連載小説
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長いおはなしあい
何と愚かな奴らだ。
幾度も幾度も同じことを繰り返し、よくも飽きないものだ。その愚かさは尊敬に値するぞ? ―――尊敬など、私は決してしないが、な。
お前達の様な勇者共が幾度もこの地に足を踏み入れ、踏みこんだその数だけ我らは繁栄の一途を辿るのだ。他ならない、お前達のお陰でな。

―――おや、主神に選ばれた勇者とその仲間達よ。何故顔を赤らめる? 事の他勇者―――お前は特に興奮しているな。縄で縛られたのがそんなにも気にいったか? 下種め。
ん? 違う? それは失礼したな。―――ま、この様では幾ら禁欲を極めた聖者であろうとも、欲情するのも無理は無いだろう。―――そら、早く楽になったらどうだ? たった一言、認めれば良いのだ。たった一瞬、受け入れれば良いのだ。この女達の言う通り、今から起こる事を受け入れれば良いのだ。簡単であろう?

自分達は愚かにも魔王軍に挑み、無様にも返り討ちに遭い、哀れにも今から女共の相手を喜んでする―――ただそれだけの事を勇者、お前の口で言ってしまえばいいだけだ。くくく、簡単だろう?

―――見ろ、あの大きなベッドの上でまぐわう二人を。見覚えがあるのではないか? ―――そうさ。お前の大事な大事な友人の勇者ニラフと聖女アリカ、その末路だ。勇者は手っ取り早く打ちのめして、配下のサキュバスが代わる代わる犯した。聖女は……真に不本意ながら私も加わって堕とした。痛かったぞ? 触れるだけで奴に与えられた加護が、私の手を焼いたのだからな。―――ま、加護を消滅させたら覚悟を決めて興が覚めてな。魔女とバフォメットが持っていた「とっておきの媚薬」を一気に飲ませて、後はサキュバスの相手になった。そしたら―――数日後にはああなってた。今では私の良い部下さ。

あぁ―――そういえば勇者、お前には愛しの女がいたな。名は―――何だった? アトラスだったか? カトラスだったか? ―――あぁ、アルトレアとか言ったな、あの女勇者は。予想通りこの地に足を踏み入れたぞ? 結果は散々な物だったが。残念だったな、勇者。旅の目的の一つが無駄になってしまって。―――その詫びという訳ではないのだが、お前の相手をしたいという者がいるのだ。―――入れ。

そら、お前の愛しい愛しい女子だ。今となっては只のサキュバスだがな。サキュバス共に凌辱されている間にも、必死でお前の名を叫んでいたぞ? 愛されているじゃないか? その苦痛は報われ、今この時をこの女は待ちわびていたのだ。お前とまぐわる日をただひたすらに―――な。

―――そうか。漸く理解したか。お前達の我らの間には、アトカースの渓谷の先と谷間程の差があるのだ。それを二日で理解するとは―――ははは、会話のし甲斐があった物だ。

では、ここから先はお前達の時間だ。まぐわろうが舐めまわそうが、精々好きにしろ。

では勇者諸君―――また会う日まで。



「ふぅ、今回も時間がかかってしょうがない」
「おや、漸く出てきたか」
声のした方を向くと、支部長のリリム――カルディアが居た。
「お疲れ様。意外とかかったのね」
「前回に比べたら、まだマシだ」
勇者アルトレアの際には魔女とバフォメットと自作の媚薬を使用、更に二十四時間サキュバスによる輪姦リレーを行い、3日後にようやく堕ちたのだ。
「ふふ、疲れているだろうが早速仕事が入ったぞ」
「……はぁ」
重いため息が出る。二日間不眠で「お話」をしていたというのに。
「依頼主は私、期間は今日一日。私の相手をしてもらうわ〜」
「念の為聞いておく。拒否権は?」
「無いわ♪」
「だろうな」
目の前の銀髪が揺れて、急に深紅の双眸が近くなったな、なんて思っている内に彼の意識はぷつりと途切れた。
「あら……お疲れの様ね。全く、仕方ないわね」
嬉しそうに自らの寝室に男を引きずっていくリリム。その部屋から嬌声が聞こえてきたとか何とか。
12/07/27 21:59更新 / 風見音
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■作者メッセージ
翌日、リリムさんのお顔はてっかてかになっていたとかなんとか。

暑苦しいです。サハギンさんはいらっしゃいませんか?

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