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第1話 お引越し

ぼくの名前は篠原 幸造。
本日、ここ○○都の綾家市に引っ越してきた。
引っ越してきた理由は大学が県外だったからという理由だ。
うん。普通の理由だ。

だから、一人暮らしになるんだが。

「こ〜ぞ〜。尻尾が気持ち悪い・・・。」

この子は幸(さち)。
元々は拾った猫だったが、実は前世から追ってきたネコマタだったんだ。
と言っても他の魔物と違い、性的なことに無知極まりない。
更にそのような行為は行ってこない。純情ってやつなのかな?

現在は恋人関係になり、ラブラブ未満な状態を保っている。


前置きはここらにしておき、恋人である以上、実家に置いておく訳には行かず
でも、ペット禁止のアパートなので人に化けた状態で
これからは生活をしてもらうことになった。

でも、実家では昼間は常に化けてたから案外平気なのかな?

外ではネコマタとばれないように、帽子着用と尻尾を服に潜ませることを絶対とした。
慣れないからか尻尾が背中を擦り気持ち悪いらしい。

「ねぇ、ここじゃない?」
「ん?」

なんだかんだ話をしているとアパート前についた。
格安で築年100年って書かれていたから心配したがぜんぜん大丈夫そうだ。
見たところ築年5年ぐらいっぽい。住所も間違ってない。
0を1つ多く書いてしまったのだろうか?

さっそく、メールに書いていたように1階の大家の部屋を訪ねる。

「いるかな?」
「・・・いるでしょ。」

ぴんぽ〜ん

「は〜い。」

部屋から女性の声が聞こえた。
どうやらいるらしい。

「はいはい。どちらさまですか?」

ドアからは長髪の眼鏡をかけた女性が現れた。
それを見た幸はいきなり吹き出す。

「どしたの?」

大家も幸の顔を覗くが一気に顔が青ざめる。

「あっはははははは!!
築100年の意味がわかった!」
「へっ?」

幸は大家に手を振りかざす。
僕の顔に謎の圧力がかすったが、その圧力は大家に降り注いだ。
だが、そこにいたのは先ほどまでの大家では無かった。

「こ・・・の・・・猫・・・がぁ〜。」

大家は下半身が蛇状になり、淫妖な姿を露わにした。
幸は笑ったままだった。

「よわっ!!本当にエキドナ!?」
「うるさいっ!」

ゲラゲラと幸は笑っているが、僕は未だに理解できず。

大家は僕に振り向き手を取る。

「例の人ね。お待たせしました。
大家の江土 蛇瑠魅(えど いるみ)です。
さっ、どうぞ。」

と、幸を置いて僕を部屋に招き入れる。
幸は爆笑して周りが見えてないっぽかった。



「コーヒー飲める?」
「あっ、はい。」

魔物の部屋と最初はビクビクしていたが、案外人間とは変わらず
逆に人間より綺麗に見えた。

目の前のコーヒーはちゃんと香り立ち、高級品を使ってることがわかる。

目を回して見ると、一枚の写真が飾られていた。
その視線に気付き、照れ顔を浮かべた。

「夫さんですか?」

その写真には蛇瑠魅さんと一人の男性が写っていた。

「いいえ。元夫よ。」
「え?」

蛇瑠魅さんは写真を持ち、抱きしめた。

「今でも大好きだけどね。」

僕は喉を詰まらせ声が出なくなった。
地雷踏んだ。殺される。食べられる。
未だに魔物への恐怖心は抜けず、怖気づいた。

「ふふ。怖がらないでよ。
別に食べたりしないし。魔物も人間と同じよ?」

蛇瑠魅さんは写真を直し、再び腰を下ろした。

「私ね。不妊症なのよ。
でも、病院は人間用だから行けないし、だからと言って
動物病院に行くのもお門違いって。
彼は構わないと言ったけど、私は子供が欲しかった。
公園とかに行くと子連れの方は、沢山いた。
私は次第に鬱症に近いものになり、彼に離婚を告げたの。」

軽く彼女は言ったが、僕には重々しくて、いつの間にか涙を流してた。

「ふふ、不思議な子ね。
でも、安心して。彼とは今でも連絡取り合ってるし、仲も良好よ?」

僕はその事を聞き、どこか安心したのだろう。
再び涙を流し、蛇瑠魅さんに笑われた。

「で、入居の話よね。」

一気に本題に戻され、僕は涙を拭いた。
そして、蛇瑠魅さんは鍵を2本渡してくれた。

「108号室。隣の部屋よ。
祝☆第一入居者。よろしくね、え〜と・・・」

僕は自己紹介を忘れていたのを気付き、慌てて名乗る。

「篠原 幸造です。
よろしくお願いします。」

僕は手を差し伸ばし握手を求めた。
彼女は快く、応じ手を握ってくれた。

「よろしくね。幸造くん。」


用も済んだので見送られながら外に出てみると、幸は息切れするまで笑っていた。
僕は幸をひこずりながら、108号室に荷物を置きに行った。

部屋は特に汚くなく、伸び伸び出来そうだった。

だが、とりあえず日も暮れてきたので、僕はアパートを後にし、
幸を連れて、スーパーに買い物をしにいくことにした。

そこでも、問題が起きるとは誰も考えるはずがない。
----続く----

12/06/18 23:06 ゼブル

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遅れてすみませんm(_ _)m
早速、ヘビーな話が続きますがもうしばらくお付き合い下さい。
[エロ魔物娘図鑑・SS投稿所]
まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33