連載小説
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猫の子を貰うよう
…PiPiPiPiPiP、ガチャン!!

ビクッ

「ぅうーん、、、グー…」


「フゥ…、おい、健司起きろや」ゲシッ
「グフッ!?」

突然、みぞおちに強烈な踵落としを食らい、のたうち回りながら頭上を見上げてみると毎度のことながらコイツは虫けらを見るような目つきで俺を見下ろしていた。

「も、もう少し優しい起こし方はないのか?ゴホッゴホ」

「わざわざ起こしてやってるってのに、何それ?」

「これは起こすと言わず、落とすと言うんだよ!」

俺は幼なじみであるワーキャットの美羽を睨み付けて言った。

「どっちでもいいから、早く着替えて降りてきなさい。アンタの所為で朝食が食べられないのよ。」
と既に部屋を出て、ひらひらと手としっぽをフリながらさも興味なさそうに階段を降りていった。

「お前が先食えばいいじゃねえか…、うん?ってか何で目覚まし鳴ったばかりなのに美羽がいるんだ?」
甚だ疑問だ。



「遅い!」

「3分もかかってねえだろうが」

制服を着て、下に降りた途端美羽に文句を言われたからぶっきらぼうに答えた。

すると、
「男は何でも待たせたらいかんぞ」
と食卓についていた父さんが新聞から目を離さずに言った。

「なら早くゲーム返せよ」

「前向きに検討したいと思います」

大人って汚いね

「バカなやりとりしてないで早く座りなさい」
と母さんが目玉焼きなどがのっている皿を両手に持ちながら言ってきた。

「あ、お母さん、私も手伝います」

「大丈夫よ。それより若い方のバカを座らせといて。」

「若い方のバカって俺のことか!?」


美羽が母さんのことを「おばちグフッ!?…、「お姉さん」(?)と呼ばず「お母さん」と呼ぶのは、美羽の母は女優で父は専属のスタイリストだから留守にしがちで、俺ん家によく預けられていたらいつしか「お母さん」と呼んでいた。
俺のことは「お兄ちゃん」と呼んでくれなかったが…


とまあ、そんな母と美羽とのやりとりが実の母娘のようで、仲睦ましく感じていたら俺の心はさらっと傷つけられていた。




「早くしなさいよ!」

「だから、靴履いてるから待てって。第一、登校時刻には十分過ぎるほど時間あるじゃねえか。」

「二人ともいってらっしゃい。」

「「いってきま〜す」」

美羽が母さん手を振っているのを俺は横目に見ながら二人で門を出ていった。
10/09/03 00:41更新 / 迷える子執事
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■作者メッセージ
起きた時に幼なじみがいるなんて羨ましいな、この野郎!!

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