連載小説
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1話:モーニングサービスで10%引き
「なあマスター、俺に謝ることはないか?」
「はて?なんのことでしょうか」


ここはとあるカフェ、俺とマスターについては前に言ったとおりだ。


「とぼけるな!危うく堕落するところだったんだぞ!」
『こんなに意志が強い人なんてステキ♪』
「とか言われて狙われる危険性がさらに高まったんだぞ!」
「まあまあ、あんな美人に迫られてなびかないなんてイン○じゃないか、って心配していたお客さんもいるんですから」
「よけいなお世話だよチクショー!」

そんなことを叫びながら手にしている酒を飲む。
これは俺の持込みだから何か入ってることは無い。

「・・・・・・。」

無言の視線を感じる、気にしない。

「持込みに関してはとやかく言わないけど、何か頼んでよ」
「何も入れないなら何でもいいぞ?」
「・・・・・・。」

この前の恨みは忘れないぞ?という満面の笑みでマスターを見る。
しかしそんなことも気にせず商品を渡してくるマスター。
そして無言の視線、無視する。

「はいはい、じゃあサンドイッチで良いね」

綺麗な模様が入った皿に乗せられたサンドイッチをだされる。
何か入ってないか念蜜に調べ、食べる。

「サンドイッチを分解して食べるのは趣味なのかい?」
「お前のせいだよ!」
「・・・・・・っ」

マスターに怒鳴りつける、急に大声を出したせいか、無言の視線の主も少々震える。
流石に無視しすぎたか、謝るついでに何の用か聞こう


「ああ、急に怒鳴って悪かった。というかさっきから睨んできてるけどなんなんだよ」

そういいなが相手を観察する。

両腕に鎌。 うむ、この時点で人間じゃない。
頭からは虫みたいな触覚?これはカマキリ?
ということは・・・・・、

「マンティスか」
「・・・・・。」

無言で頷くマンティス。
会話が続かない。

「あー、えっと、名前は?」
「・・・・・・ヨシフ」

会話が途絶える、そして訪れる沈黙の空間。
OK、誰か助けてくれ。
会話センスがどうこうという話じゃない。

「・・・、何か飲むかい?」

沈黙を破るようにマスターが喋る。
グッジョブだマスター、流石だよ。

「・・・・?」

なにを言われてるか解からない様子で首を傾げるヨシフ、なにこれかわいい。

「コーヒー、だよ。味の付いてる水・・・みたいなものかな」
マスター、流石にその表現はどうかと思うぞ。

「いらない・・・」
「そうか、じゃあ何のようかな?」

他意のない笑顔で聞くマスター。

「ん・・・」

ヨシフが俺を指差す。

「・・・ステンシルさんが・・・お勧めだって・・・」

まずい、この空気はまずい。
きっとこいつはステンシルが
『交尾相手を探してるならカラムがお勧めよ♪』
みたいなノリで俺を売りやがったに違いない。

こういう場はさっさと逃げるに限る・・・・。

と、背中を見せたところで何かを刺される、ちょっと痛い。

「ぐっ、なにしやがる!」
「・・・逃げちゃ駄目」
「カラム君はモテモテだねえ」

どうする俺、このまま逃げる事もできるだろうが
相手はマンティスだ、簡単には逃げられないだろう・・・。

「・・・・・♪」

考えをまとめていると不意にヨシフが笑みを見せる。
なんだ笑顔が可愛いじゃないかなどと考えていると俺の意識は底沈んでいった・・・。
なんだよ毒かよ・・・。

「ああ・・・またこのパターンか・・・」

意識が完全に落ちる。

「・・・カラム、つれてく・・・・」
「はい、止めませんよ・・・・・・くれぐれも殺さないでくださいね?」

コクンと頷きながら店の外に出て行くカラムとヨシフ。

「あ、お代をもらってない・・・・。まあ次の機会でいいでしょう」
そういいながら食器を片付ける。


その日、森の奥から男のうめき声が聞こえてくる怪奇現象、
というかまあそういう事をしている声が聞こえてくる事件があったがマスターは気にしないことにした。




本日の売り上げ
・630ワーズ(サンドイッチ700の10%引き)
※ワーズ…この町でのお金の単位
11/12/11 13:40更新 / ミササギ
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■作者メッセージ
祝二作目。
感想も頂いたので文中に使った次第。
問題あったら言ってください。


まあこんな感じで続けていくつもりです。
楽しんでいただけたら幸い。

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