オーズタスの怪盗。
俺は船から降り、地に足をつける。
船とは違うしっかりとした陸地の感触。
久々の陸に心が踊り、言いようのない充足感に包まれる。
間違いない・・・。
「着いたぞ、グルベン大陸！！」
大きく伸びをしながら、そう吼える。
俺の後からぞくぞくと仲間達が降りてきた。
皆、久々の地面に喜びを隠せない。
「やっと来たな。もうエフレーム大陸じゃないんだな、カイ。」
「長かったよぉ・・・。ボクはしばらく船の旅はいいや。」
「着きましたねぇ、久々の石の地面です。」
「ダーリン、ここがワタクシ達の目的の・・・。」
「ああ、グルベン大陸だ。カルカロス王国がある、大陸だ。」
一斉に歓喜の声が上がる。
やっと自分達が別の大陸に渡ってきたんだという実感がわいた。
夢なんかじゃない。
オーズタスに着いたんだ。
全員がとても穏やかな表情をしていた。
そんな俺たちの様子を見た船長が笑顔でこちらへ歩いてくる。
船長のニッコリ笑顔・・・、怖い。
「うぇっへっへっへ。兄さん方、俺等はここで失礼致します。なにぶん次の航海の準備があるんで。」
「ああ、わかった。ありがとう、船長。」
「いいんですよ。こっちが感謝したいぐらいだって前にも言ったでしょう。気にせんでください。うぇっへっへっへ。」
船長は笑顔を崩さず、頭を掻きながらそう言った。
俺達が彼に頭を下げると、そのまま自分の水兵帽をかぶりなおし去っていく。
他の船員達もトコトコ船長についていった。
俺達は彼等と逆の方向へ歩き出す。
今日はまずこの大陸の地図と旅のための食料を買わなければならない。
そのために俺達は町をぶらつくことにした。
・・・が、すこし前に味わった違和感が襲い掛かってくる。
これはヴェルキスと同じ・・・。
注意深く耳をすませると、町の人達の陰口が聞こえてきた。
「ねぇ・・・、あれ魔物よね。」
「本当だわ、何て汚らわしいのかしら。」
「教団に連絡を入れましょうよ、きっとあいつ等が怪盗騒ぎの犯人だし。」
どうやらオーズタスは教団の思想が広まっているらしい。
歓迎されていないことが肌でわかる。
セシリアが少し怯えていた。
ティタンが心配ないとセシリアの手を握る。
俺達はその声から逃げるように近くの雑貨屋に入った。
「あぁ、いらっしゃい。・・・って、ん？」
店主はこちらに目を向けると途端にしかめっ面になる。
ここもかよ・・・。
自然とため息が漏れてきた。
「あの、この大陸の地図って売っていますか？」
「地図ねぇ、銅貨２０枚と３０枚のがあるけどどれがいい？」
「じゃあ、３０枚の方で。」
「はいよ。」
ひどく事務的な対応。
俺達は地図を受け取り、お金を払う。
店主は銅貨を一枚、一枚しっかり数えた。
「あんた達、どこから来たんだ？」
「エフレーム大陸だけど・・・。」
「やっぱり旅の人か。この大陸で魔物を連れていると色々と面倒な事になるぞ。」
「は、はぁ・・・。」
親切のつもりなんだろうが、大きなお世話だ。
俺達は話を早々に切り上げ、店を出る。
すると店の前に甲冑姿の男が三人立っていた。
男達は悪趣味な赤いマントに大きく教団のマークを掲げている。
こいつらが教団の騎士だということはすぐわかった。
「何の用だ？」
「失礼ながら、ちょっと話を聞かせてもらいたい。」
「何だ？」
「お前達は何者だ？リザードマンにオークにエルフ、あろうことかエキドナまでいる。何か企んでいるのではないか？」
「ずいぶん不躾な質問だな。俺達は見ての通り旅の一行だ。これで満足か？」
「何かそれを証明するものはあるか？」
「旅人の証明？んなものある訳がないだろう。」
「ここは教団の地だ。不浄な魔物が堂々と闊歩して良いような汚れた町ではないぞ。」
少し苛立ち始めるエフィをテテスが必死で止める。
ここで話を大きくすれば、後々厄介な事になりそうだ。
頭ではそう理解しているが苛立ちを止めることはできない。
