと面倒な事になるのでまだまだ攻撃の手は・・・・・・・ん!?
「やべっ!?もう効力切れかよ!!」
体から熱っぽさが消え、だるさが襲って来る。
鬼人化はスタミナを大量に消費する技。スタミナが少ないとすぐに切れてしまう、おまけにこの技、爆発力もでかいが、終わった後の隙もでかい。
「お、今回は随分と早いね!!なら今度はこっちの版だ!!」
そう言って、彼女は斧を振り下ろして来る。はっきり言って、当たったら即ゲームセットだ。
「どわぁ!!」
まあこの隙を狙って来ると言うのは予想つくけど、やっぱり驚いちゃうのはしゃーないよね?だってめっちゃでかい斧がこっちに向かって振り下ろされているのだから。
とか思いつつ、後ろにダイブする事で辛くも躱し。
体勢を立て直し、再び睨み合う。
「はあっはあっはあっ・・・・っ、いい加減諦めろよ」
「ダメ、だね・・・・ふうっふうっ・・・アンタをこの手に抱きとめるまで、あたしは戦うよ」
「・・・だろうな」
くそっ。どうする?
俺の虎の子『鬼人化』はあいつに通じねえ。いや、通じる事は通じるが決定的なダメージを与えられねえ。
「なら・・・・・・・・・」


その時、俺の脳にふと浮かぶ言葉があった。
それは、村の暑苦しい教官と見習い時代に話したときの言葉。
『わははっ!!哀駆よ!!双剣使いなら知っておけ!!鬼人化を使っている時のみ使用で切るグレィトな技をな!!』


「・・・・そうか、まだアレが残ってたか」
今まで、鬼人化自体にこだわりすぎてすっかり忘れてた。でも、これなら・・・・・・・・・・
「・・・・・・・タリム」
「なんだい?いい加減諦めてくれたのかい?」
「いや、そうじゃねえ・・・・・・ゲームセットだ!!」
と言うや否や、再び鬼人化を発動。タリムに向かってかける。
「はっ!!その技、脅威ではあるけど、防ぎきれなくは無いってのはこの四日間の間に分かったろう!?それとも自暴自棄なったかい!?」
タリムが、再び斧で防御の態勢を取る。
だがな、タリムよ。これから放つ技を今までの攻撃と一緒にして欲しくは無い。
そう、この技は・・・・・
「いくぜ!!」
俺の必殺技だ!!
タリムの斧に、剣を振り下ろす。その手応えから、彼女はいつもどうりのただの猛攻と高をくくっているのだろうか。
だが、その考えは間違いだ。
その刹那の間に次の刃を振り下ろす。
「・・・っ!?」
先程よりも早い斬撃に驚いたのだろうか。しかしそんな暇は与えない。
再び次ぎ、次ぎ、次々とドンドン剣速を増して放って行く。
そのうちに、自分がどう遣って剣を振るっているのかも分からない程の次元に・・・・・・・
そう、これこそが真の『切り札』。
「『乱舞』!!」
無数の斬撃を短時間で叩き込む双剣使いの奥の手。
その猛攻に、タリムはしっかりと耐えている様に見えた。だが、明らかに手が震えているし足もいっぱいいっぱいと言った有様。限界なのだろう。


そして決着のときは来た。


バギン!!
「えっ!?」
タリムの持っていた斧が猛攻に耐えきれず、くだけたのだ。
刃の部分からまっぷたつに。
その衝撃で、尻餅をつくタリム。そこに。
俺は刃を振り下ろした。


「・・・・・・あれ?」
不思議そうにしているタリム。今、自分が死んだと思ったのだろうか。
「へ、なんで?」
「・・・・」
まあ、不思議そうにしていても仕方がない。俺の刃は、タリムの首元で止まっていた。寸止めと言う奴だ。
「これで決着だ。大人しく帰れよ」
そして刃をしまい、立ち上がり、帰ろうとする。だが、タリムに呼び止められた。
「待てよ!!何で剣を止めたんだよ!?アンタだったら首を一刀両断するくらい」
「ちっちっちっち」
声を遮る。ま、確かにそうだが。
「俺は女は切らねえ主義なんだよ」
その一言で納得してほしい。
タリムは、惚けた顔をしていた。
「うちの村は反魔物主義じゃねえ。中立だ。お前が『無理矢理誰かを襲わず』に『客』として来るんだったら。村も俺も、歓迎するぜ」
そう肩越しににやりと笑いつつ告げて、俺は帰って行った。


そんな訳で、俺は今日も門番をやっているのだが。
「何でお前がいるんだよ」
「だって、『客』として来る分にはいいて言ったじゃん」
俺の隣にはタリムがいた。どうやらこの近くに住み着いてしまったらしい。
クソ、追い払うつもりで戦ったのにこれじゃあ本末転倒だよ・・・・・ってゆーか余計な事言わずに『さっさと帰れ』の一言だけですませれば良かったかも。
「はぁ〜・・・・不幸だ」
「何言ってんだい。こんな美人が隣にいるってのに」
今日も、村は平和である。
13/02/17 10:28更新 / ブルデュエル
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