読切小説
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魔物娘のいいトコ悪いトコ
人間(♂)「はい、じゃあ全員に紙とペンは行き渡ったかな?」

ホルスタウロス「行き渡ったけど……私たちを集めて紙とペンを持たせて、何をするの?」

アラクネ「大喜利かしら」

オーガ「これで戦えって事じゃねーか?」

サンダーバード「で、勝ち残った奴が彼を独り占めってわけ?」

アルプ「へぇ〜、楽しそうだね」

ドラゴン「上等だ。全員マッハで消し炭にしてやろう」

人間「違ぇよ! こんな狭い部屋でバトルロイヤルなんてしたら、誰よりも先に俺が消し炭になっちゃうよ!?」

アラク「なら、何なのよ。私達だって暇じゃないのよ?」

オーガ「夫探しとか、逆レイプとか忙しいんだぜ」

一同「「「そーだ、そーだ!」」」

人間「やかましい。要するに暇なんだろうが」

ドラゴ「他の連中は知らんが、私は本当に忙しい。場合によっては帰らせてもらうぞ」

アルプ「あれれ? 『高潔な』ドラゴン様ってば、もしかしてこれから始まるゲームで勝つ自信がないのかな?」

ドラゴ「……何?」

アルプ「エラソーな事言ってるけどさ。ホントはボク達に勝てないって悟って、逃げようとしてるんでしょ?」

ドラゴ「………ほう、いい度胸だな貴様。淫魔如きが私を倒せると? ―いいだろう、一撃でその首を落としてやる」

サンダ「いいぞ〜!」

アラク「アルプに500G!」

ホルス「け、喧嘩はいけませんよっ」

人間「その通りだ。やめろ馬鹿ども」

サンダ「えー? だってつまんないんだもん。煽りでもしなきゃ、やってらんないよ」

アラク「お小遣いも欲しいしね」

人間「ええい、金を賭けるな! いいか、今日集まってもらったのは他でもない。その紙に、他種族のいいトコと悪いトコを書いてもらうためなんだ」

ホルス「どうしてですか?」

人間「さっきのやり取りを見れば分かるだろう。お前らは仲が悪いな」

オーガ「仲が悪いっつーか、皆ドラゴンが嫌いなだけ―」

人間「と、とにかく! こうやって、お互いの長所や短所を見直してもらおうと思ってるわけだよ俺は」

アルプ「……ふーん。ま、とりあえずやってみようか。面白そうだしね」

ドラゴ「この紙に収まりきれば、幾つでも書いていいんだな?」

人間「阿呆、一人に対して書けるのは一つだけだ。あと、いいトコもちゃんと書けよ」

サンダ「いいところって別に必要なくない?」

人間「そこはね、まぁフォローもしないとさ」

ホルス「名前はどうすれば?」

人間「それは書かなくていい。匿名じゃないと余計にギスギスしちゃうからな」

アラク(ま、どうせバレバレになると思うけどね)



   〜〜〜



人間「そろそろ30分くらい経つが、書き終わったか?」

オーガ「OKだ」

ドラゴ「問題ない」

サンダ「同じく〜」

人間「よし。えー……それじゃあ発表する。………が、その前に、これはあくまで信頼関係向上のタメで、ケンカを売る会ではない。あまり敵意は持たないようにな」

アラク「分かってるわよ、そんな事」

アルプ「早く読んでよー♪」

人間「へいへい、じゃあまずはホルスの悪いトコから。覚悟はいいな? いくぞ」

ホルス「お、お手柔らかに……」

人間「『オッパイでかすぎ』」

ホルス(いきなりセクハラ!?)