そんな俺の様子を察知したのか、セシリアが先程のティタンと同じように俺の手を握る。
ああ、ここは耐えなければ・・・。
「まあいい。お前達が何かおかしな事をすれば、その時に剣を抜けば良いだけだしな。変な事を考えるんじゃないぞ、わかったな？」
キザっぽく手を振りそのまま去っていく騎士達。
同時に吐きそうになるほどの不快感が襲ってくる。
今はもう一刻も早くこの町から出たいと考えていた。
「何よ、あいつ等！！散々、ワタクシ達を馬鹿にしてっ！！」
テイタンが苛立ちを足に乗せて、地に叩きつける。
エフィも険しい顔で騎士達が去っていった方向を見ていた。
「エフィお姉ちゃん、大丈夫？」
「ああ。セシリアもよく耐えた、偉いぞ。」
セシリアの頭を撫でてやるエフィ。
この先、まだまだこういう事があるかもしれない。
俺は頬を叩いて気合を入れなおすと、皆を連れて宿を探す。
町中から向けられる奇異の視線が止むことはなかった。
「ふぃ〜、いいお湯だった。」
風呂から上がった俺は勢い良く、ベッドに倒れこむ。
大きく伸びをすると、心地よい睡魔がやって来た。
ふと今日のことを思い返してみる。
俺達はあの後、宿屋を探して町中を歩き回った。
どこも魔物がいるとわかっただけで門前払い。
ようやく見つけたこの宿は町で唯一、魔物も泊まれる宿屋らしい。
ここの主人はエフレーム大陸の出身だと言う。
なので、エフィ達を見て怯えるような仕草をしなかった。
「ふぁ・・・、ふぁ〜あ・・・。」
ぼーっとしていると睡魔が襲ってくる。
窓の外の満月はもう空高く上がっていた。
俺は伸びをしたままの体勢で眠りにつこうとする。
すると、ドタドタと複数の足音が聞こえてきた。
その音は俺の部屋へ一直線に向かってくる。
何だ・・・？
「カイ！！ワタシの下着、どこやったっけ！！？？」
「お兄ちゃ〜ん！！ボクのパンツがないよぉ〜！！」
「ダーリン！！ワタクシのブラ持っていった！？」
「アタイのも持っていきました！？カイさ〜ん！！」
「お前等、落ち着け！！俺は持っていない！！つーか、タオルか何か巻いてこい！！見えてるって！！」
「そんなことよりもっ！！下着がないんだよ！！」
「だぁ〜っ！！動くな、見えてる！！チラチラ大事なものが見えてる！！」
夜だというのにドタドタ騒ぐ一同。それも裸で。
まずは替えの下着をつけさせ、話を聞く。
皆の話によると、自分達の下着がなくなったそうだ。
テテスとティタンはブラ、セシリアはパンツ、エフィは両方。
これはどう考えても明らかにおかしいだろう。
誰か一人なら間違いで済むかもしれないが、全員の下着がなくなるなんてあるはずがない。
考えられるのは誰かが盗んだということだけ。
「ダーリン、盗んだ？」
「・・・勘弁してくれ。」
冗談じゃない。
俺は若干のめまいを覚えながら、頭を抱える。
こんな冤罪嫌すぎる・・・。
俺達が悩んでいると、外から高らかなアホ笑いが聞こえてきた。
急いで窓に近づき、窓の外を見る。
そこには月を背景にださ・・・個性的な仮面をつけた一匹の魔物が立っていた。
パタン。
つい反射的に窓を閉めてしまう。
もう相手にしないようカーテンを閉じた
ああいうのを相手にするのは教団の騎士だけで充分だろう。
俺達は何も見なかった、うん。
「こらぁ〜！！私を無視するなぁ〜！！」
窓の外から不平の声が聞こえる。
何も聞こえない、何も聞こえないぞ。
「いいのかぁ〜！？私、寂しくて死んじゃうぞぉ〜！！」
・・・。
「ねぇねぇ、相手してよぉ〜！！」
・・・・・・。
「おねが〜い！！ね、ね！？」
・・・・・・。（段々楽しくなってきた。）
「ふぇぇ〜〜〜ん！！！あけてよぉぉぉおお！！」
・・・・・・。（少し罪悪感が出てくる。）
「ぐすっ。ひぐっ・・・。」
やばい、本当に泣いてしまった。
俺がカーテンと窓を開けると、すぐさま彼女は飛び込んでくる。
彼女の種族はワーラビット。
