連載小説
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EP.T Act.T「起床」
???「……ぃ…………お…………お…い…!…おい……!起きろ!アッシュ!ひっぱたくぞ!」

体を激しく揺さぶられる。

アッシュ「ぐぁ……。」

???「いつまで寝てんだ?今日は遠征に行く日だろ?はい、朝飯。」

寝ぼけ眼になりながらも相棒からブロック状の食料を受け取り、何とか立ち上がる。

アッシュ「もう少し優しく揺らしても良いと思うんだがなぁ。フィラー。」

フィラー「ひっぱたかなかっただけマシだろ。ほら、それ食ったら警部補んとこいくぞ。ここじゃ二人一組で行動するのが必要不可欠なんだぞ。警部補が言ってただろ?」

アッシュ「はいはい。分かってるよ。」

この生活が始まって何日経っただろうか。……といっても、3週間程か。化け物に襲われそうになって、フィラーに助けられて、この大きな警察署に避難して、時折遠征しながらも避難生活。ここで避難している人達はそれなりにいるが、外にはそれ以上の化け物達がいる。
ずっとここで避難生活せざるを得ないのか、それとも脱出の目処があるのか、

遠征を続けていれば分かるだろうか。

フィラー「あっそうだ、アッシュ、ちゃんとナイフは2本肌身離さず持っているよな?」

アッシュ「あぁ、もちろん。」

フィラー「大切な武器だ。あの化け物共に掴まれてもそいつでぶっ刺して押し退ければどうにかできる。前にも言ったと思うが、忘れるなよ?命あっての遠征だ。」

アッシュ「お前こそ、肝心な時に忘れるなよ?」

フィラー「へへへ、もし遠征先で亡くしても、拾った刃物で代用すればいいだけだぜ。」

警部補のいる大広間に来た。生存者がちらほら居る。座り混んでいたり話しているようだ。
警部補を探す。この避難生活のリーダーを務めているヴィスタ・ハイラ警部補。右目の辺りに傷痕があるが、その傷の詳細は頑なに教えてくれない。

フィラー「ヴィスタ警部補!」

ヴィスタ「はぁー、何度言えばいいんだ…。君達は警官じゃないんだ。警部補を付ける必要はないぞ。」

フィラー「まぁいいじゃないですか、こっちの方が気分が乗りますから。」

ヴィスタ「(溜め息)。やはりいくら言っても無駄か……。で、今日は君達が遠征だったか。」

アッシュ「はい。何か集めて欲しい物があれば優先して取りに向かいます。」

ヴィスタ「仕事熱心なのはいいが、危なくなったら直ぐに戻るという事は忘れるな。」

アッシュ「ええ、分かっています。」

ヴィスタ「本来は我々警官が動くべきなのだがな……すまない。」

アッシュ「動ける人が動いた方が良いでしょう。動かないと体も鈍ってしまいますから。」

ヴィスタ「遠征組には、頭を上げられないな。」

フィラー「で、何か取ってきて欲しい物は何です?」

ヴィスタ「そうだな……燃料と食料を確保してくれると助かる。まだまだ余りはあるが、多く量があるほうが良いだろう。」

フィラー「ってことは……。」

アッシュ「東にあるガソリンスタンドと食料品店ですね。」

ヴィスタ「そうだな。遠征用の物資はいつもの場所に置いてある。2階の倉庫室の向かいにあるロッカー室だ。」

アッシュ「分かりました。」

フィラー「よし、行こうぜ。」

ヴィスタ「三日前の遠征でまた一人失っている。……気を付けてくれよ。」

アッシュ「……はい。行ってきます。」

三日前の遠征。自分とフィラーは拠点で待機していたが、同じ遠征組のメアン・ノーンという女性と、メンゴス・ウェルという男性が北に向かっていた。
だが、戻ってきたのはメアン一人だけだった。彼女は酷く泣いていた……掛ける言葉も見つからなかった。

この三日間、メアンの様子がおかしかったが……。

フィラー「ん?あれ、メアンか?一人だ。おいおい、誰かと一緒に行動してないとダメだぞー?」

やはりメアンの様子がおかしい…。……あんなに色白だったか?

