連載小説
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後編
 獣のような艶めかしい息遣いと、身体じゅうを這いめぐる生暖かくて柔らかい感覚のおかげで、僕はあわてて目を覚ました。まだ室内は暗いままだった。目を凝らせば、仰向けになっている僕に対して、黒髪の美少女が身体をしっかりと粘着させて、僕の体を嘗めまわしていた。彼女の舌と形のいいおっぱいが、こそばゆいように体のあちこちをまさぐっている。

 彼女は昨日、結婚を決めたばかりの魔物娘、ぬれおなごだ。
「あら、お早いお目覚めね。旦那様」
 ぬれおなごはにっこりとほほ笑んだ。

「なにやってるの?」
「なにってみればわかるでしょう。お腹がすいたから一足先にご飯にしているところよ」

 みればわかるもなにも、はた目から見たら愛撫しているようにしか見えない。しかし聞いたところによれば、ぬれおなごの食料はパートナーの精液や唾液や汗などらしい。彼女は寝ているときの汗を摂取しているのだ。
 就寝時には多量の汗をかく。汗の量はおおよそ500ミリリットルと言われているので、その汗を食事にするのはまあ、理には適っている。

 僕はなされるがままに、何もしないでじっとしていた。彼女の舌技はたいしたものだ。胸元を嘗められているだけで、かなりの快楽が脳にやきついていく。だがあえて我慢して彼女にされるがままにする。そのほうが気持ちいいことに、早くも気がついてしまっていた。
 舌は乳首からへそのあたりに至り、そして下腹部まで行こうとしていた。そこまでいくと、どうしてもあそこを愛撫してほしいと期待してしまう。僕自身が硬くなっていくのを感じた。

「どうしたの? こんなに大きくしちゃって。何を期待しているのかしら」
 彼女はクスクス笑いながら、竿の先を指先でツンと軽くつついた。僕は快楽のあまりぶるぶると身を震わせた。
「ご、ごめん。もう我慢できない!」

 僕は彼女をひっくり返すと、膨張するあれを彼女のまたぐらに強引にあてがった。
 彼女は笑いながら、ふざけたように悲鳴をあげた。
 僕は猿のように、力づくだけの単純な腰ふりをした。そのやり方の他に方法を知らない。それに知っていたとしても、早く射精したくて仕方なくて、テクニックに気を遣うどころではなかった。未熟なSEXだが、彼女はまったく不満そうなそぶりも見せず、愛おしげな目つきで、僕を見守ってくれている。
 夜明け前の静かなアパートの室内に、彼女の喘ぎ声だけがあふれていた。

 それからたっぷりと3回戦を済ませた。その後シャワーを浴びて(そこでも1回交わった)、朝食を取ることになった。栄養分を充分すぎるほど摂取した彼女は、つやつやする顔で鼻歌をしながら、なぜか当たり前のように台所で、包丁の音をリズミカルに刻んでいた。

「はい、おまたせ。どうぞ、召し上がれ」
 彼女は一人前の朝食をちゃぶ台の上に置いて、ニッコリと笑いかけた。
 ベーコンエッグ、わかめの味噌汁、さんまの塩焼き、そして山盛りのキャベツ。どこかの格闘技漫画で見た覚えがあるが、あまり気にする必要はないだろう。何はともあれ、ごきげんな朝飯だ。

「いただきます」
 ぼくは彼女に手をあわせてから、ひとりで食事を始めた。たしかにおいしい食事である。だが食べているところを凝視されながら食事をとる習慣など持ち合わせていないので、なんともいえない落ち着かない気分になる。

「君はいっしょに食べないのかい」
「ええ、旦那様にたっぷりと栄養をいただきましたからね」とほほ笑む。
「それとも、まだやり足りないのかしら? もしよかったら、食べている間でもお口で吸い取って差し上げるけど」
「いや、やめておく。これ以上吸い取られたら学校に行けなくなるよ」
 彼女はクスクスと笑った。

「ところで、君は僕が学校へ行く間は何をしているの?」
「何もすることなんてありはしないわ。だって魔物娘ですもの。魔物娘には学校も仕事もないのよ」
 まじかよ、ゲ○ゲの鬼○郎か。一族総ニートなのか。うらやましいやら、あきれるやら。
「でも、もしよかったら一緒について行こうかしら。そしたら学校でもできるよね」