もふっとした毛玉が俺の上に乗っかってきた。
「えぐえぐっ、寂しかったよぉ〜！！相手にしてよ、かまってよぉ！！」
「こら、鼻水を俺の服でぬぐうな！！」
「で、あなたのお名前は・・・？」
テテスがそう聞くと、とても嬉しそうな顔をする。
彼女は立ち上がり薄い胸を誇らしげに張った。
なんか面倒くさいヤツだな・・・。
「私は今話題のプリティーでキュートでセクシーな世紀の大怪盗、ウサギ仮面！！」
「さて、それじゃさようなら。」
「待って、ごめんなさい！！私の名前はリココ＝カランファです！！」
俺が彼女の服の襟を掴み外に捨てようとすると、リココは普通に名乗った。
いかん。ちょっと楽しいじゃないか。
「で、俺達に何の用だ？」
「ふふん、聞いて驚けっ！！お前等の下着を盗んだのはこの・・・。」
「ワタクシのブラ・・・、盗んだのはあなた・・・？」
「ひぎぃっ！！？？」
ティタンはリココに身体を巻きつける。
目がいっちゃってますよ、ティタンさん・・・。
ジパングの古い伝承に出てくる清姫って確かこんなんじゃなかったか？
リココは蛇に睨まれたカエル（兎だけど）状態だった。
「・・・さっさと返しなさい。わかった・・・？」
ギリギリッ・・・。
「はいっ！！ただ今返します！！返すから離してぇぇ！！」
リココは解放されるとすぐさまバッグから盗んだ下着を取り出そうとする。
バッグから出てくる何十枚もの下着。
こいつ一体、何人から盗んできたのだろうか？
全部取り出すと、その中からエフィ達の下着を探してティタンに渡した。
こいつは怪盗じゃなく、下着ドロだろ。
「で、何で俺達の前に出てきた？」
「はい・・・。私はいつも犯行現場に手紙を置いていくのですが、今日に限って忘れてしまったので・・・。」
「で？」
「皆さんの前から颯爽と逃げれば格好いいかなって・・・あいたぁっ！！」
俺はリココに手刀を打ち込む。
間違いない、こいつはアホの子だ。
身体中から放っているオーラが既に残念である。
『残念』という文字の塊だな。
俺達が彼女から下着の山へと目を離した次の瞬間・・・。
「スキありぃっ！！」
「なっ！！？？」
ピョンと窓から飛び出すリココ。
隣の家の屋根に移り、またアホみたいな高笑いをあげた。
「ばーかばーか！！何がエキドナだ、このエロ蛇女！！悔しかったらこっちまで来てみろ〜！！おしりぺんぺ〜ん！！」
「あいつは子供か・・・。あんな挑発に引っかかるわけ、うぉあっ！！」
ティタンの顔が冗談抜きに恐ろしい。
セシリアが泣きそうな目で俺に抱きついてくる。
あれは・・・、トラウマになるぞ・・・。
自然と敬語になってしまう。
「ねぇ、ダーリン・・・。今日ウサギ鍋食べたくない・・・？」
「い、いえ・・・。俺は別に・・・。」
「セシリアは食べたいわよねぇ・・・？」
「ぼ・・・ボボボボクも遠慮しておくよ・・・。」
「ワタクシはすっごく食べたいの・・・。今、八つ裂きにしてくるからちょっと待っててね・・・。」
ティタンの目がギラリと光る。
背中からユラユラした黒い炎が燃え上がっていた。
俺とセシリアの顎がガタガタ震える。
「お兄ちゃん、ティタンお姉ちゃんが・・・あわわ。」
「関わるなよ、俺達まで巻き込まれてしまう。」
目が血走らんばかりの勢いだ。
テテスとエフィは既に逃げ出している。
俺達も連れていってくれれば良いのに・・・。
「ダーリン、セシリア？」
「「はいっ！！！？？？」」
「・・・もちろん手伝ってくれるわよね？」
「もちろんだ、ティタン！！だから、その目で見つめないでくれ！！」
「ボクも手伝う！！ボクも手伝うからぁっ！！」
顔を青くしながら、半べそをかく俺とセシリア。
修羅は・・・、ここにいた・・・。
「へっへ〜ん！！鬼さんこちらっ、手のなるほうへっ！！」
「ば、バカッ！！！これ以上挑発するんじゃない！！」
「へーきへーき！！だって、私に追いつけるはず・・・ひぎゅうっ！！」