人間「『胸部が大きい』『時々ビーチク見えてる』、あと二つ……『オパーイが犯罪レベル』『胸もげろ』。以上」

ホルス「もげろ!?」

人間「そ、それじゃーいいトコ言うぞ! えーと『ミルクが美味しい』『原種に似てない』。後は……『オッパイでかすぎ』」

ホルス「ちょっと、私の存在って胸だけなんですか!?」

アルプ「しっ、知らないってば!」

オーガ「アタシたちに言うなよ!」

人間「落ち着け! じゃあ次、ドラゴン行ってみよう」

ドラゴ「……中々に緊張するものだな」

人間「ドラゴンの悪いトコは、え〜っと……………ぜ、全員『やさしすぎる』だってさ!」

ドラゴ「それ見たことか、こんな茶番やる必要なかったなぁ!」

アラク「そんな事書いてないんだけど」

サンダ「ちゃんと、真面目にやろうよ……」

人間「さー、次行ってみよぉーっ!!」

ホルス「誤魔化した……」

人間「んじゃアルプの悪いトコ!」

アルプ(ドキドキ)

人間「えーと、『女としての品がない』が3つ」

アルプ「ひどっ………!」

ドラゴ「なんだ、こっちを見るな」

アラク「決めつけはよくないわよ」

人間「あと二つは『インキュバスなり損ない』」

アルプ「それ、仕方なくないかな?」

人間「いいトコは『男みたいで惚れそう』『図鑑の絵がいい』」

アルプ「へぇ、何かマトモ―」

人間「………『初めて会った時グッときた』『胸が男っぽくて好き』『ヤらせろ』」

アルプ「―じゃなかった………変態共め」

オーガ「だっ、だから何でコッチに言うんだ!? 失礼なっ!!」

人間「さてと次、サンダーバード行くぞ」

ホルス「この人(?)は問題ありますよね」

ドラゴ「大問題だな」

人間「まずやなトコ。『自分の電気で感電する』……『間抜け』、『ビリビリ鬱陶しい』『笑みが下品』……『脳内お花畑』」

サンダ「ぐっ」

人間「………『トリ頭』」

サンダ「ッ!? ……オイお前か!? お前かぁー!?」

人間「おいおい誰が書いたかはナシだ!」

サンダ「ハーピー属なのは関係ないでしょーが!?」

オーガ「ひどいヤツいるな」

アルプ「まったくだね」

人間「ホラホラ、サンダーバード。お前のいいトコ読んでやるぞ!!」

サンダ「うううぅ……」

人間「……………あ、ないや」

サンダ「なッ!」

人間「あー、あったあった! 1コあった!!」

サンダ「な、何!?」

人間「『空を飛べる』」

アラク「あ、それ私」

サンダ「…………」

人間「よぅし、次オーガ行くぞ」

オーガ「いや、アタシはいいよ。そんな嫌われることしてないし」

ドラゴ「何だ、今さら自分だけ逃げると?」

アルプ「それとも、みんなからどう思われてるか知るのが怖いのかな?」

オーガ「うるせぇ! お前達からどう思われてようが、知ったこっちゃねーんだよ!」

人間「じゃあ行くぞー」

オーガ「お、おうっ!」

人間「『バカ』」

オーガ「……………そいつ、それだけ?」

人間「それだけ」

オーガ(う〜ん………)