「はい?」
「だから、一緒に学校へ……」
「ダメに決まってるじゃないか! そもそも君は制服を持っていないだろう? どうやって入り込むつもりだったんだ」 

「あら、そんなことなら大丈夫よ。だってバス停ですれ違った女の子、あの子たちが着ていた服の事でしょう。あれなら簡単に再現できるわ」
「さいげん?」

 花柄のエプロンがぐにゃぐにゃに液状化してゆく。それは次第に形が整ってゆき、学校指定の濃紺色のブレザーと丈の短いスカートに変化した。裸エプロンの花嫁さんが、ほんのわずかな時間で可愛らしい女子高生に早変わりだ。
 制服を着ていても、彼女のお椀おっぱいは、はちきれるばかりに大きな毬の形をしている。しかもぬれおなごの特性として、衣服は例外なくしっぽりと濡れているのだ。乳首の形がすっかり見えていた。さらに短いスカートからは、形のいい太ももがすらりと伸びていて、もうすこし頭をさげたらショーツまで見えてしまいそうだった。

「どう、かわいい?」
「うん、かわいい……」
 僕は胸元とスカートの裾に視線を釘付けになりながらも、ようやく答えた。

「やりたくなるくらいに、かわいいでしょう」
 彼女は上半身を前に傾けて、おっぱいを両腕で強調した。そしてゆっくりと僕にすり寄ってくる。
「だ、だめだよ……今やったら学校へ行けなくなる……」
「行かなくてもいいでしょう? 今日くらいはゆっくりと家でやりましょう。旦那様」
「だめだよぅ……」

 そうは言っても、抵抗らしい抵抗もできず、その後しっかりと2回戦を済ませた。僕はふらつく足取りでアパートを出た。
「大丈夫なの、旦那様。具合が悪いなら家で休んだら?」
 彼女が心配そうに言ってきた。
「いや、行く。家にいたら骨の髄まで吸い取られてしまう。下手すると死ぬ。だから行く」
「じゃあ、わたしも一緒に……」
「だめ。お願いだから大人しくしていて。いいね」
「ええ、だってぇ……」
「お願いだから!」
「うーん、そんなにいうなら、わかったわよう」
 本当にわかったのかどうかはわからないが、ともかく僕は速足で学校へと急いだ。

 茹るような太陽のもと、汗まみれになりながらも学校へと辿りついた僕は、1時限目から机に突っ伏して意識不明に陥った。後で級友に聞いてみたところ、社会科のスズキに何回かチョークを投げ当てられたが、それでも起きなかったので、みな呆れたそうだ。昼食時にはパンひとかけらと野菜ジュースを啜ったっきり。その後はもっぱら睡眠学習である。

 6時限目は体育の授業だった。今日はプールなので、どうしても起きて出かけなかればならない。体育のヤマダは、ちょっとでも気のゆるみが生徒に見られたら怒鳴り散らすような、絵を描いたようなハラスメント教師だった。今日は体調が悪いので、ほどほどにしてほしいなと思っていたら、ヤマダは用事があると言い残して、どこかへ行ってしまった。授業は自習になった(プールの授業が自習とか許されるのだろうか?)。

 助かったと思いながらも、僕はプールの片隅でプカプカ浮かんで茫然としていた。水に漂いながら空を眺めていると、朝までの出来事がまるで夢の出来事のように、遠く感じられてきた。
 あの娘はいったいどこの子なのだろうか。ぬれおなごとか名乗っていたが、頭から信じる気にはなれない。きっとどこからか逃げて来たのかもしれない。だがそんなこともどうでもよくなって、僕はずっと水に浮かんでいた。

 しばらくすると、周囲がざわついてきた。ヤマダが帰って来たのだろうかと思ったが、どうやら違うらしい。もうすこし静かに遊んでほしいと心の中で抗議していると、女の子の影が僕の顔を覆った。

「えへへ、わたし、来ちゃった」

 目をぱっちり開けると、そこには濡れおなごの姿が。しかも学校の指定のスクール水着を着ている。彼女の大きなお椀おっぱいは、水着を着ていてもやはりたっぷりと膨れあがっていた。

「誰、あの子? モデルみたいに美人じゃない」
「あいつの恋人か? なんであんな美少女が、よりによってあいつを!」
 彼女が乱入してきたことによって、クラスは騒然となっていたようだ。

