降りしきる豪雨の中一組の親子が増水した川の中に落ち、母親らしき人は子どもの手を強く握っていた。

　「カルア！！！！手を離さないで！！お母さんが助けるから」叫びながら子どもの手を握る母親だが、母親を支えていた木が今にも折れそうになっていた。

　「母さん・・・・・母さんの子でよかったよ・・・本当の子どもじゃないのに・・・・・嬉しかった」

　「！！！何言ってるの、弱気にならないで！！！絶対助けるから！！！」そう励ましているが、手に力がなくなってきていた。

　「母さん・・・ありがとう・・・今まで育ててくれて」そう言うと子どもは母親の手を離し濁流へと消えていった。

　「嫌〜〜〜〜！！！カルアだめ！！！！カルア！！！カルア！！！！！！」母親の叫びは濁流の音と共に聞こえなくなっていた。

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　　　　　　　　　　　　　　　「バフォ様の寝室」
　　　　　　　
　「カルア・・・・・カルア・・・・・駄目！！！いかないで！！！」

　「フォ・・・・・・バ・・・・・・・フォ・・・・バフォ・・・・様・・・バフォ様しっかり！！！」目覚めたら、そこは濁流もない、雨に打たれることもない暖かい寝室だったそして、そこにいたのは付き人のミキシーだった。

　「夢か・・・・」この季節になると、いつもこの夢を見る。自分がまだここに来る前のことを・・・・・・

　「バフォ様。またあの夢ですね・・・・・」グラスに水を入れるミキシー

　「そうじゃ・・・・わしが、まだ人間界にいたときじゃ・・・」窓の外を見るバフォ様その表情は暗く悲しかった。

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　　　　　　　　　　　　　　　〜八年前〜

　私は、人間界の様子を探るべく幼稚園の先生として暮らしていた。だが、そんなある日ワシは一人の少年と出会う。

　「カルア君先生と遊ぼう？」彼の名はカルア、親から酷い虐待を受けた。体には無数のアザ、切り傷、そして・・・・・・・・・・・
　
　「むごい・・・・・・・・・・・」誰もが驚いた左わき腹のの大きなやけど、皮膚はただれ、膿が出来ておりそこからは異臭が漂っていた。最先端の治療で一命は取り留めたが、やけどの跡は残るみたいだ。実の親からの虐待を受けていたので、心の傷は深かった。

　「カルア君・・・・」どんなに話し掛けても、優しくしても心を閉ざしたままであった。

　「ミーラ先生・・・・すいませんがカルア君のことお願いします」ちょうど、大掃除の時じゃった。いつものように、孤児院から、カルア君が来て隅のほうで座っていた。その頃のワシは、自分に魔法をかけて魔力を抑えている状態で生活してた。まぁ〜人の心を読めるからいいんじゃが・・・・・・・・・

　「カルア君・・・・・深い傷があるみたいね」

　「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

　「先生、人の気持ちわかるんだ」

　「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

　「今何考えてるか当てよっか」


　「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

　「誰も信じられない・・・信じない・・・・二度と・・・もう・・・死にたい」

　「！！！！！！！！！！！」驚いた様子で見るカルア君

　「すごいでしょ。喋れなかったら、心の中で思ってね」

　　　　　　　　　　　　　　　　こくんっ
　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　頷くカルア君

　　　　　　それからだった・・・カルア君と話すようになったのは。

　　　　　　１年が経ち、春が来て新しい子ども達が来る時期だった。

　「お母さん、今日から僕小学生になるんだね♪♪♪」

　「そうよ、カルアしっかりと服着て・・・・・あっ口元にご飯ついてるわよ」

　あれからカルア君は、友達とも喋れるようになり、傷もだいぶ癒えてきていた。そして・・・・ワシの大切な息子になっていたのだ。カルアと一緒に幼稚園生活をしていたら、ワシにとって大切な存在となっていた。そして、クリスマスの日、ワシはカルアを養子として向かえた。

　「お母さんいってくるね〜〜〜〜〜！！！！」

　「気を付けていってくるのよ〜〜〜〜」

　元気に家を飛び出すカルア・・・・・この幸せな日常がいつまでも続くと思った。でも続かなかった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