アッシュ「メアン?……三日前の事は……残念だったよな……。」

メアンが近付いてくる。

アッシュ「その、メンゴスは……とても、良いやつだったし…」
フィラー「アッシュ!!!避けろ!!!!!!!!」

メアンに思いっきり掴まれる。

アッシュ「ぅぐっ!?!?くっ!!メアン!!落ち着け…!!」

メアン?「んぁー……。ぁーー……。ぅあーー……。」

目に生気が感じられない。

アッシュ「おい嘘だろ……!?メアン!!」

フィラー「こんのっ!!!」

フィラーがメアンの後襟を掴み、メアンを床に引き倒す。

メアン?「うァ"ッ!!!」

フィラー「アッシュ!!!」

アッシュ「クソッ!!!クソッ!!!!」

持っていたナイフで、メアンの首元を二回刺す。

メアン?「がぁ……っ!ぁっ───!!」

メアンの体が大きく跳ねた後、細かく体を震わせながら気絶した。

フィラー「お……おい……アッシュ……。メアンの…股の辺り……。」

メアンは失禁したようだ。……外にいる化け物は…倒したら失禁して震えながらも暫く動かなくなる……。

アッシュ「まさか…………そんな…………。」

メアンの首からナイフを引き抜く。


傷になっていない。確かに二回刺したはずだ。……これも外の化け物と同じだ。


フィラー「メアン……お前……なんで……。」

アッシュ「フィラー。警部補に伝えてくれ、メアンが化け物になった。あと、紐を持ってきてくれ。」

フィラー「あ、ああ。わかった。」

小さく震えるメアンを見つめたまま。動けないでいた。
また、この前まで仲間だった奴が、目の前で化け物になった。……この地獄は、いつまで続くのだろうか。

フィラー「アッシュ。ほら、紐。警部補にも伝えた。……悲しんでた。また一人犠牲になってしまった。って。」

アッシュ「……また襲われる前に手足を縛って3階から放るぞ。」

フィラー「……ごめんな、メアン。」

メアンの両手両足を縛り、3階に運び、窓から放り落とす。
室内で化け物を見かけたら、倒してこの3階の窓から放り落とす。でなければまた動き出して被害が止まらないからだ……。1階の窓は全て塞いでいるため、動き出してロープをほどかれてもそうそう入って来る事は無い。

フィラー「アッシュ。遠征に行くぞ。」

アッシュ「あぁ。メンゴスとメアンの分も生き延びるぞ。」

遠征用のリュックを取りに行き、簡易的な武器や食料、水、医療品を確りと用意した。
外へは2階のダクトから行ける。そのダクトの側には二人の警官がいるから分かりやすい。ごつくて厳つい顔をしたアーゴ・フェン警官とおば…お姉さんのイルデ・ミノ警官だ。

アーゴ「やぁ、アッシュ、フィラー。今日は君達か。」

イルデ「さっき騒がしかったけど、何かあったのかい?」

フィラー「メアンが……化け物になっちまった。」

アッシュ「さっき、処理した所だ……。」

イルデ「あの小娘が……?!」

アーゴ「そんな……。三日前に遠征に行ったばっかりなのに……!」

イルデ「……アタシをおばさん呼びなんかするからこうなるんだ……!……いいかい坊や達、あの子達みたいに、なるんじゃないよ。」

アッシュ「ええ……大丈夫です。」

フィラー「俺達はまだ生きてるぜ。いや、ずっと生き延びるさ。…時間も無駄にはできないし、さっさと遠征行くぜ。」

アーゴ「あ、あぁ、そうだな。気を付けて、行ってきてくれ。そして無事に生きて戻ってくれ。遠征に行ける人は多くはないからな……。」

アッシュ「必ず戻ります。」

フィラー「じゃあ行ってくるぜ。」

ダクトのフェンスを開いて中に入り進み、外へと向かった。
19/03/20 15:02更新 / オニタケ
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■作者メッセージ
えー、どうも、オニタケです。
フレンドがダイ○ング○イトをやってるのを見せてもらって、アンデッド系の魔物娘に追われ続ける作品を見たいなーと思いツイートしたら、どこかのハイでメガなギルドで門のおじさんに発想を膨らまされたので書き始めた次第です。

一通りの物語はある程度構想は出来てるのであとは書くだけでスゥゥゥゥ…

次の話からこの辺には登場人物の軽い紹介やらを書いて行こうかと思ってます

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