読切小説
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一年に一度だけはサンタクロース
 いつかサーカスの世界で大成功して大勢の人達に喜んでもらいたい。そう思っていた時期もありました。でも、駄目でした。
 僕の生まれはとある教国です。元々僕は大人しく人付き合いも苦手。普段から一人で本ばかり読んでいました。
 学校に通っていたとき、いじめにあって人間不信になり、引きこもりになってしまいました。親は自分を引きずり出そうとしましたが、自分は必死に抵抗して部屋にすがりつきました。とうとう親も諦め、学校側も登校の意志なしと判断して除名(自主退学扱い)しました。
 
 その後は世間体を気にした家族と共に引っ越して、あちこちを転々としたうちに、今住んでいる親魔物国の雪国に定着しました。
 この国は非常に寒い国ですが、人たちや魔物娘達はとても優しかったです。でも、一時期反魔物国に住んでいたことと、学校でのトラウマが原因で人間不信かつ人見知りな僕は引きこもったままでした。幸い、周囲も気を使ってくれているみたいです。

 そんな僕に転機が訪れたのは、16歳の誕生日のときに母親に無理やり連れだされて、大国に旅行に行ったときです。そこでは素晴らしい物をたくさん見ましたが、中でも一番心を打たれたのは、遊園地のサーカスの人形劇でした。
 リッチのお姉さんが賑やかな歌を歌っているのが聞こえて、僕と目が合ったときにリッチのお姉さんがおいでおいでと手招きしたので、ふと近づいてみました。
 すると、リッチのお姉さんがリビングドールを使って人形劇を見せてくれました。その人形劇はとても素晴らしく、僕は心を打たれました。
 
 こうして僕はサーカスで人形劇をやろうと決意して、両親に相談しました。両親もそれまでの引きこもりの僕を見て来たこともあって驚いたみたいですが、「頑張りなさい」と背中を押してくれました。
 その後僕は一人で隣国のサーカス団の門を叩きました。しかしそこで早くも長年引きこもっていたことの弊害が出てしまいます。

 サーカスの団長と副団長が面接をしてくれることになったのですが、履歴書すら用意していなくて(履歴書の存在も初めて知りました)、とにかくいろいろと大変でした。
 僕のおどおどした態度や長年引きこもっていたことを知ると、団長も副団長も険しい顔をしました。副団長の方は、
「サーカスは人前に立つ仕事だよ? 君には無理だから帰りなさい」
 と門前払いのような態度でしたが、それでも僕は諦めきれずに粘りました。そして最終的に団長は少し悩み、親の連絡先と住所を紙にメモして、
「初めは舞台には立たせない。下働きで芸を覚えて、経験を積んでもらう。雑用も新入りのおまえにやってもらう。それでもいいなら、明日から来なさい」
 と言ってくれました。僕は歓喜し、何度も「ありがとうございます!」と言ったのを覚えています。
 副団長の方は「どうせ1週間ももたないで辞めていくだろう」ということで納得したみたいです。

 正式に入団してからは、下働きや雑用をこなしながら、人形劇をやっている先輩に稽古してもらえました。このサーカス団では人形劇はワイトがやっていました。このワイトは厳しい人でしたが、芸は素晴らしく、また親身になって僕を指導してくれました。今思うと物覚えの悪い僕に、周囲の人は「才能ない」とサジを投げるようなことを言っていたにも関わらず、ワイトは「本人にやる気がある限り必ず一人前にして舞台に立たせる」と言ってサジを投げずに居てくれました。そんな彼女に応えようと、僕も必死で練習しました。

 2年が過ぎたある日、ワイトの先輩は「これならギリギリだが、客前に立たせても大丈夫だと思う」と言ってくれました。団長もワイトの前座として舞台に立たせてくれると言いました。
 残念ながら僕の人形劇はブーイングや罵倒の嵐で、何度も心が折れかかりましたが、団長やワイトの励ましや、両親の手紙の励ましにより頑張ることができました。
 そして入団して5年が経ったとき、そこそこ人に楽しんでもらえるようになり、ワイトの先輩が休みのときには前座ではなくメインを任されるようにもなりました。しかし、それでもワイトの先輩に比べれば自分はまだまだでした。
 