　あの日、天気もよく一緒に山登りをしていた。その時は、まだ晴れていた。だが、山の天気は変わりやすく、いきなりの豪雨に見舞われた。

　（いかんな・・・このままでは）山を降りていた時、下の川が増水しており、また、足場が不安定になっていた。

　「カルア、足元が危ないから気を付けて」そういって後ろを振り向いたら、カルアの姿が見えなかった。

　「カルア！！！！カルア！！！！！！カルア！！！！！」必死に探す私は、下の川を見た。そこには、今にも流されそうなカルアの姿があった。

　
　ワシは、崖を下りカルアの手を掴んだ。

　「カルア！！！！手を離さないで！！お母さんが助けるから」　

　「母さん・・・・・母さんの子でよかったよ・・・本当の子どもじゃないのに・・・・・嬉しかった」

　「！！！何言ってるの、弱気にならないで！！！絶対助けるから！！！」そう励ましているが、手に力がなくなってきていた。

　「母さん・・・ありがとう・・・今まで育ててくれて」

　「嫌〜〜〜〜！！！カルアだめ！！！！カルア！！！カルア！！！！！！」

　その後、ワシは川の中に入ろうとしたが腕を誰かにつかまれ、そのまま気を失った。

　小さな洞穴で目覚めたワシは、あたりを見回した。

　「ここは・・・・・」

　「あたしの住処ですよ」そこに現れたのは、女性がいた。

　「お主・・・稲荷じゃな」

　「よくわかりましたね・・・・さすが、バフォメット」

　「お互い様じゃ・・・・・それより、息子は！！！！！カルアは！！！！！」

　「落ち着いて・・・今私の式神が探さしているわ」そういうと、ワシを床に寝かせた。そしてワシも寝た。

　この後も式神による、捜索は見つからず、そのままワシは山を降りた。幼稚園を辞め、この魔界に帰ってきた。カルアのいない生活にワシは耐えられなくなった。

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　　　　　　　　　　　　　〜現在バフォ様寝室〜

　　　　　　　　　　　　　　　　コンコン

　誰かが、ドアをノックした。

　「夜遅く失礼します。バフォ様に会いたいという少年をお連れしました」そこにいたのは、綺麗な顔立ちの男の子がいた。

　「そうかすまぬな。お主かワシに会いたいと言ったのは・・・・・・」足から、顔まで隅々見ても年は１５〜６ぐらいの少年であった。

　「はい！！！！！俺、バフォ様に一目ぼれしました。名前はアールといいます」花束をワシに押し付けるアール・・・・・・・

　「おぬし、『幼きロリコンのアール』じゃな」近くにあった手配書を見て言った。反魔物派の町に住んで、魔物少女を愛する者・・・・危険ではないが・・・調べてみる必要があるようじゃな。

　「頭を、こっちに向けよ」

　「どうぞ〜」出してきた頭のうえに手を覆いこやつの人生を見た。

　はじめは、生まれてきて親に抱かれてるアール・・・・その次は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・！！！！！！

　「お主・・・もう一度問う・・・名は・・・・」声が震えてうまくいえないバフォ様

　「アールですよ」

　「では聞く・・・・・親の名は・・・・・・」

　「いやぁ〜自分、記憶喪失で覚えてないんですよ」

　「！！！！！！！！！！！！！！」

　「バフォ様どうしました？」ミキシーが心配そうに言う

　「そうか・・・・おぬしの記憶喪失、治してやろうか？」

　「本当ですか！！！！やっほーーーーーーい！！！！！」飛んで喜ぶアール

　「よし・・・・もう一度頭を貸せ」同じようにうえに手を覆い呪文を言い始めた。

　呪文が終わりアールの体が、がくんと地面についた。

　「バフォ様！！！！！！！何をされたんですか！！！？」驚くミキシーに答えるバフォ様

　「記憶を、思い出しただけじゃ」そう言うとアールの頭を撫でるバフォ様・・・

　「お帰り・・・カルア」

　　後日、この人はバフォ様の息子カルアさんだとわかった。

■作者メッセージ
　親子の日常

　「カルア・・・・あ〜〜〜〜〜ん」

　「母さん！！さすがに恥ずかしいよ」

　「いいではないか、ワシはカルアがいなくてどれほど辛かったか」

　「わかった！！！わかったから泣かないでよ母さん」

　このやり取りは、食事の時によく見られていた。




今回は、感動系だけど・・・・どうでしたか？虐待という言葉を入れましたが皆さんは大丈夫ですか？もしかしたらすぐ近くにいるかもしれませんよ。ですから怖がらず児童相談所に言いましょう。

　この世から虐待をなくそう！！！！！　では感想お待ちしています