人間「次、『低脳』『戦闘狂』」

オーガ「うっ、ぐぅ……」

人間「あー………『シュレック』」

オーガ「!? だ、誰だ!? ンな事書く奴ァー!!?」

ホルス「わ、私じゃありませんよっ!」

オーガ「オイ、蜘蛛! てめぇか!?」

アラク「さぁね」

                          ドラゴ「……!」バッ

ホルス「あっ、ドラゴンさんが窓から逃げた!!」

一同「「「何っ!!?」」」

オーガ「あの野郎! てめーいつも偉そうにしやがってウゼーんだよ! バーカバーカ!!」

サンダ「アイツけっこう書くね……」

アラク「面と向かって言えないしね」

オーガ「クソッ。………んで、最後の一つは?」

人間「あ? お、おう。えっとだな」

オーガ「…………」

人間「『ジャイアン』」

                          アルプ「……ッ!」ダッ

サンダ「ああっ、アルプも逃げやがった!!」

ホルス「さぁ、早く彼女のいいトコを言ってあげて下さい!」

人間「よし、任せろ! ……『なし』、『なし』、『なし』、『なし』…………」

オーガ「……アタシを哀れと思うなら、今はただ、泣かせてくれ………」

人間「待て待てっ! あった、いいトコあったぞ!」

オーガ「?」

人間「『根はけっこう優しい』」

アラク「私よ」

オーガ「ぐあああああああアラクネー! アタシと結婚してくれぇー!!」

アラク「フフフ、そうでしょう? ウフフフフッ」

オーガ「いや〜、アラクネ。やっぱオマエ、最高だぜ。今すぐ交わろう」

アラク「私そっちの趣味はないけれど、今はそれでもいい気分よ」

人間「じゃ、じゃあそのアラクネの、行こうか」

アラク「どうぞ? 今の私は、何を言われても全く動じない自信があるわ」

人間「えー、『変な等身』『なんとも言えない等身』『裁縫得意っていうのが似合わない』『あまり一緒にいたくない』」

アラク「フッ、今更その程度……屁でもないわよ」

オーガ「さすがアタシの嫁! 強いなオイ!」

人間「『生理的に受け付けない』」

アラク「………」

ホルス(あ、ちょっと効いてる)

サンダ「それ言っちゃマズいんじゃ……」

オーガ「アルプだ! アイツこの前そんなような事言ってたぜ! チクショーあのガキ、アタシの嫁を〜!」

アラク「うぅっ……」

オーガ「ヘイ、カモォーン人間!! 早くいいトコで嫁をいつもみたいなクール&ビューティーにしてやってくれー!(アタシ的には涙目の嫁も捨てがたいがな)」

人間「オ、オウッ! じゃあ行くぞ!」

オーガ「オッケーィ!!」

人間「『なし』!」

オーガ「ラミアッ!!」

人間「『なし』!」

オーガ「バフォメっ!!」

人間「『なし』!」

オーガ「イグニッ!!」

人間「『なし』!」

オーガ「ジンコっ!!」

人間「さぁ、ラス1だ!」

オーガ「おっ、それはアタシだ! アラクネアタシんだ、ちゃんと聞いてくれよ〜?」

アラク「わ、分かったわ。何か照れるわね……」

人間「じゃあ言うぞ」

オーガ「頼むぜっ!」

人間「『なし』」

                          オーガ「……っ!」ダダッ

アラク「……………」

サンダ「ねぇ、この『生理的に受け付けない』ってのも、オーガの字じゃない?」

ホルス「あ、本当ですねぇ……」

                          アラク「……もう何も信じない」ピョン

人間「うわ、窓から飛び降りた!?」

サンダ「……じゃなくて、あなたは何か言うべきことがあると思うんだけど、どう?」

ホルス「辞世の句ぐらいなら聞いてあげられますよ」

人間「え、ちょ」

ホルス「分かりました、『え、ちょ』ですね」

人間「………あの、ホンット〜に、ごめんなさい」

サンダ「もう遅いわ! ふざけんなクソ野郎、よけい仲悪くしてどうするんじゃぁー!!」

人間「いやいや雨降って地固まるって言うし、ここから伝説が―ぎゃあああああああっ!!!」




-終-
14/02/22 13:46更新 / シフ

■作者メッセージ
まず、これが二番煎じだった場合はごめんなさい。
一応チェックはしたつもりですが、もし「被ってるよー」という人がいたら一報下さい。削除しますので。

魔物娘たちの性格は、なんとなく図鑑を参考に書いたつもりですが、かなり崩壊してますね。
特にアルプ。

思いつきでやっちゃいましたが、……パロディって難しいんですね(遠い目)
もっと精進したいと思います。

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