読切小説
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癒しと惚気は紙一重
「んぅ……ん。ふふ……♪」
ようやく取れた久々の休暇。
その様な時だからこそ、愛しの我が家で愛しの伴侶と一緒に、日がな一日リビングでだらだらごろごろと過ごしたいと思うのは、至極当然のことだろう。
そんな穏やかな昼下がり、アマゾネスの彼女‐スピナと並んでソファーに座っている訳なのだけれど、
「ん…?ぁ、そ、そんなに見つめられると、恥ずかしいじゃないか……」
いや、もうね、堪んない。
彼女より俺の方が身長は高いので、自然、座ったときもこちらが見上げる形になる。
つまり何が言いたいのかというと、現在進行形で眉を八の字にして頬をほんのり朱く染め、上目遣いでこちらを見つめてくる彼女を堪能出来るという事だ。
基本アマゾネスは皆その攻撃的な習性からか、勝ち気そうな、鋭い双眸をしている。
その例に漏れない彼女なのだが、性格はいたって穏やかだ。
自分から俺を襲ったり、家事炊事をまかせっきりなどといったことは、アマゾネスという種族からすれば奇跡に近いほど全くない。
まぁ、その見た目とのギャップに俺は心底撃ち抜かれてしまったわけなのだが。
ともあれ、そんな彼女がこんなに儚気で不安そうな視線を向けているのだ。
愛しく思わない訳がない。
「もースピナ可愛すぎ。罰として頭撫でまくってやる」
「わふっ?!い、いきなり、何…を……ぁ……、………♪」
「かーわいーなーもう。どのくらい可愛いかっていうと可愛いくらい可愛い」
「ぅぅぅ、そんなに可愛い可愛いっていうな!意味も、分からないし……」
「んー?意味も分からないし、何?」
「ぅ、うるさい。…ん、いいから、そのまま……、……♪」
最初こそ何事かと慌てふためいていた彼女だが、気持ちよさそうに目を細めながら体重をこちらに預けている。
人間の性、と言っても詭弁にしかならないだろうか。
ここまで極楽顔をされると、逆に悪戯心が沸々と沸き上がってくる。
そういえばいつかは忘れたが、スピナの角に偶然触れたとき、大分色っぽい声が出ていたことがあったな…。……これだ!
「はふぅ……。ぅひゃぁ?!つ、角はぁ……やめ、てぇ……♪」
そう言って彼女は、両目をとろんとさせたまま、どこか嬉しそうにこちらを見上げてくる。
涎までたらしおって、愛いやつじゃのう。
しかし本当に当たるとは、俺の海馬も中々捨てたものじゃないな。
そしてここらでアクセントに、撫でるだけでなくひっかきも採用してみる。
「ふぁ……ぁ、ぁ……♪は、ひぅ?!……ぅぅ……くぅうん♪ひ、ひっかかないれぇ…♪」
なんだろう、この弱点がわからない敵に読みで放った技がクリーンヒットしたときに似たこの快感は。燃えてきたぜぇぇぇぇ。
「お、そうかそうか、これが好いのか?」
カリカリ。
「はひゃぁぁ……らめぇぇぇ♪」
コリコリ。
「ぁ、ぃ、ぁぁ……しょこぉぉ……♪」


÷ + ÷ + ÷ +


「ふふふ……♪どうしたんだぁエッジぃ……♪手の動きが止まってきてるじゃないかぁ♪」
不純な動機から彼女の頭や角の愛撫を続けて早一時間。
…うん、正直言って、やり過ぎました。
依然として潤んではいるけれど、目は据わってしまっているし。身体はというと、こちらに完全にしなだれかかって腕を回しているし。
なんか状況的にも彼女の発言的にも、逆に俺が襲われてる雰囲気になってないか?
「ふふ…別にもっと罰をくれても構わないんだぞ?くれるのが大好きなエッジなんだからなぁ♪」
そう来たか…嬉しいことを言ってくれるじゃないか。
こうなってしまったのは確実に言い逃れようもなく俺が悪乗りしてしまったからなのだが、こうなれば自棄だ。とことん撫でまくって喘がせまくってやる。
「フッ、いいだろう。その発言、後悔させてやるからな?」
「望むところだ♪」



そんなこんなで、今日本日この日、彼女の頭を三時間五十二分もの間、撫でに撫でまくるという謎の大記録を打ち立てたのだった。

まあなんにせよ、今日も我が家は平和です。

14/10/23 19:49更新 / ぎんとんぼ

■作者メッセージ
高3のいつかに書いた読み切りの加筆修正版でした。
いかがだったでしょうか。
これを書いてる間が楽しくて楽しくて仕方がない自分がいて、自分の変態指数の高さを恐ろしく思いましたね。
みなさんはどんな形で魔物娘たちをいぢめたいですか?

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