連載小説
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第二話 パラディンの帰還、そして迷走?
亭拉がオアシスにたどり着いてから三日後。
運んでくれたラミアさんの看病のおかげですっかり元気になった亭拉はオアシスの町の長の下につれてこられていた。

他の仮設住居…(住人はテントと呼んでいたな、でもこれ広めのプレハブ小屋位有るぞ!?)…よりも二回りは大きい場所に自分を助けてくれたラミアに巻き付かれながら長の到着を待つ。

???「待たせていたようだな」
お付きの男を一人従え、亭拉が入ってきた入り口とはほぼ対角に有る入り口から長と呼ばれる魔物が入ってきた。

???「私はこの町の長をしているラミー、隣にいる男は私の伴侶のリネンだ。」
ラミーと名乗ったラミアの言葉を聞いて知識を検索する。
あのジジイからもらった知識は確かに量は多いが知りたい知識をいちいち検索しないと思い出せないのが難点だな。

魔物
【魔物は人を殺し、人を喰らう】
【魔物は人を堕落させる】
【魔物と人との子は魔物しか生まれない】
【いずれにしても魔物は人類を破滅に追いやる絶対悪である】

と、言うのが元教団の教えか。
しかし実際は…

【その多くが魔王の配下である】
【殆どの魔物は人間の女性の姿をしている】
【性欲旺盛である(個人差はある)】
【人間の男性の精をエネルギー源にしている(必ずしも必要とは限らない)】
【形の違いはあれ魔物は人間の男性を愛している】

他にも色々有るだろうがこの辺にしておこう。

ラミー「…ぅわけなのだが、何か質問はあるか?」
どうやらあれこれ考えている間にも話は進んでいたようだ。

テイラ「全く聞いてなかったが質問はある。」
サラリと答えた亭拉にこめかみをヒクつかせながらも“言ってみろ”と答えてくれる、この長は統治者としての器は大きいようだ。

テイラ「魔物は男の精を得るために少々強引な手段を使うらしいが、俺は何故襲われていないんだ?」
検索した知識やSSからすると“寝ている間に既成事実”は割りと良く使われている手のようだが。

???「だってあなた捻って搾ったって一滴も精を出してくれそうに無いくらいカラカラだったんだもん」
亭拉に巻き付いたラミアが少しいじけた様子でそう答える。
サラリと怖いこといってる気がするがきっと気のせいだろう。

ラミアA「でももう大丈夫そうだし〜 ♥ 」
ラミー「その子の旦那になってもらおう、という話をしていたんだよ。」
二人のラミアが妖しく笑うと場の空気が変わる。

テイラ「助けてもらったことは感謝するが、そいつはできない相談だ。」
『はじまりのむら』でエンディングを迎えるRPG何て笑えないしあのジジイのにやけ顔が頭に浮かんだことが何よりも許せん!

ラミー「この状況で断れるとでも思っているのか?」
拒否権はないとばかりに自信満々でいい放つラミアの長。
ラミアAも締め付けを強め力の差を思い知らせようとしているかもしれない。

(なるほど、この状況じゃなきゃ断れるのか)

その場ですくと立ち上がる。
突然の事に巻き付いているラミアAさんがよろけるが二人のラミアは以前余裕の表情だ。
ラミアAは絞め落とさんばかりにギリギリと巻き付いているらしい。

仮にも命の恩人である彼女には悪いが振りほどかせてもらおう。

怪我をさせないように細心の注意を払いながら体に力を込める。




ビキッ、ブチブチッ!ゴキンッ!!


テイラ「あっ」
リネン「それいじょういけないっ!」

ゴメン、無理でした。

ラミアA「があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
恐らく下半身の筋を数ヶ所引きちぎり脱臼のおまけをつけてしまったようだ。

顔から出るもの全部出しながらビクンビクン体を震わせるラミアAに罪悪感を感じつつも話を進める。

テイラ「俺の旅には目的があるしなにより…」
冷や汗をかきながらも精一杯平静を装いつつ胸元から有るものを取り出す。

ラミー「それは!」
リネン「まさか、こんな事が…」
キラリと輝く銀十字に金のレリーフ

テイラ「主神の神託を受けし教会の『上級聖騎士(パラディン)』亭拉 明、こんなところで旅を終わらせるわけにはいかん!」
ラミアA「ま゛ま゛ぁ゛〜、ばばぁ゛〜…エグッ」
胸を張りキリッと言い放つ。

服装が冒険者ではなく足元にあまりの痛みに幼児退行したラミアが居なければすごくかっこよかった気がします。

ラミー「教会の騎士が砂漠で野垂れ死にかけるとは、この長の目をもってしても見抜けなんだわ。」
リネン「教会の騎士とは言え、これが命の恩人に対してやることですか!?」
二人して別の角度から精神攻撃を仕掛けてくる。
なるほどさすが夫婦だ、爆発しろ。









