連載小説
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MCテンタクル
 マインドフレイアとして生を受けて、もっと言えば現魔王の影響を受け、魔物娘となってから幾度の時が流れただろう。
 数多の村と町、果ては国でさえも私の力を以てして堕としてきた。
 私によって眷属へと生まれ変わったものたちは、皆幸せそうに蕩けた表情を浮かべ、交わる。
 幾星霜の流浪を続ける私とは違う。確かな安住の地で、大地に根を張り、幸せを育んでいる。

 幸せそうな彼女たちの顔。それを見れば、私も幸せになれるような気がした。
 胸が温かくなるこの気持ち、それを幸せというのであれば、確かに私は幸せだった。
 だけどその温かみのあとに残るのは空虚だけだった。
 幸せになることはできた。でもそれは一過性のもの。私の胸には何も残らない。

 彼らはずっと幸せになった。だけど私には、何故彼らが幸せなのか理解できないでいた。
 男女の交わり。快楽に堕ち乱れる、愛するものとの淫蕩の日々。
 それらが彼らを幸せとするもの。知識では知っていた。脳には刻まれていた。
でも、本能としては識らなかった。その感覚が真に私のものとして理解できなかった。

 私は求めることができなかった。

 だから私は今日も流浪の旅を続ける。

 凍てつく胸に一瞬の小さなかがり火を灯すために。

 いつか私が根ざすことのできる大地を求めて。
第一話「心を犯す脳姦」15/08/03 23:31
第二話「愛を犯す脳姦」15/08/30 17:59
第三話「触手を犯す脳姦」15/08/30 18:00
最終話「時を犯す脳姦」15/08/30 18:01

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