「来ちゃったって、おとなしくしてるんじゃなかったのか?」
「ええ〜、だって家でおとなしくしてろとは言われなかったわよ」
 彼女は得意そうに笑った。

 ヒステリックそうな学級委員の女の子が、僕に言い寄って来た。
「ちょっと待って。この子いったいどこの子なの?」
「ご挨拶が遅れました」
 彼女は学級委員に慇懃に頭を下げた。

「わたくし、ぬれおなごでして、名前はありません。この方の婚約者です!」
 彼女は僕に抱きついて、見せびらかすように頬にちゅっとキスをした。
 おおぅとか、ええっとかいう声があちこちからあがった。そういう時になってヤマダが帰って来た。
「お前ら、自習だからと言ってふざけてるんじゃないぞ! 真面目に自習をしていろ!」
 男子がヤマダに言い寄った。
「センセー、あいつがアイジンを学校に連れてきましたよ!」
「なあにい、お前、ちょっと生徒指導室まで来い!」
 ああ、頭痛が痛い。

 その後、僕は2時間かけてたっぷりとお説教を受けた。ヤマダだけではなく教頭のホンダも一緒に僕をなじってくるのだ。まるで犯罪者のように。かなり頭にくる指導だったが、僕にも責任の一端があるし、なにより釈明をしても教師たちは聞く耳を持つまい。僕は暑い指導室の中で、黙ってふたりの教師に怒鳴り続けられた。

「わかったか。もう二度とするなよ!」
 ヤマダの捨て台詞にふてぶてしく頭を下げると、僕はようやく解放されて生徒指導室を出た。すでに6時を過ぎていて、生徒は誰も校舎に残っていないらしく、ひと気は全く感じられなかった。鞄を取りに教室まで戻ると、ぬれおなごがひとりで立って僕を待っていた。

「今日は勝手についてきちゃってごめんね」
 彼女はいつになくしょぼついた表情で言った。
「わたし人間の社会をまだよくわかってなくて、旦那様が毎日通っている学校がどんなものなのか、一度見ておきたかったの」

 僕はおもわずため息をついた。そんなしおらしい態度で言われたら、怒るに怒れなくなってしまう。
「まあ、いいよ。たしかに狭いアパートでずっといろというのが間違いだったんだ。今度は学校の友達を誘って一緒に遊びに行こう」

「ありがとう。でもわたし、ひょっとすると旦那様のお荷物になってないかなって……」
 彼女はなぜか悲しげにこちらを向いた。そして僕に優しくキスをした。
「ねえ、旦那様。ここでしましょう?」
「ここはまずいよ。誰かが来てしまう」
「大丈夫。もうみんな帰っちゃったから。誰もいないよ」

 彼女はズボンのチャックを降ろした。もとより抵抗できるはずもない。彼女は大きく口を開けて、僕のモノをほおばった。
「ああっ……」
 僕は思わず喘ぎ声をあげた。
 
 平成の現代では映画の中でしか存在しない大和撫子が、僕のモノを音を立ててしゃぶっているのだ。しかもこれ以上ないほどの淫らで熟練されたテクニックだ。
 可憐な美少女がする淫乱な性技。この相反する光景は、僕の興奮を否が応でも高めていく。

 僕のアレがしっぽりと濡れたのを見ると、彼女は制服のシャツのボタンをすべて外して、おっぱいをぽろりと露出させた。
「今度は旦那様の大好きなおっぱいでしてあげるね」

 お椀のような形のいい乳房が僕のあれを包み隠し、ぎゅうっと締めつけてきた。
「ああ、いい……」

 彼女はおっぱいを外側から両手でしっかりと挟み込んで、激しく上下させた。
 おっぱいは弾力のあるやわらなかな肌をしていた。つきたてのお餅のようにしっとりとしているのに、凶悪なほど乳房に圧力をかけてくる。しかもほどよく濡れているので、潤滑油を塗ったようにツルツルすべる。そのおかげで僕の敏感なところに全部おっぱいが滑りこんでくるのだ。

 これに耐えるのはかなり難しかった。僕は小さく叫び、彼女の胸元に汚い白濁液をぶちまけた。

「すごぉい。いっぱい出たね」
 彼女はうれしそうにおっぱいの精液を手ですくい、嘗めだした。お菓子をほおばる幼い女の子のように無邪気な表情だった。僕は荒い息を吐きながらも、さらなる劣情がこみあげてくるのを感じた。