テイラ「正直すまんかった…」
そう言うと亭拉は右手をラミアAにかざす。

テイラ「負傷の否定!」
ジジイに要求した二つの魔法の内の一つ、【否定魔法】
今回の場合怪我をした事実を否定し、怪我をしなかったことにできるはずだ。
本当なら迫り来るドラゴンの業火を否定するなどして格好良くお披露目するつもりだったのだが、今回は自分にも責任がある。
仕方ない仕方ない。

ラミアA「いぎいぃぃぃぃぃ!!」
ラミアAの下半身の筋断裂でへこんだ場所や内出血で膨らんだらしい(鱗で良くわからない)場所が時間を巻き戻すかのようにもとに戻っていく。
どうやら巻き戻る際に負傷した時の痛みを再体験するみたいだ、覚えておこう。

痛みに震えていたラミアAが我に返り怪我がなおっていることに気づく。

どうでもいいが暴れまわったせいで片乳出てるぞ。

リネン「怪我を、治してくれたのですか?」
若干頬を赤らめながらも長の伴侶が問う。

テイラ「助けてもらったことは感謝してるし、怪我をさせたことは悪いと思ってるからな。」
軽く目を閉じ、頭を掻きながら答える。
ラミアAは片乳丸出しの事実に気付き慌ててしまおうとするがうまくいかないようだ。
結局もう片方も跳び出してしまった。

ラミー「教会の騎士が簡単に魔物に謝罪するとは、一体どういう風のふきまわしだ?」
目を閉じ俯き加減で聞いてくる。
たしか教会は魔物に関して【見敵必殺】らしいから長の言いたいことはわかる。

とうとう胸に巻いていた布を一旦外し、巻き直そうとしていたラミアAも心配そうにこちらを見てくる、
良いからその82のFカップしまえよ。

テイラ「人々に正しい道を説くのが教会なら悪いと思ったら素直に謝るのが筋だろう?少なくとも俺はそう理解している。」
ここまで言って一呼吸おくと表情を真剣にもどし言葉を続ける。

テイラ「それに騎士じゃない、【上級聖騎士(パラディン)】だ、主神の神託に関わらない限りわざわざ殺そうとは思わんよ。」
この世界の魔物の知識を検索した際、教会の教え通りの絶対悪でないことがわかってからはどうにも魔物を殺すという気が起きない。

そこまで聞くとラミーとリネンは黙ってしまい、ラミアAもだらりと腕を下ろしキョトンとこちらを見ている。
全く、丸くて柔らかい乳が布切れ一枚で簡単に収まるわけないだろう。

布切れ ?

ここで疑問に思い知識を検索。

やっぱり無いようだ。

テイラ「なぁ、ブラジャーって知ってるか?」
三人「「「ぶらじあ?」」」









三日後

あれから直ぐに布と裁縫道具を借り長とラミアAにブラジャーを作ってやった。
【失敗の否定】を自分にかけてるとはいえもとの世界の取引先で女性下着を作っている会社があって助かった。

その後出来上がったブラジャーを気に入った長から作り方を教えてほしいと頼まれ、旅に必要な物資と引き換えに了承。
ついでに町の女性を集めブラジャーの必要性、正しい着用の方法、正しく着用した際の猫背の矯正効果、肩こりの軽減、そして一番反響の大きかった【最悪の事態 『垂れる』】の抗議の後手先が器用な数人の男女に作り方を教えて今に至る。




あれ?
俺何しにここへ来たんだ?
13/01/27 02:23更新 / 慈恩堂
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■作者メッセージ
どうも、慈恩堂です。

前回は貴重なお時間を私の物語に割いていただき誠にありがとうございます。
早速第二話をあげさせていただきました、前作共々ご指導ご感想をいただければ光栄です。

今回のお話の結論としては…

「物資が増えるよ!」

「やったねテイラちゃん」

え?3000字も使って話が進んでない?
ちゃんと進めてますよ、間違った方向に(ニヤリ)

登場人物紹介

ラミアA
ヒロインだと思ったか?モブだよ!
砂漠から命からがらたどり着いた亭拉を見つけて看病してくれた心優しきラミアの女性。
ミイラ同然の男に襲いかからない良識はある。
【以下図鑑参照】

ラミー
オアシスの町の長
オアシスが有るとは言え資源の少ない砂漠で町を維持できるのは彼女の手腕が大きい。
ラミア種の中では大柄な部類に入り、胸のサイズも余裕のIカップ。
作中で容姿に関する描写が無いのはテント内が薄暗いせいである。
砂漠のラミア種にしては珍しく、旦那とは恋愛結婚である。
名前の由来は麻の生地「ラミー」

リネン
ラミーの旦那
元砂漠の商隊の一員
ラミーに会うために何度も命がけの砂漠越えに志願し見事ゴールイン、もげろ
愛するラミーのために昼も夜も積極的にサポートを行う、爆ぜろ
因みに夜は「攻め」である、掘られろ

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