 ようやく舞台にまともに立てるようになったある日、悲劇は突然起きました。団長が心臓発作により亡くなったのです。元々数年前から体が弱かったのですが、サーカスでの激務が死期を早めてしまったようです。
 このサーカス団は元々団長と団長の家族により経営されていて、出資もされていたのですが、団長の死後、家族の意向によりサーカス団は解散することになりました。せっかくここまで頑張ってきた僕は、ショックでただただ泣き続けることしかできませんでした。
 その後の解散式のあと、副団長は、
「初め、おまえはすぐ辞めると思っていたよ。でもよくここまで頑張ったな。」
 ワイトの先輩は、
「お前の芸はまだまだだけど、おまえならきっといつか成功するさ。私はこれから大国へ行く。もっと大きな舞台で頂点を目指す。おまえも頑張れよ」
 と励ましてくれた。

 その後、大国では仕事も見つからず、やることもなかったので実家の雪国に帰るしかありませんでした。その後、やることも見つからず、新しいサーカス団に入団することも考えましたが、どこも人手は足りていると断られ、再び引きこもりに戻りました。
 ですが、それでも心の中に眠っていた「人々を喜ばせたい」という願望だけはどうしても捨てきれませんでした。
 そんな中、とある本でサンタクロースの本を読んだとき、久々に心を打たれ「自分もサンタクロースになろう!」と心に決めました。

 ところが、前回とは打って変わって親は
「何を変なことを言っているんだ!」
「おまえももう大人なんだから、少しは現実を見なさい!」
「夢を語るよりも現実を見て働きなさい!」

 と叱られてしまいました。それでも諦められず、去年のクリスマスには家にあった黒いローブをまとって、おもちゃやお菓子がたくさん入った袋(親の財布からお金を抜きました)を持って、深夜寝静まったあと家々の子供の枕元にプレゼントを置いて行きました。
 この村はあまりに平和で治安もいいので鍵をかけないことも救いでした。中には真っ暗な部屋から男女の喘ぎ声が聞こえる家もありましたが、暗闇が幸いしてバレませんでした。

 こうして、去年はサンタクロースになった自分ですが、そのあと親に物凄く叱られました。しかし、村の人たちは「子供はみんな喜んでいますよ」と喜んでくれたので許してもらえました。
 その後、クリスマスイブの昨日まで引きこもり、今度は親におもちゃやお菓子を買ってもらい、黒い帽子に黒いローブをまとい、準備を始めました。

 そして、いよいよクリスマスです。僕は準備をして外に出ました。

 村全体にプレゼントを配り終えたときのことです。すっかり寝静まった深夜、ゆきおんなさんが村の広場で迎えてくれました。
「ご苦労様です。サンタさん」
「いえいえ。僕がサンタクロースで居られるのは年に一度だけですから。そういえば、村はずれに氷のお城がありますね。誰か住まわれているんですか?」
「ええ。氷の女王様が。」
「そうだったんですか! 今まで気づきませんでしたよ。行って来ますね!」
「それはおやめになった方がよろしいかと。氷の女王様は心が凍って居ますので・・・」
「心が凍って? どういう意味ですか?」
「そのままの意味です。氷の女王なので。あと、あそこへたどり着くには非常に道が険しく、生身の人間では危険です。ですから・・・」
「いえ! 僕はサンタクロース! プレゼントを待っている人が居るなら行かないわけには行きません! 行って来ます!」
「あっ! え〜と・・・お気をつけて〜」

 僕は氷のお城を目指して向かったが、方角が分かっていても、ゆきおんなさんが言った通り道は険しかった。足場は悪く、滑り落ちたら死んでしまうかもしれない。それに夜のせいか、視界も非常に悪い。そして城に近づくにつれて吹雪が激しくなっている。まるで自分が近づくのを拒絶しているように。

 道中、野生の魔物娘にも遭遇した。この村に来てから、魔物娘は決して人間に対して危険な生き物ではないことは知っているが、さすがに野生の魔物娘となると、どうなのかわからない。途中、魔物娘に見つかって追いかけられてしまうことが何度もあった。

 グラキエスに見つかったときは、恐怖に駆られた。
(ここから先は女王様の領地。帰りになさい。人間・・・)

 イエティに遭遇したときは、必死で逃げた。向こうも追いかけて来た。
(そっちは湖じゃぞ〜 行き止まりじゃぞ〜)

