連載小説
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第一話 ザッハトルテ山にて
「ここがザッハトルテ山か···」
城から徒歩で約3時間。車とか無かったのかよ。
ザッハトルテ山とは城からでも見える標高約3500mと言われる高山。
麓ならまだいいが、峠を越えた辺りから雪が降り積もるためかなり寒い。
しかし、その辺りにはまだ発掘されていないお宝などが眠っていると言われる。
だから夏になると雪が溶けるため、こぞって発掘者達が山に集中する。

ちなみに訓練長はいない。代わりに数人の第一兵士が指揮をとっている。
「さて君たち、用意はいいかい?」
第一兵士はしっかりと安否を問うと出発した。

10分くらいたっただろうか。
少しずつだが、冷気を感じる。
まだ、峠は見えない。

30分程か。
一度休憩をとった。
一瞬何かに睨まれたような感覚がしたがすぐに消えていった。

一時間ほどたった。
遂に峠に到着し、見晴らしのよいところについた。
お昼時なので、昼食をとることになった。


何かいる。


人のような、何かがいる。


その異様な空気は第一兵士も、カズも感じ取っていた。
茂みが動き飛び出してきたのは、ヴァンパイアのような姿をした一人の女性だった。
初めはヴァンパイアと思った。しかしヴァンパイアであればわざわざ日光のもとには現れないし、
そもそも人間界にヴァンパイアは生息しない。
となればこの人はダンピールである。
しかしダンピールは温厚な性格で余程の事では襲いかからないというが。
「私·······妹·······奪った········返せ!」
その人は何かぶつぶつと呟き細剣を構え、襲いかかってきた!

「いかん!皆、構えろ!」
カズが叫び、兵士たちは剣を構え、戦闘体制に入る。
「こいつが異形の者か」
「女の化け物なら殺れる!」
「国を脅かす悪魔め、覚悟!」
次々と剣で斬りかかる。が、

ガキンッ!!!

兵士はたった一人の女性に剣を弾かれる。
それどころか次々と兵士が薙ぎ倒されていく。
そして俺のところに近づいて、斬りかかる!

ガキンッ!!!

激しく剣と剣が混じる音が聞こえる。
「っく!」
「見損なったぞ!人間め!」
ダンピールが大きな声で叫んだ。
「な···何のことだ!」
「とぼける気か!」
そんな事を言っていると力負けして強く弾かれる。
「8年前!私の、私の妹を!小さかった私の妹を!誘拐したくせに!」
「ダンピールに知り合いなんていねえ!」
再び剣が混じる。
「レク!この状況はまずい!逃げるぞ!」
カズが負傷した兵士を手当てしながら叫んだ。
「畜生!」
剣を流し払い、すぐさま逃げた。
「待て!また逃げるのか!」

一気に走り去った。ダンピールはもう追っては来なかった。
「一旦城に戻ろう。負傷兵の治療をしなくては」

俺達は城に帰って、王や訓練長に依頼の報告をした。
12/12/04 21:45更新 / 黒影
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■作者メッセージ
こんにちは、黒影です。
今回はバトル的な要素が多くなってしまいました。
次回も頑張って書いていきたいです。

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