ティタンが自分の下半身をバネのようにして襲い掛かる。
すっかり油断しきっていたリココの身体はいとも簡単に捕まった。
ティタンは狂気の笑みを浮かべる。
あいつ・・・、死んだな・・・。
「さぁ、覚悟はよろしくて？」
ブンブンッ！！！！
首がとれるのではないかと思うぐらい、大きく横に振るリココ。
遠くからでも怯えの表情が見えた。
彼女の身体からギリギリという音が聞こえてくる。
「ゆるして・・・、くるしい・・・。」
「あらあら、まだまだよ。夜はこれから・・・うふふ。」
ゴキッ！！
「ひぎゅうっ！！」
鈍い音がした。
セシリアはもう声も出せていない。
リココの悲鳴が俺達の耳へと届いてくる。
地獄絵図だ・・・。
そうして俺の部屋へリココを投げ捨てる。
「ゆるしてよぉ・・・、ひぐえぐっ。いぎぃっ！！！」
「ふふふ、じゃ次はもっと楽しいことをしてあ・げ・る。」
ビリリィと布を破く音が響いた。
リココの肢体が全て露になる。
何をする気だ・・・？
リココは声にならない悲鳴を上げる
ティタンの尻尾の先をそのまま彼女の秘部へと押し入れた・・・。
って、おい！！
俺は慌てて、セシリアの目を隠す。
グチュグチュとティタンの尻尾がリココの中をかき回していた。
彼女の身体は貫かれたまま、宙へと浮く。
「ひぎゅうっ、いたっ！！まだっ、いぎぃっ、濡れてあうぎゅっ！！な、ないのにぃっ！！」
「痛くないならおしおきにならないじゃない。ホラ次はこっちの方よっ！！」
「うぎゅぁっ！！」
三本の細い指をリココの後ろの穴に突き入れる。
その瞬間、彼女は潮を噴出した。
勢いよく愛液を撒き散らす。
ティタンは更に嗜虐的な笑みを浮かべた。
「はしたないわねぇ、おしおきが足りなかったかしらぁ？」
「ふぇ・・・、もうゆるし、にぎゃあっ！！」
「これでどう？改心した・・・？」
「うにゅっ、はわっ、みぎゃ！！後ろも前も、あぎゃっ！！も、もう壊れちゃぎゅあっ！！」
ティタンの尻尾と指の動きが激しくなる。
やばいぞ、あれは。
もうリココの目の焦点があっていない。
両方上を見ている。
よだれが糸をひいて、落ちていった。
「そんなぁっ！！ふぎゅあっ、お、おひりがきもひいい、おひりがきもひいのぉっ！！」
「随分と弱いのね。そんなだらしのない顔をして恥ずかしくないのかしら？」
「もう、なひもかんがへらんないっ！！ゴリュゴリュって音以外、どうでもいいのぉっ！！」
俺はセシリアを連れ、転がるようにエフィ達の部屋へ逃げ込む。
リココが壊れていく声がそこまで響いてきた。
−−−−−−−−−朝。
俺は恐る恐る俺の部屋を覗き込む。
ドアノブを握る指が震えていた。
「お、おはよう・・・。」
「あ、ダーリン。おはよう。」
「カイ様、おはようございます。」
「リココっ！！？？」
部屋には普通にリココとティタンがいる。
何故かリココはメイド服だ。
明らかに口調も違うし、これはもしかして・・・。
「ほら、リココ。昨日教えたとおりにやってみなさい。」
「はい、わかりました。」
そう言って彼女は自分のエプロンドレスをたくし上げる。
・・・！！？？
パンツが・・・、ない・・・。
おかげで彼女の秘所が丸見えだ。
一体何だ・・・？
「カイ様のそのたくましいモノで私の中、グチュグチュにかき回してください。私をあなたのお手洗いとして使ってくださいね。」
やっぱりか。
完璧に調教されている。
ティタンは満足そうな表情を浮かべ、椅子に深く腰掛けた。
こういう才能もあるのかよ・・・。
リココは節操なしの肉棒をうっとりした目で撫でる。
「大きい・・・。カイ様、もう我慢できないんですぅ・・・。」
「へ？」
「お願いします・・・、お情けを・・・。」
大きく荒れた息で俺の息子を見つめた。
それから先は・・・、言わなくていいよな・・・？
船とは違うしっかりとした陸地の感触。