 幻覚だろうか? ケサランパサランって都市伝説じゃなかったっけ?
(アハハハハッ アハハハッ 一緒にあそぼ〜)

 ホワイトホーン・・・だろうか? 獣人に襲われたらひとたまりもない!
(ここから先はダメ! クレパスが・・・落ちちゃった。)

 その後僕はクレパスを必死で這い上がり、ようやく氷の城へたどり着いたが、厳しい寒さと体力の消耗、遭難の恐怖、魔物に追われる恐怖により正常な思考を徐々に失いつつあった。

 城の扉を開けると、一体のキキーモラが出迎えた。
「あら、こんな時間に・・・それも人間が・・・」
「女王に・・・合わせてください・・・渡したい物が・・・」
「本来なら追い返すところですが・・・どうぞ。この先の扉におられるので。」
「ど・・・どうも・・・」
(一体どうやってあの吹雪とクレパスを超えて来たのかしら・・・でも、彼、既に・・・。一応馬車の準備をしておきましょうか。)

 扉の先に待っていたのは、青いドレスを身にまとい、氷のアクセサリーを身に着けた、まさに氷の女王と呼ぶにふさわしい魔物娘だった。その表情からは一片たりとも感情がうかがえない。まるで凍っているかの用に無表情だった。

「なぜここへ来た?」
「あ・・・あ・・・ぼ・・・ぼ・・・ぼくは・・・さんた・・・」
「さんた? 何を言っているの?あなた。」

 既に僕は正常な思考が出来なくなっていた。体が冷たい心が冷たい。さむい・・・さむい・・・
 気づいたら、僕は氷の女王を押し倒していた。なぜそうしてしまったのか、自分でも分からない。ただ、彼女と眼を合わせたとたん、まるで自分の胸がとても冷たくなり、温もりが欲しい。そう思った。

 彼女は何をされても抵抗しなかった。
 押し倒されても、胸を揉まれても、顔を胸に埋めても、彼女の性器に顔を埋めても。
 喉が渇き切っていたせいだろうか? 僕は彼女の性器に顔を埋めて舐めまわし、舌を入れ、力いっぱいすすった。
 氷の女王の性器から愛液が溢れてくる。僕はそれを夢中ですすった。その味は甘くて美味しかった。そして外見からは想像できないほど、暖かかった。やがて氷の女王の性器から潮が勢いよく飛び出した。いわゆるイッたというやつだろうか。それでも、氷の女王は表情一つ変えなかった。
 
 僕は少し理性が戻ったが、正常な思考になるには程遠かった。そればかりか、初めて味わう生身の女性(厳密には魔物娘)。
 僕の心には凍った冷たさの代わりに、目の前の女性を犯したいという、性欲という本能に支配されつつあった。
 
 僕は夢中で彼女の胸にしゃぶりついた。赤ん坊のように乳首をちゅうちゅうと吸った。さすがに魔物娘でも妊娠していなければ母乳は出ないだろう。それでも、不思議とその乳首は甘く、暖かい味がしたような気がする。彼女の大きい胸の谷間に顔を埋めた。谷間は冷たかったが、それは心地よい冷たさで、僕の性欲をよりいっそうかきたてる。しかし、氷の女王の顔は相変わらず、無表情のままだった。
 彼女顔を見つめる。その表情は凍ったように無表情のままだ。僕は彼女の唇に自分の唇を合わせた。このとき僕は目を閉じて、夢中で彼女の口の中に舌を入れていたため気づかなかったが、このとき氷の女王は目を見開き、その凍った表情が徐々に変わりつつあった。

(なに・・・? この気持ちは・・・分からない。私は氷の女王。人になんて興味など湧かない。近くの村も、周囲の魔物娘達も、私にとってはどうでもいい存在。そのはずなのに・・・)

 氷の女王にとってはこの氷の城が全て。接するのは使えているキキーモラだけ。外の世界に興味などなく、人間に対しても興味など湧かなかった。

 僕は氷の女王の口の中を夢中で舐めまわした。そして体全体も舐めまわす。舐めていない箇所などないほどに・・・。改めて彼女の性器を見る。そして、さっきまでは気づかなかったが、思考が徐々に戻ってきたことで、自分のペニスがガチガチに勃起し、我慢汁があふれ出ていることに気が付いた。

