読切小説
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俗にいう悪い魔女の仲間入りをする少し前の出来事
気がついた頃には奴隷だった。
周囲には私と同じ境遇の子供ばかり。
商人は私たちを鞭で打った。
口答えすればご飯を抜かれた。
衰弱していく子供もいた。

暫くして私は買われた。
相手は老人だった。
商人はニヤニヤと笑っていた。

「よかったな。枯れた老人なら無茶なプレイはできないだろうさ」

このとき、私自身もそう思っていた。

しかし――







「やめてください!こんなことして何になるっていうんですか!!」

「その顔は何だ! その眼は何だ! その涙は何だ! その涙で魔法使いになれるか!?」

待っていたのは拷問のような毎日だった。

天井にぶら下げられ、回転に耐える。

岩を砕くまで蹴り技の修練。

真冬の滝の流れを断ち切るまでチョップ。

馬車で追いかけまわされる。

尖らせた丸太の振り子を受け止める。

金属のブーメランをぶつけられる。

馬車で追いかけまわされる。
etc……





「リオン、何をぼーっとしている?」


しかし、その甲斐もあって今では立派なダークメイジとなった。


「いやぁ、昔のことを思い出しまして。弟子として感謝してるっす」


余談だが今でも馬車を見るとビビる。


「お前のことは実の娘のように思っているよ」


何度かぶっ殺してやろうかと思ったが師匠には感謝している。


「照れるぜ」


だからさ……


「で、いつになったら孫の顔をみせてくれるんだ?

「……………………」

「というか、結婚しないのか?

「……………………」

「そろそろ28だろ?いっそ100歳超えれば一周回って相手も見つかるが、30〜80くらいは中々厳しいぞ」

「いや、出会いがですね……時間もないし……」

「だからリオンがダークメイジになってからは修行時間も最低限にしてるだろ」

「ははは……まぁそのうちに……」

「いいか?昔から言っているが私はもうじき死ぬ。だから魔法の技術を誰かに託したくてお前を育てた。私が死んだらリオン、お前は一人になってしまう。私はそれが嫌なんだ。安心させてくれよ」


む、胸が痛てぇ!!
でもさ、これまで田舎で修行しかしていなかったんだ。
ベッドで好きな子の妄想をするような年ごろに、私はひたすら滝に打たれていたんだ。
貴族の娘が馬車に乗って社交界デビューする頃、私は馬車に轢かれないように必死でダッシュをしていたんだ。
気がつけばアラサー処女ですよ。
男捕まえるとか、素手で熊捕まえろと言っているようなもんだよ。

無理だろ!普通に殺しちゃうだろ!!


「ま、リオンは遊ぶことを知らないからな。少しは悪いことも教えるべきだったかな……だから、ほら」

「……なにこれ」

師匠の手には札束が握られている。

「ちょうど山を下りたところに奴隷商が来ている」

は?

買ってこい

何を?



何のために?

結婚相手

「……………………」

「……………………」

はぁぁぁぁぁぁああああああ!!??

舐めとんのかこいつは!?

「いや、待て。理由はいくつかある」

「……納得いかなかったら師匠といえどぶっ飛ばすからな」

「まず、お前はショタコンだ

「……なんで知ってる?」

「というか異性の大人が怖いだろ」

「否定はしないよ。こちとら田舎暮らしだし、周囲には枯れた老人とその枯れた友達しかいないし。ファッション古いと言われたら立ち直れない自信がある

誰が枯れ木だコラ。……んで、その手の連中は目が肥えていない年下にはしる傾向がある」

「傾向だけでショタコンと断ずるのは早計では?」

「お前の魔法研究資料棚の隠し扉、3分で突破できたぞ。ええっと確かそこには――」

そこには私が趣味で書いていた小説やイラストが――

「わかった!ショタコンは認める!!だからもう言わないで!」

「じゃ、簡潔にいこう。力仕事のできないショタの奴隷は安い。だから買う。OK?

OKじゃねぇよ。なんで買うのが前提なんだよ。街で元気なショタっ子とぶつかって『ぼく、大丈夫?』みたいな素敵な出会いがグヘヘ――」

「リオン、お前が子供に話しかけるのは最早犯罪だ

犯罪

「でも、相手が奴隷なら許されるんだ」

「……娘のように思っている割にボロクソすぎない?」

「とにかく、見るだけ見てこい。買うのは気に入った子がいたときでいいから」

「……そこまで言うなら行くけどさ……」

師匠の手から札束をひったくる。

いいか、売り物の子供以外に手を出すなよ?

信用なさすぎだろ!!





その後、リオンは偶々奴隷市場の視察に来ていたショタ王子に一目ぼれし誘拐するのだが、それはまた別の話。
18/07/11 01:28更新 / 幼馴染が負け属性とか言った奴出てこいよ!ブッ○してやる!

■作者メッセージ
最悪のヴィランが野に放たれた瞬間。

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