久々の陸に心が踊り、言いようのない充足感に包まれる。
間違いない・・・。
「着いたぞ、グルベン大陸！！」
大きく伸びをしながら、そう吼える。
俺の後からぞくぞくと仲間達が降りてきた。
皆、久々の地面に喜びを隠せない。
「やっと来たな。もうエフレーム大陸じゃないんだな、カイ。」
「長かったよぉ・・・。ボクはしばらく船の旅はいいや。」
「着きましたねぇ、久々の石の地面です。」
「ダーリン、ここがワタクシ達の目的の・・・。」
「ああ、グルベン大陸だ。カルカロス王国がある、大陸だ。」
一斉に歓喜の声が上がる。
やっと自分達が別の大陸に渡ってきたんだという実感がわいた。
夢なんかじゃない。
オーズタスに着いたんだ。
全員がとても穏やかな表情をしていた。
そんな俺たちの様子を見た船長が笑顔でこちらへ歩いてくる。
船長のニッコリ笑顔・・・、怖い。
「うぇっへっへっへ。兄さん方、俺等はここで失礼致します。なにぶん次の航海の準備があるんで。」
「ああ、わかった。ありがとう、船長。」
「いいんですよ。こっちが感謝したいぐらいだって前にも言ったでしょう。気にせんでください。うぇっへっへっへ。」
船長は笑顔を崩さず、頭を掻きながらそう言った。
俺達が彼に頭を下げると、そのまま自分の水兵帽をかぶりなおし去っていく。
他の船員達もトコトコ船長についていった。
俺達は彼等と逆の方向へ歩き出す。
今日はまずこの大陸の地図と旅のための食料を買わなければならない。
そのために俺達は町をぶらつくことにした。
・・・が、すこし前に味わった違和感が襲い掛かってくる。
これはヴェルキスと同じ・・・。
注意深く耳をすませると、町の人達の陰口が聞こえてきた。
「ねぇ・・・、あれ魔物よね。」
「本当だわ、何て汚らわしいのかしら。」
「教団に連絡を入れましょうよ、きっとあいつ等が怪盗騒ぎの犯人だし。」
どうやらオーズタスは教団の思想が広まっているらしい。
歓迎されていないことが肌でわかる。
セシリアが少し怯えていた。
ティタンが心配ないとセシリアの手を握る。
俺達はその声から逃げるように近くの雑貨屋に入った。
「あぁ、いらっしゃい。・・・って、ん？」
店主はこちらに目を向けると途端にしかめっ面になる。
ここもかよ・・・。
自然とため息が漏れてきた。
「あの、この大陸の地図って売っていますか？」
「地図ねぇ、銅貨２０枚と３０枚のがあるけどどれがいい？」
「じゃあ、３０枚の方で。」
「はいよ。」
ひどく事務的な対応。
俺達は地図を受け取り、お金を払う。
店主は銅貨を一枚、一枚しっかり数えた。
「あんた達、どこから来たんだ？」
「エフレーム大陸だけど・・・。」
「やっぱり旅の人か。この大陸で魔物を連れていると色々と面倒な事になるぞ。」
「は、はぁ・・・。」
親切のつもりなんだろうが、大きなお世話だ。
俺達は話を早々に切り上げ、店を出る。
すると店の前に甲冑姿の男が三人立っていた。
男達は悪趣味な赤いマントに大きく教団のマークを掲げている。
こいつらが教団の騎士だということはすぐわかった。
「何の用だ？」
「失礼ながら、ちょっと話を聞かせてもらいたい。」
「何だ？」
「お前達は何者だ？リザードマンにオークにエルフ、あろうことかエキドナまでいる。何か企んでいるのではないか？」
「ずいぶん不躾な質問だな。俺達は見ての通り旅の一行だ。これで満足か？」
「何かそれを証明するものはあるか？」
「旅人の証明？んなものある訳がないだろう。」
「ここは教団の地だ。不浄な魔物が堂々と闊歩して良いような汚れた町ではないぞ。」
少し苛立ち始めるエフィをテテスが必死で止める。
ここで話を大きくすれば、後々厄介な事になりそうだ。
頭ではそう理解しているが苛立ちを止めることはできない。
そんな俺の様子を察知したのか、セシリアが先程のティタンと同じように俺の手を握る。
ああ、ここは耐えなければ・・・。