「いい・・・かな・・・?」

 彼女は無言で頷いた。そのときの彼女の表情は少し微笑んでいたように見えたかもしれない。
 僕は氷の女王の膣に自分のペニスを挿入した。彼女の中は最初は冷たかったが、徐々に暖かくなって来た。そして僕の物をまるでしゃぶるかのように膣全体が締まる。

 その後、僕は夢中で腰を振り続け、ついには彼女に僕の精子を吐き出した。しかし、それでも僕は腰を振り続け、射精しながら何度も腰を動かした。そして頭が真っ白になった・・・。

 部屋の外でキキーモラは彼の声を叫び声、そして水音を聞いていた。

「女王様にとってのプレゼントは、あなただったのかもしれませんね。サンタクロースさん」

 次の日、気づいたら僕は部屋のベッドで横になっていた。両親の話では、女王の使いだと名乗ったキキーモラが僕を運んできたらしい。
 
 ・・・やってしまった! 僕はとんでもない過ちを犯してしまった! 少しずつ記憶が戻って来る。僕は氷の女王の住む城までたどり着いたが、そこで氷の女王を押し倒して、そして、レイプしてしまったのだ・・・。

「うわあああああああああ!! 僕はなんてことを!!」

 僕は昨日とは別の意味で理性を失って部屋で暴れ、母親が止めに入った。しばらくして落ち着きを取り戻し、居間のテーブルで両親に昨日のことを打ち明けた。

「なんてことをしたんだ! しかもこの地の女王様に!」
「どうしてそんなことしたの! こんなことって・・・」

 父は大激怒、母は大号泣だった。

 そんな中、村全体は凍っており、自分の家も凍っていく。
「な、なんだこれは!?」
「祟りよ! 氷の女王様がお怒りなのだわ!」
 自分のせいで両親も、そして村も凍らされてしまう。そう思うと涙が出てきた。そして部屋は凍り付き、両親も凍った。
 部屋の玄関が開き、そこには無表情の氷の女王と笑顔のキキーモラが立っていた。
 殺される! 僕は恐怖で足がすくみ、身動きできなくなった。氷の女王はゆっくりと僕に迫ってくる。
「た、助けて・・・」
「探したわ。」

 僕は氷の女王の足元にしがみつき涙ながらに命乞いをした。
「ごめんなさい! 本当にごめんなさい! どうか、両親と村のみんなは許してあげてください!」
「許す? なんのこと?」
「え? だって、みんな凍って・・・」
「大丈夫よ。凍らせて入るけれど、死んだりはしない。ただ眠っているだけ。それよりも、あなた。何で私のところへ来たの? 道中、とても辛かったはずよ」
「そ、それは・・・僕はサンタクロースで・・・プレゼントを渡そうと思って・・・」
「それだけのために?」
「まぁ、そのために女性を押し倒しちゃうなんて、サンタさんって大胆なんですね〜 こわ〜い♪」
「キキーモラ。大事な話をしに来たのよ。」
「はぁ〜い。ごめんなさ〜い」
「大事な、話?」
「ええ。私のところへ来たのは、あなたが初めてだわ。そして、この私に温もりを与えてくれたのも・・・」
「え?」
「私、もうあなたの温もりがないとダメなの。だから、私と一緒に来て欲しいの」
「え、そ、そんな突然!?」
「あら〜 昨日女王様を見るや否や押し倒した変態レイプ魔さんに拒否する権利があるのかしら〜」
「レイプ魔・・・(そうだ・・・僕は彼女を・・・レイプしたんだ・・・)」
「キキーモラ・・・頼むから黙っていて。」
「しゅん・・・」
「あ、あの・・・両親の凍結を解いてもらえませんか? 大事な話なので・・」
「いいわ。」
 彼女が手をかざすと、両親の氷が解け出した。

「あれ、今なにが起こって・・・えっと、あなたは?」
「あ、あの、お父さん、お母さん・・・」
 緊迫した中、キキーモラが割って入った。
「こちら、氷の女王様です。そして、あたしは女王様にお仕えするキキーモラです。」
「じょ、女王様! このたびは息子が! いや、とんでもないことを!」
「お父様。お母様。息子さんを、私にくださいませんか?」
「そ、それで、村も・・・許してもらえますか!?」
「・・・キキーモラ。説明をお願い。」