「でも、まあだ足りない」
 彼女はスカートの裾をそっとめくると、秘所をぼくに見せつけた。すでに多量の愛液でぐちょぐちょに濡れていた。僕はごくりと喉を鳴らした。

「ねえ、今度はここにちょうだい」
 彼女は媚びるように僕に言った。

 僕の頭の中で何かが切れた。

 彼女を叩きつけるように床に押し倒すと、体液でまみれた僕自身を狭い女陰へと押し当てた。強い快感が全身を駆け巡った。僕はまるで誰かに操られているように、腰を何度も強く打ちつけた。

 言い訳をするわけではないが、僕は性欲が強いわけではない。だが彼女を見ていると、どうしても彼女を押し倒したくなってしまう。

 彼女を誰かに取られたくない。
 彼女とこのまま繋がっていたい。

 僕は必死になって腰を振り続けた。

 実は、彼女と何度か身体を交えているうちにわかったことがあった。彼女はたしかに気持ちよさそうに喘ぎ声を出し続けている。そして実際に快楽を感じてくれているのだろう。だがその中でもどこかで余裕めいたものを感じていた。

 まるで大きな体をもつ父親が、本気で殴りかかってくる幼児に対してまったく抵抗することなく、むしろ笑って叩かせているような、そんな余裕を。

 つまり僕はホントの意味で彼女をイカせられないのだと思った。
 僕はそのことにいら立ちを覚えた。
 僕を馬鹿にするなと言いたかった。
 何としても彼女を屈服せずにいられない。
 下手だと思われるなんてまっぴらごめんだ。

 だが男女の秘め事について僕は全く知識を持たなかった。ただひたすらに強く腰を振ることしかできないのだ。僕は悔しくて泣きたくなった。

 5分後、僕は彼女の中で絶頂に至った。だがその快楽はむなしかった。その顔を見られたくなくて、彼女のおっぱいに顔をうずめた。彼女はいつもと同じように額にキスをして頭をなでてくれた。

「旦那様、何を考えているのかしら」
「……別に」
 僕はぶっきらぼうに答えた。

「じつは、わたしをイカせられていないと思っているの?」
 あんたはエスパーですか。僕は羞恥のあまり言葉に詰まった。
「そんなこと心配しなくてもいいのよ。だってわたし、もう10回近くいっちゃってるんだから」

「えっ?」
 僕はあらためて彼女の顔を見た。どうも嘘をついているようには見えない。
「……本当に?」
「本当よ。魔物娘はエッチなことに関しては嘘をつかないわ」

 彼女は唇に優しくキスをした。
「愛しているわ。愛しの旦那様」
 もう一度、僕らは唇を重ねた。今度は激しく情熱的な接吻を。

※※※

 その後、あらためて僕らは恋人になった。それからはずっと精液を彼女に捧げ続けた。病気にならない限りは毎日5回以上は交わった。そのうち彼女は子供ができたといった。僕はひそかにおののいたが、彼女に似た小さなぬれおなごをみると、ほっとした。どうやら親権云々の話ではなかったようだ。

 子どももまた彼女と同じように男性の精を食料とするそうだ。小さな口で僕の愚息を必死にしゃぶり始めた時は、言いようのない背徳感で胸がいっぱいになったが、精液を口いっぱいに受けて満足そうにげっぷをするのを見たら、なんだか愛着がわいてきた。
 男親は、たいがいそういうものかもしれない。

「旦那様、わたし子どもがもっと欲しいの。頑張って10人くらい作りましょうね」
 彼女は僕をからかうように言った。
「えっ、そんなに作ったら僕はカラカラになっちゃうよ」
「大丈夫、私の旦那様だから、もっともっと精液が出るわ」
 彼女は栄養たっぷりの食事をテーブルに置いて、にっこりとほほ笑んだ。

 プレッシャー!
 でもできる限りがんばるよ。だって愛しの君のためだからね。

 そして僕は彼女と子どものふたりに囲まれて、精液を搾り取られる毎日を、これからずっと送ることになる。僕はそのことに幸せを感じるようになった。
16/06/24 00:44更新 / ZZZ
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