「まあいい。お前達が何かおかしな事をすれば、その時に剣を抜けば良いだけだしな。変な事を考えるんじゃないぞ、わかったな？」
キザっぽく手を振りそのまま去っていく騎士達。
同時に吐きそうになるほどの不快感が襲ってくる。
今はもう一刻も早くこの町から出たいと考えていた。
「何よ、あいつ等！！散々、ワタクシ達を馬鹿にしてっ！！」
テイタンが苛立ちを足に乗せて、地に叩きつける。
エフィも険しい顔で騎士達が去っていった方向を見ていた。
「エフィお姉ちゃん、大丈夫？」
「ああ。セシリアもよく耐えた、偉いぞ。」
セシリアの頭を撫でてやるエフィ。
この先、まだまだこういう事があるかもしれない。
俺は頬を叩いて気合を入れなおすと、皆を連れて宿を探す。
町中から向けられる奇異の視線が止むことはなかった。
「ふぃ〜、いいお湯だった。」
風呂から上がった俺は勢い良く、ベッドに倒れこむ。
大きく伸びをすると、心地よい睡魔がやって来た。
ふと今日のことを思い返してみる。
俺達はあの後、宿屋を探して町中を歩き回った。
どこも魔物がいるとわかっただけで門前払い。
ようやく見つけたこの宿は町で唯一、魔物も泊まれる宿屋らしい。
ここの主人はエフレーム大陸の出身だと言う。
なので、エフィ達を見て怯えるような仕草をしなかった。
「ふぁ・・・、ふぁ〜あ・・・。」
ぼーっとしていると睡魔が襲ってくる。
窓の外の満月はもう空高く上がっていた。
俺は伸びをしたままの体勢で眠りにつこうとする。
すると、ドタドタと複数の足音が聞こえてきた。
その音は俺の部屋へ一直線に向かってくる。
何だ・・・？
「カイ！！ワタシの下着、どこやったっけ！！？？」
「お兄ちゃ〜ん！！ボクのパンツがないよぉ〜！！」
「ダーリン！！ワタクシのブラ持っていった！？」
「アタイのも持っていきました！？カイさ〜ん！！」
「お前等、落ち着け！！俺は持っていない！！つーか、タオルか何か巻いてこい！！見えてるって！！」
「そんなことよりもっ！！下着がないんだよ！！」
「だぁ〜っ！！動くな、見えてる！！チラチラ大事なものが見えてる！！」
夜だというのにドタドタ騒ぐ一同。それも裸で。
まずは替えの下着をつけさせ、話を聞く。
皆の話によると、自分達の下着がなくなったそうだ。
テテスとティタンはブラ、セシリアはパンツ、エフィは両方。
これはどう考えても明らかにおかしいだろう。
誰か一人なら間違いで済むかもしれないが、全員の下着がなくなるなんてあるはずがない。
考えられるのは誰かが盗んだということだけ。
「ダーリン、盗んだ？」
「・・・勘弁してくれ。」
冗談じゃない。
俺は若干のめまいを覚えながら、頭を抱える。
こんな冤罪嫌すぎる・・・。
俺達が悩んでいると、外から高らかなアホ笑いが聞こえてきた。
急いで窓に近づき、窓の外を見る。
そこには月を背景にださ・・・個性的な仮面をつけた一匹の魔物が立っていた。
パタン。
つい反射的に窓を閉めてしまう。
もう相手にしないようカーテンを閉じた
ああいうのを相手にするのは教団の騎士だけで充分だろう。
俺達は何も見なかった、うん。
「こらぁ〜！！私を無視するなぁ〜！！」
窓の外から不平の声が聞こえる。
何も聞こえない、何も聞こえないぞ。
「いいのかぁ〜！？私、寂しくて死んじゃうぞぉ〜！！」
・・・。
「ねぇねぇ、相手してよぉ〜！！」
・・・・・・。
「おねが〜い！！ね、ね！？」
・・・・・・。（段々楽しくなってきた。）
「ふぇぇ〜〜〜ん！！！あけてよぉぉぉおお！！」
・・・・・・。（少し罪悪感が出てくる。）
「ぐすっ。ひぐっ・・・。」
やばい、本当に泣いてしまった。
俺がカーテンと窓を開けると、すぐさま彼女は飛び込んでくる。
彼女の種族はワーラビット。
もふっとした毛玉が俺の上に乗っかってきた。
「えぐえぐっ、寂しかったよぉ〜！！相手にしてよ、かまってよぉ！！」