 キキーモラがここまでの経緯を全て説明した。
「氷の女王は決して怒ってはいないこと」「村が凍って居るのは息子に会うために一時的に凍らせているだけで、ちゃんとあとで元に戻すこと」「息子は氷の女王に温もりを与えたこと」などを話した。

 
 さっきまでの緊張感は一気に解け、場は和やかな空気に包まれた。
「そういうことだったのか! ハッハッハ! いや〜 まさかうちの息子に女王様が!」
「この子は引きこもりで、数年前にサーカス団で人形劇をしていたぐらいで、今は無職なのですが・・・」
「構いません。私は彼が好きなのです。」
「まぁ! 嬉しいわ! 私たちの息子が女王様と結ばれるなんて!」
「あ、あの、こういう話って、もっとこう・・・」
「何を言っているんだ。押し倒しちゃったんだろ? それなら責任を取るのが男って物だ。」
「そうですよ〜 ここまでやっておいて今更言い逃れできませんよ〜」

「女王様。僕は引きこもりで、唯一頑張った人形劇も成功しなかった、何の取り柄もない人間です。こんな僕で、いいんですか?」
「ええ。私には、あなた以外に相応しい夫は居ないわ。それとも、私じゃあ不満?」
「そ、そんなことないです! 僕には勿体ないぐらいの話です!」
「なら、決まりですね〜 二人は今日から夫婦で〜す」

 こうして、僕と氷の女王は結婚した。結婚式は氷を溶かしたあと、村で行われた。僕は氷の女王と一緒に村はずれにある氷の城で暮らすことになった。

「・・・女王様、どうだったかな?」
「楽しかったわ。とても。」
「ほ、本当に?」
「ふふっ 女王様はエッチのとき以外無表情ですからね〜」
「キキーモラ!」
「ごめんなさ〜い。でも、あたしは長年女王様にお仕えしていますから、女王様の顔を見れば全部わかっちゃうんですよ〜」
「え? 無表情なのに・・・分かるの?」
「ええ。だってメイドですもの。ふふふっ」

 キキーモラがリビングドールを数体購入してくれた。何でも氷の女王が僕の人形劇を見たいと言い出したのだとか。それで見せてはみたんだけど、氷の女王の表情は、あのときの表情が嘘のように、また凍ったような無表情に戻ってしまった。
 でも、キキーモラ曰く氷の女王は僕の人形劇をとても楽しんでいるらしい。新しいネタのためにといろんな本も買ってくれた。
 氷の女王と暮らしていくうちに、彼女の無表情さ故に感情が読めないことにときどき不安を覚えることもあるが、そういうときはキキーモラがよくフォローしてくれている。でも、自分への愛の気持ちは一切偽りがないことが自分でも分かるようになって来た。
 普段は無表情な氷の女王だが、夜、ベッドの上では嘘のように感情をむき出しにする。そしてあのときとは打って変わって積極的に僕を求める。
 最近では朝だろうと昼だろうとお構いなしに僕を求めるようになった。僕も彼女の冷たさの裏に隠された本当の温もりを求めて積極的に交わる。
 この城には僕と氷の女王とキキーモラしかいない。だからいつ、どこで、何度交わろうが問題ないのだ。

 そして月日は流れ、今年もクリスマスがやってきた。
 僕はサンタの衣装に着替え、キキーモラはトナカイの格好に扮している。
「それじゃあ、行って来るよ!」
「気を付けてね。サンタさんをしっかりと送ってね。キキーモラ。」
「もう! 今の私はトナカイさんですよ!」
「ははっ じゃあ、行こうか。トナカイさん!」
「は〜い!」
「帰ったらたっぷり・・・ね。ふふふっ」

 キキーモラは氷でできたソリを引き、僕はソリに腰かけている。僕は氷の女王にもプレゼントを用意したかったのだが、「私にとって、あなた以外のプレゼントなんて要らない」と言われてしまった。

 その後、村はずれの村には氷の女王と、サンタクロースが住んでいて、クリスマスになるとサンタクロースが村にプレゼントを配りに来るという噂が子供たちの間で広まるのだった。


 
18/01/07 23:02更新 / 風間愁

■作者メッセージ
一応、氷の女王の図鑑のページを見ながらSSを書きましたが、どうでしょうか? もう少し感情のなさや冷たさを表現したかったかもしれません・・・。

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