「こら、鼻水を俺の服でぬぐうな！！」
「で、あなたのお名前は・・・？」
テテスがそう聞くと、とても嬉しそうな顔をする。
彼女は立ち上がり薄い胸を誇らしげに張った。
なんか面倒くさいヤツだな・・・。
「私は今話題のプリティーでキュートでセクシーな世紀の大怪盗、ウサギ仮面！！」
「さて、それじゃさようなら。」
「待って、ごめんなさい！！私の名前はリココ＝カランファです！！」
俺が彼女の服の襟を掴み外に捨てようとすると、リココは普通に名乗った。
いかん。ちょっと楽しいじゃないか。
「で、俺達に何の用だ？」
「ふふん、聞いて驚けっ！！お前等の下着を盗んだのはこの・・・。」
「ワタクシのブラ・・・、盗んだのはあなた・・・？」
「ひぎぃっ！！？？」
ティタンはリココに身体を巻きつける。
目がいっちゃってますよ、ティタンさん・・・。
ジパングの古い伝承に出てくる清姫って確かこんなんじゃなかったか？
リココは蛇に睨まれたカエル（兎だけど）状態だった。
「・・・さっさと返しなさい。わかった・・・？」
ギリギリッ・・・。
「はいっ！！ただ今返します！！返すから離してぇぇ！！」
リココは解放されるとすぐさまバッグから盗んだ下着を取り出そうとする。
バッグから出てくる何十枚もの下着。
こいつ一体、何人から盗んできたのだろうか？
全部取り出すと、その中からエフィ達の下着を探してティタンに渡した。
こいつは怪盗じゃなく、下着ドロだろ。
「で、何で俺達の前に出てきた？」
「はい・・・。私はいつも犯行現場に手紙を置いていくのですが、今日に限って忘れてしまったので・・・。」
「で？」
「皆さんの前から颯爽と逃げれば格好いいかなって・・・あいたぁっ！！」
俺はリココに手刀を打ち込む。
間違いない、こいつはアホの子だ。
身体中から放っているオーラが既に残念である。
『残念』という文字の塊だな。
俺達が彼女から下着の山へと目を離した次の瞬間・・・。
「スキありぃっ！！」
「なっ！！？？」
ピョンと窓から飛び出すリココ。
隣の家の屋根に移り、またアホみたいな高笑いをあげた。
「ばーかばーか！！何がエキドナだ、このエロ蛇女！！悔しかったらこっちまで来てみろ〜！！おしりぺんぺ〜ん！！」
「あいつは子供か・・・。あんな挑発に引っかかるわけ、うぉあっ！！」
ティタンの顔が冗談抜きに恐ろしい。
セシリアが泣きそうな目で俺に抱きついてくる。
あれは・・・、トラウマになるぞ・・・。
自然と敬語になってしまう。
「ねぇ、ダーリン・・・。今日ウサギ鍋食べたくない・・・？」
「い、いえ・・・。俺は別に・・・。」
「セシリアは食べたいわよねぇ・・・？」
「ぼ・・・ボボボボクも遠慮しておくよ・・・。」
「ワタクシはすっごく食べたいの・・・。今、八つ裂きにしてくるからちょっと待っててね・・・。」
ティタンの目がギラリと光る。
背中からユラユラした黒い炎が燃え上がっていた。
俺とセシリアの顎がガタガタ震える。
「お兄ちゃん、ティタンお姉ちゃんが・・・あわわ。」
「関わるなよ、俺達まで巻き込まれてしまう。」
目が血走らんばかりの勢いだ。
テテスとエフィは既に逃げ出している。
俺達も連れていってくれれば良いのに・・・。
「ダーリン、セシリア？」
「「はいっ！！！？？？」」
「・・・もちろん手伝ってくれるわよね？」
「もちろんだ、ティタン！！だから、その目で見つめないでくれ！！」
「ボクも手伝う！！ボクも手伝うからぁっ！！」
顔を青くしながら、半べそをかく俺とセシリア。
修羅は・・・、ここにいた・・・。
「へっへ〜ん！！鬼さんこちらっ、手のなるほうへっ！！」
「ば、バカッ！！！これ以上挑発するんじゃない！！」
「へーきへーき！！だって、私に追いつけるはず・・・ひぎゅうっ！！」
ティタンが自分の下半身をバネのようにして襲い掛かる。
すっかり油断しきっていたリココの身体はいとも簡単に捕まった。
ティタンは狂気の笑みを浮かべる。
あいつ・・・、死んだな・・・。
「さぁ、覚悟はよろしくて？」
ブンブンッ！！！！
首がとれるのではないかと思うぐらい、大きく横に振るリココ。
遠くからでも怯えの表情が見えた。
彼女の身体からギリギリという音が聞こえてくる。
「ゆるして・・・、くるしい・・・。」
「あらあら、まだまだよ。夜はこれから・・・うふふ。」
ゴキッ！！
「ひぎゅうっ！！」
鈍い音がした。
セシリアはもう声も出せていない。
リココの悲鳴が俺達の耳へと届いてくる。
地獄絵図だ・・・。
そうして俺の部屋へリココを投げ捨てる。
「ゆるしてよぉ・・・、ひぐえぐっ。いぎぃっ！！！」
「ふふふ、じゃ次はもっと楽しいことをしてあ・げ・る。」
ビリリィと布を破く音が響いた。
リココの肢体が全て露になる。
何をする気だ・・・？
リココは声にならない悲鳴を上げる
ティタンの尻尾の先をそのまま彼女の秘部へと押し入れた・・・。
って、おい！！
俺は慌てて、セシリアの目を隠す。
グチュグチュとティタンの尻尾がリココの中をかき回していた。
彼女の身体は貫かれたまま、宙へと浮く。
「ひぎゅうっ、いたっ！！まだっ、いぎぃっ、濡れてあうぎゅっ！！な、ないのにぃっ！！」
「痛くないならおしおきにならないじゃない。ホラ次はこっちの方よっ！！」
「うぎゅぁっ！！」
三本の細い指をリココの後ろの穴に突き入れる。
その瞬間、彼女は潮を噴出した。
勢いよく愛液を撒き散らす。
ティタンは更に嗜虐的な笑みを浮かべた。
「はしたないわねぇ、おしおきが足りなかったかしらぁ？」
「ふぇ・・・、もうゆるし、にぎゃあっ！！」
「これでどう？改心した・・・？」
「うにゅっ、はわっ、みぎゃ！！後ろも前も、あぎゃっ！！も、もう壊れちゃぎゅあっ！！」
ティタンの尻尾と指の動きが激しくなる。
やばいぞ、あれは。
もうリココの目の焦点があっていない。
両方上を見ている。
よだれが糸をひいて、落ちていった。
「そんなぁっ！！ふぎゅあっ、お、おひりがきもひいい、おひりがきもひいのぉっ！！」
「随分と弱いのね。そんなだらしのない顔をして恥ずかしくないのかしら？」
「もう、なひもかんがへらんないっ！！ゴリュゴリュって音以外、どうでもいいのぉっ！！」
俺はセシリアを連れ、転がるようにエフィ達の部屋へ逃げ込む。
リココが壊れていく声がそこまで響いてきた。
−−−−−−−−−朝。
俺は恐る恐る俺の部屋を覗き込む。
ドアノブを握る指が震えていた。
「お、おはよう・・・。」
「あ、ダーリン。おはよう。」
「カイ様、おはようございます。」
「リココっ！！？？」
部屋には普通にリココとティタンがいる。
何故かリココはメイド服だ。
明らかに口調も違うし、これはもしかして・・・。
「ほら、リココ。昨日教えたとおりにやってみなさい。」
「はい、わかりました。」
そう言って彼女は自分のエプロンドレスをたくし上げる。
・・・！！？？
パンツが・・・、ない・・・。
おかげで彼女の秘所が丸見えだ。
一体何だ・・・？
「カイ様のそのたくましいモノで私の中、グチュグチュにかき回してください。私をあなたのお手洗いとして使ってくださいね。」
やっぱりか。
完璧に調教されている。
ティタンは満足そうな表情を浮かべ、椅子に深く腰掛けた。
こういう才能もあるのかよ・・・。
リココは節操なしの肉棒をうっとりした目で撫でる。
「大きい・・・。カイ様、もう我慢できないんですぅ・・・。」
「へ？」
「お願いします・・・、お情けを・・・。」
大きく荒れた息で俺の息子を見つめた。
それから先は・・・、言わなくていいよな・・・？
10/06/26 20:18更新 / アカフネ
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